(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034402
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブセット
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20220224BHJP
A63B 53/00 20150101ALI20220224BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220224BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B53/04 G
A63B53/00 A
A63B102:32
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138176
(22)【出願日】2020-08-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月8日株式会社プロギアのウェブサイト(https://www.prgrkorea.com/community/topic.php?category=&id=237&page=1&mode=read)において発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年7月6日株式会社プロギアのウェブサイト(https://www.prgr-golf.com)において発表
(71)【出願人】
【識別番号】515185924
【氏名又は名称】株式会社プロギア
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】中原 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康守
(72)【発明者】
【氏名】三枝 宏
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA03
2C002CH03
2C002MM04
2C002SS02
(57)【要約】
【課題】良好な打球音および打感を得る。
【解決手段】ゴルフクラブヘッドという10は、本体部12と、バック部14とを含んで構成されている。本体部12は、鉄で構成されている。バック部14は、チタンで構成され、収容凹部28に隙間なく収容され本体部12と一体的に結合されフェースバック側に露出している。バック部14の前方に位置するフェース部16の肉厚Tfが1mm以上3mm以下である。バック部14の体積Vbを本体部12の体積Vmで除した体積比率Vb/Vmが15%以上35%以下である。収容凹部28から露出するバック部14の露出面積Sbが2cm
2以上20cm
2以下である。ホーゼル部26を除いた本体部12の体積とバック部14の体積とを加えたヘッド体積Vhが33cm
3以上42cm
3以下である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部と、前記フェース部の下部に接続されトウヒール方向に延在するソール部と、前記フェース部の上部に接続されトウヒール方向に延在するブレード部と、前記フェース部のトウ側に接続され上下に延在するトウ部と、前記フェース部のヒール側に接続され上下に延在するヒール部と、前記ヒール部にから突設されたホーゼル部と、前記フェース部、前記ソール部、前記トウ部、前記ヒール部で囲まれフェースバック方向に開放された収容凹部とを備える本体部と、
前記収容凹部に収容され前記本体部と一体的に結合されフェースバック側に露出するバック部とを備え、
前記本体部が鉄で構成され、前記バック部がチタンで構成された中実状のアイアン型のゴルフクラブヘッドであって、
前記バック部の前方に位置する前記フェース部の肉厚が1mm以上3mm以下であり、
前記バック部の体積を前記本体部の体積で除した体積比率が15%以上35%以下であり、
前記収容凹部から露出する前記バック部の露出面積が2cm2以上20cm2以下であり、
前記ホーゼル部を除いた前記本体部の体積と前記バック部の体積とを加えたヘッド体積が33cm3以上42cm3以下である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ゴルフクラブヘッドを水平面HPに対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、
フェース面上における前記水平面HPからの垂直高さが15mmの位置における前記ゴルフクラブヘッドの肉厚を第1ヘッド肉厚としたとき、前記第1ヘッド肉厚が10mm以上20mm以下であり、
前記フェース面上における前記水平面HPからの垂直高さが30mmの位置における前記ゴルフクラブヘッドの肉厚を第2ヘッド肉厚としたとき、前記第2ヘッド肉厚が5mm以上10mm以下であり、
前記フェース面上における前記水平面HPからの垂直高さが15mmの位置における前記バック部の肉厚を前記第1ヘッド肉厚で除した第1肉厚比率と、前記フェース面上における前記水平面HPからの垂直高さが30mmの位置における前記バック部の肉厚を前記第2ヘッド肉厚で除した第2肉厚比率とは、共に40%以上80%以下である、
ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記フェース部のフェース面に衝突力を与えて前記ゴルフクラブヘッドの加速度信号を測定し、前記加速度信号から算出した対数減衰率が0.05以上0.07以下である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記フェース部のフェース面に衝突力を与えて前記ゴルフクラブヘッドの加速度信号を測定し、前記加速度信号からFFT解析により算出した周波数分析データに基づいて算出された加重平均周波数が4000Hz以上5000Hz以下である、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記フェース部のフェース面に衝突力を与えて前記ゴルフクラブヘッドの加速度信号を測定し、前記加速度信号から算出した積算加速度を前記加速度信号から算出した最大加速度で除した加速度比が6000以上9000以下である、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項記載のゴルフクラブヘッドを有する互いに番手が異なる複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットであって、
番手が大きくなるに従って前記バック部の質量が小さくなる、
ことを特徴とするゴルフクラブセット。
【請求項7】
請求項1から5の何れか1項記載のゴルフクラブヘッドを有する互いに番手が異なる複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットであって、
番手が大きくなるに従って前記露出面積が大きくなる、
ことを特徴とするゴルフクラブセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアイアン型のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブセットに関する。
【背景技術】
【0002】
スイートエリアを拡大するために重心深度を確保したアイアン型のゴルフクラブヘッドが提案されている(特許文献1参照)。
このゴルフクラブヘッドでは、ステンレス鋼や銅など比較的比重の大きな第1の材料で構成されたヘッド本体の背面に形成した凹部にヘッド本体よりも比重の小さいチタンやアルミニウムなどの第2の材料からなるバランスウェイトを圧入して固着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゴルフクラブヘッドの打球音は、その音の周波数が高すぎても低すぎても心地よいものとして評価されず、また、打球音が響く時間が長すぎても短すぎても心地よいものとして評価されず、適切な範囲の周波数や響く時間であれば心地よい打球音として評価される。また、打感も打球音の影響を受けて同様に評価される。
本発明者らの知見によれば、ゴルフクラブヘッドの打球音や打感の良否は、打球時に発生する振動が適度に減衰するか否かによって左右される。
そして、上記従来技術のような第1の材料と第2の材料を複合した構成のゴルフクラブヘッドにおいて、振動の減衰は、ヘッド本体およびバランスウェイトの寸法や体積などの各部の規定によって影響を受けるものと考えられる。
しかしながら、上記従来技術では、打球音、打感については考慮されておらず、また、ヘッド本体およびバランスウェイトの寸法や体積などについては何ら規定されていない。
本発明は、ゴルフクラブヘッドの打球時の振動の減衰に着目してなされたものであり、その目的は、良好な打球音および打感を得る上で有利なアイアン型のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、フェース部と、前記フェース部の下部に接続されトウヒール方向に延在するソール部と、前記フェース部の上部に接続されトウヒール方向に延在するブレード部と、前記フェース部のトウ側に接続され上下に延在するトウ部と、前記フェース部のヒール側に接続され上下に延在するヒール部と、前記ヒール部にから突設されたホーゼル部と、前記フェース部、前記ソール部、前記トウ部、前記ヒール部で囲まれフェースバック方向に開放された収容凹部とを備える本体部と、前記収容凹部に収容され前記本体部と一体的に結合されフェースバック側に露出するバック部とを備え、前記本体部が鉄で構成され、前記バック部がチタンで構成された中実状のアイアン型のゴルフクラブヘッドであって、前記バック部の前方に位置する前記フェース部の肉厚が1mm以上3mm以下であり、前記バック部の体積を前記本体部の体積で除した体積比率が15%以上35%以下であり、前記収容凹部から露出する前記バック部の露出面積が2cm2以上20cm2以下であり、前記ホーゼル部を除いた前記本体部の体積と前記バック部の体積とを加えたヘッド体積が33cm3以上42cm3以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バック部の前方に位置するフェース部の肉厚を1mm以上3mm以下とし、バック部の体積を本体部の体積で除した体積比率を15%以上35%以下とし、収容凹部から露出するバック部の露出面積を2cm2以上20cm2以下とし、ホーゼル部を除いた本体部の体積とバック部の体積とを加えたヘッド体積を33cm3以上42cm3以下としたので、打球時のゴルフクラブヘッドの振動が適度に減衰するため、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態におけるアイアン型のゴルフクラブヘッドの正面図である。
【
図2】実施の形態におけるアイアン型のゴルフクラブヘッドの背面図である。
【
図4】鉄およびチタンの引張強さと対数減衰率を示す線図である。
【
図5】(A)は加速度波形Saを示す波形図、(B)は(A)の加速度波形SaをFFT解析することで得られた周波数分析データDfを示す波形図である。
【
図6】(A)は周波数分析データDfを示す波形図、(B)は(A)のうち、矩形枠で囲った4000Hz付近の極大周波数を含む周波数帯域の周波数分析データDfについて逆FFT解析を行なって得られた加速度波形Sb(時間軸波形Sb)の波形図である。
【
図7】(A)は加速度波形Sb(時間軸波形Sb)と、包絡線Enを示す波形図、(B)は包絡線EnをdB変換すること得られた右下がりの線
図Scと、線
図Scを直線近似した右下がりの直線Sdを示す波形図である。
【
図8】対数減衰率δを得るための計算式を示す図である。
【
図9】直線Sdの傾きΔY/ΔXを示す線図である。
【
図10】ゴルフクラブヘッドA-Fの対数減衰率δの測定結果を示す図である。
【
図11】ゴルフクラブヘッドA-Fの加重平均周波数Faの測定結果を示す図である。
【
図12】ゴルフクラブヘッドA-Fの加速度比Aa/Amaxの測定結果を示す図である。
【
図13】比較例としての実験例1のゴルフクラブヘッドを示す図であり、(A)は背面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図14】条件1における実験例の評価結果を示す図である。
【
図15】条件2における実験例の評価結果を示す図である。
【
図16】条件3における実験例の評価結果を示す図である。
【
図17】条件4における実験例の評価結果を示す図である。
【
図18】条件5における実験例の評価結果を示す図である。
【
図19】条件6における実験例の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1~
図3に示すように、本実施の形態に係るアイアン型のゴルフクラブヘッド(以下単にゴルフクラブヘッドという)10は、本体部12と、バック部14とを含んで構成されている。
本体部12は、鉄で構成され、フェース部16と、ソール部18と、ブレード部20と、トウ部22と、ヒール部24と、ホーゼル部26と、収容凹部28とを備えている。
なお、本明細書において鉄とは、軟鉄および鉄合金(ステンレスも含む)を総称していうものとする。
フェース部16は、上下の高さを有して左右に延在するボールを打撃するフェース面16Aを有している。
フェース面16Aには、複数のスコアライン30が形成され、複数のスコアライン30は、トウヒール方向に延在しトウヒール方向と交差する方向に間隔をおいて互いに平行に形成された溝部によって形成されている。
【0009】
ソール部18は、フェース部16の下部に接続されトウヒール方向に延在し、ソール部18の下面がソール面18Aとなっている。
ブレード部20は、フェース部16の上部に接続されトウヒール方向に延在し、ブレード部の上面がブレード面20Aとなっている。
トウ部22は、フェース部16のトウ側に接続され上下に延在している。
ヒール部24は、フェース部16のヒール側に接続され上下に延在している。
ホーゼル部26は、ヒール部24から突設され、不図示のシャフトの一端が挿入して取着されることでのシャフトがゴルフクラブヘッド10に連結される。
【0010】
図3に示すように、収容凹部28は、フェース部16の背面16B、ソール部18の上面18B、ブレード部20の下面20B、トウ部22の内側の面、ヒール部24の内側の面で囲まれ、収容凹部28は、フェースバック方向に開放されている。
バック部14は、チタンで構成され、収容凹部28に隙間なく収容され本体部12と一体的に結合されフェースバック側に露出している。
なお、本明細書においてチタンとは、純チタンおよびチタン合金を総称していうものとする。
このようにゴルフクラブヘッド10は、本体部12の収容凹部28にバック部14が収容されて一体的に結合されることで中実状を呈している。
本実施の形態では、バック部14は鍛造加工により本体部12と一体的に結合されており、カシメや圧入といった方法でバック部14を本体部12と結合した場合に比較して、バック部14と本体部12との境界に隙間が生じにくいため、良好な打球音と打感を得る上で有利で有利となり、言い換えると心地よい打球音と打感を得る上で有利となっている。
【0011】
ここで、鉄(Fe)と純チタン(Ti)の振動減衰の違いについて説明する。
図4は横軸に引張強さ(kgf/mm
2、MPa)をとり、縦軸に対数減衰率δをとった図表であり、鉄(Fe)と、純チタン(Ti)との2つの材料をプロットしている。
対数減衰率δは材料の振動減衰を表す係数の1つであり、対数減衰率δが大きいほど振動減衰しやすいことを示し、対数減衰率δが小さいほど振動減衰しにくいことを示す。
図4から明らかなように純チタンは対数減衰率δが鉄に比較して3桁程度小さい値であり、純チタンは極めて振動減衰しにくい材料である。
したがって、同じ振動が与えられても鉄は振動が短い時間で終息し、純チタンは振動が長い時間続くことになる。
このような振動減衰の傾向は、軟鉄および鉄合金(ステンレスも含む)と、純チタンおよびチタン合金においても同様にいえることである。
本実施の形態は、鉄(軟鉄および鉄合金(ステンレスも含む))で構成した本体部12と、チタン(純チタンおよびチタン合金)で構成したバック部14とを組み合わせて、以下に説明する各部を規定することにより、ゴルフクラブヘッド10によって打球した際の振動が適度に減衰するようにすることで、良好な(心地よい)打球音と打感を得ることができるようにしたものである。
すなわち、打球時にゴルフクラブヘッド10の振動が適度に減衰すると、打球音が適度に響き打感が良好と判断される。
振動が減衰しにくいと、打球音(金属音)が長く響きすぎて打感が悪化する。
振動が減衰しすぎると、打球音が小さすぎて(短すぎて)打感が悪化する。
【0012】
次に、ゴルフクラブヘッド10の各部の規定について詳細に説明する。
(スイートスポット)
図1、
図3に示すように、アイアン型のゴルフクラブヘッド10のスイートスポットは、フェース面上重心点Pfgと一致している。
フェース面上重心点Pfgとは、ゴルフクラブヘッド10を水平面HPに対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、ゴルフクラブヘッド10の重心点Gを通るフェース面16Aの法線Lgがフェース面16Aと交差する点であり、フェース面上重心点Pfgはスイートスポットと一致している。
したがって、フェース面上重心点Pfg(スイートスポット)に近い箇所でボールを打撃することが初速および飛距離の向上を図る上で有利となる。
また、ヘッド本体12の体積を大きく、フェース面16Aの面積を拡大するほどスイートスポットを含むスイートエリア(スイートスポットの面積)を大きくする上で有利となる。
【0013】
(フェース部16の肉厚Tf)
図3に示すように、本実施の形態では、バック部14の前方に位置するフェース部16の肉厚Tfが1mm以上3mm以下である。
すなわち、バック部14がフェース部16の背面に位置するフェース部16の箇所の全域においてフェース部16の肉厚Tfを1mm以上3mm以下とした。
一般的に、肉厚Tfが上記規定範囲内であると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が適度に減衰するため、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる。
また、一般的に、肉厚Tfが上記規定範囲を下回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しにくく、打球音および打感を良好なものとする上で不利となる。
また、一般的に、肉厚Tfが上記規定範囲を上回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しすぎて、打球音および打感を良好なものとする上で不利となる。
もちろん、本発明においては、鉄とチタンを複合したことによる相互効果を重視して打球音と打感を良好にすることが重要である。
【0014】
(体積比率Vb/Vm)
本実施の形態では、バック部14(チタン)の体積Vbを本体部12(鉄)の体積Vmで除した体積比率Vb/Vmが15%以上35%以下である。
体積比率Vb/Vmが上記規定範囲内であると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が適度に減衰するため、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる。
体積比率Vb/Vmが上記規定範囲を下回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しすぎるため、打球音および打感を良好なものとする上で不利となる。
体積比率Vb/Vmが上記規定範囲を上回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しにくくなるため、打球音および打感を良好なものとする上で不利となる。
もちろん、本発明においては、鉄とチタンを複合したことによる相互効果を重視して打球音と打感を良好にすることが重要である。
【0015】
(バック部14の露出面積Sb)
本実施の形態では、収容凹部28から露出するバック部14(チタン)の露出面積Sbが2cm2以上20cm2以下である。
打球時、フェース部16の振動がバック部14に伝搬し、バック部14に伝搬した振動はバック部14のフェースバック側の面からバック部14の周囲に位置するブレード部20、ソール部18、トウ部22、ヒール部24の部分に伝搬する。
露出面積Sbが上記規定範囲内であると、バック部14のフェースバック側の面からバック部14の周囲に位置するブレード部20、ソール部18、トウ部22、ヒール部24の部分に適度に振動が伝搬されることで、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が適度に減衰するため、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる。
このメカニズムは、金属の振動特性が関与している。
すなわち、鉄は、振動減衰しやすい金属である。一方、チタンは振動減衰しにくい金属であり、これは、チタンが、内部減衰率が低く、結晶組織が稠密六方晶であることに起因している。
収容凹部28から露出するバック部14(チタン)の露出面積Sbが適度であると、振動が適度に伝搬されやすく、打感と打球音が良好となる。
また、露出面積Sbが上記規定範囲内であると、フェースバック側に位置するブレード部20、ソール部18、トウ部22、ヒール部24の鉄が占める体積を抑制すると共に、フェース部16側に位置する本体部12の体積を確保する上で有利となり、スイートスポットの面積を拡大する上で有利となる。
露出面積Sbが上記規定範囲を下回ると、バック部14のフェースバック側の面からバック部14の周囲に位置するブレード部20、ソール部18、トウ部22、ヒール部24の部分に振動が伝搬しにくくなることから、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しにくくなるため、打球音および打感を良好なものとする上で不利となる。
また、露出面積Sbが上記規定範囲を下回ると、フェースバック側に位置するブレード部20、ソール部18、トウ部22、ヒール部24の体積が増加するため、フェース部16側に位置する本体部12の体積を確保する上で不利となり、スイートスポットの面積を拡大する上で不利となる。
露出面積Sbが上記規定範囲を上回ると、バック部14のフェースバック側の面からバック部14の周囲に位置するブレード部20、ソール部18、トウ部22、ヒール部24の部分に振動が過剰に伝搬しやすくなることから、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しすぎるため、打球音および打感を良好なものとする上で不利となる。
【0016】
(ヘッド体積Vh)
本実施の形態では、ホーゼル部26を除いた本体部12の体積とバック部14の体積とを加えたヘッド体積Vhが33cm3以上42cm3以下である。
ヘッド体積Vhが上記規定範囲内であると、ゴルフクラブヘッド10の体積および質量を確保する上で有利となり、一定質量の中でスイートスポットの面積を拡大し、かつ、打球音と打感を良化する上で有利となる。
ヘッド体積Vhが上記規定範囲を下回ると、ゴルフクラブヘッド10の体積および質量を確保する上で不利となり、一定質量の中でスイートスポットの面積を拡大し、かつ、打球音と打感を良化する上で不利となる。
ヘッド体積Vhが上記規定範囲を上回ると、ゴルフクラブヘッド10の体積および質量が大きくなりすぎるため、スイングしにくくなる不利がある。
【0017】
(第1ヘッド肉厚Th1、第2ヘッド肉厚Th2)
図3に示すように、本実施の形態では、ゴルフクラブヘッド10を水平面HPに対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、フェース面16A上における水平面HPからの垂直高さが15mmの位置におけるゴルフクラブヘッド10の肉厚を第1ヘッド肉厚Th1としたとき、第1ヘッド肉厚Th1が10mm以上20mm以下である。
フェース面16A上における水平面HPからの垂直高さが30mmの位置におけるゴルフクラブヘッド10の肉厚を第2ヘッド肉厚Th2としたとき、第2ヘッド肉厚Th2が5mm以上10mm以下である。
第1ヘッド肉厚Th1、第2ヘッド肉厚Th2が上記規定範囲内であると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が適度に減衰するため、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる。
第1ヘッド肉厚Th1、第2ヘッド肉厚Th2が上記規定範囲を下回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しすぎるため、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
第1ヘッド肉厚Th1、第2ヘッド肉厚Th2が上記規定範囲を上回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しにくくなるため、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
もちろん、本発明においては、鉄とチタンを複合したことによる相互効果を重視して打球音と打感を良好にすることが重要である。
【0018】
(第1肉厚比率Tb1/Th1、第2肉厚比率Tb2/Th2)
図3に示すように、本実施の形態では、フェース面16A上における水平面HPからの垂直高さが15mmの位置におけるバック部14の肉厚Tb1を第1ヘッド肉厚Th1で除した第1肉厚比率Tb1/Th1は、40%以上80%以下である。
また、フェース面16A上における水平面HPからの垂直高さが30mmの位置におけるバック部14の肉厚Tb2を第2ヘッド肉厚Th2で除した第2肉厚比率Tb2/Th2は、40%以上80%以下である。
第1肉厚比率Tb1/Th1、第2肉厚比率Tb2/Th2が上記規定範囲内であると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が適度に減衰するため、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる。
第1肉厚比率Tb1/Th1、第2肉厚比率Tb2/Th2が上記規定範囲を下回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しすぎるため、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
第1肉厚比率Tb1/Th1、第2肉厚比率Tb2/Th2が上記規定範囲を上回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しにくくなるため、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
【0019】
(対数減衰率δ)
まず、対数減衰率δの測定方法について説明する。
ゴルフクラブヘッド10をシャフトに取り付け、ホーゼル部26に加速度センサを取り付ける。
シャフトを治具で固定した状態でペンドラム試験機を用いて振り子によりフェース部16に一定の衝突力を与え、加速度センサで加速度(加速度波形)を測定する。
打点位置は、センター位置(フェース面上重心点Pfg)と、センター位置からトウ方向に10mm離間した位置と、センター位置からヒール方向に10mm離間した位置との3箇所である。
サンプリング間隔は250nsとし、サンプリング数は40万データ(サンプリング時間:100ms)とした。
【0020】
図5(A)は加速度波形Saを示す波形図であり、横軸が時間(s)、縦軸が加速度(m/s
2)である。
図5(B)は
図5(A)の加速度波形をFFT解析することで得られた周波数分析データDfであり、横軸が周波数(Hz)、縦軸が振幅(任意単位)である。
この例では、4000Hz近傍(3906Hz)に極大周波数が存在し、この極大周波数が共振周波数となっているため、この4000Hz付近の極大周波数に着目して逆FFT解析を行なう。
すなわち、
図6(A)に示す周波数分析データDfのうち、矩形枠で囲った4000Hz付近の極大周波数を含む周波数帯域の周波数分析データDfについて逆FFT解析を行ない、
図6(B)に示すような加速度波形Sb(以下時間軸波形Sbともいう)を得る。
図6(B)において横軸が時間(s)、縦軸が加速度(m/s
2)である。
【0021】
次いで、
図7(A)に示す時間軸波形Sb(
図6(B)と同じ)についてヒルベルト変換を行ない、包絡線Enに変換する。
図7(A)において横軸が時間(s)、縦軸が加速度(m/s
2)である。
次いで、
図7(A)の振幅の包絡線EnをdB変換することで、
図7(B)に示す右下がりの線
図Scを得る。
右下がりの線
図Scを直線近似して右下がりの直線Sdを得る。
図7(B)において横軸が時間(s)、縦軸が振幅(dB)である。
図9において右下がりの直線Sdの傾きは、ΔY/ΔXとなる。
図8に示す式(1)に傾きΔY/ΔXを代入して計算することで、対数減衰率δが得られる。
対数減衰率δが小さいほど、振動が収束するまでの時間が長くなり、対数減衰率δが大きいほど、振動は振動が収束までの時間が短くなる。
【0022】
本実施の形態では、対数減衰率δが0.05以上0.07以下である。
対数減衰率δが上記規定範囲内であると、上記規定範囲内であると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が適度に減衰するため、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる。
対数減衰率δが上記規定範囲を下回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しにくくなるため、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
対数減衰率δが上記規定範囲を上回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動が減衰しすぎるため、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
【0023】
(加重平均周波数Fa)
加重平均周波数Faは以下のようにして算出する。
図5(B)に示すFFT解析で得られた周波数分析データDfである周波数対振幅の波形Dfに基づいて振幅で重み付けされた周波数の加重平均周波数Faを算出する。
具体的には、0Hz~10kHzの周波数帯域において上記周波数対振幅の波形Dfの面積を算出し周波数の加重平均周波数Faを算出する。
言い換えると、加速度信号からFFT解析により算出した周波数分析データDfに基づいて加重平均周波数Faが算出される。
本実施の形態では、加重平均周波数Faが4000Hz以上5000Hz以下である。
加重平均周波数Faが上記規定範囲内であると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動の周波数を適度な範囲とすることができ、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる。
加重平均周波数Faが上記規定範囲を下回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動の周波数が低くなり過ぎて、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
加重平均周波数Faが上記規定範囲を上回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動の周波数が高くなり過ぎて、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
【0024】
(積算加速度Aa/最大加速度Amax)
積算加速度Aaについて説明する。
積算加速度Aaは、
図5(A)に示す加速度信号(時間軸信号)Saから加速度を積算して得た値である。
最大加速度Amaxは、
図5(A)に示す加速度信号(時間軸信号)Saのうち最も加速度(絶対値)が大きな値である。
本実施の形態では、積算加速度Aaを最大加速度Amaxで除した加速度比Aa/Amaxが6000以上9000以下である。
加速度比Aa/Amaxが上記規定範囲内であると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動の加速度を適度な範囲とすることができ、打球音および打感を良好なものとする上で有利となる。
加速度比Aa/Amaxが上記規定範囲を下回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動の加速度が小さくなり過ぎて、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
加速度比Aa/Amaxが上記規定範囲を上回ると、打球時のゴルフクラブヘッド10の振動の加速度が大きくなり過ぎて、打球音および打感を良好なものとする効果が低下する。
【0025】
また、本実施の形態のゴルフクラブヘッド10を有する互いに番手が異なる複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットを構成した場合、番手が大きくなるに従ってバック部14(チタン)の質量が小さくなる。
また、本実施の形態のゴルフクラブヘッド10を有する互いに番手が異なる複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブセットを構成した場合、番手が大きくなるに従ってバック部14の露出面積が大きくなる。
このような番手毎のバック部14の質量、露出面積の相違は、番手が大きくなるにつれてゴルフクラブヘッド10の形状や大きさが変化することによるものである。
なお、バック部14(チタン)の質量が、その番手が大きくなるにつれて小さくなる理由は、以下の通りである。
すなわち、番手が大きくなると、打感が柔らかいことが好まれることから、番手が大きくなるほどゴルフクラブヘッド10に占める鉄の含有量を多くして、打球時に生じるゴルフクラブヘッド10の振動を小さく設定するためである。
また、番手が大きくなるに従ってバック部14の露出面積が大きくなる理由は、以下の通りである。
すなわち、番手が大きくなれば、クラブ長さが短くなり、ヘッドスピードが遅くなる。この場合、打球時に生じるゴルフクラブヘッド10の振動も小さくなるため、バック部14(チタンの複合部)の露出面積を広くして、打感と打球音を良化させるためである。
【0026】
(市販品との比較結果)
次に、
図10、
図11、
図12を参照して、本発明の実施の形態に係るゴルフクラブヘッド10と市販されている複数のゴルフクラブヘッドの対数減衰率δ、加重平均周波数Fa、加速度比Aa/Amaxの測定結果について説明する。
各ゴルフクラブヘッドを識別する符号と、ゴルフクラブヘッドの構造は以下の通りである。
ゴルフクラブヘッドA:本実施の形態に係る構造
ゴルフクラブヘッドB:軟鉄を鍛造加工した軟鉄1ピース構造(中実構造)
ゴルフクラブヘッドC:軟鉄を鍛造加工した軟鉄1ピース構造(中実構造)
ゴルフクラブヘッドD:軟鉄を鍛造加工した軟鉄1ピース構造(中実構造)
ゴルフクラブヘッドE:軟鉄の中空構造であり中空部にTPE(熱可塑性エラストマー)が充填された複合構造
ゴルフクラブヘッドF:軟鉄の中空構造
なお、番手は全て7番とした。
【0027】
(対数減衰率δ)
図10に示すように、中実構造のゴルフクラブヘッドB-Dと複合構造のゴルフクラブヘッドEは何れも対数減衰率δが0.07を上回っており振動減衰が過大である。その結果、打球音、打感が悪いものとなっている。
また、中空構造のゴルフクラブヘッドFは対数減衰率δが0.05を下回っており振動減衰が過小である。その結果、打球音、打感が悪いものとなっている。
本実施の形態のゴルフクラブヘッドAは対数減衰率δが約0.06であり0.05以上0.07以下の規定範囲内となっており、適度に振動が減衰している。その結果、打球音、打感がよいものとなっている。
【0028】
(加重平均周波数Fa)
図11に示すように、本実施の形態のゴルフクラブヘッドAと、中実構造のゴルフクラブヘッドB、Cは、何れも加重平均周波数Faが4000Hz以上5000Hz以下の規定範囲内であり、打球音が適度な周波数となっている。その結果、打球音、打感がよいものとなっている。
中実構造のゴルフクラブヘッドDは、加重平均周波数Faが5000Hzを上回っており、打球音の周波数が高すぎる。その結果、打球音、打感が悪いものとなっている。
複合構造のゴルフクラブヘッドEと中空構造のゴルフクラブヘッドFは、何れも加重平均周波数Faが4000Hzを下回っており、打球音の周波数が低すぎる。その結果、打球音、打感が悪いものとなっている。
【0029】
(加速度比Aa/Amax)
図12に示すように、本実施の形態のゴルフクラブヘッドAと、中実構造のゴルフクラブヘッドC、Dと、複合構造のゴルフクラブヘッドEとは、何れも加速度比Aa/Amaxが6000以上9000以下の規定範囲内であり、打球時のゴルフクラブヘッドの振動の加速度が適度な範囲となっている。その結果、打球音、打感が良いものとなっている。
中実構造のゴルフクラブヘッドBは、加速度比Aa/Amaxが6000を下回っており、打球時のゴルフクラブヘッドの振動の加速度が過小となっている。その結果、打球音、打感が悪いものとなっている。
中空構造のゴルフクラブヘッドFは、加速度比Aa/Amaxが9000を上回っており、打球時のゴルフクラブヘッドの振動の加速度が過大となっている。その結果、打球音、打感が悪いものとなっている。
【0030】
すなわち、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッドAは、対数減衰率δ、加重平均周波数Fa、加速度比Aa/Amaxの3つの特性の全てについて良好なものとなっており、打球音、打感の評価が高いものとなっている。
これに対して、ゴルフクラブヘッドB-Fは、対数減衰率δ、加重平均周波数Fa、加速度比Aa/Amaxの3つの特性のうち一部が良好であっても残りの特性が悪く、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッドAに比較して、打球音、打感の評価が低いものとなっている。
【0031】
(実験例)
以下、本発明の実験例について説明する。
図14~
図19は、本発明に係るゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
試料となるゴルフクラブヘッド10を各実験例毎に作成し、以下の3つの評価項目を測定し指数(評価点)を求めると共に、3つの指数の合計点を求めた。
【0032】
(1)打球音
20人の被験者について実際にゴルフボールを各実験例のゴルフクラブヘッド10を用いて打撃した場合の打球音を指数で評価した。
比較例に相当する実験例の指数を100とし指数が大きいほど打球音が適度な高音で心地良く、評価が良いことを示す。
打球音の評価は、1本のゴルフクラブヘッド10について20人のゴルファーがゴルフボールを実際に10打ずつ打撃してその平均値を求めた。
【0033】
(2)打感A
20人の被験者について実際にゴルフボールを各実験例のゴルフクラブヘッド10を用いて打撃した場合の打感を指数で評価した。
ただし、スイートスポット(フェース面上重心点Pfg)を中心とする半径2mm以内の円内に打球時の打痕の中心点が位置している場合とする。
【0034】
(3)打感B
20人の被験者について実際にゴルフボールを各実験例のゴルフクラブヘッド10を用いて打撃した場合の打感を指数で評価した。
ただし、スイートスポット(フェース面上重心点Pfg)を中心とする半径2mmの円と半径5mmの円との間の円環状の領域内に打球時の打痕の中心点が位置している場合とする。
比較例に相当する実験例の指数を100とし指数が大きいほど打感が良く、評価が良いことを示す。
打感A、Bの評価は、1本のゴルフクラブヘッド10について20人のゴルファーがゴルフボールを実際に10打ずつ打撃してその平均値を求めた。
なお、打感は、ボールを打撃した時の打音が支配的である。一般的には、残響が長いと、弾き感があると表現され、残響が短いと、打感が柔らかいと表現される。
【0035】
(4)合計点
上述した打球音、打感A、打感Bの3つの指数を合計したものを合計点とした。
比較例に相当する実験例の合計点を300とし合計点が大きいほど評価が良いことを示す。
【0036】
以下実験例のゴルフクラブヘッド10について説明する。
なお、実験例で使用したゴルフクラブヘッド10は、アイアン型ゴルフクラブヘッド10であり、各実験例で規定したパラメータを除き以下の条件を共通としている。
番手:7番
本体部12の材料:軟鉄(Fe)
バック部14の材料:純チタン(Ti)
ロフト角 29°
ライ角 62°
ヘッド体積 36cm3
(ホーゼル部26を除いた本体部12の体積とバック部14の体積とを加えたヘッド体積)
【0037】
(条件1)
各実験例について、
図14に示すように、請求項1で規定する条件を変更した。
なお、実験例1を除き、請求項2で規定する条件は、以下に示すように一定条件とした。
請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1は、14.0mmとし、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2は、7.5mmとし、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1は、52.7%とし、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2は、65.3%とし、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲を満たすものとした。
なお、実験例1における請求項2で規定する各条件は
図15に記載されている。
請求項3、4、5で規定する条件は実測値を記載した。
条件1において、比較例としての実験例1を除く実験例2-13は何れも請求項3、4、5で規定する条件を満たすものとなっている。
【0038】
実験例1は、比較例に相当するものである。
図13(A)、(B)に示すように、実験例1のゴルフクラブヘッド100は、ステンレス鋼や銅など比較的比重の大きな第1の材料で構成されたヘッド本体102の背面に形成した凹部104にヘッド本体102よりも比重の小さいチタンやアルミニウムなどの第2の材料からなるバランスウェイト106を圧入して固着したものである。
実験例1は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが3.8mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲を上回っている。
実験例1は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが26.3%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例1は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが10.4cm
2であり、2cm
2≦Sb≦20cm
2の規定範囲内である。
実験例1は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが34.5cm
3であり、33cm
3≦Vh≦42cm
3の規定範囲内である。
実験例1は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.09であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲を上回っている。
実験例1は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが5507Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲を上回っている。
実験例1は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが4512であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲を下回っている。
したがって、実験例1は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0039】
実験例2は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが0.8mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲を下回っている。
実験例2は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例2は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例2は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例2は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.05であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例2は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4510Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例2は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7144であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例2は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0040】
実験例3は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが3.5mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲を上回っている。
実験例3は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例3は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例3は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例3は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.07であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例3は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4520Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例3は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7151であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例3は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0041】
実験例4は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが1.2mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例4は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例4は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例4は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例4は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.06であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例4は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4515Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例4は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7155であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例4は、請求項1の規定を満たしており、本発明の範囲内である。
【0042】
実験例5は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例5は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが13.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲を下回っている。
実験例5は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例5は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例5は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.05であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例5は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4630Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例5は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7466であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例5は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0043】
実験例6は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例6は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが38.5%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲を上回っている。
実験例6は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例6は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例6は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.07であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例6は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4420Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例6は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが6890であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例6は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0044】
実験例7は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例7は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが17.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例7は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例7は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例7は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.06であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例7は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4510Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例7は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7100であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例7は、請求項1の規定を満たしており、本発明の範囲内である。
【0045】
実験例8は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例8は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例8は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが1.5cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲を下回っている。
実験例8は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例8は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.06であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例8は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4500Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例8は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7060であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例8は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0046】
実験例9は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例9は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例9は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが22.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲を上回っている。
実験例9は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例9は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.07であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例9は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4400Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例9は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7000であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例9は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0047】
実験例10は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例10は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例10は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが18.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例10は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが38.5cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例10は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.06であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例10は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4600Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例10は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7005であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例10は、請求項1の規定を満たしており、本発明の範囲内である。
【0048】
実験例11は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例11は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例11は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例11は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが32.0cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲を下回っている。
実験例11は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.07であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例11は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4450Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例11は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが6900であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例11は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0049】
実験例12は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例12は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例12は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例12は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが43.0cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲を上回っている。
実験例12は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.06であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例12は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4410Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例12は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7100であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例12は、請求項1の規定を満たしておらず、本発明の範囲外である。
【0050】
実験例13は、請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfが2.0mmであり、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内である。
実験例13は、請求項1で規定する体積比率Vb/Vmが27.0%であり、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内である。
実験例13は、請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbが7.0cm2であり、2cm2≦Sb≦20cm2の規定範囲内である。
実験例13は、請求項1で規定するヘッド体積Vhが41.0cm3であり、33cm3≦Vh≦42cm3の規定範囲内である。
実験例13は、請求項3で規定する対数減衰率δが0.07であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
実験例13は、請求項4で規定する加重平均周波数Faが4550Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
実験例13は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxが7210であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例13は、請求項1の規定を満たしており、本発明の範囲内である。
【0051】
したがって、
図14に示すように、請求項1の規定を全て満たす実験例4、7、10、13は、打球音、打感A、打感B、合計点が本発明の範囲外である実験例1、2、3、5、6、8、9、11、12を上回っている。
【0052】
(条件2)
各実験例について、
図15に示すように、請求項2で規定する条件を変更した。
なお、請求項1で規定する条件は、以下のように一定条件とした。
請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfは2.0mmとし、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内とした。
請求項1で規定する体積比率Vb/Vmは27.0%とし、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内とした。
請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbは7.0cm
2とし、2cm
2≦Sb≦20cm
2の規定範囲内とした。
請求項1で規定するヘッド体積Vhは38.5cm
3とし、33cm
3≦Vh≦42cm
3の規定範囲内とした。
請求項3、4、5で規定する条件は実測値を記載した。
条件2において、比較例としての実験例1を除く実験例14-25は何れも請求項3、4、5で規定する条件を満たすものとなっている。
【0053】
実験例1は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例1は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が8.3mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例1は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が0.0であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲を下回っている。
実験例1は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が55.2であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲を下回っている。
【0054】
実験例14は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が8.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲を下回っている。
実験例14は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例14は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例14は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例14は請求項2の規定を満たしておらず、請求項2の範囲外である。
【0055】
実験例15は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が23.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲を上回っている。
実験例15は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例15は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例15は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例15は請求項2の規定を満たしておらず、請求項2の範囲外である。
【0056】
実験例16は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が11.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例16は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例16は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例16は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例16は請求項2の規定を満たしており、請求項2の範囲内である。
【0057】
実験例17は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例17は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が3.7mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲を下回っている。
実験例17は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例17は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例17は請求項2の規定を満たしておらず、請求項2の範囲外である。
【0058】
実験例18は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例18は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が12.0mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲を上回っている。
実験例18は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例18は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例18は請求項2の規定を満たしておらず、請求項2の範囲外である。
【0059】
実験例19は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例19は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が6.0mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例19は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例19は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例19は請求項2の規定を満たしており、請求項2の範囲内である。
【0060】
実験例20は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例20は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例20は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が35.0%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲を下回っている。
実験例20は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例20は請求項2の規定を満たしておらず、請求項2の範囲外である。
【0061】
実験例21は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例21は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例21は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が88.0%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲を上回っている。
実験例21は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例21は請求項2の規定を満たしておらず、請求項2の範囲外である。
【0062】
実験例22は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例22は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例22は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が43.0%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例22は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が65.3%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例22は請求項2の規定を満たしており、請求項2の範囲内である。
【0063】
実験例23は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例23は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例23は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例23は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が36.0%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲を下回っている。
したがって、実験例23は請求項2の規定を満たしておらず、請求項2の範囲外である。
【0064】
実験例24は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例24は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例24は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例24は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が83.0%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲を上回っている。
したがって、実験例24は請求項2の規定を満たしておらず、請求項2の範囲外である。
【0065】
実験例25は、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1が14.0mmであり、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲内である。
実験例25は、請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2が7.5mmであり、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲内である。
実験例25は、請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1が52.7%であり、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲内である。
実験例25は、請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2が42.0%であり、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲内である。
したがって、実験例25は請求項2の規定を満たしており、請求項2の範囲内である。
【0066】
したがって、
図15に示すように、請求項1、2の規定を全て満たす実験例16、19、22、25は、打球音、打感A、打感B、合計点が請求項2の範囲外である実験例1、14、15、17、18、20、21、23、24を上回っている。
【0067】
(条件3)
各実験例について、
図16に示すように、請求項3で規定する条件を変更した。
なお、請求項1で規定する条件は、以下のように一定条件とした。
請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfは2.0mmとし、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内とした。
請求項1で規定する体積比率Vb/Vmは27.0%とし、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内とした。
請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbは7.0cm
2とし、2cm
2≦Sb≦20cm
2の規定範囲内とした。
請求項1で規定するヘッド体積Vhは38.5cm
3とし、33cm
3≦Vh≦42cm
3の規定範囲内とした。
また、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1は、14.0mmとし、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2は、7.5mmとし、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1は、52.7%とし、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2は、65.3%とし、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲を満たすものとした。
請求項4、5で規定する条件は実測値を記載した。
条件3において、比較例としての実験例1を除く実験例26-28は何れも請求項4、5で規定する条件を満たすものとなっている。
【0068】
実験例1は、請求項2で規定する対数減衰率δが0.09であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲を上回っている。
【0069】
実験例26は、請求項2で規定する対数減衰率δが0.03であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲を下回っている。
したがって、実験例26は請求項3の範囲外である。
【0070】
実験例27は、請求項2で規定する対数減衰率δが0.08であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲を上回っている。
したがって、実験例27は請求項3の範囲外である。
【0071】
実験例28は、請求項2で規定する対数減衰率δが0.07であり、0.05≦δ≦0.07の規定範囲内である。
したがって、実験例28は請求項3の範囲内である。
【0072】
したがって、
図16に示すように、請求項1、2、3の規定を全て満たす実験例28は、打球音、打感A、打感B、合計点が請求項3の範囲外である実験例1、26、27を上回っている。
【0073】
(条件4)
各実験例について、
図17に示すように、請求項4で規定する条件を変更した。
なお、請求項1で規定する条件は、以下のように一定条件とした。
請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfは2.0mmとし、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内とした。
請求項1で規定する体積比率Vb/Vmは27.0%とし、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内とした。
請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbは7.0cm
2とし、2cm
2≦Sb≦20cm
2の規定範囲内とした。
請求項1で規定するヘッド体積Vhは38.5cm
3とし、33cm
3≦Vh≦42cm
3の規定範囲内とした。
また、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1は、14.0mmとし、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2は、7.5mmとし、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1は、52.7%とし、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2は、65.3%とし、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲を満たすものとした。
請求項3、5で規定する条件は実測値を記載した。
条件4において、比較例としての実験例1を除く実験例29-31は何れも請求項3、5で規定する条件を満たすものとなっている。
【0074】
実験例1は、請求項4で規定する加重平均周波数Faは5507Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲を上回っている。
【0075】
実験例29は、請求項4で規定する加重平均周波数Faは3800Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲を下回っている。
したがって、実験例29は請求項4の範囲外である。
【0076】
実験例30は、請求項4で規定する加重平均周波数Faは5200Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲を上回っている。
したがって、実験例30は請求項4の範囲外である。
【0077】
実験例31は、請求項4で規定する加重平均周波数Faは4800Hzであり、4000Hz≦Fa≦5000Hzの規定範囲内である。
したがって、実験例31は請求項4の範囲内である。
【0078】
したがって、
図17に示すように、請求項1、2、3、4の規定を全て満たす実験例31は、打球音、打感A、打感B、合計点が実験例1および請求項4の範囲外である実験例29、30を上回っている。
【0079】
(条件5)
各実験例について、
図18に示すように、請求項5で規定する条件を変更した。
なお、請求項1で規定する条件は、以下のように一定条件とした。
請求項1で規定するフェース部16の肉厚Tfは2.0mmとし、1mm≦Tf≦3mmの規定範囲内とした。
請求項1で規定する体積比率Vb/Vmは27.0%とし、15%≦Vb/Vm≦35%の規定範囲内とした。
請求項1で規定するバック部14の露出面積Sbは7.0cm
2とし、2cm
2≦Sb≦20cm
2の規定範囲内とした。
請求項1で規定するヘッド体積Vhは38.5cm
3とし、33cm
3≦Vh≦42cm
3の規定範囲内とした。
また、請求項2で規定する第1ヘッド肉厚Th1は、14.0mmとし、10mm≦Th1≦20mmの規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第2ヘッド肉厚Th2は、7.5mmとし、5mm≦Th2≦10mmの規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第1肉厚比率Tb1/Th1は、52.7%とし、40%≦Tb1/Th1≦80%の規定範囲を満たすものとした。
請求項2で規定する第2肉厚比率Tb2/Th2は、65.3%とし、40%≦Tb2/Th2≦80%の規定範囲を満たすものとした。
請求項3、4で規定する条件は実測値を記載した。
条件5において、比較例としての実験例1を除く実験例32-34は何れも請求項3、4で規定する条件を満たすものとなっている。
【0080】
実験例1は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxは、4512であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲を下回っている。
【0081】
実験例32は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxは、5800であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲を下回っている。
したがって、実験例32は請求項5の範囲外である。
【0082】
実験例33は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxは、9150であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲を上回っている。
したがって、実験例33は請求項5の範囲外である。
【0083】
実験例34は、請求項5で規定する加速度比Aa/Amaxは、6200であり、6000≦Aa/Amax≦9000の規定範囲内である。
したがって、実験例34は請求項5の範囲内である。
【0084】
したがって、
図18に示すように、請求項1、2、3、4、5の規定を全て満たす実験例34は、打球音、打感A、打感B、合計点が実験例1および請求項5の範囲外である実験例32、33を上回っている。
【0085】
(条件6)
図26に示す実施例35、36は、請求項1~5で規定する条件を全て満たすものであり、請求項1~請求項5で規定する各数値を、上述した条件1~条件5に比較してより好適なものとした。
したがって、条件6の実験例35、36は全て請求項1~5の規定範囲内であり、本発明の範囲内である。
実施例35、36は、打球音、打感A、打感B、合計点が、請求項1~5で規定する条件を全て満たす他の実施例4、7、10、13、16、19、22、25、28、31、34を上回っている。
【符号の説明】
【0086】
10 ゴルフクラブヘッド
12 本体部
14 バック部
16 フェース部
16A フェース面
16B 背面
18 ソール部
18A ソール面
18B 上面
20 ブレード部
20A ブレード面
20B 下面
22 トウ部
22A 内側の面
24 ヒール部
24A 内側の面
26 ホーゼル部
28 収容凹部
30 スコアライン