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特開2022-33945自動運転システムのシーン復元テスト方法、装置、機器及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033945
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】自動運転システムのシーン復元テスト方法、装置、機器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/00 20060101AFI20220222BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220222BHJP
【FI】
B60W50/00
B60W60/00
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2021200290
(22)【出願日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】202110187446.X
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャオロン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】公道で遭遇するシーンではランダム性が高いため、テスト中に問題のあるシーンに再度遭遇することは困難であり、これらの問題が修正されたとしても、実際の車両に基づいて当該問題が効果的に解決されているかどうかを確認することができないという技術的問題を解決するために、自動運転システムのシーン復元テスト方法、装置、機器及びプログラムを提供する。
【解決手段】第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定する。非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定する。仮想障害物モデル及び実際の機器を利用して、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転システムのシーン復元テスト方法であって、
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、前記問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定することと、
前記非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、前記主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定することと、
前記仮想障害物モデル及び前記実際の機器を利用して、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うことであって、前記第2の自動運転システムが前記第1の自動運転システムを最適化したシステムであり、前記復元テストが前記問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられる、復元テストを行うことと、を含む、自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項2】
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得することは、
問題シーンライブラリに基づいて第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対応する問題発生時点を決定することと、
前記問題発生時点に基づき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータから、前記問題発生時点に対応する前記問題シーンデータを取得することと、を含み、
前記問題シーンライブラリには、自動運転車両が公道でテストされるときに遭遇する問題シーンの時間情報が設定されている、請求項1に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項3】
前記問題発生時点に基づき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータから、前記問題発生時点に対応する前記問題シーンデータを取得することは、
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータの中で、データ生成時点が前記問題発生時点より所定期間早かった第1のデータ、及び、データ生成時点が前記問題発生時点より所定期間遅かった第2のデータを前記問題シーンデータとすることを含む、請求項2に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項4】
前記問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定することは、
前記問題シーンデータに基づいて前記主要障害物情報と前記非主要障害物情報が含まれる障害物パラメータファイルを生成することと、
前記障害物パラメータファイルに基づき、前記主要障害物情報と前記非主要障害物情報を決定することと、を含む、請求項1に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項5】
前記問題シーンデータに基づいて障害物パラメータファイルを生成することは、
前記問題シーンデータの中の各障害物情報に基づき、問題シーンを生成して示すことと、
示される問題シーンに作用するマーク付け命令に応答し、前記問題シーンにおける主要障害物をマーク付けすることと、
前記障害物情報及びマーク付けされた前記主要障害物に基づき、前記障害物パラメータファイルを生成することと、を含む、請求項4に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項6】
前記非主要障害物情報には、輪郭や大きさが含まれ、前記非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成することは、
仮想シーンコントローラーを利用し、前記非主要障害物情報の中の輪郭や大きさに基づいて前記仮想障害物モデルを生成することを含む、請求項1に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項7】
前記仮想障害物モデル及び前記実際の機器を利用して、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うことは、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させることと、
前記非主要障害物情報に基づいて前記仮想障害物モデルの動きを制御し、前記主要障害物情報に基づいて前記実際の機器の動きを制御し、問題シーンをシミュレートすることと、
前記第2の自動運転システムに基づいて前記自動運転車両がシミュレートされた問題シーンで走行するように制御することと、を含む、請求項1に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項8】
前記非主要障害物情報には、前記問題シーンの各時点に対応する移動情報が含まれており、前記非主要障害物情報に基づいて前記仮想障害物モデルの動きを制御することは、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させる時刻、及び、前記非主要障害物情報の中の前記問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、前記仮想障害物モデルの動きを制御することを含む、請求項7に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項9】
前記主要障害物情報には、前記問題シーンの各時点に対応する移動情報が含まれており、前記主要障害物情報に基づいて前記実際の機器の動きを制御することは、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させる時刻、及び、前記主要障害物情報の中の前記問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、前記実際の機器の動きを制御することを含む、請求項7に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項10】
第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両のシミュレートされた前記問題シーンにおける走行状態、及び前記仮想障害物モデルに対応する第1の移動データ、前記実際の機器に対応する第2の移動データを取得することと、
前記走行状態、及び前記第1の移動データ、前記第2の移動データに基づき、テストレポートを生成することと、をさらに含む請求項1~9のいずれか1項に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項11】
前記走行状態、及び前記第1の移動データ、前記第2の移動データに基づき、テストレポートを生成することは、
前記走行状態、及び前記第1の移動データ、前記第2の移動データに基づき、予め設定された、前記問題シーンに対応するデータである所定のデータに対応するテストデータを生成することと、
前記所定のデータ及び前記テストデータに基づき、前記テストレポートを生成することと、を含む、請求項10に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法。
【請求項12】
自動運転システムのシーン復元テスト装置であって、
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、前記問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定するための取得ユニットと、
前記非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、前記主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定するためのシミュレーションユニットと、
前記仮想障害物モデル及び前記実際の機器を利用して、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うためのテストユニットであって、前記第2の自動運転システムが前記第1の自動運転システムを最適化したシステムであり、前記復元テストが前記問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられるテストユニットと、を含む、自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項13】
前記取得ユニットは、
問題シーンライブラリに基づいて第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対応する問題発生時点を決定するための時間取得モジュールと、
前記問題発生時点に基づき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータから、前記問題発生時点に対応する前記問題シーンデータを取得するためのデータ取得モジュールと、を含み、
前記問題シーンライブラリには、自動運転車両が公道でテストされるときに遭遇する問題シーンの時間情報が設定されている、請求項12に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項14】
前記時間取得モジュールは、
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータの中で、データ生成時点が前記問題発生時点より所定期間早かった第1のデータ、及び、データ生成時点が前記問題発生時点より所定期間遅かった第2のデータを前記問題シーンデータとするために用いられる、請求項13に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項15】
取得ユニットは、
前記問題シーンデータに基づいて前記主要障害物情報と前記非主要障害物情報が含まれる障害物パラメータファイルを生成するためのファイル生成モジュールと、
前記障害物パラメータファイルに基づき、前記主要障害物情報と前記非主要障害物情報を決定するためのファイル読み取りモジュールと、を含む、請求項12に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項16】
ファイル生成モジュールは、
前記問題シーンデータの中の各障害物情報に基づき、問題シーンを生成して示すこと、
示される問題シーンに作用するマーク付け命令に応答し、前記問題シーンにおける主要障害物をマーク付けすること、及び
前記障害物情報及びマーク付けされた前記主要障害物に基づき、前記障害物パラメータファイルを生成すること、に用いられる、請求項15に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項17】
前記非主要障害物情報には、輪郭や大きさが含まれ、
前記シミュレーションユニットは、
前記非主要障害物情報の中の輪郭や大きさに基づいて前記仮想障害物モデルを生成するための仮想シーンコントローラーを含む、請求項12に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項18】
前記テストユニットは、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させるための起動モジュールと、
前記非主要障害物情報に基づいて前記仮想障害物モデルの動きを制御し、前記主要障害物情報に基づいて前記実際の機器の動きを制御し、問題シーンをシミュレートするための制御モジュールと、を含み、
前記制御モジュールは、さらに、前記第2の自動運転システムに基づいて前記自動運転車両がシミュレートされた問題シーンで走行するように制御するために用いられる、請求項12に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項19】
前記非主要障害物情報には、前記問題シーンの各時点に対応する移動情報が含まれており、制御モジュールは、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させる時刻、及び、前記非主要障害物情報の中の前記問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、前記仮想障害物モデルの動きを制御するために用いられる、請求項18に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項20】
前記主要障害物情報には、前記問題シーンの各時点に対応する移動情報が含まれており、
制御モジュールは、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させる時刻、及び、前記主要障害物情報の中の前記問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、前記実際の機器の動きを制御するために用いられる、請求項18に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項21】
第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両のシミュレートされた前記問題シーンにおける走行状態、及び前記仮想障害物モデルに対応する第1の移動データ、前記実際の機器に対応する第2の移動データを取得するためのテストデータ取得ユニットと、
前記走行状態、及び前記第1の移動データ、前記第2の移動データに基づき、テストレポートを生成するためのレポート生成ユニットと、をさらに含む、請求項12~20のいずれか1項に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項22】
前記レポート生成ユニットは、
前記走行状態、及び前記第1の移動データ、前記第2の移動データに基づき、予め設定された、前記問題シーンに対応するデータである所定のデータに対応するテストデータを生成するための分析モジュールと、
前記所定のデータ及び前記テストデータに基づき、前記テストレポートを生成するための生成モジュールと、を含む、請求項21に記載の自動運転システムのシーン復元テスト装置。
【請求項23】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1~11のいずれか1項に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される、電子機器。
【請求項24】
コンピュータ命令が記憶された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ命令は、コンピュータに請求項1~11のいずれか1項に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法を実行させるために用いられる、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項25】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行されると、請求項1~11のいずれか1項に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法を実施する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、コンピュータ分野における自動運転技術に関し、特に、自動運転システムのシーン復元テスト方法、装置、機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動運転技術はますます成熟しており、自動運転システムが設けられた車両も組立ラインからのロールオフに成功している。これらの自動運転車両が道路を安全に走行できるように確保するために、自動運転車両をテストする必要がある。
【0003】
従来技術において、自動運転車両を制御して公道でテストし、テスト結果に基づいて自動運転車両に搭載された自動運転システムを調整することができる。
【0004】
公道で遭遇するシーンではランダム性が高いため、テスト中に問題のあるシーンに再度遭遇することは困難であり、これらの問題が修正されたとしても、実際の車両に基づいて当該問題が効果的に解決されているかどうかを確認することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、従来技術において公道で遭遇するシーンではランダム性が高いため、テスト中に問題のあるシーンに再度遭遇することは困難であり、これらの問題が修正されたとしても、実際の車両に基づいて当該問題が効果的に解決されているかどうかを確認することができないという技術的問題を解決するために、自動運転システムのシーン復元テスト方法、装置、機器及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の態様によれば、自動運転システムのシーン復元テスト方法を提供し、
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、前記問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定することと、
前記非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、前記主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定することと、
前記仮想障害物モデル及び前記実際の機器を利用して、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うことであって、前記第2の自動運転システムが前記第1の自動運転システムを最適化したシステムであり、前記復元テストが前記問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられることと、を含む。
【0007】
本願の第2の態様によれば、自動運転システムのシーン復元テスト装置を提供し、
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、前記問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定するための取得ユニットと、
前記非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、前記主要障害物情報に基づいて主要 障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定するためのシミュレーションユニットと、
前記仮想障害物モデル及び前記実際の機器を利用し、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うためのテストユニットであって、前記第2の自動運転システムが前記第1の自動運転システムを最適化したシステムであり、前記復元テストが前記問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられるテストユニットと、を含む。
【0008】
本願の第3の態様によれば、電子機器を提供し、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサが第1の態様に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される。
【0009】
本願の第4の態様によれば、コンピュータ命令が記憶された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ命令は、コンピュータに第1の態様に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法を実行させるために用いられる。
【0010】
本願の第5の態様によれば、コンピュータプログラムを提供し、前記コンピュータプログラムは、読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、電子機器の少なくとも1つのプロセッサは、前記読み取り可能な記憶媒体から前記コンピュータプログラムを読み取ることができ、前記少なくとも1つのプロセッサは、電子機器が第1の態様に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法を実行するように、前記コンピュータプログラムを実行する。
【発明の効果】
【0011】
本願により提供される自動運転システムのシーン復元テスト方法、装置、機器及びプログラムであって、前記方法は、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定することと、非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定することと、仮想障害物モデル及び実際の機器を利用して、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うことであって、第2の自動運転システムが第1の自動運転システムを最適化したシステムであり、復元テストが問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられることと、を含む。本願により提供される解決案において、仮想障害物モデル及び実際の機器を利用し、問題シーンを復元することができ、これにより、復元された問題シーンに第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両をテスト可能になり、テスト目標は実際の自動運転車両であり、且つ主要障害物は実際の機器であり、問題シーンをよりよく再現し、正確なテスト結果を得ることが可能になる。
【0012】
なお、この一部に記載されている内容は、本願の実施例の主要な又は重要な特徴を特定することを意図しておらず、本願の範囲を限定するものでもない。本願の他の特徴は、以下の説明を通じて容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、本技術案をよりよく理解するために使用され、本願を限定するものではない。
図1】本願の一例示的な実施例で示される応用シーンの図である。
図2】本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テスト方法のフローチャートである。
図3】本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テスト方法のフローチャートである。
図4】本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テストシステムの概略図である。
図5】本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テスト装置の構造図である。
図6】本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テスト装置の構造図である。
図7】本願の実施例の自動運転システムのシーン復元テスト方法を実施するための電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を組み合わせて本願の例示的な実施例を説明し、理解を容易にするために、その中には本願の実施例の様々な詳細事項が含まれており、それらは単なる例示的なものと見なされるべきである。したがって、当業者は、本願の範囲及び精神から逸脱することなく、ここで説明される実施例に対して様々な変更と修正を行うことができる。同様に、わかりやすくかつ簡潔にするために、以下の説明では、周知の機能及び構造の説明を省略する。
【0015】
自動運転システムをテストするために、自動運転システムを搭載した車両が公道で走行するように制御することができる。車両走行中に、自動運転システムが設けられた車載コンピュータは、車両外部環境に基づいて走行策略を策定し、車両走行を制御する。
【0016】
道路環境が絶えずに変化するため、車両走行中に自動運転システムで安全処理が不可能な問題シーンに遭遇する可能性がある。問題シーンとは、自動運転システムに基づいて車両走行を制御するとき、安全問題が存在するシーンのことである。
【0017】
図1は、本願の一例示的な実施例で示される応用シーンの図である。
【0018】
図1に示すように、車両11の前方に障害物車両12が存在し、車両11内の自動運転システムが現在の道路環境に基づき決定される走行策略は、車両11が車線を変更し、第1の車線13に入るように制御する策略である。
【0019】
第1の車線に障害物14が存在すると仮定し、車両11が現在の走行策略に基づいて第1の車線13に入る場合、障害物14と衝突する可能性がある。
【0020】
この場合に、自動運転システムは、走行策略を更新せず、車両11が障害物14を避けるように制御すると、現在のシーンが問題シーンと見なされることができる。
【0021】
具体的に、テスト中に問題シーンに遭遇する場合、テスターは、交通事故を回避するために、車両を制御することができる。
【0022】
自動運転システムは問題シーンを安全に処理することができないため、自動運転システムを最適化して当該問題を解決することができる。しかし、公道でテストするとき、問題シーンに遭遇するランダム性が高いため、当該問題シーンに再度遭遇することは困難である。自動運転システムを最適化したとしても、最適化された自動運転システムが搭載された車両に基づいて回帰テストを行うことができなくなり、さらに、当該問題シーンが効果的に解決されるかどうかを判定することができなくなる。
【0023】
上記技術的問題を解決するために、本願により提供される解決案において、仮想組み合わせの技術を採用して問題シーンを復元することができ、さらに、復元された問題シーンでは最適化された自動運転システムが搭載された車両に対して復元テストを行うことができる。具体的に、テスト中に発生した問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定することができ、主要障害物について、実際の機器を使用して復元することができ、非主要障害物について、仮想技術を使用して構築することができ、さらに、問題シーンを復元することができる。
【0024】
本願は、コンピュータ分野における自動運転技術に適用される自動運転システムのシーン復元テスト方法、装置、機器及びプログラムを提供し、公道で自動運転システムを搭載した自動運転車両をテストするときに遭遇する問題シーンをよりよく再現し、さらに、再現された問題シーンを利用し、最適化された自動運転システムに対して復元テストを行うことができる。
【0025】
図2は、本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テスト方法のフローチャートである。
【0026】
図2に示すように、本願により提供される自動運転システムのシーン復元テスト方法は、以下のステップを含む。
【0027】
ステップ201において、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定する。
【0028】
本願により提供される方法は、シーン復元テストシステムに設定されることができ、当該シーン復元テストシステムは、1つ又は複数の電子機器に配置されることができる。例えば、シーン復元テストシステムは、複数のモジュールを含むことができ、各モジュールは、異なる電子機器に配置されることができる。
【0029】
具体的に、復元テストを行う時、先に、問題シーンデータを取得することができる。当該問題シーンデータは、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両をテストするときに、発生した問題シーンデータである。
【0030】
さらに、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両をテストするとき、第1の自動運転システムは、各時点での車両の走行状態、各時点での車両外部環境における障害物情報などの路上テストデータを記録することができる。
【0031】
テスト中に問題が存在する場合、路上テストデータから問題発生時の問題シーンデータを取得することができる。例えば、テスターは、実際のテスト状況に応じて車両走行中に問題が発生した時刻を決定することができ、当該時刻に基づいて路上テストデータの中で対応する問題シーンデータを取得することができる。例えば、問題が発生した時刻は12:00であると、路上テストデータから12:00前後60秒のデータを当該問題シーンに対応する問題シーンデータとして取得することができる。
【0032】
実際に応用されるとき、シーン復元テストシステムは、取得された問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定することができる。
【0033】
1つの実施形態において、主要障害物と非主要障害物を区別するためのルールを予め設定することができる。
【0034】
一例として、移動中の障害物を主要障害物とすることができ、移動中の障害物は、例えば移動中の人、車などであってもよい。固定されている障害物を非主要障害物とすることもでき、固定されている障害物は、例えば移動していない車であってもよく、道端の植生、街灯などのものであってもよい。
【0035】
さらに、自動運転車両との距離が距離のしきい値より小さい障害物を主要障害物とし、自動運転車両との距離が距離のしきい値より大きい障害物を非主要障害物としてもよい。
【0036】
他の実施形態において、ユーザにより問題シーンデータに基づき、その中の主要障害物を指定することができる。例えば、シーン復元テストシステムは、問題シーンデータに基づいて問題シーンを可視的に示してもよく、例えば、車両テスト時のシーンをビデオで示してもよく、示される問題シーンには、車両周辺の障害物が含まれ、ユーザは、必要に応じて示される問題シーンで主要障害物をマーク付けすることができる。
【0037】
このような実施形態において、マーク付けされていない障害物は非主要障害物である。
【0038】
シーン復元テストシステムは、問題シーンデータの中の主要障害物の情報を主要障害物情報とし、非主要障害物の情報を非主要障害物情報とすることができる。
【0039】
ステップ202において、非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定する。
【0040】
具体的に、主要障害物は自動運転システムの運転策略の作成を大きく影響する障害物であり、非主要障害物は自動運転システムの運転策略の作成をそれほど大きく影響しない障害物であると見なされることができるため、実際の機器を使用して主要障害物をシミュレートし、仮想モデルを使用して非主要障害物をシミュレートすることができる。
【0041】
さらに、シーン復元テストシステムは、非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成することができ、例えば、非主要障害物の大きさや輪郭などに基づいて、非主要障害物をシミュレートするための仮想障害物モデルを生成する。
【0042】
仮想シーン生成コントローラーが配置されることができ、シーン復元テストシステムは、当該仮想シーン生成コントローラーを利用し、仮想障害物モデルを生成することができる。
【0043】
実際に応用されるとき、シーン復元テストシステムは、さらに、主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための実際の機器を決定することができる。例えば、主要障害物情報に含まれた障害物の輪郭や大きさに基づき、相応の主要障害物をシミュレート可能な実際の機器を決定することができる。例えば、主要障害物は1台の車であると、1台の制御可能な車両を障害物車両をシミュレートする実際の機器とすることができる。さらに、例えば、主要障害物は歩行者であると、制御可能なロボットを当該歩行者をシミュレートする実際の機器とすることができる。
【0044】
さらに、主要障害物をシミュレートするための実際の機器は、テスト環境では実際に存在する機器であり、例えば、1台の車、ロボットであってもよく、または、他の制御可能な機器であってもよい。
【0045】
実際の機器は、閉鎖された道路環境に置かれることができ、これにより、閉鎖された道路環境に問題シーンを高度に復元することができる。
【0046】
ステップ203において、仮想障害物モデル及び実際の機器を利用し、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行い、第2の自動運転システムが第1の自動運転システムを最適化したシステムであり、復元テストが問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられる。
【0047】
実際に応用されるとき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両をテストして問題シーンを発見した場合、当該第1の自動運転システムを最適化して、第2の自動運転システムを得ることができ、その結果、自動運転システムが当該問題シーンに対処できる。
【0048】
第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うことができ、これにより、同様な問題シーンに遭遇すると、第2の自動運転システムが合理且つ安全な運転策略を作成できるかどうかを確認される。
【0049】
具体的に、生成された仮想障害物モデル及び決定された実際の機器を利用して問題シーンを復元することができ、これにより、復元された問題シーンでは第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うことができ、当該復元テストは、具体的に、問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられる。
【0050】
さらに、テスト中に、仮想障害物モデルに対応する非主要障害物情報を利用して仮想障害物の移動を制御することができる。さらに、実際の機器に対応する主要障害物情報を利用して実際の機器の移動を制御することもできる。一例として、問題シーンデータに基づいて決定された主要障害物情報には問題シーンの各時点における第1の主要障害物の対応する位置が含まれると、この情報に基づき、第1の主要障害物をシミュレートするための第1の実際の機器の移動を制御することができ、その結果、該第1の実際の機器が第1の主要障害物の移動軌跡をシミュレートできる。
【0051】
実際に応用されるとき、さらに、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両の起動時刻と組み合わせて仮想障害物モデル及び実際の機器を制御することができる。一例として、自動運転車両の起動後に、自動運転車両と、仮想障害物モデル及び実際の機器との相対位置に基づき、仮想障害物モデル及び実際の機器の移動を制御することができる。
【0052】
一例として、自動運転車両と、仮想障害物モデル及び実際の機器との相対位置は、問題シーンデータの中で初期時点に対応するデータによってキャラクタリゼーションされる車両と障害物との相対位置に一致すると、仮想障害物モデルに対応する非主要障害物情報を利用して仮想障害物の移動を制御し、実際の機器に対応する主要障害物情報を利用して実際の機器の移動を制御することができる。
【0053】
このような実施形態において、テスト目標は第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両であり、且つ主要障害物は実際の機器であるため、問題シーンをよりよく再現し、テストを完成させることができる。
【0054】
テスト時に、自動運転車両が閉鎖された道路を走行するように制御することができ、これにより、閉鎖された道路にて公道で遭遇する問題シーンに対して復元テストを行うことができる。
【0055】
本願により提供される自動運転システムのシーン復元テスト方法は、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定することと、非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定することと、仮想障害物モデル及び実際の機器を利用して、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うことであって、第2の自動運転システムが第1の自動運転システムを最適化したシステムであり、復元テストが問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられることと、を含む。本願により提供される方法において、仮想障害物モデル及び実際の機器を利用して問題シーンを復元することができ、さらに、復元された問題シーンでは第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両をテストすることができ、テスト目標は実際の自動運転車両であり、且つ主要障害物は実際の機器であり、問題シーンをよりよく再現し、正確なテスト結果を得ることが可能になる。
【0056】
図3は、本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テスト方法のフローチャートである。
【0057】
図3に示すように、本願により提供される自動運転システムのシーン復元テスト方法は、以下のステップを含む。
【0058】
ステップ301において、問題シーンライブラリに基づいて第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対応する問題発生時点を決定する。
【0059】
本願により提供される方法は、シーン復元テストシステムに設定されることができ、当該シーン復元テストシステムは、1つ又は複数の電子機器に配置されることができる。一例として、シーン復元テストシステムは、複数のモジュールを含むことができ、各モジュールは、異なる電子機器に配置されることができる。
【0060】
具体的に、問題シーンデータベースを設定することができ、当該問題シーンデータベースには、複数の問題シーンの情報が記憶できる。テスト中に、テスターによりテスト状況に基づいて問題シーンの情報を入力することができる。
【0061】
例えば、テスターが自動運転システムを搭載した車両に乗車して道路テストを行うと、自動運転システムによる車両走行の制御に問題が存在すると発見し、例えば不合理的な急ブレーキが存在する場合に、テスターは問題シーンライブラリに当該状況の発生時刻を入力することができ、テスターは、さらに、問題シーンライブラリに、「不合理的な急ブレーキ」などのような当該問題シーンに対する説明情報を追加することもできる。
【0062】
さらに、問題シーンに基づいて第1の自動運転システムを最適化し、第2の自動運転システムを得た後に、当該第2の運転システムに対して復元テストを行うことができる。テスト時に、具体的に、問題シーンライブラリ内のデータに基づき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対応する問題発生時点を決定することができ、当該発生時点に対応する問題シーンは、1つ又は複数の最適化された問題シーンであってもよい。
【0063】
ステップ302において、問題発生時点に基づき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータから問題発生時点に対応する問題シーンデータを取得する。
【0064】
実際に応用されるとき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両をテストすると、路上テストデータを生成することになる。路上テストデータには、例えば車両の運転状態が含まれてもよく、さらに、第1の自動運転システムによって感知された周辺環境の情報、例えば障害物情報が含まれてもよく、障害物情報には、具体的に、障害物の大きさ、輪郭、位置、速度、前進方向のうちの1つ又は複数の情報が含まれることもできる。
【0065】
問題発生時点に基づき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータから問題発生時点に対応する問題シーンデータを取得することができる。これにより、テスト中に、当該問題発生時点に遭遇する問題シーンのデータを得る。このような実施形態において、問題シーンに対応する問題シーンデータを正確的に取得することができ、これにより、実際の路上テスト中に生成されたデータに基づき、問題シーンを復元することができ、その結果、復元されるシーンが実際の道路シーンにより類似する。
【0066】
具体的に、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータの中で、データ生成時点が問題発生時点より所定期間早かった第1のデータ、及び、データ生成時点が問題発生時点より所定期間遅かった第2のデータを問題シーンデータとする。必要に応じて所定期間を設定することができ、一例として60sに設定することができ、このとき、路上テストデータの中で問題発生時点より60s早かった第1のデータ、および、問題発生時点より60s遅かった第2のデータを問題シーンデータとして取得することができる。例えば、問題発生時点が14:00であると、テスト当日の14:00前後に生成された路上テストデータを取得することができ、一例として、14:00前の60sのデータ、及び、14:00後の60sのデータであってもよく、それらを問題シーンデータとすることができる。
【0067】
このような実施形態において、問題発生時点前後の一定の時間内での路上テストデータを問題シーンデータとしてインターセプトすることができ、これらのデータにより、問題シーンにおける車両及び周りの環境の変化状況は反映されることができ、さらに、取得された問題シーンデータに基づいて問題シーンを復元することができ、その結果、復元されるシーンが実際の道路シーンにより類似する。
【0068】
ステップ303において、問題シーンデータに基づいて主要障害物情報と非主要障害物情報が含まれる障害物パラメータファイルを生成する。
【0069】
問題シーンデータに基づいて主要障害物情報と非主要障害物情報を含む障害物パラメータファイルを生成することができる。
【0070】
具体的に、問題シーンデータに基づいてシーンにおける主要障害物と非主要障害物を決定することができる。問題シーンデータに基づいて当該シーンに含まれた障害物を決定し、障害物を主要障害物と非主要障害物に分割することができ、さらに、主要障害物の情報と非主要障害物の情報に基づいて障害物パラメータファイルを生成することができる。
【0071】
一例として、各障害物のタイプに基づいて主要障害物と非主要障害物を区別することができ、一例として、移動可能な障害物を主要障害物として、移動不可能な障害物を非主要障害物とすることができる。
【0072】
さらに、一例として、自動運転車両との距離がしきい値より小さい障害物を主要障害物とすることができ、シーンにおける主要障害物以外の障害物は非主要障害物である。
【0073】
このような実施形態において、問題シーンに主要障害物と非主要障害物を区別することができ、これにより、実際の機器を利用して主要障害物をシミュレートし、仮想モデルを用いて非主要障害物をシミュレートすることができ、仮想と実際を組み合わせることで、実際の問題シーンに類似する環境を高度に復元することができる。
【0074】
1つの選択的な実施形態において、さらに、ユーザにより問題シーンにおける主要障害物を決定することができる。具体的に、問題シーンデータの中の各障害物情報に基づき、問題シーンを生成して示し、示される問題シーンに作用するマーク付け命令に応答し、問題シーンにおける主要障害物をマーク付けし、障害物情報及びマーク付けされた主要障害物に基づき、障害物パラメータファイルを生成することができる。
【0075】
問題シーンデータに基づいて当該問題シーンを示すことができ、一例として、ビデオで問題シーンを動的に示すことができる。例えば、問題シーンデータは長さが120sのデータであると、長さが120sのビデオを示すことができる。
【0076】
具体的に、ユーザは、示される問題シーンで操作し、その中の主要障害物をマーク付けすることができる。一例として、ユーザは示された障害物を選択することができ、選択された障害物が主要障害物となる。マーク付けされていない障害物は非主要障害物となる。
【0077】
問題シーンに示されている各障害物の情報及びユーザによりマーク付けされた主要障害物に基づいて障害物パラメータファイルを生成することができる。障害物パラメータファイルには、各主要障害物情報が含まれており、さらに、各非主要障害物情報も含まれている。このような実施形態において、ユーザにより問題シーンを観察することができ、さらに、運転車両の角度から車両の通常走行に影響を与える主要障害物を決定することができる。
【0078】
ステップ304、障害物パラメータファイルに基づき、主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定する。
【0079】
実際の機器と仮想モデルを利用して障害物をシミュレートすると、障害物パラメータファイルに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定することができる。一例として、シーンデータマイニングモジュールにより障害物パラメータファイルを生成し、仮想と実際の組み合わせテストシステムにより、当該障害物パラメータファイルを利用して障害物のシミュレーションを実行することができる。
【0080】
障害物パラメータファイルには、障害物の情報が含まれてもよく、さらに、各障害物が主要障害物であるかどうかの情報が含まれてもよい。一例として、障害物が主要障害物であるかどうかを標識するための変数iを設定することができ、変数iが1である障害物の場合、当該障害物を主要障害物と見なすことができる。
【0081】
具体的に、主要障害物の情報を主要障害物情報として、非主要障害物の情報を非主要障害物情報とすることができる。
【0082】
ステップ305において、仮想シーンコントローラーを利用し、非主要障害物情報の中の輪郭や大きさに基づいて仮想障害物モデルを生成し、実際の機器コントローラーを利用し、主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定する。
【0083】
さらに、仮想シーンコントローラーを予め設定することができ、当該仮想シーンコントローラーにより仮想障害物モデルを生成することができる。
【0084】
実際に応用されるとき、各非主要障害物の非主要障害物情報を仮想シーンコントローラーに入力することができ、さらに、仮想シーンコントローラーは各非主要障害物に対応する仮想障害物モデルを生成することができる。
【0085】
非主要障害物情報には、障害物の輪郭や大きさが含まれてもよく、仮想シーンコントローラーは、非主要障害物の輪郭や大きさに基づき、当該非主要障害物のサイズや形状に近い仮想障害物モデルを生成することができ、これにより、仮想障害物モデルは、テスト中に遭遇する問題シーンにおける非主要障害物により類似するものとなり、さらに、問題シーンをより正確的に再現することができる。
【0086】
具体的に、さらに、実際の機器コントローラーを予め設定することができ、各主要障害物の主要障害物情報を実際の機器コントローラーに入力することにより、実際の機器コントローラーは、主要障害物に類似する実際の機器を決定することができ、さらに、これらの実際の機器に接続されることにより、実際の機器を制御することができる。
【0087】
主要障害物情報には、主要障害物のタイプ、又は、輪郭や大きさなどの情報が含まれてもよく、実際の機器コントローラーは、主要障害物の種別又は輪郭や大きさに基づき、主要障害物に類似する実際の機器を決定することができ、これにより、実際の機器がテスト中に遭遇する問題シーンにおける主要障害物により類似し、さらに、問題シーンをより正確的に再現することができる。
【0088】
当該主要障害物のタイプは、例えば車両や歩行者などであってもよい。一例として実際の車両を利用してタイプが車両である主要障害物をシミュレートしてもよく、一例としてロボットを利用してタイプが歩行者である主要障害物をシミュレートしてもよい。
【0089】
ステップ306において、第1の自動運転システムを最適化したシステムである第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両を起動させる。
【0090】
具体的に、第1の自動運転システムが一部の問題シーンを処理できない可能性がある、または、特定の問題シーンでは第1の自動運転システムによる車両の制御に問題が存在していることが発見されると、これらの問題について、第1の自動運転システムを最適化し、第2の自動運転システムを得ることができる。
【0091】
さらに、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行い、第2の自動運転システムが上記問題シーンを合理的に処理できるかどうかを決定することができる。
【0092】
実際に応用されるとき、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両を起動させることにより、当該自動運転車両は再現された問題シーンで走行することができる。
【0093】
ステップ307において、非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルの動きを制御し、主要障害物情報に基づいて実際の機器の動きを制御し、問題シーンをシミュレートする。
【0094】
非主要障害物情報に基づいて生成された仮想障害物モデルの動きを制御することができる。具体的に、仮想障害物モデルに対応する非主要障害物情報に基づき、当該仮想障害物モデルの動きを制御することができる。一例として、第1の非主要障害物情報に基づいて第1の仮想障害物モデルを生成すると、第1の非主要障害物情報に基づいて第1の仮想障害物モデルを制御することができる。具体的には、第1の仮想障害物モデルが移動や回転などの動作を実行するように制御することができる。
【0095】
具体的に、仮想障害物モデルは静止した障害物をシミュレートするためのモデルである場合、当該仮想障害物モデルは位置が変わらない。
【0096】
さらに、主要障害物情報に基づいて実際の機器の動きを制御することもできる。具体的に、実際の機器に対応する主要障害物情報に基づき、当該実際の機器の動きを制御することができる。一例として、第1の主要障害物情報に基づいて第1の実際の機器を決定したと、第1の主要障害物情報に基づいて第1の実際の機器を制御することができる。具体的に、第1の実際の機器が移動や回転などの動作を実行するように制御することができる。
【0097】
実際に応用されるとき、このようにして問題シーンをシミュレートすることができ、さらに、シミュレートされた問題シーンに基づいて第2の自動運転システムを搭載した車両をテストすることができる。
【0098】
非主要障害物情報には、問題シーンの各時刻に対応する移動情報が含まれている。第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両を起動させる時刻、及び、非主要障害物情報の中の問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、仮想障害物モデルの動きを制御することができる。
【0099】
具体的に、主要障害物情報には、問題シーンの各時点に対応する移動情報が含まれている。第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両を起動させる時刻、及び、主要障害物情報の中の問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、実際の機器の動きを制御することができる。
【0100】
さらに、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両を起動させる際に、リアルタイムに主要障害物情報及び非主要障害物情報に基づいて問題シーンを構築することができる。
【0101】
実際に応用されるとき、第1の自動運転システムを搭載した車両が起動される際に遭遇する問題シーンを構築する必要がある場合、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両が起動される時刻に、非主要障害物情報の中の問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、仮想障害物モデルの動きを直接に制御し、主要障害物情報の中の問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、実際の機器の動きを制御することができる。
【0102】
主要障害物情報及び/又は非主要障害物情報に含まれた移動情報は、具体的に、速度、前進方向、位置のうちの1つ又は複数の情報を含むことができる。
【0103】
1つの選択的な実施形態において、車両起動時刻を問題シーンの開始時刻t0とすることができる。
【0104】
他の選択的な実施形態において、車両起動時刻に、各仮想障害物モデル及び実際の機器を制御するように準備することができる。また、実際の問題シーンに基づき、自動運転車両の走行速度が指定速度に達した時刻を問題シーンの開始時刻t0とするか、または、自動運転車両の位置と、各仮想障害物モデル及び実際の機器との相対位置が実際の問題シーンに一致する時刻を問題シーンの開始時刻t0とすることができる。
【0105】
具体的に、t0からtn時刻に対応する移動情報などの、問題シーンの各時刻に対応する移動情報を含む非主要障害物情報は存在すると、当該非主要障害物情報に対応する仮想障害物モデルのある位置をt0時刻に対応する位置とすることができ、t1時刻に達していると、当該仮想障害物モデルが非主要障害物情報の中のt1時刻に対応する速度、前進方向で非主要障害物情報の中のt1時刻に対応する位置まで移動するように制御する。
【0106】
このような実施形態において、生成された仮想障害物モデルを制御し、仮想障害物モデルの移動過程が実際の問題シーンでの移動過程に一致するように制御することができ、これにより、車両が公道で走行中に遭遇する非主要障害物を正確的に復元することができ、問題シーンを正確的に再現することができる。
【0107】
実際に応用されるとき、実際の機器コントローラーを利用して実際の機器の移動を制御することができる。一例として、実際の機器コントローラーは、実際の機器に制御命令を送信することにより、実際の機器の移動を制御することができる。
【0108】
実際の機器コントローラーは、主要障害物情報に基づいて実際の機器を制御するための制御命令を生成することができる。一例として、実際の世界での問題シーンの開始時刻t0、及び、主要障害物情報に含まれている問題シーンの各時点に対応する速度や、前進方向、位置に基づき、制御命令を生成することができる。一例として、問題シーンのt1時刻に第1の制御命令を生成し、問題シーンのt2時刻に第2の制御命令を生成してもよい。制御命令は、移動方向、移動速度、ターゲット位置などを含むことができる。
【0109】
このような実施形態において、決定された実際の機器を制御し、実際の機器の移動過程が実際の問題シーンでの移動過程に一致するように制御することができ、これにより、車両が公道で走行中に遭遇する主要障害物を正確的に復元することができ、問題シーンを正確的に再現することができる。
【0110】
ステップ308において、第2の自動運転システムに基づいて自動運転車両がシミュレートされた問題シーンで走行するように制御する。
【0111】
自動運転車両に搭載された第2の自動運転システムを利用して走行策略を策定し、自動運転車両がシミュレートされた問題シーンで走行するように制御することができる。
【0112】
自動運転車両を起動させた後に、自動運転車両は、正常に走行することができ、自動運転車両の車両状況に基づき、仮想障害物モデルの動き、及び、実際の機器の動きを制御することができ、その結果、シミュレートされたシーンが公道での問題シーンを高度に復元できる。
【0113】
第2の自動運転システムは仮想障害物モデル及び実際の機器を感知することができ、これにより、これらの障害物に基づいて走行策略を策定し、車両走行を制御することができる。最適化された第2の自動運転システムにより問題シーンを合理的に処理できる場合、当該自動運転車両は高度に復元された問題シーンでスムーズ且つ安全に走行することができる。
【0114】
選択的に、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行った後に、本願により提供される方法は、さらに、以下のステップを含むことができる。
【0115】
ステップ309において、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両のシミュレートされた問題シーンにおける走行状態、及び仮想障害物モデルに対応する第1の移動データ、実際の機器に対応する第2の移動データを取得する。
【0116】
選択的に、再現された問題シーンに基づいて第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両をテストして完成した後に、さらに、復元テスト中のデータを取得することができ、そのデータは、具体的に、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両のシミュレートされた問題シーンにおける走行状態、及び仮想障害物モデルに対応する第1の移動データ、実際の機器に対応する第2の移動データを含むことができる。
【0117】
自動運転車両に搭載された第2の自動運転システム、または、自動運転車両に配置された他の電子機器は、車両の走行状態を記録することができる。
【0118】
走行状態は具体的に、車両の速度や前進方向などを含むことができ、また、車両急ブレーキ制御、車両加速や方向転換などの車両の制御情報も含むことができる。さらに、認識された障害物情報、周りの障害物との距離などの車両により感知される周辺環境の情報を含むこともできる。
【0119】
具体的に、さらに、テスト中の各仮想障害物モデルの各時点での移動速度、方向、位置などの、それぞれの仮想障害物モデルに対応する第1の移動データを取得することもできる。
【0120】
さらに、テスト中の各実際の機器の各時点での移動速度、方向、位置などの、それぞれ実際の機器に対応する第2の移動データを取得することもできる。
【0121】
ステップ310において、走行状態、及び第1の移動データ、第2の移動データに基づき、テストレポートを生成する。
【0122】
さらに、本願により提供される方法により、さらに、車両の走行状態、及び仮想障害物の第1の移動データ、実際の機器の第2の移動データに基づき、今回の復元テストのテストレポートを生成することにより、ユーザは、復元テスト中のデータを分析してから、第2の自動運転システムが必要に一致するかどうかを決定する必要なく、直接にテストレポートに基づいて第2の自動運転システムが問題シーンを合理的に対処できるかどうかを決定することができ、このような実施形態により、復元テスト結果の分析効率を向上させることが可能になる。
【0123】
実際に応用されるとき、走行状態、及び第1の移動データ、第2の移動データに基づき、予め設定された、問題シーンに対応するデータである所定のデータに対応するテストデータを生成することができる。
【0124】
問題シーンに対応する所定のデータを予め設定することができ、一例として、所定のデータは、車両の速度であってもよく、例えば、問題シーンでは、自動運転車両は、障害物から2メートル離れている場合、車速が所定の車速より遅くすべきである。このとき、所定の車速は、所定のデータである。
【0125】
具体的に、走行状態、及び第1の移動データ、第2の移動データに基づき、所定のデータに対応するテストデータを生成することができる。一例として、所定のデータが特定の条件下での車速であると、テスト中の車両の走行状態、及び第1の移動データ、第2の移動データに基づき、車両の上記特定の条件下での車速を生成することができ、この場合に、当該特定の条件下での車速がテストデータとなる。
【0126】
さらに、所定のデータ及びテストデータに基づき、テストレポートを生成することができる。具体的に、比較することで、所定のデータ及びテストデータを含むテストレポートを生成することができ、これにより、ユーザは、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うとき、テストデータが所定のデータを満たすかどうかを直観的に知ることができ、さらに、第2の自動運転システムが当該問題シーンを合理的に処理できるかどうか決定する。
【0127】
図4は、本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テストシステムの概略図である。
【0128】
図4に示すように、上記いずれか1項の自動運転システムのシーン復元テスト方法は、いずれも自動運転システムのシーン復元テストシステム400により実行されることができる。
【0129】
自動運転システムのシーン復元テストシステム400には、シーンマイニングモジュール410を含むことができ、シーンマイニングモジュール410は、問題シーンライブラリ41に接続され、問題シーンライブラリ41から問題発生時点411を取得し、続いて、問題発生時点411に基づいて問題シーンデータ412を取得することができる。
【0130】
シーンマイニングモジュール410は、さらに、問題シーンデータ412の中のデータを抽出し、問題シーンを生成して示すことができ、これにより、ユーザは、示される問題シーンでレーベリングすることができる。シーンマイニングモジュール410は、ユーザのレーベリング結果に基づき、主要障害物情報と非主要障害物情報を含む障害物パラメータファイル413を生成することができる。
【0131】
自動運転システムのシーン復元テストシステム400には、さらに、シミュレーションモジュール420を含むこともできる。シミュレーションモジュール420は、シーンマイニングモジュール410により生成された障害物パラメータファイル413を読み取ることができ、具体的に、障害物パラメータファイル413から障害物のパラメータを読み取り、続いて、仮想シーンコントローラー421を利用し、仮想障害物モデルを生成し、実際の機器コントローラー422を利用して実際の機器を決定することができる。
【0132】
自動運転システムのシーン復元テストシステム400には、さらに、テストモジュール430を含むこともできる。テストモジュール430は、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両をシミュレーションモジュール420に接続し、これにより、シミュレーションモジュール420によりシミュレートされた問題シーンを利用して第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両をテストすることができる。具体的に、接続された自動運転車両を起動させることができ、さらに、自動運転車両の起動時刻、または、自動運転車両の走行状態に基づき、リアルタイムに仮想障害物モデル及び実際の機器を利用し、問題シーンを構築することもできる。
【0133】
自動運転システムのシーン復元テストシステム400には、さらに、レポート生成モジュール440を含むこともできる。レポート生成モジュール440は、テスト中の自動運転車両の走行状態を取得することができ、さらに、仮想障害物モデルに対応する第1の移動データ、及び、実際の機器に対応する第2の移動データを取得し、これらのデータに基づいてテストレポートを生成することもできる。
【0134】
上記シーン復元テストシステム400の各モジュールは、同一の機器に配置されてもよいし、複数の機器に配置されてもよく、本願では、これは限定されない。
【0135】
図5は、本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テスト装置の構造図である。
【0136】
図5に示すように、本願により提供される自動運転システムのシーン復元テスト装置500は、
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両がテスト時に発生した問題シーンデータを取得し、前記問題シーンデータに基づいて主要障害物情報及び非主要障害物情報を決定するための取得ユニット510と、
前記非主要障害物情報に基づいて仮想障害物モデルを生成し、前記主要障害物情報に基づいて主要障害物をシミュレートするための、テスト環境に実際に存在する機器である実際の機器を決定するためのシミュレーションユニット520と、
前記仮想障害物モデル及び前記実際の機器を利用して、第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対して復元テストを行うためのテストユニット530であって、前記第2の自動運転システムが前記第1の自動運転システムを最適化したシステムであり、前記復元テストが前記問題シーンデータによってキャラクタリゼーションされる問題シーンに対して復元テストを行うために用いられるテストユニット530と、を含む。
【0137】
本願により提供される自動運転システムのシーン復元テスト装置は、図2に示す実施例に類似するため、繰り返して説明しない。
【0138】
図6は、本願の一例示的な実施例で示される自動運転システムのシーン復元テスト装置の構造図である。
【0139】
図6に示すように、本実施例における取得ユニット610は、図5に示した取得ユニット510に類似し、本実施例におけるシミュレーションユニット620は、図5に示したシミュレーションユニット520に類似し、本実施例におけるテストユニット630は、図5に示したテストユニット530に類似する。
【0140】
これに基づき、本実施例により提供される自動運転システムのシーン復元テスト装置600には、前記取得ユニット610は、
問題シーンライブラリに基づいて第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両に対応する問題発生時点を決定するための時間取得モジュール611と、
前記問題発生時点に基づき、第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータから、前記問題発生時点に対応する前記問題シーンデータを取得するためのデータ取得モジュール612と、を含み、
前記問題シーンライブラリには、自動運転車両が公道でテストされるときに遭遇する問題シーンの時間情報が設定されている。
【0141】
選択的に、前記時間取得モジュール611は、具体的に、
第1の自動運転システムを搭載した自動運転車両の路上テストデータの中で、データ生成時点が前記問題発生時点より所定期間早かった第1のデータ、及び、データ生成時点が前記問題発生時点より所定期間遅かった第2のデータを前記問題シーンデータとするために用いられる。
【0142】
選択的に、取得ユニット610は、
前記問題シーンデータに基づいて前記主要障害物情報と前記非主要障害物情報が含まれる障害物パラメータファイルを生成するためのファイル生成モジュール613と、
前記障害物パラメータファイルに基づき、前記主要障害物情報と前記非主要障害物情報を決定するためのファイル読み取りモジュール614と、を含む。
【0143】
選択的に、ファイル生成モジュール613は、具体的に、
前記問題シーンデータの中の各障害物情報に基づき、問題シーンを生成して示すこと、
示される問題シーンに作用するマーク付け命令に応答し、前記問題シーンにおける主要障害物をマーク付けすること、及び
前記障害物情報及びマーク付けされた前記主要障害物に基づき、前記障害物パラメータファイルを生成すること、に用いられる。
【0144】
選択的に、前記非主要障害物情報には、輪郭や大きさが含まれ、
前記シミュレーションユニット620は、
前記非主要障害物情報の中の輪郭や大きさに基づいて前記仮想障害物モデルを生成するための仮想シーンコントローラー621を含む。
【0145】
選択的に、前記テストユニット630は、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させるための起動モジュール631と、
前記非主要障害物情報に基づいて前記仮想障害物モデルの動きを制御し、前記主要障害物情報に基づいて前記実際の機器の動きを制御し、問題シーンをシミュレートするための制御モジュール632と、を含み、
前記制御モジュール632は、さらに、前記第2の自動運転システムに基づいて前記自動運転車両がシミュレートされた問題シーンで走行するように制御するために用いられる。
【0146】
選択的に、前記非主要障害物情報には、前記問題シーンの各時点に対応する移動情報が含まれており、制御モジュール632は、具体的に、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させる時刻、及び、前記非主要障害物情報の中の前記問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、前記仮想障害物モデルの動きを制御するために用いられる。
【0147】
選択的に、前記主要障害物情報には、前記問題シーンの各時点に対応する移動情報が含まれており、
制御モジュール632は、具体的に、
前記第2の自動運転システムが搭載された自動運転車両を起動させる時刻、及び、前記主要障害物情報の中の前記問題シーンの各時点に対応する移動情報に基づき、前記実際の機器の動きを制御するために用いられる。
【0148】
選択的に、前記装置600は、さらに、
第2の自動運転システムを搭載した自動運転車両のシミュレートされた前記問題シーンにおける走行状態、及び前記仮想障害物モデルに対応する第1の移動データ、前記実際の機器に対応する第2の移動データを取得するためのテストデータ取得ユニット640と、
前記走行状態、及び前記第1の移動データ、前記第2の移動データに基づき、テストレポートを生成するためのレポート生成ユニット650と、を含む。
【0149】
選択的に、前記レポート生成ユニット650は、
前記走行状態、及び前記第1の移動データ、前記第2の移動データに基づき、予め設定された、前記問題シーンに対応するデータである所定のデータに対応するテストデータを生成するための分析モジュール651と、
前記所定のデータ及び前記テストデータに基づき、前記テストレポートを生成するための生成モジュール652と、を含む。
【0150】
本願の実施例によれば、本願は、電子機器及び読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0151】
本願の実施例によれば、本願は、さらに、コンピュータプログラムを提供し、コンピュータプログラムが読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、電子機器の少なくとも1つのプロセッサは、読み取り可能な記憶媒体からコンピュータプログラムを読み取ることができ、少なくとも1つのプロセッサは、電子機器が上記いずれの実施例により提供される技術案を実行するように、コンピュータプログラムを実行する。
【0152】
図7は、本願の実施例を実施するために使用できる例示的な電子機器700の概略ブロック図である。電子機器は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ、及び他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを表すことを目的とする。電子機器は、パーソナルデジタルアシスタント、セルラ電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、他の類似する計算デバイスなどの様々な形態のモバイルデバイスを表すこともできる。本明細書で示されるコンポーネント、それらの接続と関係、及びそれらの機能は単なる例であり、本明細書の説明及び/又は要求される本開示の実施を制限することを意図するものではない。
【0153】
図7に示すように、電子機器700は、計算ユニット701、読み取り専用メモリ(ROM)702に記憶されたコンピュータプログラム、または、記憶ユニット708からランダムアクセスメモリ(RAM)703にロードされたコンピュータプログラムに基づき、さまざまな、適当な動作及び処理を実行することができる。RAM 703には、さらに、機器700の操作に必要なさまざまなプログラム及びデータが記憶されることができる。計算ユニット701、ROM 702及びRAM 703は、バス704を介して接続される。入力/出力(I/O)インタフェース705も、バス704に接続される。
【0154】
機器700における複数のコンポーネントは、I/Oインタフェース705に接続され、キーボードやマウスなどの入力ユニット706と、さまざまなタイプのモニタやスピーカーなどの出力ユニット707と、磁気ディスクや光ディスクなどの記憶ユニット708と、ネットワークカードや、モデム、無線通信トランシーバーなどの通信ユニット709と、を含む。通信ユニット709は、機器700がインターネットなどのコンピュータネットワーク及び/又はさまざまな電気通信デットワークを介して他の機器と情報/データを交換することを可能にさせる。
【0155】
計算ユニット701は、処理能力や計算能力を有するさまざまな汎用及び/又は専用処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット701のいくつかの例は、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、さまざまな専用な人工知能(AI)計算チップ、機械学習モデルアルゴリズムを実行するさまざまな計算ユニット、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、および任意の適当なプロセッサ、コントローラー、マイクロコントローラーなどを含むが、それらに限定されない。計算ユニット701は、自動運転システムのシーン復元テスト方法などの上記に記載の各方法や処理を実行する。例えば、いくつかの実施例では、自動運転システムのシーン復元テスト方法は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現されることができ、記憶ユニット708などの機械読み取り可能な媒体に有形的に含まれている。いくつかの実施例では、コンピュータプログラムの一部またはすべては、ROM 702及び/又は通信ユニット709を介して機器700にロード及び/又はインストールされることができる。コンピュータプログラムは、RAM 703にロードされて計算ユニット701により実行されると、上記に記載の自動運転システムのシーン復元テスト方法の1つ又は複数のステップを実行することができる。選択的に、他の実施例では、計算ユニット701は、他の任意の適当な手段(例えば、ファームウェアに頼る)を用いて自動運転システムのシーン復元テスト方法を実行するように構成されることができる。
【0156】
本明細書において、上記に記載のシステム及び技術的さまざまな実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップのシステム(SOC)、ロードプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにより実施されることができる。これらのさまざまな実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラムに実施され、当該1つまたは複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサが含まれるプログラマブルシステムで実行及び/又は解釈されることができ、当該プログラマブルプロセッサは、専用または汎用プログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システムや、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータや命令を受信し、且つ、データや命令を当該記憶システム、当該少なくとも1つの入力装置、及び当該少なくとも1つの出力装置に伝送することができる。
【0157】
本開示に係る方法を実施するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせを採用してプログラミングすることができる。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラーに提供されることができ、これにより、プログラムコードは、プロセッサ又はコントローラーにより実行されると、フロー図及び/又はブロック図に示される機能/操作が実施される。プログラムコードは、完全に機械で実行され、部分的に機械で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとして部分的に機械で実行され、且つ、部分的にリモートマシンで実行されるか、又は完全にリモートマシン又はサーバで実行されることができる。
【0158】
本開示のコンテキストでは、機械読み取り可能な媒体は、有形的な媒体であってもよく、命令実行システム、装置又は機器に使用されるプログラム、または、命令実行システム、装置又は機器と組み合わせて使用されるプログラムを含むか又は記憶することができる。機械読み取り可能な媒体は、機械読み取り可能な信号媒体又は機械読み取り可能な記憶媒体であってもよい。機械読み取り可能な媒体は、電子的なもの、磁気的なもの、光学的なもの、電磁気的なもの、赤外線的なもの、又は半導体システム、装置又は機器、または上記に記載の任意の適合な組み合わせを含むが、それらに限定されない。機械読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例として、1つ又は複数の配線に基づく電気的接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学的記憶デバイス、磁気的記憶デバイス、又は上記に記載の任意の適合な組み合わせを含む。
【0159】
ユーザとのインタラクションを提供するために、コンピュータ上で、ここで説明されているシステム及び技術を実施することができ、当該コンピュータは、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを有し、ユーザは、当該キーボード及び当該ポインティングデバイスによって入力をコンピュータに提供することができる。他の種類の装置も、ユーザとのインタラクションを提供することができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態のセンシングフィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、任意の形態(音響入力と、音声入力と、触覚入力とを含む)でユーザからの入力を受信することができる。
【0160】
ここで説明されるシステム及び技術は、バックエンドコンポーネントを含む計算システム(例えば、データサーバとする)、又はミドルウェアコンポーネントを含む計算システム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンドコンポーネントを含む計算システム(例えば、グラフィカルユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するユーザコンピュータであり、ユーザは、当該グラフィカルユーザインタフェース又は当該ウェブブラウザによってここで説明されるシステム及び技術の実施形態とインタラクションする)、又はこのようなバックエンドコンポーネントと、ミドルウェアコンポーネントと、フロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含む計算システムで実施することができる。任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によってシステムのコンポーネントを相互に接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルネットワーク(LAN)と、ワイドエリアネットワーク(WAN)と、インターネットとを含む。
【0161】
計算システムは、クライアントとサーバとを含むことができる。クライアントとサーバは、一般に、互いに離れており、通常に通信ネットワークを介してインタラクションする。対応するコンピュータ上で実行され、かつ互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって、クライアントとサーバとの関係が生成される。サーバは、クラウドサーバであってもよく、クラウドコンピューティングサーバ又はクラウドホストとも呼ばれ、クラウドコンピューティングサービスシステムにおけるホスト製品であり、伝統的な物理ホスト及びVPSサービス(「Virtual Private Server」、又は略称「VPS」)に存在する管理が難しく、ビジネスのスケーラビリティが弱い欠点を解決する。サーバは、さらに、分散システムのサーバであるか、またはブロックチェーンと組み合わせたサーバであってもよい。
【0162】
上記に示される様々な形態のフローを使用して、ステップを並べ替え、追加、又は削除することができる。例えば、本願に記載されている各ステップは、並列に実行されてもよいし、順次に実行されてもよいし、異なる順序で実行されてもよいが、本願で開示されている技術案が所望の結果を実現することができれば、本明細書では限定しない。
【0163】
上記の発明を実施するための形態は、本願の保護範囲を制限するものではない。当業者は、設計要件と他の要因に基づき、様々な修正、組み合わせ、サブコンビネーション、及び代替を行うことができる。本願の精神と原則内で行われる任意の修正、同等の置換、及び改善などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7