(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034143
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ベンチプレスマシン
(51)【国際特許分類】
A63B 21/078 20060101AFI20220224BHJP
A63B 21/072 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
A63B21/078
A63B21/072 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137795
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】511177282
【氏名又は名称】セノー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】小林 創
(57)【要約】
【課題】縦フレームに対して受け部材をワンタッチで着脱可能として、この受け部材の高さ調整作業能率の向上を図り得るベンチプレスマシンを提供する。
【解決手段】上下方向へ所定間隔をもって複数の高さ調整用孔16を有する一対の縦フレーム9と、各縦フレームに高さ調整用孔を介して着脱可能に設けられ、バーベルのバーを受ける一対の受け部材18と、を備え、各受け部材は、平板状の基板19と、該基板の前面に突設されてバー31を受ける受け板20と、基板の背面に突設されて高さ調整用孔に挿脱可能な支持ロッド21と、基板の一側縁から背面側へ横L字形に折り曲げられた保持部22と、を有し、基板を縦フレームに対して横向きの状態で支持ロッドを高さ調整用孔に挿入し、支持ロッドを中心に下方へ自重により回動させることにより基板が保持部と協働して縦フレームに対して横方向から抱着状態に嵌合するようになっている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に配置されるベースフレームと、
該ベースフレームの左右両側から立ち上がり、上下方向へ所定間隔をもって複数の高さ調整用孔が設けられた一対の縦フレームと、
該各縦フレームに前記高さ調整用孔を介して着脱可能に設けられ、バーベルのバーを受ける一対の受け部材と、を備え、
前記各受け部材は、前記各縦フレームの各前端部側に配置される基板と、該基板の前面に突設されて前記バーを受ける受け部と、前記基板の背面に突設されて前記高さ調整用孔に挿脱可能な支持ロッドと、前記基板の一側縁から後方へ横L字形に折り返し状に折り曲げられた保持部と、をそれぞれ有し、
前記基板を前記縦フレームに対して横向きの状態で前記支持ロッドを前記高さ調整用孔に挿入した状態で、該支持ロッドを中心に下方へ回動させることにより、前記基板が前記保持部と協働して前記縦フレームに対して横方向から抱着状態に嵌合することを特徴とするベンチプレスマシン。
【請求項2】
請求項1に記載のベンチプレスマシンであって、
前記保持部は、前記基板の一側縁から前記受け部と反対側の後方に延出した基端片と、該基端片の先端縁から前記基板とほぼ平行に折曲された平板状の保持片と、からなり、
前記保持片と前記基板との間のクリアランス巾は、前記縦フレームの前後巾より僅かに大きく形成されていることを特徴とするベンチプレスマシン。
【請求項3】
請求項2に記載のベンチプレスマシンであって、
前記一対の受け部材は、左右対称形状に形成され、前記各縦フレームに対して抱着状態に嵌合した際に、前記各保持部のそれぞれの基端片の各内面が前記各縦フレームの外側部に当接可能になっていることを特徴とするベンチプレスマシン。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のベンチプレスマシンであって、
前記受け部は、矩形板状に形成されていると共に、上面の先端部に前記バーの移動を規制する規制突部を有することを特徴とするベンチプレスマシン。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のベンチプレスマシンであって、
前記縦フレームは、横断面形状が矩形状あるいは横方向に長い長円状に形成されていることを特徴とするベンチプレスマシン。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のベンチプレスマシンであって、
前記両縦フレームの間に、身体を横たえるベンチを配置したことを特徴とするベンチプレスマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベンチに身体を横たえてバーベルを両腕で押し上げと下降の動作を繰り返して筋肉トレーニングを行うベンチプレスマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ベンチプレスマシンとしては従来から種々のものが提供され、その一つとして以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
このベンチプレスマシンは、支持脚ユニットと、該支持脚ユニットの中央に配置されて両端部にウエイトが着脱可能に装着されたメインバーと、このメインバーの内側に有する一対の延長ロッドの上端に互いに接近する方向へ延設された一対の把持バーと、を備えている。
【0004】
前記支持脚ユニットは、横方向に延設された連結ロッドと、該連結ロッドの両端部に垂直に起立した状態で固定された一対の支持脚と、を有している。この両支持脚は、外筒と、該外筒の内部に上下方向へ摺動可能な内筒と、を有し、この内筒の上端に前記一対の把持バーを載置支持するほぼU字形状の受け部材が設けられている。
【0005】
そして、ベンチに横たわった鍛錬者が、両手で各把持バーを掴んで、この把持バーを上方に押し上げてバーベルを持ち上げ、各把持バーを下方に下げることによってバーベルを降ろし、これを繰り返すことによって鍛錬するようになっている。
【0006】
また、前記各受け部材に、前記把持バーの外端部を掛けることによって、バーベルを持ち上げた状態に保持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近時のベンチプレスマシンにあっては、利用者の体格の相違などによるバーベルのリフト時の適正位置を確保するなどのために、前記各受け部材の高さを任意に調整できる高さ調整機構を備えたものが提供されている。
【0009】
この高さ調整機構は、前記従来のベンチプレスマシンに適用した場合について説明すれば、例えば、前記それぞれの支持脚を、外筒と該外筒の内部に上下摺動可能な内筒とによって構成し、外筒の上下方向の所定位置に一つの高さ調整用孔を設ける一方、内筒には上下方向の等間隔位置に前記外筒の高さ調整用孔と対応した複数の高さ調整用孔を設け、外筒を内筒に対して上下の所定位置に保持した状態で外筒と内筒の対応した各一つの高さ調整用孔にピンを挿入することによって、前記それぞれの受け部材の高さを調整可能とする。
【0010】
しかしながら、前記それぞれの受け部材の高さを調整するには、外筒に対して内筒を利用者の一方の手で把持しながら外筒を上下させて各高さ調整用孔の位置合わせを行い、その上で、他方の手でピンを対応した高さ調整用孔に挿入して高さ調整を行っている。このように、利用者は、両手を用いて外筒と内筒の各高さ調整用孔の位置合わせを行った状態で、ピンを各高さ調整用孔に挿入するようになっていることから、これら一連の高さ調整作業が煩雑になり、作業能率の低下を招いている。
【0011】
本発明は、前記高さ調整機構を備えた従来のベンチプレスマシンの技術的課題に鑑みて案出されたもので、縦フレームに対して受け部材をワンタッチで着脱可能としたことにより、この受け部材の高さ調整作業能率の向上を図り得るベンチプレスマシンを提供することを目的としていている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のベンチプレスマシンの好ましい一つの態様としては、床面上に配置されるベースフレームと、該ベースフレームの左右両側から立ち上がり、各前端部に上下方向へ所定間隔をもって複数の高さ調整用孔が設けられた一対の縦フレームと、該各縦フレームに前記高さ調整用孔を介して着脱可能に設けられ、バーベルのバーを受ける一対の受け部材と、を備え、
前記各受け部材は、前記各縦フレームの各前端部側に配置される基板と、該基板の前面に突設されて前記バーを受ける受け部と、前記基板の背面に突設されて前記高さ調整用孔に挿脱可能な支持ロッドと、前記基板の一側縁から後方へ横L字形に折り返し状に折り曲げられた保持部と、をそれぞれ有し、
前記基板を前記縦フレームに対して横向きの状態で前記支持ロッドを高さ調整用孔に挿入した状態で、該支持ロッドを中心に下方へ回動させることにより、前記基板が前記保持部と協働して前記縦フレームに対して横方向から抱着状態に嵌合することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の態様によれば、縦フレームに対して受け部材をワンタッチで着脱できることから、受け部材の高さ調整作業能率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るベンチプレスマシンの斜視図である。
【
図2】本実施形態のベンチプレスマシンの左側面図である。
【
図3】本実施形態に供される受け部材を示し、Aは受け部材の正面図、Bは受け部材の左側面図、Cは受け部材の平面図である。
【
図4】同じく本実施形態の受け部材を正面側から視た斜視図である。
【
図5】本実施形態の受け部材を背面側から視た斜視図である。
【
図6】本実施形態の受け部材を縦フレームに取り付ける手順を示し、Aは受け部材の支持ロッドを縦フレームの一つの高さ調整用孔に挿入する状態を示す斜視図、Bは高さ調整用孔に挿入された支持ロッドを中心に受け部材を下方へ回動させる状態を示す斜視図、Cは受け部材が縦フレームに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るベンチプレスマシンの実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1は本発明の実施形態に係るベンチプレスマシンの斜視図、
図2は本実施形態のベンチプレスマシンの左側面図である。
【0017】
このベンチプレスマシンは、トレーニングジム等の床面上に配置されるほぼ四角枠状のベースフレーム1を有している。このベースフレーム1は、横断面ほぼ長円状の偏平な形状を有する4本の金属管をII字型に結合したもので、一定の間隔をもって互いに縦方向で平行な直線状をなす一対のサイドフレーム2,3と、この両サイドフレーム2、3の前後に配置されて一定の間隔をもって互いに横方向で平行な直線状をなすフロントフレーム4およびリヤフレーム5と、から構成されている。
【0018】
前記一対のサイドフレーム2,3は、それぞれの後端部(リアフレーム5側)の上面から立ち上がった一対の支柱フレーム6,7が立設されている一方、それぞれの前端部(フロントフレーム4側)の上面から立ち上がった一対の縦フレーム8,9が立設されている。この一対の縦フレーム8,9の間の中央位置にはベンチ11が配置されている。
【0019】
各支柱フレーム6,7は、サイドフレーム2,3などと同じく横断面ほぼ長円状の扁平な形状を有する金属管によって形成され、それぞれの上端部がほぼ逆L形状に折曲形成されている。つまり、各支持フレーム6,7は、各サイドフレーム2,3の後端部からほぼ垂直に立ち上がった垂直部6a、7aと、該各垂直部6a、7aの上端から縦フレーム13,14方向へL字形状に折曲された水平部6b、7bと、を有している。
【0020】
前記各垂直部6a、7aの上下長手方向の下端部外側面と上端部両側面のそれぞれには、棒状のプレートハンガー10a、10bが水平方向に突設されている。このプレートハンガー10a、10bには、外径及び重量の異なる複数の円盤プレート状の錘12が掛けられるようになっている。
【0021】
各縦フレーム8、9は、サイドフレーム2,3などと同じく横断面ほぼ横方向に長い長円状の扁平な形状を有する金属管によって形成され、前面と後面が平坦状となる向きに配置されている。各縦フレーム8,9は、各下端部8a、9aが前記サイドフレーム2、3の上部に溶接などによって一体的に固定されている一方、各上端部8b、9bが各支持フレーム6,7の水平部6b、7bの先端に溶接などによって一体的に固定されている。また、各縦フレーム8,9は、各下部間に架けられ一本の横フレーム24によって互いに連結固定されている。
【0022】
各縦フレーム8,9の各前面には、長手方向のほぼ中央位置から上端部8b、9bに掛けて、例えばABS樹脂材からなる薄肉な長板状の保護プレート13、14が接着剤などによって固定されている。
【0023】
各縦フレーム8,9の各保護プレート13,14が設けられた位置には、複数の高さ調整用孔15,16が設けられている。すなわち、この各高さ調整用孔15,16は、各保護プレート13,14の巾方向のほぼ中央位置で、かつ上下方向の等間隔位置に5つ設けられ、前記各保護プレート13,14と各縦フレーム8,9の前端壁と後端壁の両方を同一位置でそれぞれ貫通形成されている。なお、この各高さ調整用孔15,16は、その個数が仕様に応じて3~5つの範囲で設けられ、本実施形態では5つになっている。
【0024】
図3は本実施形態に供される受け部材を示し、Aは受け部材の正面図、Bは受け部材の左側面図、Cは受け部材の平面図、
図4は同じく本実施形態の受け部材を正面側から視た斜視図、
図5は本実施形態の受け部材を背面側から視た斜視図である。
【0025】
各縦フレーム8,9には、前記各高さ調整用孔15,16を介して一対の受け部材17,18が着脱可能に設けられている。この各受け部材17,18は、バーベル30のバー31を受けるためのものであって、ベンチプレスマシンの利用者の体格の違いなどによってバーベル30のリフト時の適正位置を確保するためにバー31の高さを調整可能になっている。
【0026】
この2つの受け部材17,18は、鉄系金属板によって対称形状に形成されており、構造的には同一であるから、便宜上、以下では
図3~
図5に基づいて
図1中右側の一方の受け部材18について説明する。
【0027】
すなわち、受け部材18は、縦フレーム8の前端部に配置された基板19と、該基板19の前面19a下部に突設されてバーベル30のバー31を受ける受け部である受け板20と、基板19の背面19bに突設されて前記各高さ調整用孔15に挿脱(抜き差し)可能な支持ロッド21と、基板19の一側縁から後方へ横L字形に折り返し状に折り曲げられた保持部22と、を有している。
【0028】
基板19は、比較的肉厚で上下方向に長い矩形状の鉄系金属板で形成され、上下方向の長さLが約165mmに設定され、横巾長さWが縦フレーム8の巾長さとほぼ同一に形成されていて、背面19bが保護プレート13に面接触状態で当接するようになっている。
【0029】
受け板20は、ほぼ全体が平坦状に形成され、固定端部が基板19の前面の下端部に固定されている。受け板20の先端部20aは、その突出量Sがバー31をリフトした際において、接触を防止するために比較的短い約59mmに設定されていると共に、先端縁側が立ち上がり傾斜状に折曲形成された規制突部として構成されている。この規制突部としての先端部20aは、の立ち上がり傾斜形状によって、受け板20上面に載置されたバー31の転がりなどの過度な前方移動を規制するようになっている。
【0030】
また、この受け板20は、下面が左右一対の支持板23、23によって支持されている。この各支持板23は、受け板20と同じ鉄系金属板でそれぞれ同一の直角三角形状に形成され、一方の辺が基板19の前面19aに、他方の辺が受け板20の下面にそれぞれ溶接などによって固定されている。
【0031】
支持ロッド21は、鉄系金属材によって丸棒状に形成され、基板19の背面19bであって、下部側の受け板20とは反対の上部側に配置されていると共に、軸方向の一端部が基板19の背面19bに溶接などによって背面19bに対して直角方向から固定されている。また、支持ロッド21は、その突出長さSが各縦フレーム8,9のそれぞれ前端壁と後端壁の間の長さ(巾長さ)よりも長く形成され、つまり、前端壁と後端壁を貫通した高さ調整用孔16(15)の前後長さよりも長く形成されている。したがって、支持ロッド21は、高さ調整用16を挿入した場合に先端部21aが高さ調整16を介して後端壁を貫通した状態になるようにその突出長さSが設定されている。
【0032】
保持部22は、鉄系金属材によって横L字形状に折り曲げられており、基板19の下部一側縁から後方へほぼ直角に延出した基端片22aと、該基端片22aの先端縁から直角に折り曲げられ、前記基板19とほぼ平行に配置された保持片22bと、から構成されている。
【0033】
基端片22aは、支持ロッド21と上下方向で十分に離間した基板19の下部、つまり受け板20の形成位置と同じ位置に配置され、その後方への突出長さS1が支持ロッド22の突出長さSより僅かに短くなっている。すなわち、この突出長さS1は、後述するように、基板19の背面19bと保持片22bの内面22cとの間に縦フレーム9が僅かな隙間をもって嵌合可能となる長さになっている。また、基端片22aの上下方向の巾長さW1は、基板19の下端縁から前記受け板20の高さとほぼ同一の長さに設定されている。
【0034】
保持片22bは、基端片22aの先端縁から直角に基板19と平行に折り曲げられて、その長手方向の長さL1が基板19の巾長さWとほぼ同一長さに設定されている。また保持片22bの内面22cと基板19の背面19bとの間のクリアランス巾Cは、縦フレーム9の前後巾よりも僅かに大きく設定されている。したがって、基板19と基端片22a及び保持片22bは、後述するように、受け部材18を縦フレーム9に取り付けた際に協働して縦フレーム9に対して横方向から抱着状態で嵌合できるようになっている。
【0035】
また、受け部材18と他方の受け部材17は、対称形状に形成されていることから、後述するように、前記各縦フレームに8,9対して抱着状態で嵌合した際に、各保持部22のそれぞれの基端片22a、22aの各内面が前記各縦フレーム8,9の外側部に当接可能になっている。
【0036】
ベンチ11は、
図1に示すように、一般的な構造であって、前後方向に長く延びたベンチ本体11aと、該ベンチ本体11aの下面の前後に配置され、図中、手前側の第1脚部11bと、縦フレーム8,9側の第2脚部11cと、を備えている。
【0037】
第1脚部11bは、下端部にベンチ本体11aに対して直角横方向に延びたT字形状の当接部11dを有し、この当接部11dが両側に設けられた滑り止め部を介して床面に載置されている一方、上端部がベンチ本体11aの手前の下面に固定されている。第2脚部11cは、下端部がフロントフレーム4の長手方向のほぼ中央に溶接などによって固定されている一方、上端部がベンチ本体11aの前端部の下面に固定されている。なお、第2脚部11bは、繋ぎ部25を介して横フレーム24に結合されている。
【0038】
また、
図1及び
図2に示すように、各縦フレーム8,9の各前方位置には、同じ構造の一対のエスケープキャッチャー26、26がそれぞれ設けられている。この各エスケープキャッチャー26,26は、利用者がバーベル30を昇降する際にバー31を保持するもので、本実施形態では、高さが調整可能になっている。
【0039】
簡単に説明すると、各エスケープキャッチャー26は、サイドフレーム2,3の前端部上面に固定された外筒26aと、該外筒26aの内部に上下摺動可能に設けられた内筒26bと、該内筒26bの上端部に設けられたキャッチャー部26cと、を備えている。内筒26bは、前端部に上下方向の等間隔位置に複数(本実施形態では7個)の高さ調整用孔(図示せず)が設けられている。キャッチャー部26cは、前後方向に長い横断面矩形状のパイプ状に形成されている。外筒26aは、図外のスプリングによって前記高さ調整孔の方向(進出方向)へ付勢された高さ調整用の操作ピン26dを有し、この操作ピン26dの先端部を、選択されたいずれかの高さ調整孔に挿入することによってキャッチャー部26cの高さを調整できるようになっている。
【0040】
なお、各外筒26aは、一対の結合杆27によって各縦フレーム8,9にそれぞれ結合されている。
〔本実施形態の作用効果〕
以下、
図6A~Cに基づいて、本実施形態に供される受け部材の作用効果について説明する。なお、便宜上、一方(
図1の右)側の縦フレーム9に受け部材18を着脱する動作について説明する。
【0041】
すなわち、利用者がベンチプレスマシンを利用するに際して、受け部材17、18を各縦フレーム8,9にそれぞれ取り付け、あるいは高さを調整するには、
図6Aに示すように、まず、例えば基板19や受け板20を片手で持って受け部材18を横向き状態としながら、支持ロッド21を縦フレーム9のいずれかの高さ調整用孔16を選択して挿入する。つまり、
図6Bに示すように、支持ロッド21の先端部21aを、縦フレーム9の前端壁側の高さ調整用孔16に挿入しつつさらに後端壁側の高さ調整用孔16に挿入するまで最大に押し込む。
【0042】
その後、
図6Bに示す状態にある受け部材18を片手からゆっくり離すと、この受け部材18は、自重によって支持ロッド21を枢軸(中心)として図中矢印方向(時計方向)へ下降状態に回動し、基端片22aが縦フレーム9の右側面に当接することでそれ以上の回動が規制される。
【0043】
この動作によって、受け部材17は、
図6Cに示すように、基板19と保持部21の保持片22bの間のクリアランス巾Cを介して縦フレーム9に対して横方向から嵌合する。つまり、受け部材18は、基板19と基端片22a及び保持片22bによって縦フレーム9に抱着状態で嵌合する。これによって、縦フレーム9に対する受け部材17の取り付け作業が完了する。
【0044】
逆に、受け部材18を縦フレーム9から取り外すには、例えば、受け板20を片手で持って前述とは反対に支持ロッド21を中心に受け部材18全体を反時計方向へ回動させて、縦フレーム9に対する嵌合状態を解除する。その後、受け部材18をそのまま手前に引き出せば、支持ロッド21が前後の高さ調整用孔16から抜け出す。これによって、受け部材17の取り外し作業が完了する。
【0045】
このように、本実施形態によれば、受け部材18の取り付け、取り外し作業を簡単に行うことができることから、縦フレーム9に対する高さ調整作業も簡単に行うことができる。換言すれば、縦フレーム9に対して受け部材18をワンタッチで着脱することができるので、受け部材17の高さ調整作業が容易になり、この作業能率の向上が図れる。
【0046】
また、受け部材18が縦フレーム9に対して横方向から嵌合することにより、受け部材18の基板19と保持部22が縦フレーム9に対して抱着状態で取り付けられることになる。このため、受け部材17は、縦フレーム9から不用意に脱落することなく、該縦フレーム9に対して安定かつ確実に保持される。つまり、前記受け部材17のワンタッチ着脱による高さ調整作業能率の向上が図れると共に、受け部材17の縦フレーム9に対する取り付け後における安定かつ確実な保持が得られるのである。
【0047】
さらに、保持部22と基板19とのクリアランス巾Cを縦フレーム9の前後巾より僅かに大きくしたことによって、縦フレーム9に対する受け部材17の嵌合作業が容易になると共に、縦フレーム9に対する保持部22と基板19による密着嵌合が可能になって受け部材17の安定した保持を確保できる。
【0048】
前記動作の説明では、一方の縦フレーム9に対する受け部材18の着脱作業について説明したが、他方の縦フレーム8に対する受け部材17の着脱作業についても同様である。また、両縦フレーム8,9に対する各受け部材17,18の高さは常に同一となるように高さ調整用孔15,16を選択するようになっている。
【0049】
また、両受け部材17、18は、左右対称形状に形成されていることから、
図1に示すように、各縦フレーム8,9に両受け部材17,18を取り付けた後に、バーベル30の例えば両端部に錘12、12が取り付けられたバー31を両受け板20,20の上面に載置すると、その重量荷重を、各基板19,19を介して各支持ロッド21、21で受ける。と同時に、各受け部材17,18が、各支持ロッド21、21を中心に右外側と左外側へ回転しようとすることから、それぞれの各基端片22a、22aのそれぞれの下部内縁が各縦フレーム8,9の対応する各外側部に当接してその重量荷重を受ける。これによって、各受け部材17,18によりバーベル30を安定に支持することが可能になる。
【0050】
また、各受け板20、20は、先端部20a、20aが規制突部として機能することにより、各受け板20、20の上面に載せられたバーベル30のバー31の例えば過度な転がり移動による不用意な脱落などを阻止することが可能になり安全性が高くなる。また、本実施形態では、先端部20a、20aを傾斜状に立ち上げるだけであるから、その製造作業が容易である。なお、この規制突部としては、先端部20aを傾斜状に立ち上げる他に、全体が平坦な受け板20の先端部上面に、例えば丸棒状の規制部材を溶接などで固定して形成することも可能である。
〔他の実施形態〕
本実施形態では、縦フレーム8,9の横断面形状を横方向に長い長円形状に形成したが、受け部材17の保持部22の基端片22aを外側の膨出した平面視ほぼ円弧状に折曲すれば、受け部材17を縦フレーム8,9の一側部の外面に対してぴったりと適合した状態で嵌合させることができ、さらに安定した保持が可能になる。
【0051】
また、縦フレーム8,9の横断面形状を、例えば矩形状に形成した場合は、受け部材17の平面視ほぼコ字形状に形成された形状と相似形になることから、縦フレーム8,9の一側部の外形に対して受け部材17をぴったりと適合した状態で嵌合させることができる。この結果、受け部材17の安定化保持が可能になる。
【0052】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、ベンチプレスマシンの仕様や大きさによって受け部材17の形状や大きさを変更することも可能である。
【0053】
また、前記実施形態では、2つの受け部材17,18は、左右対称の形状に形成されているが、同方向の形状に形成することも可能であり、同方向の形状であれば、互換性があることから製造作業が容易になると共に、受け部材の保守管理も容易になる。
【0054】
以上説明した実施形態に基づくベンチプレスマシンとしては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0055】
その一つの態様において、床面上に配置されるベースフレームと、該ベースフレームの左右両側から立ち上がり、上下方向へ所定間隔をもって複数の高さ調整用孔が設けられた一対の縦フレームと、該各縦フレームに前記高さ調整用孔を介して着脱可能に設けられ、バーベルのバーを受ける一対の受け部材と、を備え、
前記各受け部材は、前記各縦フレームの各前端部側に配置される基板と、該基板の前面に突設されて前記バーを受ける受け部と、前記基板の背面に突設されて前記高さ調整用孔に挿脱可能な支持ロッドと、前記基板の一側縁から後方へ横L字形に折り返し状に折り曲げられた保持部と、をそれぞれ有し、
前記基板を前記縦フレームに対して横向きの状態で前記支持ロッドを高さ調整用孔に挿入した状態で、該支持ロッドを中心に下方へ回動させることにより、前記基板が前記保持部と協働して前記縦フレームに対して横方向から抱着状態に嵌合するようになっている。
【0056】
この発明の態様によれば、各縦フレームに対する各受け部材の高さを調整するには、各受け部材の基板を片手で持って支持ロッドを縦フレームのいずれかの高さ調整用孔を選択して挿入すれば、受け部材の高さを容易に調整することができる。換言すれば、縦フレームに対して受け部材をワンタッチで着脱することができるので、受け部材の高さ調整作業が容易になり、この作業能率の向上が図れる。
【0057】
また、前記受け部材が、縦フレームに対して支持ロッドを中心に回動して横方向から嵌合することにより、受け部材の基板と保持部が縦フレームに対して抱着状態で嵌合保持される。このため、受け部材は、縦フレームから不用意に脱落することなく、該縦フレームに対して安定かつ確実に保持される。つまり、前記受け部材のワンタッチ着脱による高さ調整作業能率の向上が図れると共に、受け部材の縦フレームに対する取り付け後における安定かつ確実な保持が得られるのである。
【0058】
さらに好ましくは、前記保持部は、前記基板の一側縁から前記受け部と反対側の後方に延出した基端片と、該基端片の先端縁から前記基板とほぼ平行に折曲された平板状の保持片と、からなり、
前記保持片と前記基板との間のクリアランス巾は、前記縦フレームの前後巾より僅かに大きく形成されている。
【0059】
この発明の態様によれば、保持部と基板とのクリアランス巾を縦フレームの前後巾より僅かに大きくしたことによって、縦フレームに対する受け部材の嵌合作業が容易になると共に、縦フレームに対する保持部と基板による密着嵌合が可能になって受け部材の安定した支持が確保される。
【0060】
さらに好ましくは、一対の受け部材は、左右対称形状に形成され、前記各縦フレームに対して抱着状態に嵌合した際に、前記各保持部のそれぞれの基端片の各内面が前記各縦フレームの外側部に当接可能になっている。
【0061】
この発明の態様によれば、バーベルの例えば両端部に錘が取り付けられたバーを両受け部の上面に載置すると、その重量荷重を、各基板を介して各支持ロッドで受ける。と同時に、受け部材が、各支持ロッドを中心に左右外側へ回転しようとすることから、それぞれの各基端片のそれぞれの下部内縁が各縦フレームの各外側部に当接してその重量荷重を受ける。これによって、バーベルを安定に支持することが可能になる。
【0062】
さらに好ましくは、前記受け部は、矩形板状に形成されていると共に、上面の先端部に前記バーの移動を規制する規制突部を有している。
【0063】
この発明の態様によれば、規制突部を設けることによって受け部の上面に載せられたバーベルのバーの移動による受け部からの不用意な脱落などを抑制することが可能になり、安全性が高くなる。
【0064】
さらに好ましくは、前記縦フレームは、横断面形状が矩形状あるいは横方向に長い長円状に形成されている。
【0065】
この発明の態様によれば、縦フレームの横断面形状を、例えば矩形状に形成した場合は、受け部材の平面視ほぼコ字形状に形成された形状と相似形になることから、縦フレームの外形に対して受け部材をぴったりと適合した状態で嵌合させることができる。この結果、受け部材の安定化支持が可能になる。また、縦フレームの横断面形状が、例えば横方向に長い長円形状であれば、受け部材の保持部の基端片を平面視ほぼ円弧状に折曲すれば、受け部材を縦フレームの外面に対してぴったりと適合した状態で嵌合させることができる。
【0066】
さらに好ましくは、前記両縦フレームの間に、身体を横たえるベンチを配置している。
【符号の説明】
【0067】
1…ベースフレーム
2・3…サイドフレーム
4…フロントフレーム
5…リアフレーム
6・7…支柱フレーム
8・9…縦フレーム
11…ベンチ
12…錘
15・16…高さ調整用孔
17・18…受け部材
19…基板
20…受け板
20a…先端部(規制突部)
21…支持ロッド
21a…先端部
22…保持部
22a…基端片
22b…保持片
23…支持板
30…バーベル
31…バー