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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034201
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】調味料取出器具
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/12 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
A47G19/12 D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137880
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】尾越 健二
(72)【発明者】
【氏名】奥野 雅之
【テーマコード(参考)】
3B001
【Fターム(参考)】
3B001AA24
3B001BB10
3B001CC15
3B001CC21
3B001CC26
3B001DA01
3B001DB02
(57)【要約】
【課題】従来の調味料取出器具においては、調味料を食器の上に取り出すには、各ユーザが調味料の容器に素手で直接触れる必要があった。
【解決手段】調味料の容器81に接続され、容器内から取り出された調味料が貯留される貯留部62と貯留部から外に吐出される調味料が通過する逆止弁66とを有するポンプ機構61と、食器3が当接する食器当接部53を有し、ポンプ機構61に対してスライド可能又は回転可能である可動部材51とを備え、食器3が食器当接部53に当接することによって可動部材51がポンプ機構61に対してスライドすること又は回転することに伴って、ポンプ機構61が作動し、貯留部内の調味料が逆止弁66を通過して提供口67から外に吐出されるように構成されている、調味料取出器具1により、調味料の容器に直接触れることなく調味料を容器から食器の上に出すことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調味料の容器に接続され、前記容器内から取り出された調味料が貯留される貯留部と前記貯留部から外に吐出される調味料が通過する逆止弁とを有するポンプ機構と、
食器が当接する食器当接部を有し、前記ポンプ機構に対してスライド可能又は回転可能である可動部材とを備え、
食器が前記食器当接部に当接することによって前記可動部材が前記ポンプ機構に対してスライドすること又は回転することに伴って、前記ポンプ機構が作動し、前記貯留部内の調味料が前記逆止弁を通過して提供口から外に吐出されるように構成されている、調味料取出器具。
【請求項2】
前記貯留部内の調味料が前記逆止弁を通過して外に吐出されるように前記ポンプ機構が作動する位置に前記可動部材がある状態において、前記食器当接部に当接している食器の上に前記提供口が位置するように構成されている、請求項1に記載の調味料取出器具。
【請求項3】
前記提供口は前記逆止弁の一部である、請求項1又は2に記載の調味料取出器具。
【請求項4】
前記提供口の周囲を囲むカバー部材をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の調味料取出器具。
【請求項5】
前記食器当接部は前記提供口よりも下にあり、
前記可動部材は、手前側から奥に向かう前後方向において前記食器当接部が前記ポンプ機構に対して変位可能となるように構成されており、
前記カバー部材は、少なくとも前記食器当接部の手前側を開口させるとともに前記食器当接部の左右両側方を覆うように構成されている、請求項4に記載の調味料取出器具。
【請求項6】
前記可動部材は、ポンプ機構の被接触部に接触する接触部を有し、
前記可動部材の変位に伴って前記接触部が被接触部に接触することにより前記貯留部の容積が減少するように構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の調味料取出器具。
【請求項7】
前記ポンプ機構は、前記貯留部に接続されており、調味料の容器に対して開口する開口部をさらに有し、
前記開口部は上方に開口し、
前記容器は、前記開口部に調味料の吐出口が下になる姿勢で容器が取り付けられうる、請求項1から6のいずれかに記載の調味料取出器具。
【請求項8】
前記開口部と前記貯留部とは、調味料が通過自在に連通しており、
前記ポンプ機構に、前記吐出口から容器内に流入しようとする流体を遮る容器逆止弁を有する容器が接続されて用いられる、請求項7に記載の調味料取出器具。
【請求項9】
前記ポンプ機構は、前記開口部と前記貯留部との間に配置された第二逆止弁をさらに有する、請求項7に記載の調味料取出器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の調味料を食器の上に取り出すことができる調味料取出器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内の調味料を食器の上に取り出すことができる調味料取出器具としては、例えば、醤油滴下機構の下方空間ににぎり寿司が位置したことを近接センサにより感知し、弁操作用ソレノイドがピストンロッド弁を上昇させ滴下開口部を開放させることでにぎり寿司に所要の醤油を垂らすように構成された醤油滴下装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3200711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ウイルスや細菌などの微生物による感染症に対して、種々の予防策が求められている。接触感染が感染経路の1つとなる感染症を防止するためには、複数の人が取り扱う物品の表面が汚染されることを防止することが重要である。
【0005】
従来、飲食を行う者(ユーザ)が調味料を食器に取り出すには、各ユーザが調味料の容器に素手で直接触れる必要があるのが通常であった。しかしながら、上記のように接触感染を防止する観点では、調味料の容器に多数のユーザが触れうる状態として調味料を提供しておくのは好ましくないという問題があった。このことは、特定少数のユーザが調味料を利用する場合においても問題となりうるが、とりわけ、多くのユーザが利用する食堂や、不特定のユーザが利用する飲食店などにおいて調味料が提供される場合に、より顕著なものとなる。
【0006】
例えば上述の特許文献1に記載されている醤油滴下装置は、にぎり寿司を反転させることなくネタ上面に最適な量の醤油を滴下できるようにすることを目的とするものであるが、結果としてユーザは装置に接触することなく醤油を利用することができる。しかしながら、特許文献1に記載されている醤油滴下装置は、にぎり寿司を感知する近接センサを要したり、醤油を滴下するための電磁的なアクチュエータを必要とするものであり、構成が複雑であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第一の発明の調味料取出器具は、調味料の容器に接続され、容器内から取り出された調味料が貯留される貯留部と貯留部から外に吐出される調味料が通過する逆止弁とを有するポンプ機構と、食器が当接する食器当接部を有し、ポンプ機構に対してスライド可能又は回転可能である可動部材とを備え、食器が食器当接部に当接することによって可動部材がポンプ機構に対してスライドすること又は回転することに伴って、ポンプ機構が作動し、貯留部内の調味料が逆止弁を通過して提供口から外に吐出されるように構成されている、調味料取出器具である。
【0008】
かかる構成により、調味料の容器に直接触れることなく調味料を容器から食器の上に出すことができる。
【0009】
また、本第二の発明の調味料取出器具は、第一の発明に対して、貯留部内の調味料が逆止弁を通過して外に吐出されるようにポンプ機構が作動する位置に可動部材がある状態において、食器当接部に当接している食器の上に提供口が位置するように構成されている、調味料取出器具である。
【0010】
かかる構成により、確実に調味料を提供口から食器の上に取り出すことができる。
【0011】
また、本第三の発明の調味料取出器具は、第一又は二の発明に対して、提供口は逆止弁の一部である、調味料取出器具である。
【0012】
かかる構成により、部品点数を少なくすることができ、かつ、逆止弁を通過した調味料の器具への付着を防止することができる。
【0013】
また、本第四の発明の調味料取出器具は、第一から三のいずれかの発明に対して、提供口の周囲を囲むカバー部材をさらに備える、調味料取出器具である。
【0014】
かかる構成により、提供口に食器又はユーザの手などが触れることを防止することができる。
【0015】
また、本第五の発明の調味料取出器具は、第四の発明に対して、食器当接部は提供口よりも下にあり、可動部材は、手前側から奥に向かう前後方向において食器当接部がポンプ機構に対して変位可能となるように構成されており、カバー部材は、少なくとも食器当接部の手前側を開口させるとともに食器当接部の左右両側方を覆うように構成されている、調味料取出器具である。
【0016】
かかる構成により、ユーザが手で食器当接部を操作することを防止することができる。
【0017】
また、本第六の発明の調味料取出器具は、第一から五のいずれかの発明に対して、可動部材は、ポンプ機構の被接触部に接触する接触部を有し、可動部材の変位に伴って接触部が被接触部に接触することにより貯留部の容積が減少するように構成されている、調味料取出器具である。
【0018】
かかる構成により、簡素な構造で、確実に調味料を取り出すことができる。
【0019】
また、本第七の発明の調味料取出器具は、第一から六のいずれかの発明に対して、ポンプ機構は、貯留部に接続されており、調味料の容器に対して開口する開口部をさらに有し、開口部は上方に開口し、容器は、開口部に調味料の吐出口が下になる姿勢で容器が取り付けられうる、調味料取出器具である。
【0020】
かかる構成により、調味料を容器からポンプ機構に移動させやすくすることができる。
【0021】
また、本第八の発明の調味料取出器具は、第七の発明に対して、開口部と貯留部とは、調味料が通過自在に連通しており、ポンプ機構に、吐出口から容器内に流入しようとする流体を遮る容器逆止弁を有する容器が接続されて用いられる、調味料取出器具である。
【0022】
かかる構成により、ポンプ機構の構造をより簡素にすることができる。
【0023】
また、本第九の発明の調味料取出器具は、第七の発明に対して、ポンプ機構は、開口部と貯留部との間に配置された第二逆止弁をさらに有する、調味料取出器具である。
【0024】
かかる構成により、調味料の容器に直接触れることなく調味料を容器から食器の上に出すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による調味料取出器具によれば、調味料の容器に直接触れることなく調味料を容器から食器の上に出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態1に係る調味料取出器具を用いた調味料サーバの斜視図
図2】同調味料取出器具と調味料の容器とを別々に示す斜視図
図3】同調味料取出器具の側面図
図4】同調味料取出器具の動作を説明する側面図
図5】実施の形態1の一変形例に係る調味料取出器具を用いた調味料サーバの構成を説明する側面図
図6】本発明の実施の形態2に係る調味料取出器具の側面図
図7】同調味料取出器具の動作を説明する側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、調味料取出器具の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0028】
なお、以下の説明において、図面において示される方向(上下、左右、手前、奥)は、各図同士で共通している。上及び下は、水平面に対して垂直な方向である。手前方向は、調味料取出器具の正面が向いている方向であり、前方ということもある。奥方向は、手前方向とは反対の方向であり、後方ということもある。右は、調味料取出器具の正面に対面して右手側の方向である。左は、右の反対側の方向である。なお、左右方向は、幅方向といってもよい。以下において、このように各方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、これらはあくまで説明の便宜のために定義したものである。前後左右の各方向の明示は、本発明に係る調味料取出器具の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0029】
(実施の形態1)
【0030】
図1は、本発明の実施の形態1に係る調味料取出器具1を用いた調味料サーバ100の斜視図である。図2は、同調味料取出器具1と調味料の容器81とを別々に示す斜視図である。
【0031】
実施の形態1に係る調味料取出器具1の概要を説明すると、以下のようである。すなわち、本実施の形態において、調味料取出器具1は、可動部材51に食器3を当接させることによって、ポンプ機構61を動作させて、提供口67から容器81内の調味料を食器3の上に取り出すことができるように構成されたものである。提供口67と可動部材51との位置関係は、ポンプ機構61が調味料を外に出すように作動する位置に可動部材51がある状態において、食器当接部53に当接している食器3の上に提供口67が位置するように構成されている。本実施の形態において、提供口67は逆止弁66の一部である。調味料取出器具1は、好ましくは、提供口67の周囲を囲むカバー部材11を有している。カバー部材11は、食器当接部53の左右両側方を覆っている。
【0032】
本実施の形態においては、接触部58が可動部材51に設けられており、接触部58がポンプ機構61の被接触部69に接触することでポンプ機構61の貯留部62の容積が変化するように構成されている。ポンプ機構61は、貯留部62に接続されている開口部64を有している。開口部64は、容器81に対して開口している。好ましくは、開口部64は上方に開口し、開口部64に、調味料の吐出口82が下になるように倒立姿勢で容器81が取り付けられうる。開口部64と貯留部62との間は調味料が通過自在に連通しており、容器81は、吐出口82から流入する流体を遮る容器逆止弁84を有するものであるが、これに限られない。例えば、開口部64と貯留部62との間に第二逆止弁68が設けられていてもよい。この場合、容器81は、吐出口82から流入する流体を遮る容器逆止弁84を有するものではなくてもよい。
【0033】
本実施の形態において、調味料取出器具1には、調味料が入った容器81が取り付けられて用いられる。便宜上、容器81が取り付けられている調味料取出器具1を調味料サーバ100と呼ぶ。換言すると、本実施の形態において、調味料サーバ100は、調味料取出器具1と、調味料を収容する容器81とを有しているといえる。なお、調味料サーバ100を調味料取出器具1と呼んでもよい。
【0034】
本実施の形態において調味料取出器具1が対象とする調味料は、具体的には醤油である。また、本実施の形態において調味料取出器具1から醤油が取り出される先の食器3は、図に示されるような皿である。皿は、例えば、皿板3bと、その下の高台3cとを有するものである。調味料取出器具1は、例えば、にぎり寿司等の食品5が食器3の皿板3bの上に乗せられた状態で客であるユーザに提供される飲食店(いわゆる回転寿司店等)において用いられるものである。調味料取出器具1は、例えば、客が飲食を行うためのテーブル上やその傍に載置されたりテーブル等の什器に固定されたりした状態で用いられうる。
【0035】
まず、容器81の構成について説明する。
【0036】
図2に示されるように、容器81は、調味料が収容される容器本体に、調味料の吐出口82を有する蓋83が取り付けられている構成を有している。容器81は、通常、蓋83が上になるような姿勢で、テーブル上などに配置可能になっている。容器81の胴部などが押し込まれて容器81の内部の圧力が高くなるなどして、容器81の内部と外部との間で圧力差が生じると、一部の調味料が提供口67を通り、容器81の外側に流出することで、圧力差が解消される。すなわち、容器81は、容器内外の圧力差を利用して、容器81の提供口67から調味料を容器外に吐出(流出と言ってもよい)させることができるように構成されているものである。
【0037】
本実施の形態において、容器81は、いわゆる合成樹脂製の多重ボトルである。すなわち、多重ボトルは、外圧に対して原形復帰可能な外殻の内側に、調味料が封入され外圧による減容により変形する内側容器を有するものである。内側容器の減容に伴って、外殻と内側容器との間に空気が導入されうる。すなわち、外殻を構成する胴部が内側に押し込まれるなどして外殻と内側容器との間の空間の圧力が容器外の圧力と比較して高くなり、容器81の内外の圧力差が生じることにより、内側容器が減容して調味料が吐出口82から吐出されるように構成されている。
【0038】
本実施の形態において、蓋83の内部には、容器逆止弁84が設けられている。容器逆止弁84は、容器81の内部から外部に移動する調味料は容易に通し、容器81の外部から内部に移動する流体は通しにくくなるように構成されている。本実施の形態において、容器逆止弁84は、シリコンやゴム等の樹脂で構成された板にスリットが形成された構造を有しているが、これに限られない。容器逆止弁84により、容器81の外部と容器81の内部とが連通している。容器逆止弁84が設けられていることにより、一旦減容した内側容器には、容器81の外部から空気や水などの流体が流入することなく保たれる。なお、容器81の外殻には、外殻と内側容器との間に空気等を流入可能とする逆止弁が設けられており、外殻と内側容器との間に空気等が流入することにより、外殻の形状が原型復帰可能となっている。
【0039】
なお、容器81を構成する素材の変形しやすさや、調味料の表面張力、ぬれ性、又は粘度などにより、容器81に容器逆止弁84が設けられていなくても、容器81が倒立状態(調味料が提供口67の内側の端部を覆う状態)になった場合に調味料が容器81の外部に流出しないようになっていてもよい。
【0040】
図3は、同調味料取出器具1の側面図である。
【0041】
図3においては、説明の便宜上、カバー部材11、支持部材31、及びポンプ機構61などについて、左右方向において略中央における断面が示されている。
【0042】
本実施の形態において、調味料取出器具1は、カバー部材11と、支持部材31と、可動部材51と、ポンプ機構61とを備える。
【0043】
カバー部材11は、本実施の形態において、支持部材31と、可動部材51と、ポンプ機構61とを覆うように構成されている。カバー部材11の上部は、カバー部材11の下部に対して着脱可能なケース11cとなっている。ケース11cは、調味料取出器具1に接続された容器81を覆うように形成されている。カバー部材11が設けられていることにより、ユーザが支持部材31及び容器81に直接触れることが防止される。カバー部材11は、例えば樹脂板を用いて形成されているが、これに限られない。また、カバー部材11の形状も、図に示されるような形状に限られない。
【0044】
本実施の形態において、カバー部材11は、提供口67の周囲を囲むように配置されている。すなわち、提供口67の前方、後方、及び左右両側方には、カバー部材11がある。これにより、ユーザやユーザが持つ食器等が提供口67に直接触れにくくなり、提供口67が清潔な状態を維持することができるようになっている。
【0045】
カバー部材11には、ガイド部15及びカバー開口18が設けられている。
【0046】
カバー開口18は、カバー部材11の下部において、正面に設けられている。すなわち、カバー部材11には、下部から手前側に開口するカバー開口18が設けられている。カバー部材11の左右両側面は、カバー部材11を構成する側板13で覆われている。本実施の形態において、カバー部材11は、カバー開口18が設けられていることにより、可動部材51の下部に設けられている食器当接部53の手前側で開口している。また、カバー部材11は、食器当接部53の左右両側方を覆うように構成されている。これにより、ユーザが、素手で直接的には食器当接部53に触れにくくなり、食器当接部53が清潔な状態を維持することができるようになっている。
【0047】
ガイド部15は、カバー開口18の下方に設けられている。ガイド部15は、提供口67よりも下に配置されている。ガイド部15は、高台3cの幅寸法よりも若干大きい幅を有し、後方に向かって高台3cを案内しうる形状を有している。すなわち、ガイド部15は、食器3の一部に当接可能であって、前後方向に沿って食器3を案内する。ガイド部15は、後述するような食器当接部53に前方から食器3が当接するように食器3を案内可能である。
【0048】
なお、本実施の形態において、カバー部材11の一部には、窓部が設けられていてもよい。窓部は、例えば、透明な部材が配置されることで構成することができ、透明な部材は、例えば、透明なアクリル板等の樹脂板であってもよいし、ガラス板などであってもよい。窓部は、カバー部材11の内部の部材、例えば、容器81、ポンプ機構61、支持部材31、及び可動部材51のうち、カバー部材11に覆われている部分を、カバー部材11の外部から視認可能とする。このような窓部を設けることにより、ユーザは、調味料取出器具1の内部の状態を確認しながら調味料取出器具1を使用することができる。なお、窓部はカバー部材11の一部に設けられた孔であって、孔を通して内部の部材を外部から視認可能となっていてもよい。窓部の位置は、カバー部材11の正面の一面に限られず、正面の一部であったり、他の面の全部又は一部であってもよい。すなわち、カバー部材のうち少なくとも一部に窓部が設けられていてもよい。また、カバー部材11の全部が透明な樹脂板やガラス板を用いて構成されていてもよく、この場合も、カバー部材11において内部の部材を覆っている部位が窓部として機能すると解釈することができる。
【0049】
支持部材31は、カバー部材11の内側の上部に取り付けられている。支持部材31は、可動部材51と、調味料の容器81が接続されたポンプ機構61とを支えるように構成されている。支持部材31は、例えば金属製の板を変形させて構成されているが、これに限られない。例えば、樹脂製であってもよい。
【0050】
支持部材31には、ストッパ38が設けられている。ストッパ38は、支持部材31の左右両側部に設けられている。後述するように、ストッパ38は、可動部材51の下方への変位を規制する。
【0051】
なお、支持部材31はカバー部材11の一部を構成していてもよいし、カバー部材11の一部が支持部材31の一部として機能するように構成されていてもよい。また、カバー部材11の一部と支持部材31の一部とが、一体成形されていたり、一の部品で構成されていてもよい。
【0052】
ポンプ機構61は、貯留部62と、開口部64と、逆止弁66と、被接触部69とを備えている。
【0053】
ポンプ機構61は、例えば、開口部64が設けられているベース61cに、貯留部62が取り付けられて構成されている。ベース61cには、開口部64のほか、支持部材31に係合する係合部が形成されている。係合部は、例えば水平方向に延びるフランジ部であるが、これに限られない。ベース61cは、係合部が支持部材31において形成された挟持部に挟まれるようにして、上下方向において位置決めされた状態で支持部材31に取り付けられる。このように支持部材31に取り付けられたポンプ機構61に対して容器81が接続されることにより、容器81が支持部材31に支持されているといってもよい。ベース61cは、樹脂や金属等により形成することができるが、これに限られない。
【0054】
貯留部62は、ポンプ機構61において吐出されるべき調味料が貯留される空間(貯留室)を構成する部材である。この部材を貯留部62と呼ぶほか、空間(貯留室)そのものを貯留部62と呼んでもよい。貯留部62は、容器81内から取り出された調味料を貯留する。貯留部62は、弾力性のある筒状の壁面を構成する、薄肉の部材で構成されている。すなわち、貯留部62は変形可能であり、貯留室の容積は変化可能である。貯留部62に力が加わっていない場合には、貯留部62は原形に復元する。貯留部62の上部はベース61cに固定されており、下部には逆止弁66が設けられている。貯留部62は、例えばシリコンゴム等で構成されているが、例えば他種のゴムやその他の樹脂等で構成されていてもよい。
【0055】
開口部64は、例えば、ベース61cに設けられた貫通穴である。開口部64は、貯留部62に接続されており、調味料の容器81に対して開口する。本実施の形態において、開口部64には、容器81が、調味料の吐出口82が下になる姿勢で取り付けられうる。すなわち、ベース61cには、容器81が倒立姿勢で取り付けられうる。容器81の吐出口82と開口部64との間は密着している。例えば、開口部64に取り付けられた吸盤が吐出口82の周囲の部位に密着するように構成されていてもよい。また、吐出口82の周囲の部位と、開口部64とが、一方が他方にねじ込まれるようにして互いに密着して接続されていてもよい。ここで密着とは、調味料が開口部64と容器81との接続部分から外に漏れないように両者が接続されている状態をいう。容器81は、容器81の他の部位よりも提供口67が最も下方に位置するようにして調味料取出器具1に取り付けられるように構成されている。容器逆止弁84は、ポンプ機構61から、吐出口82を通して容器内に流入しようとする流体を遮る。
【0056】
逆止弁66は、貯留部62の下部に設けられている。逆止弁66は、貯留部62と同一の素材により構成されているが、これに限られない。本実施の形態において、逆止弁66は、貯留部62と一体に成形されている。逆止弁66は、貯留部62から外に吐出される調味料が通過する。
【0057】
本実施の形態において、逆止弁66は、貯留部62の内外の圧力差が所定の大きさになるまでは、調味料を吐出しないように構成されている。逆止弁66は、例えば、下方に突出する突起状形状にスリットが入った構造を有している。貯留部62の内外の圧力差が所定の大きさになるとスリットが開き、貯留室の調味料が外に吐出される。なお、被接触部69により接触部58に力が加えられて貯留部62が変形することによって逆止弁66が開き(例えば、スリットが開き)、貯留室の調味料が外に流出するようにしてもよい。このように、本実施の形態において、逆止弁66のうち、スリットが設けられている一部分は、本実施の形態において、提供口67となっている。なお、提供口は逆止弁66とは別の位置に配置されており、逆止弁66を通過した調味料が提供口まで管路等により導かれるように構成されていてもよい。
【0058】
被接触部69は、貯留部62の下部に配置されている。本実施の形態において、被接触部69は逆止弁66の周囲に配置されているが、これに限られない。被接触部69は、貯留部62の側周部の一部などであってもよい。
【0059】
可動部材51は、支持部材31に対して回転可能な部材である。すなわち、可動部材51は、ポンプ機構61に対して回転可能である。可動部材51は、カバー部材11に対して回転可能な部材であるといってもよい。本実施の形態において、可動部材51は、支持部材31に対して回転軸55において軸支されている。換言すると、可動部材51は、支持部材31に、回転軸55まわりに回転可能に支持されている。回転軸55は、左右方向に平行な軸である。可動部材51は、カバー部材11に対して軸支されていてもよい。
【0060】
図1に示されるように、可動部材51は、主に、棒状の金属を折り曲げたり接合したりして成形された部材である。可動部材51は、本実施の形態において、回転軸55のほか、食器当接部53と、接触部58とを備える。
【0061】
回転軸55は、支持部材31の上部のうち、容器81の上部近傍に、左右方向に平行に位置している。可動部材51は、回転軸55の左右両端部のそれぞれから下方に延在している。食器当接部53は、可動部材51の下端部近傍の部位である。食器当接部53は、ユーザにより食器3が当接される部位となる。食器当接部53として、可動部材51本体とは異なる部材や異なる素材で形成された、食器3が当接するパッド等が取り付けられていてもよい。可動部材51は、手前側から奥に向かう前後方向において食器当接部53がポンプ機構61に対して変位可能となるように構成されている。
【0062】
接触部58は、回転軸55の近傍に位置し、左右略中央部に設けられている。接触部58は、ポンプ機構61の被接触部69に対応する位置に配置されている。接触部58は、被接触部69に対向している。接触部58は、可動部材51の変位に伴って、ポンプ機構61の被接触部69に接触する。接触部58は、可動部材51が支持部材31に対して回転することに伴って回転して変位する。接触部58は、可動部材51が支持部材31に対してスライドすることに伴って変位するように構成されていてもよい。接触部58は、回転軸55に並行な板状であるが、これに限られない。
【0063】
接触部58の一部には、貫通孔58cが形成されている。貫通孔58cは、逆止弁66に対応する位置に形成されている。貫通孔58cが形成されていることにより、可動部材51が変位した状態で接触部58が被接触部69に接触する際、接触部58が逆止弁66に接触しないようになっている。換言すると、逆止弁66は、接触部58の一部に設けられた貫通孔58cにはまり込む位置に配置されている。
【0064】
なお、可動部材51を構成する棒状部材の一部が接触部として設けられていてもよい。この場合、可動部材51の変位に伴って接触部58が被接触部69に接触するように構成されていてもよい。
【0065】
本実施の形態においては、接触部58が変位して被接触部69を上方に押し上げることで貯留部62が変形するように構成されている。本実施の形態では、可動部材51にユーザによる力が加わっていない状態(以下、自然状態ということがある)から、奥に向けて食器当接部53が変位するのにともなって、接触部58が被接触部69に接触することにより貯留部62の容積が減少するように構成されている。換言すると、食器3が食器当接部53に当接することによって可動部材51がポンプ機構61に対して回転することに伴って、ポンプ機構61が作動し、貯留部62内の調味料が逆止弁66を通過して提供口67から外に吐出されるように構成されている。
【0066】
なお、本実施の形態において、可動部材51は、回転軸55の左右両端部のそれぞれから奥に向けて延びたうえで下に向けて折れ曲がった形状を有している。ユーザによる力が加わっていない状態において、可動部材51は、重力により、支持部材31から左右に突出するストッパ38に当接する状態となる。すなわち、可動部材51の下方への変位が、ストッパ38により規制される。換言すると、食器当接部53の手前への変位は、ストッパ38により規制されるようになっている。なお、可動部材51は、ユーザによる力が加わっていない状態において、重力により最下方まで(バランスが取れる位置まで)変位可能に構成されていてもよい。この場合、ストッパ38は設けられていなくてもよい。
【0067】
図4は、同調味料取出器具1の動作を説明する側面図である。
【0068】
図4に示される可動部材51について、実線は食器3により回転した状態を示し、二点鎖線は自然状態を示している。
【0069】
本実施の形態においては、調味料取出器具1は、以下のように用いられうる。すなわち、食器3がカバー開口18から奥に向けて押し込まれると、食器3の皿板3bの外周縁が食器当接部53に当接する。さらに食器3が奥に押し込まれることによって、食器当接部53が奥に変位するように可動部材51が支持部材31に対して回転する。そうすると、それに伴って、接触部58が回転軸55周りに回転し、被接触部69に接触部58が当接する。ポンプ機構61のベース61cは支持部材31により上方に変位しないように支持されているので、接触部58がさらに回転することにより、貯留部62を上下に潰すように変形させながら、被接触部69が上方に押し込まれる。これにより、貯留部62の内外に圧力差が発生し、調味料が逆止弁66すなわち提供口67から外に出される。すなわち、本実施の形態においては、可動部材51と、可動部材51が回転することに伴って変位する接触部58とによって、ポンプ機構61の貯留部62の内外の圧力差を発生させる圧力差発生手段が構成されているということができる。なお、可動部材51において、食器当接部53が力点となり、回転軸55が支点となり、接触部58が作用点となるといえる。食器当接部53と回転軸55との距離と、回転軸55と接触部58との距離とが異なるので、軽い力で容易に圧力差を発生させることができる。なお、このレバー比は、容易に調味料を取り出すことができるように、適宜設定すればよい。
【0070】
なお、上述のように食器3により食器当接部53が奥に変位するように押し込まれた状態から食器3が手前に引かれると、自然状態から変形した貯留部62の復元力や可動部材51に加わる重力により、可動部材51が反対方向に回転する。そうすると、逆止弁66が閉状態となり、貯留室内の圧力が、容器81の内部の圧力よりも低くなるため、容器81の内部の調味料が、容器逆止弁84を通って貯留室内に流入する。これにより、貯留室内に調味料が貯留されている状態が維持され、次回にポンプ機構61が作動したときに貯留されている調味料を吐出させることが可能になる。
【0071】
ここで、本実施の形態において、貯留部62の内外の圧力差が発生する位置に可動部材51がある状態において、食器当接部53に当接している食器3の上に逆止弁66が位置するように構成されている。換言すると、貯留室内の調味料が逆止弁66を通過して外に吐出されるようにポンプ機構61が作動する位置に可動部材51がある状態において、食器当接部53に当接している食器3の上に提供口67が位置するように構成されている。これにより、食器3が食器当接部53に当接して可動部材51がポンプ機構61に対して回転することに伴って、ポンプ機構61が作動し、提供口67から容器81内の調味料が食器3の上に取り出される。可動部材51と提供口67とがこのような位置関係を有していることにより、取り出される調味料が、確実に食器3で受け止められる。可動部材51と提供口67との位置関係は、調味料の取り出しに用いられる食器3の大きさ及び形状や、食器3に乗せられることが想定される食品5の形状及び大きさなどに応じて適宜設定すればよい。例えば回転寿司店において、寿司が載せられる食器3に直接醤油を滴下する用途においては、ポンプ機構61が作動する位置(例えば被接触部69に接触部58が接触する位置)に可動部材51がある状態において、食器当接部53に当接している食器3の中央部近くの上に提供口67が位置するようにすることが好ましい。食品5の寿司ネタ部分に醤油を滴下することが可能となる。なお、これに限定されない。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態においては、簡素な構造の調味料取出器具1を用いることにより、調味料の容器81に直接触れることなく調味料を容器81から食器3の上に出すことができる。可動部材51の食器当接部53に食器3を接触させて、当該食器3の上に調味料を出すことができるので、操作が容易であり、また、食器当接部53にユーザが素手で触れる必要がなく、調味料取出器具1を衛生的に用いることができる。ユーザが食器3を把持して操作を行うことができるので、ユーザ各々が、容器81を直接扱う場合と同様に、好みの量の調味料を取り出すことができる。
【0073】
調味料取出器具1は、電力を必要とせずに用いることができるので、洗浄、清掃等のメンテナンスを容易に行うことができる。また、故障等も発生しにくいものである。
【0074】
調味料取出器具1を用いるために専用の容器を用いる必要はなく、適宜、調味料の容器81をポンプ機構61に取り付けて用いることができる。すなわち、市販の調味料の容器81をそのまま取り付けることができるように開口部64を構成することにより、容易にかつ衛生的に調味料を使用可能にすることができる。容器81が空になったときにも、容器81を交換するだけで、容易に、調味料サーバ100の使用を継続することができる。容器81は倒立姿勢で取り付けられるので、容器内の調味料を取り出しやすくすることができ、容器内の調味料の残量が少なくなっても、空に近くなるまで、確実に調味料を消費することができる。
【0075】
ポンプ機構61においては、開口部と貯留室との間に弁は設けられておらず、容器81の内部の弁をこれに代えて用いることができるので、調味料取出器具1の部品構成を簡素化することができる。
【0076】
なお、実施の形態1におけるポンプ機構61に代えて、開口部64と貯留部62との間に、第二逆止弁68が配置されたポンプ機構161を用いるようにしてもよい。
【0077】
図5は、実施の形態1の一変形例に係る調味料取出器具101を用いた調味料サーバ150の構成を説明する側面図である。
【0078】
図5に示されるように、調味料サーバ150は、調味料取出器具101と、容器181とを有している。容器181は、例えば、内部に容器逆止弁を有さず、いわゆる多重ボトルではないものであるが、多重ボトルであってもよいし、容器逆止弁を有するものであってもよい。
【0079】
調味料取出器具101は、上述の調味料取出器具1のポンプ機構61とは一部の構成が異なるポンプ機構161を有している。調味料取出器具1と同一の構成については同一の符号を付す。本変形例において、ポンプ機構161は、開口部64と貯留部62との間に、第二逆止弁68が配置されているものである。
【0080】
第二逆止弁68は、いったん開口部64を通って貯留部62に入った調味料が逆流しないように設けられている。すなわち、第二逆止弁68は、食器3により食器当接部53が奥に変位するように押し込まれる場合(貯留室が加圧される場合)には閉じた状態となり、可動部材51が反対方向に回転する際に開く。このような第二逆止弁68が設けられていることにより、それ自体が容器逆止弁を有していない容器181を用いる場合であっても、ポンプ機構161に取り出した調味料の逆流を防止し、確実に調味料を提供口67から取り出すことができる。
【0081】
(実施の形態2)
【0082】
図6は、本発明の実施の形態2に係る調味料取出器具201の側面図である。
【0083】
実施の形態2において、調味料取出器具201は、可動部材251に食器3を当接させることによって、可動部材251を調味料の容器281を支える支持部材231に対して回転させることにより、提供口291から調味料を食器3の上に取り出すことができるように構成されたものである。本実施の形態において、可動部材251の回転に伴い容器内の調味料を吸い上げて、容器281の上部に取り付けられた管を通して、下方にある提供口291から食器3の上に調味料が取り出されるように構成されている。また、可動部材251の回転に伴い、ポンプ機構261を用いて吸い上げた調味料に加圧を行うことにより、調味料が取り出される。以下、このように構成された調味料取出器具201について説明する。
【0084】
実施の形態2において調味料取出器具1が対象とする調味料も、実施の形態1と同様に、具体的には醤油である。また、本実施の形態において調味料取出器具1から醤油が取り出される先の食器3も、実施の形態1に係るものと同様の皿である。
【0085】
図6に示されるように、本実施の形態において、調味料取出器具201は、容器281を備えている。容器281は、カップ282、蓋283、内管284、加圧部285、及びポンプ機構261を備える。容器281自体は、例えば、公知のいわゆるトリガータイプのスプレーボトルと同様の構造を有するものである。すなわち、内管284は、カップ282中の調味料に一端である下端部284cが浸かるように配置されており、他端である上端部284bが容器281の上部に取り付けられているものである。ポンプ機構261は、内管284の一部に設けられており、加圧部285の変位に伴って内管284を通して調味料を吸い上げる。すなわち、後述するように可動部材251の回転に伴って加圧部285が変位することにより、調味料が内管284を通して吸い上げられる。
【0086】
ポンプ機構261は、貯留部262と、逆止弁266と、第二逆止弁268とを備えている。貯留部262は、内管284を通して容器281内から吸い上げた調味料を貯留する。逆止弁266は、貯留部262と外管257との間に設けられている。第二逆止弁268は、貯留部262と内管284との間に設けられている。
【0087】
加圧部285は、蓋283の一部に設けられている。加圧部285は、例えばピストンとポンプ機構261に接続されたシリンダとを有し、ポンプ機構261を用いて貯留部262に吸い上げた調味料を加圧する。加圧部285による加圧時において、貯留部262からカップ282に向けた経路は第二逆止弁268により封止されているので、加圧された調味料は、逆止弁266を通過して提供口291から取り出されることとなる。なお、加圧部285やポンプ機構261の構造は、これに限られず、スプレーボトルなどにおいて用いられる公知の構造を適宜採用することができる。
【0088】
調味料取出器具201は、カバー部材211と、可動部材251と、外管257と、提供口291とを備える。
【0089】
カバー部材211は、上述の実施の形態1に係るカバー部材11と同様に、調味料取出器具201の各部を覆っている。本実施の形態において、カバー部材211は、提供口291の周囲を囲むように構成されている。また、カバー部材211は、正面下部に設けられたカバー開口18により少なくとも当接部253の手前側を開口させるとともに、当接部253の左右両側方を覆うように構成されている。
【0090】
本実施の形態において、カバー部材211は、支持部材231として機能する。すなわち、カバー部材211の内部の奥方には、容器281がはまる凹みが形成されている。容器281は、この凹みにはめこまれることにより、カバー部材211の内部における位置が規制された状態で保持されている。すなわち、カバー部材211は、容器281がはまる凹みが形成されており容器281の一部を支える支持部材231であるといえる。
【0091】
可動部材251は、回転軸255と、当接部253とを有する。可動部材251は、例えば、棒状の梁であるが、これに限られない。可動部材251は、上端部において回転軸255に接続されており、下端部において当接部253が設けられているものである。本実施の形態において、回転軸255は、容器281の蓋283の上部に、左右方向に平行に設けられている。すなわち、可動部材251は、蓋283に対して回転可能に軸支されている。これにより、可動部材251は、容器281が保持されている支持部材231(カバー部材211)に対して回転可能であるといえる。換言すると、可動部材251は、ポンプ機構261に対して回転可能であるといえる。可動部材251は、前後方向において当接部253が変位可能となるように軸視されている。なお、可動部材251は、カバー部材211に対して直接軸支されていてもよい。
【0092】
可動部材251は、加圧部285のピストンに接触可能に配置されている。本実施の形態においては、自然状態から当接部253が奥に変位するように可動部材が容器281に対して回転するのに伴って、可動部材251が加圧部285のピストンを押し込むことで、貯留部262の内部の容積を減少させるように構成されている。加圧部285のピストンが例えば内部に設けられているばね(図示せず)等により押し戻されることによりと、それに伴って、貯留部262の内部の容積が増大することにより、調味料が内管284を通して貯留部262に吸い上げられる。このとき、当接部253は手前に変位し、自然状態となる。
【0093】
外管257は、容器281の上部に配置されている内管284の上端部284bから、下方に位置する提供口291まで調味料を通すように配置されている。すなわち、調味料取出器具201は、外管257を経由して、調味料が提供口291から食器の上に取り出されるように構成されている。
【0094】
図7は、同調味料取出器具201の動作を説明する側面図である。
【0095】
図7に示される可動部材251について、実線は食器3により回転した状態を示し、二点鎖線は自然状態を示している。
【0096】
図7に示されるように、実施の形態2においては、調味料取出器具201は、以下のように用いられうる。すなわち、食器3がカバー開口18から奥に向けて押し込まれると、食器3の皿板3bの外周縁が当接部253に当接する。さらに食器3が奥に押し込まれることによって、当接部253が奥に変位するように可動部材251が容器281に対して回転する。そうすると、それに伴って、ポンプ機構261が作動するので、調味料が内管284の上端部284bから外管257を経由して提供口67から外に出される。すなわち、本実施の形態においては、可動部材251と、可動部材251が回転することに伴って動作する加圧部285及びポンプ機構261などとによって、容器内外の圧力差を発生させる圧力差発生手段が構成されているということができる。
【0097】
ここで、本実施の形態においても、提供口291は、ポンプ機構261が作動する位置に可動部材251がある状態において、当接部253に当接している食器3の上に位置するように構成されている。これにより、食器3が当接部253に当接して可動部材251がカバー部材211に対して回転することに伴って、ポンプ機構261が作動して、容器281内の調味料が提供口291から食器3の上に滴下される。可動部材251と提供口291とがこのような位置関係を有していることにより、取り出される調味料が、確実に食器3で受け止められる。
【0098】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上述の実施の形態1と同様に、簡素な構造の調味料取出器具201を用いることにより、調味料の容器281に直接触れることなく調味料を容器281から食器3の上に出すことができる。ユーザは容易に操作を行うことができ、また、当接部253にユーザが素手で触れる必要がないので、調味料取出器具201を衛生的に用いることができる。また、調味料取出器具201の洗浄や清掃等も容易に行うことができる。
【0099】
実施の形態2においては、内管284を通して調味料が容器281の内部において吸い上げられうるので、容器281の姿勢及び調味料の残量にかかわらず、調味料を取り出すことができる。
【0100】
(その他)
【0101】
上述の実施の形態において、可動部材は、支持部材に対して回転可能なものに限られず、スライド可能であってもよい。すなわち、ポンプ機構に対してスライド可能に配置された可動部材が、食器が当接することにより変位するのに伴って上述のように構成されたポンプ機構が動作するように、種々の機構が採用されうる。例えば、歯車やラック等を用いて構成された機構や、複数の部材で構成されたリンク機構や、滑車等を用いた機構など、様々な機構が用いられうる。
【0102】
調味料は、醤油に限られず、例えば酢やソース等、種々の液体調味料とすることできる。また、調味料は、例えば、マヨネーズや練りわさび、練り辛子等のペースト状の調味料であってもよいし、塩、砂糖、挽かれた胡椒、胡麻、粉末状にしたとうがらし等、粉体物すなわち固体の調味料であってもよい。また、いくつかの液体又は固体が混合されてなる調味料であってもよい。
【0103】
調味料取出器具の用途は、飲食店の店舗等に限られない。例えば、調理が行われる厨房等において用いられたり、食品が製造される製造工場などにおいて用いられたりしてもよい。また、調味料取出器具の設置場所、設置方法等は、適宜選択することができる。例えば、壁面に調味料取出器具の支持部材又はカバー部材を固定して、ユーザが使用することができるようにしてもよい。
【0104】
食器は、上述の実施の形態において示されるような皿に限られない。例えば、皿よりも深さがある汁椀やカップ等が食器として用いられるようにしてもよい。また、例えばスプーンなどのカトラリーや箸が食器として用いられてもよいし、食品の給仕に用いられる杓子やその他のサーバ等の器具が食器として用いられてもよい。これらの食器が当接部に当接し、その容器の上に調味料が取り出されるようにすればよい。
【0105】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0106】
上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態のそれぞれの構成要素について、適宜、他の実施の形態等の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明にかかる調味料取出器具は、調味料の容器に直接触れることなく調味料を容器から食器の上に出すことができるという効果を有し、調味料取出器具等として有用である。
【符号の説明】
【0108】
1、101、201 調味料取出器具
3 食器
3b 皿板
3c 高台
5 食品
11、211 カバー部材
11c ケース
13 側板
15 ガイド部
18 カバー開口
31、231 支持部材
38 ストッパ
51、251 可動部材
53 食器当接部
55、255 回転軸
58 接触部
58c 貫通孔
61、161、261 ポンプ機構
61c ベース
62、262 貯留部
64 開口部
66、266 逆止弁
67、291 提供口
68、268 第二逆止弁
69 被接触部
81、181、281 容器
82 吐出口
83、283 蓋
84 容器逆止弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7