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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034232
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20220224BHJP
   F24F 7/04 20060101ALI20220224BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20220224BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
H02G3/22
F24F7/04 B
F16L5/00 S
E04B2/56 641G
E04B2/56 641F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137932
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
【テーマコード(参考)】
2E002
3L058
5G363
【Fターム(参考)】
2E002MA46
2E002MA47
3L058BA01
3L058BB04
3L058BC03
3L058BC06
3L058BC07
3L058BC08
5G363AA20
5G363BA01
5G363BA07
5G363CA14
5G363CA20
5G363CB08
5G363CB11
(57)【要約】
【課題】屋内と屋外との間にまたがる配線を設置できる換気装置を提供する。
【解決手段】建物の壁9を貫通する貫通孔9aに設けられる換気装置Vであって、貫通孔9a内に挿入される筒状体21と、筒状体21の端部から径方向外側に張り出すように設けられる鍔部22とを有し、筒状体21及び鍔部22には、筒状体21の内部空間21aを塞ぐことなしに、筒状体21と鍔部22とにわたって配線を通すことができる中空の配線用空間23が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁を貫通する貫通孔に設けられる換気装置であって、
前記貫通孔内に挿入される筒状体と、
前記筒状体の端部から径方向外側に張り出すように設けられる鍔部とを有し、
前記筒状体及び前記鍔部には、前記筒状体の内部空間を塞ぐことなしに、前記筒状体と前記鍔部とにわたって配線を通すことができる中空の配線用空間が形成されている換気装置。
【請求項2】
前記鍔部には、前記配線用空間に通される配線と接続可能な電気コンセントが設けられている請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
建物の壁を貫通する貫通孔に設けられる換気装置であって、
屋内側換気部と屋外側換気部とを備え、
前記屋内側換気部は、前記貫通孔内に挿入される屋内側筒状体と、前記屋内側筒状体の端部から径方向外側に張り出すように設けられる屋内側鍔部とを有し、前記屋内側筒状体及び前記屋内側鍔部には、前記屋内側筒状体の内部空間を塞ぐことなしに、前記屋内側筒状体と前記屋内側鍔部とにわたって配線を通すことができる屋内側配線用空間が形成されており、
前記屋外側換気部は、前記貫通孔内に挿入される屋外側筒状体と、前記屋外側筒状体の端部から径方向外側に張り出すように設けられる屋外側鍔部とを有し、前記屋外側筒状体及び前記屋外側鍔部には、前記屋外側筒状体の内部空間を塞ぐことなしに、前記屋外側筒状体と前記屋外側鍔部とにわたって配線を通すことができる屋外側配線用空間が形成されている換気装置。
【請求項4】
前記屋内側鍔部には、前記屋内側配線用空間に通される配線と接続可能な電気コンセントが設けられている請求項3に記載の換気装置。
【請求項5】
前記屋内側換気部と前記屋外側換気部とを連結する連結部を備える請求項3又は4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記屋内側換気部は前記屋内側配線用空間を複数備え、前記屋外側換気部は前記屋外側配線用空間を複数備える請求項3~5の何れか一項に記載の換気装置。
【請求項7】
前記屋内側配線用空間及び前記屋外側配線用空間の少なくとも一方に電磁シールドが設けられている請求項3~6の何れか一項に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁を貫通する貫通孔に設けられる換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋等の施設に発電装置を設置し、電力系統の停電時にはその発電装置から電力供給を受けることができるように構成されたシステムがある。例えば、特許文献1(特開2010-259170号公報)には、電力系統の停電時に自立運転している発電装置の出力を自立運転用コンセントに供給するシステムが記載されている。
【0003】
尚、発電装置の自立運転時に電気機器を施設内で使用するためには、上述したような自立運転用コンセントが施設内に設置されている必要がある。但し、発電装置は、通常は屋外に設置されるため、屋外の発電装置と屋内の自立運転用コンセントとの間の配線経路をどうするかが問題となる。特に、集合住宅のベランダ等に発電装置を設置した場合、屋外と屋内とは建物のコンクリート壁によって隔たれているため、屋外の発電装置と屋内の自立運転用コンセントとの間の配線経路をどうするかが特に問題となる。
【0004】
特許文献2(特開2006-333633号公報)には、建物の壁に形成されるエアコンダクト、換気扇、換気口などの貫通口の内部に、その貫通口の軸方向に沿う通線配管を設けた通線配管付貫通口装置が記載されている。そして、通線配管の周囲の貫通口内部には、パテなどの密封剤が充填されている。このような構成の通線配管付貫通口装置を建物の壁に形成される貫通口に設置し、必要に応じてその通線配管の内部に配線ケーブルなどを通すことで、屋外と屋内との間にまたがる配線を設置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-259170号公報
【特許文献2】特開2006-333633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の通線配管付貫通口装置を建物の壁に形成される貫通口に設置した場合、その貫通口は通線配管と、その通線配管の周囲に充填される充填剤などで埋められる。そのため、貫通口を、換気用の空気流路などとして用いることができなくなる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、屋内と屋外との間にまたがる配線を設置できる換気装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る換気装置の特徴構成は、建物の壁を貫通する貫通孔に設けられる換気装置であって、
前記貫通孔内に挿入される筒状体と、
前記筒状体の端部から径方向外側に張り出すように設けられる鍔部とを有し、
前記筒状体及び前記鍔部には、前記筒状体の内部空間を塞ぐことなしに、前記筒状体と前記鍔部とにわたって配線を通すことができる中空の配線用空間が形成されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、換気装置を構成する筒状体及び鍔部に形成されている配線用空間を用いて、屋内と屋外との間にまたがる配線を設置できる。加えて、配線用空間は、筒状体及び鍔部において、筒状体の内部空間を塞ぐことなしに形成されているため、壁に形成されている貫通孔を、換気用の空気流路として利用し続けることができる。
【0010】
本発明に係る換気装置の別の特徴構成は、前記鍔部には、前記配線用空間に通される配線と接続可能な電気コンセントが設けられている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、換気装置の鍔部を建物の壁の屋内側に配置すれば、配線用空間に通される配線と接続される電気コンセントを屋内に設置できる。そのため、屋内に設置されている電気機器に接続される電気プラグをその電気コンセントに差し込むことで、例えば、屋外に設置された発電装置から、換気装置の配線用空間に通された配線を経由してその電気コンセントに供給される電力を、電気機器に供給できる。
【0012】
本発明に係る換気装置の更に別の特徴構成は、建物の壁を貫通する貫通孔に設けられる換気装置であって、
屋内側換気部と屋外側換気部とを備え、
前記屋内側換気部は、前記貫通孔内に挿入される屋内側筒状体と、前記屋内側筒状体の端部から径方向外側に張り出すように設けられる屋内側鍔部とを有し、前記屋内側筒状体及び前記屋内側鍔部には、前記屋内側筒状体の内部空間を塞ぐことなしに、前記屋内側筒状体と前記屋内側鍔部とにわたって配線を通すことができる屋内側配線用空間が形成されており、
前記屋外側換気部は、前記貫通孔内に挿入される屋外側筒状体と、前記屋外側筒状体の端部から径方向外側に張り出すように設けられる屋外側鍔部とを有し、前記屋外側筒状体及び前記屋外側鍔部には、前記屋外側筒状体の内部空間を塞ぐことなしに、前記屋外側筒状体と前記屋外側鍔部とにわたって配線を通すことができる屋外側配線用空間が形成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、屋内側換気部を構成する屋内側筒状体及び屋内側鍔部に形成されている屋内側配線用空間と、屋外側換気部を構成する屋外側筒状体及び屋外側鍔部に形成されている屋外側配線用空間とを用いて、屋内と屋外との間にまたがる配線を設置できる。加えて、屋内側配線用空間は、屋内側筒状体の内部空間を塞ぐことなしに形成され、屋外側配線用空間は、屋外側筒状体の内部空間を塞ぐことなしに形成されているため、壁に形成されている貫通孔を、換気用の空気流路として利用し続けることができる。
【0014】
本発明に係る換気装置の更に別の特徴構成は、前記屋内側鍔部には、前記屋内側配線用空間に通される配線と接続可能な電気コンセントが設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、屋内側換気部の屋内側鍔部を建物の壁の屋内側に配置すれば、屋内側換気部の屋内側配線用空間及び屋外側換気部の屋外側配線用空間に通される配線と接続される電気コンセントを屋内に設置できる。そのため、屋内に設置されている電気機器に接続される電気プラグをその電気コンセントに差し込むことで、例えば、屋外に設置された発電装置から、屋外側配線用空間及び屋内側配線用空間に通された配線を経由してその電気コンセントに供給される電力を、電気機器に供給できる。
【0016】
本発明に係る換気装置の更に別の特徴構成は、前記屋内側換気部と前記屋外側換気部とを連結する連結部を備える点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、連結部により屋内側換気部と屋外側換気部とが一体となるため、屋内側換気部及び屋外側換気部が壁から脱落しないようにできる。
【0018】
本発明に係る換気装置の更に別の特徴構成は、前記屋内側換気部は前記屋内側配線用空間を複数備え、前記屋外側換気部は前記屋外側配線用空間を複数備える点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、貫通孔の部分に複数の配線を設置できる。
【0020】
本発明に係る換気装置の更に別の特徴構成は、前記屋内側配線用空間及び前記屋外側配線用空間の少なくとも一方に電磁シールドが設けられている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、複数の配線同士での電磁波による障害の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態の換気装置の設置形態を示す図である。
図2】第2実施形態の換気装置の構成を示す図である。
図3】屋外側換気部の外れ防止部材の形状を屋外側から見た図である。
図4】屋内側換気部の外れ防止部材の形状を屋内側から見た図である。
図5】第3実施形態の換気装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下に、図面を参照して本発明の第1実施形態に係る換気装置V1(V)について説明する。
図1は、第1実施形態の換気装置Vの設置形態を示す図である。図示するように、建物の屋内には、電力系統1に接続される分電盤2が設けられ、その分電盤2に設けれる分岐ブレーカ(図示せず)から複数の電力線3が延びている。電力線3には、電気機器10が直接接続されるか、或いは、電気コンセントが接続される。図1に示す例では、分電盤2に接続される電力線3の一つに、電気コンセントとしての、屋外に設けられる屋外コンセント4が接続されている。
【0024】
屋外には、発電装置6が設けられている。発電装置6は、発電電力を連系出力用配線7又は自立出力用配線8に出力できる。
【0025】
例えば、発電装置6は、電力系統1から分電盤2及び電力線3への電力供給が正常に行われる正常状態である場合、連系出力用配線7に発電電力を出力する連系運転を行う。図1に示す例では、連系出力用配線7に接続される電気プラグ5が屋外コンセント4に接続されているため、連系出力用配線7に供給される発電装置6の発電電力は電力線3へと供給される。
【0026】
発電装置6は、電力系統1から分電盤2及び電力線3への電力供給が正常に行われない異常状態(例えば停電状態など)である場合、電力系統1から電気的に切り離された自立出力用配線8に発電電力を出力する自立運転を行うことができる。図1に示す例では、自立出力用配線8は換気装置Vに設けられる電気コンセント24に接続されている。従って、停電が発生し、発電装置6が自立運転を行って自立出力用配線8に電力を出力可能な場合、住人などは、電気機器10の配線11に接続されている電気プラグ12をその電気コンセント24に接続することで、発電装置6から供給される電力を利用してその電気機器10を動作させることができる。
【0027】
換気装置Vは、建物の壁9を貫通する貫通孔9aに設けられる。この換気装置Vは、貫通孔9a内に挿入される筒状体21と、筒状体21の端部から径方向外側に張り出すように設けられる鍔部22とを有する。このような屋内側の壁面に沿う鍔部22の形状は適宜設計可能である。そして、筒状体21及び鍔部22には、筒状体21の内部空間21aを塞ぐことなしに、筒状体21と鍔部22とにわたって配線を通すことができる中空の配線用空間23が形成されている。例えば、図1に示す例では、筒状体21の底部にトンネル状の部分を形成し、鍔部22を構成する部材に孔を形成することで、そのトンネル状の部分と孔の部分とが配線用空間23となる。そして、図1に示す例では、自立出力用配線8が配線用空間23に通されている。
【0028】
尚、筒状体21の長さは適宜設定可能である。例えば、図1に示すように、筒状体21は壁9を貫通して屋外側に突出する長さでも良いし、筒状体21は壁9の内部で留まり、屋外側に突出しない程度の長さでも良い。
【0029】
鍔部22には、配線用空間23に通される配線と接続可能な電気コンセント24が設けられている。例えば、図1に示す例では、鍔部22を構成する部材に電気コンセント24が埋め込まれている。また、配線用空間23に通された自立出力用配線8は電気コンセント24に接続されている。そのため、発電装置6が自立運転を行って自立出力用配線8に電力を出力可能な場合、住人などは、電気機器10の配線11に接続されている電気プラグ12を、屋内に設置されているその電気コンセント24に接続すれば、発電装置6の発電電力の供給を受けることができる。
【0030】
以上のように、換気装置V1を構成する筒状体21及び鍔部22に形成されている配線用空間23を用いて、屋内と屋外との間にまたがる配線を設置できる。加えて、配線用空間23は、筒状体21及び鍔部22において、筒状体21の内部空間21aを塞ぐことなしに形成されているため、壁9に形成されている貫通孔9aを、換気用の空気流路として利用し続けることができる。
【0031】
<第2実施形態>
第2実施形態の換気装置V2(V)は、屋内側の装置と屋外側の装置とで構成される点で上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の換気装置V2について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0032】
図2は、第2実施形態の換気装置V2の構成を示す図である。尚、図2では、屋内に設けられる分電盤2及び電気機器10や、屋外に設けられる発電装置6などの記載は省略している。図示するように、換気装置V2は、建物の壁9を貫通する貫通孔9aに設けられる。換気装置V2は、屋内側に設けられる屋内側換気部30と、屋外側に設けられる屋外側換気部40とを備える。
【0033】
屋内側換気部30は、建物の壁9を貫通する貫通孔9aに設けられる。具体的には、屋内側換気部30は、貫通孔9a内に挿入される屋内側筒状体31と、屋内側筒状体31の端部から径方向外側に張り出すように設けられる屋内側鍔部32とを有する。つまり、屋内側鍔部32は屋内側の壁面に沿う形状になっている。そして、屋内側筒状体31及び屋内側鍔部32には、屋内側筒状体31の内部空間31aを塞ぐことなしに、屋内側筒状体31と屋内側鍔部32とにわたって配線を通すことができる屋内側配線用空間33が形成されている。例えば、図2に示す例では、屋内側筒状体31の底部にトンネル状の部分を形成し、屋内側鍔部32を構成する部材に孔を形成することで、そのトンネル状の部分と孔の部分とが屋内側配線用空間33となる。
【0034】
屋内側鍔部32の、屋内側筒状体31につながる筒状の空間は、蓋部材Fによって開閉可能である。本実施形態では、蓋部材Fは、貫通孔9aの軸方向に沿って伸縮可能な伸縮機構36に装着されている。伸縮機構36は、屋内側鍔部32の内面部分に設けられる枠体37に固定されている。加えて、貫通孔9aを通過しようとする異物を捕集可能なフィルタ38が、屋内側鍔部32の筒状の空間に設けられている。屋内側鍔部32には、配線用空間23に通される配線と接続可能な電気コンセント34が設けられている。例えば、図2に示す例では、屋内側鍔部32を構成する部材に孔部が形成され、その孔部に電気コンセント24が嵌め込まれている。
【0035】
屋外側換気部40は、建物の壁9を貫通する貫通孔9aに設けられる。具体的には、屋外側換気部40は、貫通孔9a内に挿入される屋外側筒状体41と、屋外側筒状体41の端部から径方向外側に張り出すように設けられる屋外側鍔部42とを有する。つまり、屋外側鍔部42は屋外側の壁面に沿う形状になっている。そして、屋外側筒状体41及び屋外側鍔部42には、屋外側筒状体41の内部空間41aを塞ぐことなしに、屋外側筒状体41と屋外側鍔部42とにわたって配線を通すことができる屋外側配線用空間43が形成されている。例えば、図2に示す例では、屋外側筒状体41の底部にトンネル状の部分を形成し、屋外側鍔部42を構成する部材に孔を形成することで、そのトンネル状の部分と孔の部分とが屋外側配線用空間43となる。屋外側鍔部42の筒状の空間には、格子44が設けられ、貫通孔9aへの異物の侵入を阻止している。更に、格子44よりも外側には、雨などの侵入を阻止するための覆い部材46が屋外側鍔部42に設けられている。
【0036】
尚、屋内側筒状体31及び屋外側筒状体41の長さは適宜設定可能である。例えば、図2に示すように、屋内側筒状体31及び屋外側筒状体41は互いに接しない程度の長さでも良いし、屋内側筒状体31及び屋外側筒状体41は互いに接するような長さでも良い。
【0037】
換気装置V2は、屋内側換気部30と屋外側換気部40とを連結する連結部Cを備える。本実施形態では、連結部Cは、外れ防止部材35と、外れ防止部材45と、支柱50と、ナット51とを有する。
【0038】
図3は屋外側換気部40の外れ防止部材45の形状を屋外側から見た図であり、図4は屋内側換気部30の外れ防止部材35の形状を屋内側から見た図である。図2図4に示すように、外れ防止部材35は、屋内側鍔部32に固定される。外れ防止部材45は、屋外側鍔部42に固定される。そして、支柱50の一端側(屋内側)は外れ防止部材35に固定され、支柱50の他端側(屋外側)は外れ防止部材45の孔部45aに通される。そして、ナット51によって、支柱50と外れ防止部材45とが固定される。このようにして、屋内側換気部30と屋外側換気部40とが連結部Cによって連結された状態で貫通孔9aに設置される。従って、連結部Cにより屋内側換気部30と屋外側換気部40とが一体となるため、屋内側換気部30及び屋外側換気部40が壁9から脱落しないようにできる。
【0039】
発電装置6に接続されている自立出力用配線8は、屋外側換気部40に設けられる屋外側配線用空間43と、屋内側換気部30に設けられる屋内側配線用空間33とを通って電気コンセント34に接続される。それにより、発電装置6が自立運転を行って自立出力用配線8に電力を出力可能な場合、住人などは、電気機器10の配線11に接続されている電気プラグ12を、屋内に設置されているその電気コンセント34に接続すれば、発電装置6の発電電力の供給を受けることができる。
【0040】
以上のように、屋内側換気部30を構成する屋内側筒状体31及び屋内側鍔部32に形成されている屋内側配線用空間33と、屋外側換気部40を構成する屋外側筒状体41及び屋外側鍔部42に形成されている屋外側配線用空間43とを用いて、屋内と屋外との間にまたがる配線を設置できる。加えて、屋内側配線用空間33は、屋内側筒状体31の内部空間31aを塞ぐことなしに形成され、屋外側配線用空間43は、屋外側筒状体41の内部空間41aを塞ぐことなしに形成されているため、壁9に形成されている貫通孔9aを、換気用の空気流路として利用し続けることができる。
【0041】
<第3実施形態>
第3実施形態の換気装置V3(V)は、複数の配線を通すことができる点で上記実施形態と異なっている。以下に、第3実施形態の換気装置V3について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0042】
図5は第3実施形態の換気装置V3の構成を示す図である。尚、図5では、屋内に設けられる分電盤2及び電気機器10や、屋外に設けられる発電装置6などの記載は省略している。図示するように、屋内側換気部30は、配線を通すことができる複数の屋内側配線用空間33,39を備え、屋外側換気部40は、配線を通すことができる複数の屋外側配線用空間43,47を備える。
【0043】
図5に示す例では、屋内側配線用空間33及び屋外側配線用空間43は貫通孔9aの底部側に設けられており、屋内側配線用空間39及び屋外側配線用空間47は貫通孔9aの天井側に設けられている。そして、屋内側配線用空間33及び屋外側配線用空間43には、例えば自立出力用配線8が通される。また、屋内側配線用空間39及び屋外側配線用空間47には、その他の配線53を通すことができる。例えば、配線53としては、発電装置6と屋内に設置されている装置との間で情報通信を行うための通信線などがある。
【0044】
また、屋内側配線用空間33,39及び屋外側配線用空間43,47の少なくとも一方に、電磁波を遮蔽するための電磁シールドが設けることが好ましい。図5に示す例では、チューブ状の電磁シールド52を、屋内側配線用空間39及び屋外側配線用空間47の両方に跨るように設置している。そして、その電磁シールド52の内部に配線53を通している。それにより、複数の配線同士での電磁波による障害の発生を防止できる。
【0045】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の換気装置Vの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、配線用空間及び電気コンセントなどの設置場所は上記実施形態で説明したものに限定されず適宜設計可能である。また、フィルタ、伸縮機構、蓋部材などを設置するか否かも含めて、それらの構成は適宜変更可能である。
【0046】
また、上記実施形態では、鍔部22,32,42から配線(自立出力用配線8、配線53)を下向き又は上向きに引き出すような図を例示したが、鍔部22,32,42からの各配線の引き出し方向は適宜設計可能である。
【0047】
<2>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、屋内と屋外との間にまたがる配線を設置できる換気装置に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
9 壁
9a 貫通孔
21 筒状体
21a 内部空間
22 鍔部
23 配線用空間
24 電気コンセント
30 屋内側換気部
31 屋内側筒状体
31a 内部空間
32 屋内側鍔部
33 屋内側配線用空間
34 電気コンセント
39 屋内側配線用空間
40 屋外側換気部
41 屋外側筒状体
41a 内部空間
42 屋外側鍔部
43 屋外側配線用空間
47 屋外側配線用空間
52 電磁シールド
C 連結部
V(V1,V2,V3) 換気装置
図1
図2
図3
図4
図5