(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034352
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】燃料加熱装置
(51)【国際特許分類】
F02M 53/00 20060101AFI20220224BHJP
F02M 31/125 20060101ALI20220224BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
F02M53/00 J
F02M31/125 A
F02M31/125 J
F02D45/00 360A
F02D45/00 360Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138109
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】山本 敦
【テーマコード(参考)】
3G384
【Fターム(参考)】
3G384AA01
3G384AA28
3G384CA01
3G384DA13
3G384FA20
3G384FA58
3G384FA66
(57)【要約】
【課題】走行用モータによる走行が行われている状態で、エンジンを始動させる際にも、燃料が着火しにくくなることに起因する燃費の悪化を抑制することが可能な燃料加熱装置を提供する。
【解決手段】この燃料加熱装置6は、燃料を加熱する燃料加熱部61と、走行用モータ3による走行が行われている状態において、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前の所定タイミングT2に基づいて、燃料加熱部61の加熱を開始する制御を行う制御部62とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を蓄えるバッテリーと、前記バッテリーから供給される電力により駆動される走行用モータと、気筒内の燃焼室に供給される空気および燃料を含む混合気を燃焼させることにより駆動するエンジンとを備えるハイブリッド車両の燃料加熱装置であって、
燃料を加熱する燃料加熱部と、
前記走行用モータによる走行が行われている状態において、前記エンジンの駆動タイミングよりも前の所定タイミングに基づいて、前記燃料加熱部の加熱を開始する制御を行う制御部とを備える、燃料加熱装置。
【請求項2】
前記気筒は、複数並んで配置されており、
前記燃料加熱部は、複数の前記気筒の各々に対応して複数配置されており、
前記制御部は、前記所定タイミングに基づいて、前記燃料加熱部による加熱を開始するとともに、前記エンジンの駆動タイミングよりも前に複数の前記燃料加熱部の加熱を完了する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の燃料加熱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定タイミングとして速度が所定速度であることに基づいて、複数の前記燃料加熱部の加熱を開始する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の燃料加熱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定タイミングとして前記バッテリーが所定バッテリー残量以下であることに基づいて、複数の前記燃料加熱部の加熱を開始する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の燃料加熱装置。
【請求項5】
前記制御部は、複数の前記燃料加熱部の燃料を加熱する制御を行った後、前記エンジンの駆動により前記バッテリーを充電するとともに、前記バッテリーから供給される電力により前記走行用モータを駆動する制御を行うように構成されている、請求項4に記載の燃料加熱装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記走行用モータによる走行が行われている状態において、一定時間経過ごとに、複数の前記燃料加熱部の各々の抵抗発熱体に電流を供給することにより、複数の前記気筒の各々の温度を取得する制御を行うように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料加熱装置に関し、特に、燃料を加熱する燃料加熱部を備える燃料加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料を加熱する燃料加熱部を備える燃料加熱装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、燃料を加熱する加熱装置(燃料加熱部)を備える燃料加熱システム(燃料加熱装置)が開示されている。燃料加熱システムは、加熱装置を含む車両各部の装置を制御する電子制御ユニットを備えている。電子制御ユニットは、エンジンを始動させて走行を開始する際に、燃料の噴射が開始される前に、燃料の予熱を行う制御を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1の燃料加熱システムが、走行用モータおよびエンジンを備えるハイブリッド車両に適用される場合を考える。このような燃料加熱システムでは、走行用モータおよびエンジンが停止した状態から、エンジンを始動させて走行を開始する際に、電子制御ユニットにより、燃料の噴射が開始される前に、燃料の予熱が行われると考えられる。しかしながら、ハイブリッド車両では、一般的に、エンジンを駆動させることなく、走行用モータの駆動により走行されている状態で、エンジンが始動される場合がある。この場合、ハイブリッド車両に適用された上記特許文献1の燃料加熱システムでは、気筒内を通過する走行風によりエンジンが冷却されているにも関わらず、燃料の予熱が行われないと考えられる。この場合、エンジンを駆動させることなく、走行用モータの駆動により走行が行われている状態で、エンジンを始動させる際に、十分に暖められていない燃料によりエンジンの燃焼が行われる。このため、上記特許文献1の燃料加熱システムをハイブリッド車両に適用した場合においては、走行用モータによる走行が行われている状態で、エンジンを始動させる際に、燃料が十分に気化していないことに起因して燃料が着火しにくくなるので、燃費が悪化するという問題点があると考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、走行用モータによる走行が行われている状態で、エンジンを始動させる際にも、燃料が着火しにくくなることに起因する燃費の悪化を抑制することが可能な燃料加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における燃料加熱装置は、電力を蓄えるバッテリーと、バッテリーから供給される電力により駆動される走行用モータと、気筒内の燃焼室に供給される空気および燃料を含む混合気を燃焼させることにより駆動するエンジンとを備えるハイブリッド車両の燃料加熱装置であって、燃料を加熱する燃料加熱部と、走行用モータによる走行が行われている状態において、エンジンの駆動タイミングよりも前の所定タイミングに基づいて、燃料加熱部の加熱を開始する制御を行う制御部とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による燃料加熱装置の制御部では、上記のように、走行用モータによる走行が行われている状態において、エンジンの駆動タイミングよりも前の所定タイミングに基づいて、燃料加熱部の加熱を開始する制御を行う。これにより、エンジンを始動させる駆動タイミングよりも前から、燃料加熱部を暖めておくことができるので、走行用モータによる走行が行われている状態において、燃料加熱部により燃焼室に供給される燃料を十分に加熱することができる。したがって、十分に暖められた燃料によりエンジンの燃焼を行うことができる。その結果、走行用モータによる走行が行われている状態で、エンジンを始動させる際にも、燃料が着火しにくくなることに起因する燃費の悪化を抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による燃料加熱装置において、好ましくは、気筒は、複数並んで配置されており、燃料加熱部は、複数の気筒の各々に対応して複数配置されており、制御部は、所定タイミングに基づいて、燃料加熱部による加熱を開始するとともに、エンジンの駆動タイミングよりも前に複数の燃料加熱部の加熱を完了する制御を行うように構成されている。
【0010】
このように構成すれば、複数の気筒の燃焼室において、所定タイミングから開始された燃料加熱部による加熱を、エンジンの駆動タイミングよりも前に複数の燃料加熱部において完了させることにより、十分に暖められた燃料によりエンジンの燃焼を行うことができる。その結果、複数の気筒が配置された場合でも、走行用モータによる走行が行われている状態で、エンジンを始動させる際に、燃料が着火しにくくなることに起因する燃費の悪化を確実に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、所定タイミングとして速度が所定速度であることに基づいて、複数の燃料加熱部の加熱を開始する制御を行うように構成されている。
【0012】
このように構成すれば、速度が所定速度になりモータ走行からエンジン走行に切り替わる際に、複数の燃料加熱部の加熱を開始する制御を行う制御部により、複数の気筒の各々の燃焼室に供給される燃料を加熱することができる。したがって、複数の気筒のいずれにおいても十分に加熱した燃料により燃焼を行う準備を同時に整えることができる。その結果、複数の気筒のいずれにおいても燃焼室内で燃焼行程を行わせることができるので、モータ走行からエンジン走行への切り替えを即座に行うことができる。
【0013】
上記複数の気筒の各々に対応して複数配置された複数の燃料加熱部を備える燃料加熱装置において、好ましくは、制御部は、所定タイミングとしてバッテリーが所定バッテリー残量以下であることに基づいて、複数の燃料加熱部の加熱を開始する制御を行うように構成されている。
【0014】
このように構成すれば、複数の燃料加熱部の加熱を開始する制御を行う制御部により、複数の燃料加熱部に別々に電流を流すことができるので、複数の燃料加熱部の各々に必要最低限の電流を流して加熱を行うことができる。その結果、バッテリーの急激な電力消費を抑制することができるので、バッテリーの電力消費を抑制した状態で複数の燃料加熱部を加熱させることができる。
【0015】
上記加熱を開始する制御部を備える燃料加熱装置において、好ましくは、制御部は、複数の燃料加熱部の加熱を開始する制御を行った後、エンジンの駆動によりバッテリーを充電するとともに、バッテリーから供給される電力により走行用モータを駆動する制御を行うように構成されている。
【0016】
このように構成すれば、バッテリーを充電しつつバッテリーによる走行用モータの駆動を行うことにより、走行用モータによる駆動可能な時間を延ばすことができるので、バッテリーの容量を増加させることなく走行用モータによるモータ走行の航続距離を増加させることができる。
【0017】
上記一の局面による燃料加熱装置において、好ましくは、制御部は、走行用モータによる走行が行われている状態において、一定時間経過ごとに、複数の燃料加熱部の各々の抵抗発熱体に電流を供給することにより、複数の気筒の各々の温度を取得する制御を行うように構成されている。
【0018】
このように構成すれば、一定時間経過ごとに複数の気筒の各々の温度を更新することができるので、燃料加熱部に供給される電流を適切な電流値に調節することができる。
【0019】
なお、上記一の局面による燃料加熱装置において、以下のような構成も考えられる。
【0020】
(付記項1)
すなわち、上記加熱を開始する制御部を備える燃料加熱装置において、複数の気筒のうち次に吸気工程が開始される吸気開始気筒を記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、エンジン始動の際に、記憶部から取得した吸気開始気筒の情報に基づいて、吸気開始気筒に対応する燃料加熱部から順に加熱を開始する制御を行うように構成されている。
【0021】
このように構成すれば、複数の気筒のうち次に燃焼室において混合気の燃焼が行われる気筒に対応する燃料加熱部から順に加熱を開始することができるので、燃料加熱部により適切なタイミングで適切な気筒の燃焼室に供給される燃料を加熱することができる。
【0022】
(付記項2)
この場合、制御部は、エンジンが停止する際に、カムシャフトの回転角度位置、および、クランクシャフトの回転角度位置に基づいて判別された吸気開始気筒に基づいて、吸気開始気筒に対応する燃料加熱部から順に加熱を開始する制御を行うように構成されている。
【0023】
このように構成すれば、次に吸気工程が開始される吸気開始気筒を確実に取得することができるので、複数の気筒のうち次に燃焼室において混合気の燃焼が行われる気筒に対応する燃料加熱部から順に加熱を確実に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1~第3実施形態による燃料加熱装置が設けられたハイブリッド車両を示す概略図である。
【
図2】第1~第3実施形態による燃料加熱装置のヒータ付近を示す断面図である。
【
図3】第1~第3実施形態による燃料加熱装置の温度確認制御を組み合わせた同時加熱制御のタイミングチャートである。
【
図4】第1~第3実施形態による燃料加熱装置の温度確認制御を組み合わせた順番加熱制御のタイミングチャートである。
【
図5】第1実施形態による燃料加熱装置の燃料加熱制御処理を示したフローチャートである。
【
図6】第1実施形態による燃料加熱装置の温度確認制御処理を示したフローチャートである。
【
図7】第1実施形態による燃料加熱装置の同時加熱制御処理を示したフローチャートである。
【
図8】第1実施形態による燃料加熱装置の順番加熱制御処理を示したフローチャートである。
【
図9】第2実施形態による燃料加熱装置のエンジン始動時加熱制御処理を示したフローチャートである。
【
図10】第3実施形態による燃料加熱装置のエンジン始動後加熱制御処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1~
図4を参照して、ハイブリッド車両10に設けられる第1実施形態による燃料加熱装置6の構成について説明する。
【0027】
図1および
図2に示すように、ハイブリッド車両10は、複数種類(2種類)の駆動源の少なくともいずれかを用いて走行するように構成されている。具体的には、ハイブリッド車両10は、バッテリー1と、バッテリー用制御部2と、走行用モータ3と、発電用モータ41を含むエンジン4と、エンジン用制御部5と、燃料加熱装置6とを備えている。このように、ハイブリッド車両10は、走行用モータ3およびエンジン4の少なくとも一方を駆動源として走行するように構成されている。
【0028】
バッテリー1は、電力制御ユニット(図示せず)を介して発電用モータ41において発電された電力を蓄えるように構成されている。バッテリー1は、二次電池である。バッテリー用制御部2は、バッテリー1の充放電を制御するように構成されている。バッテリー用制御部2は、制御回路としてのCPU(Central Processing Unit)21と、記憶媒体としてのメモリを有する記憶部22とを含むECU(Electronic Control Unit)により構成されている。バッテリー用制御部2は、CPU21が記憶部22に記憶されているバッテリー制御プログラムを実行することにより、バッテリー1の充電および放電などを制御するように構成されている。また、バッテリー用制御部2は、バッテリー1の充電および放電を行った際のHV(Hybrid Vehicle)駆動用バッテリー残量を管理する制御を行うように構成されている。ここで、HV駆動用バッテリ残量とは、バッテリー1が完全充電された状態から放電した電気量を除いた残りの割合を示す。
【0029】
走行用モータ3は、動力伝達機構を介して車輪7に伝達させる駆動力を発生させる駆動源である。走行用モータ3は、バッテリー1から供給される電力により駆動されるように構成されている。発電用モータ41は、エンジン4から伝えられる駆動力により発電を行うように構成されている。発電用モータ41は、オルタネータである。また、発電用モータ41は、車体が慣性により走行する際の車輪7から伝えられる駆動力、および、制動時において車輪7から伝えられる駆動力によっても発電を行うように構成されている。
【0030】
エンジン4は、シリンダブロック4aにシリンダヘッド4bを固定させた構造となっている。シリンダヘッド4bは、燃焼室142(
図2参照)に連通する複数の排気ポート4cおよび複数の吸気ポート4dを有している。また、シリンダヘッド4bは、吸気バルブ4eおよび排気バルブ4fを有している。吸気バルブ4eは、燃焼室142と吸気ポート4dとを連通させる吸気口を開閉するように構成されている。排気バルブ4fは、燃焼室142と複数の排気ポート4cとを連通させる排気口を開閉するように構成されている。
【0031】
エンジン4は、気筒42内の燃焼室142に空気および燃料を含む混合気を燃焼させることにより駆動するように構成されている。具体的には、エンジン4は、気筒42と、クランクシャフト43と、クランクセンサ44と、カムシャフト45と、カムセンサ46と、インジェクタ47と、インテークマニホールド48と、インテークポート49とを備えている。
【0032】
ここで、ハイブリッド車両10では、クランクシャフト43の延びる方向をX方向とし、X方向の一方向側をX1方向とし、X1方向とは逆方向をX2方向とする。また、ハイブリッド車両10では、上下方向をZ方向とし、Z方向のうち一方向側(上方向側)をZ1方向とし、Z方向のうち他方向側(下方向側)をZ2方向する。ハイブリッド車両10では、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。
【0033】
気筒42は、X方向に複数(4個)並んで配置されている。気筒42は、Z方向に貫通する貫通孔を有する円筒形状を有している。クランクシャフト43は、燃焼室142内の燃焼により、Z方向に移動するピストンに接続されたコンロッドを介してY方向に平行な回転軸線回りに回転する。クランクセンサ44は、クランクシャフト43の回転角度位置を計測する。カムシャフト45は、吸気バルブ4eおよび排気バルブ4fを開閉させるように構成されている。カムシャフト45は、クランクシャフト43から伝達される駆動力により、Y方向に平行な回転軸線回りに回転する。カムセンサ46は、クランクシャフト43の回転角度位置を計測する。クランクシャフト43の回転角度位置およびカムセンサ46の回転角度位置は、複数の気筒42が吸気工程、圧縮工程、燃焼行程および排気工程のいずれであるかを判別するために用いられる。
【0034】
インジェクタ47は、燃焼室142に向けて流れる空気に、霧状の燃料を噴射するように構成されている。燃料は、たとえば、ガソリン、ガス燃料またはエタノールなどである。このように、エンジン4は、燃料が吸気ポート4d内に噴射されるポート噴射式のエンジンである。インテークマニホールド48は、燃焼室142内に空気を供給するように構成されている。インテークポート49は、インテークマニホールド48から燃焼室142に供給される空気に対して、シリンダヘッド4bからの熱伝達を抑制する樹脂製の部材である。
【0035】
エンジン用制御部5は、制御回路としてのCPU51と、記憶媒体としてのメモリを有する記憶部52とを含むECUにより構成されている。エンジン用制御部5は、CPU51が記憶部52に記憶されているエンジン制御プログラムを実行することにより、エンジン4の各部を制御するように構成されている。記憶部52には、エンジン用制御部5により、複数の気筒42のうち次に吸気工程が開始される吸気開始気筒53が記憶される。ここで、吸気開始気筒53は、複数の気筒42のうち、次に吸気工程が開始される気筒42を示す情報である。すなわち、エンジン用制御部5は、エンジン4が停止する際に、カムシャフト45の回転角度位置、および、クランクシャフト43の回転角度位置に基づいて吸気開始気筒53を判別する制御を行うように構成されている。カムシャフト45の回転角度位置は、カムセンサ46により計測される。クランクシャフト43の回転角度位置は、クランクセンサ44により計測される。
【0036】
燃料加熱装置6は、ハイブリッド車両10において、エンジン4が冷え切っている際に、ヒータ61(特許請求の範囲の「燃料加熱部」の一例)により気筒温度を上昇させて燃料を所望の温度(約110℃)にするように構成されている。詳細には、燃料加熱装置6は、走行用モータ3によるモータ走行が行われている状態で、エンジン始動を行う際に、インジェクタ47から噴射される燃料をヒータ61により加熱することにより、気筒温度を上昇させるように構成されている。ここで、気筒温度とは、燃料を気化させるヒータ61の温度を示す。気筒温度は、ヒータ61に流す電流と、ヒータ61の抵抗発熱体において計測される電圧とに基づく抵抗値に対応する温度である。
【0037】
具体的には、燃料加熱装置6は、ヒータ61と、燃料加熱用制御部62(特許請求の範囲の「制御部」の一例)とを含んでいる。
【0038】
ヒータ61は、燃料を加熱するように構成されている。詳細には、ヒータ61は、周囲温度が低い場合(約-30℃)であっても、インテークポート49の内表面に気化せず付着した燃料を強制的に気化させるように構成されている。すなわち、ヒータ61は、インジェクタ47から吸気通路内に導入される燃料を気化するヒータ61として用いられている。ヒータ61は、高昇温特性を有する発熱素子(発熱抵抗体)により構成された発熱体を有している。発熱体は、カーボンを主成分とする発熱素子として、たとえばカーボングラファイトまたはカーボンナノチューブなどを有している。ヒータ61は、複数の気筒42の各々に対応して複数(4個)配置されている。
【0039】
(燃料加熱用制御部)
燃料加熱用制御部62は、制御回路としてのCPU62aと、記憶媒体としてのメモリを有する記憶部62bとを含むECUにより構成されている。燃料加熱用制御部62は、CPU62aが記憶部62bに記憶されている燃料加熱制御プログラムを実行することにより、ヒータ61による加熱を制御するように構成されている。燃料加熱制御プログラムでは、同時加熱制御処理、順番加熱制御処理および温度確認制御処理が行われる。
【0040】
図3および
図4に示すように、第1実施形態の燃料加熱用制御部62は、走行用モータ3による走行が行われている状態において、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前の所定タイミングT2に基づいて、ヒータ61を加熱する制御を行うように構成されている。そして、燃料加熱用制御部62は、所定タイミングT2に基づいて、ヒータ61の加熱を開始するとともに、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前に複数(4つ)のヒータ61の全てにおいて、ヒータ61の加熱を完了する制御を行うように構成されている。ここで、エンジン4の駆動タイミングT1とは、エンジン4が駆動を開始する(始動する)タイミングを示す。エンジン4の駆動タイミングT1では、インジェクタ47による燃料の噴射が開始される。
【0041】
このように、ヒータ61は、所定タイミングT2からエンジン4の駆動タイミングT1の間に所望の温度まで昇温している。ヒータ61は、エンジン4の駆動タイミングT1の後、気筒温度が加熱停止温度STに至るまでの間、所望の温度に保温されている。
【0042】
〈同時加熱制御処理〉
燃料加熱用制御部62は、
図3に示すように、同時加熱制御処理を行うように構成されている。同時加熱制御処理は、上側しきい値B1以上のHV駆動用バッテリ残量がある状態で、モータ走行からエンジン走行に切り替わる前に行うように構成されている。同時加熱制御処理は、HV駆動用バッテリ残量に余裕がある状態で、モータ走行からエンジン走行に切り替わる際に、複数の気筒42の全てに対応するヒータ61による加熱を同時(一斉)に行う処理である。ここで、ハイブリッド車両10では、上側しきい値B1以上の場合、バッテリー用制御部2によりバッテリー1の充電は必要ないと判断される。
【0043】
燃料加熱用制御部62は、所定タイミングT2として速度が所定速度V1であることに基づいて、複数のヒータ61において同時に加熱を開始する制御を行うように構成されている。詳細には、燃料加熱用制御部62は、HV駆動用バッテリ残量が上側しきい値B1以上の状態において、速度が所定速度V1になったことに基づいて、複数のヒータ61において同時に加熱を開始する制御を行うように構成されている。同時加熱制御処理の際に、所定タイミングT2とは、ハイブリッド車両10の速度が所定速度V1になったタイミングであることを示す。
【0044】
所定速度V1とは、エンジン4の駆動タイミングT1における速度V2よりも小さい速度を示す。そして、所定速度V1は、所定速度V1からエンジン始動時の速度V2になるまでの間に、全ての気筒温度が所望の温度となるように設定される。エンジン4の駆動タイミングT1における速度V2は、エンジン用制御部5において設定される。所定速度V1は、エンジン用制御部5から取得したエンジン4の駆動タイミングT1における速度V2に基づいて、燃料加熱用制御部62において設定される。
【0045】
ここで、
図1および
図3に示すように、複数の気筒42は、第1気筒42a、第2気筒42b、第3気筒42cおよび第4気筒42dを有している。第1気筒42a、第2気筒42b、第3気筒42cおよび第4気筒42dには、それぞれ、ヒータ61として、第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dが設けられている。第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dに供給される電流は、それぞれ、第1電流、第2電流、第3電流および第4電流である。第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dの気筒温度は、それぞれ、第1気筒温度、第2気筒温度、第3気筒温度および第4気筒温度である。
【0046】
図3に示すように、燃料加熱用制御部62は、速度が所定速度V1になったことに基づいて、第1電流、第2電流、第3電流および第4電流として急速加熱電流Aを供給する制御を行うように構成されている。燃料加熱用制御部62は、急速加熱電流Aを所定時間(たとえば、約1秒)流して複数(4つ)のヒータ61を同時に加熱した後に、保温電流Sに向けて、第1電流、第2電流、第3電流および第4電流を下げていく。
【0047】
なお、速度は、急速加熱電流Aから保温電流Sに下がりきる前に、エンジン4の駆動タイミングT1における速度V2になる。また、急速加熱電流Aを流す所定時間は、第1気筒温度、第2気筒温度、第3気筒温度および第4気筒温度が所望の温度になるように設定される。また、保温電流Sとは、第1気筒温度、第2気筒温度、第3気筒温度および第4気筒温度を所望の温度に維持するために、第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dに供給される電流を示す。また、急速加熱電流Aとは、第1気筒温度、第2気筒温度、第3気筒温度および第4気筒温度を所望の温度に即座に昇温させるために、第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dに供給される電流を示す。
【0048】
燃料加熱用制御部62は、エンジン4の駆動時の速度V2の後、第1気筒温度、第2気筒温度、第3気筒温度および第4気筒温度が加熱停止温度STになったことに基づいて、ヒータ61の加熱を停止する制御を行うように構成されている。ここで、加熱停止温度STは、所望の温度よりも高い。加熱停止温度ST後においてヒータ61の加熱は停止するが、第1気筒温度、第2気筒温度、第3気筒温度および第4気筒温度は、速度(エンジン回転数)の上昇に伴って上昇していく。
【0049】
〈順番加熱制御処理〉
燃料加熱用制御部62は、
図4に示すように、順番加熱制御処理を行うように構成されている。順番加熱制御処理は、上側しきい値B1未満下側しきい値B2以上のHV駆動用バッテリ残量がある状態で、モータ駆動をしつつ、エンジン駆動による発電をする前に行うように構成されている。順番加熱制御処理は、HV駆動用バッテリ残量にあまり余裕がない状態で、モータ駆動をしつつエンジン駆動による発電をする際に、複数の気筒42に対応するヒータ61による加熱を順番に行う処理である。ここで、ハイブリッド車両10では、下側しきい値B2以下の場合、バッテリー用制御部2によりバッテリー1の充電が必要であると判断される。
【0050】
燃料加熱用制御部62は、所定タイミングT2としてバッテリー1が所定バッテリー残量B3以下であることに基づいて、複数のヒータ61に対して所定の順番で加熱を開始する制御を行うように構成されている。詳細には、燃料加熱用制御部62は、モータ走行の際に、HV駆動用バッテリ残量が低下し所定バッテリー残量B3以下下側しきい値B2以上になったことに基づいて、複数のヒータ61において所定の順番で加熱を開始する制御を行うように構成されている。同時加熱制御処理の際に、所定タイミングT2とは、HV駆動用バッテリ残量が所定バッテリー残量B3以下になるタイミングのことを示す。
【0051】
ここで、所定の順番とは、エンジン用制御部5において判別された吸気開始気筒53から吸気工程が開始される順番のことを示す。すなわち、燃料加熱用制御部62は、エンジン4が停止する際に、カムシャフト45の回転角度位置、および、クランクシャフト43の回転角度位置に基づいて判別された吸気開始気筒53を取得したことに基づいて、吸気開始気筒53に対応するヒータ61から順に加熱を開始する制御を行うように構成されている。
【0052】
所定バッテリー残量B3とは、下側しきい値B2よりも若干大きいバッテリー残量を示す。そして、所定バッテリー残量B3は、所定バッテリー残量B3から下側しきい値B2になるまでの間に、全ての気筒温度が所望の温度となるように設定される。下側しきい値B2は、バッテリー用制御部2において設定される。所定バッテリー残量B3は、バッテリー用制御部2から取得した下側しきい値B2に基づいて、燃料加熱用制御部62において設定される。所定バッテリー残量B3は、下側しきい値B2よりも大きいバッテリー残量で、燃料加熱用制御部62により設定される。
【0053】
図4に示すように、燃料加熱用制御部62は、HV駆動用バッテリ残量が所定バッテリー残量B3になったことに基づいて、第1電流、第2電流、第3電流および第4電流として低加熱電流Dを供給する制御を行うように構成されている。低加熱電流Dは、急速加熱電流Aよりも小さい。低加熱電流Dは、保温電流Sよりも大きい。なお、低加熱電流Dとは、第1気筒温度、第2気筒温度、第3気筒温度および第4気筒温度を所望の温度に徐々に昇温させるために、第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dに供給される電流を示す。
【0054】
燃料加熱用制御部62は、第1電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)流した後に、保温電流Sに向けて、第1電流を下げていく。また、燃料加熱用制御部62は、第1電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)流した後に、第2電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)を流す。また、燃料加熱用制御部62は、第2電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)流した後に、保温電流Sに向けて、第2電流を下げていく。
【0055】
また、燃料加熱用制御部62は、第2電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)流した後に、第3電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)を流す。また、燃料加熱用制御部62は、第3電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)流した後に、保温電流Sに向けて、第3電流を下げていく。また、燃料加熱用制御部62は、第3電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)流した後に、第4電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)を流す。また、燃料加熱用制御部62は、第4電流に低加熱電流Dを所定時間(たとえば、約1.5秒)流した後に、保温電流Sに向けて、第4電流を下げていく。
【0056】
なお、HV駆動用バッテリ残量は、全てのヒータ61に低加熱電流Dを流した後に、下側しきい値B2になる。また、低加熱電流Dを流す所定時間は、第1気筒温度、第2気筒温度、第3気筒温度および第4気筒温度が所望の温度になるように設定される。
【0057】
燃料加熱用制御部62は、エンジン始動の際に、記憶部52から取得した吸気開始気筒53の情報に基づいて、吸気開始気筒53に対応するヒータ61から順に加熱を開始する制御を行うように構成されている。すなわち、燃料加熱用制御部62は、エンジン始動後に最初に燃焼室142内において正常に圧縮した空気で燃焼が行われる気筒42(吸気開始気筒53)に、所望の気筒温度の燃料を供給する制御を行うように構成されている。また、燃料加熱用制御部62は、吸気開始気筒53の後、吸気工程が開始される気筒42に対応するヒータ61から順に加熱を開始する制御を行うように構成されている。
【0058】
燃料加熱用制御部62は、複数のヒータ61に対して所定の順番で加熱を開始する制御を行った後、エンジン4の駆動によりバッテリー1を充電するとともに、バッテリー1から供給される電力により走行用モータ3を駆動する制御を行うように構成されている。詳細には、燃料加熱用制御部62は、所定の順番で燃料を加熱する制御を行った後、エンジン用制御部5に発電用モータ41の駆動開始の指令を送信するとともに、バッテリー用制御部2にバッテリー1から走行用モータ3への電力の供給維持の指令を送信する制御を行うように構成されている。すなわち、ハイブリッド車両10では、バッテリー1を充電しながら、バッテリー1によるモータ走行が行われている。ここで、発電用モータによる充電を行うために、エンジン4のエンジン回転数は、回転数GRに設定される。
【0059】
燃料加熱用制御部62は、HV駆動用バッテリ残量が所定バッテリー残量B3になった後、吸気開始気筒53に対応する第1気筒温度が加熱停止温度STになったことに基づいて、第1ヒータ61aの加熱を停止する制御を行うように構成されている。そして、燃料加熱用制御部62は、第1ヒータ61aの加熱を停止させるとともに、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dの順に加熱を停止する制御を行うように構成されている。
【0060】
なお、燃料加熱用制御部62は、HV駆動用バッテリ残量が所定バッテリー残量B3以上上側しきい値B1以下の場合、走行用モータ3によるモータ走行を継続する制御を行うように構成されている。
【0061】
〈温度確認制御処理〉
燃料加熱用制御部62は、
図3および
図4に示すように、温度確認制御処理を行うように構成されている。温度確認制御処理は、ヒータ61に電流(微小電流)M(たとえば、0.2[A]以上0.5[A]以下)を定期的に供給することにより、気筒温度を確認する処理である。ここで、燃料加熱用制御部62では、同時加熱制御処理および順番加熱制御処理の前に温度確認制御処理が行われている。
【0062】
具体的には、燃料加熱用制御部62は、走行用モータ3によるモータ走行が行われている状態において、一定時間経過ごとに、複数のヒータ61の各々の抵抗発熱体に微小電流Mを供給することにより、複数の気筒42の各々の温度を取得する制御を行うように構成されている。すなわち、燃料加熱用制御部62は、走行用モータ3によるモータ走行が行われている状態において、一定時間経過ごとに、第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dの各々の抵抗発熱体に順に微小電流Mを供給することにより、第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dの各々の温度を取得する制御を行うように構成されている。これにより、燃料加熱用制御部62では、同時加熱制御処理および順番加熱制御処理を行う前に、第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dの各々の温度を取得することが可能である。
【0063】
(燃料加熱制御処理)
以下に、
図5~
図8を参照して、燃料加熱用制御部62による燃料加熱制御処理について説明する。燃料加熱制御処理は、エンジン始動前にあらかじめヒータ61の加熱を開始させておく処理である。
【0064】
ステップS1において、燃料加熱用制御部62では、モータ走行が開始されてから一定時間が経過したか否かが判断される。一定時間が経過した場合にはステップS2に進み、一定時間が経過していない場合はステップS3に進む。ステップS2においては、温度確認制御処理が行われる。
【0065】
図6を参照して、温度確認制御処理(ステップS2のサブルーチン)について説明する。温度確認制御処理は、あらかじめ気筒42の温度を取得させる処理である。
【0066】
ステップS21において、燃料加熱用制御部62では、エンジン用制御部5から吸気開始気筒53の情報が取得されるとともに、吸気開始気筒53に電流が流される。すなわち、燃料加熱用制御部62では、吸気開始気筒53に対応するヒータ61に微小電流Mを流す指令が送られる。ステップS22では、燃料加熱用制御部62では、次に吸気工程が開始される気筒42から順に電流が流される。これにより、燃料加熱用制御部62では、気筒温度が取得される。ステップS22が終了した後、ステップS3に進む。
【0067】
図5に示すように、ステップS3において、燃料加熱用制御部62では、HV駆動用バッテリ残量が上側しきい値B1以上か否かが判断される。ステップS3において、HV駆動用バッテリ残量が上側しきい値B1以上の場合にステップS4に進み、HV駆動用バッテリ残量が上側しきい値B1未満の場合にステップS5に進む。ステップS4においては、同時加熱制御処理が行われる。
【0068】
図7を参照して、同時加熱制御処理(ステップS4のサブルーチン)について説明する。同時加熱制御処理は、複数の気筒42に対応するヒータ61に同時に急速加熱電流Aを流す処理である。
【0069】
ステップS41において、燃料加熱用制御部62では、所定タイミングT2が取得される。すなわち、燃料加熱用制御部62では、エンジン用制御部5から取得したエンジン4の駆動タイミングT1における速度V2に基づいて、所定タイミングT2としての所定速度V1が取得される。ステップS42において、燃料加熱用制御部62では、所定タイミングT2か否かが判断される。すなわち、燃料加熱用制御部62では、速度が所定速度V1か否かが判断される。ステップS42において、所定タイミングT2である場合にはステップS43に進み、所定タイミングT2でない場合には同時加熱制御処理を終了しステップS7に戻る。
【0070】
ステップS43において、燃料加熱用制御部62では、全てのヒータ61において同時に加熱が開始される。すなわち、第1ヒータ61a、第2ヒータ61b、第3ヒータ61cおよび第4ヒータ61dには、同時に急速加熱電流Aが流れる。ステップS44において、燃料加熱用制御部62では、駆動タイミングT1か否かが判断される。すなわち、燃料加熱用制御部62では、速度が駆動タイミングT1における速度V2になったか否かが判断される。ステップS44において、駆動タイミングT1である場合にはステップS45に進みエンジン4を始動させた後、同時加熱制御処理を終了しステップS7に進む。また、ステップS44において、駆動タイミングT1でない場合にはステップS44を繰り返す。
【0071】
図5に示すように、ステップS3からステップS4ではなくステップS5に進んだ場合、ステップS5では、HV駆動用バッテリ残量が所定バッテリー残量B3以下になったか否かが判断される。ステップS5において、HV駆動用バッテリ残量が所定バッテリー残量B3以下になった場合にはステップS6に進み順番加熱制御処理が行われ、HV駆動用バッテリ残量が所定バッテリー残量B3を超えていた場合にはステップS7に進む。
【0072】
図8を参照して、順番加熱制御処理(ステップS6のサブルーチン)について説明する。順番加熱制御処理は、複数の気筒42に対応するヒータ61に順番に低加熱電流Dを流す処理である。
【0073】
ステップS61では、吸気開始気筒53に対応する第1ヒータ61aの加熱が開始される。ステップS62において、第1ヒータ61aの加熱が完了したか否かが判断される。すなわち、第1ヒータ61aに低加熱電流Dを流してから所定時間経過したか否かが判断される。第1ヒータ61aの加熱が完了した場合にはステップS63に進み、第1ヒータ61aの加熱が完了していない場合にはステップS61に戻る。ステップS63では、吸気開始気筒53の次に吸気工程が開始される第2気筒42bに対応する第2ヒータ61bの加熱が開始される。ステップS64において、第2ヒータ61bの加熱が完了したか否かが判断される。すなわち、第2ヒータ61bに低加熱電流Dを流してから所定時間経過したか否かが判断される。第2ヒータ61bの加熱が完了した場合にはステップS65に進み、第2ヒータ61bの加熱が完了していない場合にはステップS63に戻る。
【0074】
ステップS65では、第2気筒42bの次に吸気工程が開始される第3気筒42cに対応する第3ヒータ61cの加熱が開始される。ステップS66において、第3ヒータ61cの加熱が完了したか否かが判断される。すなわち、第3ヒータ61cに低加熱電流Dを流してから所定時間経過したか否かが判断される。第3ヒータ61cの加熱が完了した場合にはステップS67に進み、第3ヒータ61cの加熱が完了していない場合にはステップS65に戻る。ステップS67では、第3気筒42cの次に吸気工程が開始される第4気筒42dに対応する第4ヒータ61dの加熱が開始される。ステップS68において、第4ヒータ61dの加熱が完了したか否かが判断される。すなわち、第4ヒータ61dに低加熱電流Dを流してから所定時間経過したか否かが判断される。第4ヒータ61dの加熱が完了した場合にはステップS69に進み、第4ヒータ61dの加熱が完了していない場合にはステップS67に戻る。
【0075】
ステップS69において、燃料加熱用制御部62では、HV駆動用バッテリ残量が下側しきい値B2以下か否かが判断される。ステップS69において、下側しきい値B2以下である場合にはステップS70に進みエンジン4を始動させた後、順番加熱制御処理を終了しステップS7に進む。また、ステップS69において、HV駆動用バッテリ残量が下側しきい値B2以下でない場合にはステップS69を繰り返す。
【0076】
図5に示すように、ステップS4、ステップS5またはステップS6からステップS7に進んだ場合、ステップS7では、気筒温度が加熱停止温度STか否かが判断される。ステップS7において、気筒温度が加熱停止温度STであると判断された場合には、ステップS8に進みヒータ61の加熱を停止させた後ステップS9に進む。ステップS7において、気筒温度が加熱停止温度STでないと判断された場合にはステップS9に進む。
【0077】
ステップS9では、モータ走行に切り替えるか否かが判断される。ステップS9において、モータ走行に切り替える場合には、ステップS10に進みエンジン4を停止させ、ステップS11に進む。そして、エンジン用制御部5では、クランクセンサ44およびカムセンサ46の計測値に基づいて、吸気開始気筒53が判別される。この吸気開始気筒53をエンジン用制御部5の記憶部52に記憶させた後に、燃料加熱制御処理を終了する。ステップS9において、モータ走行に切り替えない場合には、そのまま燃料加熱制御処理を終了する。
【0078】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0079】
第1実施形態では、上記のように、燃料加熱用制御部62を、走行用モータ3による走行が行われている状態において、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前の所定タイミングT2に基づいて、ヒータ61の加熱を開始するように構成する。これにより、エンジン4を始動させる駆動タイミングT1よりも前から、ヒータ61を暖めておくことができるので、走行用モータ3による走行が行われている状態において、ヒータ61により燃焼室142に供給される燃料を十分に加熱することができる。したがって、十分に暖められた燃料によりエンジン4の燃焼を行うことができる。この結果、走行用モータ3による走行が行われている状態で、エンジン4を始動させる際にも、燃料が着火しにくくなることに起因する燃費の悪化を抑制することができる。また、走行用モータ3による走行が行われている状態において、ヒータ61により燃焼室142に供給される燃料を十分に加熱することができるので、エンジン4を始動させる際にも、燃料が着火しにくくなることに起因する排気物質の増加を抑制することができる。また、走行用モータ3による走行が行われている状態において、ヒータ61により燃焼室142に供給される燃料を十分に加熱することができるので、燃料を十分に気化させることができる。この結果、走行用モータ3による走行が行われている状態で、エンジン4を始動させる際にも、燃料の粒径を十分に小さくすることができるので、燃料を容易に着火させることができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、気筒42を、複数並んで配置する。ヒータ61を、複数の気筒42の各々に対応して複数配置する。燃料加熱用制御部62を、所定タイミングT2に基づいて、ヒータ61による加熱を開始するとともに、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前に複数のヒータ61の加熱を完了する制御を行うように構成する。これにより、複数のヒータ61のにおいて、所定タイミングT2から開始されたヒータ61による加熱を、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前に完了させることにより、複数の気筒42の燃焼室142において十分に暖められた燃料によりエンジン4の燃焼を行うことができる。この結果、複数の気筒42が配置された場合でも、走行用モータ3による走行が行われている状態で、エンジン4を始動させる際に、燃料が着火しにくくなることに起因する燃費の悪化を確実に抑制することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、燃料加熱用制御部62を、所定タイミングT2として速度が所定速度V1であることに基づいて、複数のヒータ61の加熱を開始する制御を行うように構成する。これにより、速度が所定速度V1になりモータ走行からエンジン走行に切り替わる際に、複数のヒータ61の加熱を開始する制御を行う燃料加熱用制御部62により、複数の気筒42の各々の燃焼室142に供給される燃料を加熱することができる。したがって、複数の気筒42のいずれにおいても十分に加熱した燃料により燃焼を行う準備を同時に整えることができる。この結果、複数の気筒42のいずれにおいても燃焼室142内で燃焼行程を行わせることができるので、モータ走行からエンジン走行への切り替えを即座に行うことができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、燃料加熱用制御部62を、所定タイミングT2としてバッテリー1が所定バッテリー残量B3以下であることに基づいて、複数のヒータ61の加熱を開始する制御を行うように構成する。これにより、複数のヒータ61の加熱を開始する制御を行う燃料加熱用制御部62により、複数のヒータ61に別々に電流を流すことができるので、複数のヒータ61の各々に必要最低限の電流を流して加熱を行うことができる。この結果、バッテリー1の急激な電力消費を抑制することができるので、バッテリー1の電力消費を抑制した状態で複数のヒータ61を加熱させることができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、燃料加熱用制御部62を、複数のヒータ61の加熱を開始する制御を行った後、エンジン4の駆動によりバッテリー1を充電するとともに、バッテリー1から供給される電力により走行用モータ3を駆動する制御を行うように構成する。これにより、バッテリー1を充電しつつバッテリー1による走行用モータ3の駆動を行うことにより、走行用モータ3による駆動可能な時間を延ばすことができるので、バッテリー1の容量を増加させることなく走行用モータ3によるモータ走行の航続距離を増加させることができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、燃料加熱用制御部62を、走行用モータ3による走行が行われている状態において、一定時間経過ごとに、複数のヒータ61の各々の抵抗発熱体に電流を供給することにより、複数の気筒42の各々の温度を取得する制御を行うように構成する。これにより、一定時間経過ごとに複数の気筒42の各々の温度を更新することができるので、ヒータ61に供給される電流を適切な電流値に調節することができる。
【0085】
[第2実施形態]
次に、
図1および
図9を参照して、第2実施形態の燃料加熱装置206について説明する。詳細には、モータ駆動時の燃料加熱処理を行う燃料加熱用制御部62を備える第1実施形態の燃料加熱装置6とは異なり、第2実施形態の燃料加熱装置206では、停車した状態からエンジン始動を行う際、燃料加熱処理が行われている。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0086】
図1に示すように、第2実施形態のハイブリッド車両10は、複数種類(2種類)の駆動源の少なくともいずれかを用いて走行するように構成されている。具体的には、ハイブリッド車両10は、バッテリー1と、バッテリー用制御部2と、走行用モータ3と、発電用モータ41を含むエンジン4と、エンジン用制御部5と、燃料加熱装置206と、補機バッテリ(図示せず)とを備えている。
【0087】
燃料加熱装置206は、ハイブリッド車両10において、エンジン4が冷え切っている際に、ヒータ61(特許請求の範囲の「燃料加熱部」の一例)により気筒温度を上昇させて燃料を所望の温度(約110℃)にするように構成されている。詳細には、燃料加熱装置206は、長時間停車した後、エンジン4を始動させる際に、インジェクタ47から噴射される燃料をヒータ61により加熱することにより、気筒温度を上昇させるように構成されている。
【0088】
具体的には、燃料加熱装置206は、ヒータ61と、燃料加熱用制御部262(特許請求の範囲の「制御部」の一例)とを含んでいる。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0089】
(エンジン始動時加熱熱制御処理)
以下に、
図9を参照して、燃料加熱用制御部262によるエンジン始動時加熱制御処理について説明する。エンジン始動加熱制御処理は、HV駆動用バッテリー残量が十分にある状態において、長時間の停車に起因して補機バッテリの補機用バッテリー残量が少なくなった場合に、エンジン始動前にあらかじめヒータ61の加熱を開始させておく処理である。ここで、長時間の停車後にエンジン4を始動させる必要がある状況として、エアコンなどを使用する状況が考えられる。
【0090】
ステップS201において、燃料加熱用制御部262では、補機用バッテリーの補機用バッテリー残量が第1バッテリ残量以下か否かが判断される。補機用バッテリー残量が第1バッテリ残量を超える場合、ステップS204に進む。また、補機用バッテリー残量が第1バッテリ残量以下の場合、ステップS202に進み順番加熱制御処理を行った後、ステップS203においてエンジン4が始動される。そして、エンジン始動加熱制御処理が終了する。
【0091】
ステップS204において、補機用バッテリー残量が第2バッテリ残量以上か否かが判断される。補機用バッテリー残量が第2バッテリ残量未満の場合、ステップS201に戻る。また、補機用バッテリー残量が第2バッテリ残量以上の場合、ステップS205に進み同時加熱制御処理を行った後、ステップS203においてエンジン4が始動される。そして、エンジン始動加熱制御処理が終了する。なお、第2バッテリ残量は、第1バッテリ残量よりも大きい。
【0092】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0093】
第2実施形態では、上記のように、燃料加熱用制御部262を、走行用モータ3による走行が行われている状態において、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前の所定タイミングT2に基づいて、ヒータ61の加熱を開始するように構成する。これにより、走行用モータ3による走行が行われている状態で、エンジン4を始動させる際にも、燃料が着火しにくくなることに起因する燃費の悪化を抑制することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態の効果と同様である。
【0094】
[第3実施形態]
次に、
図1および
図10を参照して、第3実施形態の燃料加熱装置306について説明する。詳細には、モータ駆動時の燃料加熱処理を行う燃料加熱用制御部62を備える第1実施形態の燃料加熱装置6とは異なり、第3実施形態の燃料加熱装置306では、エンジン始動直後に急加速を行う際、燃料加熱処理が行われている。なお、第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0095】
図1に示すように、第3実施形態のハイブリッド車両10は、複数種類(2種類)の駆動源の少なくともいずれかを用いて走行するように構成されている。具体的には、ハイブリッド車両10は、バッテリー1と、バッテリー用制御部2と、走行用モータ3と、発電用モータ41を含むエンジン4と、エンジン用制御部5と、燃料加熱装置306とを備えている。
【0096】
燃料加熱装置306は、ハイブリッド車両10において、エンジン4が冷え切っている際に、ヒータ61(特許請求の範囲の「燃料加熱部」の一例)により気筒温度を上昇させて燃料を所望の温度(約110℃)にするように構成されている。詳細には、燃料加熱装置306は、エンジン始動直後において、急加速(急激にアクセルを踏むなど)を行うことに起因してエンジンが駆動する場合、同時加熱制御処理により燃料を加熱するように構成されている。
【0097】
具体的には、燃料加熱装置6は、ヒータ61と、燃料加熱用制御部362(特許請求の範囲の「制御部」の一例)とを含んでいる。ここで、燃料加熱用制御部362では、エンジン始動から時間があまり経過していないため、エンジン4の暖気完了していない場合において、気筒温度が所望の温度になったとしても、急加速に伴ってエンジン4に大量の空気が流入することに起因してインテークマニホールド48の温度が低下するので、同時加熱制御処理により燃料が加熱される。また、燃料加熱用制御部362では、加速完了後において、エンジン4の暖気が完了していない場合、ヒータ61による保温がインテークマニホールド48の保温が行われる。なお、第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0098】
(エンジン始動時加熱熱制御処理)
以下に、
図10を参照して、燃料加熱用制御部362によるエンジン始動後加熱制御処理について説明する。エンジン始動後加熱制御処理は、エンジンの暖気が完了していない状態で、急加速をした場合に、ヒータ61の加熱を開始させておく処理である。
【0099】
ステップS301において、エンジン4が始動する。ステップS302において、運転手により急加速がされたか否かが判断される。急加速がされた場合には、ステップS303に進む。急加速がされていない場合には、エンジン始動後加熱制御処理が終了する。
【0100】
ステップS303において、エンジン4の暖気が完了したか否かが判断される。エンジン4の暖気が完了している場合には、エンジン始動後加熱制御処理が終了する。エンジン4の暖気が完了していない場合には、ステップS304に進む。
【0101】
ステップS304において、HV駆動用バッテリー残量が上側しきい値以上か否かが判断される。HV駆動用バッテリー残量が上側しきい値以上の場合には、ステップS305に進み、同時加熱制御処理を行った後、エンジン始動後加熱制御処理が終了する。HV駆動用バッテリー残量が上側しきい値未満の場合には、エンジン始動後加熱制御処理が終了する。
【0102】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0103】
第3実施形態では、上記のように、燃料加熱用制御部362を、走行用モータ3による走行が行われている状態において、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前の所定タイミングT2に基づいて、ヒータ61の加熱を開始するように構成する。これにより、走行用モータ3による走行が行われている状態で、エンジン4を始動させる際にも、燃料が着火しにくくなることに起因する燃費の悪化を抑制することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態の効果と同様である。
【0104】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0105】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、燃料加熱用制御部62(262、362:制御部)は、所定タイミングT2に基づいて、ヒータ61(燃料加熱部)による加熱を開始するとともに、エンジン4の駆動タイミングT1よりも前に複数のヒータ61(燃料加熱部)の全てにおいて加熱を完了する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、所定タイミングに基づいて、燃料加熱部による加熱を開始するとともに、エンジンの駆動タイミングと同時に複数の燃料加熱部の全てにおいて加熱を完了する制御を行うように構成されていてもよい。
【0106】
また、上記第1~第3実施形態では、燃料加熱用制御部62(262、362:制御部)は、走行用モータ3による走行が行われている状態において、一定時間経過ごとに、複数のヒータ61(燃料加熱部)の各々の抵抗発熱体に電流を供給することにより、複数の気筒42の各々の温度を取得する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、走行用モータによる走行が行われている状態において、不定期に、複数の燃料加熱部の各々の抵抗発熱体に電流を供給することにより、複数の気筒の各々の温度を取得する制御を行うように構成されていてもよい。
【0107】
また、上記第1~第3実施形態では、ヒータ61(燃料加熱部)は、インジェクタ47から吸気通路内に導入された燃料を気化するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、燃料加熱部は、インジェクタに供給される燃料を直接加熱するように構成されていてもよい。
【0108】
また、上記第1~第3実施形態では、同時加熱制御と順番加熱制御とは、別々に行われている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、同時加熱制御と順番加熱制御とを組み合わせた制御が行われてもよい。
【0109】
また、上記第1~第3実施形態では、説明の便宜上、燃料加熱用制御部62(262、362:制御部)の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 バッテリー
3 走行用モータ
4 エンジン
6、206、306 燃料加熱装置
10 ハイブリッド車両
42 気筒
61 ヒータ(燃料加熱部)
62、262、362 燃料加熱用制御部(制御部)
142 燃焼室
B3 所定バッテリー残量
T1 駆動タイミング
T2 所定タイミング
V1 所定速度