(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033928
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】温度制御型貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20220222BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B65G1/00 521A
B65G1/04 555Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021199021
(22)【出願日】2021-12-08
(62)【分割の表示】P 2018515351の分割
【原出願日】2016-06-03
(31)【優先権主張番号】1509661.3
(32)【優先日】2015-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1604096.6
(32)【優先日】2016-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ラース・スバーカー・トゥーレ・リンボ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・フライヤー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・リー・ベイツ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・フォークス
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・デイトン・ステイナー
(72)【発明者】
【氏名】シディーク・シャイク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】段積みグリッド状貯蔵システムに関し、詳細には、密に充填された貯蔵システムと、前記貯蔵システムの温度を調整し、調節し、制御し、維持する方法を提供する
【解決手段】複数の積み重ねられたコンテナ1を備え、ハンドリングシステムが、作業空間の上方のグリッド上で動作する複数のロボット型ロードハンドリングデバイスを備え、ロードハンドリングデバイスをレールに沿ってグリッド上の任意の点まで移動させることが可能であり、温度制御されたガスを発生させるための1つもしくは複数のヒータおよび/または1つもしくは複数のチラー12と、温度制御されたガスを貯蔵システム内に循環させるための1つまたは複数のファン10と、温度制御されたガスを受け入れるためのプレナム14とを備える
【選択図】
図6a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間の上方にグリッドを形成するレールの2つの実質的に垂直な組を備える対象物ハンドリングシステムであって、前記作業空間が、複数の積み重ねられたコンテナを備え、前記ハンドリングシステムが、前記作業空間の上方の前記グリッド上で動作する複数のロボット型のロードハンドリングデバイスをさらに備え、前記ロードハンドリングデバイスが、車輪上に取り付けられた本体を備え、車輪の第1の組が、前記レールの第1の組の少なくとも2つのレールに係合するように配置され、車輪の第2の組が、前記レールの第2の組の少なくとも2つのレールに係合するように配置され、動作時に、任意のある時点で車輪の1つの組のみが前記グリッドに係合され、それにより、前記レールに係合された前記車輪の前記1つの組のみを駆動することによって前記ロードハンドリングデバイスを前記レールに沿って前記グリッド上の任意の点まで移動させることが可能になるように、前記車輪の前記第1の組が、前記車輪の前記第2の組に対して独立に移動可能でありかつ駆動可能であり、
前記ハンドリングシステムが、温度制御されたガスを発生させるための1つもしくは複数のヒータおよび/または1つもしくは複数のチラーと、前記温度制御されたガスを前記貯蔵システム内に循環させるための1つまたは複数のファンと、前記温度制御されたガスを受け入れるためのプレナムとをさらに備える、対象物ハンドリングシステム。
【請求項2】
前記プレナムは、貯蔵スタックの前記グリッドの側面に隣接する開口部を有する、請求項1に記載の貯蔵システム。
【請求項3】
使用時に、前記貯蔵システム内に温度制御されたガスの溜まりを生成する、請求項1または2に記載の貯蔵システム。
【請求項4】
前記温度制御されたガスの前記溜まりは、前記貯蔵スタックの上方に形成される、請求項3に記載の貯蔵システム。
【請求項5】
前記温度制御されたガスは、前記貯蔵コンテナスタックの周り、下方、上方、または内部を循環する、請求項3または4に記載の貯蔵システム。
【請求項6】
前記貯蔵システムの温度は、-30℃~+30℃の範囲で変化させられてもよい、請求項1から5のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項7】
前記貯蔵システムの温度は、±2.5℃の範囲内で制御され得る、請求項1から6のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項8】
温度制御されたガスが、前記貯蔵コンテナにおける1つまたは複数の孔内を循環される、請求項1から7のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項9】
温度制御された流体がダクト内を循環される、請求項1から8のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項10】
ダクトが、前記グリッドの前記壁を貫通して延びている、請求項1から9のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項11】
前記ガスは空気である、請求項1から10のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項12】
前記ガスは冷却ガスである、請求項1から10のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項13】
1つまたは複数の側面に1つまたは複数の孔を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の貯蔵システムにおいて使用される貯蔵コンテナ。
【請求項14】
温度制御された流体を受け入れるためのダクトをさらに備える、請求項13に記載の貯蔵コンテナ。
【請求項15】
植物またはその他の生体の成長に使用される、請求項1から12のいずれか一項に記載の対象物ハンドリングシステムまたは貯蔵システム。
【請求項16】
前記ハンドリングシステム全体にわたる湿度および/または空気流が、前記システム全体にわたって温度制御された空気を循環させることによって制御される、請求項15に記載の対象物ハンドリングシステムまたは貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段積みグリッド状貯蔵システムに関し、詳細には、密に充填された貯蔵システムと、前記貯蔵システムの温度を調整し、調節し、制御し、維持する方法とに関する。
【0002】
本出願は、2015年6月3日に出願された英国特許出願第1509661.3号および2016年3月10日に出願された英国特許出願第1604096.6号の優先権を主張し、すべてのこれらの出願の内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
いくつかの商業的および工業的な活動は、多数の異なる製品の貯蔵と取出しとを可能にするシステムを必要とする。複数の製品ラインにおける品目を貯蔵し取り出すための1つの公知の種類のシステムは、貯蔵ケースまたは貯蔵コンテナをスタック状に積み重ねて配置し、各スタックは列状に並べられることを含む。貯蔵ケースまたは貯蔵コンテナは上方から接触され、したがって、各列の間の通路が不要になり、所与の空間により多くのコンテナが貯蔵されることが可能になる。
【0004】
列状に積み重ねられたコンテナの取扱い方法は数十年も前から公知である。たとえば、Bertelの米国特許第2701065号に記載されたようないくつかのそのようなシステムは、コンテナを貯蔵し、しかも必要に応じて特定のコンテナに接触できるようにすることに関連して貯蔵規模を縮小するために列状に配置され支えなしで積み重ねられたコンテナを備える。特定のコンテナに接触することは、所与のコンテナを積み重ね各スタックから取り出すために使用され得る比較的複雑な巻上機構を設けることによって可能になる。しかし、そのようなシステムのコストは多くの状況において実際的なものではなく、そのようなシステムとしては、主として大形の出荷コンテナの貯蔵および取扱い用のシステムが市販されている。
【0005】
支えなしで積み重ねられたコンテナを使用し、特定のコンテナを取り出し貯蔵するための機構を設ける概念は、たとえば、Cimcorpの欧州特許第0767113号に記載されたように、さらに発展されている。’113号は、各コンテナのスタックの周りに下ろされ、スタックにおける任意のレベルでコンテナを把持することができるように構成された、矩形のチューブの形をしたロボット型ロードハンドラを使用して複数の積み重ねられたコンテナを取り出すための機構を開示している。このようにして、いくつかのコンテナはスタックから一度に持ち上げられることが可能である。この可動チューブは、1つのスタックの最上部から別のスタックの最上部へ複数のコンテナを移動させるか、あるいはコンテナをあるスタックから外部位置へ移動させるかまたは外部位置からあるスタックに移動させるために使用され得る。このようなシステムは、単一のスタックにおけるすべてのコンテナが同じ製品を含む場合(単一製品スタックと呼ばれる)に特に有用である場合がある。
【0006】
’113号に記載されたシステムでは、チューブの高さが少なくともコンテナの最大スタックの高さと同程度である必要があり、それによって、最も高いスタックのコンテナは1回の動作で取り出され得る。したがって、倉庫などの密閉された空間において使用される際、ロードハンドラのチューブを収容する必要があるので各スタックの最大高さが制限される。
【0007】
内容が参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許第1037828号(Autostore)は、コンテナの各スタックがフレーム構造内に配置されるシステムについて説明している。この種のシステムは、添付の図面のうちの
図1~
図4に概略的に示されている。ロボット型ロードハンドリングデバイスは、スタックの最上面上の軌道システム上においてスタックの周りを制御可能に移動させられ得る。
【0008】
上述の従来技術のシステムの欠点は、密に充填された各スタック内の温度を正確に調節することが困難であることである。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、作業空間の上方にグリッドを形成するレールの2つの実質的に垂直な組を備える対象物ハンドリングシステムであって、作業空間が、複数の積み重ねられたコンテナを備え、ハンドリングシステムが、作業空間の上方のグリッド上で動作する複数のロボット型ロードハンドリングデバイスをさらに備え、ロードハンドリングデバイスが、車輪上に取り付けられた本体を備え、車輪の第1の組が、レールの第1の組の少なくとも2つのレールに係合するように配置され、車輪の第2の組が、レールの第2の組の少なくとも2つのレールに係合するように配置され、動作時に、任意のある時点で車輪の1つの組のみがグリッドに係合され、それにより、レールに係合された車輪の組のみを駆動することによってロードハンドリングデバイスをレールに沿ってグリッド上の任意の点まで移動させることが可能になるように、車輪の第1の組が、車輪の第2の組に対して独立に移動可能でありかつ駆動可能であり、システムが、温度制御されたガスを発生させるための1つもしくは複数のヒータおよび/または1つもしくは複数のチラーと、温度制御されたガスを貯蔵システム内に循環させるための1つまたは複数のファンと、温度制御されたガスを受け入れるためのプレナムとをさらに備える、対象物ハンドリングシステムが提供される。
【0010】
好ましい態様では、プレナムは、各貯蔵スタックのグリッドの側面に隣接する開口部を有する。
【0011】
好ましい態様では、使用時に、貯蔵システムは、貯蔵システム内に温度制御されたガスの溜まりを生成する。
【0012】
好ましい態様では、温度制御されたガスの溜まりは、各貯蔵スタックの上方に形成される。
【0013】
好ましい態様では、温度制御されたガスは、貯蔵コンテナスタックの周り、下方、上方、または内部を循環する。
【0014】
好ましい態様では、貯蔵システムの温度は、-30℃~+30℃の範囲で変化させられてもよい。
【0015】
好ましい態様では、貯蔵システムの温度は、±2.5℃の範囲内で制御され得る。
【0016】
好ましい態様では、温度制御されたガスが、貯蔵コンテナにおける1つまたは複数の孔内を循環される。
【0017】
好ましい態様では、温度制御された流体がダクト内を循環される。
【0018】
好ましい態様では、ダクトは、グリッドの壁および直立部材および枠組み構造を貫通して延びている。
【0019】
好ましい態様では、ガスは空気である。
【0020】
好ましい態様では、ガスは冷却ガスである。
【0021】
さらなる態様では、本発明は、1つまたは複数の側面に1つまたは複数の孔を有する貯蔵コンテナに関する。
【0022】
好ましい態様では、貯蔵コンテナは、温度制御された流体を受け入れるためのダクトをさらに備える。
【0023】
このように、本発明は、従来技術の問題を解消し、段積みグリッド状貯蔵システム内の温度を正確に維持し変化させることのできる貯蔵システムを提供する。
【0024】
次に、本発明について、添付の概略図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】公知の貯蔵システムにおける積み重ねられた複数のケースのスタックを収容するためのフレーム構造の概略斜視図。
【
図3a-c】
図3aは、
図1および
図2のフレーム構造とともに使用されるロボット型ロードハンドリングデバイスの一形態の、背面から見た概略斜視図であり、
図3bは、
図1および
図2のフレーム構造とともに使用されるロボット型ロードハンドリングデバイスの一形態の、正面から見た概略斜視図であり、
図3cは、使用時にケースを持ち上げる公知のロードハンドラデバイスの概略斜視図。
【
図4】ロボット型サービスデバイスとともに、
図1および
図2のフレーム構造上に設置された
図3a、
図3b、および
図3cに示された種類の複数のロードハンドラデバイスを備える公知の貯蔵システムの概略斜視図。
【
図5a】本発明の貯蔵システムの主要構成部材を形成するコンテナの一形態の概略斜視図。
【
図5b】本発明の貯蔵システムの主要構成部材を形成するコンテナの一形態の概略斜視図。
【
図6a】前記貯蔵システム内の空気の動きを示す複数のスタックを備える本発明による貯蔵システムの一実施形態の側面図。
【
図6b】前記貯蔵システム内の空気の動きを示す複数のスタックを備える本発明による貯蔵システムの第2の実施形態の側面図。
【
図7a】グリッド内のスタック、チラーユニット12、およびファン10の配置を示す
図6aに示された貯蔵システムの概略斜視図。
【
図7b】プレナムを示す
図6aに示された貯蔵システムの概略斜視図。
【
図8】プレナム14よりも後方に配置されたチラー12を示す貯蔵システムの代替実施形態の側面図。
【
図9】プレナム14の垂直側面上に配置されたファン10を示す貯蔵システムの代替実施形態の側面図。
【
図11】プレナムがグリッド状貯蔵システムの縁部にどのように追従するかを示す、スタックが異なる幅を有する貯蔵システムの代替実施形態の平面図。
【
図12】スタックからなるグリッド内にいくつかの空の列24が位置する貯蔵システムの別の実施形態の側面図。
【
図13】空気がシステム内を通してスタックの下方の空間に引き込まれる状態を示す、スタックが床から上に持ち上げられた貯蔵システムの別の実施形態の側面図。
【
図14】垂直ダクト30および水平ダクト28内の空気の動きを示す、地表面32よりも上に位置する中2階床上の貯蔵システムの別の実施形態の側面図である。
【
図15a】より大きい空気流を生成するために追加のより大きい孔34を有する貯蔵コンテナが各スタックの最下部に使用される貯蔵システムの別の実施形態の概略斜視図である。
【
図15b】より大きい空気流を生成するために追加のより大きい孔34を有する貯蔵コンテナが各スタックの最下部に使用される貯蔵システムの別の実施形態の概略斜視図である。
【
図16a】空気流を増大させるためにダクト36が貯蔵コンテナ内を延びている貯蔵システムの別の実施形態の概略斜視図である。
【
図16b】空気流を増大させるためにダクト36が貯蔵コンテナ内を延びている貯蔵システムの別の実施形態の概略斜視図である。
【
図17a】貯蔵スタック間の空気循環を補助するためにグリッドの壁にチューブ40が設けられた貯蔵システムの別の実施形態の概略斜視図である。
【
図17b】貯蔵スタック間の空気循環を補助するためにグリッドの壁にチューブ40が設けられた貯蔵システムの別の実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において使用されるプレナムという用語は、加熱されるかまたは冷却された空気を受け入れるための空間またはチャンバである。
【0027】
図1および
図2に示されているように、ケース10と呼ばれる段積み可能なコンテナが、スタック12を形成するように互いに積み重ねられる。スタック12は、倉庫保管環境または製造環境においてグリッドフレーム構造14として配置される。
図1は、フレーム構造14の概略斜視図であり、
図2は、フレーム構造14内に配置されたケース10の単一のスタック12を示す平面図である。各ケース10は一般に、複数の品目(図示せず)を保持し、ケース10内の品目は同一であってもよく、または用途に応じた異なる製品タイプの品目であってもよい。
【0028】
フレーム構造14は、水平部材18、20を支持する複数の直立部材16を備える。互いに平行な水平部材18の第1の組は、直立部材16によって支持される複数の水平グリッド構造を形成するように互いに平行な水平部材20の第2の組に対して垂直に配置される。部材16、18、20は一般に金属から製造される。ケース10は、フレーム構造14の部材16、18、20間に積み重ねられ、それによって、フレーム構造14は、ケース10のスタック12が水平方向に移動するのを防止し、かつケース10の水平方向の移動を案内する。
【0029】
フレーム構造14の最上部は、スタック12の最上部全体にわたってグリッド状に配置されたレール22を含む。さらに
図3および
図4を参照するとわかるように、レール22は、複数のロボット型ロードハンドリングデバイス30を支持する。互いに平行なレール22の第1の組22aは、フレーム構造14の最上部全体にわたる第1の方向(X)へのロードハンドリングデバイス30の移動を案内し、互いに平行なレール22の第2の組22bは、第1の組22aに対して垂直に配置され、第1の方向に垂直な第2の方向(Y)へのロードハンドリングデバイス30の移動を案内する。このようにして、レール22は、X-Y平面における2つの次元でのロードハンドリングデバイス30の移動を可能にし、それによって、ロードハンドリングデバイスは、任意のスタック12の上方の位置に移動され得る。
【0030】
各ロードハンドリングデバイス30は、スタック12の上方においてフレーム構造14のレール22上をX方向およびY方向に走行するように配置された車両32を備える。車輪34の第1の組は、車両32の前部の車輪34の対と車両32の後方の車輪34の対とからなり、レール22の第1の組22aの2つの隣接するレールに係合するように配置される。同様に、車輪36の第2の組は、車両32の各側面上の車輪36の対からなり、レール22の第2の組22bの2つの隣接するレールに係合するように配置される。車輪34、36の各組は、任意のある時点で車輪34の第1の組または車輪36の第2の組のいずれかがレール22a、22bのそれぞれの組に係合されるように持ち上げられたり下ろされたりし得る。
【0031】
車輪34の第1の組がレール22aの第1の組に係合され、車輪36の第2の組がレール22から離れるように持ち上げられると、車輪34が、ロードハンドリングデバイス30をX方向に移動させるように車両32内に収容された駆動機構(図示せず)を介して駆動され得るようになる。ロードハンドリングデバイス30をY方向に移動させる場合、車輪34の第1の組がレール22から離れるように持ち上げられ、車輪36の第2の組が下ろされてレール22aの第2の組に係合される。次いで駆動機構が、Y方向の移動を実現するように車輪36の第2の組を駆動するために使用され得る。
【0032】
このようにして、1つまたは複数のロボット型ロードハンドリングデバイス30は、中央ピッキングシステム(図示せず)の制御下でフレーム構造14上のスタック12の最上面を移動することができる。各ロボット型ロードハンドリングデバイス30は、必要な製品に接触するためにスタックから1つまたは複数のケースまたはコンテナを持ち上げるための手段を備える。このようにして、任意のある時点でグリッドおよび各スタック内の複数の位置から複数の製品が接触され得る。
【0033】
図面を参照することによって上記の説明から、車輪によって支持されるロードハンドリングデバイス30の部分が、スタックの上方のグリッドシステムの1つのグリッド間隔をカバーすることに留意されたい。
【0034】
図4は、スタック12上で動作する複数のロードハンドリングデバイス30を有する、上述のような一般的な貯蔵システムを示す。
【0035】
図5を参照するとわかるように、本発明の貯蔵システムは、貯蔵スタック12を形成するように互いに積み重ねられた一連の貯蔵ケースまたは貯蔵コンテナ1を備える。
【0036】
図5に示されているように、各貯蔵コンテナは、空気が貯蔵コンテナ内を自由に循環するのを可能にするように1つまたは複数の側面に1つまたは複数の孔50を有してもよい。このコンテナは、形状およびサイズが異なってもよい。
【0037】
各孔は、貯蔵コンテナの強度または構造一体性を損なわないような形状およびサイズを有する。好ましくは、コンテナ内の空気流を可能にするために、貯蔵コンテナの側面の表面積のうちの5%から20%の間が孔の形で開放しているべきである。各孔は、コンテナの2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの側面に設けられてもよい。
【0038】
図6aに示されているように、高密度グリッド状貯蔵システムを形成するように、複数のスタックがグリッド状フレーム構造8内に配置される。
【0039】
1つまたは複数のチラーユニット12が、貯蔵スタックの上方に位置し、貯蔵スタックの上方に冷却された空気の溜まり6を形成する。
図6aおよび
図6bにおける矢印によって示されているように、冷却された空気は、貯蔵スタックの間、周り、および内部を移動してプレナム14に進入する。
【0040】
プレナム14は、高さ20および幅22の流路を備える。プレナム14の幅22は、1m~4mの範囲であってもよい。プレナムの高さ20は、貯蔵システムと同じ高さから貯蔵システムの最上部から2m下までの範囲であってもよい。
【0041】
プレナムは、3つの側面が密封される。プレナムは、貯蔵スタックに隣接する開口部を有する。
【0042】
図7aおよび
図7bに示されているように、プレナム14は、スタックからなるグリッドの1つまたは複数の側面に沿って位置する。
【0043】
1つまたは複数のファン10が、
図6に示されているようにプレナム14の最上部に位置するかまたは
図9に示されているようにプレナムの垂直面上に位置する。
【0044】
1つまたは複数のファン10は、溜まり6からの冷却された空気を貯蔵スタックの周りおよび間にプレナム14へと循環させるのを補助する。
【0045】
冷却された空気は、貯蔵システム内を循環する際に、貯蔵スタックおよびその内容物の温度を調整する。
【0046】
チラーユニット12は、
図6に示されているようにプレナムの真上に直接位置され得るか、または
図8に示されているようにプレナムよりも後方に配置され得る。重要な要件は、冷却された空気の溜まり6が貯蔵システムの上方に生成されることである。
【0047】
チラーユニットの数、サイズ、および位置は、貯蔵システムのサイズに応じて異なる。
【0048】
貯蔵システム18の幅は、15m~80mの範囲であってもよいが、必要な機器に適切な調整を施すことによって貯蔵システムの任意の幅が構想されてもよいことが諒解されよう。
【0049】
貯蔵システムの長さ21には上限がない。所望のレベルの温度制御を実現するために、複数のプレナム、ファン、およびチラーが貯蔵システムの全長に沿って等間隔を置いて位置させられ得る。
【0050】
システムの高さ25は、7.8mまでであってもよい。
【0051】
ファン10の電力および数は、システムのサイズによって決まり、ファンの直径は0.5m~2.5mの範囲である。
【0052】
代替実施形態では、チラー12は、加熱された空気の溜まり6を形成するヒータによって置き換えられてもよい。
【0053】
代替実施形態では、チラーユニットはヒータユニットによって補完されてもよい。その場合、溜まり6は、温度制御された空気の溜まりの1つである。
【0054】
代替実施形態では、溜まり6は、貯蔵スタックの下方に形成されてもよい。
【0055】
代替実施形態では、温度調節の補助を向上させるために、空気以外のガス、たとえば、冷却ガスが貯蔵システム内で循環されてもよい。
【0056】
代替実施形態では、チラー12は、貯蔵スタックの上方に加熱された空気の溜まりを形成するヒータによって置き換えられてもよい。
【0057】
貯蔵システムの温度は、±2.5℃の範囲内で制御され得る。
【0058】
貯蔵システム内の温度は、-30℃~+30℃の範囲で変化させられてもよい。
【0059】
図11を参照すると、これは、グリッド状貯蔵システム内のスタックが異なる幅を有する、本発明の貯蔵システムの代替実施形態の平面図である。プレナムは、グリッドの幅が変化したときでも貯蔵システムグリッドの縁部に追従する。
【0060】
プレナムは、一様な連続した直線状の流路を有効にする必要はない。
【0061】
図12は、スタックからなるグリッド内において1つまたは複数の列24が省略される代替構成を示す。これらの空の列24は、低温の溜まり内空気の一部が貯蔵システム内を下降するのを可能にし、したがって、コンテナのスタック内のさらなる空気流を推進する。空の列の幅は、0.5m~2mの範囲であってもよい。場合によっては、空の列が空の貯蔵コンテナまたは充填された貯蔵コンテナで部分的に充填され得る
図13は、床30から上に持ち上げられたシステムを示す。この実施形態では、スタックの温度を調節するために、空気がスタックの間、およびスタックの下方の周りを循環される。
【0062】
図14は、地表面32から上に持ち上げられた中2階床上の貯蔵システムを示す。空気は溜まりからスタック内を通過して、中2階床に位置する垂直ダクト30および水平ダクト28まで移動する。ダクトは、空気をスタックの下方に導くとともにプレナムの方へ導く。
【0063】
図15は、各スタックの最下部において異なる設計の貯蔵コンテナが使用される場合を示す。コンテナは、より大きい空気流を可能にするように追加のより大きい孔34をその中に有するが、それにもかかわらず互いに積み重ねられた貯蔵コンテナを支持することができるのに十分な強度を有する。
【0064】
図16を参照するとわかるように、代替実施形態では、1つまたは複数のスタックの最下部の貯蔵コンテナは、溜まり6からの温度制御されたガスまたは他の場所からの温度制御された流体の循環をさらに補助するためにコンテナ内を延びるダクト36を備える。
【0065】
図17を参照するとわかるように、代替構成では、貯蔵スタック全体にわたる温度変動を低減させるように溜まり6からの温度制御されたガスまたは他の場所からの温度制御された流体の循環をさらに補助するために、チューブ40がグリッドの壁8に設けられる。チューブ40は、流体を貯蔵システムに引き込むかまたは貯蔵システムから押し出すために使用され得る。
【0066】
さらに、温度制御された空気は、貯蔵システムの直立部材および枠組み14構造内のダクトまたは穴およびキャビティを通してさらに方向が定められ循環されてもよい。
【0067】
前述の実施形態が、オンライン小売業の一部として使用されるような貯蔵システム用の温度制御システムに関して記載されていることが諒解されよう。しかし、温度制御システムの同様の形態が、他の用途に使用される貯蔵システムの同様の構造に使用されてもよいことが諒解されよう。たとえば、コンテナ10が、制御された条件下で成長する植物またはその他の生体を含む、機械化された温室用にそのような貯蔵システムを使用することが構想されている。そのようなシステムでは、温度の制御が重要である場合があるが、さらに湿度、空気流、およびその他の環境変数を制御することも必要になる場合がある。前述に記述された温度制御システムの使用には、有利なことに湿度、空気流などの制御を補助する場合があることが諒解されよう。
【0068】
植物およびその他の生体の成長が、前記植物または生体全体にわたって空気流の影響を強く受けていることがわかっている。したがって、空気流に基づく温度制御システムを使用すると、そのような用途において有利である場合がある。
【0069】
添付の特許請求の範囲において定義された本発明の範囲から逸脱せずに、明示的に以上において記載されていない多くの変形形態および修正形態を実施することも可能である。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間の上方にグリッドを形成するレールの2つの実質的に垂直な組を備える貯蔵システムであって、中二階床上の前記作業空間が、複数の積み重ねられたコンテナを備え、
前記貯蔵システムが、前記作業空間の上方の前記グリッド上で動作する複数のロボット型のロードハンドリングデバイスをさらに備え、
前記ロードハンドリングデバイスが、車輪上に取り付けられた本体を備え、車輪の第1の組が、前記レールの第1の組の少なくとも2つのレールに係合するように配置され、車輪の第2の組が、前記レールの第2の組の少なくとも2つのレールに係合するように配置され、動作時に、任意のある時点で車輪の1つの組のみが前記グリッドに係合され、それにより、前記レールに係合された前記車輪の前記1つの組のみを駆動することによって前記ロードハンドリングデバイスを前記レールに沿って前記グリッド上の任意の点まで移動させることが可能になるように、前記車輪の前記第1の組が前記車輪の前記第2の組に対して独立に移動可能であり、かつ駆動可能であり、
前記貯蔵システムが、温度制御されたガスを発生させるための1つもしくは複数のヒータおよび/または1つもしくは複数のチラーと、前記温度制御されたガスを前記貯蔵システム内に循環させるための1つまたは複数のファンと、前記温度制御されたガスを受け入れるためのプレナムと、ダクト設備と、をさらに備え、
前記ダクト設備は、前記作業空間の下で前記プレナムに向かって前記温度制御されたガスを導くために、前記作業空間から前記中二階床を通って延びる1つ以上の実質的に垂直なダクトと、前記中二階床の下に位置し、前記1つ以上の実質的に垂直なダクトに接続された1つ以上の実質的に水平なダクトと、を備える、貯蔵システム。
【請求項2】
使用時に、前記貯蔵システム内に温度制御されたガスの溜まりを生成する、請求項1に記載の貯蔵システム。
【請求項3】
前記温度制御されたガスの前記溜まりは、貯蔵スタックの上方に形成される、請求項2に記載の貯蔵システム。
【請求項4】
前記温度制御されたガスは、貯蔵コンテナスタックの周り、下方、上方、または内部を循環する、請求項2または3に記載の貯蔵システム。
【請求項5】
前記貯蔵システムの温度は、-30℃~+30℃の範囲で変化させられてもよい、請求項1から4のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項6】
前記貯蔵システムの温度は、±2.5℃の範囲内で制御され得る、請求項1から5のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項7】
温度制御されたガスが、貯蔵コンテナにおける1つまたは複数の孔内を循環される、請求項1から6のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項8】
温度制御された流体がダクト内を循環される、請求項1から7のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項9】
前記ダクトが、前記グリッドの壁を貫通して延びている、請求項1から8のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項10】
前記ガスは空気又は冷却ガスである、請求項1から9のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項11】
1つまたは複数の側面に1つまたは複数の孔を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の貯蔵システムにおいて使用される貯蔵コンテナ。
【請求項12】
温度制御された流体を受け入れるためのダクトをさらに備える、請求項11に記載の貯蔵コンテナ。
【請求項13】
植物またはその他の生体の成長に使用される、請求項1から10のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項14】
前記貯蔵システム全体にわたる湿度および/または空気流が、前記貯蔵システム全体にわたって温度制御された空気を循環させることによって制御される、請求項13に記載の貯蔵システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
添付の特許請求の範囲において定義された本発明の範囲から逸脱せずに、明示的に以上において記載されていない多くの変形形態および修正形態を実施することも可能である。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 作業空間の上方にグリッドを形成するレールの2つの実質的に垂直な組を備える対象物ハンドリングシステムであって、前記作業空間が、複数の積み重ねられたコンテナを備え、前記ハンドリングシステムが、前記作業空間の上方の前記グリッド上で動作する複数のロボット型のロードハンドリングデバイスをさらに備え、前記ロードハンドリングデバイスが、車輪上に取り付けられた本体を備え、車輪の第1の組が、前記レールの第1の組の少なくとも2つのレールに係合するように配置され、車輪の第2の組が、前記レールの第2の組の少なくとも2つのレールに係合するように配置され、動作時に、任意のある時点で車輪の1つの組のみが前記グリッドに係合され、それにより、前記レールに係合された前記車輪の前記1つの組のみを駆動することによって前記ロードハンドリングデバイスを前記レールに沿って前記グリッド上の任意の点まで移動させることが可能になるように、前記車輪の前記第1の組が、前記車輪の前記第2の組に対して独立に移動可能でありかつ駆動可能であり、
前記ハンドリングシステムが、温度制御されたガスを発生させるための1つもしくは複数のヒータおよび/または1つもしくは複数のチラーと、前記温度制御されたガスを前記貯蔵システム内に循環させるための1つまたは複数のファンと、前記温度制御されたガスを受け入れるためのプレナムとをさらに備える、対象物ハンドリングシステム。
[2] 前記プレナムは、貯蔵スタックの前記グリッドの側面に隣接する開口部を有する、[1]に記載の貯蔵システム。
[3] 使用時に、前記貯蔵システム内に温度制御されたガスの溜まりを生成する、[1]または[2]に記載の貯蔵システム。
[4] 前記温度制御されたガスの前記溜まりは、前記貯蔵スタックの上方に形成される、[3]に記載の貯蔵システム。
[5] 前記温度制御されたガスは、前記貯蔵コンテナスタックの周り、下方、上方、または内部を循環する、[3]または[4]に記載の貯蔵システム。
[6] 前記貯蔵システムの温度は、-30℃~+30℃の範囲で変化させられてもよい、[1]から[5]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[7] 前記貯蔵システムの温度は、±2.5℃の範囲内で制御され得る、[1]から[6]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[8] 温度制御されたガスが、前記貯蔵コンテナにおける1つまたは複数の孔内を循環される、[1]から[7]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[9] 温度制御された流体がダクト内を循環される、[1]から[8]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[10] ダクトが、前記グリッドの前記壁を貫通して延びている、[1]から[9]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[11] 前記ガスは空気である、[1]から[10]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[12] 前記ガスは冷却ガスである、[1]から[10]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[13] 1つまたは複数の側面に1つまたは複数の孔を有する、[1]から[12]のいずれか一項に記載の貯蔵システムにおいて使用される貯蔵コンテナ。
[14] 温度制御された流体を受け入れるためのダクトをさらに備える、[13]に記載の貯蔵コンテナ。
[15] 植物またはその他の生体の成長に使用される、[1]から[12]のいずれか一項に記載の対象物ハンドリングシステムまたは貯蔵システム。
[16] 前記ハンドリングシステム全体にわたる湿度および/または空気流が、前記システム全体にわたって温度制御された空気を循環させることによって制御される、[15]に記載の対象物ハンドリングシステムまたは貯蔵システム。
【外国語明細書】