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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034396
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】身体の洗浄方法及び水処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20220224BHJP
   A45D 19/02 20060101ALI20220224BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220224BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220224BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20220224BHJP
   C02F 1/70 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
A61K8/19
A45D19/02 Z
A61Q19/10
A61Q5/02
C02F1/42 B
C02F1/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138167
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石橋 里奈
(72)【発明者】
【氏名】竹田 はつ美
(72)【発明者】
【氏名】中山 幹子
(72)【発明者】
【氏名】前田 憲寿
【テーマコード(参考)】
4C083
4D025
4D050
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB052
4C083CC23
4C083CC31
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083FF01
4D025AA02
4D025AB19
4D025BA09
4D025BB11
4D025DA03
4D025DA10
4D050AA04
4D050AB45
4D050BA06
4D050BD03
4D050CA08
(57)【要約】
【課題】硬度を低減させた水を用いて洗浄することによる効果を得つつ、コストを低減し、また、硬度成分を低減させる機器の管理を容易にする。
【解決手段】本発明の身体の洗浄方法は、水を用いて身体を洗浄する第1洗浄工程と、硬度低減材によって第1洗浄工程で用いた水より硬度を低減させる処理をした水を用いて、前記第1洗浄工程において洗浄された身体をさらに洗浄する第2洗浄工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を用いて身体を洗浄する第1洗浄工程と、
硬度低減材によって前記第1洗浄工程で用いた水より硬度を低減させる処理をした水を用いて、前記第1洗浄工程において洗浄された身体をさらに洗浄する第2洗浄工程と、
を含む身体の洗浄方法。
【請求項2】
前記第2洗浄工程は、前記第1洗浄工程の後から洗浄の最後まで行なう請求項1に記載の身体の洗浄方法。
【請求項3】
前記第2洗浄工程で用いる前記水として、水に含まれる塩素を低減する残留塩素低減材による処理をさらに行なった水を用いる請求項1又は2に記載の身体の洗浄方法。
【請求項4】
前記第2洗浄工程では、前記残留塩素低減材で処理した後の水を前記硬度低減材で処理した水を用いる請求項3に記載の身体の洗浄方法。
【請求項5】
前記残留塩素低減材は亜硫酸カルシウムを用いて水に含まれる塩素を低減するものである、請求項3又は4に記載の身体の洗浄方法。
【請求項6】
前記第2洗浄工程では、少なくとも髪を洗浄し、髪1gに対して1分間あたりに洗浄に用いる水に含まれるCaイオンの量が、100mg/min・g以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の身体の洗浄方法。
【請求項7】
水に含まれる塩素を低減する残留塩素低減材を有する残留塩素低減機器と、
前記残留塩素低減機器で処理した後の水の硬度を低減する硬度低減材を有する硬度低減機器と、
を備え、
前記残留塩素低減材は亜硫酸カルシウムである、水処理装置。
【請求項8】
前記硬度低減機器は前記硬度低減材を収容するカートリッジを備え、
前記残留塩素低減機器は前記残留塩素低減材を収容するカートリッジを備え、
前記残留塩素低減材を収容するカートリッジと、前記硬度低減材を収容するカートリッジとは、それぞれ独立して交換可能である、請求項7に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記硬度低減材から1分間に得られる処理水に含まれるCaイオンの量が、100mg/min・g以下に調節可能である、請求項7又は8に記載の水処理装置。
【請求項10】
吐水する水を、前記硬度低減材で処理した水と、前記硬度低減材で処理しない水とで、切り替える切替部を備える請求項7~9のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項11】
前記切替部は、前記残留塩素低減材及び前記硬度低減材で処理した水と、前記残留塩素低減材で処理し前記硬度低減材で処理しない水とで、吐水する水を切り替えるものである、請求項10に記載の水処理装置。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか1項に記載の水処理装置を備える洗髪器。
【請求項13】
請求項7~11のいずれか1項に記載の水処理装置を備える洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の洗浄方法及び水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には多価陽イオンが除去されかつナトリウムイオンが付与された機能水を洗髪時のすすぎ水として用いる洗髪方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には、カルシウム濃度、マグネシウム濃度が小さい軟水であり、かつ、塩素成分を除去した美容防汚水を洗顔や洗髪に用いる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-239583号公報
【特許文献2】特開2000-005748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗髪時の全てに硬度を低減させた水を用いると、硬度成分を低減するための除去剤を頻繁に交換する必要が生じる。これではコストが大きく、また、硬度成分を低減する機器の管理の手間が増える。
【0006】
また、本発明者らは、例えばカルシウム(Ca)イオン等の硬度成分が身体に残存したまま乾燥させることで身体に悪影響を及ぼす虞があることを見出した。
【0007】
本発明の一態様の目的は、硬度成分が身体に残存することによる悪影響を低減し、かつ、コストを低減して、また、硬度成分を低減させる機器の管理を容易にする、身体の洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る身体の洗浄方法は、水を用いて身体を洗浄する第1洗浄工程と、硬度低減材によって前記第1洗浄工程で用いた水より硬度を低減させる処理をした水を用いて、前記第1洗浄工程において洗浄された身体をさらに洗浄する第2洗浄工程と、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る水処理装置は、水に含まれる塩素を低減する残留塩素低減材を有する残留塩素低減機器と、前記残留塩素低減機器で処理した後の水の硬度を低減する硬度低減材を有する硬度低減機器と、を備え、前記残留塩素低減材は亜硫酸カルシウムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、硬度を低減させた水を用いて洗浄することによる効果を得つつ、コストを低減し、また、硬度成分を低減させる機器の管理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る水処理装置の構造を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る水処理装置の構造を模式的に示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る水処理装置の構造を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る水処理装置の構造を模式的に示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る水処理装置の構造を模式的に示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る水処理装置の構造を模式的に示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る水処理装置の構造を模式的に示す図である。
図8】本発明の実施例の結果を示す図である。
図9】本発明の実施例の結果を示す図である。
図10】本発明の実施例の結果を示す図である。
図11】本発明の実施例の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<身体の洗浄方法>
本発明に係る身体の洗浄方法の一態様は、水を用いて身体を洗浄する第1洗浄工程と、硬度低減材によって第1洗浄工程で用いた水より硬度を低減させる処理をした水を用いて、前記第1洗浄工程において洗浄された身体をさらに洗浄する第2洗浄工程と、を含む。例えば、本発明の一態様によれば、途中までは、硬度低減材による処理をしていない水、又は、硬度を低減する処理をするとしても後の第2洗浄工程で用いる水ほど硬度を低減させていない水を用いて、身体を洗浄する。その後、第1洗浄工程で用いる水よりも低い硬度となるように硬度低減材による処理によって硬度を低減させて軟水化した水で洗浄する。これによって、洗浄の全てを第2洗浄工程で用いる水と同じ硬度まで低減させた水で行なう場合に比べて、硬度低減材を交換する頻度を減らすことができる。よって、洗浄にかかるコストを低減し、また、硬度低減材を用いる機器の管理を容易にすることができる。また、本発明の一態様によれば、第1洗浄工程で用いた水によって身体上に残存していた硬度成分を、第2洗浄工程によって洗い流すことができるので、硬度成分が身体上に残存することの影響を低減させる効果が得られる。
【0013】
〔身体〕
本発明の一態様において、洗浄の対象とする身体の態様は限定されず、洗浄の目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、ヒト、愛玩動物、家畜動物等の毛髪、肌等が挙げられる。また、洗浄によって除去する対象も特に限定されず、例えば、汚れを除去するために使用した後に身体上に残存する洗剤等が挙げられる。
【0014】
〔水〕
洗浄に用いる原水は特に限定されず、例えば、水道水、井戸水など適宜選択すればよい。また、水の温度は適宜設定すればよく、冷水でも温水(湯)でもよい。
【0015】
〔第1洗浄工程〕
第1洗浄工程は、水を用いて身体を洗浄する。当該水の硬度は後述する第2洗浄工程で用いる水の硬度より高い。例えば、第1洗浄工程では、水の硬度を低減する硬度低減材で処理をしていない水を用いてもよく、処理をする場合でも、第2洗浄工程で用いる水の硬度までは硬度を低減させない処理をした水を用いてもよい。また、例えば、第1洗浄工程の前に、又は、第1洗浄工程の一部として、洗剤を使用して身体上の汚れを除去してもよい。その後、身体上の洗剤をすすぐために、例えば、硬度低減材による処理をしていない水を用いて身体を洗浄すればよい。第1洗浄工程を終了させる条件は特に限定されない。本発明の一態様では、洗浄の途中から、後述の第2洗浄工程を行なえばよいので、第1洗浄工程は、例えば、身体上の洗剤が無くなるまでなど所望の時間行えばよい。また、身体に対して水を吐出する器具は目的に応じて適宜選択すればよく、例えばシャワー装置等を用いればよい。
【0016】
〔第2洗浄工程〕
第2洗浄工程では、水の硬度を低減する硬度低減材によって、第1洗浄工程で用いた水より硬度を低減させる処理をした水を用いて第1洗浄工程において洗浄された身体をさらに洗浄する。身体上に残存していた硬度成分を、硬度を低減した水を用いて洗うことによって除去して、洗浄を終えることができる。よって、硬度成分が残存したまま身体を乾燥することによって、例えば毛髪の光沢低下等の身体に与える悪影響を低減することができる。第2洗浄工程は、全洗浄工程後に身体上に残存する硬度成分をより低減させる観点から、第1洗浄工程の後から洗浄の最後まで行なうことが好ましい。また、身体に対して水を吐出する器具は目的に応じて適宜選択すればよく、例えばシャワー装置等を用いればよい。また、第1洗浄工程において水を吐出する器具と第2洗浄工程において水を吐出する器具とは、同一であってもよく、異なっていてもよく、硬度の低減処理等を行ない得ればよい。
【0017】
(硬度低減材)
硬度低減材としては、水に含まれる硬度成分を低減するものを用いればよい。例えば、従来公知の硬度成分の低減材を用いればよい。硬度成分としては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンが挙げられる。硬度成分の低減材としては、例えば、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート繊維等が挙げられる。中でも、硬度成分の除去性能及び取扱い性より、イオン交換樹脂が好ましく、陽イオン交換樹脂がより好ましい。陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基等の強酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、カルボキシ基等の弱酸基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂等が挙げられる。中でも、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。陽イオン交換樹脂としては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、オルガノ株式会社製「アンバージェット」、「アンバーライト」;三菱化学株式会社製「ダイヤイオン」等が挙げられる。硬度成分の低減材としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。硬度低減材は、カートリッジ式に交換可能な容器等に収容されていてもよい。
【0018】
(残留塩素低減材)
第2洗浄工程では、水に含まれる塩素を低減する残留塩素低減材によって処理した水を用いてもよい。つまり、第2洗浄工程では、硬度低減材及び残留塩素低減材の両方で処理した水を用いることがより好ましい。遊離残留塩素を除去した水を用いることで、水の蒸気の臭いを低減し、また、塩素によって肌に与えられるピリピリとした感覚を取り除くことができる。また、髪の光沢低下を低減させることもできる。
【0019】
残留塩素低減材は、水に含まれる塩素成分を低減するものを用いればよく、例えば、従来公知の脱塩素剤が挙げられる。脱塩素剤としては、例えば、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸、活性炭等が挙げられる。中でも、脱塩素剤としては、塩素除去性能及び取扱い性より、亜硫酸カルシウムが好ましい。亜硫酸カルシウムは、水に含まれる塩素成分を迅速に低減することができるので、シャワー等の流量の多い洗浄機器を用いる場合に好適である。また、亜硫酸カルシウムは、常温でも利用可能であり、また、活性炭の場合に比べて温かい水に対しても好適に利用可能である。そのため、温水シャワーに用いる場合は亜硫酸カルシウムは特に好ましい。脱塩素剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。残留塩素低減材は、カートリッジ式に交換可能な容器等に収容されていてもよい。
【0020】
また、第2洗浄工程では、残留塩素低減処理を行い、次に、硬度低減処理を行なった水を用いることがより好ましい。塩素成分が除去された水を硬度成分の低減材に供することにより、塩素成分が、イオン交換樹脂等の硬度成分の低減材に与える影響を低減できる。従って、硬度成分の低減材をより長持ちさせることができ、硬度低減材の寿命を長くすることができる。例えば、塩素成分によるイオン交換樹脂の劣化を低減させることができる。また、脱塩素剤として亜硫酸カルシウムを用いた場合、脱塩素の際に溶出するCaイオンを硬度低減材で低減できるので、第2洗浄工程で用いる水の硬度をより低くすることができる。
【0021】
第2洗浄工程で洗浄に用いる水の流量は特に限定されないが、髪1gに対して1分間あたりに洗浄に用いる水に含まれるCaイオンの量が、100mg/min・g以下となるようにすることがより好ましい。例えば、当該水量が2L/minである場合においてCaイオンの量が100mg/min・g以下になることがより好ましい。当該Caイオンの量の下限値は特に限定されず、低ければ低いほどよい。洗浄で用いる水に含まれるCaイオンの量をこのように少なくすることにより、Caイオンが身体上に残存することによる身体への悪影響を低減することができる。なお、上述のイオン交換樹脂等の硬度成分の低減材を用いれば、当業者であれば容易にCaイオンの量を上記の範囲に調整することができる。
【0022】
第2洗浄工程を行なう時間は特に限定されない。例えば、第1洗浄工程で用いた水を洗い流す観点から、洗浄対象の身体の部位全体に水を当てることのできる時間であることがより好ましい。このような時間として、例えば5分以下が挙げられる。このような短時間でも、硬度成分が身体上に残存することによる悪影響を低減する効果を得ることができる。また、その他に、第2洗浄工程を行なうための条件は適宜に設定できる。例えば、時間、流量などを、洗浄対象の部位の単位面積当たり、又は、毛等の単位重量当たりに設定してもよい。
【0023】
〔その他の工程〕
本発明の一態様に係る身体の洗浄方法は、第1洗浄工程及び第2洗浄工程以外の工程を適宜含んでもよい。例えば、第1洗浄工程の前に洗剤で身体を洗う工程、第2洗浄工程の後に洗浄以外の後処理をする工程が挙げられる。後処理としては、例えば、乾燥工程が挙げられる。
【0024】
<水処理装置の実施形態1>
本発明に係る水処理装置の一実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明に係る水処理装置の一実施形態である水処理装置10を備えるシャワー装置100の構造を模式的に示す図である。シャワー装置100は吐水口1、水処理装置10及び開閉弁13を備える。また、シャワー装置100は湯水元栓14に接続されている。
【0025】
吐水口1は水をシャワー状に吐水する構造を有している。吐水口1は水処理装置10で処理された水を吐水する。湯水元栓14において湯が出るようにした場合は吐水口1から湯が出て、湯水元栓14において冷水が出るようにした場合は吐水口1から冷水が出る。吐水口1から出る水の温度は、図示しない加温機能等を用いて調整可能であってもよい。
【0026】
水処理装置10は硬度低減機器11及び残留塩素低減機器12を備える。硬度低減機器11は硬度低減材を有する。残留塩素低減機器12は残留塩素低減材として亜硫酸カルシウムを有する。硬度低減材及び残留塩素低減材についての説明は、残留塩素低減材が亜硫酸カルシウムであること以外は、本発明に係る身体の洗浄方法の一態様において用いる硬度低減材及び残留塩素低減材についての説明に準ずる。
【0027】
硬度低減機器11は、水の硬度を低減する硬度低減材を有する機器である。機器の具体的な構成は、硬度低減材に水を接触させることのできる構成であればよい。例えば、硬度成分の低減材を容器に収容する構造が挙げられる。当該容器は、外部から供給される水を内部の硬度低減材に接触させることができる構造を有していればよい。例えば、当該容器の壁面にスリットが設けられていたり、外部から内部に水を導く配管が設けられていたりしてもよい。
【0028】
残留塩素低減機器12は、水に含まれる塩素を低減する残留塩素低減材を有する機器である。機器の具体的な構成は、残留塩素低減材に水を接触させることのできる構成であればよい。例えば、脱塩素剤を容器に収容する構造が挙げられる。当該容器は、外部から供給される水を内部の脱塩素剤に接触させることができる構造を有していればよい。例えば、当該容器の壁面にスリットが設けられていたり、外部から内部に水を導く配管が設けられていたりしてもよい。
【0029】
また、硬度低減機器11は硬度低減材をカートリッジ式に交換可能であり、残留塩素低減機器12は残留塩素低減材をカートリッジ式に交換可能である。また、硬度低減機器11のカートリッジと、残留塩素低減機器12のカートリッジとは、それぞれ独立して交換可能である。残留塩素低減材の寿命と硬度低減材の寿命とは、処理対象の水質等によって異なるため、それぞれを交換可能とすることで、寿命が尽きた方のカートリッジのみを交換することができる。よって、水処理装置10の維持コストをより低減することができる。例えば、亜硫酸カルシウムと陽イオン交換樹脂のろ過能力とは、一般に大きく異なる。つまり、亜硫酸カルシウムは少量で脱塩素可能だが、イオン交換樹脂は軟水化するために多量に必要である。そこで本実施形態によれば、亜硫酸カルシウムの破過点が来た場合、イオン交換樹脂とは独立して亜硫酸カルシウムのカートリッジのみを交換すればよいため、硬度低減処理が可能なイオン交換樹脂を引き続き使用することができ、維持管理コストを抑制することができる。また、脱塩素の効率とは独立してイオン交換樹脂の量を調整できるので、脱塩素効率を考慮せずに所望の程度まで軟水化させることができる。また、イオン交換樹脂のカートリッジを変更する必要が生じた場合、亜硫酸カルシウムのカートリッジとは独立してイオン交換樹脂のカートリッジのみを交換すればよいため、残留塩素低減処理が可能な亜硫酸カルシウムのカートリッジを引き続き使用することもできる。
【0030】
また、硬度低減機器11及び残留塩素低減機器12は、水の配管上にそれぞれ独立して別体で設けられている。また、図1に示すように、残留塩素低減機器12で処理した後の水が、硬度低減機器11に供給されるように接続されている。つまり、残留塩素低減機器12で処理された水は、一度配管を通って、硬度低減機器11に供給される。
【0031】
また、硬度低減機器11から1分間に得られる処理水に含まれるCaイオンの量が、100mg/min以下となるように調節可能であってもよい。かかる調節は、イオン交換樹脂等の硬度低減材の量を調節することにより実現してもよいし、後述する開閉弁13を流量も調節可能な構成としたうえで、流量を調節することで、当該Caイオンの量を調節してもよい。このような構成によれば、上述した、第2洗浄工程の好ましい形態の一つである、髪1gに対して、100mg/min・g以下とする形態を容易に実施できる。
【0032】
開閉弁13は、湯水元栓14から供給される水を水処理装置10に供給したり止めたりするための弁である。使用者は開閉弁13を操作することによって、吐水口1から出水させたり止水させたりすることができる。また、開閉弁は水量を調節できてもよい。
【0033】
湯水元栓14は、水処理装置10に供給する水の元栓である。湯水元栓14は、予め温められた湯と温められていない水とを分けて出す栓であってもよく、湯水元栓14自体が、又は外付けで水を加温するための機能を有しており、温度を調整した水を出す栓であってもよい。
【0034】
シャワー装置100は、以上の構成を有することにより、湯水元栓14から出した水が残留塩素低減機器12によって処理され、その後、硬度低減機器11によって処理される。よって、吐水口1から残留塩素及び硬度が低減された水が吐水される。シャワー装置100を本発明に係る洗髪方法に用いる場合は、シャワー装置100を用いて第2洗浄工程を行えばよい。
【0035】
<水処理装置の実施形態2>
本発明の水処理装置の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、これまで説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0036】
図2に示すように、シャワー装置200は水処理装置20を備えている。水処理装置20は、実施形態1のように硬度低減機器21と残留塩素低減機器22との間に配管が無く、一つの筐体に硬度低減機器21及び残留塩素低減機器22が格納されている点で水処理装置10と異なる。その他の点は実施形態1の説明に準ずる。
【0037】
硬度低減機器21及び残留塩素低減機器22は、一つの筐体内に格納されている。また、当該筐体内で、硬度低減機器21と残留塩素低減機器22との間には仕切りが設けられている。これにより、硬度低減機器21と残留塩素低減機器22との位置する区画が分けられて、筐体内に収容されている。このような構成によって、硬度低減機器11のカートリッジと、残留塩素低減機器12のカートリッジとは、それぞれ独立して交換可能である。
【0038】
<水処理装置の実施形態3>
本発明の水処理装置の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、これまで説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0039】
図3に示すように、シャワー装置300は水処理装置30を備えている。水処理装置30は、切替弁15(切替部)及び切替弁16(切替部)を備える点で水処理装置10と異なる。その他の点は実施形態1の説明に準ずる。
【0040】
切替弁15は開閉弁13を開くことによって供給されてくる水を、吐水口1に直接供給するか、残留塩素低減機器12に供給するかを切り替えるための弁である。
【0041】
切替弁16は残留塩素低減機器12から供給されてくる水を、吐水口1に供給するか、硬度低減機器11に供給するかを切り替えるための弁である。
【0042】
水処理装置30は、切替弁15及び切替弁16を備えることにより、吐水口1から吐水する水を、残留塩素低減機器12及び硬度低減機器11で処理した水と、残留塩素低減機器12で処理し硬度低減機器11で処理しない水と、湯水元栓14から供給される原水とで、切り替える。このような構成により、使用者は、出水する水を選択することができる。従って、第2洗浄工程を行なうための水を最終洗浄時のみに容易に選択可能とすることができる。これにより、カートリッジの交換頻度を下げたり、コンパクト化したりすることができる。
【0043】
使用者による、切替弁15、16の操作方法は特に限定されない。切替弁15、16を操作するためのスイッチ(図示せず)を、例えばシャワーヘッド、シャワー装置300とは別体のコントロール装置に設けるなどすればよい。これらの形態であれば、使用者は容易に吐水口1から所望の水が出るように切り替えることができる。
【0044】
なお、本発明の一態様における水処理装置が備える切替部は、本実施形態の構成に限定されず、吐水する水を、硬度低減機器で処理した水と、硬度低減機器で処理しない水とで、切り替えるものであればよい。例えば、残留塩素低減機器及び硬度低減機器のいずれでも処理しない原水そのままの吐水と、硬度低減機器のみで処理した水の吐水とを切り替えてもよい。例えば、本実施形態においても、残留塩素低減機器12で処理されない水を硬度低減機器11に供給するように切替弁を設けてもよい。具体的には、切替弁15から吐水口1に直接つながる配管と、切替弁16から硬度低減機器11を通さずに吐水口1に水を導くための配管との合流地点に別の切替部を設けて、切替弁15から吐水口1方向に導かれた水を、別の切替部によって硬度低減機器11に導いてもよい。
【0045】
<水処理装置の実施形態4>
本発明の水処理装置の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、これまで説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0046】
図4に示すように、シャワー装置400は水処理装置40を備えている。シャワー装置400は吐水口1及びシャワーヘッド2を備えている。シャワーヘッド2に水処理装置40を構成する各部材が区画されて収容されている。水処理装置40は硬度低減カートリッジ41(硬度低減機器)、残留塩素低減カートリッジ42(残留塩素低減機器)、切替部43、切替部44を備えている。硬度低減カートリッジ41、残留塩素低減カートリッジ42の説明は、本実施形態に説明すること以外は、これまでに述べた硬度低減機器、残留塩素低減機器の説明に準ずる。また、硬度低減カートリッジ41、及び、残留塩素低減カートリッジ42のカートリッジは、それぞれ独立して交換可能である。
【0047】
切替部43はシャワーヘッド2に供給されてくる水を、吐水口1に直接導くか、残留塩素低減カートリッジ42に供給するかを切り替えるものである。
【0048】
切替部44は残留塩素低減カートリッジ42から出た水を、吐水口1に直接導くか、硬度低減カートリッジ41に供給するかを切り替えるものである。
【0049】
水処理装置40は、切替部43及び切替部44を備えることによって、吐水口1から吐水する水を、残留塩素低減カートリッジ42及び硬度低減カートリッジ41で処理した水と、残留塩素低減カートリッジ42で処理し硬度低減カートリッジ41で処理しない水と、原水とで、切り替える。このような構成により、使用者は、出水する水を選択することができる。従って、第2洗浄工程を行なうための水を最終洗浄時のみに容易に選択可能とすることができる。
【0050】
<水処理装置の実施形態5>
本発明の水処理装置の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、これまで説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
図5に示すように、シャワー装置500は、水処理装置50、及びシャワーヘッド53を備えている。
【0052】
シャワーヘッド53は、シャワーヘッド本体54、シャワーキャップ55、及び配管56を備えている。シャワーヘッド本体54は、グリップ541及びヘッド部542を備えている。グリップ541は、シャワーヘッド53において使用者が把持する部分である。ヘッド部542は、シャワーキャップ55と嵌合する部分である。ヘッド部542は、シャワーヘッド本体54の先端に位置し、また、グリップ541から連続している。ヘッド部542の内部には、第1の収納部543が形成されている。グリップ541の内部には、第2の収納部544が形成されている。シャワーキャップ55は、シャワーヘッド本体54のヘッド部542に着脱可能に装着されている。シャワーキャップ55には吐水口1が設けられている。配管56は、残留塩素低減カートリッジ52を通過した水を硬度低減カートリッジ51まで通すための配管である。
【0053】
水処理装置50は、硬度低減カートリッジ51及び残留塩素低減カートリッジ52を備えている。硬度低減カートリッジ51は、第1の収納部543に収納されている。残留塩素低減カートリッジ52は、第2の収納部544に収納されている。硬度低減カートリッジ51と、残留塩素低減カートリッジ52とは、配管56を介して接続されている。つまり、残留塩素低減カートリッジ52で処理した後の水は、一度配管56を通って、硬度低減カートリッジ51に供給される。硬度低減カートリッジ51、残留塩素低減カートリッジ52の説明は、本実施形態に説明すること以外は、これまでに述べた硬度低減機器、残留塩素低減機器の説明に準ずる。
【0054】
シャワーキャップ55は、第1の収納部543の蓋としての機能も有する。使用者はシャワーキャップ55を取り外して硬度低減カートリッジ51を着脱すればよい。使用者は、硬度低減カートリッジ51を第1の収納部543に収納していない状態で残留塩素低減カートリッジ52のみで処理した水で第1洗浄工程を行なえばよい。また、使用者は、残留塩素低減カートリッジ52をも収納していない状態で第1洗浄工程を行ってもよく、硬度低減機器を備えていない、シャワー装置500とは別のシャワー装置から吐水される水で第1洗浄工程を行なってもよい。
【0055】
次いで、使用者は、硬度低減カートリッジ51を第1の収納部543に収納し、残留塩素低減カートリッジ52及び硬度低減カートリッジ51の両方で処理した水で第2洗浄工程を行なう。シャワーキャップ55がシャワーヘッド本体54のヘッド部542に着脱可能に装着される構成であることにより、使用者は硬度低減カートリッジ51を容易に着脱することができる。また、このような構成により、吐水口1から出水させる水を、残留塩素低減材で処理した水と、硬度低減材で処理した水とで切り替えるための切替部を、シャワー装置本体に設けることが不要となる。そのため、より簡易な構造とすることができる。そのため、より簡易な構造とすることができる。
【0056】
<水処理装置の実施形態6>
本発明の水処理装置の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、これまで説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0057】
図6に示すように、シャワー装置600は、水処理装置60、シャワーヘッド53、及びシャワーホース3を備えている。
【0058】
シャワーヘッド53は、シャワーヘッド本体54、シャワーキャップ55、及び配管63を備えている。配管63は、残留塩素低減カートリッジ62を通過した水を硬度低減カートリッジ51まで通すための配管である。
【0059】
水処理装置60は、硬度低減カートリッジ51及び残留塩素低減カートリッジ62を備えている。硬度低減カートリッジ51は、第1の収納部543に収納されている。残留塩素低減カートリッジ62は、シャワーホース3に接続されている。残留塩素低減カートリッジ62で処理した後の水は、一度配管63を通って、硬度低減カートリッジ51に供給される。硬度低減カートリッジ51、残留塩素低減カートリッジ62の説明は、本実施形態に説明すること以外は、これまでに述べた硬度低減機器、残留塩素低減機器の説明に準ずる。
【0060】
使用者はシャワーキャップ55を取り外して硬度低減カートリッジ51を着脱すればよい。使用者は、硬度低減カートリッジ51を装着していない状態で残留塩素低減カートリッジ62のみで処理した水で第1洗浄工程を行なえばよい。また、使用者は、残留塩素低減カートリッジ62をも収納していない状態で第1洗浄工程を行ってもよく、硬度低減機器を備えていない、シャワー装置600とは別のシャワー装置から吐水される水で第1洗浄工程を行なってもよい。
【0061】
次いで、使用者は、硬度低減カートリッジ51を第1の収納部543に収納した状態で残留塩素低減カートリッジ62及び硬度低減カートリッジ51の両方で処理した水で第2洗浄工程を行なう。シャワーキャップ55がシャワーヘッド本体54のヘッド部542に着脱可能に装着される構成であることにより、使用者は硬度低減カートリッジ51を容易に着脱することができる。また、このような構成により、吐水口1から出水させる水を、残留塩素低減材で処理した水と、硬度低減材で処理した水とで切り替えるための切替部を、シャワー装置本体に設けることが不要となる。そのため、より簡易な構造とすることができる。そのため、より簡易な構造とすることができる。
【0062】
また、残留塩素低減カートリッジ62を交換する場合、使用者はシャワーホース3から残留塩素低減カートリッジ62を取り外して、新しい残留塩素低減カートリッジ62を取り付ければよい。このような構成により、残留塩素低減カートリッジ62を交換し易くすることができる。
【0063】
<水処理装置の実施形態7>
本発明の水処理装置の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、これまで説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0064】
図7に示すように、シャワー装置700は、水処理カートリッジ70及びシャワーヘッド53を備えている。
【0065】
水処理カートリッジ70は、シャワーヘッド本体54の第1の収納部543に収納されている。使用者は、水処理カートリッジ70として残留塩素低減カートリッジを第1の収納部543に収納し、残留塩素低減カートリッジのみで処理した水で第1洗浄工程を行なってもよい。また、使用者は、水処理カートリッジ70を第1の収納部543に収納していない状態で、原水で第1洗浄工程を行なってもよく、硬度低減機器を備えていない、シャワー装置700とは別のシャワー装置から吐水される水で第1洗浄工程を行なってもよい。
【0066】
次いで、使用者は、水処理カートリッジ70として硬度低減カートリッジを第1の収納部543に収納し、硬度低減カートリッジのみで処理した水で第2洗浄工程を行なえばよい。
【0067】
別の態様において、水処理カートリッジ70として、一つの筐体内に、残留塩素低減材と硬度低減材が格納されているカートリッジを用いてもよい。この態様においては、使用者は、当該水処理カートリッジ70を第1の収納部543に格納せずに第1洗浄工程を行い、次いで、当該水処理カートリッジ70を第1の収納部543に収納して、残留塩素低減材及び硬度低減材の両方で処理した水を用いて第2洗浄工程を行なってもよい。
【0068】
さらに、別の態様において、水処理カートリッジ70として、一つの筐体内に、上流側に残留塩素低減材、下流側に硬度低減材が格納されているカートリッジを用いてもよい。この態様においては、使用者は、当該水処理カートリッジ70を第1の収納部543に格納せずに第1洗浄工程を行い、次いで、当該水処理カートリッジ70を第1の収納部543に収納して、残留塩素低減材及び硬度低減材の両方で処理した水を用いて第2洗浄工程を行なってもよい。
【0069】
一つの筐体内に硬度低減材及び残留塩素低減材が格納されているカートリッジにおいて、硬度低減材と残留塩素低減材との間には仕切りが設けられている。仕切りは、フィルタ、目皿等で構成すればよい。仕切りにより、筐体内において、硬度低減材と残残留塩素低減材との位置する区画が分けられている。硬度低減材及び残留塩素低減材の漏れを防止する観点から、各材は、それぞれ不織布等からなる袋体に収容されていることが好ましい。
【0070】
本実施形態では、水処理カートリッジ70が第1の収納部543に格納されている。シャワーキャップ55がシャワーヘッド本体54に着脱可能に装着される構成であることにより、使用者は水処理カートリッジ70を容易に着脱することができる。また、このような構成により、吐水口1から出水させる水を、残留塩素低減材で処理した水と、硬度低減材で処理した水と、原水とで切り替えるための切替部を、シャワー装置本体に設けることが不要となる。そのため、より簡易な構造とすることができる。
【0071】
(水処理装置の利用)
本発明の一態様に係る水処理装置を、上述した実施形態以外の身体の洗浄を行うための機器に設けてもよい。このような機器としては、例えば、洗髪器、洗面台が挙げられる。つまり、本発明の一態様に係る水処理装置を備える洗髪器、洗面台等も本発明の一態様である。
【0072】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0073】
本発明の一実施例について以下に説明する。
【0074】
〔検体の毛束〕
検体の毛束として、人毛毛束/黒髪/1g/10cm(毛束屋)を用いた。また、以下の実施例及び比較例では、JIS K 0557 A2グレードの水250cc中に毛束を20±2℃の条件で60±10min浸漬する操作を3回繰り返し、室温で一晩乾燥させた。乾燥させた毛束の光沢を測定し、t検定によりp>0.05の毛束同士を検体とした。
【0075】
〔毛束光沢の測定方法〕
恒温恒湿室で光沢のない黒いマウスパッド上に結束した毛髪を置き、櫛で梳かした後に、結束部から2cm~3cmの位置の毛をGlossymeter GL 200 (Courage+Khazaka社製)で5回測定し、光沢(GLOSS)を散漫散乱補正(Diffuse Scattering Correction;DSC)した平均値と標準偏差をグラフ化した。統計処理はMicrosoft EXCEL 2016の、対応のないt検定(両側)を用いた。DSCは表面の凹凸や色などの影響を除いたGLOSS値である。Courage+Khazaka社のパンフレットによれば、縦軸はGlossymeter単位でDIN及びISOに基づく国際基準単位GUとの相関が非常に高い。
【0076】
〔試験水〕
試験に用いる水はJIS T 2004記載の合成水調製方法を参考とし、JIS K 0557 A2グレード水に、アルカリ度調整のため炭酸水素ナトリウムを0.07g/L添加し、残留塩素源として次亜塩素酸ナトリウム、硬度源として塩化カルシウムを使用して、塩酸及び水酸化ナトリウムによりpH調整をすることにより作製した。
【0077】
〔塩素および硬度の影響(実施例1、2)〕
毛髪に対する塩素及び硬度の影響を評価するため、硬度成分を含む水と含まない水とにおいて、それぞれ塩素成分を含む水と含まない水との計4種類の水を用いた。本実施例において各成分を含むものを「あり」、含まないものを「なし」という。
【0078】
硬度成分が「なし」の水であって、塩素成分が「あり」の水及び「なし」の水をそれぞれ実施例1、2といい、硬度成分が「あり」の水であって、塩素成分が「あり」の水及び「なし」の水をそれぞれ比較例1、2という。
【0079】
塩素成分が「あり」の水は塩素濃度2.0±0.2mg/Lとなるように調製した。なお、塩素成分が「なし」の水は、塩素成分を水に添加せず塩素濃度は0mg/Lとした。硬度成分が「あり」の水は硬度成分が1800±180mg/Lとなるように調製した。硬度成分が「なし」の水は硬度成分を添加せず濃度を0mg/Lとした。また、各水について、pH7.0±0.5、水温40±3℃に調製した。各水を、毛束全体に触れる様に2.0L/minで360分間通水し、一晩乾燥後に毛束の光沢を測定した。
【0080】
結果を図8に示す。また、定性的な評価も行い、通水の前後で光沢の差がほとんどなければA、通水の前後で光沢の差がやや開いていてれば(光沢がやや失われていれば)B、通水の前後で光沢が大きく失われればCと評価した。その結果、実施例1及び2はA、比較例2ではB、比較例1ではCであった。この結果と図8に示されるように、毛束の光沢は、実施例1及び2ではほぼ失われなかったが、比較例2ではやや失われ、比較例1で最も大きく失われた。
【0081】
〔Ca量による影響(実施例3)〕
pH7.0±0.5、水温40±3℃に調製した水に、塩化カルシウムを加え、USA硬度0、10、30、50、100、300mg/Lの水をそれぞれ作製した。毛束全体に触れる様に2.0L/minで360分間通水し、一晩乾燥後に毛束の光沢を測定した。結果を図9、10に示す。図9は各水による処理の前後の光沢を示し、図10は各水による処理において、髪1gに対して1分間あたりに洗浄に用いる水に含まれるCaイオンの量を算出した値を横軸として、各水による処理前後の光沢の差を縦軸としたものである。図9における「黒」は、検体自体である。なお、USA硬度[mg/L]=Ca[mg/L]×2.497+Mg[mg/L]×4.118の式で換算できる。本実施例においてMgの量は0であるため、USA硬度を2.497で除した値がCa[mg/L]の値となる。
【0082】
図9、10に示すように、髪1gに対して1分間あたりに洗浄に用いる水に含まれるCaイオンの量が100mg/min・g以下のとき、光沢の影響が顕著に抑制された。また、50mg/min・g以下のときにはより効果的に光沢の影響が顕著に抑制された。
【0083】
〔浄軟水を最終洗浄に使用する効果(実施例4)〕
毛束を2本用意した。1本について、塩素濃度0mg/L、硬度成分300±30mg/L、pH7.0±0.5、水温40±3℃に調製した水を、毛束全体に触れる様に2.0L/minで360分間通水した(比較例3)。残りの1本については、塩素濃度0mg/L、硬度300±30mg/L、pH7.0±0.5、水温40±3℃に調製した水を、毛束全体に触れる様に2.0L/minで355分間通水した直後、塩素濃度0mg/L、硬度0mg/L、pH7.0±0.5、水温40±3℃に調製した水を、毛束全体に触れる様に2.0L/minで5分間通水した(実施例4)。両毛束を一晩乾燥後、光沢を測定した。結果を図11に示す。図11に示すように最後の5分間の洗浄に硬度の低い水を用いるだけで、毛髪の光沢の低下を抑制することができた。
【0084】
<付記事項>
以上のように、本発明の一態様に係る身体の洗浄方法は、水を用いて身体を洗浄する第1洗浄工程と、硬度低減材によって前記第1洗浄工程で用いた水より硬度を低減させる処理をした水を用いて、前記第1洗浄工程において洗浄された身体をさらに洗浄する第2洗浄工程と、を含む。
また、前記第2洗浄工程は、前記第1洗浄工程の後から洗浄の最後まで行なうことがより好ましい。
また、前記第2洗浄工程で用いる前記水として、水に含まれる塩素を低減する残留塩素低減材による処理をさらに行なった水を用いることがより好ましい。
また、前記第2洗浄工程では、前記残留塩素低減材で処理した後の水を前記硬度低減材で処理した水を用いることがより好ましい。
また、前記残留塩素低減材は亜硫酸カルシウムを用いて水に含まれる塩素を低減するものであることがより好ましい。
また、前記第2洗浄工程では、少なくとも髪を洗浄し、髪1gに対して1分間あたりに洗浄に用いる水に含まれるCaイオンの量が、100mg/min・g以下であることがより好ましい。
また、本発明の一態様に係る水処理装置は、水に含まれる塩素を低減する残留塩素低減材を有する残留塩素低減機器と、前記残留塩素低減機器で処理した後の水の硬度を低減する硬度低減材を有する硬度低減機器と、を備え、前記残留塩素低減材は亜硫酸カルシウムである。
また、前記硬度低減機器は前記硬度低減材を収容するカートリッジを備え、前記残留塩素低減機器は前記残留塩素低減材を収容するカートリッジを備え、前記残留塩素低減材を収容するカートリッジと、前記硬度低減材を収容するカートリッジとは、それぞれ独立して交換可能であることがより好ましい。
また、前記硬度低減材から1分間に得られる処理水に含まれるCaイオンの量が、100mg/min・g以下に調節可能であることがより好ましい。
また、吐水する水を、前記硬度低減材で処理した水と、前記硬度低減材で処理しない水とで、切り替える切替部を備えることがより好ましい。
また、前記切替部は、前記残留塩素低減材及び前記硬度低減材で処理した水と、前記残留塩素低減材で処理し前記硬度低減材で処理しない水とで、吐水する水を切り替えるものであることがより好ましい。
また、本発明の一態様に係る洗髪器は、本発明の一態様に係る水処理装置を備える。
また、本発明の一態様に係る洗面台は、本発明の一態様に係る水処理装置を備える。
【符号の説明】
【0085】
1 吐水口
2、53 シャワーヘッド
10、20、30、40、50、60 水処理装置
11、21 硬度低減機器
12、22 残留塩素低減機器
13 開閉弁
14 湯水元栓
15、16 切替弁
41 硬度低減カートリッジ
42 残留塩素低減カートリッジ
43、44 切替部
100、200、300、400、500、600、700 シャワー装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11