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特開2022-33974ファンホイール、ファン、及び、少なくとも1つのファンを備えるシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033974
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】ファンホイール、ファン、及び、少なくとも1つのファンを備えるシステム
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/66 20060101AFI20220222BHJP
   F04D 29/30 20060101ALI20220222BHJP
   F04D 29/38 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
F04D29/66 M
F04D29/30 C
F04D29/30 F
F04D29/38 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203240
(22)【出願日】2021-12-15
(62)【分割の表示】P 2018510802の分割
【原出願日】2016-08-04
(31)【優先権主張番号】102015216579.5
(32)【優先日】2015-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510334790
【氏名又は名称】ジール・アベッグ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レルヒャー、 フリーダー
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン、 ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】フーブ、 サンドラ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ファンホイールを備えることにより、騒音放射音を低減する。
【解決手段】ファンのファンホイール2は、波状構造のファンブレード3を少なくとも2つ備える。ファンは、少なくとも1つのこのようなファンホイールを有する。システムは、このようなファンホイールを備える少なくとも1つのファンを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波状構造を有する少なくとも2つのファンブレードと、ハブリングと、カバーリングとを備えたファンのファンホイールにおいて、
前記ファンブレードの表面から見た波形が、前記ハブリングと前記カバーリングとの間の前記ファンブレード全体にわたって湾曲形状で延在するとともに、
前記ファンブレードの最外側領域が、逆湾曲刃状の姿勢で終端していることを特徴とするファンホイール。
【請求項2】
請求項1に記載のファンホイールを備えているファン。
【請求項3】
請求項2に記載のファンを備えているシステムであって、
温度調節装置、小型/温度調節箱、電子冷却モジュール、発電機換気設備、産業用冷房装置または住宅用冷房装置、ヒートポンプなどを含んでいるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンホイール、ファン、及び、少なくとも1つのファンを備えるシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ファンホイールは、放射状ファンホイール、斜流ファンホイール、軸流ファンホイールを指すのみならず、ファンの入口ガイドベーンまたは出口ガイドベーン(静翼)を指していると理解される。
【0003】
特定のファン効率(体積流量増加及び圧力増加)を達成しながら、騒音放射音が低いファンを製造することが、ファン製造業者にとって基本的な関心事となっている。
特に、騒音放射音は、ファンをシステムの内部に取り付ける場合に低く抑える必要がある。
このようなシステムでは、流入外乱がこのようなシステム内のファンの入口で発生する場合が多い。
このような流入外乱により、従来のファンの騒音(音調騒音)レベルが、ブレード通過周波数の整数倍である低振動数において大きくなる。
ファンが、幾つかのファンホイールから成る場合、例えば、静翼及び動翼から成る場合、下流に位置するファンは、ファンホイールが上流に位置していることにより発生する流入外乱の影響を受ける。
これにより、騒音が、特に、音調騒音が強くなる。
また、技術製造上の理由及び/又は経済的理由により、ファンホイールブレード(異形翼形ではないファンブレード)を薄板金属により作製している。
しかしながら、このようなブレードを備えるファンは、広帯域の振動周波数の騒音放射音(広帯域の振動周波数の騒音)が大きくなり易い。
また、異形翼形ではないファンブレード及び異形翼形ファンブレードに含まれるファンブレードの尖っていない後縁が、騒音(後縁騒音)源を形成する。
【0004】
補助ファンは、欧州特許出願公開第2418389(A2)号明細書から知ることができ、この欧州特許出願公開第2418389(A2)号明細書は、広帯域の振動周波数の騒音放射音レベルが、ヘッドギャップにおける流体漏れが原因でファンブレードの径方向外側領域のファンホイールが特殊構造になっているので特に低くなることを示している。
具体的には、この特殊構造は、径方向外側領域において局所的にスパン方向に見られるファンブレードの軌跡が、軌跡がファンブレードの残りの領域におけるスパン方向に逸脱することにより見分けられる。
しかしながら、このようなファンホイール構造により、流入外乱により発生する音調騒音を全てではないが抑制することができるか、または、不十分にしか抑制することができない。
同様に、いずれの構造によっても、異形翼形ではないファンブレードの広帯域の振動周波数の騒音を抑制することができない、または、後縁騒音を抑制することができない、もしくは、これらの騒音を不十分な程度にしか抑制することができない。
【0005】
米国特許出願公開第2013/0164488(A1)号明細書から、異形翼形ファンブレードを知ることができ、この異形翼形ファンブレードは、流入により発生する音調騒音を、ファンのファンブレードの前縁を特殊な波状構造とすることにより、抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ファンホイールを備えることにより、このファンホイールが騒音放射音を、先行技術と比較して小さくすることにある。
同時に、このファンホイールを作製及び製造し易くすることを目的としている。
対応するファン及びファンを備えるシステムが提示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1の特徴により解決される。
ファンに関しては、請求項11の特徴により解決される。
システムに関しては、請求項13の特徴により解決される。
【0008】
本発明によれば、ファンホイールは、波状構造のファンブレードを少なくとも2つ備え、「波状」は、最も広い意味で理解されるべきである。
これらの図、すなわち、添付の図1図3により、それぞれのファンブレードの波状構造について明確に理解することができる。
【0009】
特に、構造及び製造を簡単にするという観点から考察すると、ファンブレードの表面は、波形が基本的にブレード前縁及び/又はブレード後縁を指していることを意味する場合に、ファンブレードの断面形状で見て波状ではない、または、殆ど波状ではない場合が有利である。
この場合、製造が簡単であることと、騒音を抑制することとの妥協点を見出すことが必要である。
【0010】
同様に、波形が、ファンブレード表面全体にわたって延在することにより、騒音を更に抑制することが好ましい。
具体的に言うと、波形は、同じ振幅で、または、振幅を変えながら、ファンブレードの内側端部からファンブレードの外側端部まで延在し、ブレード前縁からブレード後縁まで、両方の辺縁が波状に形成されている状態で延在するのが好ましい。
【0011】
波形は、ファンブレードの寸法によって異なるが、略湾曲形状で延在し、好ましくは、3mm~50mmの範囲の振幅の略湾曲形状で延在する。
振幅は、最大ファンホイール径の0.5~5%を構成する。
【0012】
カバーリングが設けられない状態のファンブレードの最外側領域、すなわち、自由端は、逆湾曲刃状の姿勢、場合によっては、V姿勢で終端する。
この特殊構造は、ファンの広帯域騒音を動作中に抑制することができることを意味している。
この構造は、ウィングレットによる効果により達成される効果と同等の効果が得られる。
【0013】
ファンブレードは、ハブリングまたはカバーリングへの移行部のファンブレードの内側端部及び/又は外側端部の領域内に波形を利用して設計する。
波形の構造は、ファンブレードが、非波状基準ブレードがハブリングまたはカバーリングのそれぞれと、より小さな鋭角、または、より大きな鈍角をなして立設されることになる場合でも、少なくとも所定の断面形状に沿って、ハブリングまたはカバーリングと75°~105°の角度、好適には、約90°の角度をなして立設される。
これは、製造、剛性、空力学、及び、空力音響学の観点から有利である。
【0014】
製造技術の観点から、及び、コストに関して、大きな利点は、ファンブレードが、1層の薄板金属(金属またはプラスチック)から製造される場合に得られる。
波状構造は、高い製造コストを要し、長時間を要するエアフォイルの断面形状と同様の断面形状を有するファンブレードを用いることにより得られるのと同じように、ファンの空力学及び空力音響学の観点から、ファンブレードが薄板金属から製造される。
【0015】
エアフォイルの断面形状と同様の断面形状を有するファンブレードは、ファンブレードが鋳込み成形法(樹脂鋳込み成形または金属鋳込み成形)により製造される、または、ファンホイール全体が、このような構造の状態で入手される。
ファンホイールは、放射状/斜流/軸流ファンホイールまたは入口ガイドベーンもしくは出口ガイドベーンを含むことができる。
【0016】
本発明によるファンは、上に説明した構造に対応する少なくとも1つのファンホイールを含む。
ファンが、先行技術によるそれ自体が公知の少なくとも1つの別のファンホイールであることを示している。
本発明によるファンホイールと従来のファンホイールの組み合わせが利点をもたらすことができ、騒音放射音の点で妥協する必要がある。
【0017】
本発明によるシステムは、前に説明したような少なくとも1つのファンを備えるシステムである、すなわち、本発明による少なくとも1つのファンを用いるシステムである。
例として、温度調節装置または高精度温度調節装置、小型温度調節箱、電子冷却モジュール、産業用発電機換気設備及び住宅用発電機換気設備、ヒートポンプなどをそれぞれ挙げることができる。
本発明によるシステムに不可欠なものは、本発明による少なくとも1つのファンが、本発明による少なくとも1つのファンホイールを備えるように配設されることである。
【0018】
本発明の教示を有利な方法で展開して拡張する様々な選択肢が存在する。
この点に関して、請求項1及び請求項11の従属請求項が参照され、ファンホイールの波状構造の説明、及び、本発明の構造に関する説明が、図面に基づいて参照される。
図面に基づく本発明の説明と併せて、別の変形例に関する説明が更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1-3】ファンホイールの波状構造を説明する概略図。
図1a】等スパン面の定義を説明する放射状ファンホイールの断面概略図。
図1b】等スパン面の定義を説明するための斜流ファンホイールの断面概略図。
図1c】等スパン面の定義を説明するための軸流ファンホイールの断面概略図。
図2a】異形翼形ではないファンブレードを用いた場合の等スパン面の断面概略図。
図2b】異形翼形ファンブレードを用いた場合の等スパン面の断面概略図。
図3】スパン方向の関数軌跡の波形の定義を説明する関数軌跡の概略図。
図4a】剥き出しの特殊構造の内側端部及び外側端部を有する波状ファンブレードを備える軸流ファンホイールの斜視図。
図4b】軸方向斜めに平面視断面形状で見た図4aによる軸流ファンホイールのファンブレード。
図5a】ブレード表面は波状ではなく、異形翼形ではない波状ファンブレードを備える薄板構造の放射状ファンホイールの斜視図。
図5b】径方向斜めに平面視断面形状で見た図5aによる放射状ファンホイール。
図6a】ブレード表面が波状であって、異形翼形ではない波状ファンブレードを備える金属薄板構造の放射状ファンホイールの斜視図。
図6b】径方向斜めに見た図6aによる放射状ファンホイール。
図6c】径方向斜めに平面視断面形状で見た図6aによる放射状ファンホイール。
図7a】ブレード表面は、ブレード前縁の近傍で波状であって、異形翼形波状ファンブレードを備える出口ガイドベーン(静翼)の斜視図。
図7b】径方向斜めに平面視断面形状で見た図7aによる出口ガイドベーンのファンブレード。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1a、図1b、及び、図1cに基づいて、ファンホイール2の等スパン面(isospan surfaces)の定義について説明し、この定義が、以下においてファンホイールブレードの波形の定義の基本を形成する。
等スパン面は、ファンホイール軸1の回りの子午面(meridional plane)にある等スパン曲線と以後表記される特定の曲線から成る回転面である。
ファンブレード3を備えるこのような等スパン面のセクションについて、次に考察する。
【0021】
図1aは、回転軸に対応するファンホイール軸1を通る平面における放射状構造のファンホイール2を概略図で示している。
このような平面は、子午面3aと表記される。
ファンホイール軸1は、常に、選択図では、水平方向に配向される。
一例として図示される放射状フライホイールは、ハブリング4、カバーリング5だけでなく、ハブリング4とカバーリング5との間に延びるファンブレード群から成る。
図示の構造では、ハブリング4及びカバーリング5は、ファンホイール軸1回りの回転体である。
断面形状では、ハブリング4及びカバーリング5は、平面視で点線で示され、それぞれ、ハブリング4及びカバーリング5の半分だけが、ファンホイール軸1の上方に示されている。
ファンブレード3は、これらのファンブレード3の子午面3aの形状で示されている。
ファンブレード3の子午面3aは、ファンホイール軸1の上方の子午面断面形状の全点を結ぶ形状に対応し、これらの点は、ファンホイール軸1回りのファンホイール2の少なくとも1つのランダムな回転位置にある1つのファンブレード3の内部に見出される。
【0022】
ファンブレード3の子午面3aは、4つの流入側辺縁6、流出側辺縁7,内側辺縁8,及び外側辺縁9を有する。
流入側辺縁6は、流出側辺縁7と共に、貫通流方向におけるファンブレード3の子午面3aの境界を表わしている。
ファンブレード3の内側ハブリング側の端部に対応する内側辺縁8は、ファンブレード3の外側環状カバーリング側の端部に対応する外側辺縁9と共に、スパン方向の境界を表わしている。
【0023】
内側辺縁8及び外側辺縁9をそれぞれ援用して、最内側等スパン曲線10及び最外側等スパン曲線11が、それぞれ、s=0.0及びs=1.0それぞれの標準スパン座標で定義される。
最初に、内側辺縁8及び外側辺縁9自体が、対応する最内側等スパン曲線10,最外側等スパン曲線11の断面形状として使用される。
ファンブレード3の子午面3a全体が、両方の最内側等スパン曲線10及び最外側等スパン曲線11上を延びるだけでなく両方の直線延伸部分12,13上を延びる略方形形状の内側に位置し、両方の直線延伸部分12,13が、それぞれ、同じ最内側等スパン曲線10及び最外側等スパン曲線11の流入側端点及び流出側端点の両方を結ぶために、内側辺縁8,外側辺縁9に接するように結び付く、より一層十分長い直線延長部分12,13を必要に応じて、両方の内側辺縁8及び/又は外側辺縁9の流入側端点及び/又は流出側端点に取り付け、これらの直線延長部分12,13が、次に同様に、対応する最内側等スパン曲線10,最外側等スパン曲線11の一部を形成するようにする。
直線延伸部分12は、流入側の等子午面位置曲線と表記され、この流入側の等子午面位置曲線では、子午面長位置mの原点が定義される。
直線延伸部分13は、流出側の等子午面位置曲線と表記され、この流出側の等子午面位置曲線では、子午面長位置mは、直線延伸部分12から直線延伸部分13まで対応する等スパン曲線の長さの所定の値を採るものとする。
直線延伸部分12と13との間の所定の点の子午面長位置mの値は、直線延伸部分12から考察対象の点まで関連する等スパン曲線の延伸部分の長さに対応する。
【0024】
最内側等スパン曲線10と最外側等スパン曲線11との間の等スパン曲線は、最内側等スパン曲線10及び最外側等スパン曲線11を線形組み合わせすることにより、0.0と1.0との間の各標準スパン座標sに定義され、これにより、線形組み合わせが、子午面座標mの同じ値について必ず行なわれる。
図1aでは、等スパン曲線14が、s=0.7で線引きされている。
【0025】
図1bは、子午面3aにおける斜流構造のファンホイール2の概略図を示している。
等スパン曲線は、図1aに関する構造と同様にして定義することができる。
図1aとは異なり、この場合、内側辺縁8,外側辺縁9の延長部分が、これらの辺縁の流出側端において必要となるのに対し、図1aでは、内側辺縁8,外側辺縁9の延長部分は、当該辺縁の流入側端において必要となる。
フライホイール2の幾何学構造によって異なるが、延長部分が必要ではない場合、または、延長部分が両端に必要である場合もある。
【0026】
更に、図1cは、子午面3aにおける軸流構造のファンホイール2の概略図を示している。
カバーリングは、この例には含まれず、ファンブレード3は、外側自由端を有する。
この場合も同じく、等スパン曲線は、図1aまたは図1bに関する構造と同等である。
ファンホイール軸1回りの等スパン曲線の回転面として常に定義される等スパン面は、図示の円筒ジャケット面であり、軸流フライホイールに典型的な場合を表わしている。
【0027】
特に、ファンホイール構造を、自由外側辺縁を備えるファンブレード3に設けることもでき、ファンブレード3の子午面3aの辺縁を流入側境界6,流出側境界7,内側境界8,外側境界9に分割する分割境界は、不明瞭である。
具体的には、多くの構造では、内側境界8及び/又は外側境界9を明確に割り付けることができない。
このような場合においては、ファンブレード3の子午面3aにおける境界全体の分割を、流入側境界6及び流出側境界7それぞれの「流入側」及び「流出側」のみならず、内側境界8及び外側境界9それぞれの「スパン方向内側」及び「スパン方向外側」という形態で直観的に行なって、有限長の流入側境界6,流出側境界7,内側境界8,及び,外側境界9とする必要がある。
等スパン曲線の定義は、不明瞭である、すなわち、幾つかの有効な定義が、ファンホイール構造に関して、本発明が記述されるという意味で存在する。
本発明では、ファンブレード3は、以下の波形について行なわれる定義が、等スパン曲線の有効な定義として適用される場合に波状である。
【0028】
同じようにして、等スパン曲線及び等スパン面は、また、静翼(例えば、入口ガイドベーンまたは出口ガイドベーン)に関して定義することができる。
【0029】
図2a及び図2bでは、ファンブレード3の断面形状16が一例として示され、等スパン面が、ランダム標準スパン座標で、0.0と1.0との間に示されている。
このような断面形状は、普通、1つの平面に位置することがない。
概略表示を1つの平面で行なうために、追従(実角度)表示を用いる、すなわち、図2a及び図2bに描かれる角度は、1つのファンブレード3を含む等スパン面の3次元断面形状と同じ大きさの角度を有する。
断面形状の長さに関する全ての詳細な長さは、3次元断面形状面に関する実際の長さを意味する。
これらの断面形状は、平面で表示されているためにゆがんでいる。
【0030】
異形翼形ではないファンブレード3の断面形状16は、図2aに等スパン面を有するものとして示されている。
この断面形状16では、座標軸θ及び子午面座標mを有する2次元座標系15が原点(ゼロ点)を基準に描かれている。
座標軸θは、ファンホイールの円周方向の長さの座標であり、mは、既に説明した子午面座標である。
各スパン座標sの座標軸θに関する原点(ゼロ点)は、固定ファンホイール座標系の同じ角度位置(同じ子午面3a)に見出される。
mに関する原点(ゼロ点)は、図1a~図1cにおいて説明されるように、流入側の等子午面位置曲線12に見出される。
【0031】
ファンブレード3の断面形状16は、ファンブレード3の断面形状16の仮想正中線17により明確に特徴付けられる。
ブレード厚さdは、この仮想正中線17に重ね合わされる。
ファンブレード3が異形翼形ではない場合、厚さdは、ファンブレード3の子午面延長部分に沿ってほぼ一定である。
このようなファンブレード3の場合、厚さdは、全てのスパン座標sについても一定である。
これは、ファンブレード3を薄板金属から、またはプラスチックから低コストで製造することができることを意味している。
ブレード前縁18の近傍では、この例における厚さdは、当該箇所の薄板ブレードに丸みが付いていて音響の点で利点をもたらすことができるので、一定の厚さから逸脱している。
ブレード後縁19の近傍では、厚みの軌跡から、ファンブレード3が徐々に幅狭になっていくのが分かり、これは、例えば、一定の厚みの薄板金属を後処理することにより実現できるので、後縁騒音を抑制することができる。
これにも拘らず、このようなファンブレード3は、異形翼形ではない薄板金属ブレードと表記される。
【0032】
ブレード前縁18から測定される仮想正中線17の子午面延伸部分の半分の箇所に位置する仮想正中線17の中点20は、座標m及びθを有する。
ファンブレード3の断面形状が子午面方向または円周方向にそれぞれシフトしていることが、これらの座標により特徴付けられる。
ファンブレード3の断面形状16は、延伸部分lを子午面座標mの方向に有する。
ブレード前縁18では、仮想正中線17が、円周方向と角度β1をなしている。ブレード後縁19では、仮想正中線17が、円周方向と角度β2をなしている。
角度β1及び角度β2は、ファンホイールの空力学特性及び空力音響特性にとって重要である。
両方の角度の平均値は、両方の角度の間に差があるファンブレード3の断面形状16の食い違い角の基準となって、ファンブレード3の断面形状16の相対曲率の基準を形成する。
円周方向におけるファンブレード3の断面形状16の延伸部分は、子午面方向におけるファンブレード3の断面形状16の延長部分l、及び、食い違い角、すなわち、角度β1及び角度β2から生成される概略平均値に大きく左右される。
【0033】
異形翼形ファンブレード3の断面形状16は、図2bに等スパン面を有するものとして示されている。
図2aに関して行なわれた考察が、この場合にも当てはまる。
しかしながら、厚さ分布が一定ではない。
厚さは、子午面位置mの関数として一層大きく変わる。
実施形態では、厚さ分布は、エアフォイルの断面形状の厚さに類似するように設定される。最大厚さdmaxが、ファンブレード3の断面形状16を有する場合に付与される。
このような厚さ分布は、異形翼形ファンブレード3に固有である。
異形翼形ファンブレード3は、ファンの効率及び音響の点で有利である。
しかしながら、このようなファンブレード3の製造は、異形翼形ではないファンブレード3の場合よりも、特に薄板金属を製造する場合よりも長い時間を要する。
異形翼形ファンブレードの場合、厚さ分布及び最大厚さdmaxもスパン座標sによって異なってしまう。
【0034】
図2a及び図2bにおけるファンブレード3の断面形状16は、ファンブレード3から前方に遮蔽物が無い状態で眺めたときに、ブレード前縁18からブレード後縁19までの全領域を含む。
ブレード構造及び最内側等スパン曲線10及び最外側等スパン曲線11の定義によって異なるが、特に、標準スパン座標sが最内側等スパン曲線10及び/又は最外側等スパン曲線11の領域内にある場合、ファンブレード3が部分的にのみ異形翼形になる、すなわち、ファンブレード3の断面形状16は、遮蔽物が全く無い状態では、ブレード前縁18からブレード後縁19までの全領域を含むという訳ではないことが起こる。
このようなファンブレード3の断面形状16は、波形を定義する場合において無関係であると定義され、標準スパン座標sの領域は、波形を定義するという点で制限されてこのような不完全な断面形状が生じないようになる。
【0035】
構造サイズが、等スパン面を有するファンブレード3の断面形状16について図2a及び図2bに従って定義される場合、ランダムファンブレード3の軌跡は、標準スパン座標sの関数である。
【0036】
図3に基づいて、このような関数の軌跡が波形として定義される場合の説明を行なう。
図3は、ランダムサイズの関数21の軌跡を示しており、ランダムサイズは、例えば、子午面方向の特定の位置mにおけるβ1,β2,l,m,θ,β1-β2,厚さdのdmaxとすることができる、または、標準スパン座標sによって異なるファンブレード3の断面形状の別のサイズとすることができる。
関数21の軌跡は、波状である。
関数22の同様の入力軌跡は、関数21の軌跡と同様の軌跡を辿る傾向にあるが、波状ではない。
入力軌跡は、関数21の軌跡をフィルタ処理することにより生成されている。
採用するフィルタは、関数21の近似関数、この場合のs = 0.0~s = 1.0の関連区間の最小二乗法の3次多項式といった関数である。
【0037】
更に、差分23が、関数21の軌跡及び関数22のフィルタ処理後の軌跡に基づいて、図示されている。
差分関数23を援用して、波形に関する適切な定義を与えることができる。
具体的には、差分関数23から、s = 0.0~s = 1.0の関連区間において、幾つかの極点が明らかになり、4つよりも多くの極点が明らかになる。
差分関数23から、この区間における幾つかのゼロクロス点が明らかになり、3つよりも多くのゼロクロス点が明らかになる。
差分関数から更に、幾つかの極点が明らかになる、3つよりも多くの極点が明らかになると有利である。
これらの基準の各基準により、これが波状であるという関数21の軌跡に関する記述が得られる。
この例から更に、所定の関数の非波状軌跡を起点として、波状軌跡を実現しようとする意図がある場合、非波状関数に、差分関数23と同様の適切な波状関数を更に重ね合わせることができる。
【0038】
図3に基づいて、波状関数の波長λ及び振幅Aが定義される。
波長λは、差分関数23の所定のゼロクロス点と1つおいて隣のゼロクロス点との間の標準スパン座標sの差として定義される。
λは、無次元波長であり、無次元波長は、標準スパン座標sについて確認されることになり、標準スパン座標sで0.0~1.0のファンブレード全体を辿る。
このような理由により、ファンブレード3のスパンを超える波の数は、約1.0/λに相当する。
【0039】
更に、波長寸法λが導入され、波長寸法は、長さの単位を有し、具体的には、波長寸法値として、スパン方向に測定される互いに連続する2つの波頂部の幾何学距離を有する。
振幅Aは、差分関数23の極点の関数値の大きさに対応する。
λ,Λ、及びAは、一定ではなく、差分関数23の軌跡の特定領域においてそれぞれ変化し得る、または、それぞれファンブレード3を上回って見える。
差分関数は、必ずしも曲線関数と同様の軌跡を辿る必要がない。
差分関数は、前述の波形の定義のみが満たされる場合には、ギザギザ状、階段状、鋸歯状、櫛歯状、舌状、またはその他の形状である軌跡を有する。
【0040】
一般的には、ファンブレード3は従って、関数β1,β2,l,m,θ,β1-β2,dmax,β1+β2、またはd(m)のうちの少なくとも1つが、与えられる定義に従った波形である場合に、スパン方向に波状であると表記される。
【0041】
図4aは、軸流構造のファンホイール2を後方から斜めに見たときの斜視図を示している。
ファンブレード3は、波状である。
これらのファンブレード3の波形は、非波状基準ブレードの円周方向の長さ座標θを10mmの振幅の曲線形の波形に重ね合わせることにより実現された。
振幅は、長さの幅として、3mm~20mmである。
ファンブレード3を参照すると、このファンブレード3により湾曲刃状の波形及びV姿勢の波形が得られる。
ファンブレード3の波形は、ブレード前縁18及びブレード後縁19の顕著な波形により容易に認識することができる。
このような波形の場合、長さ座標θを重ね合わせる対象となる振幅も、この場合も同じく、ブレード前縁18及びブレード後縁19の波形のサイズについて、ほぼ同じである。
【0042】
異形翼形で表示される同じファンホイール2のファンブレード3を示している図4bでは、波形がファンブレード3全体にわたって続いていることが分かる。
ファンブレード3の全表面が、波状である。
約41/4個分の波長が、ファンブレード3のスパン幅方向に延びる延伸部分の全体にわたって延びている。
約3個~約12個分の波長が、ファンブレード3のスパン幅方向に延びる延長部分全体にわたって延伸している。
図4bでは、断面形状平面に位置している標準スパンsの座標方向が描かれている。
更に、スパン方向の波長寸法Λは、この断面形状の所定の部位に描かれている。
この波長は、最大ファンホイール径が630mmの場合の約3cmに相当する。
換気状態によって異なるが、このような波長は、5mm~50mmの範囲、または、最大ファンホイール径の0.5%~5%の範囲とする。
【0043】
ブレード前縁18が波形になっているので、音調騒音を抑制することができ、音調騒音は、動作状態のファンホイールへの流入外乱の結果として発生する。
図4a及び図4bにおける湾曲刃状の波形により、空力学的観点から、高い揚力係数を有する波形を確保することができる。
この波形により、吸込側ブレード流を安定させる縦渦を発生させることができるので、流動分離に伴う騒音を発生させながら流動分離を抑制することができる。
ブレード後縁19が波形になっているので、騒音発生機構を局所分散領域により弱め、または、ブレード後縁19の形状が尖っていないので、騒音発生機構を弱めることができる。
ファンブレード3の表面が波形になっているので、ファンブレード3で発生してファンブレード3により反射される騒音は、より大きく分散されて、ファンの騒音特性に有利に働くようになる。
長さ座標θに波形を円周方向に重ね合わせる手段が簡単であるので、ファンの音響特性を幾つかの原因機構に関して向上させることができる。
【0044】
同様にして、波形の構造は、図4a及び図4bから推測することができる。
軸流ファンブレード3の最外側領域26は、波形を援用して、極めて目標通りに設計されている。
この領域では、ファンブレード3は、所謂、量に応じて逆湾曲刃状の高いV姿勢で終端する。
最外側におけるファンブレード3の断面形状は、回転方向と反対の方向に、局所的に大きくシフトしている。
このような構造から非常に大きな影響が、広帯域騒音を抑制する際に発生し、広帯域騒音が軸流ファンの位置で、大きな騒音源を、ヘッドギャップ(隙間)から溢れ出す結果として形成する場合が多い。
この点に関して、ウィングレットの空力音響機能を前提としている。
また、ウィングレット及び波形は、互いに完全かつシームレスに、単一の設計手段で一体化することができる。
【0045】
ファンブレード3の最内側領域25においても、極めて目標通りの設計が行なわれている。
図4bから分かるように、ファンブレード3は、ハブリング4に略直角に局所的に連結される。
これにより、ハブリング4とファンブレード3の連結作業、特に溶接中の作業が決定的に有利になる。
樹脂射出成形製造作業がファンホイール2を一体化製造する際に行なわれる場合、このような構造は、特に優れた利点をもたらす。
【0046】
更に、ファンブレード3の脚部に掛かる切り欠き応力は、このような設計により最小限に低下する。
ファンブレード3からの略直角の、好ましくは、約75度~115度の角度の衝撃が、ハブリング4に、波形に起因して加わる。
同程度の空力特性(空力係数及び空気出力)を有する非波状基準ブレードは、ハブリング4に対して小さな鋭角をなすことになる。
【0047】
図5aは、放射状構造のファンホイール2を前方から斜めに見たときの斜視図を示している。
ファンブレード3は、波状である。
これらのファンブレード3の波形は、m(子午面座標の方向におけるファンブレード3の断面形状の位置)及びθ(円周座標の方向におけるファンブレード3の断面形状の位置)の絶対値を有する波形として表現される。
子午面方向のこれらの断面形状の延長部分lは、波状ではない。
別のサイズ部分は、大きくは変化しない波形を有することもできる。
この場合も、波形は、ブレード前縁18及びブレード後縁19の軌跡に見出される。
これは、流入に起因するブレード前縁18における騒音が、ブレード後縁19における騒音と同じように抑制される。
図示の例では、約71/2個分の波長が、全スパンに沿って現われる。
波長寸法Λは、ブレード後縁19におけるよりもブレード前縁18の領域において大きくなる傾向があり、これは、ブレード前縁18が、ブレード前縁18の軌跡にわたって、ブレード前縁18の全スパンにわたって測定される場合に、ブレード後縁19よりもかなり長くなることに起因している。
【0048】
径方向から見たときに異形翼形である図5aによる対象物を示している図5bから、波形は、ファンブレード3の表面が、断面形状で波状に見えないように選択されている。
具体的には、m及びθ、及び他のサイズの波形は、断面形状で見たときのこの表面が波形ではないように選択される。
これにより、波形から得られる音響的利点が更に小さくなるが、製造上の観点からは、利点が伴う。
このファンホイール2は、ファンブレード3が異形翼形ではない構成のファンホイールを含む。
ファンブレード3の厚さdは、図5bのファンブレード3の平面視断面形状24に認識できるように、略一定に保持される。
このようなファンホイール3は、薄板金属(金属またはプラスチック)から製造されると有利である。
ファンブレード3を薄板金属から製造すると、ファンブレード3の表面が断面形状で見たときに波状ではない場合に容易かつ安価に済ませることができる。
その理由は、薄板金属ブレードのエンボス成形または深絞り成形に必要なエネルギーが、小さいからである。
ブレード前縁18自体及びブレード後縁19自体で大きな音響的利点を既にもたらしているブレード前縁18及びブレード後縁19の波形は、例えば、トリミングまたは穿孔を利用した製造技術であることから実現することができる。
【0049】
図6aは、放射状構造のファンホイール2を前方から斜めに見たときの斜視図を示している。
ファンブレード3は、波形である。
ファンホイール2は、図5a、図5bのファンホイール2と同様である。
具体的には、非波状基準ブレードは、同じ形状を有する。
しかしながら、これらのファンブレード3の波形は、これまでに説明してきた波形とは異なる。
これは、絶対値(β1+β2)/2を持つ波形、すなわち、具体的には、食い違い角を有する波形の表現式に見出される。
この場合、ファンブレード3の形状変位(β1-β2),座標θ及びmだけでなく、子午面延伸部分lは、スパン方向に沿って波状ではない。
(β1+β2)/2の波形の振幅Aは、約1度の角度に相当する。
角度サイズの波形の振幅は、0.5度~3度の角度に相当する。
図6aから、説明した波形、具体的には、ファンブレード3のブレード前縁18及びブレード後縁19の断面形状が動機となって、波形が開発され、既に説明した音響的利点が得られる。
【0050】
図6bは、径方向側面から見たときの図6aによる対象物を示している。
ブレード後縁19の波形は、採用する観察方向によって異なるが、様々な明瞭度で認識することができる。
及びlは、波状ではないので、子午面方向に見たときのブレード後縁19の箇所も波状ではない。
これは、例えば、ブレード後縁19が図6bの下方に配置される場合に理解することができる。
しかしながら、(β1+β2)/2の波形により、ブレード後縁19の円周方向の箇所が波形になる。
これは、図6bにおいて、ブレード後縁19が図のほぼ中心に位置している場合に認識することができる。
このブレード後縁19における波形の振幅Aは、3mm~20mmに相当する、または最大ファンホイール径の0.5%~5%に相当することが好ましい。
ブレード後縁19の断面形状は、ブレード前縁18の断面形状に対応する実施形態においても当てはまる。
【0051】
更に、図6bでは、薄板金属から製造されるファンホイール2のファンブレード3の内側領域25及び外側領域26の特に有利な構造を認識することができる。
ファンブレード3のそれぞれ内側領域25及び外側領域26における波形の構造が特殊であるということは、ハブリング4及びカバーリング5それぞれがファンブレード3と、接続部位でなす表面角度が、広範な領域にわたってほぼ90度の角度であることを意味する。
これは、ファンホイール3を製造することになる場合、薄板金属ホイールを溶接するだけでなく、ファンホイール全体を射出成形すると有利である。
カバーリング5及びブレード前縁18の断面形状領域の放射状ファンホイールでは、この特性は、音響的に特に有利である。
この直角性は、角度が、空力係数を最適化した予備構造について設定されている場合でも実現されており、予備構造は、非波状基準ファンブレードから区別され、これらの角度はそれぞれ、かなりの程度に、より鋭角であるか、またはより鈍角である。
波形の構造は、ファンブレード3とハブリング4またはカバーリング5がなす90度の角度の大きさに応じた最大変位量及び/又は平均変位量が、波形に起因して10度以上の角度だけ小さくなっている場合に実現される。
【0052】
図6cは、平面視断面形状24で、径方向側面から見た図6a、図6bによる対象物を示している。
ファンブレード3の平面視断面形状24においても、波形を認識することができる。
従って、ファンブレード3の表面は、この場合もまた、波状である。
これにより、既に説明したように、更に別の音響的利点が得られる。
しかしながら、薄板金属を使用する製造方法は、より難しくなる。
ファンブレード3のエンボス成形または深絞り成形に必要な比較的大量のエネルギーの照射が、波状形状に照射するために必要になる。
薄板金属が、このような成形過程の途中で破断しないことが保証される必要もある。
特に、流動性金属薄板または流動性プラスチック薄板を使用することができる。
成形に使用されることになるエネルギーの測定値を求めることにより、ブレード表面の変位の局所波振幅Aが、波形が波長寸法Λに関するブレード表面の非波状基準箇所に対して位置する結果として得られる。
良好な音響結果が得られるにも拘わらず、薄板金属製シャベルを製造可能な状態に維持するために、比A/Λを0.03~0.3の範囲に設定することが、特に有利である。
【0053】
図6a~図6cにおけるファンブレード3の波形は、ファンブレード3の断面形状の中心点領域において子午面方向に見た場合に、すなわち、ファンブレード3のほぼ中央において、子午面方向に見た場合に、波形は、全く変化していない、またはほんの少ししか変化していないように見える(断面形状で見た場合に、中心点領域における波形の振幅が、ゼロまたはほぼゼロに見える)ということにより見分けられる。
図6cの下側ブレード断面形状24では、このような中心領域は、或る程度、異形翼形になっており、これが、波形の変化が、中心領域で、比較的小さく見える理由である。
これは、mまたはθのいずれにも波形を重ね合わせていないということに起因している。
この形態の構造は、ファンブレード3が薄板金属により形成される場合に有利である。
波形の大きな変化は、騒音がブレード前縁18及びブレード後縁19の近傍で発生するということから最も重要である領域に限定される。
子午面方向に見られるファンブレード中心のさほど重要ではない領域では、成形リソースの不必要な消費が大幅に回避される。
更に、弱くなる傾向がない、または弱くなっても比較的弱くなるに過ぎない波状中心領域は、ファンブレード3が動作中に変形するようになる場合に大きな利点を有する。
この領域を設けると、スパン方向の変形、及びファンブレードの表面とほぼ垂直な方向の変形を大幅に低減させることができる。
【0054】
図7aは、動作中の非回転出口ガイドベーン(静翼)であるファンホイール2を前方から斜めに見たときの様子を斜視図で示している。
ファンホイール2は、互いに波状のファンブレード3を介して接続されるハブリング4及びカバーリング5を有する。
取り付けフランジ28をハブリング4上のモータに設ける。
取り付け領域29をカバーリング5上に設け、カバーリング5で、出口ガイドベーン2を、例えば、ハウジングに取り付ける。
この波形は、ブレード前縁18の近傍の子午面位置mにある局所ブレード厚さdの波形により形成されている。
ブレード前縁18及びブレード後縁19の両方が、波状ではない。
図7aでは、ファンブレード3の波形は、幾つかの輪郭31だけが見える波形により認識される。
【0055】
図7bは、前方から見た場合の図7aによる対象物を、回転軸に垂直な平面にある断面形状として示し、断面形状平面の軸方向位置は、ブレード前縁18に近接して位置している。
この厚さの波形は、ファンブレード3内を通過する断面形状24として認識される。
局所厚さdの波形の約9個の波長が、スパン方向にわたって特定される。
この波形の最大振幅は、約4mmに相当する。
このような形態の構造は、ファンブレード3の厚さが一定ではないので、成形法を用いることにより製造される。
従って、ファンブレード3は、異形翼形である。
ブレード前縁18の近傍のファンブレード3の厚さの波形により、流入外乱に起因する音調騒音(前縁騒音)を抑制することができる。
比較的大きな効果が、ブレード前縁18の波状構造の場合と同じようにして実現される。
【0056】
本発明によるファンホイールの更に有利な構造に関しては、繰り返しを避けるために、概略説明部分及び添付の特許請求の範囲が参照される。
【0057】
最後に、本発明によるファンホイールの実施形態は、特許請求する教示を説明するためであるが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0058】
1 ・・・ファンホイール軸
2 ・・・ファンホイール
3 ・・・ファンブレード
3a・・・ファンブレードの子午面
4 ・・・ハブリング
5 ・・・カバーリング
6 ・・・流入側辺縁、流入側境界
7 ・・・流出側辺縁、流出側境界
8 ・・・内側辺縁、内側境界
9 ・・・外側辺縁、外側境界
10 ・・・最内側等スパン曲線
11 ・・・最外側等スパン曲線
12 ・・・流入側等子午面位置曲線
13 ・・・流出側等子午面位置曲線
14 ・・・s=0.7の位置の等スパン曲線の例
15 ・・・2次元座標系(θ,m)
16 ・・・等スパン曲線を有するファンブレードの断面形状
17 ・・・仮想正中線
18 ・・・ブレード前縁
19 ・・・ブレード後縁
20 ・・・正中線の中心
21 ・・・波状関数
22 ・・・フィルタ関数
23 ・・・差分関数
24 ・・・ファンブレードの平面断面形状
25 ・・・ファンブレードの内側領域
26 ・・・ファンブレードの外側領域
27 ・・・回転方向
28 ・・・モータ取り付けフランジ
29 ・・・ハウジング取り付け領域
30 ・・・静翼の入口ノズル
31 ・・・ファンブレードの輪郭線
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b