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特開2022-34265インクジェット印刷シート用受容層およびインクジェット印刷シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034265
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】インクジェット印刷シート用受容層およびインクジェット印刷シート
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/52 20060101AFI20220224BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B41M5/52 110
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137976
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004053
【氏名又は名称】日本エクスラン工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川中 直樹
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
【Fターム(参考)】
2C056FC06
2H186BA11
2H186BB05X
2H186BB19X
2H186BB24X
2H186BB32X
2H186BB34X
2H186BC07X
2H186BC52X
2H186BC69X
2H186BC75X
2H186BC76X
2H186DA09
(57)【要約】
【課題】インクジェット印刷においては高光沢、高画質、高記録濃度を得るために、インクジェット記録紙に、高インク吸収性、乾燥性、透明性、耐水性が求められており、様々な検討、提案がなされている。しかしながら、これらの特性を十分に併せ持つインクジェット印刷シートは得られていないのが現状である。本発明は、インク吸収性、乾燥性及び耐水性に優れ、良好な画像が得られ、しかも記録層の透明性に優れたインクジェット印刷シート用受容層および該受容層を有するインクジェット記録用シートを提供することを目的とする。
【解決手段】平均粒子径200nm以下の架橋アニオン性微粒子と水溶性を有するカチオン性高分子を含有することを特徴とするインクジェット印刷シート用受容層。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径200nm以下の架橋アニオン性微粒子と水溶性を有するカチオン性高分子を含有することを特徴とするインクジェット印刷シート用受容層。
【請求項2】
架橋アニオン性微粒子が1.0~10.0mmol/gのカルボキシル基量を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷シート用受容層。
【請求項3】
架橋アニオン性微粒子の含有量が10~70wt%かつカチオン性高分子の含有量が10~70wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット印刷シート用受容層。
【請求項4】
カルボキシル基と反応する架橋剤を0.5~10.0wt%含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のインクジェット印刷シート用受容層。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のインクジェット印刷シート用受容層を有するインクジェット印刷シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷シート用受容層およびインクジェット印刷シートに関する。より具体的には、インクジェット記録適性に優れ、なおかつインク受容層の透明性に優れ、強光沢タイプ或いはオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用等の光透過性の求められる用途に好適なインクジェット印刷シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式による記録は、騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多色化が容易なために多方面で利用されている。ところで、近年インクジェット記録の高速化、記録画像の高精細化、フルカラー化といった用途の拡大に伴い、さらに高光沢かつ高画質、高記録濃度の品質が望まれてきており、例えば銀塩方式の写真用印画紙に匹敵する様な光沢、記録品質が求められている。さらに、OHP用、看板やショウウインドウ用等として光透過性記録用シートの要望も増えてきている。
【0003】
一般にインクジェット記録紙としては、インク吸収性に富むように工夫された上質紙や、表面に多孔質顔料を塗工した塗工紙等が適用されている。しかしながら、これらの用紙はすべて表面光沢の低い、いわゆるマット調のインクジェット記録用紙が主体である。また、上記の用紙はすべて不透明であり、透明な支持体を適用したとしても塗工層は不透明であるため、十分な透明性を有するシートは得られない。
【0004】
透明性、あるいは光沢を有するインクジェット記録用シートを得るために、特許文献1~7等には、プラスチックフィルム上に澱粉、水溶性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子樹脂によるインク受容層を設けることが提案されている。しかし、これらの方法で得られる記録紙はインク吸収性が遅いため、インクが滲みやすく、乾燥性も不十分なため、水滴や汗の付着で記録画像が滲んでしまうといった問題も残っている。
【0005】
そこで、上記問題を解決するために、特許文献8には、ポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールからなるインク受容層を形成したものが提案されている。この方法で製造されている記録紙は、インク乾燥性や高湿下でのべたつきが僅かに良くなる傾向にはあるが、まだまだ不十分なレベルであり、耐水性についてもほとんど改善されていない。
【0006】
また、特許文献9~11には、親水性高分子に架橋剤を配合したインク受容層を設けることが提案されている。また、特許文献12には、水溶性高分子とポリエチレングリコール(メタ)アクリレートと水を必須成分とする組成物を活性エネルギー線照射によって架橋させインク受容層を形成する方法が提案されている。確かに、これらの方法では耐水性は向上するが、耐水性の強さを上げるに伴い、インク吸収性が低下する傾向にあるため、耐水性と印字品質のバランスをとることが困難であり、いまだ満足すべき結果を得るに至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59-174381号公報
【特許文献2】特開昭60-92849号公報
【特許文献3】特開昭60-132785号公報
【特許文献4】特開昭60-145879号公報
【特許文献5】特開昭60-220750号公報
【特許文献6】特開昭60-224578号公報
【特許文献7】特開昭61-32788号公報
【特許文献8】特開昭61-172786号公報
【特許文献9】特開昭61-189986号公報
【特許文献10】特開昭62-233284号公報
【特許文献11】特開平2-30582号公報
【特許文献12】特開平1-229685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題がなく、インク吸収性、乾燥性及び耐水性に優れ、良好な画像が得られ、しかも記録層の透明性に優れたインクジェット印刷シート用受容層および該受容層を有するインクジェット記録用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の問題点を改善する方法につき、鋭意検討を重ねた結果、支持体上の少なくとも片面に、架橋アニオン性微粒子と水溶性を有するカチオン性高分子とを含有するインク受容層を設けることにより上記の問題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下の各発明を包含する。
【0010】
(1) 平均粒子径200nm以下の架橋アニオン性微粒子と水溶性を有するカチオン性高分子を含有することを特徴とするインクジェット印刷シート用受容層。
(2) 架橋アニオン性微粒子が1.0~10.0mmol/gのカルボキシル基量を有することを特徴とする(1)に記載のインクジェット印刷シート用受容層。
(3) 架橋アニオン性微粒子の含有量が10~70wt%かつカチオン性高分子の含有量が10~70wt%である請求項1または2に記載のインクジェット印刷シート用受容層。
(4) カルボキシル基と反応する架橋剤を0.5~10.0wt%含有することを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載のインクジェット印刷シート用受容層。
(5) (1)~(4)のいずれかに記載のインクジェット印刷シート用受容層を有するインクジェット印刷シート。
【発明の効果】
【0011】
本発明のインクジェット印刷シート用受容層および該受容層を有するインクジェット印刷シートは、インクジェット印刷した際にインク吸収性、乾燥性、および耐水性に優れ、良好な画像が得られ、しかも高い透明性を有するものである。かかる性能を有するインクジェット印刷シート用受容層および該受容層を有するインクジェット印刷シートは、例えば光透過性の高いインクジェット印刷OHPシート、あるいは光透過性の高いショウウインドウ用インクジェット印刷シート、光沢性の高い化粧シートなどに利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のインクジェット印刷シート用受容層(以下、インク受容層ともいう。)に用いられる平均粒子径200nm以下の架橋アニオン性微粒子としては特に限定はないが、例えばカルボン酸系単量体((メタ)アクリル酸や無水マレイン酸など)及びこれら単量体の塩類等に代表されるアニオン性単量体とジビニルベンゼン等の架橋性重合体とを共重合させて得られる架橋アニオン性微粒子を挙げることができる。架橋アニオン性微粒子の平均粒子径はインク受容層の透明性を付与するために200nm以下のものを選定する必要がある。下限については特に限定されないが、製造のしやすさの観点から10nm以上であることが好ましい。このような架橋アニオン性微粒子としては、例えば架橋ポリアクリル酸ナトリウム微粒子(平均粒子径約70nm)の水分散エマルジョンであるタフチックHU-820E(東洋紡株式会社)を使用することができる。なお、本発明における平均粒子径は、ゼータ電位・粒子径測定システムELSZ(大塚電子社製)用い、動的光散乱法で測定した平均粒子径である。
【0013】
また、インク受容層に含まれるカチオン性高分子は耐水性向上に寄与する。かかるカチオン性高分子としては、架橋アニオン性微粒子とイオン結合可能な各種樹脂類、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性高分子等を挙げることができる。また、イオン結合をさせるには、カチオン性高分子は架橋アニオン性微粒子と水性媒体中で混合する必要があるため、水溶性を有するものを選定する必要がある。具体的な例として、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルアミン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリアリルアミン塩酸塩、アリルアミン塩酸塩-ジアリルアミン塩酸塩共重合体、エピクロルヒドリンポリアミド、ポリエポキシアミンなどの化合物およびこれらの変性物などが挙げられる。
【0014】
本発明のインク受容層のインク吸収性はカチオン性高分子のマトリックスにイオン結合した状態で分散している架橋アニオン性微粒子の水分吸収性に依存しており、架橋アニオン性微粒子は高い水分吸収性を発現するためにカルボキシル基を1.0~10.0mmol/g含有することが好ましい。1.0mmol/g未満では十分はインク吸収性が付与できない。また10.0mmol/gより多い場合は、インク吸収後のインク受容層表面の触感がべたべたする傾向にある。
【0015】
本発明のインク受容層における架橋アニオン性微粒子とカチオン性高分子の含有量は、インク受容層の重量に対して、架橋アニオン性微粒子が10~70wt%、カチオン性高分子が10~70wt%であることが好ましい。この範囲で架橋アニオン性微粒子とカチオン性高分子を配合するとインク吸収性能と耐水性能のバランスを維持しやすくなる。また、インクに含有される染料あるいは顔料のイオン性に応じて架橋アニオン性微粒子とカチオン性高分子の含有量のバランスを調整し、染料あるいは顔料の定着性を向上させることもできる。なお、「wt%」とは「重量%」のことである。
【0016】
本発明のインク受容層においてはさらなる耐水性向上を目的に架橋剤を適用することもできる。架橋剤は特に限定はないが、架橋アニオン性微粒子のカルボキシル基と反応する架橋剤が好適である。例えば、複数のエポキシ基と、アルキレン基又はオキシアルキレン基とを有している化合物を架橋剤として使用することができる。かかる化合物の代表的なものとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテルを挙げられる。架橋剤の含有量としては、インク受容層の重量に対して、0.5~10.0wt%が好ましい。0.5wt%より少ないと架橋剤による耐水性向上の効果が得られない。また10.0wt%より多いと耐水性は向上するがインク吸収性が低下する。
【0017】
本発明においては、支持体上に上記の各成分を含有する塗工組成物を塗布してインク受容層を設けることにより、インク受容層の透明性に優れ、かつインク吸収性、乾燥性及び耐水性に優れたインクジェット印刷シートを提供することができる。本発明で使用される支持体としては、特に限定されるものではない。強光沢タイプのシートを得る目的には、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の紙類、合成紙、白色フィルム、ラミネート紙等が使用できる。この場合、本発明に係るインク受容層が透明で表面での光の乱反射が少ないことにより、印字濃度が高く、光沢に優れたインクジェット印刷シートが得られる。
【0018】
光沢をより効果的に発現させる為には、インク受容層を形成するために使用される塗工組成物に対するバリヤー性の高い支持体を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチックフィルム等や紙基材にポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたいわゆるラミネート紙が好適である。ラミネート紙の場合、少なくともインク受容層を設ける側にラミネート層を設ける必要が有り、ラミネート層に酸化チタンや硫酸バリウム等の顔料を配合し、白色度及び不透明度を向上させたり、有色染料や有色顔料、蛍光増白剤を配合し、みかけの白さや色相を調整したりすることもできる。更に、裏面にもラミネート層を設けカールの調整を行なうこともできる。また、支持体上にインク受容層を付与した後に、スーパーカレンダーを施すと、インク受容層表面の平滑性が向上し光沢が増す。
【0019】
本発明のインクジェット印刷シートは、インク受容層が透明であることより、透明支持体を使用した場合、OHP用シート等の光透過性記録媒体として好適なものとなる。このような透明基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチックフィルムが例示される。支持体の厚さについては特に限定されるものではないが、取り扱い易さやコストの点から25~500μm、より好ましくは50~300μmである。
【0020】
また、インク受容層を形成する塗工組成物中には、上述した架橋アニオン性微粒子、カチオン性高分子および架橋剤、並びにこれらを分散または溶解させる水性媒体のほかに、発明の効果を阻害しない範囲で、インク受容層の膜物性を補うためにウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂エマルションや各種ラテックスを配合することもできる。
【0021】
また、塗工組成物中には、インク受容層の表面のべたつきやブロッキングを防止する目的で、透明性を阻害しない範囲で各種の無機や有機の顔料及び粒子を添加できる。無機顔料としてはシリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミウム、ゼオライト、アルミナ等が挙げられ、有機の顔料や粒子としては、各種スチレン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の各種プラスチック粒子や、セルロース微粉末や澱粉粒子が挙げられる。
【0022】
さらに、塗工組成物中には、分散剤、架橋剤、増粘剤、消泡剤、濡れ剤、蛍光染料、着色剤、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤等の各種助剤が必要に応じ適宜添加される。
【0023】
上記各成分をもって構成されるインク受容層用塗工組成物は、一般に固形分濃度を5~20wt%程度に調整し、支持体上にバーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等の各種公知公用の塗工装置により塗工、乾燥される。塗工量は乾燥重量で1~50g/m、より好ましくは3~30g/m程度である。1g/mより少ないとインクの吸収が不十分となりやすく、インクが滲んだり、乾燥が遅くなったりする傾向にある。50g/mを越えると得られる効果が飽和するばかりでなく、コスト的に不利になったり、カールが強くなったりするなどの不都合を生じる。なお、上記塗工に際しては1回で塗工することはもちろん、数回に分けて重ね塗りすることもできる。
【0024】
また、カールの発生を抑制するために支持体のインク受容層を設けた面の反対側にカール防止層を設けることもできる。この場合のカール防止層は、特に限定されないが、湿度変化に伴うインク受容層の水分の吸放出によりカールが発生するものと考えられるため、インク受容層と類似した組成のものを用いると効果的である。
【実施例0025】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の重量部は固形分としての重量部を示している。
【0026】
実施例1
(インク受容層用塗工組成物)
1.架橋アニオン性微粒子(タフチックHU-820E:東洋紡製、平均粒子径70nm、カルボキシル基量6.1mmol/g)10重量部
2.カチオン性高分子(ポリアリルアミン、PAA-15C:ニット―ボーメディカル製)70重量部
3.ウレタンエマルジョン(スーパーフレックスE2000:第一工業製薬製)17重量部
4.架橋剤:エチレングリコールジグリシジルエーテル 3重量部
上記各成分を水に分散させて固形分17wt%の塗工組成物を作製し、100μm厚のPETフィルム(メリネックスD353:ICIジャパン製)の片面に、乾燥重量で10g/mになるように、バーコーターで塗工、乾燥した。
【0027】
実施例2
(インク受容層用塗工組成物)
1.架橋アニオン性微粒子(タフチックHU-820E:東洋紡製、平均粒子径70nm、カルボキシル基量6.1mmol/g)40重量部
2.カチオン性高分子(ポリアリルアミン、PAA-15C:ニット―ボーメディカル製)40重量部
3.ウレタンエマルジョン(スーパーフレックスE2000:第一工業製薬製)17重量部
4.架橋剤:エチレングリコールジグリシジルエーテル 3重量部
上記各成分を水に分散させて固形分10wt%の塗工組成物を作製し、100μm厚のPETフィルム(メリネックスD353:ICIジャパン製)の片面に、乾燥重量で10g/mになるように、バーコーターで塗工、乾燥した。
【0028】
実施例3
(インク受容層用塗工組成物)
1.架橋アニオン性微粒子(タフチックHU-820E:東洋紡製、平均粒子径70nm、カルボキシル基量6.1mmol/g)40重量部
2.カチオン性高分子(ポリアリルアミン、PAA-15C:ニット―ボーメディカル製)40重量部
3.アクリルエマルジョン(ポリトロン:旭化成製)17重量部
4.架橋剤:エチレングリコールジグリシジルエーテル 3重量部
上記各成分を水に分散させて固形分8wt%の塗工組成物を作製し、100μm厚のPETフィルム(メリネックスD353:ICIジャパン製)の片面に、乾燥重量で10g/mになるように、バーコーターで塗工、乾燥した。
【0029】
実施例4
(インク受容層用塗工組成物)
1.架橋アニオン性微粒子(タフチックHU-820E:東洋紡製、平均粒子径70nm、カルボキシル基量6.1mmol/g)40重量部
2.カチオン性高分子(ポリアリルアミン、PAA-15C:ニット―ボーメディカル製)40重量部
3.ウレタンエマルジョン(スーパーフレックスE2000:第一工業製薬製)20重量部
上記各成分を水に分散させて固形分10wt%の塗工組成物を作製し、100μm厚のPETフィルム(メリネックスD353:ICIジャパン製)の片面に、乾燥重量で10g/mになるように、バーコーターで塗工、乾燥した。
【0030】
実施例5
(インク受容層用塗工組成物)
1.架橋アニオン性微粒子(タフチックHU-820E:東洋紡製、平均粒子径70nm、カルボキシル基量6.1mmol/g)70重量部
2.カチオン性高分子(ポリアリルアミン、PAA-15C:ニット―ボーメディカル製)10重量部
3.ウレタンエマルジョン(スーパーフレックスE2000:第一工業製薬製)17重量部
4.架橋剤:エチレングリコールジグリシジルエーテル 3重量部
上記各成分を水に分散させて固形分12wt%の塗工組成物を作製し、100μm厚のPETフィルム(メリネックスD353:ICIジャパン製)の片面に、乾燥重量で10g/mになるように、バーコーターで塗工、乾燥した。
【0031】
比較例1
(インク受容層用塗工組成物)
1.架橋アニオン性微粒子(タフチックHU-700E:東洋紡製、平均粒子径750nm、カルボキシル基量5.5mmol/g)40重量部
2.カチオン性高分子(ポリアリルアミン、PAA-15C:ニット―ボーメディカル製)40重量部
3.ウレタンエマルジョン(スーパーフレックスE2000:第一工業製薬製)17重量部
4.架橋剤:エチレングリコールジグリシジルエーテル 3重量部
上記各成分を水に分散させて固形分18wt%の塗工組成物を作製し、100μm厚のPETフィルム(メリネックスD353:ICIジャパン製)の片面に、乾燥重量で10g/mになるように、バーコーターで塗工、乾燥した。
【0032】
比較例2
(インク受容層用塗工組成物)
1.架橋アニオン性微粒子(タフチックHU-820E:東洋紡製、平均粒子径70nm、カルボキシル基量6.1mmol/g)70重量部
2.ウレタンエマルジョン(スーパーフレックスE2000:第一工業製薬製)30重量部
上記各成分を水に分散させて固形分10wt%の塗工組成物を作製し、100μm厚のPETフィルム(メリネックスD353:ICIジャパン製)の片面に、乾燥重量で10g/mになるように、バーコーターで塗工、乾燥した。
【0033】
各実施例および比較例において得られたインクジェット印刷シートにインクジェットプリンターPX-A640(セイコーエプソン社製)を用いて印字を行った結果を表1にまとめて示す。なお、特性の評価は下記の如き方法で行った。いずれの特性とも○以上の評価であれば、インクジェット印刷シートとして良好なレベルである。
【0034】
(画質=ベタ印字部の均一性)
各色のベタ印字部の印字ムラ(濃淡ムラ)を目視にて以下の基準で評価した。
◎:印字ムラがほとんど無く良好なレベル。
○:印字ムラがやや目立つが、実用上問題とならないレベル。
△:印字ムラがやや目立ち、実用上問題となるレベル。
×:印字ムラが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
【0035】
(インク乾燥性)
印字後一定時間後に印字部を指で擦り、インクの乾燥具合を以下の基準で評価した。
◎:印字後5分以内に乾燥した。
○:印字後5~10分で乾燥した。
△:印字後10~30分で乾燥した。
×:印字後30分経っても乾燥しなかった。
【0036】
(印字耐水性)
印字部を1分間水浴中に浸漬し風乾後のインクの流れ具合を以下の基準で評価した。
◎:全くインクの流れが見られなかった。
○:わずかにインクの流れは見られるが、画像を十分維持していた。
△:インクが流れているが、わずかに画像を維持していた。
×:ほとんどインクが流れてしまい、画像の形跡が見られなかった。
【0037】
(透明性)
ヘーズメーター(日本電飾工業製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
○:全光線透過率が85%以上で且つヘイズが10%以下である。
×:上記範囲以外であった。
【0038】
【表1】
【0039】
表1からわかるように実施例1~5において得られたインクジェット印刷シートは、いずれ特性も良好なレベルのものであった。一方、比較例1のシートについては、用いた架橋アニオン性微粒子の粒子径が大きいため、透明性に劣るものであった。また、比較例2のシートについては、カチオン性高分子を用いていないため、耐水性に劣るものとなった。