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特開2022-34403燃焼用ガス量制御装置及び補正情報設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034403
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】燃焼用ガス量制御装置及び補正情報設定方法
(51)【国際特許分類】
   F23N 1/00 20060101AFI20220224BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
F23N1/00 102D
F23K5/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138177
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森本 和幸
(72)【発明者】
【氏名】徳永 昌之
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068AA01
3K068BA01
3K068BB01
3K068BB12
3K068BB20
3K068BB22
3K068FC02
3K068FC06
3K068HA08
(57)【要約】
【課題】生産効率の向上を図ることができる燃焼用ガス量制御装置を提供する。
【解決手段】固定板に対して可動板をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度及び全閉開度に変更するガス量調節部16と、可動板に連係された出力軸を回転させて、可動板をガス量調節用移動方向に移動操作する電動モータ18と、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との基準関係に相当する基準関係情報に基づいて、ガス通流用開度の目標開度に対応する目標回転位相に出力軸を回転させるために電動モータ18を駆動するモータ制御部Uと、が設けられ、モータ制御部Uが、基準関係情報及び出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係と基準関係との差に相当する補正情報に基づいて、電動モータ18を駆動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定板に対して可動板をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度及び全閉開度に変更するガス量調節部と、
前記可動板に連係された出力軸を回転させて、前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に移動操作する電動モータと、
前記出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度と前記ガス通流用開度との基準関係に相当する基準関係情報を記憶する基準情報記憶部と、
前記ガス通流用開度についての目標開度の指示情報及び前記基準関係情報に基づいて、前記目標開度に対応する目標回転位相に前記回転軸を回転させるために前記電動モータを駆動するモータ制御部と、が設けられた燃焼用ガス量制御装置であって、
前記出力軸の前記基準回転位相に位置する状態からの回転角度と前記ガス通流用開度との実関係と、前記基準関係との差に相当する補正情報を記憶する補正情報記憶部が設けられ、
前記モータ制御部が、前記目標開度に対応する目標回転位相に前記回転軸を回転させるために、前記基準関係情報を前記補正情報にて補正する燃焼用ガス量制御装置。
【請求項2】
前記ガス量調節部が、前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動させることにより、前記ガス通流用開度を前記全閉開度から前記最小通流開度を経由して前記最大通流開度に向けて増大させ、且つ、前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動させることにより、前記ガス通流用開度を前記最大通流開度から前記最小通流開度を経由して前記全閉開度に向けて減少させる形態に構成され、
前記電動モータが、ステッピングモータであり、
前記モータ制御部が、前記目標開度に対応する目標回転位相に前記回転軸を回転させるために前記ステッピングモータに印加する目標パルス数を求めて、前記目標パルス数を印加する形態で前記ステッピングモータを駆動する請求項1に記載の燃焼用ガス量制御装置。
【請求項3】
前記出力軸の回転位相を検出する回転位相検出部が設けられ、
前記基準回転位相が前記全閉開度に相当する回転位相として定められ、
パルス制御用基準位相が、前記全閉開度と前記最小通流開度との間に、前記基準回転位相から設定角度離れた回転位相として定められ、かつ、前記基準回転位相から前記パルス制御用基準位相に前記出力軸を回転させるための回転角度が、前記基準関係情報として前記基準情報記憶部に記憶され、
前記モータ制御部が、前記全閉開度に相当する回転位相の前記出力軸を前記ガス流動開度に変更する場合には、前記回転位相検出部の検出情報に基づいて、前記出力軸が前記パルス制御用基準位相になるように前記ステッピングモータの駆動を制御した後、前記パルス制御用基準位相から前記ガス流動開度にするための前記目標パルス数を前記ステッピングモータに印加する請求項2に記載の燃焼用ガス量制御装置。
【請求項4】
前記基準回転位相が前記全閉開度に相当する回転位相として定められ、且つ、パルス制御用基準位相が、前記基準回転位相に定められ、
前記モータ制御部が、前記基準回転位相の前記出力軸を前記ガス流動開度に変更する場合には、前記基準回転位相から前記目標開度にするための前記目標パルス数を前記ステッピングモータに印加する請求項2に記載の燃焼用ガス量制御装置。
【請求項5】
前記出力軸の回転位相を検出する回転位相検出部が設けられ、
前記モータ制御部が、前記出力軸を前記ガス流動開度に相当する回転位相から前記基準回転位相にするための前記目標パルス数を前記ステッピングモータに印加して前記出力軸を前記基準回転位相に回転させた状態において、前記回転位相検出部の検出情報に基づいて、前記出力軸の回転位相が前記基準回転位相に一致していないと判別した場合には、前記出力軸の回転位相が前記基準回転位相に一致するように前記ステッピングモータを駆動する請求項3又は4に記載の燃焼用ガス量制御装置。
【請求項6】
前記モータ制御部が、前記ステッピングモータの回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び修正用パルス数を加算する形態で前記目標パルス数を求める請求項2~5のいずれか1項に記載の燃焼用ガス量制御装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の燃焼用ガス量制御装置において前記補正情報を設定する方法であって、前記基準回転位相から前記最小通流開度よりも大きな目標ガス流動開度にするために前記電動モータを駆動した後において、設定基準圧のガスを前記ガス量調節部に供給したときに、当該ガス量調節部から排出されるガス圧と予め設定した目標ガス圧との差に基づいて前記補正情報を求める燃焼用ガス量制御装置における補正情報設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定板に対して可動板をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度及び全閉開度に変更するガス量調節部と、
前記可動板に連係された出力軸を回転させて、前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に移動操作する電動モータと、
前記出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度と前記ガス通流用開度との基準関係に相当する基準関係情報を記憶する基準情報記憶部と、
前記ガス通流用開度についての目標開度の指示情報及び前記基準関係情報に基づいて、前記目標開度に対応する目標回転位相に前記回転軸を回転させるために前記電動モータを駆動するモータ制御部と、が設けられた燃焼用ガス量制御装置、及び、その燃焼用ガス量制御装置における補正情報設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる燃焼用ガス量制御装置は、例えば、ガスコンロに装備して、コンロバーナに供給するガス燃料の供給を制御するのに用いる等、ガスコンロ等のガス燃焼機器に組み込んで使用されることになる。
ちなみに、ガスコンロ等のガス燃焼機器の燃焼に使用されるガス燃料としては、近年では、13Aの都市ガスやLPガスが多く使用されている。
【0003】
かかる燃焼用ガス量制御装置の従来例として、ガス制御弁(ガス量調節部に相当)の本体(ケーシング)に対してボルト等のネジを用いて固定板を固定するにあたり、固定板に形成するネジ孔を、出力軸の軸心を中心とする円弧状の長孔に形成して、出力軸の軸心周りにおける固定板の固定位置を調整することにより、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係(生産後の実際の関係)を、基準関係(基準関係情報)に調整するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-81108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の燃焼用ガス量制御装置においては、ガス量調節部や電動モータを組付けて燃焼用ガス量制御装置を生産(製作)する途中において、出力軸の軸心周りでの固定板の固定位置を調整することにより、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係(生産後の実際の関係)を、基準関係(基準関係情報)と一致させることになる。
【0006】
具体的には、ガス量調節部に対して計測用の設定圧のガス燃料を供給しながら、ガス量調節部から排出されるガス圧を計測して、計測したガス圧が目標ガス圧となるように、出力軸の軸心周りでの固定板の固定位置を調整することにより、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係を、基準関係(基準関係情報)と一致させることになる。
ちなみに、ガス量調節部から排出されるガス圧を計測する際には、通常、ガス量調節部から排出されるガスを噴出する噴出ノズルを設けて、噴出ノズルから噴出されるガス圧を計測することになる。
【0007】
つまり、ガス量調節部や電動モータを組付けて燃焼用ガス量制御装置を生産(製作)すると、各部品が精度良く製作されていたとしても、機械的な組付け誤差等により、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係が、基準関係(基準関係情報)からずれる虞があるものであり、そのため、出力軸の軸心周りでの固定板の固定位置を調整して、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係を、基準関係(基準関係情報)に一致させることになる。
【0008】
しかしながら、ガス量調節部から排出されるガス圧を計測しながら、計測したガス圧が目標ガス圧となるように、出力軸の軸心周りでの固定板の固定位置を調整する作業は、ガス圧を計測して固定板の固定位置を調整することを、複数回繰り返す場合が多く、手間が掛かる面倒な作業となるものである。
その結果、燃焼用ガス量制御装置の生産効率を向上し難いものとなるのであり、改善が望まれるものであった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、生産効率の向上を図ることができる燃焼用ガス量制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の燃焼用ガス量制御装置は、固定板に対して可動板をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度及び全閉開度に変更するガス量調節部と、
前記可動板に連係された出力軸を回転させて、前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に移動操作する電動モータと、
前記出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度と前記ガス通流用開度との基準関係に相当する基準関係情報を記憶する基準情報記憶部と、
前記ガス通流用開度についての目標開度の指示情報及び前記基準関係情報に基づいて、前記目標開度に対応する目標回転位相に前記回転軸を回転させるために前記電動モータを駆動するモータ制御部と、が設けられたものであって、その特徴構成は、
前記出力軸の前記基準回転位相に位置する状態からの回転角度と前記ガス通流用開度との実関係と、前記基準関係との差に相当する補正情報を記憶する補正情報記憶部が設けられ、
前記モータ制御部が、前記目標開度に対応する目標回転位相に前記回転軸を回転させるために、前記基準関係情報を前記補正情報にて補正する点にある。
【0011】
すなわち、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係と基準関係との差に相当する補正情報を記憶する補正情報記憶部が設けられる。
そして、モータ制御部が、目標開度に対応する目標回転位相に出力軸を回転させるために、基準関係情報及び補正情報に基づいて電動モータを駆動することになるから、ガス量調節部や電動モータを組付けて燃焼用ガス量制御装置を生産(製作)した際に、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係(生産後の実際の関係)が、基準情報記憶部に記憶されている基準関係情報(基準関係)からずれていても、そのずれを補正情報にて解消しながら、出力軸を目標開度に対応する目標回転位相に的確に回転させることができる。
【0012】
そして、補正情報記憶部に記憶させる補正情報は、ガス量調節部や電動モータを組付けて燃焼用ガス量制御装置を生産(製作)した際に、例えば、ガス量調節部に対して計測用の設定基準圧のガスを供給しながら、ガス量調節部から排出されるガス圧を計測して、計測したガス圧と目標ガス圧との差に基づいて求めることができ、その補正情報を補正情報記憶部に記憶することができる。
ちなみに、目標ガス圧は、実関係が基準関係にある場合に、設定基準圧のガスを供給しときに排出される圧力に相当する。
【0013】
したがって、ガス量調節部や電動モータを組付けて燃焼用ガス量制御装置を生産する途中において、出力軸の軸心周りでの固定板の固定位置を調整する面倒な作業を省くことができるため、燃焼用ガス量制御装置の生産効率を向上できるものとなる。
【0014】
要するに、本発明の燃焼用ガス量制御装置の特徴構成によれば、生産効率の向上を図ることができる。
【0015】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成は、前記ガス量調節部が、前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動させることにより、前記ガス通流用開度を前記全閉開度から前記最小通流開度を経由して前記最大通流開度に向けて増大させ、且つ、前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動させることにより、前記ガス通流用開度を前記最大通流開度から前記最小通流開度を経由して前記全閉開度に向けて減少させる形態に構成され、
前記電動モータが、ステッピングモータであり、
前記モータ制御部が、前記目標開度に対応する目標回転位相に前記回転軸を回転させるために前記ステッピングモータに印加する目標パルス数を求めて、前記目標パルス数を印加する形態で前記ステッピングモータを駆動する点にある。
【0016】
すなわち、可動板がガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動操作されることにより、ガス通流用開度が、全閉開度から最小通流開度を経由して最大通流開度に向けて増大され、また、可動板がガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動させることにより、ガス通流開度が、最大通流開度から最小通流開度を経由して全閉開度に向けて減少されることになる。
【0017】
そして、モータ制御部が、出力軸を目標回転位相に回転させるためにステッピングモータに印加する目標パルス数を求めて、ステッピングモータに印加するものであるから、つまり、出力軸を目標回転位相に回転させる際には、出力軸を目標回転位相に回転させるための目標パルス数を求めて、その目標パルス数をステッピングモータに印加する形態でステッピングモータを駆動するものであるから、モータ制御部の負荷が小さな簡素な制御形態で、ステッピングモータを駆動することができる。
【0018】
つまり、ステッピングモータを駆動してガス通流開度を全閉開度と最大通流開度との間で変更するにあたり、出力軸の回転位相を検出するポテンショメータ等の回転位相検出部を設けて、回転位相検出部の検出情報をフィードバック情報として用いるフィードバック制御形態でステッピングモータを駆動することが考えられるが、このフィードバック制御形態では、設定間隔おきに回転位相検出部の検出情報を読込みながら、ステッピングモータを駆動することになるため、モータ制御部の負荷が大きくなる。
【0019】
これに対して、出力軸を目標回転位相に回転させるための目標パルス数を定めて、その目標パルス数をステッピングモータに印加する形態、いわゆるオープンループ形態でステッピングモータを駆動するものであるから、モータ制御部の負荷が小さな簡素な制御形態で、ステッピングモータを駆動することができるのである。
【0020】
要するに、本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成によれば、ガス通流開度を全閉開度と最大通流開度と間で変更するためにステッピングモータを駆動するにあたり、簡素な制御形態でステッピングモータを駆動することができる。
【0021】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成は、前記出力軸の回転位相を検出する回転位相検出部が設けられ、
前記基準回転位相が前記全閉開度に相当する回転位相として定められ、
パルス制御用基準位相が、前記全閉開度と前記最小通流開度との間に、前記基準回転位相から設定角度離れた回転位相として定められ、かつ、前記基準回転位相から前記パルス制御用基準位相に前記出力軸を回転させるための回転角度が、前記基準関係情報として前記基準情報記憶部に記憶され、
前記モータ制御部が、前記全閉開度に相当する回転位相の前記出力軸を前記ガス流動開度に変更する場合には、前記回転位相検出部の検出情報に基づいて、前記出力軸が前記パルス制御用基準位相になるように前記ステッピングモータの駆動を制御した後、前記パルス制御用基準位相から前記ガス流動開度にするための前記目標パルス数を前記ステッピングモータに印加する点にある。
【0022】
すなわち、出力軸の回転位相を検出するポテンショメータ等の回転位相検出部が設けられ、また、基準回転位相が全閉開度に相当する回転位相として定められている。
加えて、パルス制御用基準位相が、全閉開度と最小通流開度との間に、基準回転位相から設定角度離れた回転位相として定められ、かつ、基準回転位相からパルス制御用基準位相に出力軸を回転させるための回転角度が、基準関係情報として基準情報記憶部に記憶されている。
【0023】
そして、モータ制御部が、全閉開度に相当する回転位相の出力軸をガス流動開度に変更する場合、例えば、全閉開度に相当する回転位相の出力軸をガス流動開度としての点火用のガス流動開度に変更する場合には、先ず、回転位相検出部の検出情報に基づいて、出力軸がパルス制御用基準位相になるようにステッピングモータの駆動を制御する。
つまり、回転位相検出部の検出情報をフィードバック情報として用いるフィードバック制御形態でステッピングモータを駆動して、出力軸をパルス制御用基準位相に回転させることになる。
この際、基準関係情報として基準情報記憶部に記憶されている、基準回転位相からパルス制御用基準位相に出力軸を回転させるための回転角度が、補正情報記憶部に記憶されている補正情報にて補正されることになる。
【0024】
その後、モータ制御部が、パルス制御用基準位相から目標とするガス流動開度にするための目標パルス数をステッピングモータに印加する形態、いわゆるオープンループ形態でステッピングモータを駆動して、目標とするガス流動開度に相当する回転位相に出力軸を回転させることになる。
【0025】
このように、パルス制御用基準位相から目標とするガス流動開度に相当する回転位相に出力軸を回転させる際には、オープンループ形態でステッピングモータを駆動するから、モータ制御部の負荷が小さな簡素な制御形態で、ステッピングモータを駆動することができる。
【0026】
しかも、全閉開度に相当する回転位相の出力軸をパルス制御用基準位相に回転させる際には、回転位相検出部の検出情報をフィードバック情報として用いるフィードバック制御形態でステッピングモータを駆動するから、オープンループ形態でステッピングモータを駆動した場合におけるステッピングモータの脱調等により、出力軸の回転位相が目標とするパルス制御用基準位相からずれることを回避しながら、目標とするパルス制御用基準位相に的確に出力軸を回転させることができ、その後、パルス制御用基準位相から目標とするガス流動開度に相当する回転位相に出力軸を回転させることを適切に行える。
【0027】
要するに、本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成によれば、モータ制御部の負荷が小さな簡素な制御形態で、ステッピングモータを駆動することができるようにしながらも、目標とするガス流動開度に相当する回転位相に出力軸を適切に回転させることができる。
【0028】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成は、前記基準回転位相が前記全閉開度に相当する回転位相として定められ、且つ、パルス制御用基準位相が、前記基準回転位相に定められ、
前記モータ制御部が、前記基準回転位相の前記出力軸を前記ガス流動開度に変更する場合には、前記基準回転位相から前記目標開度にするための前記目標パルス数を前記ステッピングモータに印加する点にある。
【0029】
すなわち、基準回転位相が全閉開度に相当する回転位相として定められ、また、パルス制御用基準位相が、基準回転位相に定められる。
そして、モータ制御部が、全閉開度に相当する回転位相の出力軸をガス流動開度に変更する場合、例えば、全閉開度に相当する回転位相の出力軸をガス流動開度としての点火用のガス流動開度に変更する場合には、基準回転位相(パルス制御用基準位相)から目標とするガス流動開度にするための目標パルス数をステッピングモータに印加する形態、いわゆるオープンループ形態でステッピングモータを駆動して、目標とするガス流動開度に相当する回転位相に出力軸を回転させることになる。
【0030】
ちなみに、基準回転位相(パルス制御用基準位相)から目標とするガス流動開度にするための目標パルス数を、基準情報記憶部に記憶された基準関係にて求めるにあたり、補正情報記憶部に記憶された補正情報にて補正することになる。
【0031】
このように、基準回転位相(パルス制御用基準位相)から目標とするガス流動開度に相当する回転位相に出力軸を回転させる際には、オープンループ形態でステッピングモータを駆動するから、モータ制御部の負荷が小さな簡素な制御形態で、ステッピングモータを駆動することができる。
【0032】
要するに、本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成によれば、モータ制御部の負荷が小さな簡素な制御形態で、ステッピングモータを駆動するようにしながらも、目標とするガス流動開度に相当する回転位相に出力軸を回転させることができる。
【0033】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成は、前記出力軸の回転位相を検出する回転位相検出部が設けられ、
前記モータ制御部が、前記出力軸を前記ガス流動開度に相当する回転位相から前記基準回転位相にするための前記目標パルス数を前記ステッピングモータに印加して前記出力軸を前記基準回転位相に回転させた状態において、前記回転位相検出部の検出情報に基づいて、前記出力軸の回転位相が前記基準回転位相に一致していないと判別した場合には、前記出力軸の回転位相が前記基準回転位相に一致するように前記ステッピングモータを駆動する点にある。
【0034】
すなわち、出力軸の回転位相を検出するポテンショメータ等の回転位相検出部が設けられる。
そして、モータ制御部が、出力軸をガス流動開度に相当する回転位相から基準回転位相にするための目標パルス数をステッピングモータに印加して出力軸を基準回転位相に回転させた状態において、回転位相検出部の検出情報に基づいて、出力軸の回転位相が基準回転位相に一致していないと判別した場合には、出力軸の回転位相が基準回転位相に一致するようにステッピングモータを駆動することになる。
【0035】
つまり、出力軸をガス流動開度に相当する回転位相から基準回転位相にするための目標パルス数を電動モータに印加して出力軸を基準回転位相に回転させた状態において、万が一、ステッピングモータの脱調等により、出力軸の回転位相が基準回転位相からずれることがあっても、回転位相検出部の検出情報をフィードバック情報として用いるフィードバック制御形態でステッピングモータを駆動しながら、基準回転位相に出力軸を適切に回転させることができる。
【0036】
要するに、本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成によれば、基準回転位相に出力軸を適切に回転させることができる。
【0037】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成は、前記モータ制御部が、前記ステッピングモータの回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び修正用パルス数を加算する形態で前記目標パルス数を求める点にある。
【0038】
すなわち、モータ制御部が、ステッピングモータの回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び補正用のパルス数を加算する形態で、出力軸を目標回転位相に回転させるためにステッピングモータに印加する目標パルス数を求めるものであるから、ステッピングモータの出力軸と可動板とを連係する連係機構の連係融通(遊び)に拘わらず、可動板を適切に移動操作することができる。
【0039】
説明を加えると、ステッピングモータの出力軸と可動板とを連係する連係機構には、連係融通(遊び)が存在するため、ステッピングモータの回転方向を変更した場合には、出力軸を目標回転位相に回転させても、連係融通(遊び)に相当する量だけ、可動板の移動量が不足することになるが、連係融通(遊び)に対応させて予め設定した遊び補正用のパルス数を、出力軸を目標回転位相に回転させるパルス数に加算する形態で目標パルスを求めて、ステッピングモータを駆動することにより、可動板を適切に移動操作することができるのである。
【0040】
要するに、本発明の燃焼用ガス量制御装置の更なる特徴構成によれば、ステッピングモータの出力軸と可動板とを連係する連係機構の連係融通(遊び)に拘わらず、可動板を適切に移動操作することができる。
【0041】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の補正情報設定方法は、上記した燃焼用ガス量制御装置において前記補正情報を設定する方法であって、前記基準回転位相から前記最小通流開度よりも大きな目標ガス流動開度にするために前記電動モータを駆動した後において、設定基準圧のガスを前記ガス量調節部に供給したときに、当該ガス量調節部から排出されるガス圧と予め設定した目標ガス圧との差に基づいて前記補正情報を求める点にある。
【0042】
すなわち、出力軸の基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係と基準関係との差に相当する補正情報を求めるにあたり、先ず、最小通流開度よりも大きな目標ガス流動開度にするために電動モータを駆動する。
【0043】
その駆動後、設定基準圧のガスをガス量調節部に供給したときに、当該ガス量調節部から排出されるガス圧と予め設定した目標ガス圧との差に基づいて補正情報を求めるようにする。
ちなみに、目標ガス圧は、実関係が基準関係にある場合に、設定基準圧のガスを供給しときに排出される圧力に相当する。
尚、ガス量調節部から排出されるガス圧を計測する際には、通常、ガス量調節部から排出されるガスを噴出する噴出ノズルを設けて、噴出ノズルから噴出されるガス圧を計測することになる。
【0044】
このように、補正情報を求めるにあたり、最小通流開度よりも大きな目標ガス流動開度にして、設定基準圧のガスを供給しながらガス量調節部から排出されるガス圧を計測するものであるから、ガス量調節部から排出されるガス圧は、最小通流開度におけるガス圧よりも大きな圧力となるため、ガス圧の計測を精度良く行うようにしながら、精度の良い補正情報を求めることができる。
【0045】
つまり、補正情報を求めるにあたり、最小通流開度や、それよりも小さくて、ガスが流れ始める程度の小さなガス通流用開度にして、設定基準圧のガスを供給しながらガス量調節部から排出されるガス圧を計測すると、ガス量調節部から排出されるガス圧は小さな圧力になるため、ガス圧の計測精度が悪化し易く、結果的に、精度の良い補正情報を求めることができない虞がある。
【0046】
これに対して、補正情報を求めるにあたり、最小通流開度よりも大きな目標ガス流動開度にして、設定基準圧のガスを供給しながらガス量調節部から排出されるガス圧を計測するものであるから、ガス圧の計測を精度良く行うようにしながら、精度の良い補正情報を求めることができるのである。
【0047】
要するに、本発明の燃焼用ガス量制御装置の補正情報設定方法によれば、精度の良い補正情報を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】ガスコンロの斜視図である。
図2】ガス燃料の流路構成を示す概略図である。
図3】ガス流動制御ユニットの斜視図である。
図4】高火力用制御部の切欠側面図である。
図5】高火力用制御部の分解斜視図である。
図6】可動板の平面図である。
図7】高火力用制御部の要部を示す一部切欠側面図である。
図8】高火力用制御部の要部を示す一部切欠側面図である。
図9】安全弁と安全弁操作用体と可動板との関係を示す切欠平面図である。
図10】安全弁と安全弁操作用体と可動板との関係を示す切欠平面図である。
図11】安全弁と安全弁操作用体と可動板との関係を示す切欠平面図である。
図12】点火処理における回転形態を説明する図である。
図13】第1原点からのステップ数とノズル圧との関係を示すグラフである。
図14】第1原点付近のステップ数とノズル圧との関係を示すグラフである。
図15】出力軸の回転角度とガス通流開度との関係を示すグラフである。
図16】制御作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
〔実施形態〕
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(ガスコンロの全体構成)
図1に示すように、例示するガスコンロは、コンロ本体の上面部に、3つのコンロバーナ1を備え、コンロ本体の内部のグリル部GRに、グリルバーナ2(図2参照)を備える状態に構成され、そして、キッチンカウンターに組み込まれるビルトインタイプに構成されている。
3つのコンロバーナ1は、左側に配設される高火力バーナ1A、右側に配設される標準バーナ1B、及び、横幅方向の中央の奥側箇所に配設される小火力バーナ1Cである。
グリルバーナ2は、グリル上バーナ2U及びグリル下バーナ2Sである(図2参照)。
【0050】
コンロ本体の上面は、ガラス製のトッププレート3にて覆われ、コンロ本体の上面の後部側箇所には、グリル部GRの燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成されている。
また、トッププレート3の上部には、3つのコンロバーナ1の夫々にて加熱される鍋等の調理容器を載置するための五徳5が設けられている。
【0051】
ちなみに、図2に示すように、3つのコンロバーナ1及びグリルバーナ2の夫々に対して、点火用のイグナイタL、熱電対等を用いて構成される着火検出用の着火検出センサJが装備されている。
尚、グリルバーナ2としての、グリル下バーナ2Sは、左右一対装備されるものであるが、図2においては、一つのみを記載している。
【0052】
(ガスコンロの操作構成)
図1に示すように、コンロ本体の前面部の左方側箇所には、高火力バーナ1Aに対する高火力用操作具6Aが配設され、コンロ本体の前面部の右方側箇所には、標準バーナ1Bに対する標準用操作具6B、及び、小火力バーナ1Cに対する小火力用操作具6Cが配設されている。
尚、以下の記載において、高火力用操作具6A、小火力用操作具6C、及び、標準用操作具6Bを区別して記載する必要がないときには、操作具6と記載する。
【0053】
各操作具6は、対応するコンロバーナ1についての燃焼開始の指示(以下、点火指令と略称する)及び燃焼停止の指示(以下、消火指令と略称する)を指令し、且つ、対応するコンロバーナ1について目標火力の大きさの指示(以下、火力調節指令と略称)を指令するものであって、具体的には、前方側より押し込み操作されるごとに、点火指令と消火指令とを交互に指令し、また、前後方向軸心周りで正逆に回動操作されることにより、火力調節指令を指令するように構成されている。
【0054】
説明を加えると、各操作具6は、押し操作される毎に出力軸心方向に移動して、図示しない位置保持機構によって、コンロ本体の内部側に押し込まれた押し込み位置と前方に突出する突出位置とに切り換え自在に構成され、各操作具6が突出位置に切り換えられているときに、正転方向及び逆転方向の夫々に回動操作可能となるように構成されている。
【0055】
各操作具6に対応して点消火スイッチ7A、7B、7C(図2参照)が装備され、これらの点消火スイッチ7A、7B、7Cは、操作具6が押し込み位置に操作されると、OFF(オフ)状態となり、操作具6が突出位置に操作されると、ON(オン)状態となるように構成されている。
【0056】
図2に示すように、点消火スイッチ7A、7B、7Cの検出情報は、ガスコンロの運転を制御する運転制御部Uに入力されている。
運転制御部Uは、点消火スイッチ7A、7B、7CがON(オン)状態になると、点火指令であると判別し、点消火スイッチ7A、7B、7CがOFF(オフ)状態になると、消火指令であると判別するように構成され、そして、後述の如く、点火指令に基づいて点火処理を実行し、かつ、消火指令に基づいて消火処理を実行するように構成されている。
【0057】
又、各操作具6の回転操作に伴ってパルス信号を出力するパルス発生部としてのロータリーエンコーダ8A、8B、8C(図2参照)が、各操作具6に対応して装備されている。
これらのロータリーエンコーダ8A、8B、8Cは、操作具6の一方向への回転操作に伴って2つのパルス信号のうちの一方のパルス信号が他方のパルス信号より位相が進み、操作具6の他方向への回転操作に伴って他方のパルス信号が前記一方のパルス信号より位相が進む状態で、各操作具6の回転操作に伴って互いに異なる位相の2つのパルス信号を出力するように構成されている。
【0058】
図2に示すように、各ロータリーエンコーダ8A、8B、8Cの検出情報は、運転制御部Uに入力されている。
運転制御部Uは、各ロータリーエンコーダ8A、8B、8Cのパルス信号に基づいて、各操作具6が右方向に設定角度回転されるごとに、火力調節指令として、1段階の火力増加指令が指令されたと判断し、また、各操作具6が左方向に設定角度回転されるごとに、火力調節指令として、1段階の火力減少指令が指令されたと判断して、後述の如く、火力調節指令(火力増加指令、火力減少指令)に基づいて火力調節処理を実行するように構成されている。
【0059】
ちなみに、図示はしないが、各操作具6に対してクリック感を付与する付与手段が、各操作具6が左方向及び右方向に設定角度回転されるごとにクリック感を付与する状態で設けられており、各操作具6を左方向及び右方向に設定角度ずつ回転操作することが行い易いようになっている。
【0060】
本実施形態においては、目標火力の大きさとして9段階の目標火力を設定できるように構成されている。
そして、本実施形態のガスコンロは、ガス燃料として、13Aの都市ガス(以下、13Aガスと略称)とLPガスとを使用できるように構成されるものであって、いずれのガス燃料についても、目標火力の大きさを、9段階の目標火力に設定できるように構成されている。
【0061】
つまり、運転制御部Uは、図2に示すように、複数種類のガス燃料のいずれであるかを設定するガス種設定部としてのガス種設定スイッチGEにて設定されるガス種設定情報に基づいて、操作具6にて同じ大きさの目標火力が指令されても、コンロ用流量調節弁16A、16B、16C(詳細は後述する)のガス通流用開度を、設定されたガス種に応じたガス通流用開度に変更するように構成されている。
尚、コンロ用流量調節弁16A、16B、16Cは、後述の如く、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度及び全閉開度に変更するガス量調節部として機能することになる。
【0062】
ちなみに、3つのコンロバーナ1及びグリルバーナ2は、ガス噴出ノズル(図示せず)からガス燃料が噴出状態で供給され、かつ、ガス燃料がガス噴出ノズルから噴出されることによるエジェクタ作用によって一次空気が導入される混合管を備え、そして、燃焼に伴って二次空気を導入して燃焼するように構成されている。
そして、ガス噴出ノズルとして、13Aガスに応じたガス噴出ノズルと、LPガスに応じたガス噴出ノズルが用意されて、これらのガス噴出ノズルを使用するガス燃料の種類に応じて選択するように構成されている。
【0063】
また、コンロ本体の前面部の右方側箇所における下方側部、つまり、小火力用操作具6C及び標準用操作具6Bの下方側箇所には、調理メニュー等の情報を入力するコンロ用設定操作部SCが設けられている。
そして、図2に示すように、コンロ用設定操作部SCの設定情報が、運転制御部Uに入力されて、運転制御部Uが、火力を調節しながら設定された調理メニューに対応する運転を実行する等、3つのコンロバーナ1に対する燃焼制御を実行するように構成されているが、本実施形態においては、コンロ用設定操作部SCの設定情報による燃焼制御についての詳細な説明は省略する。
【0064】
ちなみに、本実施形態においては、各操作具6を主要部として、燃焼開始、目標火力の大きさ及び燃焼停止を指示する燃焼状態設定部MA(図2参照)が構成されている。
つまり、燃焼状態設定部MAは、ガス通流用開度の目標開度(最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度及び全閉開度)を指示するように構成されている。
【0065】
コンロ本体の前面部の右方側箇所の上方部には、電源スイッチ9が設けられており、運転制御部Uは、電源スイッチ9が入り操作されたときに、運転制御を実行するための電力が供給されるように構成されている。
ちなみに、電源スイッチ9が入り操作されることによって供給される電力は、コンロ本体が備える各種の機器類の作動用電力としても用いられることになる。
【0066】
コンロ本体の前面の左方側箇所の下方側部、つまり、高火力用操作具6Aの下方側箇所には、グリルバーナ2に対するグリル用設定操作部SGが配設されている。
そして、図2に示すように、グリル用設定操作部SGの設定情報が、運転制御部Uに入力されて、運転制御部Uが、グリル部GRのグリル上バーナ2U及びグリル下バーナ2Sの燃焼を制御されるように構成されているが、本実施形態では、グリル上バーナ2U及びグリル下バーナ2Sの燃焼制御についての説明は省略する。
【0067】
(ガスコンロのガス燃料供給構成)
図2に示すように、ガス燃料が供給される元ガス路11に、3つのコンロバーナ1に対する3つのコンロ用分岐路12A、12B、12C、及び、グリルバーナ2に対するグリル用分岐路13が分岐状態で接続されている。
【0068】
そして、元ガス路11には、閉じ付勢された元電磁弁15が配設され、3つのコンロ用分岐路12A、12B、12Cの夫々には、3つのコンロバーナ1に供給するガス燃料の供給量を調節するコンロ用流量調節弁16A、16B、16Cが配設され、さらに、グリル用分岐路13には、グリルバーナ2に供給するガス燃料の供給量を調節するグリル用流量調節弁17が配設されている。
尚、以下の記載において、3つのコンロ用分岐路12A、12B、12Cを区別する必要がないときには、分岐路12と記載し、また、コンロ用流量調節弁16A、16B、16Cを区別する必要がないときには、流量調節弁16と記載する。
【0069】
コンロ用流量調節弁16A、16B、16Cは、上述の如く、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度の間のガス流動開度及び全閉開度に変更するガス量調節部として機能するものであって、コンロ用ステッピングモータ18A、18B、18Cにて操作されるように構成されており、その詳細は後述する。
同様に、グリル用流量調節弁17が、グリル用ステッピングモータ19にて操作されるように構成されている。
尚、以下に記載において、3つのコンロ用ステッピングモータ18A、18B、18Cを区別する必要がないときには、ステッピングモータ18と記載する。
【0070】
また、3つのコンロ用分岐路12A、12B、12Cの夫々には、コンロ用安全弁20A、20B、20Cが配設され、グリル用分岐路13には、グリル用安全弁21及びグリル用ガバナ22が装備されている。
コンロ用安全弁20A、20B、20Cは、ガス供給を遮断する閉じ状態に弾性付勢され、かつ、開き状態に操作されたときに電磁保持部20G(図9参照)にて開き状態に保持されるように構成されるものであり、グリル用安全弁21も同様である。
【0071】
そして、コンロ用安全弁20A、20B、20Cが、コンロ用ステッピングモータ18A、18B、18Cにて開き状態に操作されるように構成されており、その詳細は後述する。
同様に、グリル用安全弁21が、グリル用ステッピングモータ19にて開き状態に操作されるように構成されている。
尚、以下の記載において、3つのコンロ用安全弁20A、20B、20Cを区別する必要がないときには、安全弁20と記載する。
【0072】
図3に示すように、ガス流動制御ユニットVが設けられており、このガス流動制御ユニットVに、元電磁弁15、コンロ用流量調節弁16A、16B、16C、コンロ用安全弁20A、20B、20C、及び、グリル用ガバナ22が一体的に組み込まれ、同様に図示は省略するが、グリル用流量調節弁17、グリル用安全弁21が組み込まれている。
【0073】
すなわち、ガス流動制御ユニットVは、高火力バーナ1Aに対応する高火力用制御部VA、標準バーナ1Bに対応する標準用制御部VB、小火力バーナ1Cに対応する小火力用制御部VC、及び、グリルバーナ2に対応するグリル用制御部VG、並びに、元電磁弁15を備える状態に構成されている。
【0074】
高火力用制御部VAは、コンロ用流量調節弁16A、コンロ用安全弁20A及びコンロ用ステッピングモータ18Aを装備するように構成されている。
標準用制御部VBは、コンロ用流量調節弁16B、コンロ用安全弁20B及びコンロ用ステッピングモータ18Bを装備するように構成されている。
小火力用制御部VCは、コンロ用流量調節弁16C、コンロ用安全弁20C及びコンロ用ステッピングモータ18Cを装備するように構成されている。
グリル用制御部VGは、グリル用流量調節弁17、グリル用安全弁21、グリル用ステッピングモータ19及びグリル用ガバナ22を装備するように構成されている。
【0075】
(高火力用制御部の構成)
高火力用制御部VA、標準用制御部VB、及び、小火力用制御部VCは、同様な構成であるため、以下、高火力用制御部VAを代表にして、その具体構成を説明する。
また、以下の記載においては、コンロ用流量調節弁16Aを流量調節弁16と記載し、コンロ用安全弁20Aを安全弁20と記載し、また、コンロ用ステッピングモータ18Aをステッピングモータ18と記載する。
【0076】
高火力用制御部VAは、図4及び図5に示すように、ケーシング25に、流量調節弁16、及び、安全弁20を組込み、ステッピングモータ18を、ケーシング25の底部に備えている。
ちなみに、図4に示すように、ステッピングモータ18の出力軸18Tの回転位相を検出する回転位相検出部としてのポテンショメータPMが、出力軸18Tにギヤ式の連動機構にて連動連結される状態で設けられている。
【0077】
流量調節弁16は、ケーシング25の上部側に設置された固定板26に対して可動板27をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を全閉開度及び最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度に変更するように構成されている。
すなわち、可動板27がガス量調節用移動方向に沿って一方側方向(後述のCW方向)に移動操作されることにより、全閉開度から最小通流開度を経由して最大通流開度に向けてガス通流用開度が増大し、かつ、可動板27がガス量調節用移動方向に沿って他方側方向(後述のCCW方向)に移動操作されることにより、最大通流開度から最小通流開度を経由して全閉開度に向けてガス通流用開度が減少するように構成されている。
【0078】
具体的には、可動板27が、ステッピングモータ18の出力軸18Tの軸心方向に沿う出力軸心Z回りで回転自在に支持されて、出力軸心Z回りでの回転方向をガス量調節用移動方向として、ステッピングモータ18にて回転操作されるように構成されている。
【0079】
そして、図6に示すように、可動板27が、一方側方向として、時計回り方向に沿うCW方向に移動操作されることによって、ガス通流用開度が増大され、また、可動板27が、他方側方向として、反時計回り方向に沿うCCW方向に移動操作されることにより、ガス通流用開度が減少されるように構成されている。
【0080】
(コンロ用流量調節弁の構成)
流量調節弁16について説明を加えると、図4に示すように、可動板27が、固定板26の下面に密接する状態で出力軸心Z回りに回転自在に支持されている。
図5及び図6に示すように、可動板27には、上下に貫通するガス通流孔27Aが形成され、また、可動板27の上面には、ガス通流孔27Aに連通するガス通流凹溝27Bが形成されている。このガス通流凹溝27Bは、CW方向に沿ってガス通流孔27Aから離れるほど小幅となる幅変更部分B1及び小幅となる状態を維持する同幅部分B2を備える状態で、円周方向に沿って形成されている。
【0081】
固定板26には、図4及び図5に示すように、上下に貫通するガス流出孔26Aが、可動板27に形成したガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bに対向する位置に形成されている。
そして、安全弁20の開き状態において、ケーシング25の内部を通して流動するガスがガス通流孔27Aに導かれるように構成されている。
【0082】
したがって、ガス流出孔26Aがガス通流孔27Aに合致する状態において、ガス通流用開度が最大通流開度(最大火力)となり(図11参照)、かつ、ガス流出孔26Aがガス通流凹溝27Bの同幅部分B2の一部と合致する状態において、ガス通流用開度が最小通流開度(最小火力)となる形態で、ガス流動開度が変更されるように構成され、ガス流出孔26Aがガス通流孔27Aやガス通流凹溝27Bに合致しない状態において、ガス通流用開度が全閉開度となるように構成されている。
【0083】
ちなみに、ガス通流用開度が全閉開度となる出力軸18Tの回転位相を、以下、第1原点Aと呼称する(図6参照)。
第1原点Aは、出力軸18Tの基準回転位相であり、そして、出力軸18Tの基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との基準関係に相当する基準関係情報を記憶する基準情報記憶部W(図2参照)が設けられている。
また、出力軸18Tの基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係と基準関係との差に相当する補正情報を記憶する補正情報記憶部Y(図2参照)が設けられている。
補正情報記憶部Yに記憶される補正情報の設定方法については、後述する。
【0084】
尚、ガス流出孔26Aがガス通流凹溝27Bにおける同幅部分B2の端部に合致するとガスが流れ始めることになるが、本実施形態においては、ガス流出孔26Aが同幅部分B2における端部を含む大きな範囲に合致する状態を最小通流開度とする。
また、本実施形態においては、燃料ガスとして、都市ガス(13Aガス)とLPガスとを使用するものであるため、最小通流開度は、都市ガス(13Aガス)とLPガスとのうちの高発熱量側のガスであるLPガスの最小火力に対応する開度である。
同様に、最大通流開度は、都市ガス(13Aガス)とLPガスとのうちの低発熱量側のガスである都市ガス(13Aガス)の最大火力に対応する開度である。
【0085】
また、図5及び図9に示すように、固定板26の外周部における周方向の2箇所に、ボルト挿通孔26aが設けられ、図4に示すように、これらのボルト挿通孔26aに対応させた状態で、固定孔25aがケーシング25に形成されている。
そして、図4に示すように、ボルト挿通孔26a及び固定孔25aを挿通する状態で、締付ボルト28を装着することにより、固定板26がケーシング25に固定されている。
【0086】
つまり、固定板26が、出力軸心Z回りの設定適正位相にて、ケーシング25に固定されている。
ただし、締付ボルト28を装着することにより、出力軸心Z回りの設定適正位相にて、固定板26をケーシング25に固定しても、各部の組付け誤差などにより、出力軸18Tの基準回転位相に位置する状態からの回転角度とガス通流用開度との実関係と基準関係との間に差が発生する。その差に相当する補正情報が補正情報記憶部Yに記憶されて、基準情報記憶部Wに記憶されている基準関係情報が補正情報にて補正されることになり、その詳細は後述する。
【0087】
(安全弁の構成)
安全弁20について説明を加えると、図4及び図5に示すように、ケーシング25の側部に、筒状の安全弁収納部分25Aが設けられている。
図4に示すように、この安全弁収納部分25Aに、弁体30が、弁座31に接当する閉じ位置と弁座31から離間する開き位置とに切換え自在に設けられ、弁体30を閉じ位置に復帰付勢する閉じ付勢用のスプリング32が設けられている。
また、弁体30を開き位置に押圧操作するスライド式の操作体33が、戻しスプリング34にて、弁体30を押圧しない非操作位置に復帰付勢された状態で設けられている。
【0088】
したがって、安全弁20は、弁体30が弁座31に接当する閉じ状態に復帰付勢されるように構成され、かつ、非操作位置から弁体30の存在側に移動されるスライド式の操作体33にて、弁体30が弁座31から離間する開き状態に操作されるように構成されている。
尚、開き位置に押圧された弁体30が電磁保持部20Gにて保持されることにより、安全弁20が、開き状態に保持されるように構成されている。
【0089】
(連係機構の構成)
ケーシング25には、出力軸18Tと可動板27とを連係しながら安全弁20を開閉操作するための連係機構Rが組み込まれている。
すなわち、図4及び図5に示すように、ケーシング25には、流量調節弁16及び安全弁20に加えて、安全弁20を開き状態に押し開くための開操作用位置と安全弁20が閉じ状態になることを許容する閉動作許容位置とに切換えられる安全弁操作用体35、及び、可動板27を回動操作する中継体36が組み込まれている。
【0090】
説明を加えると、固定板26の下方に、ステッピングモータ18の出力軸18Tの出力軸心Zに沿って下方に伸びる状態で支持ピン37が支持され、この支持ピン37に、可動板27、中継体36及び安全弁操作用体35が、可動板27と安全弁操作用体35との間に、中継体36を位置させる状態で回転自在に支持され、支持ピン37の下端には、安全弁操作用体35の下方側への抜け落ちを阻止する受止片38が装備されている。
【0091】
ステッピングモータ18の出力軸18Tの上端部が、安全弁操作用体35の底部の嵌合部35Bに、一体回転するように嵌合され、可動板27と中継体36との間には、両者を離間側に付勢するコイルスプリング39が配置されている。
【0092】
図5及び図7に示すように、中継体36の外周部の一部に外方に突出する状態で設けた突起部36aに、上方に伸びる状態で連係ピン40が設けられ、これに対応して、可動板27の外周部の一部に外方に突出する状態で設けた突起部27aに、連係ピン40の上端側部分が上下スライド自在に挿入する挿入孔41が形成されている。
つまり、中継体36と可動板27とが、出力軸心Z方向に相対移動自在な状態で、連係ピン40によって一体回転するように連係されている。
【0093】
図5及び図7に示すように、中継体36の底部の外周側部分には、下方に突出する一対の円弧状の係止突起36Aが、CW方向の端部側部分をCW方向側に位置するほど突出高さが低くなる形態で設けられ、これに対応して、安全弁操作用体35に、係止突起36Aが係入する係入溝35Aが形成されている。
また、図5に示すように、中継体36の外周部に外方に突出する突起部36aが設けられ、図9に示すように、中継体36の突起部36aを受止めるストッパー42が、ケーシング25に設けられている。
【0094】
そして、出力軸18Tが反時計回りに沿うCCW方向に回転するに伴って、安全弁操作用体35がCCW方向に回転するときに、中継体36の外周部に設けた突起部36aがストッパー42にて受止められると、中継体36の係止突起36Aが安全弁操作用体35の上面側に乗り上げる状態となって、安全弁操作用体35がCCW方向に回転することを許容するように構成されている(図8参照)。
【0095】
また、出力軸18Tが時計回りに沿うCW方向に回転するに伴って、安全弁操作用体35がCW方向に回転するときには、中継体36の係止突起36Aが安全弁操作用体35の係入溝35Aの端面にて押圧されて、中継体36が安全弁操作用体35と一体回転するように構成されている(図7参照)。
【0096】
つまり、安全弁操作用体35が安全弁20を開き状態に操作するために、出力軸18Tが第1原点AからCCW方向に回転するときには、中継体36の回転が停止されることにより、可動板27がCCW方向に回転することが阻止され、出力軸18Tが第1原点AからCW方向に回転して、安全弁操作用体35がCW方向に回転するときには、中継体36が安全弁操作用体35と一体回転することにより、可動板27がCW方向に回転されるように構成されている。
【0097】
図5及び図9に示すように、安全弁操作用体35には、非操作位置に位置するスライド式の操作体33を弁体30の存在側に係止移動する係止アーム35aが備えられている。
つまり、出力軸18Tが第1原点AからCCW方向に回転するときに、係止アーム35aが非操作位置に位置するスライド式の操作体33を弁体30の存在側に係止移動させるように構成されている(図10参照)。
【0098】
すなわち、ステッピングモータ18の出力軸18Tと可動板27及び安全弁操作用体35とを連係する連係機構Rが、中継体36や連係ピン40等を主要部として構成されている。
【0099】
連係機構Rは、図9に示すように、出力軸18Tが第1原点Aに回転したときには、コンロ用流量調節弁16Aのガス通流用開度が全閉開度となるように可動板27を操作し、かつ、安全弁操作用体35を閉動作許容位置に操作するように、出力軸18Tと可動板27及び安全弁操作用体35とを連係するように構成されている。
ちなみに、出力軸18Tが第1原点Aに回転しているときには、中継体36の突起部36aは、ストッパー42から離間している。
【0100】
そして、連係機構Rは、出力軸18Tが第1原点Aから回転方向の一方側範囲(CW方向側の範囲)において、正逆に回転したときには、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度に変更すべく、可動板27をガス量調節用移動方向に沿って正逆に移動操作し、かつ、出力軸18Tが第1原点Aから回転方向の他方側範囲(CCW方向側の範囲)に回転したときには、ガス通流用開度が全閉開度となる位置に可動板27を維持させるように、出力軸18Tと可動板27とを連係するように構成されている。
【0101】
また、連係機構Rは、出力軸18Tが第1原点Aから回転方向の一方側範囲(CW方向側の範囲)に回転したときには、安全弁操作用体35を閉動作許容位置に維持させる。
そして、連係機構Rは、図10に示すように、出力軸18Tが第1原点Aから回転方向の他方側範囲(CCW方向側の範囲)において第1原点Aから離れる側の安全弁操作用位相F(図6参照)に回転したときに、安全弁操作用体35を開操作用位置に操作すべく、出力軸18Tと安全弁操作用体35とを連係するように構成されている。
【0102】
尚、安全弁操作用体35の開操作用位置とは、係止アーム35aがスライド式の操作体33を係止移動させる位相範囲に安全弁操作用体35が回転している状態であり、安全弁操作用体35の閉動作許容位置とは、係止アーム35aがスライド式の操作体33を係止しない位相範囲に安全弁操作用体35が回転している状態である。
【0103】
(高火力用制御部のガス燃料の流れ)
次に、高火力用制御部VAにおけるガス燃料の流れについて説明を加えると、図4及び図5に示すように、ケーシング25の安全弁収納部分25Aに、ガス入口部44が設けられている。
このガス入口部44から安全弁収納部分25Aの内部に流動したガスは、弁体30が開き位置に位置するときには、弁座31の形成部分を通過してケーシング25の内部に流動することになる。
【0104】
ケーシング25の内部に流動したガスは、安全弁操作用体35や中継体36の配置箇所を通して可動板27の下方側箇所に流動し、その後、ガス通流孔27Aを通して、可動板27と固定板26の間に流動する。
そして、可動板27と固定板26の間に流動したガスは、ガス流出孔26Aがガス通流孔27A又はガス通流凹溝27Bに合致しているときには、ガス流出孔26Aより流出することになる。
尚、図4に示すように、ケーシング25における出力軸18Tの挿通箇所には、ケーシング25の内部に流動したガスが、ステッピングモータ18の存在側に漏れるのを抑制するシール用のOリング45が、出力軸18Tに外嵌する状態で設けられている。
【0105】
(出力軸の回転位相について)
図6は、出力軸18Tが第1原点Aに回転している状態を示すものであって、固定板26のガス流出孔26Aが、ガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bに合致しない状態となっている。
【0106】
図6において、Dで示す第2原点は、ガス流出孔26Aがガス通流凹溝27Bの同幅部分B2の端部に合致してガスが流れ始めることになる回転位相であって、後述の如く、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間のガス流動開度に変更する際に基準とするパルス制御用基準位相である。
つまり、モータ制御部として機能する運転制御部Uが、ガス流動開度の目標開度に対応する目標回転位相に出力軸18Tを回転させるためにステッピングモータ18に印加する目標パルス数を、パルス制御用基準位相(第2原点D)を基準に求めるように構成されている。
【0107】
第2原点Dは、出力軸18Tが第1原点Aに回転している状態からステッピングモータ18に対して27パルスを印加したときに対応する回転位相である。
ちなみに、ステッピングモータ18は、1パルスの印加にて、0.395度を回転することになるから、第1原点Aから第2原点Dに向けて出力軸18Tを回転させる回転角度は、10.665度であり、この回転角度は、基準関係情報として基準情報記憶部Wに記憶されている。
ただし、第1原点Aから第2原点Dに向けて出力軸18Tを回転させる回転角度は、補正情報に基づいて、補正されることになる。
【0108】
そして、ガス流動開度が最大通流開度(最大火力)となる最大通流位相Mとガス流動開度が最小通流開度(最小火力)となる最小通流位相Sとの間に、都市ガス(13A)についての最小火力とする回転位相や最大火力とする回転位相、及び、LPガスについての最小火力とする回転位相や最大火力とする回転位相が定められる。
【0109】
以下の説明においては、ガス通流用開度を、LPガスの最小通流開度(最小火力)と最大通流開度(最大火力)との間のガス流動開度及び全閉開度に変更する場合について説明する。
コンロバーナ1の燃焼を停止させるために出力軸18Tが第1原点Aに位置する状態から、コンロバーナ1を点火させるためにガス流動開度を点火用の目標開度に変更する場合には、図12に示すように、出力軸18Tが第1原点Aから安全弁操作用位相Fに回転され、次に、出力軸18Tが安全弁操作用位相Fから点火処理を行うときのガス通流用開度(点火用火力)に対応する点火用回転位相Nに操作されることになる。
【0110】
LPガスについての最小通流開度(最小火力)に対応する回転位相は、最小通流位相Sであり、LPガスについての最大通流開度(最大火力)に対応する回転位相は、最小通流位相Sと最大通流位相Mとの間に設定されることになり、例えば、第1原点Aから出力軸18Tが200度回転した回転位相である。
【0111】
ちなみに、第1原点Aから最小通流位相Sまでの出力軸18Tの回転角度は、例えば、60度であり、第1原点Aから最大通流位相Mまでの出力軸18Tの回転角度は、例えば、255度であり、第1原点Aから点火用回転位相Nまでの出力軸18Tの回転角度は、例えば、120度であり、第1原点Aから安全弁操作用位相Fまでの出力軸18Tの回転角度は、例えば、48度である。
【0112】
ちなみに、ポテンショメータPMは、例えば、第1原点AからCW方向に260度回転した位相と、第1原点からCCW方向に76度回転した位相との間において、出力軸18Tの回転位相に対応する回転角度を検出するように構成されている。
また、運転制御部Uは、出力軸18Tが第1原点Aに位置するときのポテンショメータPMの出力値を原点用出力値として記憶するように構成されている。
【0113】
(モータ制御について)
モータ制御部として機能する運転制御部Uが、ガス通流用開度の目標開度を指示する燃焼状態設定部MAの指示情報及び基準情報記憶部Wに記憶されている基準関係情報に基づいて、ガス通流用開度の目標開度に対応する目標回転位相に出力軸18Tを回転させるためにステッピングモータ18を駆動することになる。
そして、運転制御部Uは、基準情報記憶部Wに記憶されている基準関係情報及び補正情報記憶部Yに記憶されている補正情報に基づいて、ガス通流用開度の目標開度に対応する目標回転位相に出力軸18Tを回転させるためにステッピングモータ18を駆動するように構成されている。
【0114】
また、モータ制御部として機能する運転制御部Uが、ガス通流用開度の目標開度に対応する目標回転位相に出力軸18Tを回転させるためにステッピングモータ18に印加する目標パルス数を、パルス制御用基準位相としての第2原点Dを基準に求めて、目標パルス数を印加する形態でステッピングモータ18を駆動するように構成されている。
【0115】
さらに、モータ制御部として機能する運転制御部Uが、第1原点Aに相当する回転位相の出力軸18Tをガス流動開度に変更する場合には、例えば、第1原点Aに相当する回転位相の出力軸18Tを点火用回転位相Nに回転させる場合には、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tがパルス制御用基準位相(第2原点D)になるようにステッピングモータ18の駆動を制御した後、パルス制御用基準位相(第2原点D)から点火用回転位相Nにするための目標パルス数をステッピングモータ18に印加するように構成されている。
【0116】
説明を加えると、本実施形態においては、第1原点Aに相当する回転位相の出力軸18Tを点火用回転位相Nに回転させる場合には、図12に示すように、出力軸18Tを第1原点Aから安全弁操作用位相Fに回転させ、次に、出力軸18Tを安全弁操作用位相Fから第2原点Dに回転させ、続いて、出力軸18Tを第2原点Dから点火用回転位相Nに回転させることになる。
【0117】
そして、出力軸18Tを第1原点Aから安全弁操作用位相Fに回転させるときには、出力軸18Tを第1原点Aから安全弁操作用位相Fに回転させるための目標パルス数を求めて、ステッピングモータ18に印加する、オープンループ式制御形態でステッピングモータ18を駆動するように構成されている。
つまり、ステッピングモータ18は、1パルスにて0.395度回転するものであるから、第1原点Aから安全弁操作用位相Fまでの回転角度に相当する48度を0.395度にて除算して求められる121パルスを目標パルス数として印加して、ステッピングモータ18をCCW方向に駆動することになる。
【0118】
また、出力軸18Tを安全弁操作用位相Fから第2原点Dに回転させるときには、ポテンショメータPMの検出情報をフィードバック情報として用いるフィードバック式制御形態で、ポテンショメータPMの検出情報が第2原点Dに対応する角度を検出するまで、ステッピングモータ18をCW方向に駆動することになる。
つまり、ポテンショメータPMの検出値が、第1原点Aに対応する検出値に、第1原点Aから第2原点Dまでの角度である10.665度を加えた値を求め、その値に対して補正情報に対応する角度を加算あるいは減算して求められる回転位相に対応する検出値となるように、ステッピングモータ18をCW方向に駆動することになる。
【0119】
また、出力軸18Tを第2原点Dから点火用回転位相Nに回転させるときには、出力軸18Tを第2原点Dから点火用回転位相Nに回転させるための目標パルス数を求めて、ステッピングモータ18に印加するように構成されている。
つまり、第1原点Aから点火用回転位相Nまでの角度である120度から第1原点Aから第2原点Dまでの角度である10.665度を減算した角度(109.335度)を求め、この角度(109.335度)を0.395度にて除算して求められる277パルスを目標パルス数として印加して、ステッピングモータ18をCW方向に駆動することになる。
ただし、本実施形態においては、目標パルス数は、277パルスに、後述する遊び修正用パルス数(例えば、18パルス)を加算して求められることになる。
【0120】
つまり、出力軸18Tを第2原点Dからガス流動開度に回転させるにあたり、第2原点Dを基準に目標パルス数を求めることになり、このことが、ステッピングモータ18に印加する目標パルス数を、パルス制御用基準位相としての第2原点Dを基準に求めることに相当する。
【0121】
ちなみに、出力軸18Tを点火用回転位相Nに回転させた後において、燃焼状態設定部MAの指示情報に基づいて、ガス通流用開度の目標開度に対応する目標回転位相に出力軸18Tを回転させる際には、ステッピングモータ18に印加する目標パルス数を求めて、目標パルス数を印加する形態でステッピングモータ18を駆動することになる。
つまり、現在の回転位相と目標とする回転位相との間の角度を0.395度にて除算して求められるパルス数を目標パルス数としてステッピングモータ18を、CW方向やCCW方向に駆動することになる。
但し、後述の如く、ステッピングモータ18の回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び修正用パルス数(例えば、18パルス)を加算する形態で、目標パルス数が求められることになる。
【0122】
上述の如く、運転制御部Uが、ステッピングモータ18の回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び修正用パルス数を加算する形態で目標パルス数を求めるように構成されている。
すなわち、図15に示すように、出力軸18Tを安全弁操作用位相Fから最大通流位相Mに回転させ、その後、出力軸18Tを最大通流位相Mから安全弁操作用位相Fに回転させた場合において、回転角度(回転位相)とガス通流用開度との関係を実験により計測したところ、連係機構Rの連結融通(遊び)のために、ヒステリシス(例えば、約7度)が存在することが判明した。
【0123】
本実施形態においては、このようなヒステリシスが存在するため、ガス通流用開度と出力軸18Tの第1原点Aを基準とした回転角度との基準関係として、第1原点Aに位置する出力軸18Tを安全弁操作用位相Fに回転させるために、最初に回転させる方向であるCCW方向に回転させた状態における関係を、基準関係として記憶させるようにした。
【0124】
また、運転制御部Uが、出力軸18Tをガス流動開度に相当する回転位相から第1原点A(基準回転位相)にするための目標パルス数をステッピングモータ18に印加して出力軸18Tを第1原点A(基準回転位相)に回転させた状態において、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tの回転位相が第1原点A(基準回転位相)に一致していないと判別した場合には、出力軸18Tの回転位相が第1原点A(基準回転位相)に一致するようにステッピングモータ18を駆動するように構成されている。
【0125】
すなわち、出力軸18Tが第1原点AになるときのポテンショメータPMの検出値と、出力軸18Tが第1原点Aになるようにステッピングモータ18を作動させたときにときのポテンショメータPMの現在値とが、設定範囲以上ずれている場合には、出力軸18Tを第1原点Aに回転させるようにステッピングモータ18を駆動することになる。
【0126】
本実施形態のステッピングモータ18は1ステップにて0.395度回転するものであるから、上述の設定範囲は、+0.395度より大きく、かつ、-0.395度よりも小さい範囲として設定されている。
また、出力軸18Tが第1原点Aをオーバーしている場合には、一旦、出力軸18TをCW方向に回転させて第1原点Aの手前側に戻した後、第1原点Aに向けてCCW方向に回転させることになる。
【0127】
つまり、運転制御部Uは、上述の如く、ステッピングモータ18に印加するパルス数を求めて、ステッピングモータ18を駆動する、いわゆるオープンループ式の制御形態で、ステッピングモータ18を駆動するものであるから、出力軸18Tを第1原点Aに回転させた際に、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tの回転位相が第1原点Aからずれている場合には、出力軸18Tを第1原点Aに回転した状態に修正することになる。
【0128】
(補正情報の設定について)
図14に示すように、出力軸18Tが第1原点Aに回転している状態からステッピングモータ18に対して27パルスを印加して出力軸18Tを第2原点Dに回転させると、標準状態では、流量調節弁16から供給される燃料ガスが噴出ノズルから流れ始めることになり、ノズル圧が零から増加し始めることになるが、機械的組付誤差などにより、27パルスよりも少ないパルスを印加したとき(マイナス側のばらつき)や27パルスよりも大きなパルスを印加したとき(プラス側のばらつき)に、ノズル圧が零から増加し始める状態になる虞があるため、そのばらつきを補正するために、補正情報にて基準関係情報(基準関係)を補正することになる。
【0129】
本実施形態では、補正パルスを設定する方法として、図13に示す如く、第1原点A(基準回転位相)から最小通流開度よりも大きな目標通流開度にするための目標パルス数(例えば、400)を印加してステッピングモータ18を駆動した後において、設定基準圧のガスを流量調節弁16に供給したときに、当該流量調節弁16から排出されるガス圧(つまり、流量調節弁16から排出されるガスが供給される噴出ノズルのノズル圧)と予め設定した目標ガス圧との差に基づいて補正情報(補正角度)を求めるように構成されている。
【0130】
つまり、目標パルス数(例えば、400)を印加してステッピングモータ18を駆動した後において、機械的組付誤差等が無ければノズル圧は、例えば、0.5KPaとなるが、機械的組付誤差等により、最大で0.2KPa増加する場合や、最小で0.2KPa減少する場合が想定される。
そこで、0.2KPa増加する場合には、例えば、補正情報として、補正角度である6度(15パルスに相当)を記憶させ、0.2KPa減少する場合には、補正情報として、補正角度である6度(15パルスに相当)を記憶させることになる。
【0131】
なみに、噴出ノズルのノズル圧と予め設定した目標ガス圧との差が、0.2KPaよりも小さな場合には、その値に対応する補正角度(パルス数)を、例えば、比例配分により演算し、その補正角度(パルス数)を補正情報として記憶させることになる。
【0132】
さらに、本実施形態においては、運転制御部Uが、13Aガスについての、各段階の火力と出力軸18Tの第2原点Dを基準とした回転角度との関係を、目標火力の大きさとガス通流開度との関係を定めた開度変更情報として記憶し、同様に、LPガスについての、各段階の火力と出力軸18Tの第2原点Dを基準とした回転角度との関係を、目標火力の大きさと通流開度との関係を定めた開度変更情報として記憶するように構成されている。
【0133】
(運転制御部の燃焼制御)
次に、運転制御部Uの燃焼制御について説明するが、3つのコンロバーナ1の夫々に対する制御内容は同様であるので、以下の記載においては、コンロバーナ1が高火力バーナ1Aであるとして説明する。
また、ガス種設定スイッチGEにて、LPガスが設定されている場合であるとして説明する。
【0134】
運転制御部Uは、コンロバーナ1に対する基本的な制御として、点火指令に基づいて実行する点火処理、消火指令に基づいて実行する消火処理、及び、火力調節指令に基づいて実行する火力調節処理を行うことになり、加えて、異常発生情報が入力されたときには、消火処理を実行するように構成されている。
【0135】
ちなみに、異常発生情報とは、コンロバーナ1が燃焼中であるにも拘わらず、着火検出センサJにて、コンロバーナ1の消火が検出された場合や、コンロバーナ1にて加熱される調理容器の温度を検出する温度検出センサPS(図1参照)にて、異常な高温が検出された場合等である。
【0136】
(点火処理)
点火処理は、安全弁操作用体35を開操作用位置に操作した後、安全弁操作用体35を閉動作許容位置に操作し、かつ、ガス通流用開度を点火用火力の大きさに対応する通流開度に変更すべくステッピングモータ18を作動させる処理、及び、安全弁20を開き状態に保持すべく電磁保持部20Gに通電し、点火用のイグナイタLを作動させ且つ着火検出センサJにて着火を検出する処理を実行する処理である。
【0137】
また、この点火処理においては、元電磁弁15が閉じられているときには、元電磁弁15を開く操作を行うことになる。
尚、元電磁弁15を開くときには、先ず、吸着用の大きな電流と保持用の小さな電流と通電し、その後、吸着用の大きな電流の通電を停止することになる。
【0138】
点火処理におけるステッピングモータ18の作動処理は、具体的には、出力軸18Tを第1原点Aから安全弁操作用位相Fに回転させた後、ガス通流用開度を点火用火力の大きさに対応する通流開度にすべく、出力軸18Tを点火用回転位相Nに操作する処理を実行することになる。
【0139】
(火力調節処理)
火力調節処理は、点火処理の実行後において、火力調節指令が指令されると、指示された目標火力の大きさに対応するガス流動開度に変更する処理である。
ちなみに、出力軸18Tの回転方向が変更されるときには、可動板27を移動操作するためにステッピングモータ18に印加するパルス数が、遊び修正用のパルス数を加算する形態で定められることになる。
【0140】
(消火処理)
消火処理は、消火指令が指令されると、ガス通流用開度を全閉開度に変更する処理であり、具体的には、出力軸18Tを第1原点Aに回転させる処理、及び、安全弁20を閉じる処理を実行することになる。
ちなみに、出力軸18Tを第1原点Aに回転させた際に、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tが第1原点Aからずれていることを判別した場合には、上述の如く、出力軸18Tを第1原点Aに回転させるようにステッピングモータ18を駆動する処理を実行することになる。
【0141】
消火処理におけるステッピングモータ18の処理は、具体的には、出力軸18Tの回転位相が、第1原点AよりもCW方向側にある場合には、先ず、出力軸18Tを最小通流位相Sに回転させ、その後、出力軸18Tを第1原点Aに回転させる処理を実行することになり、また、出力軸18Tの回転位相が、第1原点AよりもCCW方向側にある場合には、出力軸18Tを第1原点Aに回転させる処理を実行することになる。
【0142】
また、この消火処理は、異常発生情報が入力された場合にも実行されることになり、この異常発生情報に対応する消火処理においては、出力軸18Tの回転位相が第1原点AよりもCW方向側にある場合及び出力軸18Tの回転位相が第1原点AよりもCCW方向側にある場合のいずれにおいても、直ちに、出力軸18Tを第1原点Aに回転させる処理を実行することになり、また、元電磁弁15が直ちに閉じ操作されることになる。
ちなみに、消火処理においては、出力軸18Tを第1原点Aに回転させるものであるから、安全弁操作用体35が閉動作許容位置に操作されることになる。
【0143】
(燃焼制御の流れ)
図16に示すフローチャートに基づいて、燃焼制御の流れについて説明する。
先ず、コンロバーナ1が燃焼中であるか否かを判別し(#1)、燃焼中でないと判別したときには、点火処理中であるか否かを判別し(#2)、点火処理中でない場合には、操作具6の操作によって点火指令が指令されているか否かを判別し(#3)、指令されていない場合には、#1の処理に移行することになる。
【0144】
#3の処理によって、点火指令が指令されていると判別したときには、コンロバーナ1を点火させる点火処理を実行し(#4)、その後、#1の処理に移行することになる。
#2の処理によって、点火処理中であると判別した場合には、操作具6の操作によって消火指令が指令されているか否かを判別し(#5)、消火指令が指令されていない場合には、#4の処理に移行し、消火指令が指令されている場合には、#6の消火処理に移行することになる。
【0145】
#1の処理によって、燃焼中であると判別したときには、コンロバーナ1が消火した等の異常発生状態が生じたか否かを判別し(#7)、異常発生の場合には、#6の消火処理に移行する。
#7の処理にて、異常発生でないと判別したときには、操作具6の操作によって消火指令が指令されているか否かを判別し(#8)、消火指令が指令されている場合には、#6の消火処理に移行することになる。
また、火力調節処理中であるか否かを判別し(#9)、火力調節処理中である場合や、火力調節指令が指令されたと判別したときには(#10)、火力調節処理(#11)を実行することになる。
【0146】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明するが、この別実施形態は、第1原点Aを、基準回転位相及びパルス制御用基準位相に設定して、ステッピングモータ18を駆動する点が上記実施形態とは異なるものである。
【0147】
すなわち、基準回転位相が全閉開度に相当する回転位相として定められ、且つ、パルス制御用基準位相が、基準回転位相に定められている。つまり、第1原点Aが、基準回転位相及びパルス制御用基準位相として定められている。
運転制御部Uが、基準回転位相(第1原点A)の出力軸18Tをガス流動開度に変更する場合には、基準回転位相(第1原点A)から目標開度にするための目標パルス数をステッピングモータ18に印加するように構成されている。
【0148】
つまり、モータ制御部として機能する運転制御部Uが、第1原点Aに相当する回転位相の出力軸18Tをガス流動開度に変更する場合には、例えば、第1原点Aに相当する回転位相の出力軸18Tを点火用回転位相Nに回転させる場合には、基準回転位相(第1原点A)から点火用回転位相Nにするための目標パルス数をステッピングモータ18に印加するように構成されている。
【0149】
説明を加えると、本実施形態においては、第1原点Aに相当する回転位相の出力軸18Tを点火用回転位相Nに回転させる場合には、出力軸18Tを第1原点Aから安全弁操作用位相Fに回転させ、次に、出力軸18Tを安全弁操作用位相Fから点火用回転位相Nに回転させることになる。
【0150】
つまり、ステッピングモータ18は、1パルスにて0.395度回転するものであるから、第1原点Aから安全弁操作用位相Fまでの回転角度に相当する48度を0.395度にて除算して求められる121パルスを目標パルス数として印加して、ステッピングモータ18をCW方向に駆動することになる。
【0151】
また、出力軸18Tを安全弁操作用位相Fから点火用回転位相Nに回転させるときには、出力軸18Tを安全弁操作用位相Fから点火用回転位相Nに回転させるための目標パルス数を求めて、ステッピングモータ18に印加するように構成されている。
つまり、安全弁操作用位相Fからから第1原点Aまでの角度である48度と第1原点Aから点火用回転位相Nまでの角度である120度とを加算した角度(168度)を求め、この角度(168度)を0.395度にて除算して429パルスを求め、さらに、この429パルスに補正情報に対応するパルス数を加減算した値を求め、さらに、この値に、遊び修正用パルス数を加算して求めたパルス数を目標パルス数として印加して、ステッピングモータ18をCCW方向に駆動することになる。
【0152】
ちなみに、出力軸18Tを点火用回転位相Nに回転させた後において、燃焼状態設定部MAの指示情報に基づいて、ガス通流用開度の目標開度に対応する目標回転位相に出力軸18Tを回転させる際には、ステッピングモータ18に印加する目標パルス数を求めて、目標パルス数を印加する形態でステッピングモータ18を駆動することになる。
つまり、現在の回転位相と目標とする回転位相との間の角度を0.395度にて除算して求められるパルス数を目標パルス数としてステッピングモータ18を駆動することになる。
ただし、運転制御部Uが、ステッピングモータ18の回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び修正用パルス数を加算する形態で目標パルス数を求めるように構成されている。
【0153】
また、運転制御部Uが、出力軸18Tをガス流動開度に相当する回転位相から第1原点A(基準回転位相)にするための目標パルス数をステッピングモータ18に印加して出力軸18Tを第1原点A(基準回転位相)に回転させた状態において、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tの回転位相が第1原点A(基準回転位相)に一致していないと判別した場合には、出力軸18Tの回転位相が第1原点A(基準回転位相)に一致するようにステッピングモータ18を駆動するように構成されている。
【0154】
すなわち、出力軸18Tが第1原点AになるときのポテンショメータPMの検出値と、出力軸18Tが第1原点Aになるようにステッピングモータ18を作動させたときにときのポテンショメータPMの現在値とが、設定範囲以上ずれている場合には、出力軸18Tを第1原点Aに回転させるようにステッピングモータ18を駆動することになる。
【0155】
本実施形態のステッピングモータ18は1ステップにて0.395度回転するものであるから、上述の設定範囲は、+0.395度より大きく、かつ、-0.395度よりも小さい範囲として設定されている。
また、出力軸18Tが第1原点Aをオーバーしている場合には、一旦、出力軸18TをCW方向に回転させて第1原点Aの手前側に戻した後、第1原点Aに向けてCCW方向に回転させることになる。
【0156】
つまり、運転制御部Uは、上述の如く、ステッピングモータ18に印加するパルス数を求めて、ステッピングモータ18を駆動する、いわゆるオープンループ式の制御形態で、ステッピングモータ18を駆動するものであるから、出力軸18Tを第1原点Aに回転させた際に、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tの回転位相が第1原点Aからずれている場合には、出力軸18Tを第1原点Aに回転した状態に修正することになる。
【0157】
〔その他の別実施形態〕
以下、その他の別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態及び別実施形態では、3つのコンロバーナ1を備える形態のガスコンロに本発明を適用する場合を例示したが、例えば、一つのコンロバーナ1を備える形態のガスコンロに本発明を適用する等、本願発明を適用するガスコンロの形態は種々変更できるものである。
【0158】
(2)上記実施形態及び別実施形態では、可動板27を移動操作する電動モータとして、ステッピングモータ18を例示したが、直流モータ等の各種の電動モータを使用することができ、この場合には、ポテンショメータの検出情報をフィードバック情報として利用するフィードバック式の制御形態にて電動モータの作動を制御することになる。
【0159】
(3)上記実施形態及び別実施形態では、可動板27が出力軸心Z回りで回転する形態で、ガス量調節部としての流量調節弁16が構成される場合を例示したが、ガス量調節量移動方向が直線に沿う方向に設定されて、可動板27がスライド移動する形態のガス量調節部についても、本発明は適用できるものである。
【0160】
(4)上記実施形態及び別実施形態では、ガス燃料の種類として、13Aの都市ガスとLPガスと選択して使用する場合を例示したが、その他の種類のガス燃料を使用する場合にも本発明は適用できるものである。
そして、選択して使用するガス燃料の種類が、3種類以上存在させる形態で実施してもよい。
【0161】
(5)上記実施形態及び別実施形態では、出力軸18Tの第1原点Aが、ガス通流用開度を全閉開度に操作する回転位相に定められている場合を例示したが、例えば、第1原点Aを、ガス量調節部としての流量調節弁16における最小通流開度に対応する回転位相に定める等、第1原点Aにおけるガス通流用開度は種々変更できるものである。
【0162】
(6)上記実施形態及び別実施形態においては、ステッピングモータ18にて開き状態に操作される安全弁20を装備する場合を例示したが、安全弁20を装備しない形態で実施してもよい。
この場合、出力軸18Tを第1原点AよりもCCW方向側に回動させることが省略されることになる。
【0163】
(7)上記実施形態及び別実施形態では、回転位相検出手段として、ポテンショメータPMを例示したが、回転位相検出手段は、アブソリュート型のロータリーエンコーダ等、種々の検出センサを使用することができる。
【0164】
(8)上記実施形態及び別実施形態では、補正情報を求めるにあたり、ガス燃料を流量調節弁16に供給するようにしたが、例えば、窒素ガスなどのガス燃料とは異なるガスを供給する形態で補正情報を求めるようにしてもよい。
【0165】
(9)上記実施形態及び別実施形態では、補正情報を求めるにあたり、目標パルス数(例えば、400)を印加してステッピングモータ18を駆動する場合を例示したが、ポテンショメータPMの検出情報を用いたフィードバック式の制御形態で、ステッピングモータ18を駆動するようにしてもよい。
【0166】
(10)上記実施形態及び別実施形態では、ガス通流用開度の目標開度を燃焼状態設定部MAにて設定する場合を例示したが、自動調理を実行する場合において、その調理中にガス通流用開度の目標開度が指示される場合にも適用できるものである。
【0167】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0168】
16 ガス量調節部
26 固定板
27 可動板
18 電動モータ(ステッピングモータ)
A 基準回転位相
D パルス制御用基準位相
PM 回転位相検出手段
U モータ制御部
W 基準情報記憶部
Y 補正情報記憶部
Z 出力軸心
図1
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