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特開2022-33944複数のステープルサイズを有するカートリッジを含む外科用ステープル留め器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033944
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】複数のステープルサイズを有するカートリッジを含む外科用ステープル留め器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20220222BHJP
   A61B 17/072 20060101ALI20220222BHJP
   A61B 17/064 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
A61B17/115
A61B17/072
A61B17/064
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200138
(22)【出願日】2021-12-09
(62)【分割の表示】P 2020073838の分割
【原出願日】2007-05-16
(31)【優先権主張番号】11/436,222
(32)【優先日】2006-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501289751
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー ホルステン
(72)【発明者】
【氏名】フランク ジェイ. ビオラ
(72)【発明者】
【氏名】クリフォード エル. エモンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ダブリュー. ビアーズレー
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ハインリッヒ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組織を切開または吻合を行う際に、吻合強度と止血の程度との間の適正なバランスを達成する外科用ステープル留め装置を提供する。
【解決手段】外科用ステープル留め装置のためのステープルカートリッジ118であって、第1の壁および第2の壁を有する本体部分、および水平面を有する組織接触面121a~cを備え、この水平面は組織接触面121a~cを通って延び、そして上記本体部分を通って延びる垂直軸に実質的に横方向であり、ここで、この組織接触面上の点およびこの水平面の点がそれらの間のギャップを規定し、このギャップは、ギャップの寸法を規定する点が垂直軸に対して横方向に移動するときに変化するステープルカートリッジ118。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年8月15日に出願された同時係属中の米国特許出願番号第11/204、060号の一部継続出願であり、その全体の内容は、本明細書中に参考として本明細書によって援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
1.技術分野
本開示は、外科用ステープル留め器具、そしてより詳細には、複数のステープルサイズを有するカートリッジを含む外科用ステープル留め器具に関する。
2.関連技術の背景
端と端とを接した吻合、胃腸管吻合、内視鏡胃腸管吻合、および横断吻合のような種々の手順における使用のために特別に適合されたいくつかの公知のタイプの外科用ステープル留めデバイスがある。これらの種々の手順のためのステープル留め器具の例は、特許文献1;特許文献2;特許文献3;および特許文献4に見出され得る。
【0003】
各々の外科用ステープル留め器具は、ステープルカートリッジに対して接近されるアンビルを含む。このステープルカートリッジは、代表的には、特定のステープル留め器具に依存して、ステープルの側方に間隔を置かれた1つ以上の列を有し、直線状または非直線状形態で配列され得る。上記アンビルは、カートリッジ中でステープルのステープルスロットと整列および/または位置決めされるステープル成形窪みを含む。使用において、外科用ステープル留め器具の各々は、固定されるべき組織を握ること、個々のステープルを射出すること、この握られた組織を通ってステープルを押すこと、およびアンビルのステープル成形窪みに対してこれらステープルを閉鎖および/または成形することに関与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,915,616号明細書
【特許文献2】米国特許第6,202,914号明細書
【特許文献3】米国特許第5,865,361号明細書
【特許文献4】米国特許第5,964,394号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に開示される外科用ステープル留め器具の任意の1つを採用して、組織を横切開すること、および/または吻合手順における共通の問題は、吻合の強度と達成可能な止血との間のバランスである。アンビルとステープルカートリッジとの間の一定のギャップ(すなわち、一定の距離)を有する外科用ステープル留め装置において、異なるサイズのステープルを含むことが知られている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
本開示は、組織界面における吻合強度と止血の程度との間の改良されたバランスを達成するような形態の外科用ステープル留め器具に関する。特に、本開示の実施形態は、異なるサイズの外科用ファスナーを含む。さらになお、アンビル部材とステープルカートリッジとの間の距離(すなわち、ギャップ)は、ステープルカートリッジの中央線からステープルカートリッジの外側エッジまで変動する。好ましくは、このギャップは、上記中央線におけるギャップと比較して上記カートリッジの外側エッジでより大きい。これは、ステープルカートリッジおよび/またはアンビル部材のいずれかの輪郭(すなわち、プロフィール)を変動することによって達成され得る。異なるサイズの外科用ファスナーを、アンビル部材とステープルカートリッジとの間の変動するギャップと組み合わせることは、組織界面における吻合強度および止血の程度を改良する。
【0007】
本開示の1つの局面によれば、外科用ステープル留め器具は、それと作動可能に連結されるアンビル部材を有して規定する第1の構造、およびそれと作動可能に連結されるステープルカートリッジを規定する第2の構造を含む。このステープルカートリッジは、階段状の断面プロフィールを備えた組織接触表面を有する。このステープルカートリッジの組織接触表面はまた、外科用ファスナーを保持するためにその中に形成された複数の保持スロットを含む。この外科用ステープル留め器具の作動の間に、アンビル部材とステープルカートリッジは、互いに対して接近され得る。
【0008】
上記ステープルカートリッジの階段状の組織接触表面は、各々が異なる高さを有する複数の組織接触表面を規定する。1つの実施形態では、上記カートリッジの階段状組織接触表面は、所定高さを有する内側組織接触表面、この内側組織接触表面の高さより低い高さを有する中間組織接触表面、およびこの中間組織接触表面の高さより低い高さを有する外側組織接触表面を含む。
【0009】
この内側、中間、および外側組織接触表面の各々は、その中に形成された保持スロットの少なくとも1つの列を含む。複数の外科用ファスナーが、各保持スロット中に、各1つ配置される。各外科用ファスナーは、バックスパンおよび一対の下向き脚を含む。
【0010】
上記内側組織接触表面中に形成される保持スロット中に保持される外科用ファスナーは第1の脚長さを有し、上記中間組織接触表面中に形成される保持スロット中に保持される外科用ファスナーは第2の脚長さを有し、そして上記外側組織接触表面中に形成される保持スロット中に保持される外科用ファスナーは第3の脚長さを有する。1つの実施形態では、上記内側組織接触表面中に形成される保持スロット中に保持される外科用ファスナーは約2.3mm、その一方、上記中間組織接触表面中に形成される保持スロット中に保持される外科用ファスナーは約3.5mmの長さを有し、そして上記外側組織接触表面中に形成される保持スロット中に保持される外科用ファスナーは約4.1mmの長さを有する。
【0011】
上記外科用ステープル留め器具は円形タイプ外科用ステープル留め器具であり得ることが想定され、ここで、上記アンビル部材および上記ステープルカートリッジは環状であり得る。1つの実施形態では、上記複数の組織接触表面は、半径方向の外方方向に高さが減少する。従って、内側組織接触表面は中央に最も近く、そして外側組織接触表面は、環状ステープルカートリッジの中央から最も遠い。さらに、相対的に短い脚長さを有する外科用ファスナーは、上記環状ステープルカートリッジの中央に最も近い保持スロット中に保持され、その一方、相対的により長い脚長さを有する外科用ファスナーは、上記環状ステープルカートリッジの中心から最も遠い保持スロット中に保持される。
【0012】
上記外科用ステープル留め器具は、アンビル部材およびステープルカートリッジが直線状である直線タイプ外科用ステープル留め器具であり得ることがさらに想定される。これらの器具では、ステープルカートリッジおよび/またはアンビル部材は、ナイフ切断線を規定し得る。従って、上記複数の組織接触表面は、このナイフ切断線から外方に直交する方向に高さが減少する。特に、内側組織接触表面は、このナイフ切断線に最も近く、その一方、外側組織接触表面は、ナイフ切断線から最も遠い。さらに、相対的に短い脚長さを有する外科用ファスナーは、上記ナイフ切断線に最も近い保持スロット中に保持され、その一方、相対的により長い脚長さを有する外科用ファスナーは、上記ナイフ切断線から最も遠い保持スロット中に保持される。
【0013】
上記アンビル部材は、複数の組織接触表面を含む階段状の断面プロフィールを備えた組織接触表面を有し得ることが想定され、ここで、各組織接触面は異なる高さを有する。さらに、この複数の組織接触表面の各々1つは、その中に形成された少なくとも1つの環状および/または直線状の列の外科用ファスナー成形窪みを含み得る。
【0014】
1つの実施形態では、上記アンビル部材は、上記ステープルカートリッジの階段状組織接触表面を相補するような形状(すなわち、階段状)である組織接触表面を有し得る。別の実施形態では、上記アンビル部材は階段状である組織接触表面を有し得、その一方、上記ステープルカートリッジの組織接触表面は実質的に平面である。なお別の実施形態では、上記アンビル部材は、上記ステープルカートリッジの階段状組織接触表面を実質的に相補するような形状である組織接触表面を有し得る(すなわち、階段状アンビル部材の組織接触表面の深さは、ステープルカートリッジの組織接触表面の個々の組織接触表面の高さに等しくない)。なお別の実施形態では、上記アンビル部材は、上記ステープルカートリッジの組織接触表面を写すように階段状である組織接触表面を有し得る(すなわち、上記アンビル部材の組織接触表面の個々の組織接触表面の深さは、上記ステープルカートリッジの個々の組織接触表面の深さに実質的に等しい)。
【0015】
本開示のその他の実施形態では、外科用ステープル留め器具は、その1つの端部に配置された作動ツールを含む。この作動ツールは、アンビル部材およびステープルカートリッジを含む。このステープルカートリッジは、使い捨て可能な外科用ステープル留め装置中、または再使用可能な外科用ステープル留め装置中に含まれ得る。さらになお、置換可能な装填ユニットが、この使い捨て可能または再使用可能な外科用ステープル留め装置のいずれか中に位置され得る。1つの実施形態では、この置換可能な装填ユニットはステープルカートリッジを含み、その一方、この置換可能な装填ユニットの代替の実施形態は、ステープルカートリッジおよびアンビル部材を含む。特に、このステープルカートリッジは、保持スロットの列中に配置された複数の外科用ファスナーを含む。この外科用ファスナーは異なる脚長さを有し得、ここで、実質的に同じ脚長さを有する複数の外科用ファスナーが列中に配置される。多くのファスナー射出部材がステープルカートリッジ中に配置され、ここで、各ファスナー射出部材は、作動機構と協働して上記外科用ファスナーを射出するための複数のステープルプッシャーを含む。このファスナー射出部材のステープルプッシーの各々は、アンビル部材のステープルポケットの形状、およびステープルカートリッジの保持スロットにほぼ対応する形状を有する。
【0016】
上記ステープルカートリッジは、このステープルカートリッジの中央線でピークとなり、そしてこのステープルカートリッジの外壁に向かってテーパー状になる角度をなす組織接触表面を含み得る。あるいは、ステープルカートリッジの組織接触表面は、このステープルカートリッジの底表面と平行であるか、または選択された列中に配置された外科用ファスナーのバックスパンによって規定される平面に平行である表面を有し得る。この組織接触表面の平行表面は、外科用ファスナーの少なくとも1つの列を収容するに十分である幅寸法を有する。このステープルカートリッジは、ナイフチャネルを含み得る。
【0017】
現在開示されるステープルカートリッジと協働して、上記アンビル部材は、ステープルカートリッジの底表面と実質的に平行であるか、または選択された列中に配置される外科用ファスナーのバックスパンによって規定される平面に平行である平面状組織接触表面を含み得る。代替例では、上記アンビル部材の組織接触表面は、上記ステープルカートリッジの組織接触表面の角度と対向する様式で角度をなし得る。さらになお、上記アンビル部材の組織接触表面は、ステープルカートリッジの底表面に実質的に平行であるか、または選択された列中に配置された外科用ファスナーのバックスパンによって規定される平面および上記ステープルカートリッジの組織接触表面によって規定される角度と対向する角度を規定するテーパー状平面に平行である平面状表面を有し得る。上記アンビル部材のこれら平行の表面は、上記ステープルカートリッジの平行表面の幅寸法に対応する幅寸法を有する。
【0018】
上記外科用ステープル留め装置の1つの実施形態は、組織の固定された層の補足的シールのための構造を含むことがさらに企図される。1つの実施形態では、上記外科用ステープル留め装置は、リザーバーおよび供給ラインを有する創傷閉鎖アセンブリを含む。このリザーバーは、所定量の創傷閉鎖材料を貯蔵するために適合され、そして上記複数の保持スロットに所定量の創傷閉鎖材料を送達するために上記供給ラインを経由して上記ステープルカートリッジに流体的に連結されている。
【0019】
現在開示される外科用ステープル留め装置のなお別の実施形態では、上記ステープルカートリッジは、このステープルカートリッジの中央線に近接する平面状表面、およびこの平面状表面に隣接する弓状平面を含み得る。この弓状平面は、上記中央線から外方に、そしてこのステープルカートリッジのベースに対して凹状形態を規定するステープルカートリッジのベースに向かって下方に延びる。これら表面の各々は、保持スロットの少なくとも1つの列を含み、そして組織接触表面を規定する。さらに、ステープルカートリッジのこの実施形態は、複数のファスナー射出部材および複数の外科用ファスナーを含む。未発射の外科用ファスナーの先端部は、これら弓状および平面状平面の下に位置決めされ得るか、または保持スロット中に延び得、ここで、これら先端部は、組織接触表面と実質的に同一平面上にある。ステープルカートリッジのこの実施形態は、このステープルカートリッジの組織接触表面と協働する平面状組織接触表面を有するアンビル部材と組み合わされ得、それらの間に組織の層を位置決め、そして完成した外科用ファスナーを形成する。あるいは、アンビル部材は、ステープルカートリッジの平面状表面、および反対方向にステープルカートリッジの弓状表面と同じ湾曲を有する湾曲表面に幅が対応する平面状表面を有し得る。このステープルカートリッジは、このステープルカートリッジの中央線に沿って位置決めされるナイフチャネルを含み得る。
【0020】
現在開示される外科用ステープル留め装置のさらなる実施形態では、このステープルカートリッジは、第1および第2の平面状表面を含み得、ここで、各平面状表面は、保持スロットの少なくとも1つの列を含む。これら第1および第2の平面状表面は、ステープルカートリッジの底表面と、および互いと実質的に平行であるが、互いと同一平面にないように垂直方向に間隔を置いて離れている。先の実施形態におけるように、このステープルカートリッジは、複数のファスナー射出部材および複数の外科用ファスナーを含む。第1のギャップが、アンビル部材の平面状組織接触表面とステープルカートリッジの第1の平面状表面との間に規定され、そして第2のギャップが、アンビル部材の平面状組織接触表面と第2の平面状表面との間に規定される。このステープルカートリッジは、ステープルカートリッジの中央線に沿って配置されるナイフチャネルを含み得る。あるいは、相補的表面形態を有するアンビル部材が、このステープルカートリッジと組み合わせて用いられ得、ここで、ステープルカートリッジの第2の平面状表面とアンビル部材の対応する表面との間の間隔は、上記第2のギャップより大きいギャップを規定する。
【0021】
現在開示される外科用ステープル留め装置のさらなる実施形態では、ステープルカートリッジは、複数のファスナー射出部材および複数の外科用ファスナーを有して提供される。このステープルカートリッジは、底表面に対向する平面状表面を含む。フィラー(filler)層が上記平面状表面の上に位置決めされる。このフィラー層はバットレス材料から形成され得る。このフィラー層は形状がほぼ三角形であり、そして上記ステープルカートリッジの中央線から、その最大高さがこの中央線に近接するように下方および外方に延びる。平面状表面を有するアンビル部材は、完成した外科用ファスナーを形成するためにステープルカートリッジと協働して用いられ得る。あるいは、上記フィラー層を相補するテーパー状(すなわち、角度をなす)表面を有するアンビル部材が用いられ得る。このステープルカートリッジは、ナイフチャネルを含み得る。
【0022】
現在開示される外科用ステープル留め装置のさらなる代替的な実施形態は、ステープルカートリッジおよびアンビル部材を含む。このステープルカートリッジは、複数の外科用ファスナーおよび複数のファスナー射出部材を含む。上部プレートは、ステープルカートリッジの内壁と外壁との間に延び、そしてこのステープルカートリッジの底表面に実質的に平行である平面構造である。鉛直部材がこの内壁に接する。この上部プレートから垂直に間隔を置かれて、この鉛直部材に柔軟に取り付けられる交差部材がある。この交差部材の上部表面は、アンビル部材の組織接触表面に対向して組織接触表面を規定する。接近および/または外科用ファスナーの成形の間、この交差部材は、上記組織接触表面間のギャップが、ステープルカートリッジの中央線の近傍で最小であり、そしてステープルカートリッジの外壁の近傍で最大であるように曲がる。このステープルカートリッジは、ナイフチャネルを含み得る。あるいは、上記アンビル部材は、組織接触表面を規定するテーパー状の表面を含み得、ここで、このテーパー状の表面は、ステープルカートリッジの中央線から、アンビル部材が上記中央線の近傍でその最大厚みを、そしてアンビル部材の外側エッジ近傍でその最小厚みを有するように外方および上方に延びる。
【0023】
より特定すれば、本発明は以下の項目に関する。
(項目1)外科用ステープル留め装置のためのステープルカートリッジであって:
第1の壁および第2の壁を有する本体部分;および
それを通って延びる水平面を有する組織接触面であって、上記水平面が、上記本体部分を通って延びる垂直軸を実質的に横断する組織接触面を備え、ここで、上記組織接触面および上記水平面の点がそれらの間のギャップを規定し、上記ギャップが、上記寸法を規定する点が、上記垂直軸に対して横方向に移動するとき変化する、ステープルカートリッジ。
【0024】
(項目2)上記組織接触表面が、第1の部分および第2の部分を含む、項目1に記載のステープルカートリッジ。
【0025】
(項目3)上記寸法を規定する点の上記本体部分の中央線から上記第1の壁に向かう移動が、増加するギャップを規定する、項目2に記載のステープルカートリッジ。
【0026】
(項目4)上記中央線に沿って配置されたナイフをさらに含む、項目3に記載のステープルカートリッジ。
【0027】
(項目5)外科用ステープル留め装置のためのステープルカートリッジであって:
内壁および外壁であって、上記内壁が上記外壁の高さに等しくない高さを有する内壁および外壁;
第1の側面、第2の側面、第1の複数の保持スロット、および平面軸を有する第1の表面であって、上記平面軸が上記内壁に対して直角を規定する第1の表面;
第1の側面、第2の側面、および第2の複数の保持スロットを有する第2の表面であって、上記第2の表面の第1の側面が上記第1の表面の第2の側面に連結され、そして上記第2の表面の第2の側面が上記外壁の上部エッジに連結されて上記内壁と外壁との間の上記第2の表面に沿って弓状経路を規定する第2の表面;および 上記第1および第2の複数の保持スロット中にそれぞれ配置される第1および第2の複数の外科用ファスナーであって、バックスパンおよび一対の脚を含み、上記第1の複数の外科用ファスナーが第1の脚長さを有し、上記第2の複数の外科用ファスナーが第2の脚長さを有し、そして上記第2の脚長さが上記第1の脚長さとは異なる第1および第2の複数の外科用ファスナーを備える、ステープルカートリッジ。
【0028】
(項目6)上記第1の複数の保持スロット中に配置される上記外科用ファスナーのバックスパンが、上記第1の表面の上記平面軸に実質的に平行である、項目5に記載のステープルカートリッジ。
【0029】
(項目7)第3の複数の保持スロット中に配置された第3の複数の外科用ファスナーをさらに含み、上記第3の複数の外科用ファスナーが、上記第1の脚長さとは異なる第3の脚長さを有する、項目5に記載のステープルカートリッジ。
【0030】
(項目8)外科用ステープル留め装置であって:
以下を備える外科用ステープル留め装置のためのステープルカートリッジ:
第1の複数の保持スロットおよび第1の平面軸を有する第1の表面であって、第1の側面および第2の側面を含む第1の表面;
第1の側面、第2の側面、および第2の複数の保持スロットを有する第2の表面であって、上記第2の表面の第1の側面が上記第1の表面の第2の側面に連結され、そして上記第2の表面の第2の側面が外壁の上部エッジに連結され、上記第2の表面に沿って内壁と上記外壁との間で弓状経路を規定する第2の表面;
上記第1および第2の複数の保持スロットにそれぞれ配置される第1および第2の複数の外科用ファスナーであって、バックスパンおよび一対の脚を含み、上記第1の複数の外科用ファスナーが第1の脚長さを有し、上記第2の複数の外科用ファスナーが第2の脚長さを有し、上記第2の脚長さが上記第1の脚長さとは異なる第1および第2の複数の外科用ファスナー;ならびに
上記ステープルカートリッジに対して位置決め可能なアンビル部材であって、そして上記アンビルと上記ステープルカートリッジとの間に配置される複数の異なるギャップを、上記アンビル部材が上記ステープルカートリッジの近位方向にあるとき、上記ステープルカートリッジの第1の表面と上記アンビルとの間の第1のギャップが、上記ステープルカートリッジの第2の表面と上記アンビルとの間の第2のギャップより小さいように規定するアンビル部材、を備える、外科用ステープル装置。
【0031】
(項目9)上記アンビル部材が、平面状組織接触表面を含む、項目8に記載の外科用ステープル留め装置。
【0032】
(項目10)上記アンビル部材が複数の表面を含み、上記複数の表面が平面状表面および少なくとも1つの弓状表面を含み、上記平面状表面が上記ステープルカートリッジの第1の表面の幅寸法に少なくとも等しい幅寸法を有し、そして上記少なくとも1つの弓状表面が上記ステープルカートリッジの第2の表面の湾曲に対応する湾曲を有する、項目8に記載の外科用ステープル留め装置。
【0033】
(項目11)外科用ステープル装置のためのステープルカートリッジであって:
鉛直部材;
複数の保持スロットおよび第1の平面軸を有する第1の平面状表面であって、上記鉛直部材に取り付けられた第1の側面を含む第1の平面状表面;
複数の開口部および第2の平面軸を有する第2の平面状表面であって、第1の側面および第2の側面を含み、上記第1の側面が上記鉛直部材に柔軟に取り付けられ、そして第1の位置でそれらの間に直交する角度を規定し、上記第2の平面状表面が上記第1の平面状表面から離れて間隔を置かれてそれらの間にギャップを規定し、ここで、上記第2の平面状表面の第2の側面の上記第1の平面状表面に向かう移動が、上記第2の平面状表面を曲げる第2の平面状表面;ならびに
上記第1の複数の保持スロット中に配置される複数の外科用ファスナーであって、バックスパンおよび一対の脚を含む複数の外科用ファスナー、を備える、ステープルカートリッジ。
【0034】
(項目12)上記第2の平面状表面が、それが上記第1の位置から第2の位置に移動するとき、湾曲表面を規定する、項目11に記載のステープルカートリッジ。
【0035】
(項目13)上記複数の外科用ファスナーが複数の列に配置され、第1の列中に配置された外科用ファスナーが第1の脚長さを有し、第2の列に配置された外科用ファスナーが第2の脚長さを有し、そして上記第2の脚長さが上記第1の脚長さとは異なる、項目11に記載のステープルカートリッジ。
【0036】
(項目14)上記第1または第2の脚長さに等しくない脚長さを有する外科用ファスナーの第3の列をさらに含む、項目13に記載のステープルカートリッジ。
【0037】
(項目15)外科用ステープル留め装置であって:
第1の組織接触表面を有するアンビル部材;および
第1の壁、第2の壁、および第2の組織接触表面を有する本体部分、を備え、
ここで、上記第1の組織接触表面および上記第2の組織接触表面がそれらの間にギャップを規定し、そして上記ギャップが、上記第1または第2の組織接触表面の少なくとも1つによって規定される水平平面に沿って変動する、外科用ステープル留め装置。
【0038】
(項目16)上記第2の組織接触表面が、第1の部分および第2の部分を含む、項目15に記載の外科用ステープル留め装置。
【0039】
(項目17)上記本体部分の中央線における上記ギャップが、上記第1の壁における上記ギャップより小さい、項目16に記載の外科用ステープル留め装置。
【0040】
(項目18)上記中央線に沿って配置されるナイフをさらに含む、項目17に記載の外科用ステープル留め装置。
【発明の効果】
【0041】
現在開示される外科用ステープル留め装置の実施形態のすべては、外科用ファスナーで一緒に接続される組織の層に可変の圧力勾配(すなわち、負荷プロフィール)を提供する。従って、外科用ステープル留め器具の中央(すなわち、ステープルカートリッジの中央)に近接している組織の層は、より高い圧縮力(すなわち、負荷)を受け、それによって、この外科用ステープル留め器具の中央からより遠く離れている組織の層と比較したとき、より薄い層を形成する。この外科用ステープル留め器具の中央に最も近い組織の層は、より大きく圧縮され得るので、より小さいサイズの外科用ステープルまたはファスナーが組織の切開された層を機械的に縫合(すなわち、固定する)ために用いられ得る。さらになお、接続されるべき組織の層に段階的な圧縮勾配を提供することは、より高い程度の止血を生じ得る。ステープルカートリッジの輪郭のある形状に起因して、組織の層は、外科用ステープル留め器具の中央でより大きく圧縮され得る。なぜなら、これら組織の層は、上記アンビル部材が、ステープルカートリッジに対して移動されるとき、相対的に高い圧力の領域(すなわち、中央)から、相対的に低い圧力の領域(すなわち、エッジ)まで転位(すなわち、移動)し得、それによって圧力勾配を規定するからである。
【0042】
現在開示される外科用器具は、付随する利点とともに、図面の説明および上記の実施形態の詳細な説明によって以下により明瞭に示される。
【0043】
本開示のその他の目的および特徴は、以下の説明を添付の図面と組み合わせて考慮することから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
現在開示される外科用ステープル留め装置の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に記載される。
図1図1は、本開示に従って構築された外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図2図2は、図1の2--2を通ってとったときの、図1の外科用ステープル留め器具の遠位端部分の概略断面側方立面図である。
図2A図2Aは、本開示の実施形態による外科用ファスナーの斜視図である。
図3A図3Aは、図2の示された領域の拡大された概略表示であり、本開示の代替の実施形態による組織接触表面を示す。
図3B図3Bは、図2の示された領域の拡大された概略表示であり、本開示の別の実施形態による組織接触表面を示す。
図3C図3Cは、図2の示された領域の拡大された概略表示であり、本開示のなお別の実施形態による組織接触表面を示す。
図3D図3Dは、図2の示された領域の拡大された概略表示であり、本開示のさらなる実施形態による組織接触表面を示す。
図4図4は、本開示によって構築された代替の外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図5図5は、本開示によって構築されたなお別の外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図6図6は、本開示によって構築されたなお別の外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図6A図6Aは、図6のアンビル部材の一部分の斜視図である。
図7図7は、図4~6の各々の7--7を通ってとったときの、図4~6の外科用ステープル留め器具の遠位端部分の概略断面側方立面図である。
図7A図7Aは、図6の外科用ステープル留め器具の遠位部分の代替の実施形態の概略断面側方立面図である。
図8図8は、本開示の別の実施形態によるステープルカートリッジの斜視図である。
図9A図9Aは、外科用ファスナーの第1の配列を示す、図8のステープルカートリッジの端部断面図である。
図9B図9Bは、外科用ファスナーの第2の配列を示す、図8のステープルカートリッジの端部断面図である。
図9C図9Cは、外科用ファスナーの第2の配列およびアンビル部材の代替の実施形態を示す、図8のステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図10図10は、外科用ファスナーの第2の実施形態を示す図9Aのステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図11図11は、図10のアンビル部材およびステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図12図12は、図8のステープルカートリッジのさらなる実施形態である。
図13図13は、図12のアンビル部材およびステープルカートリッジの別の実施形態である。
図14図14は、図8のステープルカートリッジおよびアンビル部材の別の実施形態である。
図15図15は、図14のステープルカートリッジを備えたアンビル部材の代替の実施形態である。
図16A図16Aは、従来の外科用ステープル留め器具の発射後の組織界面の断面側方立面図である。
図16B図16Bは、図7および10~15の外科用ステープル留め器具の発射後の得られる組織界面の断面側方立面図である。
図17A図17Aは、外科用ファスナーの第1の配列を示す、図8のステープルカートリッジの別の実施形態の端部断面図である。
図17B図17Bは、外科用ファスナーの第2の配列を示す、図17Aのステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図17C図17Cは、図17Aのアンビル部材およびステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図17D図17Dは、図17Bのアンビル部材およびステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図17E図17Eは、図17Aのステープルカートリッジのさらなる実施形態である。
図17F図17Fは、図17Eのアンビル部材およびステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図18A図18Aは、図8のステープルカートリッジのさらなる実施形態の端部断面図である。
図18B図18Bは、図18Aのアンビル部材およびステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図19A図19Aは、図8のステープルカートリッジのさらなる実施形態の端部断面図であり、このステープルカートリッジの組織接触表面上に配置された成形支持部材、およびアンビル部材の組織接触表面上に配置された成形支持部材を点線で示す。
図19B図19Bは、図19Aのアンビル部材およびステープルカートリッジの代替の実施形態である。
図20A図20Aは、図7Aのステープルカートリッジの別の実施形態の端部断面図である。
図20B図20Bは、図20Aのアンビル部材およびステープルカートリッジの代替の実施形態の端部断面図である。
図20C図20Cは、図20Bのアンビル部材およびステープルカートリッジのさらなる実施形態である。
図21A図21Aは、図8のステープルカートリッジの別の実施形態の端部断面図である。
図21B図21Bは、図21Aのアンビル部材およびステープルカートリッジの別の実施形態である。
図22A図22Aは、図8のステープルカートリッジのさらなる実施形態、およびアンビル部材のさらなる実施形態の端部断面図である。
図22B図22Bは、図22Aのステープルカートリッジおよびアンビル部材の代替の実施形態である。
図22C図22Cは、図22Bのステープルカートリッジを備えたアンビル部材のさらなる実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(実施形態の詳細な説明)
現在開示される外科用ステープル留め器具の実施形態は、ここで、描写される図面を参照して詳細に説明され、ここで、同様の参照番号は、類似または同一の要素を識別する。以下の図面および説明では、用語「近位」は、伝統的なように、操作者に最も近い外科用ステープル留め器具の端部をいい、その一方、用語「遠位」は、操作者から最も遠いデバイスの端部をいう。
【0046】
本開示は、使い捨て可能な、または再使用可能な外科用ステープル留め装置における使用のためのステープルカートリッジおよびアンビル部材に関する。この現在開示されるステープルカートリッジおよびアンビル部材は、本明細書で以下に詳細に論議されるように、図1、4、5、または6に示される外科用ステープル留め装置にいずれとも用いられ得る。さらに、置換可能な装填ユニットが、この使い捨て可能または再使用可能な外科用ステープル留め装置にいずれかに位置され得る。1つの実施形態では、この置換可能な装填ユニットは、本明細書中に開示される任意のステープルカートリッジを含む、ステープルカートリッジを含む。あるいは、この置換可能な装填ユニットは、本明細書中に開示される任意のアンビル部材を含む、ステープルカートリッジおよびアンビル部材を含む。上記使い捨て可能または再使用可能な外科用ステープル留め装置と組み合わせ、この置換可能な装填ユニットは、個々の外科用ステープル留め装置が異なるステープル留め手順に対して容易に適合可能であるという点で、個々の外科用ステープル留め装置の改良された柔軟性を提供する。本明細書で以後開示される実施形態の各々では、ステープルカートリッジに配置されるステープルまたは外科用ファスナーは、これら外科用ファスナーの先端部がステープルカートリッジの組織接触表面と実質的に同一平面上に存在し得るように整列される。あるいは、これら外科用ファスナーの先端部は、上記組織接触表面の上または下に位置され得る。
【0047】
ここで、図1~2を詳細に参照して、ここでは、同様の参照番号は、類似または同一の要素を識別し、本開示の第1の実施形態による外科用ステープル留め器具は、一般に、100として指定される。
【0048】
図1に見られるように、外科用ステープル留め器具100は、少なくとも1つの旋回可能に作動するハンドル部材103を有するハンドルアセンブリ102を含み、そしてさらに進行手段105を含む。ハンドルアセンブリ102から延びて、その長さに沿って曲がった形状を有するように構築され得る管状本体部分104が提供される。管状本体部分104は、その遠位端に配置された組織接触表面121を含む円形のステープルカートリッジ118を有するファスナー射出部材アセンブリ106中で終了する。アンビルシャフト110は、アンビルアセンブリ108をハンドルアセンブリ102に作動可能に連結する。アンビルアセンブリ108は、それがステープルカートリッジ118と緊密に協働整列にある位置から、それがステープルカートリッジ118から離れて間隔を置かれる位置まで再配置可能である。アンビルアセンブリ108は、アンビルヘッド109を含む。さらになお、外科用ステープル留め器具100は、創傷閉鎖アセンブリ50を含み得る。創傷閉鎖アセンブリ50は、少なくとも1つの貯蔵デバイスまたはリザーバー52および少なくとも1つの供給ライン54を含む。供給ライン54は、リザーバー52をアンビルシャフト110に流体により連結し、ここで、アンビルシャフトは、創傷閉鎖材料「W」を分与するための少なくとも1つの開口部56を含む。外科用ファスナーと組み合わせて創傷閉鎖材料「W」を提供することにより、組織の層間で形成される結合は、改良された強度を有する。
【0049】
図2に見られるように、組織接触表面121は、外側組織接触表面121a、中間組織接触表面121b、および内側組織接触表面121cを含んで階段状である。各組織接触表面121a~121cは、ステープルプッシャーまたはファスナー射出部材130の底表面上の点131から測定されたとき互いとは異なる高さを有する。点131は、ファスナー射出部材130の底表面が実質的に平面である領域中でシャフト111の近位方向にある。詳細には、組織接触表面121a~121cは互いに対して実質的に平行であるが、互いと同一平面上にない(すなわち、階段状)平面構造物である。さらに、各組織接触表面121a~cは、個々の組織接触表面121a~cを通って延びる平面軸を規定する。第1の壁表面は組織接触表面121aおよび121bを相互連結し、その一方、第2の壁表面は、組織接触表面121bおよび121cを相互連結する。これら第1および第2の壁表面は、各壁表面が平面軸を規定する平面構造物である。1つの実施形態では、これら壁表面の平面軸は、組織接触表面121a~cの平面軸と直交している。
【0050】
内側組織接触表面121cは最も高い高さを有し、外側組織接触表面121aは最も小さい高さを有し、そして中間組織接触表面121bは、外側組織接触表面121aの高さと内側組織接触表面121cの高さの間の高さを有する。組織接触表面121a~121cは、外側組織接触表面121aから内側組織接触表面121cまで(すなわち、半径方向の内方に)高さが増加するとして示されているが、各組織接触表面の高さが、特定の外科的手順に依存して変動し得ることは本開示の範囲の範囲内である。例えば、組織接触表面121a~121cは、半径方向の外方方向に高さが増加し得るか、上記中間組織接触表面121bが最も高いか、または最も低い組織接触表面であり得るか、または組織接触表面121a~121cのうちの少なくとも2つは同じ高さを有し得る。
【0051】
1つの実施形態では、各組織接触表面121a~121cは、その中に形成された保持スロット123の個々の環状の列119a~119cを含む。環状の列119a~119cの各保持スロット123は、その中にステープルまたは外科用ファスナー125を保持するような形態および寸法である。図2Aに示されるように、各外科用ファスナー125は、バックスパン27および一対のぶら下がった脚25を含む。各脚25は、バックスパン27に対して直角を形成する。1つの実施形態では、スロット123の各環状の列119a~119cは、それ自体の特徴的特徴を有する個々の外科用ファスナー125a~125cを含む。
【0052】
図2に見られるように、外科用ファスナー125aの脚25aは第1の脚長さを有し、外科用ファスナー125bの脚25bは第2の脚長さを有し、そして外科用ファスナー125cの脚25cは第3の脚長さを有する。特に、外科用ファスナー125a~125cは、半径方向の外方方向に高さが増加する。1つの実施形態では、外科用ファスナー125cの脚25cは約2.3mmの脚長さを有し、外科用ファスナー125bの脚25bは約3.5mmの脚長さを有し、そして外科用ファスナー125aは約4.1mmの脚長さを有する。従って、内側組織接触表面121cは最大高さを有し、かつ最も短い脚長さを有する外科用ファスナー125cを保持し、そして外側組織接触表面121aは最小高さを有し、かつ最も長い脚長さを有する外科用ファスナー125aを保持する。中間組織接触表面121b、そして次に再び外側組織接触表面121aで漸次下方にステップする組織接触表面121を有することは、それぞれ、外科用ファスナー125bおよび125cの形成を生じる。任意の数の配列が可能であることが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。
【0053】
各組織接触表面121a~121cについて、保持スロット123の単一の環状の列119a~119cが示されているが、各組織接触表面121a~121cが保持スロットの複数の環状列を含み得ることが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。
【0054】
図2に見られるように、外科用ステープル留め器具100のファスナー射出アセンブリ106は、ステープルカートリッジ118内に配置されたファスナー射出部材130を含む。ファスナー射出部材130は、ほぼ円錐台形状を有する近位部分132、およびその各々の1つが個々のステープル保持スロット123内に受容され、そして環状列119a~c中に配置されたその個々の外科用ファスナー125a~cと協働する、周縁で間隔を置かれたステープルプッシャー134a~cの同心リングを規定する遠位部分を含む。1つの実施形態では、ファスナー射出部材130の近位部分132は、ドライバーチューブ138の遠位端によって接触されるような形態および寸法であることが想定される。これ故、ドライバーチューブ138を進行することによって、ファスナー射出部材130を進行する際に、ステープルプッシャー134a~cは、保持スロット123中をさらに通過し、それによって、その中に含まれる外科用ファスナー125を軸方向の外方にさらに押す。
【0055】
代替の実施形態では、ファスナー射出部材130のステープルプッシャー134a~cは、異なるサイズの外科用ファスナーと協働するために異なる高さを有する。特に、ステープルプッシャー134a~cは、外科用ファスナー125a~cがそれらの個々の環状列119a~c中に配置されるとき、外科用ファスナー125a~cの先端部が、外科用ファスナーの各列間の脚長さにおける差異にもかかわらず、実質的に同じ平面中に位置されるようなサイズである。
【0056】
外科用ステープル留め器具100(図1)は、アンビルヘッド109、およびその近位端から延び、そしてステープルカートリッジ118から遠位方向に延びるシャフト111を係合するように適合されたアンビルシャフト110を有する円形のアンビルアセンブリ108を含む。アンビルヘッド109は、その近位端に配置された環状のアンビル部材112を含み、ここで、アンビル部材112は、少なくとも1つの、その周りで周縁方向に形成されたファスナー形成窪み114の列を含む。1つの実施形態では、外科用ステープル留め器具100は、その周りの周縁方向に形成されたファスナー形成窪み114の側方に間隔を置かれた3つの列を含む。各ファスナー形成窪み114は、対応する保持スロット123と位置合わせされている。
【0057】
図2では、アンビル部材112は、実質的に平面の組織接触表面を有するとして示されているが、外科用ステープル留め器具100が多くの異なる形態を有することが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。例えば、図3Aに見られるように、アンビル部材112aは、ステープルカートリッジ118の階段状組織接触表面121を相補するような形状である(すなわち、階段状)表面116a~116cを含む組織接触表面を有し得るか、または図3Bに見られるように、アンビル部材112bは、ステープルカートリッジ118の組織接触表面121は実質的に平面である一方で、階段状である表面116a~cを含む組織接触表面を有し得る。さらに、例えば、図3Cに見られるように、アンビル部材112cは、より長い脚長さを有する外科用ファスナーを収容するために、アンビル部材112c中のステープルポケット114aまたは114cより長く延びるステープルポケット114bの1つの列を有し得るか、または図3Dに見られるように、アンビル部材112dは、ステープルカートリッジ118の組織接触表面121を写すように階段状である表面116a~cを含む組織接触表面を有し得る(すなわち、アンビル部材112dの組織接触表面の個々の組織接触表面の深さは、ステープルカートリッジ118の個々の組織接触表面121a~121cの深さに実質的に等しい)。
【0058】
外科用ファスナー125a~125cのサイズは、代表的には肥満学手順で必要な胃内での発射における使用のために選択され、そして意図される。しかし、選択された外科用ファスナー125a~125cのサイズは、例えば、結腸、大腸、肺、気管支、肺血管、肝臓などのような異なるタイプの組織での実行のために選択され得ることが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。
【0059】
作動において、外科用ステープル留め器具100は、患者の身体中の管状器官内に位置決めされ、そして接続されるべきこの器官の端部は、ステープルカートリッジ118とアンビルアセンブリ108との間のギャップ中に位置決めされる。従来のように、上記器官の端部は、アンビルアセンブリ108のステープルカートリッジ118への接近の前に財布紐縫合糸によってアンビルシャフト110の周りに固定され得る。外科用ステープル留め器具100は、次に接近され、そして発射される。外科用ステープル留め装置の例、およびその使用のための方法は、現在は、Tyco Healthcare Group LPに譲渡され、その全体の内容が本明細書中に参考として援用される米国特許第5,915,616号に開示されている。
【0060】
ここで、図4および7を参照して、本開示の別の実施形態による、外科用吻合ステープル留めを実施するための胃-腸吻合タイプの外科用ステープル留め器具は、一般に200として指定される。外科用ステープル留め器具200は、その遠位端から延びるステープルカートリッジ受容セクションを規定する顎203を有する第1のハンドル202、顎203中に受容可能なステープルカートリッジ204、その遠位端から延びるアンビル部材受容セクションを規定する顎205を有する第2のハンドル206、および顎205と作動可能に連結されるアンビル部材208を含む。第1および第2のハンドル202、206は、ステープルカートリッジ204がアンビル部材208と実質的に整列されるような形態である。
【0061】
図7に見られるように、ステープルカートリッジ204は、外側組織接触表面121a、中間組織接触表面121b、および内側組織接触表面121cを含む階段状の組織接触表面121を含み、その各々は、ステープルカートリッジ204の底表面上に位置する点231から測定されるとき、互いに異なる高さを有し、ここで、点231は、ステープルカートリッジ204の中央線に沿って存在する。組織接触表面121a~121cは、互いに実質的に平行である平面状構造であるが、互いとは同一平面上にはない。例えば、組織接触表面121a~121cは、図7に示されるように、ナイフトラック222から直交する方向で外方に高さが減少し得る。ナイフトラック222を含まない実施形態では、組織接触表面121a~cは、ステープルカートリッジ204の中央線から直交する方向で外方に高さが減少する。
【0062】
各組織接触表面121a~121cは、その中に形成された保持スロット123の個々の直線状の列119a~119cを含む。直線状の列119a~119cの各保持スロット123は、その中に外科用ファスナー125を保持するような形態および寸法である。スロット123の各直線状の列119a~119cは、それ自体特徴的な特徴を有する個々の外科用ファスナー125a~125cを含む。
【0063】
図7に見られるように、外科用ファスナー125aの脚25aは約4.1mmの第1の脚長さを有し、外科用ファスナー125bの脚25bは約3.5mmの第2の脚長さを有し、そして外科用ファスナー125cの脚25cは約2.3mmの第3の脚長さを有する。特に、外科用ファスナー125a~125cは、随意のナイフトラック222に相対的に向かう直交する外方方向で高さが増加する。ナイフトラック222は、ステープルカートリッジ204、310、または412の中央線に沿って配置され、そして随意のナイフ(図示せず)をスライド可能に受容するために適合されている。中間組織接触表面121bで下方に、そして次に再び外側組織接触表面121aで漸次階段状になる組織接触表面121を有することは、外科用ファスナー125bおよび125cの形成をそれぞれ生じる。任意の数の配列が可能であることが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。
【0064】
作動において、外科用ステープル留め器具200は、その他の公知の外科用ステープル留め器具と同様に、そしてそれに従って発射される。外科用ステープル留め装置およびその使用のための方法の例は、現在はTyco Healthcare Group LPに譲渡され、その全体の内容が本明細書中に参考として援用される米国特許第6,202,914号に開示されている。
【0065】
図16Bをさらに参照して、外科用ステープル留め器具200の発射後、得られる組織界面が断面で観察される。従って、外科用ファスナー125a~125cのいくつか、またはすべてが、組織「A」および「B」を互いに保持するために供され、その一方、外科用ファスナー125cはまた、止血を提供する。
【0066】
外科用ステープル留め器具200は、直線状タイプの外科用ステープラーであるが、外科用ステープル留め器具200が、図3A~3Dに示されるように、外科用ステープル留め器具100のアンビル部材およびステープルカートリッジの組織接触表面に実質的に類似であるアンビル部材およびステープルカートリッジのうちの少なくとも1つについての断面プロフィールを有する組織接触表面を含み得ることが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。
【0067】
ここで、図5および7を参照して、本開示の別の実施形態による、外科的吻合ステープル留めを実施するための腹腔鏡タイプの外科用ステープル留め器具が、一般に、300として指定される。外科用ステープル留め器具300は、ハンドル302、作動ツール306、および作動ツール306をハンドル302に相互連結するための細長いシャフト304を含む。一般に、作動ツール306は、その中に保持された組織をクランプし、そして次にステープル留めし、そして分割する。従って、図5に見られるように、作動ツール306は、互いに対して旋回可能に連結され、アンビル部材308およびステープルカートリッジ310を含む一対の対向する顎である。
【0068】
外科用ステープル留め器具300のステープルカートリッジ310は、外科用ステープル留め器具200のステープルカートリッジ204の組織接触表面121と類似の階段状組織接触表面121を含む。従って、外科用ステープル留め器具300のステープルカートリッジ310の組織接触表面121の説明および論議のために、図7、およびステープルカートリッジ204の組織接触表面121の上記の詳細な論議への参照がなされる。
【0069】
作動において、外科用ステープル留め器具300は、その他の公知の外科用ステープル留め器具と同様に、そしてそれに従って発射される。外科用ステープル留め器具300の接近および発射の詳細な論議のために、現在はTyco Healthcare Group LPに譲渡され、その全体の内容が本明細書中に参考として援用される本出願人に譲渡された米国特許第5,865,361号への参照がなされる。
【0070】
外科用ステープル留め器具300の発射の後、得られる組織界面は、断面で見たとき、外科用ステープル留め器具100および200の発射後に断面で見たときの得られる組織界面に実質的に類似している。従って、図16Bに見られるように、外科用ファスナー125a~125cのいくつかまたはすべてが、組織「A」および「B」を互いに保持するために供され、その一方、外科用ファスナー125cはまた、止血を提供する。
【0071】
外科用ステープル留め器具300は、外科用ステープル留め器具100と比較したとき、直線状タイプの外科用ステープラーであるが、外科用ステープル留め器具300が、図3A~3Dに示されるように、外科用ステープル留め器具100のアンビルおよびステープルカートリッジの組織接触表面に実質的に類似しているアンビルおよびステープルカートリッジの少なくとも1つについての断面プロフィールを有する組織接触表面を含み得ることが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。
【0072】
ここで、図6、6A、7および7Aを参照して、本開示のなお別の実施形態による、外科的吻合ステープル留めを実施するための横方向吻合タイプの外科用ステープル留め器具は、一般に、400として指定される。外科用ステープル留め器具400は、ハンドル402、ハンドル402から延びるバレル404、およびバレル404の遠位端から延びるアーム406を含む。外科用ステープル留め器具400は、アーム406の遠位端に直交して固定されるアンビル部材408、およびその上に使い捨て可能なステープルカートリッジ412を保持するためのバレル404の遠位端に作動可能に連結されたステープルカートリッジ受容具410をさらに含む。アンビル部材408は図6Aにさらに詳細に示され、そして組織接触表面420を含み、ここで、組織接触表面420は、保持スロット123(図7)と実質的に整列する複数のポケット425を有する。ポケット425と保持スロット123との間の協働整列は、外科用ステープル留め器具400中の作動機構の作動に際し、完成した外科用ファスナー125を形成する。
【0073】
外科用ステープル留め器具400のステープルカートリッジ412は、外科用ステープル留め器具200のステープルカートリッジ204の組織接触表面121に類似の階段状の組織接触表面121を含む。従って、外科用ステープル留め器具400のステープルカートリッジ412の組織接触表面121の説明および論議について、図7およびステープルカートリッジ204の組織接触表面121の上記の詳細な論議への参照がなされる。さらになお、ステープルカートリッジ412は、その中にナイフ(図示されず)をスライド可能に受容するためのナイフトラック222を含み得る。
【0074】
本開示のさらなる実施形態では、ステープルカートリッジ412’が図7Aに示され、そして本明細書で以後詳細に論議される。ステープルカートリッジ412’はステープルカートリッジ412に類似するが、ステープルカートリッジ412’の外壁の間に配置された保持スロット123の3つの列119a~cを含むのみである。先に論議された実施形態におけるように、各列119a~cは複数の外科用ファスナーを含み、ここで、列119a中の外科用ファスナーは、列119b中に配置される外科用ファスナーとは異なる脚長さを有し、その一方、列119c中に配置される外科用ファスナーは、列119aまたは119bの少なくとも1つとは異なる脚長さを有する。ステープルカートリッジのこの実施形態は、ナイフトラックを含まない。組織接触表面121a~cの配列および相互関係は、図7を参照して先に開示されたものと類似する。
【0075】
作動において、外科用ステープル留め器具400は、その他の公知の外科用ステープル留め器具と同様に、そしてそれに従って発射される。外科用ステープル留め器具400の接近および発射の詳細な論議のために、現在はTyco Healthcare Group LPに譲渡され、その全体の内容が本明細書中に参考として援用される本出願人に譲渡された米国特許第5,964,394号への参照がなされる。
【0076】
外科用ステープル留め器具400の発射の後、得られる組織界面は、断面で見たとき、外科用ステープル留め器具100~300の発射後に断面で見たときの得られる組織界面に実質的に類似している。従って、図16Bに見られるように、外科用ファスナー125a~125cのいくつかまたはすべてが、組織「A」および「B」を互いに保持するために供され、その一方、外科用ファスナー125cはまた、止血を提供する。
【0077】
外科用ステープル留め器具400は、外科用ステープル留め器具100と比較したとき、直線状タイプの外科用ステープラーであるが、外科用ステープル留め器具400が、図3A~3Dに示されるように、外科用ステープル留め器具100のアンビルおよびステープルカートリッジの組織接触表面に実質的に類似しているアンビルおよびステープルカートリッジの少なくとも1つについての断面プロフィールを有する組織接触表面を含み得ることが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。
【0078】
上記に記載され、そして本明細書中に示される外科用ステープル留め器具の各々は、外科用ファスナー125を発射するような形態であり、かつ適合されているが、2部品ファスナーを付与することと組み合わせて用いられる外科用器具の組織接触表面がまた、本明細書中に示され、そして記載されるような階段状の形態を有し得ることが想定され、そしてこのことは本開示の範囲内である。代表的な2部品外科用ファスナー付与器具は、現在はTyco Healthcare Group LPに譲渡され、その全体の内容が本明細書中に参考として援用される本出願人に譲渡された米国特許第5,573,169号に示され、そして記載される。
【0079】
図8~10に示されるように、本開示の1つのさらなる実施形態では、外科用ステープル留め器具300は、細長いシャフト304の1つの端部に配置される作動ツール506を含む。作動ツール506は、アンビル部材308およびステープルカートリッジ510を含む。ステープルカートリッジ510は、使い捨て可能な外科用ステープル留め装置中、または再使用可能な外科用ステープル留め装置中に含まれ得る。特に、ステープルカートリッジ510は、その中に配置され、そしてステープルカートリッジ510の長軸方向軸と実質的に整列される列中に整列される複数の保持スロット523を有する組織接触表面520を含む。図8に見られるように、保持スロット523の各列は、保持スロットの隣接する列から長軸方向にオフセットされる。特に、随意のナイフチャネル530は、ナイフ(図示されず)をスライド可能に受容するために適合されるステープルカートリッジ510の長軸方向軸に沿って配置される。
【0080】
図9Aを参照して、作動ツール506が断面で示され、そしてステープルカートリッジ510中に含まれるいくつかの構成要素を示す。アンビル部材308は、底表面512に実質的に平行であるか、または外科用ファスナー125a、125b、または125cのバックスパンによって規定される平面に平行である実質的に平面状の組織接触表面320を含む。ステープルカートリッジ510は、第1の高さを有する外壁514、および第2の高さを有する内壁516を含み、ここで、この第2の高さは第1の高さより大きい。組織接触表面520は、内壁516および外壁514に取り付けられ、そして内壁516に直交している平面に対して角度を規定する。組織接触表面520は、外壁514間にほぼ湾曲した経路(すなわち、断面で見たときほぼ凸状または楕円形)を規定する。さらに、複数の外科用ファスナー125a~cがステープルカートリッジ510中に配置され、ここで、保持ポケット523の各列は、多くの実質的に同一の外科用ファスナー(すなわち、125a、125b、または125c)を含む。先の実施形態と同様に、外科用ファスナー125a~cの脚25a~cは異なる長さを有する。この実施形態では、外科用ファスナー25aは約3.8mmの脚長さを有し、外科用ファスナー25bは約3.5mmの脚長さを有し、そして外科用ファスナー25cは約2.5mmの脚長さを有する。
【0081】
図9Aに見られるように、外科用ファスナー125a~cは、ステープルカートリッジ510中に、外科用ファスナー125cが外壁514に近接し、外科用ファスナー125aが内壁516に近接して配置され、そして外科用ファスナー125bがそれらの間に配置されるように配置される。変動する高さの外科用ファスナーと協働して、ステープルカートリッジ510は、異なる高さのステープルプッシャー542、544、および546を含むファスナー射出部材540を含む。ステープルプッシャー542は最大高さ寸法を有し、ステープルプッシャー546は最小高さ寸法を有し、そしてステープルプッシャー544はそれらの間の高さ寸法を有する。この実施形態では、外科用ファスナー125a~cは、ステープルプッシャー546、544、および542とそれぞれ協働するように整列される。ファスナー射出部材540は、それが作動機構(図示されず)と協働して係合するとき、実質的に垂直な移動のために適合されている。適切な作動機構の例は、先に開示される外科用ステープル留め器具300を参照して論議されたように、米国特許第5,865,361号に開示されている。
【0082】
図9Aに示されるように、ファスナー射出部材540は、すべてのプッシャープレートがステープルカートリッジ510を実質的に同時に通って並進するように、連結部材548によって互いに連結されるステープルプッシャー542、544、および546を含む。代替の実施形態では、ファスナー射出部材540’は、ステープルカートリッジ510内に個々にセットされるプッシャープレート542、544、および546を含む。この実施形態では、ステープルプッシャーの各列は個々に作動可能であり、そしてステープルプッシャーのその他の列とは独立である。ファスナー射出部材540、540’のいずれの実施形態も、開示されるステープルカートリッジのいずれにおいても用いられ得る。ファスナー射出部材540’は図9Aに示され、そして明瞭さのために、開示された外科用ステープル留め装置のその他の実施形態では示されない。
【0083】
さらに、ステープルカートリッジ510は、組織接触表面520の内側表面からファスナー射出部材540または540’に向かって延びる点線で示される複数のステープルガイドまたはチャネル525を含み得る。特に、ステープルチャネル525は、ステープルプッシャー542、544、および546に向かって延び、そしてまた、ステープルカートリッジ510内のそれらの配置に従って、高さが変動し得る。各ステープルチャネル525は、幅が、その対応するステープルプッシャー542、544、または546の幅に実質的に等しい。ステープルチャネル525は、保持スロット523と協働して、ステープルポケットを形成し、そして外科用ファスナー125a~cの安定性を改善し、それによって外科用ファスナー125a~cの側方または回転移動を最小にし、そして結果として完成したファスナーの形成を改善する。さらになお、ステープルチャネル525は、代表的には、ステープルプッシャー542、544、および546の形状に対応する形状を有する。明瞭さのために、ステープルチャネル525は、図9Aにのみ示されるが、ステープルチャネル525は、ステープルカートリッジの開示された任意の実施形態に含められ得る。
【0084】
作動ツール506の代替の実施形態が、図9Bおよび9Cに示される。これらの代替の実施形態は、作動ツール506aおよび506bとしてそれぞれ識別される。最初に図9Bを参照して、作動ツール506aは、本明細書で以下に論議される差異でもって、作動ツール506について本明細書で上記で論議されたのと実質的に同じまたは類似の構成要素を含む。作動ツール506(図9A)とは対照的に、作動ツール506aの外科用ファスナー125a~cは、ステープルカートリッジ510a中に、外科用ファスナー125aが外壁514に近接し、外科用ファスナー125cが内壁516に近接し、そして外科用ファスナー125bがそれらの間に配置されるように整列される。さらに、作動ツール506aは、第1および第2の表面522aおよび524aを含む組織接触表面520aを含む。第1および第2の表面522a、524aの各々は、外科用ファスナーの少なくとも1つの列を含むに十分な幅寸法を有する。第1の表面522aは底表面512に実質的に平行であり、その一方、第2の表面524aは実質的に一様な角度を規定する。特に、第2の表面524aは、第1の表面522aの外側エッジから外方かつ下方に延び、そして底表面512に対して実質的に均一な角度を規定する。
【0085】
ここで、図9Cを参照して、作動ツール506bは、図9Bを参照して論議されたステープルカートリッジ510aおよびアンビル部材308cを含む。アンビル部材308cは、組織接触表面320cを含む。特に、組織接触表面320cは、表面322cおよび324cを含む。表面324cは底表面512に実質的に平行であり、第1の表面522aおよびナイフチャネル530の幅寸法に実質的に等しい幅寸法を有し、その一方、各表面322cは、対応する第2の表面524aを実質的に相補する。アンビル部材308cの表面と組織接触表面520aとの間のこの配列は、作動ツール506bの中央線からその外壁514までの表面間の実質的に均一なギャップを維持する。
【0086】
あるいは、図10に示されるように、外科用ファスナー125a~cは、ステープルカートリッジ510’内に、外科用ファスナー125aが外壁514に近接し、外科用ファスナー125cが内壁516に近接して配置され、そして外科用ファスナー125bが内それらの間に配置されるように配置される。先の実施形態とは反対に、外科用ファスナー125a~cは、ステープルプッシャー542、544、および546とそれぞれ協働するように整列される。身体組織の多くの層が組織接触表面320と520との間に位置決めされた後、保持スロット523を通って外科用ファスナー125a~cを逐次的に射出するために作動機構が作動され、それによって、外科用ファスナー125a~cとアンビル部材308との間の相互作用が、身体組織の層を接続するために完成した外科用ファスナーを形成する。
【0087】
アンビル部材308の組織接触表面320が、ステープルカートリッジ510’の組織接触表面520に近接して再位置決めされるとき、それらの間に配置される組織の層に付与される圧力の量は、ステープルカートリッジ510’の長軸方向軸に対し横断方向である平面に沿って変動する。組織接触表面320と520との間の距離は、内壁516に最も近い領域(すなわち、ステープルカートリッジ510’の中央線)中で最小であるので、最大の圧力が、この領域中に配置される組織の層に付与される。逆に、組織接触表面320と520との間の距離は、外壁514の近傍領域で最大であり、最小の圧力がこの領域中に配置された層に付与される。さらに、アンビル部材308とステープルカートリッジ510’との間の近接関係は、それらの間に複数のギャップを規定する。第1のギャップは、組織接触表面320と520との間に規定される(すなわち、ステープルカートリッジ510’の中央線に沿う)、その一方、第2のギャップは、外壁514に沿って組織接触表面320と520との間で規定される。図10に見られるように、上記第1のギャップは上記第2のギャップと等しくない。さらになお、多くのその他のギャップが、ステープルカートリッジ510’中の中央線と外壁514との間に存在するその他の参照点で組織接触表面320と520との間で規定され得る。組織接触表面520は、外壁514に向かって傾斜し、実質的に均一な角度を規定するので、組織接触表面320と520との間に配置された組織の層に付与される圧力は、内壁516から外壁514まで均一に減少する。
【0088】
組織接触表面520をステープルカートリッジ510’の中央線から下方に角度をなすことにより、減少した圧縮力が、組織接触表面320と520との間に配置された組織の層に付与され、それによって、それらの間に配置された組織の層への外傷を最小にする。従って、組織接触表面320と520との間に配置された組織の層は、ナイフチャネル530の最も近く(すなわち、ステープルカートリッジ510’の中央線の最も近く)で最小の厚みを、そして外壁514の最も近くで最大の厚みを有する。さらに、アンビル部材308およびステープルカートリッジ510’は、組織の層に付与される圧縮力が最小であり、それによって組織の層への外傷をさらに減少するような寸法であり、そして整列される。この形態は、ナイフチャネル530(すなわち、ステープルカートリッジ510または510’の中央線)に沿って最大であり、そしてステープルカートリッジ510(図9A)または510’(図10)の外壁に沿って最小である組織接触表面320と520との間のギャップを規定する。
【0089】
さらになお、この形態は、図11~15に関して本明細書で以後に詳細に論議される類似のステープルカートリッジおよびアンビル部材に適用可能である。アンビル部材308’は、ステープルカートリッジ510’と近接して再位置決めされるとき(すなわち、発射前位置)、それらの間に身体組織の層を保持し、組織の層は圧縮される。最大の圧縮は中央線(すなわち、第1または最小のギャップ)に沿って生じ、そして組織の層中に貯蔵された流体を、組織の外側エッジに向かって(すなわち、ステープルカートリッジ510’の中央線から離れて)押す。この中央線に近接する組織の層中に保持される流体の量を低減することにより、組織の層の全体の厚みは減少する。全体の組織厚みにおける減少は、より短い脚長さを有するステープル(すなわち、外科用ファスナー125c)が組織の両方の層を固定し得、その一方、組織の固定された層の外傷を最小にするようである。上記ギャップは、ステープルカートリッジ510’の外壁に向かって増加し(すなわち、圧縮の量は減少する)、そしてより長い脚長さを有する外科用ファスナー(すなわち、外科用ファスナー125aおよび125b)は、組織の両方の層を固定し得る。
【0090】
外科用ファスナー125c、125b、および125aの脚長さは、内壁516から外壁514に向かって移動する方向で増加する。内壁516に直交している平面に沿って増加する脚長さを有する外科用ファスナーを提供することによって、完成した(すなわち、成形された)外科用ファスナーは、組織の接続される層に過度に外傷を与えることなく増加する組織の厚みを接続する。
【0091】
図11に示されるような、さらなる実施形態では、作動ツール506’’はステープルカートリッジ510’およびアンビル部材308’を含む。ステープルカートリッジ510’は、図10を参照して本明細書で上記で先に詳細に論議された。組織接触表面520は、図9Aおよび10の実施形態におけるより均一な角度(図11)を規定し得、ここで、組織接触表面の角度またはピッチは、内壁516と外壁514との間で実質的に一定である。アンビル部材308’は、テーパー状の表面322’および324’を有する組織接触表面320’を含む。表面322’および324’は、内方に(すなわち、ステープルカートリッジ510’の中央線に向かって)および下方に(すなわち、組織接触面520に向かって)延び、それによって角度を規定しながら、アンビル部材308’の外壁に連結される。テーパー状の表面322’および324’によって規定される角度は、組織接触面520によって規定される角度に実質的に類似しているが、反対方向でありほぼV形状の形態を形成することが想定される。それ故、組織の層に付与される圧縮力はさらに減少され、それによって、組織接触表面520と320’との間に配置された組織の層への外傷をさらに減少する。図10の実施形態におけるように、組織の層に付与される最大圧力はナイフチャネル530の近傍の領域に存在し、その一方、組織の層に付与される圧力は外壁514に向かって均一に減少する。外科用ファスナー125a~cの形成および位置は、付属の利点とともに図10の実施形態のそれと実質的に類似している。
【0092】
ここで、図12を参照して、本開示のさらなる実施形態が作動ツール606の一部として示される。作動ツール606は、ステープルカートリッジ610およびアンビル部材308を含む。この実施形態では、組織接触表面620は、表面622および624を含む。表面622は、ナイフチャネル630によってその長軸方向軸に沿って二分され、そして底表面612に実質的に平行であるか、または外科用ファスナー125a、125b、または125cのバックスパンによって規定される平面に平行である。さらに、表面622は、ナイフチャネル630の各々の側にある保持スロット623の少なくとも1つの列を収容するに十分な幅寸法を有する。表面624は、表面622の外側エッジを外壁614に連結し、内壁616に実質的に直交する(すなわち、表面622に実質的に平行である)平面に対してナイフチャネル630のいずれかの側で角度を規定し、そしてナイフチャネル630の各々の側にある保持スロットの少なくとも1つの列を収容するに十分な幅寸法を有する。ステープルカートリッジ610は、図9Aおよび10に関して先に詳細に論議された、複数の外科用ファスナー125a~cおよびファスナー射出部材540を含む。特に、ステープルカートリッジ610は、ステープルカートリッジ510’に関して記載されたように(図10および11)、外科用ファスナー125a~cの配列およびファスナー射出部材540を含む。
【0093】
作動ツール506と同様に、組織接触表面320は、ステープルカートリッジ610の組織接触表面620に近接して再位置決めされる。この配列では、それらの間に配置される組織の層に付与される圧力の量は、ステープルカートリッジ610の長軸方向軸に対して横方向である平面に沿って変動する。詳細には、組織接触表面320と表面622との間の距離は最小であり、最大圧力がこの領域中に配置された組織の層に付与される。逆に、組織接触表面320と表面624との間の距離は外壁614の近傍の領域で最大であり、最小圧力がこの領域に配置された層に付与される。表面624は外壁614に向かって傾斜し、実質的に均一な角度を規定するので、組織接触表面320と表面624との間に配置される組織の層に付与される圧力は、表面622の外側エッジから外壁614に向かって均一に減少する。
【0094】
表面622のエッジから下方に表面624を角度付けることにより、減少した圧縮力が、織接触表面320と表面624との間に配置される組織の層に付与され、それによって、それらの間に配置される組織の層への外傷を最小にする。織接触表面320と620との間に配置された組織の層は、ナイフチャネル630に最も近くで最小の厚みを、そして外壁614の最も近くで最大の厚みを有する。さらに、アンビル部材308およびステープルカートリッジ610は、組織の層に付与される圧縮力が最小であり、それによって組織の層への外傷をさらに減少するような寸法であり、そして配列される。
【0095】
外科用ファスナー125c、125b、および125aの脚長さは、内壁616から外壁614に向かって移動する方向に増加する。内壁616に直交する平面に沿って増加する脚長さを有する外科用ファスナーを提供することにより、完成した(すなわち、形成された)外科用ファスナーは、接合された組織の層に過度に外傷を与えることなく、組織の増加する厚みを接続する。
【0096】
さらなる実施形態では、作動ツール606’が図13に示される。作動ツール606’は、図12に関して本明細書で上記に詳細に説明されたステープルカートリッジ610、およびアンビル部材308’’を含む。アンビル部材308’’は、表面332’’および336’’から形成される組織接触表面320’’を含む。表面336’’は、表面622に実質的に平行であり、そして表面622の幅寸法に実質的に類似する幅寸法を有する。表面332’’はテーパー状であり、そしてアンビル部材308’’の外壁に連結され、そして内方(すなわち、ステープルカートリッジ610の中央線に向かって)、かつ下方(すなわち、組織接触表面620に向かって)延び、それによって角度を規定する。テーパー状表面332’’によって規定される角度は、表面624によって規定される角度に実質的に類似しているが、反対の方向である。それ故、組織の層に付与される圧縮力はさらに減少され、それによって表面624と332’’の間に配置された組織の層への外傷をさらに減少する。図10の実施態様におけるように、組織の層に付与される最大圧力は表面622に沿った領域中に存在し、その一方、組織の層に付与される圧力は、外壁614に向かい表面624に沿って均一に減少する。外科用ファスナー125a~cの形成および位置は、付属の利点とともに図12の実施形態のそれと実質的に類似している。
【0097】
なお別の実施形態では、作動ツール706が図14に示される。ステープルカートリッジ710は、ステープルカートリッジ610と類似する。ステープルカートリッジ610と710との間の差異を本明細書で以下に論議される。ステープルカートリッジ610(図12)におけるように、ステープルカートリッジ710は、表面722と724とから形成される組織接触表面720を含む。表面722は、表面622とは、それが、少なくとも2つの列の外科用ファスナーを収容するに十分な幅寸法を有する点で異なる。ステープルカートリッジ610におけるように、表面724は、表面722の外側エッジおよび外壁714に取り付けられ、角度を規定する。組織を捕獲し、そして外科用ファスナーを形成するために、ステープルカートリッジ710とアンビル部材308との間の相互作用は、ステープルカートリッジ610とアンビル部材308との間の相互作用に実質的に類似しており、そして簡潔さのため、本明細書中で繰り返されない。
【0098】
図15では、作動ツール706’の代替の実施形態が示される。作動ツール706’は、本明細書中上記で論議されたような、ステープルカートリッジ710、およびアンビル部材308’’を含む。アンビル部材308’’は、表面332’’および336’’から形成される組織接触表面320’’を含む。表面336’’は、表面722に実質的に平行であり、そして表面722の幅寸法に実質的に類似している幅寸法を有する。表面322’’はテーパー状であり、そしてアンビル部材308’’の外壁に連結され、そして内方(すなわち、ステープルカートリッジ710の中央線に向かって)、かつ下方(すなわち、組織接触表面720に向かって)延び、それによって角度を規定する。テーパー状表面332’’によって規定される角度は、表面724によって規定される角度に実質的に類似しているが、反対の方向であることが想定される。それ故、組織の層に付与される圧縮力はさらに減少され、それによって表面724と332’’の間に配置された組織の層への外傷をさらに減少する。図14の実施態様におけるように、組織の層に付与される最大圧力は表面722に沿った領域中に存在し、その一方、組織の層に付与される圧力は、外壁714に向かい表面724に沿って均一に減少する。外科用ファスナー125a~cの形成および位置は、付属の利点とともに図14の実施形態のそれと実質的に類似している。
【0099】
ここで、図16Bを参照して、ステープルカートリッジ510’の発射後の得られる組織界面の断面が示される。図16Bに見られるように、この組織界面は、実質的にテーパー状のプロフィールを有する。特に、外科用ファスナー125a~125cのいくつかまたはすべては、組織「A」および「B」を互いに保持するために供され、その一方、外科用ファスナー125cはまた、止血を提供する。この得られる断面はまた、ステープルカートリッジ610および710の発射に適用可能である。ステープルカートリッジ510が発射されるとき、外科用ファスナー125a~125cのいくつかまたは全部は、組織「A」および「B」を互いに保持するために供され、その一方、外科用ファスナー125aはまた、止血を提供する。組織「A」および「B」の層が、従来の外科用ステープル留めデバイスおよび従来のステープル「S」を用いて固定されるとき、図16Aに示される組織の非固定層から組織の固定層まで鋭い遷移が存在する。これは、組織の層上に位置されるより大きな負荷を生じ得、そして組織の層上に所望されない影響を生じ得る。比較して、図16Bに示されるように、この組織界面は、組織の非固定層から組織の固定層まで段階的な遷移を有し、そしてまた、組織の固定された層内にある。この配列は、形成された外科用ファスナー125a~cの変動するサイズに起因して段階的な組織負荷または圧縮を提供し、それによって、比較的高い程度の止血および吻合強度を維持しながら組織外傷を最小にする。
【0100】
本開示のさらなる実施形態では、図8および10に示されるように、作動ツール506’は、創傷閉鎖アセンブリ50を含む。創傷閉鎖アセンブリ50は、少なくとも1つの貯蔵デバイスまたはリザーバー52および少なくとも1つの供給ライン54を含む。供給ライン54は、所定量の創傷閉鎖材料「W」を送達するために、リザーバー52をステープルカートリッジ510’に流体的に連結する。特に、供給ライン54は、創傷閉鎖材料「W」を、ナイフチャネル530中に、外科用ファスナー125a~cが形成されるとき、創傷閉鎖材料「W」が組織接触表面520に隣接する組織の層(すなわち、標的部位)に沿って移動するように送達する。外科用ファスナー125a~cと組み合わせて創傷閉鎖材料「W」を提供することにより、組織の層間に形成された結合は、改良された強度を有する。
【0101】
リザーバー52の圧縮は、その中に含まれる創傷閉鎖材料「W」を、供給ライン54を通って押され、そしてナイフチャネル530を経由して分与されることを生じる。好ましくは、創傷閉鎖材料「W」は、ステープル発射手順の間に分与され、創傷閉鎖材料「W」は、ステープルラインおよび/またはナイフ切断線の長さに沿って分与される。創傷閉鎖アセンブリは、図10に関して論議され、そして示されているが、創傷閉鎖アセンブリ50は、その他の開示されたステープルカートリッジ510’(すなわち、510、610、または710)との使用に適合可能であることが企図される。さらなるリザーバーが、2つの物質を組み合わせることにより形成される創傷閉鎖材料のために含められ得ること、またはリザーバー52が、創傷閉鎖材料「W」を形成するために組み合わされるべき所定量の物質を貯蔵するための複数の内部チャンバー(点線で示される)を含み得ることがさらに企図される。
【0102】
創傷閉鎖材料「W」は、接着剤、止血剤、封止剤の1つまたは組み合わせを含み得ることが想定される。外科用器具、特に外科用ステープラーで採用され得るか、または付与され得る外科用生体適合性創傷閉鎖材料は、その機能が器官、組織または構造を付着または保持することである接着剤、流体の漏れを防ぐ封止剤、および出血を止めるか、または防ぐ止血剤を含む。採用され得る接着剤の例は、タンパク質由来接着剤、アルドヒドを基礎にした接着剤、例えば、Cryolife,Inc.によって、商標名BIOGLUETMの下で販売される市販のアルブミン/グルタルアルデヒド材料、およびTyco Healthcare Group,LPおよびEthicon Endosurgery,Inc.によって商標名INDERMILTMおよびDERMA BONDTMの下でそれぞれ販売されるシアノアクリレートを基礎にした材料を含む。採用され得る封止剤の例は、フィブリン封止剤およびコラーゲンを基礎にした組織封止剤および合成ポリマーを基礎にした組織封止剤を含む。市販の封止剤の例は、Cohesion TechnologiesおよびBaxter International,Inc.によって商標名COSEALTMの下で販売される合成ポリエチレングリコールを基礎にしたヒドロゲル材料である。採用され得る止血剤材料の例は、フィブリンを基礎にした局所止血剤、コラーゲンを基礎にした局所止血剤、酸化再生セルロースを基礎した局所止血剤およびゼラチンを基礎にした局所止血剤を含む。市販の止血剤材料は、Tyco Healthcare
Group,LPによって商標名COSTASISTMの下で販売され、そしてBaxter International,Inc.によって商標名TISSEELTMの下で販売される、フィブリノーゲン-トロンビン組み合わせ材料である。本明細書中の止血剤は、収斂剤、例えば、硫酸アルミニウム、および凝固剤を含む。
【0103】
創傷閉鎖材料「W」の分与は、一時的、連続的、または頻繁に付与される霧を含む任意の適切な容量の流体スプレーとしてであり得ることが理解されるべきである。粒子状材料、例えば、微細粉末が、本開示の範囲内の流体であることが企図される。
【0104】
多くの異なる創傷閉鎖材料「W」が、創傷閉鎖アセンブリ50によって分与され得ること、または多くの異なる創傷閉鎖材料「W」の組み合わせが提供される。創傷閉鎖アセンブリ50によって分与される創傷閉鎖材料は、例えば、硫酸アルミニウムのような収斂剤であり得、これは、小血管を閉鎖させ、そして血液が凝固することを支援する。創傷閉鎖材料「W」は、Requa,Inc.から商標名NO NIX(登録商標)Syptic
Pencilsの下で市販の材料で提供される収斂剤であり得ることが提供される。
【0105】
ここで、図17A~Fを参照して、現在開示される作動ツールのさらなる実施形態が示される。図17Aに示されるように、作動ツール806aは、アンビル部材308およびステープルカートリッジ810aを含む。アンビル部材308は、図9Aを参照して本明細書中上記に先に記載されたので、簡潔さのために、再び論議されない。さらに、ステープルカートリッジ810aは、本明細書で以下に論議される差異を備えて、ステープルカートリッジ710(図14)と同様である。ステープルカートリッジ710と同様に、ステープルカートリッジ810aは、組織接触表面820、外壁814および内壁816、ナイフチャネル830、および底表面812を含む。ステープルカートリッジ810a内に位置して、ステープルカートリッジ710に関して先に論議された複数の外科用ファスナー125a、125b、および125cがある。さらに、ステープルカートリッジ810aは、図9に関して先に記載された複数のファスナー射出部材540を含む。
【0106】
この実施形態では、表面822および824は、組織接触表面820を規定する。現在開示されるステープルカートリッジの先の実施形態でのように、組織接触表面820は、複数の保持スロット823を含む。表面822は、底表面812に実質的に平行である平面状表面であり、その一方、表面824は、ほぼ弓状の表面である。各表面822、824は、保持スロット823の少なくとも1つの列を含む。さらに、内壁816は第1の高さを有し、そして外壁814は第2の高さを有し、ここで、この第1の高さは第2の高さより大きい。表面824の1つのエッジは外壁814に取り付けられ、その一方、反対のエッジは、表面822のエッジに取り付けられ、それによって、表面822に対してほぼ凹状の表面を規定する。
【0107】
現在開示される作動ツールの先の実施形態と同様に、アンビル部材308の組織接触表面320は、ステープルカートリッジ810aの組織接触表面820に近接して再位置決めされる。この配列では、それらの間に配置される組織の層に付与される圧力の量は、ステープルカートリッジ810aの長軸方向軸を横断する平面に沿って変動する。詳細には、組織接触面320と表面822との間の距離は、最大の圧力がこの領域に配置される組織の層に付与されるように最小である。逆に、組織接触表面320と表面824との間の距離は、外壁814の近傍の領域で、最小の圧力がこの領域に配置される層に付与されるように最大である。表面824は、それが外壁814に接近するにつれて下方に湾曲するので、組織接触表面320と表面824との間に配置される組織の層に付与される圧力は、表面822の外側エッジから外壁814に向かって減少する。圧力減少の量は、表面824の湾曲の関数である。
【0108】
表面822のエッジから下方に湾曲する表面824によって、減少した圧縮力が、組織接触表面320と表面824との間に配置される組織の層に付与され、それによってそれらの間に配置された組織の層への外傷を最小にする。組織接触表面320と820との間に配置された組織の層は、ナイフチャネル830の最も近くで最小の厚み、そして外壁814の最も近くで最大の厚みを有する。さらに、アンビル部材308およびステープルカートリッジ810aは、組織の層に付与される圧縮力が最小であるような寸法および配列であり、それによって、組織の層への外傷をさらに減少する。
【0109】
外科用ファスナー125c、125b、および125aの脚長さは、内壁816から外壁814まで移動する方向に増加する。内壁816に直交する平面に沿って増加する脚長さを有する外科用ファスナーを提供することにより、完成した(すなわち、形成された)外科用ファスナーは、接合された組織の層に過度に外傷を与えることなく増加する厚みの組織を接続する。外科用ファスナー125a~cおよびファスナー射出部材540のより詳細な説明は、図9を参照して本明細書中の上記で論議されている。
【0110】
図17Bに示される実施形態では、作動ツール806bは、ステープルカートリッジ810aに実質的に類似するステープルカートリッジ810bを含み、それらの間には以下で論議される差異をともなう。ステープルカートリッジ810bでは、外壁814’および内壁816’は、ステープルカートリッジ810aの外壁814および内壁816より低い高さを有する。この形態では、組織接触表面820は、底表面812に、外科用ファスナー125a、125b、および125cの先端部が保持スロット823中に延び、そして組織接触表面820と実質的に同一平面にあるようにより近接している。
【0111】
ここで、図17Cおよび17Dを参照して、作動ツール806cおよび806dが示される。作動ツール806cおよび806dは、(本明細書の上記で論議されたような)ステープルカートリッジ810aおよび810bをそれぞれ含む。これらの実施形態では、アンビル部材308aが、アンビル部材308と置き換わる。この実施形態では、アンビル部材308aは、表面332aおよび336bから形成される組織接触表面320aを含む。表面336aは、表面822に実質的に平行であり、そして表面822の幅寸法と実質的に類似している幅寸法を有する。表面332aは、アンビル部材308aの厚みがその外側エッジに近傍の領域で最小であり、そして表面336aに沿って最大であるようにほぼ弓状である。表面332aによって規定される湾曲は、表面824によって規定される湾曲と実質的に類似しているが、反対方向である(すなわち、表面822に対して凸状関係を規定する)。それ故、組織の層に付与された圧縮力はさらに減少され、それによって、表面824と332aとの間に位置決めされる組織の層への外傷をさらに減少する。
【0112】
図17Aおよび17Bの実施形態におけるように、組織の層に付与される最大圧力は表面822に沿った領域に存在し、その一方、組織の層に付与される圧力は、壁814、814’に向かって表面824に沿って減少する。表面824および332aによって規定される勾配に沿った圧力における減少は、各表面の湾曲に比例する。外科用ファスナー125a~cの形成および位置は、付随の利点とともに、図17Aおよび17Bの実施形態のそれと実質的に類似している。
【0113】
さらなる実施形態では、作動ツール906が図18Aに示される。作動ツール906は、アンビル部材308およびステープルカートリッジ910を含む。ステープルカートリッジ910は、ステープルカートリッジ810と実質的に類似しており、ここで、同一または類似の構成要素は、従って、番号を付け替え、そして差異が本明細書の以下で詳細に論議される。組織接触表面920は、表面922および924を含み、ここで、各表面は、複数の保持スロット923を含む。図17A~Dに示される実施形態と類似して、表面922は、底表面912と実質的に平行であるほぼ平面状の表面であり、そして内壁916とのその接続部で直角を規定する。表面924はまた、底表面912および表面922と実質的に平行であるほぼ平面状の表面であり、ここで表面922および924は、それらが互いと同一平面でないように垂直方向に間隔を置かれる。さらに、内壁916は第1の高さを有し、そして外壁914は第2の高さを有し、ここで、この第1の高さは第2の高さより大きい。
【0114】
現在開示される作動ツールの先の実施形態におけるように、アンビル部材308の組織接触表面320は、ステープルカートリッジ910の組織接触表面920の近位方向に再位置決めされる。この配列では、それらの間に配置される組織の層に付与される圧力の量は、ステープルカートリッジ910の長軸方向軸を横断する平面に沿って変動する。詳細には、組織接触表面320と表面922との間の距離は、最大の圧力がこの領域に配置される組織の層に付与されるように最小である。逆に、組織接触表面320と表面824との間の距離は、最小の圧力がこの領域に配置された層に付与されるように最大である。表面924はほぼ平面状であるので、組織接触表面320と表面924との間に配置される組織の層に付与される圧力は、実質的に均一であり、そして組織接触表面320と表面922との間に位置決めされる組織の層に付与される圧力より小さい。
【0115】
外科用ファスナー125c、125b、および125aの脚長さは、内壁916から外壁914に向かって移動する方向に増加する。内壁916に直交している平面に沿って増加する脚長さを有する外科用ファスナーを提供することにより、完成した(すなわち、形成された)外科用ファスナーは、接続される組織の層に過度の外傷を与えることなく、組織の増加する厚みを接続する。外科用ファスナー125a~cおよびファスナー射出部材540のより詳細な説明は、図9を参照して本明細書中上記で論議されている。
【0116】
ここで、図17Eを参照して、作動ツール806のさらなる実施形態が示され、そして作動ツール806eとして参照される。作動ツール806eは、作動ツール806a(図17A)と実質的に同じかまたは類似の構成要素を含み、差異は、本明細書で以後論議される。特に、作動ツール806eは、アンビル部材308およびステープルカートリッジ810bを含む。ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジ810aと、組織接触表面824aがステープルカートリッジ810bの中央線から外壁514まで延びる弓状構造である点で異なる。組織接触表面824aと組織接触表面320との間の配列は、図17A~Dに示される実施形態で提供される配列が提供するのと同じ利点および利益を提供する。
【0117】
あるいは、ステープルカートリッジ810bは、アンビル部材308dとともに用いられ得、図17Fに示される作動ツール806fを形成する。アンビル部材308dは、組織接触表面824aに実質的に相補的である組織接触表面320dを含む。この形態では、実質的に均一なギャップが、作動ツール806fの中央線からその外壁814までの表面間で維持される。
【0118】
現在開示される作動ツールのさらなる実施形態が図18Bに示され、ここでは、アンビル部材308がアンビル部材308bによって置換される。作動ツール906aは、ステープルカートリッジ910およびアンビル部材308bを含む。特に、アンビル部材308bは、表面332bおよび336bによって規定される組織接触表面320bを含む。図17Dに示される実施形態と同様に、アンビル部材308bの組織接触表面320bは、ステープルカートリッジ910の組織接触表面920に相補的であり、その結果、より大きなギャップが、表面924と組織接触表面320(図18A)との間より、表面924と332bとの間で規定される。この形態では、減少した量の圧力がそれらの間に捕捉された組織の層に付与される。
【0119】
ここで、図19Aおよび19Bを参照して、作動ツール1006aおよび1006bが示される。作動ツール1006aは、アンビル部材308およびステープルカートリッジ1010を含む。ステープルカートリッジ1010は、ステープルカートリッジ510と実質的に同様であり、ここで、同一または類似の構成要素は、従って、番号が付け替えられ、そして差異は、本明細書で以下に詳細に論議される。表面1020は実質的に平面状であり、そして底表面1012に実質的に平行である。この実施形態では、充填剤層1070が表面1020上に位置決めされる。充填剤層1070は、外科用ファスナー125a~cが完成した外科用ファスナーの形成の間に通過することを許容しながら、組織の層を支持するに十分な弾性を有する材料から形成される。充填剤層1070は、ステープルラインで組織を補強するために用いられる有機または合成組織である支持材料であり得る。適切な材料の例は、W.L.Gore&Associates、Inc.のSEAMGUARD(登録商標)を含む。
【0120】
充填剤層1070は、ナイフチャネル1030近傍の最大高さから外壁1014近傍の最小高さに向かってテーパー状であるほぼ三角形の構造である。それ故、組織接触表面320と充填剤層1070との間で規定されるギャップは、ナイフチャネル1030近傍で最小であり、そして外壁1014近傍で最大である。従って、組織接触表面320と充填剤層1070との間に捕捉された組織の層に付与される圧力の量は、ナイフチャネル1030近傍で最小であり、そして外壁1014近傍で最大であり、それによって、外科用ファスナーを形成することに関して先の実施形態におけるような付随する利点を提供し、そして組織の層に対する外傷を最小にする。さらに、充填剤層1070は、弾性または準弾性材料から形成され得、それによって、組織接触表面320と表面1020との間に捕捉されている組織の層への外傷をさらに最小にする。
【0121】
あるいは、点線で示される第2の充填剤層1070が、組織接触表面320上に位置決めされ得る。ステープルカートリッジ1010は、実施されるべき外科手順に従って、組織接触表面1020上、組織接触表面320上、または両方の組織接触表面320、1020上に配置された充填剤層1070を含み得る。
【0122】
図19Bでは、作動ツール1006bは、アンビル部材308’と協働する先に記載されるステープルカートリッジ1010を含む。アンビル部材308’は、テーパー状表面322’および324’を有する組織接触表面320’を含む。表面322’および324’は、内方(すなわち、ステープルカートリッジ1010の中央線に向かい)および下方(すなわち、組織接触表面1020に向かい)に延びながら、アンビル部材308’の外壁に接続され、それによって所定の角度を規定する。テーパー状表面322’および324’によって規定される角度は、充填剤層1070によって規定される角度に実質的に類似しているが、反対方向にほぼV形状の形態を形成することが想定される。それ故、組織の層に付与される圧縮力はさらに低減され、それによって、組織接触表面320’と充填剤層1070との間に配置された組織の層への外傷をさらに低減する。組織の層に付与される最大圧力はナイフチャネル1030近傍の領域に存在し、その一方、組織の層に付与される圧力は、外壁1014に向かって均一に減少する。外科用ファスナー125a~cの形成および位置は、付随する利点とともに図19Aの実施形態のそれらと実質的に類似している。
【0123】
ここで、図20Aを参照して、ステープルカートリッジ412’(図7A)の代替の実施形態が示され、そして本明細書で以下に説明される。ステープルカートリッジ412’’は、ステープルカートリッジ412’と類似しており、ここで、同一または類似の構成要素は従って番号を付け替えられ、そして差異が本明細書で以下に詳細に論議される。ステープルカートリッジ412’’は、複数の組織接触表面421a~cを含み、ここで、各組織接触表面は、ほぼ平面状構造である。3つの表面のうち、組織接触表面421bは最大高さを有し、そして組織接触表面421aおよび421cとは垂直方向に間隔を置かれる。組織接触表面421a~cは互いとは実質的に平行であり、ここで、組織接触表面421bは組織接触表面421aまたは421cのいずれとも同一平面内に横たわらない。
【0124】
アンビル部材408は、ポケット450および組織接触表面430を含む。ポケット450は、完成した外科用ファスナーを形成するために保持スロット123と実質的に整列する。この形態では、最小のギャップは、組織接触表面430と組織接触表面421bとの間で規定され、その一方、最大のギャップが、組織接触表面430と組織接触表面421aおよび421cとの間に規定される。外科用ファスナー425a~cは、組織接触表面421a~cをそれぞれともなう。外科用ファスナー425a~cは、外科用ファスナー125a~cと実質的に類似しており、そしてそれらの間の差異は、本明細書で以下に詳細に論議される。1つの実施形態では、外科用ファスナー425aおよび425cは実質的に同一であり、そして外科用ファスナー425bより大きい脚長さを有する。組織接触表面と外科用ファスナーのこの配列を提供することにより、低減された圧縮力が、現在開示されるステープルカートリッジのその他の実施形態に関して先に論議されたように、組織接触表面430と組織接触表面421a、421cとの間に配置された組織の層に付与される。
【0125】
代替例では、ステープルカートリッジ412’’は、図20Bに示されるように、アンビル部材408aと協働して用いられ得る。アンビル部材408aは、ポケット450および組織接触表面430’を含む。さらになお、組織接触表面430’は、表面432および434を含む。表面432、434の各々は、ステープルカートリッジ412’’の組織接触表面421a~cに実質的に平行であるほぼ平面状の表面である。表面432は、表面434から、表面434と組織接触表面421bとの間で規定されるギャップが最小で、その一方表面432と組織接触表面421a、421cとの間で規定されるギャップが最大であるように垂直方向に間隔を置かれる。それ故、低減された圧縮力が、組織接触表面421a、421cとアンビル部材408aの表面432との間に配置された組織の層に付与される。
【0126】
あるいは、ステープルカートリッジ412’’は、図20Cに示されるように、アンビル部材408bと協働して用いられ得る。アンビル部材408bは、表面432aおよび434aを含む。アンビル部材408aの表面432および434(図20B)とは対称的に、表面432aおよび434aはほぼ弓状である。この形態では、アンビル部材408bとステープルカートリッジ412’’との間に位置決めされる組織へのいかなる可能性のある外傷は減少され、その一方、アンビル部材408bの組織接触表面とステープルカートリッジ412’’の組織接触表面との間の増加したギャップの利点おび利益は維持される。
【0127】
現在開示される作動ツールのさらなる実施形態が図21Aに示され、そして一般に1106として指定される。作動ツール1106は、ステープルカートリッジ1110およびアンビル部材308を含む。アンビル部材308は、図9を参照して先に詳細に説明された。ステープルカートリッジ1110は、ステープルカートリッジ510(図9)と同一または実質的に類似の構成要素を含み、ここで、同一または類似の構成要素は従って番号を付け替えられ、そして差異は本明細書で以下に詳細に論議される。
【0128】
特に、ステープルカートリッジ1110は、外科用ファスナー125a~cおよび対応するプッシャー1140を含む。さらに、ステープルカートリッジ1110は、外壁1114、内壁1116、および鉛直部材1118を含む。内壁1116は、それらの間にナイフチャネル1130を規定するために間隔を置かれ得る。さらに、鉛直部材1118は、内壁1116に接するほぼ平面状の構造であり、そして内壁1116の高さに少なくとも等しい高さを有する。上部プレート1154は、内壁1116および外壁1114を連結するほぼ平面状の構造である。1つの実施形態では、上部プレート1154は、底表面1112に実質的に平行である。さらに、上部プレート1154は、複数の保持スロット1123を含む。上部プレート1154の上に垂直方向に間隔を置かれて交差部材1150がある。
【0129】
交差部材1150は、上部プレート1154の保持スロット1123と整列される複数の開口部1125を含む。さらに、交差部材1150は、第1の位置で、底表面1112と実質的に平行である組織接触表面1120を規定する。詳細には、交差部材1150の内側エッジは、鉛直部材1118のエッジに柔軟に取り付けられ、その一方、外側エッジ1156は、外壁1114の上部エッジ1114aから離れて間隔を置かれ、それらの間にギャップ1152を規定する。交差部材1150は、組織の層が組織接触表面320と1120との間に位置決めされるとき、交差部材1150が底表面1112に対してその実質的に平行な関係を維持するように十分な剛直性を有する。ギャップ1152は、組織接触表面1120による曲げの量を制御するエラストマー圧縮部材を含み得る。
【0130】
アンビル部材308およびステープルカートリッジ1110は、より緊密な協働配列にされ(すなわち、接近および/または外科用ファスナーの形成の間)、アンビル部材308とステープルカートリッジ1110との間の相対的移動によって生成される圧縮力は、外側エッジ1156を上部エッジ1114aに向かって押し、それによってギャップ1152を減少する。さらに、交差部材1154(点線で示される)は、底壁1112に向かって曲げられ、それによって、外壁1114で組織接触表面320と1120との間の増加した距離を提供し、その一方、鉛直部材1118で組織接触表面320と1120との間の固定された(すなわち、曲げられない)距離を維持する。交差部材1154が曲げられるにつれ、組織接触表面320と1120との間の距離は、ステープルカートリッジ1110の長軸方向軸を横断する軸に沿って増加する。横断方向軸に沿って任意の選択された位置での組織接触表面320と1120との間の距離は、交差部材1154によって提供される曲げの量に関係する。交差部材1150は、少なくとも、底表面1112に実質的に平行である第1の位置、および外側エッジ1156が上部エッジ1114aと接触している第2の位置を含む複数の位置を通じて位置決め可能である。
【0131】
アンビル部材308の組織接触表面320がステープルカートリッジ1110の組織接触表面1120の近位方向に再位置決めされるとき、それらの間に配置された組織の層に付与される圧力の量は、ステープルカートリッジ1110の長軸方向軸の横断方向である平面に沿って変動する。組織接触表面1120は外壁1114に向かって傾斜するので、組織接触表面320と1120との間に配置される組織の層に付与される圧力は、内壁1116から外壁1114まで減少する。さらになお、交差部材1150が上部プレート1154に向かって曲がるとき、それは、組織接触表面520に類似の湾曲表面を規定する(図9)。開口部1125は、交差部材1150が上部プレート1154に向かって押されるとき、開口部1125および保持スロット1123の整列は、外科用ファスナー125a~cを妨害しない経路を規定し、それによって外科用ファスナー125a~cが組織の層を係合し、そしてアンビル部材308と接触することを可能にするようなより大きな幅寸法を有する。
【0132】
組織接触表面1120をステープルカートリッジ1110の中央線から下方に曲げることにより、低減された圧縮力が、組織接触表面320と1120との間に配置された組織の層に付与され、それによってそれらの間に配置された組織の層への外傷を最小にする。従って、組織接触表面320と1120との間に配置された組織の層は、ナイフチャネル1130に最も近く(すなわち、ステープルカートリッジ1110の中央線に最も近く)で最小厚みを有し、そして外壁1114に最も近くでの最大厚みまで段階的に増加する。
【0133】
外科用ファスナー125c、125b、および125aの脚長さは、内壁1116から外壁1114に向かって移動する方向に増加する。内壁1116に直交する平面に沿って増加した脚長さを有する外科用ファスナーを提供することにより、完成した(すなわち、成形された)外科用ファスナーは、接合された組織の層に過度の外傷を与えることなく組織の増加する厚みを接続する。
【0134】
ここで、図21Bを参照して、現在開示される作動ツールの代替の実施形態が示され、そして1106aとして参照される。作動ツール1106aは、図11を参照して詳細に論議されたアンビル部材308’と協働する、上記で論議されたようなステープルカートリッジ1110を含む。アンビル部材308’は、テーパー状の表面322’および324’を有する組織接触表面320’を含む。テーパー状表面322’および324’によって規定される角度は、組織接触表面1120によって規定される角度に実質的に類似しているが、反対方向であり、ほぼV形状の形態を形成することが想定される。それ故、組織の層に付与される圧縮力はさらに低減され、それによって、組織接触表面1120と320’との間に配置された組織の層への外傷をさらに減少する。先の実施形態におけるように、組織の層に付与される最大圧力は、ナイフチャネル1130近傍の領域中に存在し、その一方、組織の層に付与される圧力は、外壁1114に向かって均一に減少する。外科用ファスナー125a~cの形成および位置は、付随する利点とともに図21Aの実施形態のそれと実質的に類似している。
【0135】
さらなる実施形態が図22A~Cに示され、そして本明細書中以下に論議される。最初に図22Aを参照して、作動ツール1206aが示され、そしてこれは、アンビル部材308dおよびステープルカートリッジ1210を含む。特に、ステープルカートリッジ1210は、外科用ファスナー125a~cおよびファスナー射出部材540を含み、これらは、図9Aに関して先に詳細に論議された。先の実施形態と同様に、ステープルカートリッジ1210は、底表面1212、外壁1214、内壁1216、およびナイフチャネル1230を含む。さらに、ステープルカートリッジ1210は、表面1222および1224から形成される組織接触表面1220を含む。表面1222および1224の各々は、外科用ファスナーの少なくとも1つの列を収容するに十分である幅寸法を有する。図22Aに示されるように、表面1222は底表面1212に実質的に平行であり、その一方表面1224はほぼ弓状の構造である。さらになお、表面1224の最も高い部分は、底表面1212から測定されたときと実質的に同じ高さの寸法を有する。相補的アンビル部材308dが作動ツール1206a中に提供され、ここで、アンビル部材308dは、表面1222およびナイフチャネル1230に対応する実質的に平面状の表面322dを含む。さらに、アンビル部材308dは、ステープルカートリッジ1210の表面1224に対応するようにほぼ弓状である表面324dを含む。ステープルカートリッジ1210とアンビル部材308dとの間のこの整列を提供することにより、実質的に均一な組織ギャップがアンビル部材308dの表面とステープルカートリッジ1210の表面との間で規定される。
【0136】
あるいは、図22Bに示されるような作動ツール1206bは、ステープルカートリッジ1210bと協働するアンビル部材308eを含む。ステープルカートリッジ1210aは、ステープルカートリッジ1210(図22A)と実質的に類似しており、それらの間の差異は以下に論議される。最も目立つのは、組織接触表面1220aは、表面1222a、1224a、および1226aを含む。表面1222aおよび1224aは、図22Aの表面1222および1224に実質的に類似しており、その一方、表面1226は、表面1224より低い高さ寸法(すなわち、底表面1212に対して)を有するほぼ弓状の構造である。それ故、表面1222、1224、および1226は、ステープルカートリッジ1210aの中央線から外壁1214に向かって「降りる(step down)」。アンビル部材308eは、組織接触表面1220aを実質的に相補する組織接触表面320eを有する。従って、組織接触表面320eは、表面1222aおよびナイフチャネル1230に対応する実質的に平面状の表面322eを含む。さらに、アンビル部材308dは、ステープルカートリッジ1210aの表面1224aおよび1226aに対応するようにほぼ弓状である表面324eおよび326eを含む。ステープルカートリッジ1210aとアンビル部材308eとの間のこの整列を提供することにより、実質的に均一な組織ギャップが、アンビル部材308eの表面とステープルカートリッジ1210aの表面との間で規定される。
【0137】
あるいは、ステープルカートリッジ1210aは、図22Cに示されるようなアンビル部材308と協働して用いられ得る。この形態では、組織接触表面320と1220bとの間で規定されるギャップは、ナイフチャネル1230での第1のギャップから外壁1214における第2のギャップまで増加し、ここで、この第2のギャップは第1のギャップより大きい。
【0138】
外科用ステープル留め器具の現在開示される実施形態のすべては、外科用ファスナーとともに接続される組織の層に可変の圧力勾配(すなわち、負荷プロフィール)を提供する。従って、外科用ステープル留め器具の中央(すなわち、ステープルカートリッジの中央)に近接する組織の層は、より高い圧縮力(すなわち、負荷)を受け、それによって、この外科用ステープル留め器具の中央からより遠く離れている組織の層と比較して、より薄い組織の層を形成する。この外科用ステープル留めデバイスの中央に最も近い組織の層は、より多く圧縮され得るので、より小さいサイズの外科用ステープルまたはファスナーが、組織の切開された層を機械的に縫合(すなわち、固定)するために用いられ得る。さらになお、接続されるべき組織の層に段階的な圧縮勾配を提供すること(図16Bを参照のこと)は、より高い程度の止血を生じ得る。ステープルカートリッジの輪郭のある形状に起因して、組織の層は、外科用ステープル留め器具の中央でより多く圧縮され得る。なぜなら、組織の層は、アンビル部材がステープルカートリッジに対して移動されるとき、相対的に高い圧力の領域(すなわち、中央)から相対的に低い圧力の領域(すなわち、エッジ)まで転位(すなわち、移動)し得、それによって圧力勾配を規定するからである。
【0139】
さらに、上記で説明され、そして本明細書中に示される外科用ステープル留め器具の各々は、階段状プロフィールを有する組織接触表面を含んでいるが、本明細書中に開示される任意の外科用ステープル留め器具が、同一人に譲渡され、現在はTyco Healthcare Group LPに譲渡され、その全体の内容が本明細書中に参考として援用される「各々が協働する嵌合表面を有するアンビルおよびカートリッジを含む外科用ステープル留め装置」と題する、2003年5月11日に出願された米国特許出願第10/411,686号に開示されるような、角度をなす、円錐、テーパー状、弓状などを含むがこれらに制限されない多くのプロフィールの任意の1つを有する組織接触表面を有し得ることが想定される。
【0140】
種々の改変例が、現在開示される外科用ステープル留め器具の実施形態になされ得ることが理解される。従って、上記の説明は、制限すると解釈されるべきではなく、実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および思想内のその他の改変例を想定する。
【0141】
(要約)
外科用ステープル留め装置は、ステープルカートリッジおよびアンビル部材を含む。このステープルカートリッジは、保持スロットの列中に配置される複数の外科用ファスナーを含む。このステープルカートリッジは、保持スロットの環状または直線状形態を有し得る。このステープルカートリッジの組織接触表面は、テーパー状であるか、または階段状であり得る。アンビル部材は、上記保持スロットと実質的に整列するために整列された多くのポケットを含む組織接触表面を有する。さらに、上記アンビル部材の組織接触表面は、上記ステープルカートリッジの組織接触表面を相補し得る。
【産業上の利用可能性】
【0142】
端と端とを接した吻合、胃腸管吻合、内視鏡胃腸管吻合、および横断吻合のような種々の手順における使用のための外科用ステープル留めデバイスが提供される。
【符号の説明】
【0143】
25 ステープルの脚
27 ステープルのバックスパン
50 創傷閉鎖アセンブリ
52 リザーバー
54 供給ライン
56 開口部
100、200、300、400 外科用ステープル留め装置
102 ハンドルアセンブリ
103 ハンドル部材
104 管状本体部分
106
108 アンビルアセンブリ
109 アンビルヘッド
110 アンビルシャフト
118 ステープルカートリッジ
121 組織接触表面123 保持スロット
125 ステープル
130 ファスナー射出部材
138 ドライバーチューブ
408 アンビル部材
420 組織接触表面
425 ポケット
図1
図2
図2A
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C