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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034463
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ホログラム画像再生装置
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/22 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
G03H1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138258
(22)【出願日】2020-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】513143537
【氏名又は名称】株式会社アーティエンス・ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】白倉 明
【テーマコード(参考)】
2K008
【Fターム(参考)】
2K008AA14
2K008CC03
2K008HH19
(57)【要約】
【課題】ホログラフィック回折格子に光源光を照射し、ホログラフィック回折格子で回折された光を基板内で全反射させながら伝搬させ、光源光自体を明るくすることなく画像ホログラム素子から明るいホログラム画像が再生されるようにする。
【解決手段】基板2と、基板2の後面2Rに取り付けられた画像ホログラム素子4と、後面2Rの画像ホログラム素子4とは異なる位置に取り付けられたホログラフィック回折格子群5と、ホログラフィック回折格子群5を照射するLED群13とを備え、ホログラフィック回折格子群5は、ホログラフィック回折格子列5A、5Bからなり、各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が基板2内を伝搬して前面2F及び後面2Rを照射する各領域は、隙間なく連続し、各ホログラフィック回折格子で回折され基板2内を伝搬する平行光により、画像ホログラム素子4が照射されるようにしたホログラム画像再生装置1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が透明で厚さ方向に直交する第1の面と第2の面を有する平板状の基板と、
前記基板の第1の面又は第2の面に取り付けられ、ホログラム画像を再生する画像ホログラム素子と、
前記基板の第1の面又は第2の面の前記画像ホログラム素子とは異なる位置に取り付けられた多数のホログラフィック回折格子と、
前記ホログラフィック回折格子と対向する位置に取り付けられ、前記ホログラフィック回折格子を照射する多数の光源とを備え、
前記ホログラフィック回折格子は、前記光源から照射された光を一定方向の平行光に偏向するように回折し、前記ホログラフィック回折格子で回折された平行光は、前記基板の第1の面及び第2の面に当たって全反射して前記基板内を伝搬し、前記画像ホログラム素子を照射してホログラム画像を再生するようにしたホログラム画像再生装置であって、
前記多数のホログラフィック回折格子は、一の方向に多数配置されて形成されたホログラフィック回折格子列を、前記一の方向とは直交する方向に複数列形成したホログラフィック回折格子群を形成し、
前記ホログラフィック回折格子群の各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域は、隙間なく連続し、
前記各ホログラフィック回折格子で回折された平行光により、前記画像ホログラム素子が取り付けられた部分の前記基板の第1の面又は第2の面の領域が照射されるようにしたこと
を特徴とするホログラム画像再生装置。
【請求項2】
前記ホログラフィック回折格子群は、前記一の方向と前記一の方向に直交する方向に前記ホログラフィック回折格子が隙間なく配置され、前記ホログラフィック回折格子群の各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域は、重ならないことを特徴とする請求項1記載のホログラム画像再生装置。
【請求項3】
前記ホログラフィック回折格子群は、前記ホログラフィック回折格子列を、前記一の方向とは直交する方向に2列以上形成したものであり、前記各ホログラフィック回折格子で回折された平行光の伝搬角をθ、前記各ホログラフィック回折格子の前記平行光の伝搬方向の長さをLy、前記基板の厚みをd、前記ホログラフィック回折格子列の前記一の方向とは直交する方向の列数をkとして、k×Ly=2dtanθを満たすことを特徴とする請求項2記載のホログラム画像再生装置。
【請求項4】
前記ホログラフィック回折格子列は、前記一の方向に隣り合うホログラフィック回折格子を前記一の方向と直交する方向にずらして配置されて形成され、前記各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域の境界が前記一の方向に揃わないようにしたことを特徴とする請求項1記載のホログラム画像再生装置。
【請求項5】
内部が透明で厚さ方向に直交する第1の面と第2の面を有する平板状の基板と、
前記基板の第1の面又は第2の面に取り付けられ、ホログラム画像を再生する画像ホログラム素子と、
前記基板の第1の面又は第2の面の前記画像ホログラム素子とは異なる位置に取り付けられた多数のホログラフィック回折格子と、
前記ホログラフィック回折格子と対向する位置に取り付けられ、前記ホログラフィック回折格子を照射する多数の光源とを備え、
前記ホログラフィック回折格子は、前記光源から照射された光を一定方向の平行光に偏向するように回折し、前記ホログラフィック回折格子で回折された平行光は、前記基板の第1の面及び第2の面に当たって全反射して前記基板内を伝搬し、前記画像ホログラム素子を照射してホログラム画像を再生するようにしたホログラム画像再生装置であって、
前記多数のホログラフィック回折格子は、同一の方向に多数配置されて形成されたホログラフィック回折格子列を複数列形成したホログラフィック回折格子群を形成し、
前記ホログラフィック回折格子群の各ホログラフィック回折格子で回折された光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域は、隙間なく連続し、
前記各ホログラフィック回折格子で回折された平行光により、前記画像ホログラム素子が取り付けられた部分の前記基板の第1の面又は第2の面の領域が照射されるようにし、
前記複数のホログラフィック回折格子列は、2以上の異なる方向の列からなり、異なる方向の前記ホログラフィック回折格子列の各ホログラフィック回折格子で回折された平行光により前記画像ホログラム素子から再生される画像は異なること
を特徴とするホログラム画像再生装置。
【請求項6】
前記複数のホログラフィック回折格子列は、正多角形状の前記基板の各辺に沿って配置された列からなることを特徴とする請求項5記載のホログラム画像再生装置。
【請求項7】
前記複数のホログラフィック回折格子列は、正三角形状、正五角形状、正七角形状のいずれかの形状をもつ前記基板の各辺に沿って2列乃至5列に配置されたものであることを特徴とする請求項5記載のホログラム画像再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ホログラム素子(媒体)とホログラフィック回折格子を取り付けた基板のホログラフィック回折格子に光源光を照射し、画像ホログラム素子からホログラム画像を再生するホログラム画像再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、広告宣伝用の立体的な画像を表示するものとして、あるいは、セキリティー用の画像を表示するもの等としてホログラムが多く使用されている。
このホログラムは、ホログラフィーによる干渉縞、すわなち、物体を表す物体光と参照光を干渉させて生じる干渉縞を感光材料に記録したものであり、ホログラムによる画像を再生して視認するためには、ホログラムを記録する際に用いた参照光の照射方向と同じ方向から照明光をホログラムに照射する必要がある。
このホログラムを再生するための照明光を照射する照明装置には、各種光源を使用した光学系が用いられるが、ホログラムが大きくなると照明装置も大型となることから、大サイズのホログラム用の照明装置をコンパクトにするため、光学系にLED等の光源と導光板を使用した照明装置の提案がなされている。
例えば、特許文献1(特開2015-230410号公報)には、光源と、前記光源からの光を伝搬する導光板と、前記導光板を伝搬する光の少なくとも一部を受けて、立体像を記録した像再生用ホログラムに対して所定の角度の再生照明光を照射する照明用ホログラフィック光学素子と、前記導光板、前記照明用ホログラフィック光学素子及び前記像再生用ホログラムを保持する保持手段とを備えるホログラム用照明装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1のホログラム用照明装置においては、導光板の一方の面の全面に、像再生用ホログラムと同じ大きさの照明用ホログラフィック光学素子が取り付けられ、導光板を全反射しながら伝搬する光源光のうち、ある角度で照明用ホログラフィック光学素子に入射する光だけが、像再生用ホログラムに対する所定の角度の再生照明光として照射されることから、光源光の一部しか再生照明光として像再生用ホログラムに照射されず、像再生用ホログラムにより再生される画像が明るくならないという問題がある。
【0003】
この点、特許文献2(国際公開WO2018/221091号公報)には、立体画像ホログラムを表示できる干渉縞が記録された体積型ホログラフィック記録材料102が無色透明の基板101に貼り付けられ、基板101上の体積型ホログラフィック記録材料102とは異なる所定の位置に別の体積型ホログラフィック記録材料103が貼り付けられており、体積型ホログラフィック記録材料103は、基板101内の光の伝搬方向と直交方向に隙間なく配置された多数(16個)のホログラフィック回折格子104からなり、各ホログラフィック回折格子104に対向する基板101の面側には、LED105が配置され、各LED105からの拡散光を対向するホログラフィック回折格子104で所定角度の平行光として基板101内を全反射させながら伝搬させ、この平行光を体積型ホログラフィック記録材料102に照射して立体画像ホログラムを表示(再生)させる再生装置100が開示されている。
図18は、特許文献2の再生装置100において、基板101内を伝搬する光を説明する説明図であり、同図(a)は、基板101を厚さ方向と直交する方向から見た状態を表し、同図(b)は、基板101を厚さ方向から見た状態を表し、同図(a)において、8番目のLED105(L8)から出射される拡散光abを一点鎖線で表し、LED105(L8)と対向するホログラフィック回折格子104(H8)で回折されて基板101の面101A、101Bで全反射しながら伝搬する平行光a1、b1、a2、b2、a3、b3を二点鎖線で表し、同図(b)において、ホログラフィック回折格子104(H8)で回折された平行光が伝搬する部分(領域)を灰色で表す。
図18に示すようにLED105(L8)から出射される拡散光abは、ホログラフィック回折格子104(H8)に入射して伝搬角θの平行光a1に回折され、平行光a1は、基板101の面101Aの領域A1に当たって全反射して平行光b1となり、平行光b1は、面101Aと反対側の面101Bの領域B1に当たって全反射して平行光a2となり、平行光a2は、面101Aの領域A2に当たって全反射して平行光b2となり、平行光b2は、面101Bの領域B2に当たって全反射して平行光a3となり、平行光a3は、面101Aの領域A3に当たって全反射して平行光b3となり、平行光b3は、面101Bの領域B3に当たって全反射し、これを繰り返して基板101内を平行光が伝搬して行く。
【0004】
この場合、ホログラフィック回折格子104で回折され、面101A、101Bで全反射される平行光(a1、b1、a2、b2、a3、b3・・・)は、図18(b)に示すように伝搬方向に直交し基板101の厚み方向に直交する方向に拡散せず平行であり(図18(b)に示されている灰色の帯状領域)、その伝搬方向の長さyは、基板101の厚さをtとすると、y=2t×tanθとなり(特許文献2の段落[0051]参照)、平行光(a1、b1、a2、b2、a3、b3・・・)が、面101、101Bに伝搬方向に隙間なく当たるためには、ホログラフィック回折格子104の光の伝搬方向の長さMyと長さyを等しくする必要がある。特許文献2においては、θ=60度、t=5mmとして、My=y=2×5×tan60°=17.3mmとなっている(特許文献2の段落[0048]参照)。
このように1個のLED105から出射される拡散光によってホログラフィック回折格子104で回折された平行光の伝搬方向の長さy(2t×tanθ)は、基板101の厚さtと伝搬角θにより定まるが、厚さtは基板101の強度を保つためにそれほど小さくできず、また、伝搬角θも平行光を基板101の面101A、101Bで全反射させるためにそれほど小さくできないことから、長さyを小さくして(これにより1個のLED105から出射されて体積型ホログラフィック記録材料103に照射される平行光の照射面積が小さくなる)、基板101の面101Bに貼り付けられた体積型ホログラフィック記録材料103を照射する平行光を明るくすることができず、体積型ホログラフィック記録材料103から明るい画像を再生できないという問題がある。
仮に、厚さtを小さくしてy(=My)を小さくし、1個のLED105から出射されて体積型ホログラフィック記録材料103に照射される平行光の照射面積を小さくできたとしても、基板101内を伝搬する平行光の面101A・101Bに当たる回数が多くなり(yを1/2にすると、平行光が面101A・101Bに当たる回数は2倍になる)、この平行光が体積型ホログラフィック記録材料103を照射すると、平行光は、体積型ホログラフィック記録材料103内に入射してその一部がホログラム画像光となって外に出て、残りの平行光が体積型ホログラフィック記録材料103の面で全反射して基板101内に入って面101Aで全反射して、再び、体積型ホログラフィック記録材料103を照射することから、体積型ホログラフィック記録材料103を照射するために面101Aで全反射する平行光の明るさが弱められ、体積型ホログラフィック記録材料103全体を照射する平行光を明るくすることができない。
【0005】
次に、特許文献2には、光の伝搬方向に向かって、基板の厚さ方向には平行光であって、基板101の厚さ方向と直交する方向に発散(拡散)する拡散光に回折するホログラフィック回折格子を使用し、このホログラフィック回折格子を基板上に1列に複数個配置し、同じ基板の異なる位置に、各グラフィック回折格子からの拡散光毎に異なるホログラム像が再生されるようにした体積型ホログラフィック記録材料を配置し、各グラフィック回折の対向する位置に取り付けられたLEDを順次点灯させ、異なるホログラム像が再生されるようにしたディスプレイ120が開示されている(特許文献2の段落[0068]、図3)。
また、特許文献2には、無色透明基材201には、中央部、観察者と反対側に画像ホログラム媒体202が光学的に接触して配されており、取り囲む4方向に、反射型のホログラフィック回折格子204A、204B、204C、204Dが光学的に接触して配されており、相当する対向する位置に光源205A、205B、205C 、205Dが近接されており、205Aは赤色成分を含むLEDであって、点灯すると対向する反射型ホログラフィック回折格子204Aにより光が基材201内を伝搬しながら、画像ホログラム媒体202に到達し、赤色のホログラム画像を再生し、205B、C、Dも同様に赤色LEDであって、回折格子204B、C、Dにより同じホログラム媒体202を異なる角度から所定の角度で略平行光として照射できる構造となっており、205A,B、C、Dが異なるタイミングで順次点灯されると、202は異なる画像が同じ場所から再生され入力インターフェースデバイス200が開示されている(特許文献2の段落[0069]、図4)。
しかしながら、特許文献2のディスプレイ120や入力インターフェースデバイス200においては、各グラフィック回折格子で回折される光の位置や方向を異ならせ、光の伝搬方向に向かって基板の厚さ方向には平行光とし、基板の厚さ方向と直交する方向には拡散光として、基板の面で全反射させて伝搬させて、画像ホログラム媒体を照射し、異なるホログラム画像を再生するようにしているが、1個のグラフィック回折格子に対向して配置された1個のLEDから出射する光を画像ホログラム媒体を照射してホログラム画像を再生することから、暗い画像しか再生できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-230410号公報
【特許文献2】国際公開WO2018/221091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、画像ホログラム素子(媒体)を取り付けた基板にホログラフィック回折格子を取り付け、このホログラフィック回折格子に光源光を照射し、ホログラフィック回折格子で回折された光を基板内で全反射させながら伝搬させて画像ホログラム素子からホログラム画像を再生するに際し、第1に、光源光自体を明るくすることなく明るいホログラム画像が再生されるようにすることであり、第2に、画像ホログラム媒体を異なる方向から照射して異なるホログラム画像が再生しても、明るいホログラム画像が再生されるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、内部が透明で厚さ方向に直交する第1の面と第2の面を有する平板状の基板と、前記基板の第1の面又は第2の面に取り付けられ、ホログラム画像を再生する画像ホログラム素子と、前記基板の第1の面又は第2の面の前記画像ホログラム素子とは異なる位置に取り付けられた多数のホログラフィック回折格子と、前記ホログラフィック回折格子と対向する位置に取り付けられ、前記ホログラフィック回折格子を照射する多数の光源とを備え、前記ホログラフィック回折格子は、前記光源から照射された光を一定方向の平行光に偏向するように回折し、前記ホログラフィック回折格子で回折された平行光は、前記基板の第1の面及び第2の面に当たって全反射して前記基板内を伝搬し、前記画像ホログラム素子を照射してホログラム画像を再生するようにしたホログラム画像再生装置であって、前記多数のホログラフィック回折格子は、一の方向に多数配置されて形成されたホログラフィック回折格子列を、前記一の方向とは直交する方向に複数列形成したホログラフィック回折格子群を形成し、前記ホログラフィック回折格子群の各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域は、隙間なく連続し、前記各ホログラフィック回折格子で回折された平行光により、前記画像ホログラム素子が取り付けられた部分の前記基板の第1の面又は第2の面の領域が照射されるようにしたホログラム画像再生装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記ホログラフィック回折格子群は、前記一の方向と前記一の方向に直交する方向に前記ホログラフィック回折格子が隙間なく配置され、前記ホログラフィック回折格子群の各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域は、重ならないホログラム画像再生装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記ホログラフィック回折格子群は、前記ホログラフィック回折格子列を、前記一の方向とは直交する方向に2列以上形成したものであり、前記各ホログラフィック回折格子で回折された平行光の伝搬角をθ、前記各ホログラフィック回折格子の前記平行光の伝搬方向の長さをLy、前記基板の厚みをd、前記ホログラフィック回折格子列の前記一の方向とは直交する方向の列数をkとして、k×Ly=2dtanθを満たすホログラム画像再生装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記ホログラフィック回折格子列は、前記一の方向に隣り合うホログラフィック回折格子を前記一の方向と直交する方向にずらして配置されて形成され、前記各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域の境界が前記一の方向に揃わないようにしたホログラム画像再生装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項5の発明は、内部が透明で厚さ方向に直交する第1の面と第2の面を有する平板状の基板と、前記基板の第1の面又は第2の面に取り付けられ、ホログラム画像を再生する画像ホログラム素子と、前記基板の第1の面又は第2の面の前記画像ホログラム素子とは異なる位置に取り付けられた多数のホログラフィック回折格子と、前記ホログラフィック回折格子と対向する位置に取り付けられ、前記ホログラフィック回折格子を照射する多数の光源とを備え、前記ホログラフィック回折格子は、前記光源から照射された光を一定方向の平行光に偏向するように回折し、前記ホログラフィック回折格子で回折された平行光は、前記基板の第1の面及び第2の面に当たって全反射して前記基板内を伝搬し、前記画像ホログラム素子を照射してホログラム画像を再生するようにしたホログラム画像再生装置であって、前記多数のホログラフィック回折格子は、同一の方向に多数配置されて形成されたホログラフィック回折格子列を複数列形成したホログラフィック回折格子群を形成し、前記ホログラフィック回折格子群の各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域は、隙間なく連続し、前記各ホログラフィック回折格子で回折された平行光により、前記画像ホログラム素子が取り付けられた部分の前記基板の第1の面又は第2の面の領域が照射されるようにし、前記複数のホログラフィック回折格子列は、2以上の異なる方向の列からなり、異なる方向の前記ホログラフィック回折格子列の各ホログラフィック回折格子で回折された平行光により前記画像ホログラム素子から再生される画像は異なるホログラム画像再生装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項6の発明は、前記複数のホログラフィック回折格子列は、正多角形状の前記基板の各辺に沿って配置された列からなるホログラム画像再生装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0014】
請求項7の発明は、前記複数のホログラフィック回折格子列は、正三角形状、正五角形状、正七角形状のいずれかの形状をもつ前記基板の各辺に沿って2列乃至5列に配置されたものであるホログラム画像再生装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明のホログラム画像再生装置においては、一の方向に多数配置されて形成されたホログラフィック回折格子列を、前記一の方向とは直交する方向に複数列形成したホログラフィック回折格子群の各ホログラフィック回折格子が、光源から照射された光を一定方向の平行光に偏向するように回折し、基板の第1の面及び第2の面に当たって全反射して前記基板内を伝搬し、前記平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域は、隙間なく連続し、前記平行光により、画像ホログラム素子が取り付けられた部分の前記基板の第1の面又は第2の面の領域が照射されるようにしたため、光源自体を明るくすることなく、1個のホログラフィック回折格子で回折された平行光が前記基板の第1の面又は第2の面に当たる回数を増やすことなく前記平行光が照射する面積を小さくして明るい平行光を画像ホログラム素子に照射でき、明るいホログラム画像を再生することができるという効果を奏する。
【0016】
請求項2に記載の発明のホログラム画像再生装置は、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載の発明のホログラム画像再生装置は、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0018】
請求項4に記載の発明のホログラム画像再生装置においては、さらに、各ホログラフィック回折格子で回折された平行光によって照射される各領域の境界が前記一の方向に揃わず、各領域の境界に生ずる前記一の方向の不均一性を目立たなくできるという効果を奏する。
【0019】
請求項5に記載の発明のホログラム画像再生装置においては、2以上の異なる方向の列からなる複数列のホログラフィック回折格子列の各ホログラフィック回折格子が、光源から照射された光を一定方向の平行光に偏向して回折し、基板の第1の面及び第2の面に当たって全反射して前記基板内を伝搬し、前記平行光が前記基板の第1の面及び第2の面を照射する各領域は、隙間なく連続し、前記平行光により、各ホログラフィック回折格子列毎に異なる方向から、画像ホログラム素子が取り付けられた部分の前記基板の第1の面又は第2の面の領域が照射されるようになり、異なるホログラム画像であって明るいホログラム画像を再生することができるという効果を奏する。
【0020】
請求項6に記載の発明のホログラム画像再生装置は、請求項5の発明と同様の効果を奏する。
【0021】
請求項7に記載の発明のホログラム画像再生装置においては、さらに、ホログラフィック回折格子列を正三角形状、正五角形状、正七角形状のずれかの形状をもつ前記基板の各辺に沿って2列乃至5列に配置してより明るいホログラム画像を再生することができ、各ホログラフィック回折格子列で回折されて前記基板内を伝搬する平行光が、対向する面に当たって反射しても、前記基板内を逆方向に伝搬して画像ホログラム素子を照射して共役像を再生させることはないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態のホログラム画像再生装置の斜視図である。
図2図1に示すホログラム画像再生装置の左側面図である。
図3図1に示すホログラム画像再生装置の正面図である。
図4図1に示すホログラム画像再生装置の背面図である。
図5図1に示すホログラム画像再生装置の分解斜視図である。
図6】ホログラム画像再生装置1の光源ケース11の正面図である。
図7】LED13A1~13A9、LED13B1~13B9から出射した拡散光が、基板2内を伝搬する状態を説明する説明図である。
図8】LED13Bnから出射した拡散光が、基板2内を伝搬する状態を説明する説明図である。
図9】LED13AnとLED13Bnから同時に出射した拡散光が、基板2内を伝搬する状態を説明する説明図である。
図10】ホログラフィック回折格子列5Aとホログラフィック回折格子列5Bで回折される平行光が基板2の後面2Rを照射する領域を説明する説明図である。
図11】ホログラフィック回折格子5An、5Bnで回折され、基板2内を伝搬する平行光が画像ホログラム素子4を照射する状態を説明する説明図である。
図12】X方向に一列に配置したホログラフィック回折格子列をY方向に3列配置したホログラフィック回折格子群において、LED群から出射した拡散光が、基板2内を伝搬する状態を説明する説明図である。
図13】X方向に千鳥配置したホログラフィック回折格子列をY方向に2列配置したホログラフィック回折格子群において、LED群から出射した拡散光が、基板2内を伝搬する状態を説明する基板2の背面図である。
図14】X方向に千鳥配置したホログラフィック回折格子列をY方向に2列配置したホログラフィック回折格子群において、LED群から出射した拡散光が、基板2内を伝搬する状態を説明するLEDと基板2の左側面図である。
図15】本発明の第2実施形態のホログラム画像再生装置の正面図、背面図、左側面図である。
図16】光源装置30A等の各LEDから発光された拡散光によって、ホログラフィック回折格子25A1~25A6等で回折された平行光が、基板22内を伝搬して画像ホログラム素子24を照射する状態を説明する説明図である。
図17】本発明の第3実施形態のホログラム画像再生装置の正面図、背面図、左側面図である。
図18】特許文献2の再生装置100において、基板101内を伝搬する光を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態のホログラム画像再生装置の構成]
図1は、本発明の第1実施形態のホログラム画像再生装置の斜視図、図2は、図1に示すホログラム画像再生装置の左側面図、図3は、図1に示すホログラム画像再生装置の正面図、図4は、図1に示すホログラム画像再生装置の背面図、図5は、図1に示すホログラム画像再生装置の分解斜視図である。
図中、1はホログラム画像再生装置、2は基板、2Fは前面、2Rは後面、3aは画像ホログラム領域、3bはホログラフィック回折格子領域、4は画像ホログラム素子、4Sは後面、5はホログラフィック回折格子群、5A、5Bはホログラフィック回折格子列、5A1~5A9、5B1~5B9はホログラフィック回折格子、10は光源装置、11は光源ケース、12は開口部群、12A、12Bは開口部列、13はLED群、13A、13BはLED列であり、図において、Xは基板2を前面2Fが正面を向くように置いた場合の前面2Fにおける水平方向(左右方向)、Yは前面2FにおけるX方向と垂直な方向(上下方向)、Zは前面2F(XY面)と垂直な方向(上下方向、基板2の厚み方向)である。
図に示すように、ホログラム画像再生装置1は、基板2、画像ホログラム素子4、ホログラフィック回折格子群5及び光源装置10を備えている。
基板2は、光学的屈折率が1.3~1.7の平板状の無色透明な板であり、第1の面となる前面2F、第2の面となる後面2Rを備え、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリアミド、トリアセチルセルロース(TAC)等のプラスチック材料、あるいは、ガラス等からなる。
また、基板2の後面2Rの周縁部と下部を除く領域が画像ホログラム領域3aとなっており、基板2の全面2Fの下部は、周縁部を除く領域がホログラフィック回折格子領域3bとなっている。
第1実施形態の基板2は、光学的屈折率が約1.5で、厚さが5mmの無色透明のアクリル板からなる。
この基板2の前面2Fに、遮光性のある材料からなり、画像ホログラム領域3aと同じ大きさの窓枠が設けられたカバー板をネジ等により取り付けてもよい。
画像ホログラム素子4は、体積型ホログラム素子であり、感光性材料である体積型ホログラフィック記録材料からなり、基板2の後面2Rの画像ホログラム領域2ghに、後面4Sに対向する前面が空気を介さずに貼り合わされている。
そして、画像ホログラム素子4には、その前面(後面2R)に対して所定の方向・角度から、所定の波長の平行光が照射されたとき、所定の視野角をもつホログラム画像が再生される干渉縞が記録されている。
第1実施形態の画像ホログラム素子4は、反射型であり、光学的屈折率が約1.5の体積型ホログラフィック記録材料からなり、この画像ホログラム素子4には、YZ方向前面2F側からXY面(後面2R)の法線に対して約60度の角度で、532nmを中心とした緑色の平行光が照射されたときXY面(後面2R)の法線に対してY方向(上下方向)に±20度、X方向(左右方向)に±45度の視野角をもつホログラム画像が前面2F側に再生される干渉縞が記録されている。
なお、画像ホログラム素子4は、透過型でもよく、その場合は、基板2の前面2Fの窓枠3a内に透過型の画像ホログラム素子4が貼り付けられ、YZ方向後面2R側からXY面の法線に対して所定角度で所定波長の平行光が照射され、前面2F側にホログラム画像が再生される。
また、画像ホログラム素子4は、干渉縞を微細な凹凸で記録したエンボス型ホログラム素子や回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)等であってもよい。
【0024】
ホログラフィック回折格子群5は、図5に示すようにホログラフィック回折格子列5A、5Bからなり、基板2の前面2Fのホログラフィック回折格子領域3bに、空気を介さずに貼り合わされている。
図3に示すように、ホログラフィック回折格子列5Aにおいては、9個のホログラフィック回折格子5A1~5A9が隙間なくX方向に配置され、ホログラフィック回折格子列5Bにおいては、9個のホログラフィック回折格子5B1~5B9が隙間なくX方向に配置され、ホログラフィック回折格子列5Aとホログラフィック回折格子列5Bは、Y方向に隙間なく配置されている。
ホログラフィック回折格子5A1~5A9の各ホログラフィック回折格子と、ホログラフィック回折格子5B1~5B9の各ホログラフィック回折格子は、画像ホログラム素子4と同様に、感光性材料である体積型ホログラフィック記録材料からなる。
そして、ホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9には、前面2Fに対して後面2R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光をYZ方向にXY面(前面2F)に対して所定の角度の平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
このホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9で回折される平行光は、基板2の前面2Fと後面2Rに当たって全反射しながら基板2内を伝搬し、画像ホログラム素子4を照射してホログラム画像を再生させる平行光である。
第1実施形態のホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9は、体積型ホログラムの反射型であり、光学的屈折率が約1.5の体積型ホログラフィック記録材料からなり、このホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9には、裏面2R側からXY面(前面2F)の法線方向(Z方向)に、532nmを中心とした緑色の拡散光が照射されたとき、XY面(前面2F)の法線に対して角度60度の平行光をYZ方向後面2R側に回折する干渉縞が記録されている。
なお、ホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9は、透過型でもよく、その場合は、基板2の前面2F側に光源装置が取り付けられ、前面2F側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光がホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9に照射され、拡散光がYZ方向にXY面(前面2F)に対して所定の角度の平行光に偏向するように回折されて後面2R側に出ていく。
また、ホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9は、画像ホログラム素子4と同様に、干渉縞を微細な凹凸で記録したエンボス型ホログラム素子や回折光学素子(DOE)等であってもよい。
【0025】
光源装置10は、光源ケース11、LED群13、発光回路(図示せず)等を備えている。
光源ケース11は、格子状の仕切り壁により形成される18個のセルを有し、この18個のセルにより光源ケース11の正面側に開口部群12が形成され、開口部群12は開口部列12A、12Bからなり、開口部群12がホログラフィック回折格子群5に対向するようにして、光源ケース11が、基板2の後面2R側にスペーサ(図示せず)を介して取り付けられている。
また、光源ケース11は、LED群13を備え、LED群13は、LED列13A、13Bから構成される。
図6は、光源ケース11の正面図であり、同図(a)は、開口部群12とLED群13の構成を説明する平面図、同図(b)は、開口部列12A、12Bの構成を説明する平面図、同図(c)は、LED列13A、13Bの構成を説明する正面図であり、図中、12A1~12A9、12B1~12B9は開口部であり、13A1~13A9、13B1~13B9はLED(発光ダイオード)である。
図6(a)、(b)に示すように、開口部列12Aにおいては、9個の開口部12A1~12A9がX方向に配置され、開口部列12Bにおいては、9個の開口部12B1~12B9がX方向に配置され、開口部列12Aと開口部列12Bは、Y方向に配置されている。
この場合、開口部列12Aの各開口部12A1~12A9は、各ホログラフィック回折格子5A1~5A9に対向する位置に配置され、開口部列12Bの各開口部12B1~12B9は、各ホログラフィック回折格子5B1~5B9に対向する位置に配置されている。
図2図6(a)、(c)に示すように、開口部12A1~12A9、12B1~12B9を形成する各セルの中にはLEDが取り付けられ、LED13A1~13A9によりLED列13Aが形成され、LED13B1~13B9によりLED列13Bが形成されている。
そして、LED13A1~13A9の各LED、LED13B1~13B9の各LEDから発光され、各開口部12A1~12A9、12B1~12B9から出射される拡散光が、対向するホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9の全面だけを照射するように、光源ケース11の開口部群12と基板2の後面2Rの距離が、スペーサにより調整設定される。
なお、光源装置10の光源は、LEDに限定されるものではなく、レーザーダイオード、キセノン、クリプトン等のランプでもよい。
【0026】
[ホログラム画像の再生]
ホログラム画像再生装置1おいては、光源装置10のLED13A1~13A9、LED13B1~13B9から発光された拡散光が、開口部12A1~12A9、12B1~12B9を介して、ホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9を照射し、ホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9で平行光に偏向するように回折され、この平行光が、基板2の前面2Fと後面2Rに当たって全反射しながら基板2内を伝搬し、画像ホログラム素子4を照射してホログラム画像を再生させる。
図7は、LED13A1~13A9、LED13B1~13B9から出射した拡散光(開口部12A1~12A9は省略する)が、基板2内を伝搬する状態を説明する説明図であり、同図(a)は基板2の背面図、同図(b)は、基板2とLEDの左側面図、同図(c)は、基板2の正面図である。
図中、5Anは、ホログラフィック回折格子列5Aの左からn番目のホログラフィック回折格子、5Bnは、ホログラフィック回折格子列5Bの左からn番目のホログラフィック回折格子、13An、13Bnは、ホログラフィック回折格子5An、5Bnに対向するLED、F1An、F2An、F3Anはホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光が基板2の前面2Fに当たる領域、R1An、R2An、R3An、はホログラフィック回折格子5Anかで回折された平行光が基板2の後面2Rに当たる領域であり、LED13Anからの拡散光を一点鎖線で表し、ホログラフィック回折格子5Anからの平行光を二点鎖線で表し、その平行光の束を薄い灰色で表す。
図7(b)に示すようにLED13Anから出射した拡散光は、基板2の後面2Rで屈折されて基板2内に入り、基板2の前面2Fに貼り付けられたホログラフィック回折格子5Anの全面に当たり、偏向されてYZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θ(この角度が伝搬角となる)の平行光に偏向するように回折される。ホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光は、入射角θで基板2の後面2Rの領域R1Anに当たるが、入射角θは臨界角より大きく、後面2Rの領域R1Anで全反射する。この全反射した平行光は、前面2Fの領域F1Anで全反射し、次に、後面2Rの領域R2Anで全反射した後、前面2Fの領域F2Anで全反射し、後面2Rの領域R3Anで全反射する。
このようにホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光は、後面2Rと前面2Fでの全反射を繰り返しながら基板2内を伝搬する。
この場合、ホログラフィック回折格子5AnのY方向の長さをLyとすると、ホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光が後面2Rと前面2Fに当たる領域(R1An、R2An、R3An・・・、F1An、F2An・・・)のY方向の長さもLyとなる。
また、基板2の厚み(Z方向の長さ)をdとすると、ホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光が後面2Rに当たるまで、あるいは、後面2R又は前面2Fに当たった平行光が前面2F又は後面2Rに当たるまでに進む距離S(この距離Sが、隣り合う領域R1An、R2An、R3An・・・の距離、F1An、F2An・・・の距離となる)は、
S=dtanθ となる。
そして、Ly=dtanθとなるようにLy、d、θを設定することにより、ホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光が、後面2R又は前面2Fに当たる領域のY方向の長さと間隔を同じにすることができる。
本実施形態では、d=5mm、θ=60度であり、Ly=5×tan60°=8.66mmとなる。
【0027】
図8は、LED13Bnから出射した拡散光(開口部12B1~12B9は省略する)が、基板2内を伝搬する状態を説明する説明図であり、同図(a)は基板2の背面図、同図(b)は、基板2とLED13An、13Bnの左側面図、同図(c)は、基板2の正面図であり、図中、F1Bn、F2Bnはホログラフィック回折格子5Bnで回折された平行光が基板2の前面2Fに当たる領域、R1Bn、R2Bnはホログラフィック回折格子5Bnで回折された平行光が基板2の後面2Rに当たる領域であり、LED13Bnからの拡散光を一点鎖線で表し、ホログラフィック回折格子5Bnからの平行光を二点鎖線で表し、その平行光の束を濃い灰色で表す。
図8(b)に示すようにLED13Bnから出射した拡散光は、LED13Anから出射する拡散光と同様に、基板2の後面2Rで屈折されて基板2内に入り、基板2の前面2Fに貼り付けられたホログラフィック回折格子5Bnの全面に当たり、YZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折される。ホログラフィック回折格子5Bnで回折された平行光は、入射角θで基板2の後面2Rの領域R1Bnに当たるが、入射角θは臨界角より大きく、後面2Rの領域R1Bnで全反射する。この全反射した平行光は、前面2Fの領域F1Bnで全反射し、次に、後面2Rの領域R2Bnで全反射した後、前面2Fの領域F2Bnで全反射する。
このようにホログラフィック回折格子5Bnで回折された平行光は、ホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光と同様に、後面2Rと前面2Fでの全反射を繰り返しながら基板2内を伝搬する。
この場合、ホログラフィック回折格子5BnのY方向の長さをホログラフィック回折格子5Anと同じLyとすると、ホログラフィック回折格子5Bnで回折された平行光が後面2Rと前面2Fに当たる領域(R1Bn、R2Bn・・・、F1Bn、F2Bn・・・)のY方向の長さもLyとなる。
また、基板2の厚みはdであるから、ホログラフィック回折格子5Bnで回折された平行光が後面2Rに当たるまで、あるいは、後面2R又は前面2Fに当たった平行光が前面2F又は後面2Rに当たるまでに進む距離は、ホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光の場合と同じように、
S=dtanθ となる。(この距離Sが、隣り合う領域R1Bn、R2Bn・・・の距離、F1Bn、F2Bn・・・の距離となる)
そして、Ly=dtanθとなるようにLy、d、θを設定することにより、ホログラフィック回折格子5Bnで回折された平行光が、後面2R又は前面2Fに当たる領域のY方向の長さと間隔を同じにすることができる。
【0028】
図9は、LED13AnとLED13Bnから同時に出射した拡散光(開口部12A1~12A9、12B1~12ABは省略する)が、基板2内を伝搬する状態を説明する説明図であり、同図(a)は基板2の背面図、同図(b)は、基板2とLED13An、13Bnの左側面図、同図(c)は、基板2の正面図であり、LED13An、13Bnからの拡散光を一点鎖線で表し、ホログラフィック回折格子5An、5Bnからの平行光を二点鎖線で表し、回折格子5Anからの平行光の束を薄い灰色で表し、回折格子5Bnからの平行光の束を濃い灰色で表し、回折格子5Anからの平行光の束と回折格子5Bnからの平行光の束が重なる部分を中間の灰色で表す。
図9(b)に示すようにLED13An、13Bnから出射した拡散光は、基板2の後面2Rで屈折されて基板2内に入り、基板2の前面2Fに貼り付けられたホログラフィック回折格子5An、5Bnの全面に当たり、YZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折される。ホログラフィック回折格子5An、5Bnで回折された平行光は、共に入射角θで基板2の後面2Rに当たって全反射し、この全反射した平行光は前面2Fで全反射し、この全反射を繰り返しながら、ホログラフィック回折格子5An、5Bnからの平行光が基板2内を伝搬する。
そして、Y方向に隙間なく配置したホログラフィック回折格子5Anとホログラフィック回折格子5BのY方向の長さと共にLyとし、ホログラフィック回折格子5An、5Bnが、LED13An、13Bnからの拡散光をZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に回折するようにし、Ly=dtanθとなるように設定する。
これにより、ホログラフィック回折格子5Anで回折された平行光とホログラフィック回折格子5Bn回折された平行光が、後面2Rと前面2Fで全反射しながら伝搬する際に、後面2Rにおいて、ホログラフィック回折格子5Anからの平行光が当たる領域(R1An、R2An、R3An・・・)と回折格子5Bnからの平行光が当たる領域(R1Bn、R2Bn・・・)が、隙間なく重ならずに交互に現れ(図9(a)参照)、また、前面2Fにおいて、ホログラフィック回折格子5Anからの平行光が当たる領域(F1An、F2An・・・)とホログラフィック回折格子5Bnからの平行光が当たる領域(F1Bn、F2Bn・・・)が、隙間なく重ならずに交互に現れることとなる(図9(c)参照)。
【0029】
図10は、ホログラフィック回折格子列5A(ホログラフィック回折格子5A1~5A9)とホログラフィック回折格子列5B(ホログラフィック回折格子5B1~5B9)で回折する平行光が基板2の後面2Rを照射する領域を説明する説明図であり、ホログラフィック回折格子5A1~5A9、5B1~5B9を破線の斜線で表し、ホログラフィック回折格子5An、5BnのX方向の長さをLxとする。
ホログラフィック回折格子列5Aにおいては、ホログラフィック回折格子5A1~5A9がX方向に一列に隙間なく配置され、ホログラフィック回折格子列5Bにおいても、ホログラフィック回折格子5B1~5B9がX方向に一列に隙間なく配置され、LxはLyと同じである。
図10に示すように、基板の後面2Rにおいて、ホログラフィック回折格子列5Aの各ホログラフィック回折格子5A1~5A9で回折された平行光が照射する領域R1A1~R1A9、R2A1~R2A9、R3A1~R3A9・・・は、X方向に隙間なく重ならずに連続し、ホログラフィック回折格子列5Bの各ホログラフィック回折格子5B1~5B9で回折された平行光が照射する領域R1B1~R1B9、R2B1~R2B9・・・も、X方向に隙間なく重ならずに連続する。
これより、ホログラフィック回折格子群5(ホログラフィック回折格子列5A、5B)の各ホログラフィック回折格子(5A1~5A9、5B1~5B9)で回折された平行光が基板2の後面2Rを照射する各領域は、X方向に9Lxの幅で、X方向とY方向共に隙間なく重ならないこととなり、各領域(R1A1~R1A9、R2A1~R2A9、R3A1~R3A9・・・)を照射する平行光の明るさは同じとなる。
また、ホログラフィック回折格子群5の各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が基板2の前面2Fを照射する各領域も、X方向に9Lxの幅で、X方向とY方向共に隙間なく重ならないこととなり、各領域(R1B1~R1B9、R2B1~R2B9・・・)を照射する平行光の明るさは同じとなる。
よって、ホログラフィック回折格子群5(ホログラフィック回折格子列5A、5B)の各ホログラフィック回折格子(5A1~5A9、5B1~5B9)で回折された平行光によって照射される前面2Fと後面2Rの全領域(X方向の長さがホログラフィック回折格子群5の長さと同じ領域)は、均一となる。
なお、LxはLyと同じである必要はなく、Lxは、画像ホログラム素子4のX方向の長さに対応して適宜設定することができる。
【0030】
図11は、ホログラフィック回折格子5An、5Bnで回折され、基板2内を伝搬する平行光が画像ホログラム素子4を照射する状態を説明する説明図であって、基板2の後面2Rに画像ホログラム素子4を貼り付けた部分の一部を表す左側面図であり、図中、S1An、S1Bn、S2An、S2Bnはホログラフィック回折格子5An、5Bnで回折された平行光が画像ホログラム素子4の後面4Sに当たる領域、T1An、T1Bn、T2An、TBAnはホログラフィック回折格子5An、5Bnで回折された平行光が基板2の前面2Fに当たる領域であり、ホログラフィック回折格子5An、5Bnからの平行光を二点鎖線で表し、ホログラフィック回折格子5Anからの平行光の束を薄い灰色で表し、ホログラフィック回折格子5Bnからの平行光の束を濃い灰色で表し、ホログラフィック回折格子5Anからの平行光の束とホログラフィック回折格子5Bnからの平行光の束が重なる部分を中間の灰色で表す。
図11に示すように、ホログラフィック回折格子5Anからの平行光が、基板2の前面2Fの領域T1Anに当たって全反射して画像ホログラム素子4が貼り付けられた基板2の後面2Rに到達すると、基板2と画像ホログラム素子4の光学的屈折率は同じであるから、平行光は反射・屈折せずに画像ホログラム素子4内に入り、後面Sの領域S1Anに当たって全反射した後、基板2内に入って前面2Fの領域T2Anに当たって全反射して、再び画像ホログラム素子4内に入って後面Sの領域S2Anに当たって全反射し、これを繰り返して基板2と画像ホログラム素子4が貼り付けられた部分を伝搬していく。
また、ホログラフィック回折格子5Bnからの平行光が、基板2の前面2Fの領域T1Bnに当たって全反射して画像ホログラム素子4が貼り付けられた基板2の後面2Rに到達すると、回折格子5Anからの平行光と同様に、反射・屈折せずに画像ホログラム素子4内に入り、後面Sの領域S1Bnに当たって全反射した後、基板2内に入って前面2Fの領域T2Bnに当たって全反射して、再び画像ホログラム素子4内に入って後面Sの領域S2Bnに当たって全反射し、これを繰り返して基板2と画像ホログラム素子4が貼り付けられた部分を伝搬していく。
ところで、画像ホログラム素子4には、ホログラフィック回折格子5An、5Bnからの平行光(Z方向のXY面に対して角度θの平行光)が照射されたとき、ホログラム画像が再生される干渉縞が記録されている。
したがって、ホログラフィック回折格子5An、5Bnで回折され、基板2の前面2Fで全反射し画像ホログラム素子4に入った平行光の一部は、画像ホログラム素子4の干渉縞により回折して、基板2から外側(正面側)に出て、これによってホログラム画像が再生され、正面側の画像ホログラム素子4と対向する位置にいる観察者は、再生されたホログラム画像を視認することができる。
すなわち、基板2の前面2Fで全反射し画像ホログラム素子4に入った平行光のうち、一部はホログラム画像を表す画像光として基板2の外側(正面側)に出て、残りは平行光のまま画像ホログラム素子4の後面Sで全反射することとなる。
この場合、画像ホログラム素子4が貼り付けられた基板2内において、基板2の後面4S又は基板2の前面2Fに当たった平行光が前面2F又は後面4Sに当たるまでに進む距離S’は、画像ホログラム素子4の厚みをδとすると、S’=(d+δ)tanθとなり、画像ホログラム素子4が貼り付けられていない基板2内を平行光が進む距離S(=dtanθ)より大きくなる。 δが基板2の厚みdに比べて小さい場合(例えば、δはdの5%以下)は、S’とSはほぼ等しく、δは無視してよいが、δがdに比べて無視できないほど大きい場合(例えば、δはdの10%以上)は、LyとS’が同じになるに、すなわち、Ly=(d+δ)tanθとなるように設定し、基板2内を伝搬する平行光が画像ホログラム素子4を照射するようにするのが望ましい。
【0031】
以上のようにホログラム画像再生装置1おいては、基板2の後面2Rに反射型の画像ホログラム素子4を取り付け、基板2の前面2Fにおいて、画像ホログラム素子4とはXY方向に異なる位置にホログラフィック回折格子列5A、5Bからなる反射型のホログラフィック回折格子群5を取り付け、ホログラフィック回折格子群5と対向する後面2R側の位置に各ホログラフィック回折格子(5A1~5A9、5B1~5B9)を照射するLED(13A1~13A9、13B1~13B9)からなるLED群13を取り付け、LED群13の各LEDで各ホログラフィック回折格子を照射し、各ホログラフィック回折格子で回折してYZ方向のXY面に対して角度θの平行光にし、この平行光を基板2の後面2Rと前面2Fで全反射させながら伝搬させて、基板の後面2Rと前面2Fにおいて、ホログラフィック回折格子列5Aの各ホログラフィック回折格子5A1~5A9で回折された平行光が照射する各領域とホログラフィック回折格子列5Bの各ホログラフィック回折格子5B1~5B9で回折された平行光が照射する各領域が、X方向とY方向に隙間なく重ならずに連続するようにして、画像ホログラム素子4の領域をホログラフィック回折格子群5で回折された平行光で照射するようしたため、各LED自体を明るくすることなく、また、特許文献2の再生装置100に比べて、1個のホログラフィック回折格子からの平行光が後面2Rに当たる回数を増やすことなくこの平行光が照射する面積を小さくして明るい平行光を画像ホログラム素子4に照射でき、明るいホログラム画像を再生することができる。
【0032】
[ホログラフィック回折格子群の他の態様]
本発明のホログラム画像再生装置におけるホログラフィック回折格子群の態様は、上述のような2列のホログラフィック回折格子列5A、5Bからなるものに限定されず、種々の態様をとることができる。
図12は、ホログラフィック回折格子群5に代えて、X方向に一列に配置したホログラフィック回折格子列をY方向に3列配置したホログラフィック回折格子群において、LED群から出射した拡散光が、基板2内を伝搬する状態を説明する説明図であり、同図(a)は、基板2の背面図、同図(b)は、基板2とLEDの左側面図である。
図中、6はホログラフィック回折格子群、6A、6B、6Cはホログラフィック回折格子列、6An、6Bn、6Cnは、ホログラフィック回折格子列6A、6B、6Cの左から6番目のホログラフィック回折格子、14An、14Bn、14Cnは、ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnに対向するLED、F1’An、F2’AnとR1’An、R2’Anは、ホログラフィック回折格子6Anで回折された平行光が基板2の前面2Fと後面2Rに当たる領域、F1’Bn、F2’BnとR1’Bn、R2’Bnは、ホログラフィック回折格子6Bnで回折された平行光が基板2の前面2Fと後面2Rに当たる領域、F1’Cn、F2’CnとR1’Cn、R2’Cnは、ホログラフィック回折格子6Cnで回折された平行光が基板2の前面2Fと後面2Rに当たる領域である。
また、ホログラフィック回折格子6A1、6A2、6A11、6A12、6B1、6B2、6B11、6B12、6C1、6C2、6C11、6C12を破線の斜線で表し、LED14An、14Bn、14Cnからの拡散光を一点鎖線で表し、ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnからの平行光を二点鎖線で表し、ホログラフィッ回折格子6Anからの平行光の束を薄い灰色で表し、回折格子6Bnからの平行光の束を中間の灰色で表し、ホログラフィッ回折格子6Cnからの平行光の束を濃い灰色で表す。
【0033】
ホログラフィック回折格子群6は、図12(a)に示すようにホログラフィック回折格子列6A、6B、6Cからなり、ホログラフィック回折格子列6A、6B、6Cにおいては、それぞれ12個のホログラフィック回折格子6A1~6A12、6B1~6B12、6C1~6C12が隙間なくX方向に配置され、ホログラフィック回折格子列6A、6B、6Cは、Y方向に隙間なく配置されている。
また、基板2の後面2R側には、光源装置10と同様の光源装置が取り付けられ、その光源装置のホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnに対向する位置には、LED14An、14Bn、14Cnが取り付けられ、LED14An、14Bn、14Cnから出射される拡散光が、対向するホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnの全面だけを照射するようになっている。
そして、ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnには、前面2Fに対して後面2R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光をZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
【0034】
図12(b)に示すようにLED14An、14Bn、14Cnから出射した拡散光は、基板2の後面2Rで屈折されて基板2内に入り、基板2の前面2Fに貼り付けられたホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnの全面に当たり、YZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折する。ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnで回折された各平行光は、入射角θで基板2の後面2Rに当たって全反射し、この全反射した平行光は前面2Fで全反射し、この全反射を繰り返しながら、ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnからの平行光が基板2内を伝搬する。
そして、Y方向に隙間なく配置した各ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6CnのY方向の長さとLy’とし、ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnが、LED14An、14Bn、14Cnからの拡散光をZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折するとき、3Ly’=2dtanθとなるように設定する。
これにより、ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnで回折された平行光が、後面2Rと前面2Fで全反射しながら伝搬する際に、後面2Rにおいて、各回折格子6An、6Bn、6Cnからの平行光が当たる領域(R1’An、R1’Bn、R1’Cn、R2’An、R2’Bn、R2’Cn・・・)は、隙間なく重ならずに連続し、また、前面2Fにおいて、各回折格子6An、6Bn、6Cnからの平行光が当たる領域(F1’An、F1’Bn、F1’Cn、F2’An、F2’Bn、F2’Cn・・・)も、隙間なく重ならずに連続することとなる。
また、図12(a)に示すように、基板の後面2Rにおいて、ホログラフィック回折格子列6Aの各ホログラフィック回折格子6A1、6A2・・・6A12で回折された平行光が照射する領域R1’A1~R1’A12、R2’A1~R2’A12・・・は、X方向に隙間なく重ならずに連続し、ホログラフィック回折格子列6Bの各ホログラフィック回折格子6B1、6B2・・・6B12で回折された平行光が照射する領域R1’B1~R1’B12、R2’B1~R2’B12・・・は、X方向に隙間なく重ならずに連続し、ホログラフィック回折格子列6Cの各ホログラフィック回折格子6C1、6C2・・・6C12で回折された平行光が照射する領域R1’C1~R1’C12、R2’C1~R2’C12・・・は、X方向に隙間なく重ならずに連続する。
よって、ホログラフィック回折格子群6(ホログラフィック回折格子列6A、6B、6C)の各ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cn(n=1~12)で回折された平行光によって、基板2の前面2Fと後面2Rの領域(X方向の長さがホログラフィック回折格子群6の長さと同じ領域)が、照射されることとなる。
ここで、ホログラム画像素子4の厚みδが基板2の厚みdに比べて無視できないほど大きい場合は、3Ly’=2(d+δ)tanθとなるように設定し、基板2内を伝搬する平行光が画像ホログラム素子4を照射するようにするのが望ましい。
なお、ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6CnのX方向の長さは、Y方向の長さLy’は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0035】
この場合、3列のホログラフィック回折格子列からなるホログラフィック回折格子群6において、1個のホログラフィック回折格子で回折された平行光によって照射される基板2の前面2F又は後面2Rの領域(1照射領域)は、2列のホログラフィック回折格子列からなるホログラフィック回折格子群5における1照射領域の2/3と小さくなる。
したがって、ホログラフィック回折格子群6の1照射領域は、ホログラフィック回折格子群5より明るくなり、より明るいホログラム画像を再生することができる。
また、本発明におけるホログラフィック回折格子群は、4列あるいはそれ以上のホログラフィック回折格子列からなるものであってもよい。
4列以上のk列のホログラフィック回折格子列からなるホログラフィック回折格子群において、ホログラフィック回折格子のY方向の長さLykは、k×Lyk=2dtanθとなるように設定される。
また、ホログラム画像素子4の厚みδが基板2の厚みdに比べて無視できないほど大きい場合は、k×Lyk=2(d+δ)tanθとなるように設定するのが望ましい。
なお、1列に配置されるホログラフィック回折格子の数は、画像ホログラム素子4のX方向の長さに対応して、適宜設定することができる。
【0036】
図13は、ホログラフィック回折格子群5に代えて、X方向に隣り合うホログラフィック回折格子をY方向にずらして配置したホログラフィック回折格子列をY方向に2列配置したホログラフィック回折格子群において、LED群から出射した拡散光が、基板2内を伝搬する状態を説明する基板2の背面図であり、図14は、LEDと基板2の左側面図であり、図14(a)は、一番左側のLEDと基板2の左側面図、図14(b)は、左から2番目のLEDと基板2の左側面図である。
図中、7はホログラフィック回折格子群、7A、7Bはホログラフィック回折格子列、7A1~7A8、7B1~7B8はホログラフィック回折格子、15A1、15B1、15A2、15B2はLED、R1”A1~R1”A8、R2”A1~R2”A8、R3”A1~R3”・・・は、ホログラフィック回折格子7A1~7A8で回折された平行光が基板2の後面2Rに当たる領域、R1”B1~R1”B8、R2”B1~R2”B8・・・は、ホログラフィック回折格子7B1~7B8で回折された平行光が基板2の後面2Rに当たる領域、F1”A1、F2”A1、F3”A1、F1”B1は、ホログラフィック回折格子7A1、7B1で回折された平行光が基板2の前面2Fに当たる領域、F1”A2、F2”A2、F3”A2、F1”B2は、ホログラフィック回折格子7A2、7B2で回折された平行光が基板2の前面2Fに当たる領域である。
また、ホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8を破線の斜線で表し、LED15A1、15B1、15A2、15B2からの拡散光を一点鎖線で表し、ホログラフィック回折格子7A1、7A2、7B1、7B2からの平行光を二点鎖線で表し、ホログラフィック回折格子7A1~7A8からの平行光の束を薄い灰色で表し、ホログラフィック回折格子7B1~7B8からの平行光の束を濃い灰色で表し、回折格子7A1、7A2からの平行光の束と回折格子7B1、7B2からの平行光の束が重なる部分を中間の灰色で表す。
【0037】
ホログラフィック回折格子群7は、図13に示すようにホログラフィック回折格子列7A、7Bからなり、ホログラフィック回折格子列7A、7Bにおいては、8個のホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8がX方向に隙間なく配置され、X方向に隣り合うホログラフィック回折格子をY方向に1個半分ずらして配置されている。
また、基板2の後面2R側には、光源装置10と同様の光源装置が取り付けられ、その光源装置の各ホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8に対向する位置には、LED15A1、15A2・・・、15B1、15B2・・・が取り付けられ、LED15A1、15B1等から出射される拡散光が、対向するホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8の全面だけを照射するようになっている。
そして、ホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8には、前面2Fに対して後面2R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光をYZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
【0038】
図14(a)に示すようにLED15A1、15B1から出射した拡散光は、基板2の後面2Rで屈折されて基板2内に入り、基板2の前面2Fに貼り付けられたホログラフィック回折格子7A1、7B1の全面に当たり、YZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折する。ホログラフィック回折格子7A1、7B1で回折された各平行光は、入射角θで基板2の後面2Rに当たって全反射し、この全反射した平行光は前面2Fで全反射し、この全反射を繰り返しながら、ホログラフィック回折格子7A1、7B1からの平行光が基板2内を伝搬する。
そして、Y方向に間隔を空けて配置したホログラフィック回折格子7A1、7B1のY方向の長さは、ホログラフィック回折格子群5のホログラフィック回折格子5An、5Bnと同じLyであり、ホログラフィック回折格子7A1、7B1が、LED15A1、15B1からの拡散光をZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に回折されるとき、Ly=dtanθとなり、ホログラフィック回折格子7A1、7B1の間隔を2Lyとなるように設定する。
図14(b)に示すようにLED15A2、15B2から出射した拡散光も、LED15A1、15B1から出射した拡散光と同様に、ホログラフィック回折格子7A2、7B2の全面に当たり、YZ方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に回折され、基板2の後面2Rと前面2Fで全反射を繰り返しながら基板2内を伝搬する。
そして、ホログラフィック回折格子7A2、7B2のY方向の長さは、ホログラフィック回折格子7A1、7B1と同じLyであり、Ly=dtanθとなり、ホログラフィック回折格子7A2、7B2の間隔を2Lyとなるように設定する。
他のホログラフィック回折格子7A3~7A8、7B3~7B8についても同様に設定ずる。
【0039】
これにより、ホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8で回折された平行光が、後面2Rと前面2Fで全反射しながら伝搬する際に、後面2Rにおいて、ホログラフィック回折格子7A1、7B1からの平行光が当たる領域(R2”A1~R2”A8、R3”A1~R3”・・・、R1”B1~R1”B8、R2”B1~R2”B8・・・)は、隙間なく重ならずに連続し、また、前面2Fにおいて、ホログラフィック回折格子7A1、7B1からの平行光が当たる領域(F2”A1、F1”B1、F3”A1、F2”A2、F1”B2、F3”A2等)も、隙間なく重ならずに連続することとなる。
また、図13に示すように、基板の後面2Rにおいて、ホログラフィック回折格子列7Aの各ホログラフィック回折格子7A1~7A8で回折された平行光が照射する領域R2”A1~R2”A8・・・は、X方向に隙間なく重ならずに連続し、ホログラフィック回折格子列7Bの各ホログラフィック回折格子7B1~7B8で回折された平行光が照射する領域R1”B1~R1”B8、R2”B1~R2”B8・・・は、X方向に隙間なく重ならずに連続する。
さらに、ホログラフィック回折格子7A1~7A8の隣り合うホログラフィック回折格子で回折された平行光が照射する領域は、Y方向にホログラフィック回折格子半個分(Ly/2)ずれ、ホログラフィック回折格子7B1~7B8の隣り合うホログラフィック回折格子で回折された平行光が照射する領域も、Y方向にホログラフィック回折格子半個分(Ly/2)ずれ、平行光が照射する領域の境界はX方向に揃わなくなる。
よって、ホログラフィック回折格子群7(ホログラフィック回折格子列7A、7B)の各ホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8で回折された平行光によって、基板2の前面2Fと後面2Rの領域(X方向の長さがホログラフィック回折格子群7の長さと同じ領域)が照射されると共に、各ホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8で回折された平行光によって照射される各領域の境界がX方向に揃わず、各領域の境界に生ずるX方向の明るさのムラを目立たなくできる。
また、ホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8を照射するLED15A1、15B1等は互いに近接せず、放熱しやすくなる。
この場合、LEDから出射した拡散光に強度分布があり、中央部に比べて端部が少し暗くなる場合は、ホログラフィック回折格子群7の各ホログラフィック回折格子のX方向の長さとY方向の長さを少し大きくして、各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が前面2Fと後面2Rを照射する各領域の端部を重ねて、ホログラフィック回折格子群7によって照射される前面2Fと後面2Rの全領域の明るさにムラが生じないようにしてもよい。
なお、本実施形態では、ホログラフィック回折格子7A1~7A8、7B1~7B8のX方向の長さは、Y方向の長さLyは同じであるが、異なるようにしてもよい。
また、X方向に隣り合うホログラフィック回折格子をY方向にずらす長さは任意に設定でき、不規則にずらすようにしてもよい
【0040】
[第2実施形態のホログラム画像再生装置の構成]
図15は、本発明の第2実施形態のホログラム画像再生装置を表した図であり、同図(a)は、ホログラム画像再生装置の正面図、同図(b)は、ホログラム画像再生装置の背面図、同図(c)は、ホログラム画像再生装置の左側面図である。
図中、20はホログラム画像再生装置、22は基板、22Fは前面、22Rは後面、24は画像ホログラム素子、25A、25B、25C、25Dはホログラフィック回折格子列、25A1~25A6、25B1~25B6、25C1~25C6、25D1~25D6はホログラフィック回折格子、30A、30B、30C、30Dは光源装置、31A、31B、31C、31Dは光源ケース、33A、33B、33C、33DはLED列であり、図において、Xは基板22を前面22Fが正面を向くように置いた場合の前面22Fにおける水平方向(左右方向)、Yは前面22FにおけるX方向と垂直な方向(上下方向)、Zは前面22F(XY面)と垂直な方向(上下方向、基板22の厚み方向)である。
図に示すように、ホログラム画像再生装置20は、基板22、カバー23、画像ホログラム素子24、ホログラフィック回折格子列25A~25D及び光源装置30A~30Dを備えている。
基板22は、外形が正方形であり、ホログラム画像再生装置1の基板2と同様に、光学的屈折率が1.3~1.7の平板状の無色透明な板であり、第1の面となる前面22F、第2の面となる後面22Rを備え、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリアミド、トリアセチルセルロース(TAC)等のプラスチック材料、あるいは、ガラス等からなる。
第2実施形態の基板22は、第1実施形態の基板2と同様に光学的屈折率が約1.5で、厚さが5mmの無色透明のアクリル板からなる。
【0041】
画像ホログラム素子24は、体積型ホログラム素子であり、感光性材料である体積型ホログラフィック記録材料からなり、基板22の後面22Rに、空気を介さずに貼り合わされている。
そして、画像ホログラム素子24には、その前面(後面22R)に対して、ある方向・角度から、所定の波長の平行光が照射されたとき、所定の視野角をもつあるホログラム画像が再生され、それとは異なる方向・角度から、同じ又は異なる波長の平行光が照射されたとき、所定の視野角の異なる画像が再生される干渉縞が記録されている。
第2実施形態の画像ホログラム素子24は、反射型であり、光学的屈折率が約1.5の体積型ホログラフィック記録材料からなり、この画像ホログラム素子24には、YZ方向前面22F側からXY面(後面22R)の法線に対して角度θ(例えば約60度)で、532nmを中心とした緑色の平行光が下方から照射されたとき、所定の視野角をもつ第1のホログラム画像が前面22F側に再生され、XZ方向前面22F側からXY面(後面22R)の法線に対して角度θで、532nmを中心とした緑色の平行光が右方から照射されたとき、所定の視野角をもつ第2のホログラム画像が前面22F側に再生され、YZ方向前面22F側からXY面(後面22R)の法線に対して角度θで、532nmを中心とした緑色の平行光が下方に照射されたとき、所定の視野角をもつ第3のホログラム画像が前面22F側に再生され、XZ方向前面2F側からXY面(後面22R)の法線に対して角度θで、532nmを中心とした緑色の平行光が左方から照射されたとき、所定の視野角をもつ第4のホログラム画像が前面22F側に再生される干渉縞が記録され、第1~第4の4つのホログラム画像は異なる画像である。
なお、画像ホログラム素子24は、透過型でもよく、その場合は、基板22の前面22Fの窓枠23a内に透過型の画像ホログラム素子24が貼り付けられ、YZ方向後面22R側等からXY面の法線に対して所定角度で所定波長の平行光が照射され、前面22F側に第1~第4の4つのホログラム画像が再生される。
また、画像ホログラム素子24は、第1実施形態の画像ホログラム素子4と同様に、干渉縞を微細な凹凸で記録したエンボス型ホログラム素子や回折光学素子(DOE)等であってもよい。
【0042】
第2実施形態のホログラフィック回折格子群は、図15(a)に示すようにホログラフィック回折格子列25A、25B、25C、25Dからなり、各ホログラフィック回折格子列が、正方形状の基板22の前面22Fの各辺(下辺、左辺、上辺、右辺)に沿ってその近傍に下空気を介さずに貼り合わされている。
ホログラフィック回折格子列25Aにおいては、6個のホログラフィック回折格子25A1~25A6が隙間なく一列にX方向に配置され、ホログラフィック回折格子列25Bにおいては、6個のホログラフィック回折格子25B1~25B6が隙間なくY方向に配置され、ホログラフィック回折格子列25Cにおいては、6個のホログラフィック回折格子25C1~25C6が隙間なく一列にX方向に配置され、ホログラフィック回折格子列25Dにおいては、6個のホログラフィック回折格子25D1~25D6が隙間なくY方向に配置されている。
この場合、ホログラフィック回折格子25A1~25A6、25B1~25B6、25C1~25C6、25D1~25D6は、反射型であり、画像ホログラム素子24と同様に、感光性材料である体積型ホログラフィック記録材料からなる。
また、ホログラフィック回折格子25A1~25A6、25B1~25B6、25C1~25C6、25D1~25D6は、干渉縞を微細な凹凸で記録したエンボス型ホログラム素子や回折光学素子(DOE)等であってもよい。
【0043】
そして、ホログラフィック回折格子25A1~25A6の各ホログラフィック回折格子には、前面22Fに対して後面22R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光をYZ方向上方にXY面(前面2F)に対して所定の角度の平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
ホログラフィック回折格子25B1~25B6の各ホログラフィック回折格子には、前面22Fに対して後面22R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光をXZ方向右方にXY面(前面2F)に対して所定の角度の平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
ホログラフィック回折格子25C1~25C6の各ホログラフィック回折格子には、前面22Fに対して後面22R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光をYZ方向下方にXY面(前面22F)に対して所定の角度の平行光に回折偏向するようにする干渉縞が記録されている。
ホログラフィック回折格子25D1~25D6の各ホログラフィック回折格子には、前面22Fに対して後面22R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光をXZ方向左方にXY面(前面2F)に対して所定の角度の平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
なお、ホログラフィック回折格子25A1~25A6、25B1~25B6、25C1~25C6、25D1~25D6は、透過型でもよく、その場合は、基板22の前面22F側に光源装置が取り付けられ、前面22F側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光がホログラフィック回折格子25A1~25A6、25B1~25B6、25C1~25C6、25D1~25D6に照射され、拡散光がYZ方向にXY面(前面2F)に対して所定の角度の平行光に偏向するように回折されて後面22R側に出ていく。
【0044】
光源装置30A~30Dは、光源ケース31A~31D、LED群33A~33D、発光回路(図示せず)等を備えている。
各光源ケース31A~31Dは、仕切り壁により形成される6個のセルを有し、この6個のセルの開口部(図示せず)により各光源ケース31A~31Dの正面側に開口部列(図示せず)が形成され、この開口部列が各ホログラフィック回折格子列25A~25Dに対向するようにして、各光源ケース31A~31Dが、基板22の後面22R側にスペーサ(図示せず)を介して取り付けられている。
また、光源ケース31Aは6個のLEDからなるLED列33Aを備え、光源ケース31Bは6個のLEDからなるLED列33Bを備え、光源ケース31Cは6個のLEDからなるLED列33Cを備え、光源ケース31Dは6個のLEDからなるLED列33Dを備えている。
そして、LED列33Aの各LEDは、ホログラフィック回折格子25A1~25A6に対向する位置に配置され、各LEDから発光され、セルの開口部を介して出射される拡散光が、対向するホログラフィック回折格子25A1~25A6の全面だけを照射するように、光源ケース31Aの開口部列と基板22の後面22Rの距離が、スペーサにより調整設定される。
同様にして光源ケース31B~31Dについても、各開口部列と基板22の後面22Rの距離がスペーサにより調整設定され、LED列33B~33Dの各LEDから発光され、セルの開口部を介して出射される拡散光が、対向するホログラフィック回折格子25B1~25B6、25C~25C6、25D1~25D6の全面だけを照射するようにされる。
なお、光源装置30A~30Dの光源は、LEDに限定されるものではなく、レーザーダイオード、キセノン、クリプトン等のランプでもよい。
【0045】
[ホログラム画像の再生]
ホログラム画像再生装置20おいては、光源装置30Aの各LEDから発光された拡散光が、セルの開口部を介してホログラフィック回折格子25A1~25A6を照射し、ホログラフィック回折格子25A1~25A6で平行光に偏向するように回折され、この平行光が、基板22の前面22Fと後面22Rに当たって全反射しながら基板22内を伝搬し、画像ホログラム素子24を照射して第1のホログラム画像を再生させる。
同様にして、光源装置30Bの各LEDから発光された拡散光が、ホログラフィック回折格子25B1~25B6で平行光に偏向するように回折され、この平行光が、基板22の前面22Fと後面22Rに当たって全反射しながら基板22内を伝搬し、画像ホログラム素子24を照射して第2のホログラム画像を再生させ、光源装置30Cの各LEDから発光された拡散光が、ホログラフィック回折格子25C1~25C6で平行光に偏向するように回折され、この平行光が、基板22の前面22Fと後面22Rに当たって全反射しながら基板22内を伝搬し、画像ホログラム素子24を照射して第3のホログラム画像を再生させ、光源装置30Dの各LEDから発光された拡散光が、ホログラフィック回折格子25D1~25D6で平行光に偏向するように回折され、この平行光が、基板22の前面22Fと後面22Rに当たって全反射しながら基板22内を伝搬し、画像ホログラム素子24を照射して第4のホログラム画像を再生させる。
【0046】
図16は、光源装置30A等の各LEDから発光された拡散光によって、ホログラフィック回折格子25A1~25A6等で回折された平行光が、基板22内を伝搬して画像ホログラム素子24を照射する状態を説明する説明図であり、同図(a)は、光源装置30A・ホログラフィック回折格子列25Aの左からn番目のLED・ホログラフィック回折格子と基板22の左側面図、同図(b)は、光源装置30B・ホログラフィック回折格子列25Bの上からn番目のLED、ホログラフィック回折格子と基板22の平面図、同図(c)は、光源装置30C・ホログラフィック回折格子列25Cの左からn番目のLED、ホログラフィック回折格子と基板22の左側面図、同図(d)は、光源装置30D・ホログラフィック回折格子列25Dの上からn番目のLED、ホログラフィック回折格子と基板22の平面図である。
図中、25Anは、ホログラフィック回折格子列25Aの左からn番目のホログラフィック回折格子、25Bnは、ホログラフィック回折格子列25Bの上からn番目のホログラフィック回折格子、25Cnは、ホログラフィック回折格子列25Aの左からn番目のホログラフィック回折格子、25Dnは、ホログラフィック回折格子列25Dの上からn番目のホログラフィック回折格子、33Anは、光源装置30Aの左からn番目のLED、33Bnは、光源装置30Bの上からn番目のLED、33Cnは、光源装置30Cの左からn番目のLED、33Dnは、光源装置30Dの上からn番目のLED、G1An、G2An、Q1An、Q2Anは、ホログラフィック回折格子25Anで回折された平行光が基板22の前面22F、後面22Rに当たる領域、G1Bn、G2Bn、Q1Bn、Q2Bnは、ホログラフィック回折格子25Bn平行光が基板22の前面22F、後面22Rに当たる領域、G1Cn、G2Cn、Q1Cn、Q2Cnは、ホログラフィック回折格子25Cnで回折された平行光が基板22の前面22F、後面22Rに当たる領域、G1Dn、G2Dn、Q1Dn、Q2Dnは、ホログラフィック回折格子25Dnで回折された平行光が基板22の前面22F、後面22Rに当たる領域であり、LED33An、33Bn、33Cn、33Dnからの拡散光を一点鎖線で表し、ホログラフィック回折格子25An、25Bn、25Cn、25Dnからの平行光を二点鎖線で表す。
【0047】
図16(a)に示すようにLED33Anから出射した拡散光は、基板22の後面22Rで屈折されて基板22内に入り、基板22の前面22Fに貼り付けられたホログラフィック回折格子25Anの全面に当たり、YZ方向にXY面(前面22F)に対して角度θ(この角度が伝搬角となる)の平行光に偏向するように回折される。ホログラフィック回折格子25Anで回折された平行光は、入射角θで基板22の後面22Rの領域Q1Anに当たるが、入射角θは臨界角より大きく、後面22Rの領域Q1Anで全反射して、前面22Fの領域G1Anに当たって全反射し、さらに、後面22Rの領域Q2Anに当たって全反射し、前面22Fの領域G2Anに当たって全反射する。
このようにホログラフィック回折格子25Anで回折された平行光は、後面22Rと前面22Fでの全反射を繰り返しながら基板22内を矢印HAの方向(Y方向上方)に伝搬する。
そして、ホログラフィック回折格子25Anで回折され、基板22内を伝搬する平行光は、後面22Rに貼り付けられた画像ホログラム素子24を、YZ方向前面22F側からXY面(後面22R)の法線に対して角度θで下方より照射し、その一部が画像ホログラム素子24の干渉縞により回折し、基板22から外側(正面側)に出ていき、これによって第1のホログラム画像が再生され、残りは平行光のまま画像ホログラム素子24の後面Sで全反射し、基板22内を伝搬する。
【0048】
他のホログラフィック回折格子25Bn、25Cn、25Dnホログラフィック回折格子25A1~25A6等で回折された平行光が、基板22内を伝搬して画像ホログラム素子24を照射する状態は、ホログラフィック回折格子25Anの場合と同じであるが、平行光が伝搬する方向と画像ホログラム素子24を照射する平行光の方向が異なっている。
ホログラフィック回折格子25Bnにおいては、図16(b)に示すようにLED33Bnから出射した拡散光は、ホログラフィック回折格子25BnでXZ方向にXY面(前面22F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折され、基板22の後面22Rの領域Q1Bn、前面22Fの領域G1Bn、後面22Rの領域Q2Bn、前面22Fの領域G2Bnで全反射し、これを繰り返しながら基板22内を矢印HBの方向(X方向右方)に伝搬する。
そして、ホログラフィック回折格子25Bnで回折され、基板22内を伝搬する平行光は、後面22Rに貼り付けられた画像ホログラム素子24を、XZ方向前面22F側からXY面(後面22R)の法線に対して角度θで左方より照射し、その一部が画像ホログラム素子24の干渉縞により回折し、基板22から外側(正面側)に出ていき、これによって第2のホログラム画像が再生され、残りは平行光のまま画像ホログラム素子24の後面Sで全反射し、基板22内を伝搬する。
【0049】
ホログラフィック回折格子25Cnにおいては、図16(c)に示すようにLED33Cnから出射した拡散光は、ホログラフィック回折格子25CnでYZ方向にXY面(前面22F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折され、基板22の後面22Rの領域Q1Cn、前面22Fの領域G1Cn、後面22Rの領域Q2cn、前面22Fの領域G2Cnで全反射し、これを繰り返しながら基板22内を矢印HCの方向(Y方向下方)に伝搬する。
そして、ホログラフィック回折格子25Cnで回折され、基板22内を伝搬する平行光は、後面22Rに貼り付けられた画像ホログラム素子24を、YZ方向前面22F側からXY面(後面22R)の法線に対して角度θで上方より照射し、その一部が画像ホログラム素子24の干渉縞により回折し、基板22から外側(正面側)に出ていき、これによって第3のホログラム画像が再生され、残りは平行光のまま画像ホログラム素子24の後面Sで全反射し、基板22内を伝搬する。
ホログラフィック回折格子25Dnにおいては、図16(d)に示すようにLED33Dnから出射した拡散光は、ホログラフィック回折格子25Dnで偏向されてXZ方向にXY面(前面22F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折され、基板22の後面22Rの領域Q1Dn、前面22Fの領域G1Dn、後面22Rの領域Q2Dn、前面22Fの領域G2Dnで全反射し、これを繰り返しながら基板22内を矢印HDの方向(X方向左方)に伝搬する。
そして、ホログラフィック回折格子25Dnで回折され、基板22内を伝搬する平行光は、後面22Rに貼り付けられた画像ホログラム素子24を、XZ方向前面22F側からXY面(後面22R)の法線に対して角度θで右方より照射し、その一部が画像ホログラム素子24の干渉縞により回折し、基板22から外側(正面側)に出ていき、これによって第4のホログラム画像が再生され、残りは平行光のまま画像ホログラム素子24の後面Sで全反射し、基板22内を伝搬する。
【0050】
この場合、ホログラフィック回折格子25An、25CnのY方向の長さをMyとすると、回折格子25Anで回折された平行光が後面22Rと前面22Fに当たる領域(Q1An、Q2An・・・、G1An、G2An・・・)のY方向の長さもMyとなり、回折格子25Cnで回折された平行光が後面22Rと前面22Fに当たる領域(Q1Cn、Q2Cn・・・、G1Cn、G2Cn・・・)のY方向の長さもMyとなる。
ここで、ホログラフィック回折格子25Bn、25BnのX方向の長さをMxとすると、ホログラフィック回折格子25Bnで回折された平行光が後面22Rと前面22Fに当たる領域(Q1Bn、Q2Bn・・・、G1Bn、G2Bn・・・)のY方向の長さもMxとなり、ホログラフィック回折格子25Dnで回折された平行光が後面22Rと前面22Fに当たる領域(Q1Dn、Q2Dn・・・、G1Dn、G2Dn・・・)のY方向の長さもMxとなる。
そして、基板22の厚み(Z方向の長さ)をdとすると、ホログラフィック回折格子25An、25Bn、25Cn、25Dnで回折された平行光が後面22Rに当たるまで、あるいは、後面22R又は前面22Fに当たった平行光が前面22F又は後面22Rに当たるまでに進む距離Sは、S=dtanθ となる。
これより、My=Mx=2dtanθとなるようにLy、Lx、d、θを設定することにより、ホログラフィック回折格子25An、25Bn、25Cn、25Dnで回折された平行光が、後面22R又は前面22Fに当たる領域のY方向に隙間なく重ならずに連続させることができる。
第2実施形態では、d=5mm、θ=60度であり、My=Mx=2×5×tan60°=17.3mmとなる。
また、ホログラフィック回折格子列25Aにおいては、ホログラフィック回折格子25A1~25A6がX方向に一列に隙間なく配置され、ホログラフィック回折格子列25Bにおいては、ホログラフィック回折格子25B1~25B6がY方向に一列に隙間なく配置され、ホログラフィック回折格子列25Cにおいては、ホログラフィック回折格子25C1~25C6がX方向に一列に隙間なく配置され、ホログラフィック回折格子列25Dにおいては、ホログラフィック回折格子25D1~25D6がY方向に一列に隙間なく配置されている。
よって、ホログラフィック回折格子列25A~25Dの各ホログラフィック回折格子で回折された平行光が、基板22の後面22Rと前面22Fを照射する各領域は、平行光の伝搬方向と直交する方向においても隙間なく重ならずに連続することとなる。
また、ホログラム画像素子24の厚みδが基板22の厚みdに比べて無視できないほど大きい場合は、My=2(d+δ)tanθとなるように設定するのが望ましい。
【0051】
第2実施形態のホログラム画像再生装置において、ホログラフィック回折格子群を構成する方向の異なるホログラフィック回折格子列は、図17に示すようなX方向とY方向に配置した4方向の列(25A~25D)に限定されるものではなく、X方向とY方向以外の異なる4方向に配置してもよく、正三角形等に配置した異なる3方向のホログラフィック回折格子列として、画像ホログラム素子24から異なる3種類のホログラム画像を再生するようにしてもよく、正五角形あるいはそれ以上の正多角形等に配置した異なる5方向以上のホログラフィック回折格子列として、画像ホログラム素子24から異なる5種類以上のホログラム画像を再生するようにしてもよい。
また、上述のように第2実施形態のホログラム画像再生装置20おいては、光源装置30A、30B、30C、30Dの各LEDを発光させることにより、カバー23の窓枠23a内に第1のホログラム画像、第2のホログラム画像、第3のホログラム画像、第4のホログラム画像を再生させることができことから、光源装置30A~30Dの各LEDの発光を光源装置毎に切り換えることにより、表示させる画像を、第1のホログラム画像~第4のホログラム画像に切り換えることができる。
さらに、光源装置30A~30Dの各LEDを光源装置毎に順次発光させることにより、第1のホログラム画像~第4のホログラム画像を順次表示させることができる。
なお、第2実施形態のホログラム画像再生装置20おいては、ホログラフィック回折格子群を構成する各ホログラフィック回折格子列(25A~25D)、LED群を構成する各LED列(33A~33D)は、1列であるが、第1実施形態のホログラフィック回折格子群5を構成するホログラフィック回折格子列(5A、5B等)のように2列又は3列以上にしてもよく、図13に示すようなX方向に隣り合うホログラフィック回折格子をY方向にずらした配置にしてもよく、各ホログラフィック回折格子列(25A~25D)を構成するホログラフィック回折格子の数も、6個に限定されるわけではなく、画像ホログラム素子24の大きさに対応して、適宜設定することができる。
【0052】
以上のようにホログラム画像再生装置20おいては、基板22の後面22Rに反射型の画像ホログラム素子24を取り付け、基板22の前面22Fにおいて、異なる4方向を向いたホログラフィック回折格子列25A、25B、25C、25Dからなる反射型のホログラフィック回折格子群を取り付け、ホログラフィック回折格子群と対向する後面2R側の位置に各ホログラフィック回折格子列のホログラフィック回折格子を照射するLEDからなるLED群を取り付け、各LEDで各ホログラフィック回折格子(25A1~25A6、25B1~25B6、25C1~25C6、25D1~25D6)を照射し、ホログラフィック回折格子25A1~25A6では、LEDからの拡散光をYZ方向のXY面に対して角度θの平行光に偏向するように回折し、この平行光を基板22の後面22Rと前面22Fで全反射させながらY方向上方に伝搬させ、ホログラフィック回折格子25B1~25B6では、LEDからの拡散光を偏向してXZ方向のXY面に対して角度θの平行光に回折させ、この平行光を基板22の後面22Rと前面22Fで全反射させながらX方向右方に伝搬させ、ホログラフィック回折格子25C1~25C6では、LEDからの拡散光をYZ方向のXY面に対して角度θの平行光に偏向するように回折し、この平行光を基板22の後面22Rと前面22Fで全反射させながらY方向下方に伝搬させ、ホログラフィック回折格子25D1~25D6では、LEDからの拡散光をXZ方向のXY面に対して角度θの平行光に偏向するように回折し、この平行光を基板22の後面22Rと前面22Fで全反射させながらX方向左方に伝搬させ、各ホログラフィック回折格子列25A、25B、25C、25Dで回折された平行光が照射する各領域を、各ホログラフィック回折格子列毎にX方向とY方向に隙間なく重ならずに連続するようにして、各ホログラフィック回折格子列からの平行光を、各ホログラフィック回折格子列毎に異なる方向から画像ホログラム素子24に照射して、異なるホログラム画像を再生するようにしたため、特許文献2のディスプレイ120や入力インターフェースデバイス200に比べて、遥かに明るいホログラム画像を再生することができる。
【0053】
[第3実施形態のホログラム画像再生装置]
図17は、本発明の第3実施形態のホログラム画像再生装置の構成を表した図であり、同図(a)は、ホログラム画像再生装置の正面図、同図(b)は、ホログラム画像再生装置の背面図、同図(c)は、ホログラム画像再生装置の左側面図である。
図中、40はホログラム画像再生装置、42は基板、42Fは前面、42Rは後面、43はカバー、43aは窓枠、44は画像ホログラム素子、45A、45B、45C、45D、45Eはホログラフィック回折格子列、45A1~45A9、45A11~45A19、45B1~45B9、45B11~45B19、45C1~45C9、45C11~45C19、45D1~45D9、45D11~45D19、45E1~45E9、45E11~45E19は、ホログラフィック回折格子、50A、50B、50C、50D、50Eは光源装置、51A、51B、51C、51D、51Eは光源ケース、53A、53B、53C、53D、53EはLED列であり、図において、Xは基板42を前面42Fが正面を向くように置いた場合の前面42Fにおける水平方向(左右方向)、Yは前面42FにおけるX方向と垂直な方向(上下方向)、Zは前面42F(XY面)と垂直な方向(上下方向、基板22の厚み方向)である。
図に示すように、ホログラム画像再生装置40は、基板42、画像ホログラム素子44、ホログラフィック回折格子列45A~45E及び光源装置50A~50Eを備えている。
基板42は、ホログラム画像再生装置1、20の基板2、22と同様に、光学的屈折率が1.3~1.7の平板状の無色透明な板であり、第1の面となる前面42F、第42の面となる後面42Rを備え、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリアミド、トリアセチルセルロース(TAC)等のプラスチック材料、あるいは、ガラス等からなるが、基板2、22と異なり、外形が正五角形である。
第3実施形態の基板42は、第1実施形態の基板2と同様に光学的屈折率が約1.5で、厚さが5mmの無色透明のアクリル板からなる。
【0054】
画像ホログラム素子44は、体積型ホログラム素子であり、感光性材料である体積型ホログラフィック記録材料からなり、基板42の後面42Rに、空気を介さずに貼り合わされている。
そして、画像ホログラム素子44には、第2実施形態の画像ホログラム素子24と同様に、その前面(後面42R)に対して、ある方向・角度から、所定の波長の平行光が照射されたとき、所定の視野角をもつあるホログラム画像が再生され、それとは異なる方向・角度から、同じ又は異なる波長の平行光が照射されたとき、所定の視野角の異なる画像が再生される干渉縞が記録されている。
第3実施形態の画像ホログラム素子44は、反射型であり、光学的屈折率が約1.5の体積型ホログラフィック記録材料からなるが、第2実施形態の画像ホログラム素子24とは異なる方向から平行光が照射されたときに、異なるホログラム画像を再生させる。
すなわち、この画像ホログラム素子44には、第1の方向であるYZ方向前面42F側からXY面(後面42R)の法線に対して角度θ(例えば約60度)で、532nmを中心とした緑色の平行光が下方から照射されたとき、所定の視野角をもつ第1のホログラム画像が前面42F側の窓枠23a内に再生され、第1の方向を時計回りに72度回転させた第2の方向前面42F側からXY面(後面42R)の法線に対して角度θで、532nmを中心とした緑色の平行光が右方から照射されたとき、所定の視野角をもつ第2のホログラム画像が前面42F側の窓枠43a内に再生され、第2の方向を時計回りに72度回転させた第3の方向前面42F側からXY面(後面42R)の法線に対して角度θで、532nmを中心とした緑色の平行光が下方に照射されたとき、所定の視野角をもつ第3のホログラム画像が前面42F側の窓枠23a内に再生され、第3の方向を時計回りに72度回転させた第4の方向前面2F側からXY面(後面42R)の法線に対して角度θで、532nmを中心とした緑色の平行光が左方から照射されたとき、所定の視野角をもつ第4のホログラム画像が前面42F側の窓枠23a内に再生され、第4の方向を時計回りに72度回転させた第5の方向前面42F側からXY面(後面42R)の法線に対して角度θで、532nmを中心とした緑色の平行光が左方から照射されたとき、所定の視野角をもつ第5のホログラム画像が前面42F側の窓枠43a内に再生される干渉縞が記録され、第1~第5の5つのホログラム画像は異なる画像である。
なお、画像ホログラム素子44は、透過型でもよく、その場合は、基板42の前面42Fに透過型の画像ホログラム素子44が貼り付けられ、YZ方向後面22R側等からXY面の法線に対して所定角度で所定波長の平行光が照射され、前面42F側に第1~第5の5つのホログラム画像が再生される。
また、画像ホログラム素子44は、第1実施形態の画像ホログラム素子4と同様に、干渉縞を微細な凹凸で記録したエンボス型ホログラム素子や回折光学素子(DOE)等であってもよい。
【0055】
第3実施形態のホログラフィック回折格子群は、図17(a)に示すようにホログラフィック回折格子列45A、45B、45C、45D、45Eからなり、各ホログラフィック回折格子列が、正五角形状の基板42の前面42Fの各辺(周縁)に沿って空気を介さずに貼り合わされている。
ホログラフィック回折格子列45A~45Eの各ホログラフィック回折格子列の構成は、第1実施形態のホログラフィック回折格子群5と同じである。
すなわち、図17(a)に示すように、ホログラフィック回折格子列45Aにおいては、9個のホログラフィック回折格子45A1~45A9が隙間なく一列にX方向に配置された第1列(ホログラフィック回折格子列5Aに相当)と、9個のホログラフィック回折格子45A11~45A19が隙間なく一列にX方向に配置された第2列(ホログラフィック回折格子列5bに相当)が、Y方向に隙間なく配置されている。
同様に、ホログラフィック回折格子列45Bにおいては、9個のホログラフィック回折格子45B1~45B9からなる第1列と、9個のホログラフィック回折格子45B11~45B19からなる第2列が隙間なく配置され、ホログラフィック回折格子列45Cにおいては、9個のホログラフィック回折格子45C1~45C9からなる第1列と、9個のホログラフィック回折格子45C11~45C19からなる第2列が隙間なく配置され、ホログラフィック回折格子列45Dにおいては、9個のホログラフィック回折格子45D1~45D9からなる第1列と、9個のホログラフィック回折格子45D11~45D19からなる第2列が隙間なく配置され、ホログラフィック回折格子列45Eにおいては、9個のホログラフィック回折格子45E1~45E9からなる第1列と、9個のホログラフィック回折格子45E11~45E19からなる第2列が隙間なく配置されている。
この場合、各ホログラフィック回折格子は、反射型であり、画像ホログラム素子44と同様に、感光性材料である体積型ホログラフィック記録材料からなる。
また、各ホログラフィック回折格子は、干渉縞を微細な凹凸で記録したエンボス型ホログラム素子や回折光学素子(DOE)等であってもよい。
【0056】
そして、ホログラフィック回折格子列45Aの各ホログラフィック回折格子には、前面42Fに対して後面22R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光を第1の方向であるYZ方向上方にXY面(前面42F)に対しての角度θの平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
ホログラフィック回折格子列45Bの各ホログラフィック回折格子には、前面42Fに対して後面42R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光を、第1の方向を時計回りに72度回転させた第2の方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
ホログラフィック回折格子列45Cの各ホログラフィック回折格子には、前面42Fに対して後面42R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光を、第2の方向を時計回りに72度回転させた第3の方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
ホログラフィック回折格子列45Dの各ホログラフィック回折格子には、前面42Fに対して後面42R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光を、第3の方向を時計回りに72度回転させた第4の方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
ホログラフィック回折格子列45Eの各ホログラフィック回折格子には、前面42Fに対して後面42R側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が照射されたとき、拡散光を、第4の方向を時計回りに72度回転させた第5の方向にXY面(前面2F)に対して角度θの平行光に偏向するように回折する干渉縞が記録されている。
なお、ホログラフィック回折格子列45A~45Eの各ホログラフィック回折格子は、透過型でもよく、その場合は、基板42の前面42F側に光源装置が取り付けられ、前面42F側から法線方向(Z方向)に所定の拡散角をもった所定の波長の拡散光が各ホログラフィック回折格子に照射され、拡散光がYZ方向等にXY面(前面2F)に対して所定の角度の平行光に偏向するように回折されて後面42R側に出ていく。
【0057】
光源装置50A~50Eは、光源ケース51A~51E、LED群53A~53E、発光回路(図示せず)等を備えている。
各光源ケース51A~51Dは、第1実施形態の光源ケース13と同じ構成であり、格子状の仕切り壁により形成される18個のセルを有し、この18個のセルにより光源ケースの正面側に開口部群が形成され、開口部群がホログラフィック回折格子列45A~45Eに対向するようにして、各光源ケース51A~51Dが、基板42の後面42R側にスペーサ(図示せず)を介して取り付けられている。
また、光源ケース51Aは18個のLEDからなるLED列53Aを備え、光源ケース51Bは18個のLEDからなるLED列53Bを備え、光源ケース51Cは18個のLEDからなるLED列53Cを備え、光源ケース51Dは18個のLEDからなるLED列53Dを備え、光源ケース51Eは18個のLEDからなるLED列53Eを備えている。
そして、LED列53Aの各LEDは、ホログラフィック回折格子列45Aの各ホログラフィック回折格子に対向する位置に配置され、各LEDから発光され、セルの開口部を介して出射される拡散光が、対向するホログラフィック回折格子の全面だけを照射するように、光源ケース51Aの開口部列と基板42の後面42Rの距離が、スペーサにより調整設定される。
同様にして光源ケース51B~51Eについても、各開口部列と基板42の後面42Rの距離がスペーサにより調整設定され、LED列53B~53Eの各LEDから発光され、セルの開口部を介して出射される拡散光が、対向するホログラフィック回折格子の全面だけを照射するようにされる。
なお、光源装置50A~50Eの光源は、LEDに限定されるものではなく、レーザーダイオード、キセノン、クリプトン等のランプでもよい。
【0058】
[ホログラム画像の再生]
ホログラム画像再生装置40おいては、各光源装置50A~50Eの各LEDから発光された拡散光が、対向するホログラフィック回折格子列45A~45Eの各ホログラフィック回折格子で平行光に偏向するように回折され、この平行光が、基板42の前面42Fと後面22Rに当たって全反射しながら基板42内を伝搬し、画像ホログラム素子44を照射する状態は、第1実施形態のホログラム画像再生装置1において、光源装置13の各LEDから発光された拡散光が、対向するホログラフィック回折格子列5A、5Bの各ホログラフィック回折格子で平行光に偏向するように回折され、この平行光が、基板2の前面2Fと後面2Rに当たって全反射しながら基板2内を伝搬し、画像ホログラム素子4を照射する状態と同じである。
この場合、光源装置50Aの各LEDから発光された拡散光が、ホログラフィック回折格子列45Aの各ホログラフィック回折格子で平行光に偏向するように回折されて基板42内を伝搬し、画像ホログラム素子44を照射して第1のホログラム画像を再生させ、光源装置50Bの各LEDから発光された拡散光が、ホログラフィック回折格子列45Bの各ホログラフィック回折格子で平行光に偏向するように回折されて基板42内を伝搬し、画像ホログラム素子44を照射して第2のホログラム画像を再生させ、光源装置50Cの各LEDから発光された拡散光が、ホログラフィック回折格子列45Cの各ホログラフィック回折格子で平行光に偏向するように回折されて基板42内を伝搬し、画像ホログラム素子44を照射して第3のホログラム画像を再生させ、光源装置50Dの各LEDから発光された拡散光が、ホログラフィック回折格子列45Dの各ホログラフィック回折格子で平行光に偏向するように回折されて基板42内を伝搬し、画像ホログラム素子44を照射して第4のホログラム画像を再生させ、光源装置50Eの各LEDから発光された拡散光が、ホログラフィック回折格子列45Eの各ホログラフィック回折格子で平行光に偏向するように回折されて基板42内を伝搬し、画像ホログラム素子44を照射して第5のホログラム画像を再生させる。
【0059】
上述のように第3実施形態のホログラム画像再生装置40おいては、第2実施形態のホログラム画像再生装置20と同様に、光源装置50A、50B、50C、50D、50Eの各LEDを発光させることにより、第1のホログラム画像、第2のホログラム画像、第3のホログラム画像、第4のホログラム画像、第5のホログラム画像を再生させることができことから、光源装置50A~50Eの各LEDの発光を光源装置毎に切り換えることにより、表示させる画像を、第1のホログラム画像~第5のホログラム画像に切り換えることができる。
また、光源装置50A~50Dの各LEDを光源装置毎に順次発光させることにより、第1のホログラム画像~第5のホログラム画像を順次表示させることができる。
なお、第3実施形態のホログラム画像再生装置40おいては、ホログラフィック回折格子群を構成する各ホログラフィック回折格子列(45A~45E)、LED群を構成する各LED列(53A~53E)は、2列であるが、第2実施形態のホログラフィック回折格子列(25A~25D)のように1列にしてもよく、図12に示すような3列あるいはそれ以上の多列にしてもよく、図13に示すようなX方向に隣り合うホログラフィック回折格子をY方向にずらした配置にしてもよく、各ホログラフィック回折格子列(45A~45E)を構成するホログラフィック回折格子の数も、18個に限定されるわけではなく、画像ホログラム素子44の大きさに対応して、適宜設定することができる。
【0060】
以上のようにホログラム画像再生装置40おいては、基板42の後面42Rに反射型の画像ホログラム素子44を取り付け、基板42の前面22Fにおいて、異なる5方向を向いたホログラフィック回折格子列45A、45B、45C、45D、45Eからなる反射型のホログラフィック回折格子群を取り付け、ホログラフィック回折格子群と対向する後面42R側の位置に各ホログラフィック回折格子列のホログラフィック回折格子を照射するLEDからなるLED群を取り付け、各LEDで各ホログラフィック回折格子を照射し、ホログラフィック回折格子列45Aでは、LEDからの拡散光を第1の方向のXY面に対して角度θの平行光に偏向するように回折し、この平行光を基板42の後面42Rと前面42Fで全反射させながら第1の方向に伝搬させ、ホログラフィック回折格子列45Bでは、LEDからの拡散光を第2の方向のXY面に対して角度θの平行光に偏向するように回折し、この平行光を基板42の後面42Rと前面42Fで全反射させながら第2の方向に伝搬させ、ホログラフィック回折格子列45Cでは、LEDからの拡散光を第3の方向のXY面に対して角度θの平行光に偏向するように回折し、この平行光を基板42の後面42Rと前面42Fで全反射させながら第3の方向に伝搬させ、ホログラフィック回折格子45Dでは、LEDからの拡散光を第4の方向のXY面に対して角度θの平行光に偏向するように回折し、この平行光を基板42の後面42Rと前面42Fで全反射させながらX方向左方に伝搬させ、ホログラフィック回折格子45Eでは、LEDからの拡散光を第5の方向のXY面に対して角度θの平行光に偏向するように回折し、この平行光を基板42の後面42Rと前面42Fで全反射させながらX方向左方に伝搬させ、各ホログラフィック回折格子列45A、45B、45C、45D、45Eで回折された平行光が照射する各領域を、各ホログラフィック回折格子列毎に隙間なく重ならずに連続するようにして、各ホログラフィック回折格子列からの平行光を、各ホログラフィック回折格子列毎に異なる方向から画像ホログラム素子44に照射して、異なるホログラム画像を再生するようにしたため、特許文献2のディスプレイ120や入力インターフェースデバイス200に比べて、遥かに明るいホログラム画像を再生することができる。
また、基板42の外形が正五角形であり、ホログラフィック回折格子列45A~45Eが各辺に沿って配置され、各辺と対向する辺は平行でないため、各ホログラフィック回折格子列で回折されて基板42内を伝搬する平行光が、対向する面に当たって反射しても、基板42内を逆方向に伝搬して画像ホログラム素子44を照射して共役像を再生させることはない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のホログラム画像再生装置は、光源光の光度を強くすることなく明るいホログラム画像を再生し、画像ホログラム素子(媒体)を取り付けた基板にホログラフィック回折格子を取り付け、このホログラフィック回折格子に光源光を照射し、ホログラフィック回折格子で回折される平行光を基板内で全反射させながら伝搬させて画像ホログラム素子からホログラム画像を再生する装置に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 ホログラム画像再生装置
2 基板
2F 前面
2R 後面
3a 画像ホログラム領域
3b ホログラフィック回折格子領域
4 画像ホログラム素子
4S 後面
5 ホログラフィック回折格子群
5A、5B ホログラフィック回折格子列
5A1~5A9、5B1~5B9 ホログラフィック回折格子
5An ホログラフィック回折格子列5Aの左からn番目のホログラフィック回折格子
5Bn ホログラフィック回折格子列5Bの左からn番目のホログラフィック回折格子
6 ホログラフィック回折格子群
6A、6B、6C ホログラフィック回折格子列
6An、6Bn、6Cn ホログラフィック回折格子列6A、6B、6Cの左から6番目のホログラフィック回折格子
7 ホログラフィック回折格子群
7A、7B ホログラフィック回折格子列
7A1~7A8、7B1~7B8 ホログラフィック回折格子
10 光源装置
11 光源ケース
12 開口部群
12A、12B 開口部列
12A1~12A9、12B1~12B9 開口部
13 LED群
13A、13B LED列
13A1~13A9、13B1~13B9 LED
13An、13Bn ホログラフィック回折格子5An、5Bnに対向するLED
14An、14Bn、14Cn ホログラフィック回折格子6An、6Bn、6Cnに対向するLED
15A1、15B1、15A2、15B2 LED
20 ホログラム画像再生装置
22 基板
22F 前面
22R 後面
24 画像ホログラム素子
25A、25B、25C、25D ホログラフィック回折格子列
25A1~25A6、25B1~25B6、25C1~25C6、25D1~25D6 ホログラフィック回折格子
25An ホログラフィック回折格子列25Aの左からn番目のホログラフィック回折格子
25Bn ホログラフィック回折格子列25Bの上からn番目のホログラフィック回折格子
25Cn ホログラフィック回折格子列25Aの左からn番目のホログラフィック回折格子
25Dn ホログラフィック回折格子列25Dの上からn番目のホログラフィック回折格子、
30A、30B、30C、30D 光源装置
31A、31B、31C、31D 光源ケース
33A、33B、33C、33D LED列
33An 光源装置30Aの左からn番目のLED
33Bn 光源装置30Bの上からn番目のLED
33Cn 光源装置30Cの左からn番目のLED、
33Dn 光源装置30Dの上からn番目のLED
40 ホログラム画像再生装置
42 基板
42F 前面
42R 後面
44 画像ホログラム素子
45A、45B、45C、45D、45E ホログラフィック回折格子列
45A1~45A9、45A11~45A19 ホログラフィック回折格子
45B1~45B9、45B11~45B19 ホログラフィック回折格子
45C1~45C9、45C11~45C19 ホログラフィック回折格子
45D1~45D9、45D11~45D19 ホログラフィック回折格子
45E1~45E9、45E11~45E19 ホログラフィック回折格子
50A、50B、50C、50D、50E 光源装置
51A、51B、51C、51D、51E 光源ケース
53A、53B、53C、53D、53E LED列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18