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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034287
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】舗装用複合平板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 5/22 20060101AFI20220224BHJP
   E01C 15/00 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
E01C5/22
E01C15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138011
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】518080237
【氏名又は名称】株式会社ダイセイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】古市 一郎
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA02
2D051AA08
2D051AB03
2D051AF03
2D051AG03
2D051DA02
2D051DA18
2D051DB02
2D051DC01
(57)【要約】
【課題】歩行者にやさしく、かつ、耐久性の高い舗装用複合平板の製造方法を提供する。
【解決手段】複合用平板の表面における正方形の対角線上に、正方形の中心から等距離にある4つの位置に凸部を設ける工程と、複合用平板と接合する面の正方形の対角線上に、正方形の中心から等距離にある4つの位置に凹部を設ける工程と、複合用平板の凸部を有する面および複合用ゴム平板の凹部を有する面の少なくとも一方に耐水性の接着剤を塗布し、各凸部および各凹部が嵌合するように張り合わせる工程と、張り合わされた複合用平板および複合用ゴム平板に対し、正方形の四辺を含む一定の幅を有する圧着枠を用いて、両者を圧着する工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性を有する舗装用複合平板の製造方法であって、
コンクリートで透水性を有し、2次元的な形状が正方形である複合用平板を作成する工程において、前記複合用平板の表面における前記正方形の対角線上に、前記正方形の中心から等距離にある4つの位置に凸部を設ける工程と、
合成ゴムにより、2次元的な形状が前記複合用平板と合同な正方形に形成された複合用ゴム平板を作成する工程において、前記複合用平板と接合する面の前記正方形の対角線上に、前記正方形の中心から等距離にある4つの位置に凹部を設ける工程と、
前記複合用平板の凸部を有する面および前記複合用ゴム平板の凹部を有する面の少なくとも一方に耐水性の接着剤を塗布し、前記各凸部および前記各凹部が嵌合するように張り合わせる工程と、
前記張り合わされた複合用平板および複合用ゴム平板に対し、前記正方形の四辺を含む一定の幅を有する圧着枠を用いて、両者を圧着する工程と、を含むことを特徴とする舗装用複合平板の製造方法。
【請求項2】
前記圧着する工程の後、複数の複合平板を積層し、所定時間養生する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の舗装用複合平板の製造方法。
【請求項3】
前記複合用ゴム平板の表面に、視覚障害者誘導用の突起またはスリットを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の舗装用複合平板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透水性を有する舗装用複合平板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の舗装用ブロックが提案されている。例えば、特許文献1に開示されている透水性舗装ブロックは、生ゴミ等の生活廃棄物を高温で加熱処理した粒・細片状の焼却残滓の焼却灰をポリウレタン系樹脂のバインダーで混練した透水ブロックベース材と、廃タイヤを低温粉砕した3ミリ前後の大きさの黒色チップと灰色のバージンゴムの灰色チップとをバインダーと混合した表面ラバー材とを型枠内に投入して加圧して成形して透水性でブロックベース層と透水性表面ラバー層との二層を有する。
【0003】
また、特許文献2に開示されている透水性舗装用複合材は、透水性ゴムチップマットの上層材と、透水性コンクリートブロックの下層材とでなる舗装用複合材であって、下層材が逆四角錐を真横に裁断した形状をなし、上層材の平面視縦横の長さが下層材接合面の縦横の長さよりいくぶん長いことを特徴としている。
【0004】
また、特許文献3に開示されている舗装用敷板は、透水性および弾性を有する板状体と、板状体の表面に設けられた1または複数の突起とを含み、第1の板状体の裏面に接合された剛性を有する第2の板状体を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2001-317003号公報
【特許文献2】実用新案登録第3070124号明細書
【特許文献3】実用新案登録第3006371号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歩道では、歩行者が転倒した際の衝撃を緩和するため、従来からクッション舗装材が提案されてきたが、従来の一般的なクッション舗装材では、クッション性が十分でないものや、クッション性はあるが耐久性が低いものがあった。バリアフリー社会を実現するためには、歩道での転倒による受傷を軽減し、やわらかくて安全であると共に、耐久性の高い舗装材が求められる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、歩行者にやさしく、かつ、耐久性の高い舗装用複合平板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の舗装用複合平板の製造方法は、透水性を有する舗装用複合平板の製造方法であって、コンクリートで透水性を有し、2次元的な形状が正方形である複合用平板を作成する工程において、前記複合用平板の表面における前記正方形の対角線上に、前記正方形の中心から等距離にある4つの位置に凸部を設ける工程と、合成ゴムにより、2次元的な形状が前記複合用平板と合同な正方形に形成された複合用ゴム平板を作成する工程において、前記複合用平板と接合する面の前記正方形の対角線上に、前記正方形の中心から等距離にある4つの位置に凹部を設ける工程と、前記複合用平板の凸部を有する面および前記複合用ゴム平板の凹部を有する面の少なくとも一方に耐水性の接着剤を塗布し、前記各凸部および前記各凹部が嵌合するように張り合わせる工程と、前記張り合わされた複合用平板および複合用ゴム平板に対し、前記正方形の四辺を含む一定の幅を有する圧着枠を用いて、両者を圧着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
(2)また、本発明の舗装用複合平板の製造方法は、前記圧着する工程の後、複数の複合平板を積層し、所定時間養生する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
(3)また、本発明の舗装用複合平板の製造方法は、前記複合用ゴム平板の表面に、視覚障害者誘導用の突起またはスリットを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、歩行者にやさしく、かつ、耐久性の高い舗装用複合平板を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る舗装用複合平板1の斜視図である。
図2】本実施形態に係る舗装用複合平板の製造方法を示すフローチャートである。
図3A】本実施形態に係る複合用平板の平面図である。
図3B】本実施形態に係る複合用平板の側面図である。
図4A】複合用ゴム平板5の表層面の態様を示す図である。
図4B】複合用ゴム平板5の表層面の態様を示す図である。
図4C】複合用ゴム平板5の表層面の態様を示す図である。
図5A】圧着枠6を用いて圧着する様子を示す図である。
図5B】複数の舗装用複合平板を段積みして圧着養生を行なう様子を示す図である。
図6A】完成した舗装用複合平板1の平面図である。
図6B】完成した舗装用複合平板1の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者は、複合用平板と複合用ゴム平板とを張り合わせる際に、正確な位置決めをすることに着目し、複合用平板の表面に4つの凸部を設けると共に、複合用ゴム平板の裏面に4つの凹部を設けることによって、複合用平板と複合用ゴム平板とを正確に位置決めをして張り合わせることが可能となることを見出し、本発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明の舗装用複合平板の製造方法は、透水性を有する舗装用複合平板の製造方法であって、コンクリートで透水性を有し、2次元的な形状が正方形である複合用平板を作成する工程において、前記複合用平板の表面における前記正方形の対角線上に、前記正方形の中心から等距離にある4つの位置に凸部を設ける工程と、合成ゴムにより、2次元的な形状が前記複合用平板と合同な正方形に形成された複合用ゴム平板を作成する工程において、前記複合用平板と接合する面の前記正方形の対角線上に、前記正方形の中心から等距離にある4つの位置に凹部を設ける工程と、前記複合用平板の凸部を有する面および前記複合用ゴム平板の凹部を有する面の少なくとも一方に耐水性の接着剤を塗布し、前記各凸部および前記各凹部が嵌合するように張り合わせる工程と、前記張り合わされた複合用平板および複合用ゴム平板に対し、前記正方形の四辺を含む一定の幅を有する圧着枠を用いて、両者を圧着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
これにより、本発明者は、歩行者にやさしく、かつ、耐久性の高い舗装用複合平板を実現することを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
[舗装用複合平板の構成]
図1は、本実施形態に係る舗装用複合平板1の斜視図である。この舗装用複合平板1は、コンクリートで形成され、透水性を有し、2次元的な形状が正方形である複合用平板3を有している。この複合用平板3は、透水性ポーラスコンクリートから形成されており、雨天時の水たまりの発生を抑制し目地透水機能を発揮する。浸透した水は、地下水の保全や都市緑化に貢献することとなる。また、複合用平板3の側面には、目地キーパー3dが設けられている。この目地キーパー3dを有することから、施工目地が通り、美しい施工が可能となる。なお、通常のコンクリート平板やインターロッキングブロックとの連続した歯合施工が可能である。
【0017】
また、舗装用複合平板1は、合成ゴムにより、2次元的な形状が複合用平板3と合同な正方形に形成された複合用ゴム平板5を有している。すなわち、本実施形態では、表層面に、耐久性に優れた高弾性・高密度素材のバージンゴムカラーチップ(EPDM)を用いることができる。これにより、歩道における人の歩行感および通行性を向上させることが可能となる。なお、複合用ゴム平板5は、施工場所の景観などに配慮して、種々の色彩を施すことも可能である。また、複合用平板3および複合用ゴム平板5は、接着剤7によって張り合わされている。
【0018】
[舗装用複合平板の製造方法]
図2は、本実施形態に係る舗装用複合平板の製造方法を示すフローチャートである。また、図3Aは、本実施形態に係る複合用平板の平面図であり、図3Bは、本実施形態に係る複合用平板の側面図である。図2において、まず、透水性の複合用平板を作成する(ステップS1)。ここで、図3Aおよびず3Bに示すように、本実施形態に係る複合用平板3は、正方形の四辺上に、テーパー3aが設けられており、表面3b上には、凸部3cが設けられている。すなわち、複合用平板3の表面3bにおける正方形の対角線上に、正方形の中心から等距離にある4つの位置に凸部3cを設ける。
【0019】
次の表は、透水性の複合用平板の仕様を表す。2次元的な形状は、縦横が等しい正方形であり、図2において、「a=b=300(mm)」である。また、厚さ(h)は50(mm)である。曲げひび割れ荷重は、6.25(kN)以上であり、透水係数は1×10-4以上である。
【表1】
【0020】
また、次の表は、「JIS A 5371:2016プレキャスト無筋コンクリート製品 付属書B(規定) 舗装・境界ブロック類 推奨仕様Bー1「平板」適合品規格」を表す。
【表2】
【0021】
上記の曲げひび割れ荷重の算定について説明する。曲げひび割れ荷重は、コンクリートの曲げ強度より求める。
曲げひび割れ荷重(F)=2/3×(b・d)/L×σ
ここで、
F:曲げひび割れ荷重(N)
b:透水平板の有効幅(mm)
d:平板の厚さ(mm)
L:スパン(mm)
σ:コンクリートの曲げ強度(N/mm
そして、透水平板の有効幅が300(mm)である場合、曲げひび割れ荷重は、次のように求められる。
曲げひび割れ荷重(F)=2/3×(300・50)/240×3=6250(N)=6.25(kN)
【0022】
また、次の表は、本実施形態に係る複合用平板の示方配合表である。
【表3】
【0023】
次に、図2において、複合用ゴム平板5を作成する(ステップS2)。ここでは、合成ゴムにより、2次元的な形状が複合用平板3と合同な正方形に形成された複合用ゴム平板5を作成する。そして、複合用平板3と接合する面の前記正方形の対角線上に、正方形の中心から等距離にある4つの位置に凹部を設ける。次の表は、複合用ゴム平板5の原材料物性値を表す。
【0024】
【表4】
複合用ゴム平板5の成型方法は、「加熱・加圧プレス成型」であり、寸法は、「296(mm)×296(mm)」である(±1.5mm)。厚さは、10(mm)であり(±1.0mm)、重量は、1.20kg(±0.15kg)である。
【0025】
図4Aから図4Cは、複合用ゴム平板5の表層面の態様を示している。図4Aは、一般的に用いられ、種々の色彩が施されるストライプ模様が施されている複合用ゴム平板5aを示す。図4Bは、視覚障害者誘導用として用いられ、黄色の色彩が施され、警告の意味を表す突起が施されている複合用ゴム平板5bを示す。図4Cは、視覚障害者誘導用として用いられ、黄色の色彩が施され、誘導の意味を表すスリットが施されている複合用ゴム平板5cを示す。図4Aに示す複合用ゴム平板5aの裏面には、正方形の対角線上に、その正方形の中心から等距離にある4つの位置に凹部4aが設けられており、この凹部4aが、複合用平板3の凸部3cと嵌合する。図4Bに示す複合用ゴム平板5bの裏面の4つの位置にも凹部4bが設けられており、図4Cに示す複合用ゴム平板5cの裏面の4つの位置にも凹部4cが設けられている。
【0026】
次に、図2において、複合用平板3と複合用ゴム平板5とを圧着する(ステップS3)。まず、接着面を清掃し、複合用平板3の凸部3cを有する面および複合用ゴム平板5の凹部を有する面の少なくとも一方に耐水性の接着剤(例えば、耐水性ウレタン樹脂ボンド)を塗布し、各凸部3cおよび各凹部が嵌合するように張り合わせる。接着待ち時間は、15分~20分である。ここで、プレート接着およびエアー抜きを行なう。ここで使用する耐水性の接着剤(例えば、耐水性ウレタン樹脂ボンド)は、以下の表に示す物性値を有する。
【0027】
【表5】
【表6】
【0028】
また、本実施形態に係る複合用平板の製造において、接着剤の標準的使用量(目安)は、以下の表のとおりである。
【表7】
【0029】
そして、図5Aに示すように、張り合わされた複合用平板3および複合用ゴム平板5に対し、正方形の四辺を含む一定の幅を有する圧着枠6を用いて、両者を圧着する(ステップS3)。圧着枠6は、クッション性を有している。このように圧着枠6を用いることによって、本実施形態に係る舗装用複合用平板の外周部分の圧着密度が強化される。
【0030】
次に、図2において、第2の圧着を行なう(ステップS4)。第2の圧着では、図5Bに示すように、複数の舗装用複合平板を段積みし、12時間以上の圧着養生を行なう。圧着荷重は、30(kg/1枚当たり)以上の荷重をかけるものとする。この際、はみ出した余剰の接着剤を除去する。第2の圧着工程が終了すると、製品梱包を行なう。
【0031】
図6Aは、完成した舗装用複合平板1の平面図であり、図6Bは、完成した舗装用複合平板1の側面図である。この舗装用複合平板1は、透水性ポーラスコンクリートから形成された複合用平板3を備えているため、雨天時の水たまりの発生を抑制し目地透水機能を発揮する。そして、浸透した水は、地下水の保全や都市緑化に貢献することとなる。また、複合用平板3の側面には、目地キーパー3dが設けられているため、施工目地が通り、美しい施工が可能となる。なお、通常のコンクリート平板やインターロッキングブロックとの連続した歯合施工が可能である。また、舗装用複合平板1は、表層面に、耐久性に優れた高弾性・高密度素材のバージンゴムカラーチップ(EPDM)を用いるため、歩道における人の歩行感および通行性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1…舗装用複合平板
3…複合用平板
3a…テーパー
3b…表面
3c…凸部
3d…目地キーパー
4a、4b、4c…凹部
5…複合用ゴム平板
5a…複合用ゴム平板
5b…複合用ゴム平板
5c…複合用ゴム平板
6…圧着枠
7…接着剤
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B