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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034299
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
F25D21/14 A
F25D21/14 T
F25D21/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138036
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】定兼 翔平
【テーマコード(参考)】
3L048
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048AA06
3L048BA01
3L048BC01
3L048BD04
3L048CA02
3L048CB05
3L048CD01
3L048DA02
(57)【要約】
【課題】本体ケースの側壁の内部に配置したドレン管の内部で凍結が生じるのを解消して、蒸発器のドレン水を確実に排水できる冷却庫を提供する。
【解決手段】本体ケース2の庫内の上部左右に冷却ユニット7・7の蒸発器11・11が配置されている。本体ケース2の左右側壁2L・2Rの内部には、各蒸発器11・11で生じたドレン水を本体ケース2の底部へ流下させるドレン管22を配置する。本体ケース2の左側壁2Lに配置したドレン管22と、本体ケース2の右側壁2Rに配置したドレン管22とが、前後に位置ずれした状態で配置されている。こうした冷却庫1・1の複数台を左右に隣接設置した状態においては、隣接するドレン管22・22が前後に位置ずれするので、冷熱が1個所に集中するのを解消してドレン水が凍結することを防ぐことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前後のいずれかに開口(3・4)を有する断熱箱からなる本体ケース(2)の庫内の上部左右に、冷却ユニット(7・7)の蒸発器(11・11)が配置されており、
本体ケース(2)の左右側壁(2L・2R)の内部に、蒸発器(11・11)で生じたドレン水を本体ケース(2)の底部へ流下させるドレン管(22・22)がそれぞれ配置されている冷却庫(1)であって、
本体ケース(2)の左側壁(2L)に配置されたドレン管(22)と、本体ケース(2)の右側壁(2R)に配置されたドレン管(22)とが、前後に位置ずれした状態で配置されていることを特徴とする冷却庫。
【請求項2】
本体ケース(2)の左側壁(2L)に配置されたドレン管(22)と、本体ケース(2)の右側壁(2R)に配置されたドレン管(22)のいずれか一方が、左右側壁(2L・2R)の前後方向の中央を通る平面で規定される前後中央面(P)より偏寄距離(E1)だけ前側に配置され、他方が前後中央面(P)より偏寄距離(E2)だけ後側に配置されている請求項1に記載の冷却庫。
【請求項3】
各蒸発器(11)の下側に、ドレン水を集めてドレン管(22)へ流下させるドレンパン(21)が配置されており、
ドレンパン(21)は、蒸発器(11)から滴下した水滴を受止める集水壁(26)と、集水壁(26)で集められたドレン水をドレン管(22)へ向かって流下案内する出口樋(27)とを備えており、
左右のドレンパン(21・21)における出口樋(27・27)が、左右のドレン管(22・22)の前後中央面(P)に対する偏寄距離(E1・E2)に対応して前後に偏寄するように設けられている請求項2に記載の冷却庫。
【請求項4】
前後中央面(P)に対する左右のドレン管(22・22)の偏寄距離(E1・E2)が同じに設定されており、
左右のドレンパン(21・21)が同形同大に形成されて、平面から見て点対称状に配置されている請求項3に記載の冷却庫。
【請求項5】
本体ケース(2)の外面側に臨むドレン管(22)の半周面にヒーター(35)が配置されている請求項1から4のいずれかひとつに記載の冷却庫。
【請求項6】
本体ケース(2)の底壁(2B)の下面に、庫内で生じ底壁(2B)の上面に流下する結露水を排水する排水トラップ(23)が配置されており、
左右のドレン管(22・22)の下端と排水トラップ(23)が、前記底壁(2B)の下面に沿って配置された下ドレン管(24)で接続されている請求項1から3のいずれかひとつに記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庫内上方に左右一対の蒸発器が配置されているパススルー式の冷却庫や、リーチイン型の冷却庫などの冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的大型の冷却庫においては、本体ケースの内部上方に左右一対の蒸発器を配置することがあり、この種の冷却庫は例えば特許文献1に公知である。特許文献1の冷却貯蔵庫は、断熱箱体の前後面にドアで開閉される開口を設けて、前後の開口のいずれからでも食材や調理済み食品を出し入れできるようにしている。このような冷却貯蔵庫は、主に食品工場や、病院、ホテルなどの調理場において、複数台が左右に隣接する状態で設置されている。例えば食材の下処理室と調理室の間に複数の冷却貯蔵庫を配置して、下処理室側から冷却貯蔵庫に収容した食材を調理室側から取出して、加熱調理できるようにしている。
【0003】
比較的大型のパススルー式の冷却庫においては、前後の開口を左右一対ずつのドアで開閉できるようにして、庫内上部に二組の蒸発器を設けることがある。このような冷却庫においては、蒸発器のドレン水を排出するためのドレン管を、各蒸発器に対応して1個ずつ設け、断熱箱体を構成する内箱と外箱の側壁の間に各ドレン管を配置している。多くの場合、先のドレン管は断熱箱体の側壁の前後中央に配置され、このようなドレン管の配置形態は例えば特許文献2の断熱箱体に見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08-110148号公報
【特許文献2】特開2004-132661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなパススルー式の冷却庫において、断熱箱体の左右側壁の前後中央にドレン管が配置されている場合には、複数台の冷却庫を左右に隣接する状態で設置したとき、隣接する断熱箱体の側壁どうしが密着し、側壁の内部に設けたドレン管どうしが近距離で隣り合うことになる。因みに、周囲が発泡断熱材で覆われているドレン管は温度が低下しやすいため、近距離で隣り合うドレン管の周囲温度は、断熱箱体の他の部位に比べて低温になりやすい。そのため、庫内温度が冷凍温度帯に設定されている場合や、冷却庫が低温の環境下で使用される場合などに、隣り合うドレン管の冷熱が一か所に集中して氷温以下になり、ドレン管の内部で凍結が生じてドレン水を排出できなくなることがある。個々のドレン管の周囲にヒーターを配置して、ドレン管が氷温以下になるのを防止することはできるが、その分だけ冷却庫のコストが増加するのを避けられない。
【0006】
本発明の目的は、本体ケースの左右側壁の内部に配置したドレン管の内部で凍結が生じるのを解消して、蒸発器のドレン水を確実に排水できる冷却庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも前後のいずれかに開口3・4を有する断熱箱からなる本体ケース2の庫内の上部左右に、冷却ユニット7・7の蒸発器11・11が配置されており、本体ケース2の左右側壁2L・2Rの内部に、蒸発器11・11で生じたドレン水を本体ケース2の底部へ流下させるドレン管22・22がそれぞれ配置されている冷却庫を対象とする。本体ケース2の左側壁2Lに配置されたドレン管22と、本体ケース2の右側壁2Rに配置されたドレン管22とが、前後に位置ずれした状態で配置されていることを特徴とする。
【0008】
本体ケース2の左側壁2Lに配置されたドレン管22と、本体ケース2の右側壁2Rに配置されたドレン管22のいずれか一方は、左右側壁2L・2Rの前後方向の中央を通る平面で規定される前後中央面Pより偏寄距離E1だけ前側に配置され、他方は前後中央面Pより偏寄距離E2だけ後側に配置されている。
【0009】
各蒸発器11の下側に、ドレン水を集めてドレン管22へ流下させるドレンパン21が配置されている。ドレンパン21は、蒸発器11から滴下した水滴を受止める集水壁26と、集水壁26で集められたドレン水をドレン管22へ向かって流下案内する出口樋27を備えている。左右のドレンパン21・21における出口樋27・27は、左右のドレン管22・22の前後中央面Pに対する偏寄距離E1・E2に対応して前後に偏寄するように設けられている。
【0010】
前後中央面Pに対する左右のドレン管22・22の偏寄距離E1・E2が同じに設定されており、左右のドレンパン21・21が同形同大に形成されて、平面から見て点対称状に配置されている。
【0011】
本体ケース2の外面側に臨むドレン管22の半周面にヒーター35が配置されている。
【0012】
本体ケース2の底壁2Bの下面に、庫内で生じ底壁2Bの上面に流下する結露水を排水する排水トラップ23が配置されている。左右のドレン管22・22の下端と排水トラップ23とは、前記底壁2Bの下面に沿って配置された下ドレン管24で接続されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る冷却庫1では、本体ケース2の左側壁2Lに配置されたドレン管22と、本体ケース2の右側壁2Rに配置されたドレン管22とが、前後に位置ずれした状態で配置するようにした。このように構成した冷却庫1によれば、複数台の冷却庫1・1を左右に隣接設置した状態において、隣接する冷却庫1・1のドレン管22・22が前後に位置ずれした状態で隣り合うので、左右に隣り合うドレン管22・22の冷熱が左右側壁2L・2Rの前後幅方向の1個所に集中するのを解消して、ドレン管22・22の内部で凍結が生じるのを防止できる。従って、蒸発器11・11のドレン水を確実に排水して、常に正常に運転できる冷却庫1を提供できる。
【0014】
また、本体ケース2の左側壁2Lに配置されたドレン管22と、本体ケース2の右側壁2Rに配置されたドレン管22のいずれか一方が、左右側壁2L・2Rの前後方向の中央を通る平面で規定される前後中央面Pより偏寄距離E1だけ前側に配置され、他方が前後中央面Pより偏寄距離E2だけ後側に配置するようにした。このように構成した冷却庫1によれば、隣接する冷却庫1・1のドレン管22・22を、偏寄距離E1・E2の合計距離だけ前後に位置ずれさせて、左右に隣り合うドレン管22・22の冷熱が左右側壁2L・2Rの前後幅方向の1個所に集中するのを解消できるので、ドレン管22・22の内部におけるドレン水の凍結をより確実に防止できる。
【0015】
各蒸発器11の下側に、ドレン水を集めてドレン管22へ流下させるドレンパン21が配置されており、ドレンパン21は、蒸発器11から滴下した水滴を受止める集水壁26と、集水壁26で集められたドレン水をドレン管22へ向かって流下案内する出口樋27を備えている。そのうえで、左右のドレンパン21・21における出口樋27・27が、左右のドレン管22・22の前後中央面Pに対する偏寄距離E1・E2に対応して前後に偏寄するように設けられていると、各出口樋27・27を左右のドレン管22・22の真横に位置させることができるので、ドレンパン21・21とドレン管22・22を最短の出口樋27・27で接続できる。従って、集水壁26・26で集められたドレン水を、出口樋27・27で速やかにドレン管22・22へ流下させることができる。
【0016】
前後中央面Pに対する左右のドレン管22・22の偏寄距離E1・E2を同じに設定して、左右のドレンパン21・21を同形同大に形成し、平面から見て点対称状に配置すると、左右のドレンパン21・21を共通部品化することができるので、その分だけ冷却庫1の全体コストを削減できる。
【0017】
本体ケース2の外面側に臨むドレン管22の半周面にヒーター35が配置されていると、氷温以下になりやすい本体ケース2の外面側に臨むドレン管22を積極的に加温できるので、ドレン管22の温度が氷温以下に低下するのを防止できる。また、冷却庫1の庫内温度が冷凍温度帯に設定された場合や、冷却庫1の設置環境温度が低い場合であっても、ヒーター35を作動させることにより、ドレン管22の温度が氷温以下に低下するのを確実に防止できるので、ドレン水がドレン管22の内部で凍結するのを、さらに確実に防止することができる。また、各冷却庫1・1の隣接面に臨むドレン管22・22の半周面に限ってヒーター35を配置するので、ドレン管22の周面全体がヒーター35で覆ってある場合に比べて、ヒーター35の発熱容量を小さくして各冷却庫1・1の消費電力を削減できる。
【0018】
本体ケース2の底壁2Bの下面に、庫内で生じ底壁2Bの上面に流下する結露水を排水する排水トラップ23が配置されており、左右のドレン管22・22の下端と排水トラップ23が、前記底壁2Bの下面に沿って配置された下ドレン管24で接続されていると、結露水の排水トラップ23を利用してドレン水を排水することにより、排水路の臭気や外部空気が庫内に進入するのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1に係る冷却庫の要部の横断平面図であり、図3におけるA-A線断面図に相当する。
図2】冷却庫の正面図である。
図3】冷却庫の右側面図である。
図4図1におけるB-B線断面図である。
図5図2におけるC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施例) 本発明をパススルー式の冷却庫に適用した実施例を図1ないし図5に示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。図2に示すように冷蔵庫(冷却庫)1は、縦長直方体状の断熱箱である本体ケース2と、本体ケース2の前開口(開口)3と後開口(開口)4を開閉する左右一対ずつのドア5・6を備えている。本体ケース2の上方には、冷蔵庫1の内部に冷気を供給し循環させる左右一対の冷却ユニット7・7が設けられている。
【0021】
各冷却ユニット7は、本体ケース2の上方の機械室に収容される圧縮機8、凝縮器9、凝縮器ファン10と、本体ケース2の内部上方に配置される蒸発器11および循環ファン12などで構成されている。冷却ユニット7は、冷蔵庫1の左右にそれぞれ設けられる。庫内の空気は、循環ファン12で吸引されて、蒸発器11に向って送給され、蒸発器11を通過する間に冷却されて庫内へ吹出されて循環する。図1に示すように、本体ケース2はステンレス板材で形成される内箱15および外箱16と、これら両者15・16の間に充填される発泡断熱材17で構成されている。前開口3と後開口4の左右中央には、ドア5・6を受止める支柱18が固定されており、本体ケース2の内部の左右には、それぞれトレー棚(図示していない)が多段状に設けられる。
【0022】
左右の蒸発器11で発生したドレン水を、本体ケース2の外へ排出するために、各蒸発器11の下側から本体ケース2の底壁2Bの下側にわたって、排水構造を設けている。図1および図4に示すように、排水構造は、各蒸発器11の下面側を覆うドレンパン21と、ドレンパン21で集められたドレン水を本体ケース2の底部へ流下させるドレン管22と、本体ケース2の底部下面に配置された排水トラップ23と、ドレン管22と排水トラップ23を接続する下ドレン管24などで構成される。図1に示すように、循環ファン12と正対するドレンパン21には、通気穴25の一群が形成されている。排水トラップ23は、本来、冷蔵庫1の底壁2Bの上面に流下した結露水用であるが、これを利用してドレン水を排水することにより、排水路の臭気や外部空気が、ドレン管22を介して本体ケース2の内部(庫内)に入り込むのを確実に防止できる。また、結露水用の排水トラップ23を利用して排水する分だけ、排水構造のコストを削減できる。
【0023】
ドレンパン21は、蒸発器11から滴下した水滴を受止める集水壁26と、集水壁26で集められたドレン水をドレン管22へ向かって流下案内する出口樋27を備えており、全体が通気穴25の側から出口樋27の側へ向かって下り傾斜している。図1に示すように、出口樋27の前後には冷気の吹出し口28が形成されている。左右のドレン管22は、本体ケース2の左右の側壁2L・2Rの内部に配置されるが、その配置位置は左右の側壁2L・2Rで異なっている。詳しくは、左右のドレン管22のいずれか一方を、左右側壁2L・2Rの前後方向の中央を通る平面で規定される前後中央面Pより前側に配置し、他方を前記前後中央面Pより後側に配置した。この実施例では、図1に示すように、左側壁2L側のドレン管22を前後中央面Pより偏寄距離E1の分だけ後側に配置し、左側壁2L側のドレン管22を前後中央面Pより偏寄距離E2だけ前側に配置した。また、前後中央面Pに対する左右のドレン管22・22の偏寄距離E1・E2を同じに設定した。
【0024】
各ドレンパン21における出口樋27は、左右のドレン管22・22の前後中央面Pに対する偏寄距離E1・E2に対応して前後に偏寄するように設けられている。本実施例では、ドレンパン21は、その前後方向の中央軸線と前後中央面Pとが一致するように配置されて、平面視において点対称状に配置されている。また、先に説明したように、前後中央面Pに対する左右のドレン管22・22の偏寄距離E1・E2は同じに設定されているので、左右のドレンパン21は同一部品で構成することができる。このような構成によれば、各出口樋27・27を左右のドレン管22・22の真横に位置させることができるので、ドレンパン21・21とドレン管22・22を最短の出口樋27・27で接続できる。従って、集水壁26・26で集められたドレン水を、出口樋27・27で速やかにドレン管22・22へ流下させることができる。また、左右のドレンパン21・21を同形同大に形成して共通部品化することができるので、その分だけ排水構造の全体コストを削減できる。
【0025】
ドレンパン21で集めたドレン水を出口樋27からドレン管22へ流下させるために、ドレン管22の上端にそれぞれ受水管31を固定している。受水管31は、ドレン管22に接続される継手部32と、継手部32に連続して斜め上向きに湾曲する受水部33と、本体ケース2の左右側壁2L・2Rの内面で開口する受水開口34を備えている。受水管31に向かって下り傾斜する出口樋27は、受水開口34から受水部33の内部に差込まれて、出口樋27の傾斜下端が受水部33の湾曲壁に臨ませてある。このような構成の排水構造によれば、ドレンパン21で集めたドレン水の全てを出口樋27からドレン管22へ確実に流下させることができるので、ドレンパン21とドレン管22の接続部分で水漏れが生じて、左右の側壁2L・2Rの内部に染み入るのを確実に防止できる。
【0026】
冷蔵庫1の庫内温度が冷凍温度帯に設定されているような場合には、ドレン水の温度が氷温に近づくことがある。こうした状況下でも、ドレン水がドレン管22の内部で凍結するのを確実に防止するために、ドレン管22の周面にヒーター35を配置している。この実施例では図5に示すように、隣接配置された冷蔵庫1・1の隣接面(本体ケース2の外側面)に臨むドレン管22の半周面にヒーター35を配置するようにした。また、冷蔵庫庫1の庫内温度が冷凍温度帯に設定された場合や、冷蔵庫1の設置環境温度が低い場合であっても、ヒーター35を作動させることにより、ドレン管22の温度が氷温以下に低下するのを確実に防止できるので、ドレン水がドレン管22の内部で凍結するのを、さらに確実に防止することができる。また、各冷蔵庫1・1の隣接面に臨むドレン管22・22の半周面に限ってヒーター35を配置するので、ドレン管22の周面全体がヒーター35で覆ってある場合に比べて、ヒーター35の発熱容量を小さくして各冷却庫1・1の消費電力を削減できる。
【0027】
以上のように構成した冷蔵庫1は、図2に示すように複数台の冷蔵庫1を、左右の側壁
2L・2Rどうしが隣接する状態で直線列状に配置して使用する場合がある。例えば、食材の下処理室と調理室の間に複数台の冷蔵庫1を配置して、下処理室側(前開口3側)から冷蔵庫1に収容した食材を、調理室側(後開口4側)から取出して加熱調理できるようにする。このように、複数台の冷蔵庫1を配置した状態では、図5に示すように各冷蔵庫1・1の隣接面において、本体ケース2の左側壁2Lに配置されたドレン管22と、本体ケース2の右側壁2Rに配置されたドレン管22とは、前後に位置ずれした状態で隣り合う。また、先の偏寄距離E1・E2の合計距離だけ前後に位置ずれする。そのため、左右に隣り合うドレン管22・22の冷熱が左右側壁2L・2Rの前後幅方向の1個所に集中するのを解消して、ドレン管22・22の内部で凍結が生じるのを防止できる。従って、蒸発器11・11のドレン水を確実に排水して、常に正常に運転できるパススルー式の冷蔵庫1を提供できる。
【0028】
上記の実施例では、左右のドレン管22・22を、左右側壁2L・2Rの前後中央面Pを基準にして前後に偏寄配置したが、その必要はなく、本体ケース2の左側壁2Lに配置したドレン管22と、本体ケース2の右側壁2Rに配置したドレン管22とは、単に前後に位置ずれした状態で配置してあってもよい。例えば、隣り合うドレン管22・22が、先の前後中央面Pの前半部(または後半部)において前後に位置ずれする状態で配置してあってもよい。また、いずれか一方のドレン管22が前後中央面Pの位置に配置されていてもよい。さらに上記の実施例では、前後中央面Pに対する左右のドレン管22・22の偏寄距離E1・E2を同じにして、左右のドレンパン21・21を同形同大に形成できるようにしたが、冷蔵庫1の庫内構造の違いによっては、前後中央面Pに対する左右のドレン管22・22の偏寄距離E1・E2は異なっていてもよい。その場合には、各ドレンパン21における出口樋27の形成位置を、左右のドレン管22・22の前後中央面Pに対する偏寄距離E1・E2に対応して前後に偏寄させるようにするとよい。こうしたドレン水の排水構造によれば、各出口樋27を左右のドレン管22・22の真横に位置させて、ドレンパン21とドレン管22を最短の出口樋27で接続できる。従って、集水壁26で集められたドレン水を、出口樋27で速やかにドレン管22へ流下させることができる。
【0029】
上記以外に、出口樋27は集水壁26の側縁に設ける必要はなく、集水壁26の前縁あるいは後縁から導出してあってもよい。さらに、出口樋27は樋構造である必要はなく、管状に形成してあってもよい。必要があれば、ドレン管22の周面全体がヒーター35で覆われていてもよく、線状のヒーター35がドレン管22に螺旋状に巻き付けてあってもよい。冷却庫1は、冷凍温度帯でのみ使用される冷凍専用庫であってもよい。機械室に配置した圧縮機8、凝縮器9、および凝縮器ファン10は、冷却庫1の外部に配置してあってもよい。本発明の冷却庫は、庫内の上部左右に蒸発器11・11が配置されているリーチイン型の冷却庫にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 冷蔵庫(冷却庫)
2 本体ケース
2B 本体ケースの底壁
2L 本体ケースの左側壁
2R 本体ケースの右側壁
3 開口(前開口)
4 開口(後開口)
7 冷却ユニット
11 蒸発器
21 ドレンパン
22 ドレン管
23 排水トラップ
24 下ドレン管
26 集水壁
27 出口樋
35 ヒーター
P 前後中央面
E1 偏寄距離
E2 偏寄距離
図1
図2
図3
図4
図5