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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033992
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】疲労モニタリング及び管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20220222BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
A61B5/16 200
A61B5/08
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205063
(22)【出願日】2021-12-17
(62)【分割の表示】P 2020085229の分割
【原出願日】2014-10-06
(31)【優先権主張番号】2013903881
(32)【優先日】2013-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2014902350
(32)【優先日】2014-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】508354647
【氏名又は名称】レスメッド センサー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ヘネガン,コナー
(72)【発明者】
【氏名】マコート,キアラン・ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ショルディス,レドモンド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より客観的に及び/又は個人化可能なように疲労のモニタリング及び管理に役立つシステムを提供する。
【解決手段】疲労モニタリング及び管理システム(100)は、ユーザの客観的睡眠尺度を生成するように構成された、非干渉的睡眠センサ等の1つ又は複数のデータソースを含む。システムはまた、1つ又は複数のデータソースからのデータに基づいて、1つ又は複数のプロセッサ等においてユーザの疲労状態の評価を生成するように構成することができる疲労モニタリングモジュールも含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの疲労をモニタリングするシステムであって、
前記ユーザの客観的睡眠尺度を生成するように構成された非干渉的睡眠センサを有する
1つ又は複数のデータソースと、
プロセッサの疲労モニタリングモジュールであって、前記1つ又は複数のデータソース
からのデータに基づいて前記ユーザの疲労状態の評価を生成するように構成されたモジュ
ールと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数のデータソースは、
前記ユーザの身体活動データを生成するように構成された活動センサと、
前記ユーザの睡眠場所における周囲状態に関連する環境データを生成するように構成さ
れた環境センサと、
前記ユーザの自身で知覚する疲労状態に関連する主観的ユーザデータを取り込むように
構成されたデバイスと、
前記ユーザの日中のバイタルサインデータを取り込むように構成されたデバイスと、
前記ユーザの疲労又は眠気の客観的測定値を取り込むように構成されたデバイスと、
クロックと、
前記ユーザに対する労働パターン情報と、
のうちの1つ又は複数を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記主観的ユーザデータは、
カフェイン摂取量と、
ストレスレベルと、
エネルギーレベルと、
心理状態と、
知覚される睡眠の質と、
のうちの1つ又は複数を含む生活様式パラメータを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記環境データは、季節、天候及びアレルギー情報のうちの1つ又は複数を含む、請求
項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記環境データは、周囲温度、周囲音声レベル、光レベル、空気の品質及び湿度のうち
の1つ又は複数を含む、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項6】
前記疲労又は眠気の客観的測定値は、ユーザ検査から得られる、請求項2~5のいずれ
か一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記疲労又は眠気の客観的測定値は、前記ユーザによるゲームプレイから得られる、請
求項2~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記疲労モニタリングモジュールは、所定時間窓にわたって前記1つ又は複数のデータ
ソースからデータを取り込むように構成された履歴データベースに基づいて、前記ユーザ
の前記疲労状態の評価を生成する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記疲労モニタリングモジュールは、前記履歴データベースにおけるデータの傾向分析
から導出された前記ユーザに対するベースラインパラメータに基づいて、該ユーザの前記
疲労状態の評価を生成するように更に構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記疲労モニタリングモジュールは、前記システムの複数のユーザからの前記1つ又は
複数のデータソースからのデータを含む母集団データベースに基づいて、前記ユーザの前
記疲労状態の評価を生成するように更に構成されている、請求項1~9のいずれか一項に
記載のシステム。
【請求項11】
前記疲労モニタリングモジュールは、質問票に対する応答から導出される前記ユーザに
対するベースラインパラメータに基づいて、該ユーザの前記疲労状態の評価を生成するよ
うに更に構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記睡眠センサは、睡眠呼吸障害尺度を提供するように更に構成されている、請求項1
~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記睡眠呼吸障害尺度はいびき尺度である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
睡眠センサデータは、音声センサからの音声データと結合されて前記いびき尺度が得ら
れる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記いびき尺度は、前記睡眠センサデータが、前記ユーザが存在し睡眠していることを
示すときの間隔に制限される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記睡眠センサは動きセンサであり、前記いびき尺度を得ることは、前記動きセンサか
らの呼吸運動信号における高周波数成分と同期する前記音声データにおけるいびき状事象
を検出することを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記睡眠呼吸障害尺度は無呼吸-低呼吸指数である、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記睡眠呼吸障害尺度は、呼吸数の増大である、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザの前記疲労状態の評価は、該ユーザの現疲労状態の推定を含む、請求項1~
18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記ユーザの前記疲労状態の評価は、指定された時点における該ユーザの将来の疲労状
態の予測を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記客観的睡眠尺度は、
心拍数、
呼吸数、
生物学的動きレベル、
睡眠統計量、
ガルバニック皮膚応答、及び
体温、
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記睡眠統計量は、
睡眠の持続時間、
睡眠の質、
睡眠の中断の回数、
レム睡眠の持続時間、
中途覚醒、
睡眠慣性、及び
睡眠潜時、
のうちの1つ又は複数を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ユーザの前記疲労状態の評価に関連する情報を第三者に提供するように構成された
第三者情報モジュールを更に備える、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記ユーザの前記疲労状態の評価に関連する情報を該ユーザに提供するように構成され
たユーザ情報モジュールを更に備える、請求項1~23のいずれか一項に記載のシステム
【請求項25】
前記睡眠センサは、前記ユーザがCPAP治療を受けている呼吸圧力治療装置と一体化
されたセンサである、請求項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記疲労モニタリングモジュールは、前記1つ又は複数のデータソースからのデータを
線形結合して疲労指数を生成するように構成されている線形分類器である、請求項1~2
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記疲労モニタリングモジュールは、前記1つ又は複数のデータソースからのデータに
規則セットを適用して疲労指数を生成する、請求項1~25のいずれか一項に記載のシス
テム。
【請求項28】
前記疲労指数は、一組の疲労状態のうちの1つにマッピングされる、請求項26又は2
7に記載のシステム。
【請求項29】
前記疲労モニタリングモジュールは、前記ユーザに関連する処理デバイス上に実施され
、該処理デバイスは前記1つ又は複数のデータソースに接続されている、請求項1~28
のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記疲労モニタリングモジュールは、ネットワークにより前記1つ又は複数のデータソ
ースに接続されたリモートサーバにおいて実施される、請求項1~28のいずれか一項に
記載のシステム。
【請求項31】
ユーザの疲労をモニタリングする方法であって、1つ又は複数のプロセッサにおいて、
1つ又は複数のデータソースからのデータに基づいて前記ユーザの疲労状態の評価を生成
するステップを含み、該データは、非干渉的睡眠センサによって生成される該ユーザの客
観的睡眠尺度を含む、方法。
【請求項32】
前記ユーザに前記疲労状態の評価を提供するステップを更に含む、請求項31に記載の
方法。
【請求項33】
前記疲労状態の評価に基づいて前記ユーザに推奨を行うステップを更に含む、請求項3
1又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記推奨は、前記ユーザが就寝する理想的な時刻である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記推奨は、前記ユーザが起床する最適な時刻である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ユーザは、CPAP治療を受けており、前記推奨は、該CPAP治療を改善するた
めの推奨である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
第三者に前記疲労状態の評価を提供するステップを更に含む、請求項31~36のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記生成するステップは、前記1つ又は複数のデータソースに線形分類器を適用するス
テップを含む、請求項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記生成するステップの前に、前記データソースのうちの1つ又は複数に非線形変換を
適用するステップを更に含む、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2013年10月9日に出願されたオーストラリア仮特許出願第20139
03881号、及び2014年6月19日に出願されたオーストラリア仮特許出願第20
14902350号の利益を主張し、それらの各々の開示内容は、参照することによりそ
の全体が本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する記載)
該当なし
【0003】
(共同研究開発の関係者の名称)
該当なし
【0004】
(シーケンスリスト)
該当なし
【0005】
本技術は、疲労のモニタリング及び管理に関する。特に、本技術は、疲労のモニタリン
グ及び管理において使用されるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0006】
身体の呼吸器系は、ガス交換を容易にしている。
【0007】
鼻及び口は、患者の気道への入口を形成する。気道は、一連の分岐する管を備え、これ
らの管は、肺の中に深く入り込むにつれて、より細く、より短く、かつより多くなってい
く。肺の最も重要な機能は、酸素が空気から静脈血内に移動することを可能にするととも
に二酸化炭素が排出することを可能にするガス交換である。気管は、左右の主気管支に分
岐し、これらの主気管支は、最終的に終末細気管支に更に分岐する。気管支は、誘導気道
を構成し、ガス交換には関与しない。気道が更に分岐すると、呼吸細気管支に至り、最終
的には肺胞に至る。肺のこの胞状部位は、ガス交換が行われる場所であり、呼吸域と呼ば
れる。
【0008】
5.2.1 呼吸障害
様々な呼吸障害が存在する。
【0009】
睡眠呼吸障害(SDB)の一形態である閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠中の上
側気道の閉鎖又は閉塞によって特徴付けられる。この閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に、
異常に小さな上気道と、舌、軟口蓋、及び中咽頭後壁の部位における筋緊張の正常欠損と
が組み合わさった結果生じる。この条件によって、罹患患者は、夜ごとに、時に200回
~300回、通常は30秒~120秒の継続時間の期間中、呼吸が停止する。この閉塞性
睡眠時無呼吸は、多くの場合、過度の日中の傾眠を引き起こし、心血管疾患及び脳損傷を
引き起こす場合がある。この症候群は、特に中高年の過体重男性にとって一般的な障害で
あるが、罹患した人は、その問題に気付いていない場合がある。これについては、米国特
許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0010】
チェーンストークス呼吸(CSR)は、動脈血の反復的な脱酸素及び再酸素化を引き起
こす、増減する換気の律動的な交番周期が存在する患者の呼吸調節器の障害である。CS
Rは、反復的な低酸素のために有害である可能性がある。患者の中には、CSRが睡眠か
らの反復的な覚醒に結び付き、これによって、深刻な不眠、交感神経作用の増大、及び後
負荷の増加が引き起こされる者がいる。これについては、米国特許第6,532,959
号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0011】
肥満過換気症候群(OHS:Obesity Hyperventilation Syndrome)は、過換気につい
て他の既知の原因が存在しない状態での、重度の肥満と意識下慢性高炭酸ガス血症との組
合せとして定義される。症状は、呼吸困難、朝の頭痛、及び過剰の日中の眠気を含む。
【0012】
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、或る特
定の特性を共通に有する下部気道疾患の群のうちの任意の下部気道疾患を包含する。これ
らは、空気移動に対する抵抗の増加、呼吸の呼気位相の延長、及び肺の正常弾性の喪失を
含む。COPDの例は、肺気腫及び気管支炎である。COPDは、慢性的喫煙(主要な危
険因子)、職業上の曝露、空気汚染、及び遺伝因子によって引き起こされる。症状は、運
動時呼吸困難、慢性咳、及び痰生成を含む。
【0013】
神経筋疾患(NMD:Neuromuscular Disease)は、内在筋病理によって直接、又は、
神経病理によって間接的に筋肉の機能を損なう多くの疾患及び病気を包含する広義の用語
である。一部のNMD患者は、進行性筋肉障害を特徴とし、この進行性筋肉障害により、
歩行不能となり、車椅子での生活を強いられ、嚥下困難となり、呼吸筋が衰弱し、そして
最終的には呼吸不全による死がもたらされる。神経筋障害は、急速進行性及び緩徐進行性
、すなわち、(i)数か月にわたって悪化し、数年以内に死に至る筋肉損傷を特徴とする
急速進行性障害(例えば、10代の少年少女の筋委縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophi
c lateral sclerosis)及びデュシェンヌ型筋ジストロフィ(DMD:Duchenne muscular
dystrophy)、(ii)数年にわたって悪化し、寿命を少し減少させるだけである筋肉損
傷を特徴とする変わり易い又は緩徐進行性障害(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型、及び筋
緊張性筋ジストロフィ)に分類することができる。NMDにおける呼吸不全の症状は、全
体的衰弱、嚥下障害、運動時及び安静時呼吸困難、疲労、眠気、朝の頭痛、並びに意識集
中及び気分変動に関する困難さを含む。
【0014】
胸壁障害は、呼吸筋と胸郭との間の不十分な結合をもたらす胸郭変形の群である。その
障害は、通常、拘束性障害を特徴とし、長期高炭酸ガス血症的呼吸不全の可能性を共有す
る。脊柱側弯症及び/又は脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全をもたらす場合がある。呼吸
不全の症状は、運動時呼吸困難、末梢性浮腫、起座呼吸、反復される胸部感染、朝の頭痛
、疲労、不十分な睡眠品質、及び食欲不振を含む。
【0015】
5.2.2 療法
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を治療するために、持続気道陽圧(CPAP)療法が用
いられている。前提は、持続気道陽圧が空気圧式スプリントとして機能し、軟口蓋及び舌
を前方に押して中咽頭後壁から離すことによって上気道閉塞を防止することができるとい
うことである。
【0016】
陽圧の空気の供給を患者の気道の入口に適用することは、鼻マスク、フルフェイスマス
ク、又は鼻枕等の患者インタフェースの使用によって容易にされる。
【0017】
陽圧の空気は、電動ブロワ等の呼吸圧療法(RPT:respiratory pressure therapy)
デバイスによって患者の気道に供給することができる。RPTデバイスの出口は、可撓性
送達導管を介して上述したような患者インタフェースに接続される。
【0018】
5.2.3疲労
オーストラリアのクイーンズランド州によって発行された疲労に関するガイダンスノー
ト(2013)は、覚醒度の低下及び能力の低下に関連する、身体的要素及び/又は精神
的要素を含む可能性がある障害の状態として、疲労を定義している。通常、以下に関連し
て、疲労の原因となる複数の要因がある。
・睡眠の質が悪いこと(例えば、家族/娯楽の要因、ストレス、騒音、呼吸障害及び他の
健康問題による)。睡眠の質が悪いことは、世界的に顕著な問題であり、成人人口の最大
60%に影響を与えている。
・最後の睡眠以来の時単位での時間として定義される覚醒時間の延長。
【0019】
米国人の間の疲労の主な原因のうちの1つは、自ら課した覚醒又は睡眠不足、言い換え
れば、不十分な「睡眠衛生」であり、人は、故意に自身の睡眠を制限し、及び/又は平日
及び週末の間、異なる時刻で就寝し、日曜の夜の不眠症が引き起こされる。例えば、人は
、より多くのことをしようと試みて徹夜し、「昼夜休みなく(around the clock:24時
間)」ラップトップ、タブレット又はスマートフォンに関り続ける可能性がある(NSF
、2013)。
【0020】
より一般的には、疲労は複雑な問題であるとみなすことができ、複数の要因が関係して
いる。睡眠の質又は量が低下することによる疲労は、短期間、睡眠不足である後に現れる
(急性疲労として知られる)か、又は睡眠障害若しくは回復睡眠の不足によって睡眠不足
が蓄積された長期間にわたって現れる(蓄積的疲労と呼ばれる)可能性がある。精神的(
認知的)疲労は、例えば、覚醒度、協調及び判断の減退、感情的影響並びに労働中のマイ
クロスリープとして現れる可能性がある。回復(深、徐波)睡眠は、身体的回復に関連し
、すなわち身体的疲労を低減させる。認知的(レム)睡眠は、精神的回復に関連する。
【0021】
睡眠関連の疲労により、欠勤及び職場での事故においてビジネスに対して1年に150
0億ドルのコストがかかると推定されてきた。疲労の精神測定学的尺度が線形に増大する
ことによりミスの割合は指数関数的に上昇することが確認された(Dinges他、1997)
。不眠症は、職場での全てのコストがかかる事故及びミスの7%、職場での災難全体の2
4%につながっている(Shahly他、2012)。Dawson及びReid(1997)は、疲労に
よってもたらされる能力の低下を、アルコールに酔った状態での能力の低下と同等と考え
、中位のレベルの疲労により、禁止されたレベルのアルコールに酔った状態より高いレベ
ルの低下がもたらされることを示している。質の低い睡眠と不適切な回復により、疲労が
増大し、覚醒度が低下し、種々の認知的精神運動検査において能力が低下することになる
(Harrington、1978、Nicholson及びD'Auria、1999)。Barker及びNussbaum(2
010)による正看護師の研究では、精神的疲労レベルが身体的疲労レベルより高いこと
と、急性疲労レベルが慢性疲労レベルより高いことが報告された。全ての疲労の大きさ及
び状態が、知覚される能力に否定的に相関した。スウェーデン産業疲労登録簿(SOFI
:Swedish Occupational Fatigue Inventory)は、4つの大きさ、すなわちエネルギーの
欠如、身体的労作、身体的不快及び意欲の欠如にわたって、作業に関連する知覚された疲
労を評価した。エネルギーの欠如の大きさを用いて、全体的な疲労を測定し、意欲の欠如
の大きさを用いて精神的疲労を測定し、身体的労作及び身体的不快の大きさを身体的疲労
の尺度として使用した(Ahsberg、2000)。
【0022】
5.2.4 従来の手法
疲労測定に対する従来の手法は、主に、勤務表に載せられた時間/シフト、及び場合に
よっては、睡眠の被験者報告事例の検討に頼る。
【0023】
米国特許第8075484号は、「疲労を評価し緩和するシステム及び方法において、
入力デバイスが、個人から労働-休息パターン及び/又は睡眠データを受け取る。データ
集合及び処理プラットフォームが、現労働-休息パターン及び/又は睡眠データをその個
人に関連する以前のデータと結合して、疲労評価結果、診断評価結果及び是正介入結果を
生成する。少なくとも1つの出力ディスプレイが、疲労評価結果、診断評価結果及び是正
介入結果をユーザ可読フォーマットでユーザに出力する。ユーザは、この情報を用いて、
労働-休息パターンを見直して、その後の疲労リスクを低減させるか又は制御する」と概
説している。
【0024】
欧州特許出願公開第2278508号は、「寝ているときのユーザの睡眠の質に関連す
る1つ又は複数の客観的パラメータをモニタリングし、携帯電話等の携帯型デバイスを介
して、起きているときのユーザから、認知能力及び/又は精神運動能力に関する客観的検
査データのフィードバックを受け取る、ユーザの睡眠の質を改善するための睡眠管理方法
及びシステム」を概説している。
【0025】
米国特許出願公開第20120316845号は、「分散コンピューティング方法及び
システムが開示されており、そこでは、集中した疲労リスク計算が、利用可能な計算資源
、疲労リスク計算のパラメータ、時間的制約のあるユーザ要求等に従って分割される。実
行費用関数を用いてアクセス可能な計算資源が割りつけられる方法が開示される。追加の
方法は、ユーザにより優先順位が付けられたニーズによってかつ計算の一般的な数学的特
徴自体によって計算タスクを分割することを含む。そこでは、完全な確率分布ではなく予
測-最大尤度のみを計算し、(全データの完全な再表形式化の代りに)ベイズの予測技法
を用いて予測尤度を計算し、一連の結果を適切に照合することができる疲労リスク計算の
暫定結果(例えば、関連する累積的タスクの連続したタイムスライス独立性)を照合し、
疲労予測のより豊富なモデルの簡略化した(例えば、線形、一次)近似を使用し、ユーザ
が特定した優先順位を複数のこうした要求内の各計算タスクに割り当てる等の方法が含ま
れる」と概説している。
【0026】
米国特許出願公開第20120329020号は、「被験者の1つ又は複数の疲労関連
個人特性に関連する個人化された教育情報を確認する方法が提供される。本方法は、被験
者の1つ又は複数の疲労関連個人特性の表現を示す第1の入力データを受け取ることと、
1つ又は複数の疲労関連個人特性に対する特性値を推定することであって、この特性値を
推定することは、第1の入力データと、被験者の疲労レベルを一組のモデルパラメータに
関連付ける疲労モデルとを用いて、一組のモデルパラメータに対する値を推定すること、
及び一組のモデルパラメータに対する推定値を用いて1つ又は複数の特性推定関数を評価
することを含むことと、推定された特性値に基づいて被験者の1つ又は複数の疲労関連個
人特性に関する個人化された教育情報を求めることとを含む」と概説している。
【0027】
国際公開第2006000166号は、オペレータの筋肉活動からのオペレータ疲労検
出と、疲労の程度が既知であるオペレータからのデータマイニング法を用いて得られる疲
労評価規則を用いる評価とを概説している。
【0028】
国際公開第2000044580号は、「車両等の運転者等の被験者の覚醒状態を判断
する装置。本装置は、被験者に関連するEEG信号、EMG信号及びEOG信号等の1つ
又は複数の生理学的変数をモニタリングする手段(1~11)を含む。本装置はまた、1
つ又は複数の変数から、その又は各変数に対応する被験者の生理学的状態を表すデータを
導出する手段(13~16)と、被験者の覚醒状態が所定閾値未満になったときをデータ
から判断する手段(17)とを含む。本装置は、運転者の覚醒状態が所定閾値未満である
とき、車両の制御に介入する手段を含むことができる」と概説している。
【0029】
カナダ国特許出願第2578855号は、従業員に対して、個人レベルの睡眠、ストレ
ス及び疲労を自己評価し、調整し、管理する技能及びツールを提供する従業員モジュール
と、許容可能なレベルの能力に対するガイドラインを提供し、個人の睡眠レベル、ストレ
スレベル及び疲労レベルの管理を通してガイドラインを満たすように従業員を支援する企
業モジュールとを含むシステムを概説している。会社のガイドラインと比較するために、
労働中の個々の従業員の疲労のレベルと休みの間に受け取られる睡眠の量とを記録するた
めに、アクチグラフに基づく個人モニタリング装置が使用される。
【0030】
国際公開第2010042615号は、「個人の環境及び睡眠に利用可能な時間に関ら
ず個人の睡眠及び睡眠後の能力を最適化するシステム及び方法が提供される。本システム
及び方法は、睡眠後に機敏さ、認知機能及び疲労の主観的感覚に対する睡眠エピソードの
影響を決定する要因、すなわち、睡眠エピソードの持続時間及び睡眠構築、そのエピソー
ドが発生した概日周期の時点、エピソードの前に蓄積された睡眠負債の量、及び睡眠不足
に対する被験者の感受性を考慮する。本システム及び方法は、より長期間にわたる睡眠構
築のモニタリングと、後続する睡眠エピソード各々に対する蓄積した睡眠負債の測定並び
に睡眠構築の評価及び/又は調整と、被験者があるべき所望の睡眠状態の確定と、所望の
睡眠状態に被験者を誘導するための感覚刺激の発生とを含む」と概説している。
【0031】
国際公開第2009115073号は、疲労した人の注意力及び覚醒度を維持し、回復
させ、又は上昇させ、特に長い単調な活動の間に、過度の疲労の結果としての事故、損傷
又は間違った判断を防止する、方法及び装置を概説している。
【0032】
国際公開第2005039415号は、「疲労度を定量化し表示することが可能である
。疲労度測定装置(1)は、生体信号データの原波形の各周期のピーク値を検出する生体
信号ピーク値検出手段(23)と、生体信号ピーク値検出手段(23)から得られるピー
ク値から、所定時間範囲に対する上限側のピーク値と下限側のピーク値との差を計算し、
この差をパワー値として設定するパワー値算出手段(24)と、パワー値の傾きを算出す
るパワー値傾き算出手段(25)とを含む。パワー値傾きの時系列信号は絶対値処理され
、積分値が算出される。積分値は疲労度として得られる。したがって、人間の疲労度を定
量化することができる」と概説している。
【0033】
国際公開第2007138930号は、「疲労推定装置は、ユーザの活動の頻度を活動
レベルとして連続的に検出する体動検出部(2)を有している。体動検出部(2)によっ
て検出される活動レベルは、活動レベルに基づいてユーザの疲労のレベルを推定する疲労
検出部(3)に出力される」と概説している。
【0034】
米国特許出願公開第20110178377号は、「非接触又は微接触センサを用いて
収集されたデータを測定し、集約し、分析する装置、システム及び方法は、特に人間の被
験者に対する介入の対照試験(例えば、医薬品の臨床試験、又は香料等の消費財の評価)
の際に、個々の被験者に生活の質パラメータを提供する。特に、人間の睡眠、ストレス、
リラクゼーション、眠気、体温及び感情の状態等の生活の質パラメータの非接触又は微接
触測定値を評価するとともに、自動サンプリング、蓄積、及び遠隔のデータ分析センター
への送信を行うことができる。本システムの一構成要素は、被験者の通常の行動に対する
妨害を可能な限り少なくして客観的なデータが測定されるということである。本システム
は、生活の質を向上させるように意図された行動介入及び薬剤介入にも対応することがで
きる」と概説している。
【0035】
米国特許出願公開第20100099954号は、「ユーザの睡眠をモニタリング及び
/又は改良するユーザのためのシステム及び方法。一実施形態では、睡眠コーチングシス
テムは、EEG等、睡眠中のユーザの生理学的信号を検知するセンサと、ユーザ及び睡眠
関連データ及びアドバイスを格納するコンピュータメモリデータベースと、ユーザ及び睡
眠関連データに基づいてユーザの睡眠満足度を向上させるように一組のアドバイスを生成
するプロセッサとを備えている。ユーザの睡眠満足度を向上させるためのアドバイスは、
ユーザに通信することができ、ユーザが取り組むことができる1つ又は複数の睡眠コーチ
ングワークショップを含むことができる、睡眠コーチング計画を含むことができる」と概
説している。
【発明の概要】
【0036】
したがって、より客観的に及び/又は個人化可能なように疲労のモニタリング及び管理
に役立つシステムが必要とされている場合がある。
【0037】
本技術は、疲労をモニタリング及び管理するシステム及び方法に関する。
【0038】
本技術の第1の態様は、疲労モニタリング及び管理システムに関する。
【0039】
本技術の別の態様は、疲労をモニタリング及び管理する方法に関する。
【0040】
本技術の態様は、疲労の評価を提供するために、非干渉的(non-obtrusive)睡眠セン
サから導出される客観的な精神的及び身体的「快復(recharge)」推定値を、客観的及び
主観的両方の身体活動及びユーザデータと結合する。
【0041】
本技術の一形態は、ユーザの疲労状態をモニタリングするシステムを含み、本システム
は、睡眠及びSDBの主観的尺度、主観的ユーザデータ、客観的疲労測定値及び環境デー
タ等の1つ又は複数のデータソースと、ユーザの疲労状態の評価を生成するようにデータ
を分析するモニタリングモジュールとを備えている。
【0042】
開示するシステムは、ユーザの評価された疲労状態に基づいてユーザに対して情報を提
供することができ(それにより、ユーザに対して、自身の行動を変えるか又は少なくとも
自身の疲労のレベルに気付くように促すことができ)、又はユーザの活動を管理する(例
えば、疲労レベルに基づいて運転手又は操縦士を割り当てる)ために第三者に情報を提供
することができる。したがって、本システムは、ユーザの疲労状態を予防的に管理するよ
うに構成されている。
【0043】
一例では、開示するシステムは、人に、よりよい健康及び能力のために睡眠を最大限に
しかつ疲労を最小限にする、個人化されかつ科学的に有効な「就寝」時刻を提供すること
ができる、個人化された疲労及び睡眠分析器として作用する。
【0044】
以下は、本技術の様々な形態の態様である。
1.最近の24時間、48時間、72時間及びそれより長い過去の期間の軽睡眠、深睡
眠及びレム睡眠、中断並びに就寝時刻及び起床時刻を含む、客観的睡眠パラメータに基づ
いて、疲労(及び日中の眠気レベル)をモニタリングするための線形モデルの使用。
2.客観的睡眠尺度を日常活動レベル及びカロリー摂取並びにボディ・マス指数(BM
I)と結合して、疲労(慢性又は急性)をモニタリングして生活の質尺度を形成する方法

3.客観的睡眠尺度、並びに任意選択的に活動及び他の生活様式パラメータを、質問票
を介して及び/又はゲームを介して収集された主観的ユーザデータと結合して、疲労に対
するプロキシ(proxy:代理)として反応時間/覚醒状態を推定する方法。
4.睡眠期間のRPTデバイス又は無線周波数センサによって推定されたAHI尺度を
、ユーザに対するベースラインAHIに結合することにより、ユーザの疲れ/疲労を推定
する方法。AHIは、疲れ/疲労により(ユーザ質問票によって管理されるアルコール等
の他の要因により)増大するように見える。
5.CPAP治療コンプライアンスを、疲労測定値を用いてCPAP療法コンプライア
ンスに影響を与えることによって向上させる方法。
6.音声処理を介して推定されるいびきレベル及び持続時間を、ユーザに対するベース
ラインいびきレベルと結合する方法。いびきレベルは、疲れ/疲労により(ユーザ質問票
によって管理されるアルコール等の他の要因により)増大するように見える。音声処理か
ら得られるいびき尺度を、睡眠センサデータ処理及び睡眠呼吸障害の他の尺度と結合して
精度を向上させることができる。
7.ユーザの人口統計学的値のデータベースに格納された母集団値との比較に基づいて
後に変更され、経時的にユーザから収集されるデータに基づいて更に変更される、デフォ
ルトの疲労閾値(例えば、急性疲労に至る5時間未満の睡眠)の使用。
8.認知的快復(レム睡眠の持続時間を介して、かつ任意選択的に覚醒状態若しくは注
意力ゲーム又は質問票若しくはプロンプトを介して推定される)は、その後の睡眠パラメ
ータに基づいて心理状態の予測を可能にするために、質問票又はプロンプトを介して(例
えば、スマートフォンアプリケーションを介して)ユーザが提供する心理状態(気分)及
び過去の値と相関される。
9.「実睡眠年齢」、すなわち、ユーザの睡眠推定値及び疲労推定値に基づいて、ユー
ザの等価年齢が何であるか(例えば、睡眠衛生の不十分な20歳の男性は、「実睡眠年齢
」が45歳であるものとして分類される可能性がある)を推定するための客観的睡眠パラ
メータ及び推定された疲労パラメータの標準人口統計学的データとの比較。
10.無線周波数動きセンサ又はマットレスベースの圧力センサからのレム睡眠パラメ
ータ及び深睡眠パラメータの客観的尺度。深睡眠は疲労からの身体的回復に相関され、レ
ム睡眠は疲労からの精神的(認知的)回復に相関される。
【0045】
本技術の幾つかの変形は、ユーザの疲労をモニタリングするシステムを含むことができ
る。本システムは、1つ又は複数のデータソースを含むことができる。1つ又は複数のデ
ータソースは、ユーザの客観的な睡眠尺度を生成するように構成された、非干渉的睡眠セ
ンサ等の睡眠センサを含むことができる。本システムはまた、プロセッサのモジュール等
、疲労モニタリングモジュールも含むことができる。モジュールは、1つ又は複数のデー
タソースからのデータに基づいてユーザの疲労状態の評価を生成するように構成すること
ができる。
【0046】
場合によっては、1つ又は複数のデータソースは、ユーザの身体活動データを生成する
ように構成された活動センサと、ユーザの睡眠場所における周囲状態に関連する環境デー
タを生成するように構成された環境センサと、ユーザの自身で知覚する疲労状態に関連す
る主観的なユーザデータを取り込むように構成されたデバイスと、ユーザの日中のバイタ
ルサインデータを取り込むように構成されたデバイスと、使用者の疲労又は眠気の客観的
測定値を取り込むように構成されたデバイスと、クロックと、ユーザに対する労働パター
ン情報とのうちの1つ又は複数を更に備えることができる。
【0047】
場合によっては、主観的ユーザデータは、カフェイン摂取量と、ストレスレベルと、エ
ネルギーレベルと、心理状態と、知覚される睡眠の質とのうちの1つ又は複数を含む生活
様式パラメータを含むことができる。任意選択的に、環境データは、季節、天候及びアレ
ルギー情報のうちの1つ又は複数を含むことができる。環境データは、周囲温度、周囲音
声レベル、光レベル、空気の品質及び湿度のうちの1つ又は複数を含むことができる。疲
労又は眠気の客観的測定値は、ユーザ検査から得ることができる。疲労又は眠気の客観的
測定値は、ユーザによるゲームプレイから得ることができる。疲労モニタリングモジュー
ルは、所定時間窓にわたって1つ又は複数のデータソースからデータを取り込むように構
成された履歴データベースに基づいて、ユーザの疲労状態の評価を生成することができる
。疲労モニタリングモジュールは、履歴データベースにおけるデータの傾向分析から導出
されたユーザに対するベースラインパラメータに基づいて、このユーザの疲労状態の評価
を生成するように更に構成することができる。疲労モニタリングモジュールは、システム
の複数のユーザからの1つ又は複数のデータソースからのデータを含む母集団データベー
スに基づいて、ユーザの疲労状態の評価を生成するように更に構成することができる。疲
労モニタリングモジュールは、質問票に対する応答から導出されるユーザに対するベース
ラインパラメータに基づいて、このユーザの疲労状態の評価を生成するように更に構成す
ることができる。
【0048】
場合によっては、睡眠センサは、睡眠呼吸障害尺度を提供するように更に構成すること
ができる。睡眠呼吸障害尺度はいびき尺度とすることができる。任意選択的に、睡眠セン
サデータを、音声センサからの音声データと結合していびき尺度を得ることができる。い
びき尺度は、睡眠センサデータが、ユーザが存在し睡眠していることを示すときの間隔に
制限することができる。睡眠センサは動きセンサとすることができ、いびき尺度を得るこ
とは、動きセンサからの呼吸運動信号における高周波数成分と同時期に又は同時に、音声
データにおけるいびき状事象を検出することを含むことができる。場合によっては、睡眠
呼吸障害尺度は、無呼吸指数、低呼吸指数、及び/又は無呼吸-低呼吸指数とすることが
できる。場合によっては、睡眠呼吸障害尺度は、呼吸数の増大とすることができる。
【0049】
本システムの幾つかのバージョンでは、ユーザの疲労状態の評価は、このユーザの現疲
労状態の推定を含むことができる。場合によっては、ユーザの疲労状態の評価は、指定さ
れた時点におけるこのユーザの将来の疲労状態の予測を含むか、又は伴うことができる。
場合によっては、客観的睡眠尺度は、心拍数、呼吸数、生物学的動きレベル、睡眠統計量
、ガルバニック皮膚応答、及び体温のうちの1つ又は複数を含むことができる。場合によ
っては、睡眠統計量は、睡眠の持続時間、睡眠の質、睡眠の中断の回数、レム睡眠の持続
時間、中途覚醒、睡眠慣性、及び睡眠潜時のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0050】
本システムの幾つかのバージョンは、ユーザの疲労状態の評価に関連する情報を第三者
に提供するように構成された第三者情報モジュールを備えることができる。場合によって
は、本システムは、ユーザの疲労状態の評価に関連する情報をこのユーザに提供するよう
に構成されたユーザ情報モジュールを備えることができる。
【0051】
場合によっては、睡眠センサは、ユーザがCPAP治療を受けることができるか又は受
けている呼吸圧力治療装置と一体化されたセンサとすることができる。場合によっては、
疲労モニタリングモジュールは、1つ又は複数のデータソースからのデータを線形結合し
て疲労指数を生成するように構成されている線形分類器とすることができる。任意選択的
に、疲労モニタリングモジュールは、1つ又は複数のデータソースからのデータに規則セ
ットを適用して疲労指数を生成することができる。場合によっては、疲労指数は、一組の
疲労状態のうちの1つにマッピングすることができる。疲労モニタリングモジュールは、
ユーザに関連する処理デバイスで実施することができ、この処理デバイスは1つ又は複数
のデータソースに接続することができる。疲労モニタリングモジュールは、ネットワーク
により1つ又は複数のデータソースに接続されたリモートサーバにおいて実施することが
できる。
【0052】
本技術の幾つかのバージョンは、ユーザの疲労をモニタリングする方法を含むことがで
きる。本方法は、1つ又は複数のプロセッサ等において、1つ又は複数のデータソースか
らのデータに基づいてユーザの疲労状態の評価を生成することを含むことができる。この
データは、非干渉的睡眠センサによって生成されるこのユーザの客観的睡眠尺度を含むこ
とができる。任意選択的に、本方法は、プロセッサに関連する出力デバイス等を介して、
疲労状態評価をユーザに提供することを更に含むことができる。場合によっては、本方法
は、プロセッサに関連する出力デバイス等を介して、疲労状態評価に基づいてユーザに対
する推奨を生成するか又は行うことを更に含むことができる。場合によっては、推奨は、
ユーザが就寝する理想的な時刻とすることができる。場合によっては、推奨は、ユーザが
起床する最適な時刻とすることができる。場合によっては、ユーザは、CPAP治療を受
けている場合があり、推奨は、このCPAP治療を改善するための推奨とすることができ
る。場合によっては、本方法は、第三者に疲労状態評価を提供することを更に含むことが
できる。場合によっては、評価を生成することは、1つ又は複数のデータソースに線形分
類器を適用することを含むことができる。場合によっては、本方法は、生成する前等に、
データソースのうちの1つ又は複数に非線形変換を適用することを更に伴うことができる
【0053】
もちろん、上記態様の幾つかの部分は、本技術の部分態様を形成することができる。ま
た、これらの部分態様及び/又は態様のうちの様々なものは、様々な方法で組み合わせる
ことができ、本技術の追加の態様又は部分態様も構成することができる。
【0054】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約書、図面、及び特許請求の範囲に含まれ
る情報を検討することから明らかになるであろう。
【0055】
本技術は、限定ではなく例として、添付図面の図に示されている。これらの図において
、同様の参照符号は、以下のものを含む類似の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本技術の一形態による疲労モニタリング及び管理システムのデータフローを示すブロック図である。
図2】例としての非接触センサによってモニタリングされている、ベッドで眠っている人を示す図である。
図3】1日にわたる人の血流におけるアデノシンのレベルの例としてのグラフである。
図4図1のデータフローにおいて疲労モニタリングモジュールとして使用することができる例としての線形分類器のブロック図である。
図5】年齢の関数として睡眠段階の例としての分布を表すチャート図である。
図6】数日間にわたって個人の疲労指数に対して睡眠尺度及び労働パターンデータをいかに表示することができるかの概略図である。
図7】実際の精神運動覚醒検査(PVT:psychomotor vigilance test)平均反応時間(疲労指数)に対する訓練データ及び検査データ両方に対するPVT平均反応時間予測のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(本技術の例の詳細な説明)
本技術を更に詳細に説明する前に、本明細書において説明する特定の例は変化すること
ができ、本技術はこれらの例に限定されるものではないことが理解されるべきである。こ
の開示において用いられる術語は、本明細書において論述する特定の例のみを説明するた
めのものであり、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0058】
8.1 疲労モニタリング及び管理システム
図1は、本技術の一形態による疲労モニタリング及び管理システム100のデータフロ
ーを示すブロック図である。主要処理ブロックは、疲労モニタリングモジュール110で
ある。疲労モニタリングモジュール110は、複数のデータソース(データ115~17
0)から入力を取得し、疲労モニタリング及び管理システムのユーザの疲労の状態の評価
180を提供する。評価180は、ユーザの現在の疲労の状態の推定、又は指定された時
点におけるユーザの将来の疲労の状態の予測の形態をとることができる。ユーザ情報モジ
ュール185は、推定又は予測された疲労状態に基づいて情報を生成しユーザに提供する
。第三者情報モジュール190は、推定又は予測された疲労状態に基づいて情報を生成し
第三者に提供する。情報モジュール185及び190は、詳細に後述するように、ユーザ
の疲労の予防的な管理を可能にする。
【0059】
疲労モニタリング及び管理システム100によって使用される疲労モデルは個人化に基
づき、システムは、ユーザ固有の睡眠パターンを「学習」し、それらを疲労の主観的な評
価(例えば、カロリンスカ眠気尺度(KSS:Karolinska Sleepiness Scale)に従って
、ユーザがいかに「感じる」か)に、又は疲労の客観的な測定値(例えば、精神運動覚醒
検査すなわちPVTにおける能力)に関連付けることができる。
【0060】
疲労モニタリング及び管理システム100は、単独の個人を扱う消費者設定で、又は、
任意選択的に労働安全衛生システム(OH&S)の既存の疲労管理モジュールに付与され
た、企業職場疲労管理手法の一部としての職場設定で実施することができる。これにより
、非特定化(企業に匿名の)データを利用して、母集団管理能力が可能になる。このカス
タマイズされた企業データは、疲労モニタリングモジュール110に対する標準データ比
較を提供するために使用される全母集団データベース(例えば、母集団データ150)の
部分集合を表す。
【0061】
消費者実施態様では、疲労モニタリングモジュール110は、様々なデータソース(デ
ータ115~170)のうちの1つ又は複数に有線又は無線で接続される、パーソナルコ
ンピュータ若しくはラップトップコンピュータ、携帯電話、スマートフォン又はタブレッ
トコンピュータ等、ユーザに関連する処理デバイスで実行するソフトウェアとして実施す
ることができ、処理デバイスは、任意選択的に、(本明細書においてより詳細に考察する
ような)データを導出することができる信号を検出又は生成するように、1つ若しくは複
数のセンサを含み、1つ若しくは複数のセンサに結合され、又は1つ若しくは複数のセン
サと通信することができる。同じ処理デバイスで、ユーザにより、(主観的ユーザデータ
145を得るために使用されるような)眠気、睡眠衛生及び認知能力の質問票を完了する
ことができる。その後、ユーザ情報モジュール185は、同じ処理デバイスを介してユー
ザに情報を提供することができる。
【0062】
代替的に、疲労モニタリングモジュール110は、「クラウドで」、すなわち、ネット
ワークにより様々なデータソース(データ115~170)に接続されたリモートサーバ
で実施することができる。これにより、職場実施態様と同様に、複数の個人からの疲労状
態データを集約することができる。しかしながら、消費者実施態様はまた、「クラウドベ
ースの」疲労モニタリングモジュールも利用することができる。リモートサーバは、ネッ
トワークを介して、(主観的ユーザデータ145を得るために使用されるような)眠気、
睡眠衛生及び認知能力の質問票を各個人に転送することができ、各個人は、こうしたもの
を、パーソナルコンピュータ若しくはラップトップコンピュータ、携帯電話、スマートフ
ォン又はタブレットコンピュータ等のネットワークデバイスを用いて完了することができ
る。そして、ユーザ情報モジュール185は、同じデバイスを介して各個人に情報を提供
することができる。第三者情報モジュール190は、ネットワークを介して企業の職員等
の第三者に情報を提供することができる。
【0063】
疲労モニタリングモジュール110によって使用される様々なデータソース(データ1
15~170)については詳細に後述する。本技術の様々な形態において、疲労モニタリ
ングモジュール110によってデータソース(データ115~170)の幾つかの部分集
合が使用されて、推定又は予測された疲労状態180が生成される。
【0064】
したがって、本明細書に記載する方法は、1つ又は複数の処理デバイス内で/1つ又は
複数の処理デバイスにより実施することができる。例えば、本明細書に記載するように、
本技術のデータソース及び/又はモジュール実施形態は、本明細書においてより詳細に記
載する特定の方法又はアルゴリズムを実施する1つ又は複数のプロセッサを有することが
できる処理デバイスとすることができる。こうしたデバイス又は装置は、集積チップ、メ
モリ、及び/又は他の制御命令、データ若しくは情報記憶媒体を含むことができる。例え
ば、こうした方法を含むプログラムされた命令は、特定用途向け集積チップ(ASIC)
を形成するようにデバイス又は装置のメモリの集積チップにおいてコード化することがで
きる。こうした命令はまた若しくは代替的に、適切なデータ記憶媒体を用いてソフトウェ
ア又はファームウェアとしてロードすることができる。こうした処理デバイスは、任意選
択的に、キーボード、タッチスクリーン、センサ等の入力デバイスと更に通信するか又は
そうした入力デバイスに結合することができる。
【0065】
以下では、概して、人は、夜の間は睡眠し、日中は覚醒しているものと想定し、そのた
め、「日中」は「覚醒期間」と同義に使用され、「夜」は「睡眠期間」と同義に使用され
る。しかしながら、開示する疲労モニタリング及び管理システム100はまた、睡眠期間
及び覚醒期間がそれぞれ夜及び日中と一致しない場合があるシフト労働者によって使用さ
れるようにも企図されている。こうしたユーザの場合、真の相関性が逆のようなものであ
る可能性があるとしても、依然として「日中」は「覚醒期間」を示し「夜」は「睡眠期間
」を示すように理解することができる。
【0066】
8.1.1 身体活動(データ115)
疲労の増大は運動及び活動の低減に関連する。身体活動データ115は、着用可能な活
動センサ(例えば、歩数計、「ステップカウンタ」、3軸加速度計に基づくアクチグラフ
、高度計、並びに「Fitbit」、「Jawbone Up」及び「Actiwatc
h」等の商標が付けられた市販の活動センサ)から得ることができる。代替的に、身体活
動データ115は、活動センサを組み込んだスマートフォン等の携帯型デバイスから得る
ことができる。身体活動データの例は、歩数並びに運動の持続時間及び強度である。身体
運動データ115を用いて、ユーザの日常の活動レベルのプロファイルが構築される。
【0067】
8.1.2 日中のバイタルサイン(データ118)
疲労は、日中のストレスレベルに関連する可能性がある。心拍数、呼吸数及び血圧等の
生理学的バイタルサインの日中のダイナミクスは、Polar心拍数胸部バンド、ECG
/Rピーク、又は胸部に取り付けられる他のデータ収集デバイス等の着用可能なデバイス
により、又はフォトプレチスモグラフィ(PPG)法を用いてこれらの信号を記録するイ
ヤバッド(イヤフォン)(例えば、LG社又はBlaupunkt社製)によって収集することがで
きる。一実施態様では、イヤバッドセンサからの血圧推定値を用いて、日中、血圧値を非
侵襲的に追跡することができる(例えば、ユーザが音楽を聴いている/通勤している/運
動している等のとき)。
【0068】
エネルギー消費量の推定値を生成するために、心拍数推定値もまた、日中の身体活動デ
ータ115と結合することができる。
【0069】
心拍数の傾向変化を検出することは、例えばアスリートの過度の訓練における、疲労の
増大を示すことができる。
【0070】
日中の疲労には、慢性的ストレスも現れる場合があり、日中の身体活動データ115、
日中のバイタルサインデータ118及び客観的睡眠尺度120(後述する)に基づいてモ
ニタリングすることができる。
【0071】
日中のバイタルサインデータ118の変化において、心拍数の増大、心拍変動の低下、
呼吸数の増大、血圧の変化及びエネルギー消費量の低下等、慢性疾患の進行等の他の慢性
的状態が現われる場合がある。
【0072】
Jackowska他(2012)は、睡眠問題が日中の心拍変動(HRV)の低下に関連する
場合があることを発見した。したがって、疲労の全体的な視点では、疲労の影響は、夜の
睡眠パターン(例えば、断続的な/不十分な睡眠)とそれに続く翌日の日中のHRVの推
定値との両方に基づいて重み付けすることができる。日中の影響が増大する場合、疲労の
累積的影響が増大している可能性がある。
【0073】
8.1.3 客観的睡眠尺度120
ユーザの睡眠及び呼吸をモニタリングする「睡眠センサ」を利用して、寝室又は他の睡
眠場所における客観的な睡眠の質及び生体運動レベルの日常のかつ長期的な傾向等の客観
的な睡眠尺度120を提供することができる。有利には、客観的睡眠尺度120は、ユー
ザに対してほとんど又は全く干渉しない睡眠センサから抽出される。非干渉的(non-obtr
usive)睡眠センサの技術は着用する必要がなく、すなわち、それらは、長期の使用を最
大限にするように、「設定して意識不要(set and forget)」である。非干渉的睡眠セン
サの一例は、非接触センサである。図2は、ベッドで眠っている人1000が、無線周波
数ドップラ動きセンサ(SleepMinder)とすることができる、例としての非接
触センサ7000によってモニタリングされている状態を示す。非干渉的睡眠センサの別
の例は、マットレスベースの容量性又は抵抗性マット(圧電性を含む)圧力センサである
【0074】
ユーザが、マスク等の患者インタフェースを介してRPTデバイスから閉塞性睡眠時無
呼吸に対するCPAP治療を受けている実施態様では、睡眠センサは、圧力センサ又は流
量センサ等、RPTデバイス又は患者インタフェースと一体化されたセンサとすることが
できる。
【0075】
睡眠センサ信号(複数の場合もあり)から抽出される客観的睡眠尺度120は、睡眠の
持続時間、睡眠の質(予測された睡眠期間中の実際の睡眠の量)及び睡眠の中断の回数等
の睡眠統計量を含むことができる。就寝時刻及び起床時刻もまた、睡眠センサ信号(複数
の場合もあり)から抽出することができる。深睡眠(低波睡眠)期間とともにレム睡眠期
間もまた抽出することができる。上述したように、レム睡眠時間は認知的快復を示し、深
睡眠時間は身体的快復を示す。深睡眠時間、浅睡眠時間及びレム睡眠時間の相対的な比も
また抽出することができる。別の睡眠統計量は睡眠慣性であり、特にユーザが深睡眠から
直接覚醒した場合に、覚醒の直後の予測された疲労感レベルを表す。中途覚醒(WASO
)は、断続的な睡眠の集約された推定値を提供し、それは、検出された中断の回数ととも
に使用することができる。入眠時間(睡眠潜時)及び覚醒時の睡眠段階もまた抽出するこ
とができる。
【0076】
睡眠センサが、心拍数を測定する機能、例えば、バリストカルジオグラム(心弾動図)
をモニタリングするRFドップラ動きセンサ又はマットレスベースの圧力センサを有する
場合、信号に対してパワースペクトル分析を行うことにより、疲労を予測することができ
る心臓間間隔の変動を明らかにすることができる。特に、心拍数スペクトルにおけるHF
(高周波数)パワー対LF(低周波数)パワーの比を用いて副交感神経活動を推定するこ
とができ、(自律神経系の)副交感神経成分の低下はストレスレベルの上昇及び疲労の増
大を示唆する。特に、慢性疲労における交感神経系(闘争逃避反応)の活性化は、ちょう
ど身体が回復しているべきとき、すなわち睡眠中に現れる可能性がある。光学センサを備
えた着用可能な腕時計型デバイス、パルスオキシメータ、Polar心拍数モニタ等の胸
部ストラップ、又は例えばEEG電極を備えたヘッドバンド等の接触センサから、心拍数
データ(したがってHRV)もまた得ることができる。
【0077】
着用可能なデバイス(例えば、Basis watch、又は他の市販のGSR測定デ
バイス)によって、ガルバニック皮膚反応(GSR、皮膚電気反応としても知られる)を
記録することができる。GSR信号は、交感神経系の「闘争・逃避反応(fight or fligh
t)」の活性化の代用尺度として使用することができる。抽出されたGSR信号及びHR
V信号を結合することにより、交感神経系活性化と副交感神経系活性化との比の推定値も
もたらすことができる。
【0078】
HRVデータ及びGSRデータはまた、ユーザが覚醒しているときに(例えば、胸部電
極又は腕時計型デバイスを介して)収集することができ、その場合、それらは、日中のバ
イタルサインデータ118の一部を形成する。
【0079】
非接触無線周波数ドップラ動きセンサ信号から生物学的運動レベル、呼吸数、心拍数及
び睡眠統計値等の客観的睡眠尺度120を抽出する方法は、例えば国際公開第2010/
091168号に概説されており、その内容全体は参照することにより本明細書の一部を
なすものとする。
【0080】
睡眠センサの具体的な例は、電子的バッファ、増幅及びデジタル化回路を備えたグラフ
ェン(炭素の結晶形態)含浸ゴム(又は、プラスチック若しくはゴムのカバーを備えた他
の導電性材料)に基づく、ピエゾ抵抗オーバマットレスバンドである。
【0081】
客観的睡眠尺度120が主観的ユーザデータ145より悪いように見える場合、他の生
活様式パラメータ及びSDB尺度125との比較を行うことができる。
【0082】
疲労レベルに影響を与える場合のある実際の睡眠の質の更なる客観的な尺度120は、
表面体温(周囲温度に対して較正される)である。例えば、こうした温度モニタリングデ
バイスは、周囲温度及び皮膚温度を測定し、それにより基礎となる体温に対する補正を提
供する2つのセンサを組み込んだBodyMedia Sensewearデバイスとし
て具現化することができる。通常の夜の睡眠を通して特徴的な温度パターンがあるため、
体温は睡眠の質の評価に重要である。疲労の促進因子(時差ぼけ等)は、睡眠温度プロフ
ァイルが体温の基本的な概日変動によって「無効」にされるため、このパターンからのず
れをもたらす傾向がある。このため、あり得る原因となる客観的睡眠尺度120は、夜を
通しての推定された体温、及びそのユーザに対する予測されたプロファイルからのこの温
度プロファイルの変動とすることができる。
【0083】
8.1.4 SDB尺度125
不十分な睡眠衛生(自ら課した睡眠制限等)に加えて、疲労に対する主な要因は、睡眠
呼吸障害(SDB)の存在である。SDB尺度125の例は、無呼吸-低呼吸指数(AH
I)並びに周期性四肢運動(PLM)の発生及び激しさである。非接触無線周波数ドップ
ラ動きセンサ信号からAHI等のSDB尺度を抽出する方法は、例えば国際公開第201
0/091168号に概説されており、その内容は参照することにより本明細書の一部を
なすものとする。
【0084】
別のSDB尺度125は、呼吸数の増大であり、例えば、睡眠中の中央呼吸数は、(年
齢及び基礎的な条件に応じて)1分間辺り20回から24回の呼吸である。
【0085】
さらに、いびきが、音声センサから得られるサンプリングされた音声波形の短時間フー
リエ変換(STFT)分析と、その正規化されたサブバンドパワーレベルの推定とに基づ
いて定量化することができる、SDB尺度125である。メル周波数ケプストラム係数(
MFCC:mel-frequency cepstral coefficient)を用いて、音声からいびきを識別する
ことができ、(パワースペクトル推定値の間の変化を分析する)スペクトルフラックスを
用いて、いびき始まりを検出することができる。STFTパワーレベル及び移動メディア
ンフィルタとともにRMS(二乗平均平方根又は平方平均)を使用して、背景雑音からト
リガとなる音声レベルを識別することができる。
【0086】
いびき(及び、無呼吸事象又は低呼吸事象に関連するいびきの停止)は、生物学的運動
レベル及び抽出された睡眠統計量と以下のように結合することができる。被験者が通常睡
眠するベッドの側方のベッドサイドテーブルに、スマートフォンを配置することができる
。一般的なオーディオログ(音声メモ)スマートフォンアプリケーションを用いて、内蔵
音声センサ(マイクロフォン)からメモリに音声ファイルを保存することができる。一時
記憶空間を最小限にするために、音声は11.025kHz、モノラル(単一チャネル)
でサンプリングすることができる。そうでない場合、22.5kHz又は44.1kHz
(又は他のサンプリングレート)を使用することができる。音声は、利用可能な最高レー
トでサンプリングするべきであり、サンプリングされた信号は後にダウンサンプリングす
ることができることが好ましい。(内部スマートフォンマイクロフォンによっては、8k
Hzの上限サンプリングレートが設定されている。)マイクロフォンがユーザに面してい
ることも好ましい。例えば、Samsung Galaxy S3には2つのマイクロフ
ォンがあり、「音声記録」マイクロフォンは右下の縁にあるピンホールである。Appl
e iPhone(登録商標)5にもまた2つのマイクロフォンがあり、音声記録マイク
ロフォンは左下の縁にある。幾つかのiPod(登録商標)のタイプは、記録を可能にす
るために付属ヘッドフォン/マイクロフォンを接続する必要があることに留意されたい(
例えば、第4世代より古いiPod(登録商標)Touch)。
【0087】
処理を容易にするために、入力ファイルから音声データをブロックで読み出すことがで
きる。このブロックサイズは構成可能とすることができ、メモリ入出力速度と利用可能な
メモリとの間のトレードオフを表す。10分セグメントから20分セグメントが、例とし
てのブロックサイズである。信号前処理は、デジタルバンドパスフィルタを適用して、周
波数成分を100Hzから4000Hzの範囲で維持することを含むことができる。これ
は、カイザー窓を用いる直接形FIRフィルタを使用することにより、又は他の手段によ
り達成することができる。信号は、8000Hzに再サンプリングすることができる(記
憶空間限界にこれが必要である場合)。任意選択的に、信号は、例えばμ-law圧縮器
又は同様の手法を適用することにより、圧伸することができる。これはまた、他の信号処
理手段によって管理することもでき、圧伸は必ずしも必要であるとは限らない。
【0088】
周波数領域では、特徴は、以下のサブバンド(Hz単位)でサブバンドパワーを含むこ
とができる。すなわち、0.01~500、500~1000、1000~1500、1
500~2000、2000~2500である。より高いサンプリングレートの場合、よ
り高い周波数帯を考慮することができる。周波数帯はまた、より小さいセグメント又はよ
り大きいセグメントに分割することができる。例えば、800Hz未満の特定のサブバン
ド、すなわち0Hz~800Hz(平均値を除く)を考慮することができる。他のスペク
トル尺度は、スペクトル重心及び「ピッチ」等の音声処理ステップ、すなわち高調波積ス
ペクトル、スペクトルフラックス、スペクトル広がり、スペクトル自己相関係数及び/又
はスペクトルカートシスである。例えば、800Hzより大きいパワー対800Hzより
小さいパワーの比は、SDBのあるいびきをかく人から単純ないびきをかく人を識別する
ことができる(特定の分離周波数は、いびき母集団に基づいて経験的に選択される)。
【0089】
視覚的に、スペクトログラム(STFTベース)においていびき周波数で「線」を追跡
することができる。したがって、自動アルゴリズム手法を用いて、隠れマルコフモデル及
び画像追跡技法を含む、軍事ソナー用途及び同様の用途で使用される技法に基づいて、こ
れらの「線」を検出し抽出することができる。
【0090】
時間領域では、特徴は、ゼロ交差率、自己相関係数及び移動振幅尺度を含むことができ
る。他の手法は、短期エネルギー及び短期ゼロ交差率を計算することである。
【0091】
音声信号からのいびき検出の共通の問題は、背景雑音、すなわち、モニタリングされて
いるユーザから発生していない雑音源からの悪影響である。これらの雑音源としては、白
色雑音又は他の有色雑音型雑音源(例えば、ファン、空調、道路雑音(road hum)、TV
、ラジオ、スマートフォンからの音声、音楽等(例えば、ユーザがタブレットで映画を観
ている)、室内の別の人のしゃべり、又は実際に別の人のいびき(例えば、ベッドパート
ナ)を含む場合がある。高度の音声処理により、かつ音声処理を睡眠センサデータ処理(
存在/不在、覚醒及び睡眠段階検出を含む)と組わせることにより、この問題に対処する
ことができる。
【0092】
ユーザが、いびき検出が実装されている同じスマートフォンで(又は接続された若しく
はネットワーク化されたデバイスで)音声/媒体を再生している場合、非いびき成分を排
除する、すなわち、元来いびきではない音声を排除することができる。再生されている音
声/媒体、又は他の発話源、例えば室内の会話に対して、音声認識システム(例えば、ボ
コーダに基づく)を用いて、記録された音声源をスキャンすることができる。この用途に
対して、音声認識機能を用いて、いびき検出が抑制され、いびきが他の発話源が存在しな
いときにのみ発生すると想定する。これにより、ユーザがラジオ又はTVがオンになった
状態で入眠するときに問題が発生するが、この問題は、別個の睡眠センサによって検出さ
れる睡眠段階を使用する(すなわち、特にいびき検出を、(a)ユーザが存在するとき及
び(b)ユーザが眠っているときの間隔に制限する)ことによって対処することができる
【0093】
音声処理と睡眠センサデータ処理(不在/存在及び睡眠段階を含む)とを組み合わせる
ことにより、いびき検出を、音声センサに最も近いユーザが眠っているときに制限するこ
とができる。したがって、ベッドパートナがいびきをかいているが、モニタリングされて
いるユーザが覚醒している場合であっても、これらのいびきエピソードが排除される。こ
れにはまた、ユーザがベッドから出る(例えば、トイレに行く)ときのいびきを排除する
という効果があり、それは、ユーザが、睡眠センサによって、覚醒して範囲外にいる(不
在)ものとして検出されるからである。
【0094】
両ベッドパートナが眠っている可能性があり、ともにいびきをかいている(又は、とも
に眠っており、離れている(モニタリングされていない)ユーザがいびきをかいている)
という点で、混乱要因が残っている。この場合(又は他の場合)、動きセンサからの呼吸
運動信号へのアクセスを、音声信号からの検出されたいびき状事象と組み合わせることが
できる。例えば、音声いびき事象は、例えば吸息段階の高周波成分として、呼吸運動信号
に重なる高周波数成分と、相関させることができる。他のいびきタイプでは、いびきは、
吸息段階及び呼息段階の両方で発生する可能性がある。呼吸運動データにおけるこれらの
いびきパターンは、動きセンサの配置によって決まる場合がある。呼吸運動信号からの無
呼吸事象及び低呼吸事象の検出もまた、検出されたいびきパターンの変化と相関させるこ
とができる。動きセンサからいびき音声信号及び振動を同時に収集する更なる利点は、い
びきが吸息中の方がはるかに一般的であるため、いびきを用いて、動き信号が吸息を表す
か呼息を表すかを判断することができる、ということである。更なる手がかりは、吸息対
呼息比(正常の被験者では通常1:2である)を評価することによって得ることができる
【0095】
いびき事象はまた、睡眠段階、例えばノンレム睡眠期間対レム睡眠期間における発生に
相関させることもできる。従来のいびきは、深睡眠及び浅睡眠においてより一般的である
場合がある一方、レム睡眠ではそれほど見られない場合がある。レム睡眠は、(例えば)
無呼吸からの回復呼吸に関連するもの等、異なる音声事象を含むことができる。
【0096】
特定のユーザからのいびきを検出し、実際に、それらユーザの呼吸数の改良された推定
値を提供する別の手段は、音声信号から抽出される呼吸数推定値及び動き信号から抽出さ
れる呼吸数推定値を比較することである。これらが密に相関している場合、最も近いユー
ザが検出される可能性が高い。これらがともに高品質であるが、値は分離されたままであ
る場合、更なるユーザが検出された場合がある。音声信号が、著しいいびきを含む(又は
、音声品質が非常に低い)場合、音声信号からの呼吸数推定は可能でない場合があり、こ
のように信号の間で相関を行うことができない。
【0097】
8.1.5 客観的疲労測定値130
開示する疲労モニタリング及び管理システム100の重要な態様は、許容された眠気又
は疲労の客観的測定値130、例えば、ユーザ検査から得られた測定値を組み込むことが
できるということである。一般に、客観的疲労測定値130を得るために使用される検査
は、全て疲労の影響を受ける、認知機能、実行機能、ストレス及びエネルギーレベルに対
処する。客観的疲労測定値130を得るために使用することができる公式のユーザ検査と
しては、精神運動覚醒検査(PVT)、Osler(Oxford Sleep Resistance検査)及
び覚醒維持検査(MWT)が挙げられる。PVTは、反応時間及び手/眼協調を評価する
。PVT検査は、1タイプの注意力の適度によく許容される測定であり、疲労の既知の相
関物である、眠気の適度な指標として作用するように以前から示されている。PVTの一
例では、手持ちデバイスを介してユーザに光がランダムな時点で提示され、ユーザはその
光に、ボタンを押すことによって応答しなければならない。PVTによって提供される計
量としては、平均又は中央反応時間及びミスの回数が挙げられる。PVTの別の例では、
ユーザは、標的を追い、それらの位置を維持しなければならない。注意力応答維持検査(
Sustained Attention Response Test)は、眠気を測定する別の方法である。
【0098】
一実施態様では、PVTは1日4回行うことができる(例えば、起床の2時間後、昼食
の1時間後、夕食の30分後及び就寝の1時間前)。
【0099】
他のタイプの検査は、精神的疲労を引き起こすとともに、そのレベルを評価する。例え
ば、コンピュータ化クレペリン(Kraepelin)検査は、精神的疲労負荷を引き起こす1つ
の方法である。この検査では、ユーザは、長時間(例えば、1時間~2時間)にわたって
繰返し精神的演算及び選択検査を繰り返すように要求される。タスク自体が疲労を引き起
こすように示されており、演算の速度(加えて速度の変動)及び回答の精度を見ることに
より、疲労を評価することができる。
【0100】
覚醒時間の間に疲労を定量化する更なる客観的方法は、疲労のEEG測定を用いること
である。Trejo他によって記載されるもの等、複数の疲労のEEG予測子が評価されてき
た。
【0101】
開示する疲労モニタリングシステム(例えば、システム100)の一実施態様では、ユ
ーザは、システムの訓練段階中、EEGヘッドバンドを着用して、疲労の客観的測定値1
30を提供する。これらの尺度を用いて、測定された客観的ユーザデータ及び主観的ユー
ザデータ、並びにそのユーザが体験した実際の疲労に関連するモデルが訓練される。
【0102】
これらのタイプの検査を疲労モニタリング及び管理システム100に組み込んで、眠気
又は疲労の客観的測定値130を提供することができる(したがって、これらのタイプの
検査は、疲労の内部「較正」点として作用することができる)。
【0103】
客観的疲労測定値130は、上述したもののようなより公式の注意力維持検査からの「
ハード」測定値である場合もあれば、ゲームプレイから導出される「ソフト」測定値であ
る場合もある。後者の代替例に関して、関心を維持するために、注意力検査を「ゲーム化
」することができる。ゲーム化は、非ゲームコンテキストにおいてゲーム思考及びゲーム
機構を使用して、ユーザの注意を引き、問題を解決することである(Zichermann及びCunn
ingham、2011)。特に、注意力検査のゲーム化により、社会的態様とともに目標探索
態様も可能になる。社会的態様により、母集団セグメント比較、例えば、「自身の睡眠」
対他の従業員、同じ年齢の人々、業績優秀者等の睡眠の比較が可能になる。それにより、
Twitter及びFacebook等のソーシャルメディアサイトにおけるこれらの比
較の共有も可能になる。目標探索態様により、ポイント蓄積を介するアプリケーション内
の「よくできました」メッセージを介して、又はシステムの企業スポンサーを介する有形
の賞を介して、目標及び報酬の概念が加わる。ゲームプレイからのデータ(例えば、認知
機能、覚醒機能及び実行機能の推定値)は、神経行動能力の推定値を提供することができ
る。これらは、記憶、行ったミス(例えば、ゲームの「ゴール」を逃す)並びに精神的反
応時間及び身体的反応時間に関連する。
【0104】
8.1.6 労働パターン(データ135)
疲労モニタリング及び管理システム100は、労働パターン情報135が提供される場
合、より洞察を得ることができ、労働パターン情報135は、「1週間に5日、午前8時
半から午後5時まで働く」ように単純なものとすることができ、又は詳細なシフト表のよ
うに複雑なものとすることができる。労働パターン情報135は、ユーザのあり得る睡眠
パターンを示し、疲労状態推定値180の精度を向上することができる。
【0105】
一例では、客観的睡眠測定値120の一部として、日中の睡眠対夜の睡眠の比を抽出す
ることができる。この比は、居眠り、シフト労働、時差ぼけ及び他の要因に基づいて変化
する可能性がある。特に、疲労モニタリング及び管理システムに、来たるべき労働時間(
例えば、シフト労働)又は複数のタイムゾーンを横切る移動に関する労働パターン情報1
35が提供される場合、ユーザは来たるべき変化に準備する(例えば、ユーザが睡眠時間
の変化を予測して自身の睡眠習慣を変える場合)ため、ユーザに対して「先行する」睡眠
を可能にすることができる。
【0106】
8.1.7 履歴尺度140
疲労モニタリングモジュール110は、他のデータソース(データ115~170)か
らの履歴情報(例えば、履歴尺度140)を利用することができる。例えば、最近の1日
~7日は、ユーザのあり得る疲労状態に関する有用な情報を提供することができる。例え
ば、通常7.5時間の睡眠時間が観察されるユーザの場合、1晩につき6時間に徐々に遷
移することは、累積的疲労を示す可能性がある。1晩につき5時間以下に突然(すなわち
、短期間で)変化することは、急性疲労を示す可能性がある。
【0107】
所定の時間窓、例えば7日間にわたる他のデータソースからの各パラメータの履歴は、
履歴尺度140のデータベースに格納することができる。
【0108】
8.1.8 主観的ユーザデータ145
主観的ユーザデータ145は、例えば、質問票に応じてユーザが入力したデータを表す
。主観的ユーザデータ145の一形態は、ユーザの主観的な又は自身で知覚する眠気に関
する。例えば、ともに質問票に基づく、エプワース眠気尺度(ESS:Epworth sleepine
ss scale)及びスタンフォード眠気尺度(SSS:Stanford sleepiness scale)は、眠
気を主観的に定量化する。Stop-Bang評価質問票は、SDBに対する危険性の推
定値を提供することができる。
【0109】
カロリンスカ眠気尺度(KSS)は、主観的眠気の指標として開発され、広く使用され
てきた。KSSは、人に対して、以下の5点の尺度に従ってその時点におけるその人の眠
気を格付けするように要求する。
1=非常にはっきり目覚めている(extremely alert)
3=目覚めている(alert)
5=目覚めてもいなければ眠くもない
7=眠いが、起きているのが困難ではない
9=極めて眠い、眠気と戦っている。
【0110】
主観的ユーザデータ145は、スマートフォン又はタブレット等のユーザデバイスを介
して取り込むことができる。一例では、スマートフォン「アプリケーション」は、ユーザ
が疲れた/疲労していると感じるとき(例えば、あくびをするとき)作動させる「疲労ボ
タン」を提供し、任意選択的に、ユーザに対して、関連するカウンタを介してユーザが知
覚する疲労の激しさを選択させることができる。視覚的アナログ尺度(VAS:Visual A
nalog Scale)として知られる別の例では、アプリケーションは、ユーザに対して言葉に
よる記述に対して格付けするように要求するのではなく、眠気の連続体を提供し、それに
沿ってユーザが、(例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)における)「
スライダ」を移動して自身の主観的な眠気のレベルを示す。
【0111】
一実施態様では、VASは、1日に4回行うことができる(例えば、プロセッサによっ
て自動的に起動される)(例えば、起床の2時間後、昼食の1時間後、夕食の30分後及
び就寝の1時間前)。
【0112】
知覚される疲労に関する主観的ユーザデータ145の他の形態は、カフェイン摂取量、
ストレスレベル、エネルギーレベル、心理状態(気分)、知覚される睡眠の質及び月経周
期等の生活様式パラメータであり、関連する疲労のその可能性を含む。これらの生活様式
パラメータの各々は、上述したようなユーザデバイスを介して取り込み、疲労モニタリン
グモジュール110への入力として使用することができる。
【0113】
8.1.9 母集団データ150
開示する疲労モニタリング及び管理システム100の一態様は、分析論を用いて、ユー
ザの記録をより大きい母集団の記録と比較し、基準を確立し、ユーザが母集団内のどこに
適合することができるかを判断することができる、というものである。例えば、個人によ
っては、他の個人より短期間の睡眠不足による影響を受け易く、これは、経時的にその人
の記録を検査することによって学習することができる。高レベルでは、幾つかの領域は、
異なる疲労特性、例えば、地場産業、時間変化による短期間の効果、地域の食事習慣及び
BMI、社会経済的レベル、日照時間等の季節的影響、糖尿病の罹患率等を示すことがで
きる。
【0114】
この目的で、母集団データ150は、疲労モニタリング及び管理システム100の複数
のユーザからのパラメータを含む。母集団データ150は、人口統計学的パラメータ、サ
イコグラフィックス的パラメータ、行動パラメータ及び地理的パラメータの混合に基づい
て、同様のユーザからのデータを利用して、疲労状態の予備評価を可能にすることができ
る。標準尺度との比較を可能にするために、母集団データ150は、ユーザのプライバシ
を保護するために非特定化することができる。
【0115】
8.1.10 ベースライン(データ155)
ベースラインパラメータ155は、ユーザに対する標準値を表し、履歴尺度140の傾
向分析から導出することができる(最初は短い時間尺度にわたるが、場合によっては数週
間、数か月又は数年のデータの視野まで広げる)。
【0116】
ベースラインはまた、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQ:Pittsburgh Sleep Questionn
aire)及び生活の質(QoL)調査等の質問票に対する応答から確立することもできる。
スマートフォン又はタブレット等のユーザデバイスを介して、質問票を与え、応答155
を取り込むことができる。
【0117】
8.1.11 環境(データ160)
ユーザの局所環境は、特に花粉数又は光レベルに影響を受け易い(例えば、季節性情動
障害)場合、ユーザの疲労レベルに関与する可能性がある。(ユーザによってプロフィー
ルに詳細に提供されるか又はジオロケーションデバイス、例えばGPSデバイスを介して
得られる)ユーザの睡眠場所と、適切なオンラインデータベースの照合とに基づいて、季
節、天候及びアレルギー情報等の広範な環境データ160を収集することができる。
【0118】
より具体的な環境データ160としては、ユーザの睡眠場所の周囲温度(快適な睡眠温
度と相関される)、周囲音声レベル(大音響の雑音を検出するため)、光レベル(日の出
時刻を特定するため、季節情報及び場所並びに室内の照明制御と照合される)、空気の品
質及び湿度が挙げられる。こうしたデータは、温度値をログ記録する、Onset HO
BO等の専用の較正された環境センサから、又はユーザとともに室内に位置するスマート
フォン環境(例えば、周囲音声)センサによって得ることができる。
【0119】
8.1.12 時刻(データ170)
クロックから得られる時刻データ170は、疲労の評価におけるキー探索尺度として使
用することができる。時刻データ170は、例えば正弦曲線モデルを用いて、疲労の基礎
にある日ごとの又は概日の変動を取り込むことができる。
【0120】
8.1.13 他のデータ入力
疲労モニタリング及び管理システム100の幾つかの実施態様は、ユーザの全体的な眠
気レベルに対するあり得る較正点として、血流におけるアデノシン及びメラトニンのレベ
ル等、眠気及び覚醒度の許容される生理学的測定値を組み込む。アデノシンは神経活動を
衰えさせるため、アデノシンレベルは眠気を示す。図3は、1日にわたる人の血流におけ
るアデノシンのレベルの例としてのグラフ3000を含む。第1部3010では、人が眠
っている間、レベルは低い。レベルは、人が時点3020で覚醒する直前に上昇し始め、
人が眠いと感じる「臨界眠気レベル」3030を超えるまで、覚醒期間を通して上昇し続
ける。人は、時点3040で眠りに落ち、その後、レベルは下降し始める。カフェインが
、脳内のアデノシン受容体と優先的に結合し、したがってその後アデノシンの神経抑制効
果を衰えさせることにより、覚醒レベルまで短期間の上昇を可能にすることができる。
【0121】
疲労モニタリング及び管理システム100はまた、不安、頭痛及び鼻づまり、ぜんそく
、貧血(例えば、月経に関連する)、うつ病、関節炎、糖尿病及び睡眠時無呼吸を含む、
疲労に関連する状態/疾患状態に関する情報を、ユーザから収集することもできる。
【0122】
疲労モニタリングモジュール110によって使用することができる別のタイプのデータ
は、寝具に関する情報、例えば、最後に変更されたシーツのタイプ、マットレス及び掛布
団の経年数及び埃アレルギーの存在である。これらのデータは、ユーザの推定される疲労
パターン、睡眠傾向(特に動きの量)、部屋の環境データ160(例えば温度)及び母集
団データ150と組み合わせることができる。
【0123】
疲労モニタリング及び管理システム100の運転実施態様では、ユーザの運転に関する
情報は、運転と移動とを識別する(すなわち、他のタイプの動きから運転を識別する)た
めに、加速度計及びジオロケーションデバイス(例えば、GPSベース)を介して得るこ
とができる。これらのデータを用いて、地方道路網、特に疲労関連事故の既知の「事故多
発区域(black spots)」、例えば、「居眠り運転」事故又は死亡事故の発生率が高いも
のとして知られる地域又は道路を含む地図データベースを指し示すことができる。
【0124】
8.1.14 疲労モニタリングモジュール110
上述したように、疲労モニタリングモジュール110は、データソース(データ115
~170)のうちの1つ又は複数からの入力を取得して、ユーザの疲労状態の評価180
を生成する。疲労状態評価180は、ユーザの現疲労状態の推定、又はユーザの将来の疲
労状態の予測の形態をとることができる。
【0125】
疲労モニタリングモジュール110によって使用される前に、入力データに対して、対
数等の非線形変換を行うことができる。入力データはまた、例えば平均値の減算により、
個々のデータの間の「静的バイアス」を除去するように正規化することもできる。
【0126】
図4は、本技術の一形態による疲労モニタリングモジュール110を実施するために使
用することができる線形分類器4000のブロック図である。図4において、線形分類器
4000は、入力データソース(データ115~170)から引き出された3つのデータ
パラメータx、y及びzを取得し、それらをそれぞれ係数α、β及びγと線形に結合して
、数値による「疲労指数」fを生成する。一例では、1という疲労指数値は、高レベルの
疲労を示し、0という値は、低レベルの疲労を示す。他の実施態様では、3より大きいか
又は小さい数の入力パラメータが、線形分類器4000によって線形結合されて、疲労指
数fが生成される。
【0127】
線形分類器4000への更なる入力は、疲労指数fが対応する時点tとすることができ
る。時点tが現在である場合、疲労指数fは、現疲労状態の推定値である。時点tが将来
の時点である場合、疲労指数fは、時点tにおける疲労状態の予測を表す。係数α、β及
びγは概して時間によって変化するため、時点tを用いて、疲労の評価のために係数α、
β及びγの正しい値を得ることができる。
【0128】
一例では、線形分類器4000への入力パラメータは、以下のパラメータの組を含む。
すなわち、{覚醒以来の時間、昨夜の睡眠の持続時間、前の夜の中断の回数、最近の5回
の夜の睡眠時間の移動平均、年齢、性別、前の夜の深睡眠の持続時間、昨夜の室温}であ
る。
【0129】
線形分類器4000が有用であるためには、所与の個人を特徴付けるために、重み付け
係数α、β及びγ並びに入力パラメータの「最良」セットの適切な値が必要である(例え
ば、何人かの個人に対して、最も重要な入力パラメータが覚醒以来の時間であり、他の個
人に対して、それは最後の夜の睡眠の持続時間である可能性がある)。重回帰分析は、訓
練セットから入力パラメータ及び対応する係数の「最良」セットを確立するための教師あ
り方法である。重回帰分析手法では、疲労モニタリング及び管理システム100は、入力
パラメータ及び対応する係数の「最良」セットを学習して、人の疲労状態を推定又は予測
する。いかなる先行する学習データもない場合、標準線形モデルを用いて線形分類器40
00を初期化することができる。
【0130】
訓練データは、個々のユーザから得ることができ、その場合、分類器はそのユーザに特
定であり、又は複数の個人から得ることができ、その場合、分類器はより一般的である。
こうした一般的な分類器は、異なる領域からの訓練データに基づくサブモデルを含むこと
ができる。一般的な分類器は、以前は未知であった個人からのデータに基づいて疲労評価
を行うことができる。
【0131】
訓練データが入手可能である状況では、これは、その日の間にユーザから(例えば、精
神運動覚醒検査、Visual Analog Scale又は疲労のEEGベースの尺度を用いて)収集さ
れた疲労の客観的又は主観的測定値を含むことが多い。これにより、線形モデルを有用な
出力疲労指数に適合させることができる。
【0132】
疲労モニタリングモジュール110が、疲労指数fを推定するために入力パラメータ及
び対応する係数の「最良」セットを学習するために使用することができるロジスティック
回帰及び非線形回帰等、線形回帰に対する多くの代替形態がある。
【0133】
開示する疲労モニタリング及び管理システム100の他の形態では、疲労モニタリング
モジュール110は、非線形分類器、サポートベクターマシン又はニューラルネットワー
ク等、疲労状態評価180を生成するために異なる手法を用いることができる。
【0134】
疲労モニタリングモジュール110の別の実施態様は、規則に基づく手法を用いて疲労
指数を生成する。こうした実施態様の一例は、以下のうちの任意の1つ、複数又は全てを
有する以下の規則セットを含む。
・睡眠時間<6時間である場合、疲労指数を上昇させる(注:時に、非常に短い睡眠は、
特にユーザがこれまで体調がよかった(OK)場合に、1日かけてユーザに影響を与える
場合があるが、それが持続する場合、ユーザはおそらく慢性疲労になる)。
・睡眠時間>10時間である場合、疲労指数を上昇させる。
・就寝時刻が、最近の3回の夜にわたって2.5時間より長く変化した場合、疲労指数を
上昇させる。
・深睡眠<7%である場合、疲労指数を上昇させる。
・最近の3回の夜の深睡眠の減少対平均>8%である場合、疲労指数を上昇させる。(減
少傾向が第2の又は後続する夜に続く場合、疲労指数を更に上昇させる。深睡眠の後続す
る増加>5%である場合、ユーザは、「快方に向かって」おり、疲労指数は低下する。)
・レムが非常に短い(<5%~7%)場合、疲労指数を上昇させる。
・睡眠効率<75%~80%の場合、疲労指数を上昇させる(動きセンサが寝室の背景動
きを拾い上げた場合、及び、ユーザがアプリケーションにあえて就寝時刻を入力しなかっ
た場合に、異常値がないか検査する必要がある場合がある)。
・それ以外の場合、疲労指数を低下させる。
【0135】
考慮することができる幾つかの他の規則は以下の通りである。
・特に、長い睡眠時間及びレムの低減と結合された場合、週末における疲労指数を低下さ
せる。
・ユーザが眠りにつくために長い時間がかかっている(睡眠潜時が高い)場合、疲労指数
を上昇させる(ただし、この特徴は偏っている場合もある)。
・PSQI/QoLスコアが悪い場合、ユーザは、睡眠障害がある可能性があるため、疲
労指数を上昇させる。
・活動データが、ユーザが概して座っておりその後急に活動していると示唆する場合、疲
労指数を上昇させる。
【0136】
疲労評価180は、疲労指数値fとすることができる。代替的に、疲労モニタリングモ
ジュール110は、1つ又は複数の閾値を用いて、計算された疲労指数値fを一組の疲労
状態のうちの1つにマッピングすることができる。こうした疲労状態は、より容易に解釈
される疲労評価180を表すことができる。こうしたマッピングの一実施態様では、あり
得る疲労状態及び対応する閾値の組は、以下の通りである。
・「全てOK」-気にかかる疲労状態は全く検出されない(f<0.5)。
・「危険状態」-ユーザは、疲労のリスクが上昇している(0.5<f<0.8)。この
状態では、これがいかに導出されたか及びその重大度の指標が提供される。例えば、ユー
ザは、睡眠不足の初期段階を示している可能性があり、慢性疲労の状態を経験する前に行
動変化を介して矯正することができる。
・「急性疲労」-比較的短期間(およそ1日~2日)の睡眠制限又は非常に質の悪い睡眠
が、急性疲労のフラグとなっている可能性がある(0.8<f<1)。労働パターン情報
135又は他のデータに基づいて、これは、ハイリスク状態であるとみなすことができる
(例えば、ユーザが、セーフティクリティカルな(safety-critical)機能又は、ユーザ
が報告した計画された長時間運転等を実行する)。これは、最初に、身体的疲労として現
れ、その後、精神的疲労として(関連する認知障害とともに)現れる場合がある。
・「慢性疲労」(数日間、0.5<f<0.8)は、より長期の睡眠制限又は全体的な不
十分の睡眠衛生(不十分な食事、及び/又は目覚めているためのカフェイン入り/栄養ド
リンクの混合物、それに続く、眠るためのアルコール及び睡眠薬を含む)/不眠症の結果
である可能性がある。基礎となるSDB状態もまた、根本原因である可能性がある。
【0137】
他の実施態様では、より広範囲のあり得る疲労状態に対応する、より多くの閾値を用い
ることができる。
【0138】
8.1.15 ユーザ情報モジュール185
ユーザ情報モジュール185は、疲労状態評価と、任意選択的に、客観的睡眠尺度の一
部を形成する睡眠統計量とを含む報告を生成し、ユーザに提供する。
【0139】
疲労モニタリング及び管理システム100の消費者実施態様では、ユーザ情報モジュー
ル185は、ユーザに対し、推定された疲労レベル、危険因子及び改善戦略への個人化し
た洞察を提供することができる。
【0140】
図6は、ユーザ情報モジュール185が、数日にわたるユーザの疲労指数fに対する、
客観的睡眠尺度120、身体活動データ115及び労働パターンデータ135をいかに表
示することができるかの概略表現6000を含む。図6において、下方のグラフ6020
の2つの表示された尺度は、睡眠時間及び実際の労働シフト時間である。上方のグラフ6
010は、図4の線形分類器4000を用いて計算された、一部にはこれらの測定された
睡眠時間及び労働シフト時間に基づく、疲労指数fを含む。図6において、2回目の日中
6030及び3回目の日中6040では、ユーザの疲労指数fは高くなっており、それは
、ユーザが、先行する夜6050及び6060における睡眠期間が短く、かつ通常の労働
シフトより長かったためである。
【0141】
ユーザ情報モジュール185は、ユーザが自身に十分な睡眠の機会を与えなかった場合
に(すなわち、ユーザが単に、日課において睡眠のために十分な時間が可能でなかった場
合、ユーザはこれに気付いている場合もあれば気付いてない場合もある)、警告を発する
ことができる。しかしながら、疲労モニタリング及び管理システム100の消費者実施態
様では、警告は指示的ではない場合がある。それは、例えば、旅行又は交際により、疲労
状態に短期間の又は一時的な悪い変化がもたらされる場合があるからである。警告は、特
にユーザがセーフティクリティカルな役割を有する場合(例えば、採鉱、列車運転手、ク
レーンオペレータ等)、職場実施態様の場合により指示的であるように構成することがで
きる。
【0142】
疲労評価180を用いて、ユーザに対して推奨を行うことができる。一例として、十分
に夜の睡眠がとれなかったユーザを考慮し、客観的睡眠尺度120が、上述したように非
干渉的睡眠センサを介して収集されるものとみなす。日中の間、客観的疲労測定値130
、環境データ160、身体活動データ115、場所データ及び食事データ等の疲労関連デ
ータが、ユーザから取り込まれる。このデータは、疲労モニタリングモジュール110に
よって分析されて、疲労状態の評価180が生成される。ユーザ情報モジュール185は
、この評価に基づいて、その日の「理想的な睡眠時刻」を推定し推奨する。したがって、
ユーザは、この時間を前もって知り、推奨に従うか又はそれを無視する選択を行うことが
できる。この遵守又は応諾データ自体は、更なる分析のための入力になる。警告は、推奨
された理想的な睡眠時刻に先立って与えることができる(すなわち、例えば、ユーザのス
マートフォンを介して提供される「睡眠時刻」リマインダ)。経時的に、疲労モニタリン
グ及び管理システムは、個々の個人化された「理想的な睡眠時刻」リコメンダになる。
【0143】
ユーザ情報モジュール185はまた、様々なシナリオの下の予測された疲労状態に基づ
いて、ユーザが(a)最適な起床覚醒度又は(b)最適な一日中の覚醒度を達成するため
に翌日に起床する最適な時刻を推奨することもできる。警告は、ユーザのスマートフォン
のクロックアプリケーションを介して、推奨時刻にユーザに発することができる。
【0144】
疲労状態180を推定するために客観的睡眠尺度120を使用する1つの利点は、ユー
ザが、実際には、自身で感知するよりよく睡眠している場合があるということである。こ
の事実を、ユーザ情報モジュール185を介してユーザに通信することは、ユーザが、つ
いてない日であると考え(心理学的又は妄想的疲労)、その後、刺激物(コーヒー又は他
のカフェイン入り飲料)を過剰に使用し、その後、就寝の前にアルコール又は睡眠薬をと
る、という悪循環を断ち切る役割を果たすことができる。より一般的には、こうした刺激
物のパターンがシステムによって観察される場合、ユーザ情報モジュール185は、或る
期間にわたってカフェインの低減(場合によっては除去)、及びアルコール摂取(及び該
当する場合は喫煙又は「ディッピング(dipping:かみタバコをかむこと)」)の同様の
管理を推奨することができる。
【0145】
上述した寝具用途では、ユーザ情報モジュール185は、ユーザに対して、ユーザの寝
室における寝具及び/又は環境状態を変更するリマインダを提供することができる。
【0146】
上述した運転に関する実施態様では、ユーザ情報モジュール185は、ユーザに対して
特定の個人化推奨を提供することができる。これは、安全性を向上させる可能性がある。
例えば、ユーザ情報モジュール185は、推定された又は予測された疲労状態180が運
転中に眠りに落ちるリスクの上昇を示す場合、ユーザが、公共交通機関、自動車の相乗り
(カーシェアリング)等、代替的な輸送手段を探すように推奨することができる。疲労が
モニタリングされるに従って経時的に、地理的地域及びユーザの疲労レベルの推定値を評
価し、通勤時の事故の可能性等と関連付けることができる。ユーザ情報モジュール185
はまた、時刻に基づいて昼寝戦略を推奨することもでき、寝過ぎ(過剰な昼寝)を回避す
るために適切な警報を提供することができる。
【0147】
旅行に関する実施態様では、ユーザ情報モジュール185は、ユーザに対して、来るべ
きタイムゾーンの変更に対してユーザに覚悟させるように、日中、太陽光(可能な場合)
への露出を増大させるか、又は昼光(フルスペクトル)ランプ/光源を利用するように推
奨することができる。
【0148】
ゲームに関する実施態様では、ユーザ情報モジュール185は、ユーザに対して就寝す
るようにリマインドすることができる。
【0149】
学生に関する実施態様では、ユーザ情報モジュール185は、勉強時間及び試験時間に
対してエネルギーレベルを向上させるように、健康的な睡眠習慣のためのアドバイスエン
ジンとして作用することができる。
【0150】
CPAP治療の利点は、疲労の低減(例えば、日中の眠気の低減)である。CPAP患
者における疲労指数の上昇は、処方されたCPAP療法への最適に満たないコンプライア
ンスを示唆する可能性がある。したがって、疲労モニタリング及び管理システム100の
CPAP治療実施態様では、ユーザ情報モジュール185は、患者のCPAP治療コンプ
ライアンスレベルを向上させる推奨を提供することができる。特に、ユーザ入力モジュー
ル185によって提供される教育(関連の理解の増大)を通して、CPAP治療を定期的
に使用していない患者に対して、コンプライアンスの上昇の利益を示すことができる。高
い疲労指数は、低い治療コンプライアンスに相関し、したがって、そうした患者は、自身
の疲労指数を改善し、これにより自身のコンプライアンスを上昇させるように駆り立てら
れる。
【0151】
CPAP患者が不眠症である場合、そうした患者は、自身の治療を使用しないように選
択する場合がある。このシナリオでは、個人化した睡眠衛生改善アドバイスを提供し、任
意選択的に、リラックスさせる呼吸プログラム(例えば、パーソナルコンピューティング
デバイスで実行している音声プログラムによって提供される、誘導呼吸)を提供すること
により、疲労モニタリング及び管理システム100は、よりよい睡眠をとるための手段を
提供し、結果として、CPAP治療のコンプライアンスを上昇させる。
【0152】
疲労評価180を用いて、就寝時刻の間に使用される特別な一連の音楽が睡眠を促進す
るために有利であるか否かと、翌日の疲労レベルに対する影響とを推論する(例えば、「
疲労回復(fatigue busting)」楽曲を特定する)ことができる。
【0153】
疲労評価180を用いて、特定の呼吸運動が睡眠又は覚醒度を促進するか否かを推論す
ることができる(例えば、任意選択的に、非接触睡眠センサからの生体フィードバックを
用いて、光又は表示デバイス及び特別な音声シーケンスを介してペースが調整された照明
のうちの1つ又は複数を用いて、呼吸数を低下させ、吸息/呼息時間を調整する、覚醒度
呼吸運動)。
【0154】
8.1.16 第三者情報モジュール190
疲労モニタリング及び管理システム100の職場実施態様では、第三者情報モジュール
190は、企業雇用者の現場健康アドバイザ等の第三者に、複数の従業員の睡眠及び疲労
に関する情報を含む報告を提供する。報告は、カスタマイズ可能であり、以下のような特
徴のうちの1つ又は複数を含む。
・従業員(又は従業員のグループ)ごとの日常の報告
・睡眠履歴、時刻及び仕事量を含む要因に基づく疲労リスク基準
・シフト周りの睡眠のパターンの指標
・睡眠の質又は量が不十分であるパターンにおいて引き起こされた最近の睡眠履歴
・実際の睡眠時間-睡眠の持続時間、睡眠の質及び睡眠のタイミング
・長期の傾向-長期の睡眠負債の推定、個人の母集団に対する比較(すなわち、平均に対
する比較)を含む
・回復(深)睡眠及び認知(レム)睡眠のバランス
・睡眠呼吸障害-リスク評価
・睡眠慣性(深睡眠又は浅睡眠からの覚醒)
・他の重要な尺度(治療コンプライアンス、投薬追跡等)
【0155】
寝具に関する実施態様では、第三者情報モジュール190は、寝具製造業者が寝具の使
用の平均時間、及び相対的な快適レベル(ともに、主観的ユーザデータ145を介してか
つ客観的睡眠尺度120を介して入力される)を調べるためのリサーチツールとして作用
することができる。
【0156】
8.1.17 サンプル使用事例
単一のユーザに対する疲労モニタリング及び管理システム100のサンプル使用事例は
、以下の通りである。疲労モニタリングモジュール110は、日常の追跡のために、非接
触睡眠センサ及び着用可能な活動センサへのBluetooth(登録商標)を介する無
線接続とともに、スマートフォンのソフトウェアアプリケーション(アプリ)と通信する
クラウドウェブサーバにおけるソフトウェアモジュールとして実装される。
【0157】
夜間#1:ユーザは、ユーザのスマートフォン又は他のローカルメモリ記憶デバイスに
接続された非接触睡眠センサを用いて自身の睡眠をモニタリングする。このデバイスは、
就寝時刻、睡眠潜時(入眠までの時間)、中断の回数、起床時刻及び睡眠スコア等の客観
的睡眠尺度120を、疲労モニタリングモジュール110に転送する。いびきレベルもま
た(スマートフォンマイクロフォンを介して、又は非接触睡眠センサに内蔵されたマイク
ロフォンを介して)一晩中記録される。
【0158】
日中#1:ユーザのいびきレベル強度及び睡眠中断の数が、疲労モニタリングモジュー
ル110によって重要である(閾値を超える)とみなされたので、朝、ユーザに対して、
Stop-Bang質問票が提示される。ユーザはまた、自身の身長及び体重、並びに任
意選択的にカロリー消費データを入力するように促される。ユーザの身体活動データ11
5は、疲労モニタリングモジュール110に後に送信されるために、ユーザのスマートフ
ォンに無線接続された着用可能な活動センサによって取り込まれる。ユーザの運動レベル
は、通常の健康値と比較される。ユーザは、自身のスマートフォンで実行しているアプリ
ケーションを介して「疲労事象」(例えば、あくび、眼を閉じる等)を日中、感じた場合
、それらをログ記録するように要求される。スマートフォンによって収集される他の主観
的ユーザデータ145としては、ユーザが通勤しているか否か(そうである場合、運転し
ているか否か)と、ユーザが日中昼寝するか否かが挙げられる。
【0159】
夜間#2:ユーザは、自身のスマートフォンを介して、必要な場合は睡眠衛生を改善す
るための幾つかの助言を含む、ユーザ情報モジュール185からの自身の第1のフィード
バックを受け取る。これは、疲労のユーザ固有較正の基礎を形成する。
【0160】
続く1週間の間、ユーザ情報モジュール185によって継続したアドバイスが提供され
る。
【0161】
日中#7:1週間(可能な場合は完全な週間労働時間を取り込むことが望ましいため、
7日間)の後、疲労状態推定値180は、ユーザ情報モジュール185によってユーザに
、又は第三者情報モジュール190によってOH&Sプログラム管理者に提示される。疲
労状態推定値180は、特にSDBパターンが検出された場合、7日の期間が経過する前
に利用可能とすることができる。
【0162】
ユーザの疲労レベルは、母集団データ150と比較され、こうしたパラメータがユーザ
の「実睡眠年齢」として提供される。睡眠内科の分野における研究者は、年齢に応じて睡
眠段階のあり得る分布のプロファイルを作成している。図5は、年齢に応じた睡眠段階の
例としての分布を表すチャート5000(Shambroom及びFabregasより)を含む。ユーザ
の実際の睡眠段階の分布を母集団分布と比較することにより、そのユーザに対する睡眠年
齢を求めることができる。
【0163】
生活の質の推定値は、疲労指数と、疲労モニタリング及び管理システム100によって
主観的ユーザデータ145として取り込むことができる他の生活様式パラメータとに基づ
いて、疲労モニタリングモジュール110によって導出することができる。こうしたパラ
メータとしては、カフェイン摂取量、知覚されるストレス及びエネルギーレベル、並びに
「心理状態」(気分)推定値が挙げられる。
【0164】
8.1.18 例としての能力
疲労モニタリング及び管理システム100の一例としての実施態様は、以下のデータソ
ースから7日にわたって20人のユーザに対して収集されたデータを利用した。
・ピッツバーグ睡眠質問票及び生活の質の調査(ベースラインデータ155)、
・SleepMinder非接触動きセンサ(客観的睡眠尺度120及びSDB尺度12
5)
・HOBO温度ロガー(環境データ160)
・FitBit活動センサ(身体活動データ115)
・スマートフォンを介して1日4回行われたPVT(客観的ユーザデータ130)
・スマートフォンを介して1日4回行われたVAS(主観的ユーザデータ145)
・就寝時刻/起床時刻(スマートフォンアプリケーションに手動で入力)
・スマートフォンアプリケーションによって記録された周囲音声(環境データ160)
【0165】
線形分類器4000を用いて、疲労モニタリングモジュール110を実施した。入力と
してPVT平均反応時間スコアを除く全てのデータソースを取得し、収集データの90%
を使用して線形分類器4000を訓練した。その日の第1のPVTに対する平均PVT反
応時間スコアを、出力疲労指数値に対するプロキシ(proxy)として計算した。そして、
データの残りの10%を含む検査データに、訓練された線形分類器4000を適用して、
PVT平均反応時間を予測した。図7は、訓練データ(円(丸))及び検査データ(×印
)における実際のPVT平均反応時間(実際の疲労指数)に対する予測されたPVT平均
反応時間(予測された疲労指数)のプロットを含む。検査データにおけるRMS予測誤差
は49.3ミリ秒であり、訓練データでは、52.1ミリ秒であり、それは、線形分類器
4000が未知のユーザに対して一般化可能であることを示す。検査データにおけるr
値は0.70である。
【0166】
8.2 用語解説
本技術の開示において、本技術の幾つかの形態では、以下の定義のうちの1つ又は複数
を適用することができる。本技術の他の形態では、代替の定義を適用することができる。
【0167】
空気:本技術の幾つかの形態では、患者に供給される空気は、大気の空気とすることが
でき、本技術の他の形態では、大気の空気には、酸素を補うことができる。
【0168】
持続気道陽圧(CPAP)療法:大気に対して連続して陽圧で、好ましくは患者の呼吸
サイクルを通じてほぼ一定の圧力で、空気又は呼吸に適したガスの供給を気道の入口に適
用すること。CPAP療法の幾つかの形態では、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間で
変動し、例えば、部分的上気道閉塞の指標の検出に応答して増加され、部分的上気道閉塞
の指標が存在しない場合には減少される。
【0169】
無呼吸:無呼吸は、呼吸流量が或る継続時間、例えば10秒の間、所定の閾値未満に降
下したときに発生したと言われる。閉塞性無呼吸は、患者の努力にもかかわらず、気道の
或る閉塞によって空気が流れることができないときに発生したと言われる。中枢性無呼吸
は、呼吸努力の低下又は呼吸努力の欠如に起因した無呼吸が検出されたときに発生したと
言われる。
【0170】
呼吸数:患者の自発呼吸数は、通例、呼吸毎分で測定される。
【0171】
呼吸低下:呼吸低下は、呼吸流量の停止ではなく、呼吸流量の低下とされる。1つの形
態では、呼吸低下は、或る継続時間の間、閾値を下回る呼吸流量の低下があるときに発生
したと言うことができる。
【0172】
開通性(気道):気道が開放している度合い、又は気道が開放している程度。開通気道
は開放している。気道開通性は定量化することができ、例えば、1の値は開放しており、
0の値は閉鎖している。
【0173】
呼吸流量、空気流量、患者空気流量、呼吸気流量(Qr):これらの同義の用語は、通
例はリットル毎分で表される、患者が受けている実際の呼吸流量率である「真の呼吸流量
」又は「真の呼吸気流量」とは対照的に、RPTデバイスの呼吸流量率の推定値を指すも
のと理解することができる。
【0174】
上気道閉塞(UAO):部分上気道閉塞及び完全上気道閉塞の双方を含む。これは、上
気道にわたる圧力差が増加するにつれて、流量のレベルが僅かにしか増加しないか又は減
少する場合さえある(スターリングレジスタ挙動)流量制限の状態に関連付けることがで
きる。
【0175】
8.3 他の特記事項
本特許文書の開示内容の一部分は、著作権保護を受けるマテリアルを含んでいる。著作
権者は、本特許文書又は特許開示内容が特許商標庁の包袋又は記録に現われているときは
、いかなる者によるこの特許文書又は特許開示内容の複製に対しても異議を有しないが、
それ以外については、いかなる著作権も全てこれを留保する。
【0176】
文脈が明らかに別段の規定をしていない限り、かつ値の範囲が提供されている場合には
、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間にある各値、及びその明示
された範囲にある他の任意の明示された値又は間にある値が、本技術の範囲内に包含され
ることが理解される。これらの間にある範囲の上限及び下限は、当該間にある範囲に独立
して含まれる場合があり、これらも、本技術の範囲内に包含され、明示された範囲内で任
意の明確に除外された制限に従う。明示された範囲がこれらの上限及び下限の一方又は双
方を含む場合、それらの含まれる上限及び下限の一方又は双方を除外した範囲も本技術に
含まれる。
【0177】
さらに、単数又は複数の値が、本技術の一部分として実施されるものとして本明細書に
明示されている場合、そのような値は、別段の明示がない限り、近似することができ、そ
のような値は、実際の技術的な実施態様が可能とすることができるか又は必要とする場合
がある程度まで任意の好適な有効桁で利用することができることが理解される。
【0178】
別段の定義がない限り、本明細書に用いられる全ての科学技術用語は、この技術が属す
る技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に
記載された方法及びマテリアルと類似の又は等価ないずれの方法及びマテリアルも、本技
術の実践又は試験において用いることができるが、限られた数の例示の方法及びマテリア
ルが本明細書に記載されている。
【0179】
特定のマテリアルが、構成要素の構築に用いられることが好ましいと特定されたとき、
同様の性質を有する明らかな代替のマテリアルを代替物として用いることができる。さら
に、本明細書に記載したありとあらゆる構成要素は、逆のことが明記されていない限り、
製造することが可能であると理解され、したがって、合わせて又は別々に製造することが
できる。
【0180】
単数形(「a」、「an」及び「the」)は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において
用いられるとき、文脈が明らかに別段の規定をしていない限り、複数の等価なものを含む
ことに留意しなければならない。
【0181】
本明細書で言及した全ての刊行物は、それらの刊行物の主題である方法及び/又はマテ
リアルを開示及び記載しているように参照することによって本明細書の一部をなすものと
する。本明細書において論述した刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示内容につい
てのみ提供される。本明細書におけるいかなるものについても、本技術が先行発明による
そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さ
らに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、実際の公開日は
、別個に確認することが必要な場合がある。
【0182】
その上、開示内容を解釈する際に、全ての用語は、文脈と一貫性のある最も広い合理的
な方法で解釈されるべきである。特に、「備える」、「含む」という用語は、非排他的な
方法で要素、構成要素、又はステップを指すものと解釈されるべきであり、参照される要
素、構成要素、又はステップが存在することができること、利用することができること、
又は明確に参照されない他の要素、構成要素、若しくはステップと組み合わせることがで
きることを示す。
【0183】
詳細な説明において用いられた見出し語は、読み手の参照を容易にするためにのみ含ま
れており、本開示又は特許請求の範囲全体を通じて見られる主題を限定するために用いら
れるべきではない。これらの見出し語は、特許請求の範囲の範囲又は特許請求の範囲の限
定事項を解釈する際に用いられるべきではない。
【0184】
特定の実施形態を参照して本明細書における技術を説明してきたが、これらの実施形態
は、本技術の原理及び適用の単なる例示にすぎないことが理解されるべきである。幾つか
の場合には、術語及びシンボルは、本技術を実施するのに必要とされない特定の詳細を意
味している場合がある。例えば、「第1」及び「第2」という用語が用いられる場合があ
るが、別段の指定がない限り、それらは、何らかの順序を示すことを意図するものではな
く、異なる要素を区別するのに利用される場合がある。さらに、上記方法論におけるプロ
セスステップは、或る順序で説明又は図示される場合があるが、そのような順序付けは必
須ではない。当業者であれば、そのような順序付けを変更することができ、及び/又はそ
れらの態様を同時に行うこともできるし、更には同期して行うこともできることを認識す
るであろう。
【0185】
したがって、本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、非常に多くの変更を例示の
実施形態に行うことができ、他のアレンジを考案することができることが理解されるべき
である。
【符号の説明】
【0186】
100 疲労モニタリング及び管理システム
110 疲労モニタリングモジュール
115 身体活動データ
118 日中のバイタルサイン
120 客観的睡眠尺度
125 SDB尺度
130 客観的疲労測定値
135 労働パターン情報
140 履歴情報
145 主観的ユーザデータ
150 母集団データ
155 ベースラインデータ
160 環境データ
170 時刻
180 疲労状態の評価
185 ユーザ情報モジュール
190 第三者情報モジュール
1000 人
3000 グラフ
3010 第1部
3020 時点
3030 臨界眠気レベル
3040 時点
4000 線形分類器
5000 チャート
6000 概略表現
6010 上方のグラフ
6020 グラフ
6030 日中
6040 日中
6050 夜
6060 夜
7000 非接触センサ
【0187】
(引用文献)
Ahsberg, E., 2000. Dimensions of fatigue in different working populations. Sca
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの治療コンプライアンスをモニタリングするための1以上のプロセッサを備えたシステムであって、
1以上のセンサを備える1以上のデータソースからのデータに基づいて、ユーザの疲労状態の評価を生成するように構成された疲労モニタリングモジュールと、
前記疲労モニタリングモジュールによって決定された疲労レベルに基づく改善戦略をユーザに提供するように構成されたユーザ情報モジュールであって、前記改善戦略は、治療に関するユーザの治療コンプライアンスのレベルの改善に向けられている、ユーザ情報モジュールと
を含んでなるシステム。
【請求項2】
前記治療コンプライアンスは、持続気道陽圧(CPAP)治療コンプライアンスを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザ情報モジュールは、高い疲労指数を低い治療コンプライアンスと相関させるように構成されている、請求項またはに記載のシステム。
【請求項4】
前記疲労レベルは疲労指数を含んでおり、前記ユーザ情報モジュールが、前記疲労指数の増加に基づいて、処方されたCPAP療法への最適に満たないコンプライアンスの示唆を生成するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ユーザ情報モジュールは、前記ユーザのCPAP療法コンプライアンスレベルを改善するための推奨を生成するように構成されている、請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ユーザ情報モジュールは、あるCPAP療法を改善するかまたは変更するための推奨を生成するように構成されている、請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記1以上のセンサは睡眠センサを含むものである、請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記睡眠センサは、呼吸圧力治療装置と一体化されたセンサである、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記呼吸圧力治療装置は電動ブロワを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記治療コンプライアンスを改善するために、前記1以上のプロセッサによって、疲労状態の表示に基づいて前記ユーザに誘導呼吸を提供することをさらに含む、請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記疲労モニタリングモジュールは、1以上のデータソースにネットワークを介して接続されたリモートサーバにおいて実施されている、請求項から10のいずれか一項に記載のシステム。