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特開2022-34507吸湿ループパイルポリエステルカーペットおよびその製造方法
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  • 特開-吸湿ループパイルポリエステルカーペットおよびその製造方法 図1
  • 特開-吸湿ループパイルポリエステルカーペットおよびその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034507
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】吸湿ループパイルポリエステルカーペットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 27/02 20060101AFI20220224BHJP
   D02G 3/28 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
A47G27/02 D
D02G3/28
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065548
(22)【出願日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】202010833874.0
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517071380
【氏名又は名称】昆山怡家居紡織有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】曹 順林
(72)【発明者】
【氏名】張 怡
【テーマコード(参考)】
3B120
4L036
【Fターム(参考)】
3B120AA19
3B120AA36
3B120BA03
3B120BA18
3B120BA24
3B120BA29
3B120CA03
3B120CA04
3B120CA13
3B120EB03
4L036MA05
4L036MA37
4L036PA21
4L036PA46
4L036UA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非常に強い吸水性および速乾性を有し、保温性やふわふわ度がよく、触り心地が綿の質感のように柔らかで、ふかふかで毛抜けがない吸湿ループパイルポリエステルカーペットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットは、基布層2と、基布層においてタフティングする際にZ撚りの紡績糸が自らねじ合わさって形成されたねじりパン状のパイルにより構成されたカーペット表面層1とを有し、Z撚りの紡績糸は撚糸し合撚されたポリエステル長繊維により加工される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布層と、前記基布層においてタフティングする際に、Z撚りの紡績糸が自らねじ合わさって形成されたねじりパン状のパイルにより構成されたカーペット表面層と、を有し、前記Z撚りの紡績糸は、撚糸し合撚されたポリエステル長繊維により加工された吸湿ループパイルポリエステルカーペット。
【請求項2】
前記ポリエステル長繊維は、DTY、POY、FDY、ATYのうちの一つまたは複数の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペット。
【請求項3】
前記カーペット表面層におけるねじりパン状のパイル高さは3mm~35mmであることを特徴とする、請求項1に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペット。
【請求項4】
前記基布層は、インターレース糸の基布層、PPニードルパンチ不織布またはパイルを有する生地の基布層であることを特徴とする、請求項1に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造方法であって、
複数本のポリエステル長繊維を撚糸し合撚する撚糸合撚ステップS1と、
ダブルツイスター撚糸機において撚糸し合撚された紡績糸をZ撚りの紡績糸に加工する糸紡績ステップS2と、
ステップS2において加工された紡績糸を反対方向からタフティング機の針を貫通させ前記基布層においてタフティングし、紡績糸が針にけん引されて基布層を刺し通すと、フックの後退作用のもと自ら撚り合わす撚り数が増え、紡績糸がカーペット表面層において自らねじりパン状に加撚し、カーペット表面層を形成する織造ステップS3と、
カーペット表面層下方の基布層の底面に対して滑り止め材料を複合する接着ステップS4と、
を含む吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造方法。
【請求項6】
紡績糸を染色する染色ステップや染色された紡績糸を水洗いする水洗処理ステップをさらに含み、前記接着ステップは紡績糸を染色した後に行われることを特徴とする、請求項5に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造方法。
【請求項7】
2~150本のポリエステル長繊維を撚糸し合撚した後、300D~20000DのZ撚りの紡績糸に加撚することを特徴とする、請求項5に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造方法。
【請求項8】
前記織造ステップS3において、前記タフティング機はS撚りのループパイルタフティング機であることを特徴とする、請求項5に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造方法。
【請求項9】
前記織造ステップS3において、前記タフティングのプロセスはループパイルプロセスであることを特徴とする、請求項5に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造方法。
【請求項10】
前記接着ステップS4において、前記滑り止め材料はホットメルト接着剤、TPE、発泡スチレンまたは滑り止め機能を有する生地であることを特徴とする、請求項5に記載の吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペット製造プロセスの技術分野に関し、具体的には、吸湿性ループパイルポリエステルカーペットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販されるカーペットは、バス用のもの以外、カーペットの吸湿性能が比較的に弱く、かつその製造プロセスも複雑でコストが比較的に高いものがほとんどである。また、市販されるバスマットの多くは綿糸またはシェニール糸で作られ、カッティングマシンにより織造される。しかしながら、綿で作られたカーペットやマットは吸水性能が強い一方、素材の安定性がよくないため、繊維が短く、毛抜けや起毛しやすく、クリーニング後は硬くなり快適度に影響を与え、脱水しにくく、カビが発生しやすい。なお、綿の紡績プロセスは復雑で、活性染料で染色しなければならず、汚染が大きく、染色堅牢度も比較的に低い。既存のループパイルカーペットは、カーペット表面層の紡績糸の材質の如何にかかわらず自ら撚り合わす機能がなく、手や足を引っかけてしまったり、他の物体を引っかけてしまったりするリスクがあり、安全性に問題がある。さらに、埃がカーペットのループパイルの中に落ちると、掃除するのが難しい。また、ベルベットカーペットのようにポリエステルで作られたバスマットも市販され、吸水性能はあるが、水洗いするとパイル先が散り乱れて花のように咲く現象を起こしやすく、吸水性能が弱まれ、またはパイル先が互いに接着されて外観や利用性に影響を与え、使用寿命が短縮される。さらに、ベルベットカーペットの耐摩耗性も悪い。
【0003】
既存技術の調査によれば、中国実用新案登録公開CN201165601Yには、粗毛のシェニール紡績糸で作られたカーペットが開示され、シェニール生地、カーペット底面布により構成され、当該低パイル粗毛のシェニールカーペットは粗毛のシェニール紡績糸で作られる。しかしながら、シェニール紡績糸の羽毛は毛抜けが酷く、糸紡績の効率も低い。また、紡績糸は染色できず、多様性に欠ける。なお、シェニール糸の糸紡績プロセスは複雑で、パイル先の毛抜けが酷く、かつ芯線が細いため引張強度が低く、糸紡績プロセスおよび織造プロセスにおいて糸が切れる頻度が高く生産効率が低いため、コストが高すぎる問題がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、吸湿ループパイルポリエステルカーペットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するための第一態様として、本発明に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットは、基布層と、前記基布層においてタフティングする際に、Z撚りの紡績糸が自らねじ合わさって形成されたねじりパン状のパイルにより構成されたカーペット表面層と、を有し、前記Z撚りの紡績糸は、撚糸し合撚されたポリエステル長繊維により加工され、非常に強い吸水性および速乾性を有し、保温性やふわふわ度がよく、触り心地が綿の質感のように柔らかで、ふかふかで毛抜けがない。
【0006】
前記自らねじ合わさることは、タフティングする際、Z撚りの紡績糸がタフティング機の針を貫通する場合はタフティング機のフックとは反対方向から貫通し、紡績糸がタフティング機においてループに織造される際、フックがループパイルから後退すると自ら加撚し、ねじりパン状に形成されることである。
【0007】
さらに、前記ポリエステル長繊維は、DTY、POY、FDY、ATYのうちの一つまたは複数の組み合わせを含む。
【0008】
さらに、前記カーペット表面層におけるねじりパン状のパイル高さは5mm~40mmであり、好ましくは、3mm~35mmである。
【0009】
さらに、前記基布層は、インターレース糸の基布層、PPニードルパンチ不織布またはパイルを有する生地の基布層である。
【0010】
さらに、前記吸湿ループパイルポリエステルカーペットは、基布層の底部に設けられた滑り止め層をさらに含む。
【0011】
上記目的を達成するための第二態様として、本発明に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造方法は、
複数本のポリエステル長繊維を撚糸し合撚する撚糸合撚ステップS1と、
ダブルツイスター撚糸機において撚糸し合撚された紡績糸をZ撚りの紡績糸に加工する糸紡績ステップS2と、
ステップS2において加工された紡績糸を反対方向からタフティング機の針を貫通させ前記基布層においてタフティングし、紡績糸が針にけん引されて基布層を刺し通すと、フックの後退作用のもと自ら撚り合わす撚り数が増え、紡績糸がカーペット表面層において自らねじりパン状に加撚し、カーペット表面層を形成する織造ステップS3と、
カーペット表面層下方の基布層の底面に対して滑り止め材料を複合する接着ステップS4と、
を含む。
【0012】
さらに、紡績糸を染色する染色ステップ(50度以上)や染色された紡績糸を水洗いする水洗処理ステップをさらに含む。前記染色は紡績糸を染める染色またはベースカーペットを染める染色である。前記接着ステップは、紡績糸を染色した後に行われる。
【0013】
さらに、前記撚糸合撚ステップS1において、2~150本のポリエステル長繊維を撚糸し合撚した後、300D~20000DのZ撚りの紡績糸に加撚する。
【0014】
さらに、前記織造ステップS3において、前記タフティング機はS撚りのループパイルタフティング機である。
【0015】
前記織造ステップS3において、前記タフティングのプロセスはループパイルプロセスである。
【0016】
前記接着ステップS4において、前記滑り止め材料はホットメルト接着剤、TPE、発泡スチレンまたは滑り止め機能を有する生地である。
【発明の効果】
【0017】
既存技術と比較すれば、本発明は、以下のような有益な効果を有する。
1)ポリエステルの吸水性は、繊維間に水分子がどれだけ浸透するかによって決められ、繊維が多ければ多いほど密度が高くなり、繊維間の水の保持量が増える。本発明では、ポリエステル長繊維を合撚して複数本のポリエステル長繊維するため、吸水性能が大幅に向上され、水分が繊維間に侵入することや脱水が早くなり早く乾く効果を奏する。
2)複数本のポリエステル長繊維を採用するため、本発明に係るカーペットは非常に強い吸水性を有し、その吸水性は通常のポリエステル短繊維に比べて強く、市販されるその他のカーペットの吸水効果よりも優れている。
3)本発明に係るカーペットは保温性やふわふわ度がよく、触り心地が綿の質感のように柔らかで、ふかふかで毛抜けがない。
4)本発明に係るカーペットはすべてポリエステル長繊維を採用するため、耐熱性がよく、乾燥、湿った環境でも耐摩耗性がよく、サイズが安定で、洗浄しやすく、迅速に脱水して乾かすことができる。
5)本発明に係るカーペット製造の染色プロセスにおいて、紡績糸はオーバーフローシリンダーまたはその他の染色用シリンダーの水流により行われるため、紡績糸は水中において解撚されず、逆に撚り数が増える。また、オーバーフローシリンダー内において連続回転されて水により洗浄されるため、従来の垂直シリンダーに比べて、染色効果が大幅に向上される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の他の特徴、目的および利点は、以下の図面を参照して非限定的な実施形態についての詳細な説明を読むことによって、より明らかになるであろう。
図1】吸湿ループパイルポリエステルカーペットの正面図である。
図2】吸湿ループパイルポリエステルカーペットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態を介して本発明について詳細に説明する。以下の実施形態は、いわゆる当業者の本発明に対する更なる理解に役立つが、いかなる形態により本発明を限定するものではない。いわゆる当業者であれば、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内において、いくつかの調整や改良を行うことができるが、これらも本発明の保護範囲に属することには注意されたい。
【0020】
本発明に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットは、特殊な紡織糸プロセス、タフティングプロセスにより製造された新たな吸湿ループパイルポリエステルカーペットであり、その製造方法は、以下のステップを含む。
1)撚糸合撚ステップとして、2-150本のポリエステル長繊維を撚糸し合撚する。
2)糸紡績ステップとして、合撚された糸を、反対方向から糸を紡績する方式によりダブルツイスター撚糸機においてZ撚りの糸に加撚し、撚り数が300D~20000Dである。
3)織造ステップとして、S撚りのタフティング機によりタフティング織造し、紡績糸は反対方向からタフティング機の針を貫通して上記基布層においてタフティングし、紡績糸は針にけん引されて基布層を刺し通すと、フックの後退作用のもと自ら撚り合わす撚り数が増え、紡織糸がカーペット表面層において自らねじりパン状に加撚し、カーペット表面層を形成する。各ループパイルは、ねじりパン状に形成され、パイルの高さは3mm~35mmである。ここで、タフティングプロセスにおける基布はインターレース糸の基布、PPニードリング不織布などのタフテッドカーペット表面層に使用される生地である。ここで、タフティングプロセスは、ループパイルプロセスである。図2に示すように、カーペット表面はねじりパン状のループパイルであるため、足指が引っかかることを防止できるため、安全性を有し、特に子供の手指や足指がループパイルにはまるというリスクを防止できる。
4)染色/水洗処理ステップとして、そのプロセスは、紡績糸を染める染色または白色のベースカーペットを染色するプロセスに分けられる。染色または水洗処理の温度は60度~145度である。
5)接着ステップとして、染色後、カーペットの底面をホットメルト接着剤、熱可塑性エラストマー、ゴム、ゴムスポンジまたはその他の滑り止め機能を有する生地や材料などにより滑り止め処理をする。
以下では、具体的な実施例により説明する。
【0021】
<実施例1>
図1に示すように、本実施例に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットは、
起毛構造を有し、撚糸し合撚されたポリエステル長繊維により加工されたZ撚りの紡織糸がタフティングにより基布層に植設され、自らねじ合わさって形成された複数のねじりパン状の突起を有するカーペット表面層1と、
インターレース糸からなる基布層2と、
底層の発泡スチロール滑り止め撥水層である滑り止め層3と、
を有する。
【0022】
上記吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造プロセスは、以下のステップを含む。
1)紡績ステップでは、40本の150DのDTYポリエステル長繊維を6000Dの紡績糸に合撚し、ダブルツイスター撚糸機により撚糸し、紡績糸はZ撚りし、撚り数は96T/mである。
2)織造ステップでは、S撚りのタフティング機によりタフティング織造し、紡績糸は反対方向からタフティング機の針を貫通して上記基布層においてタフティングし、紡績糸は針にけん引されて基布層を刺し通すと、フックの後退作用のもと自ら撚り合わす撚り数が増え、それぞれのループパイルはねじりパン上に形成され、パイルの高さは30mmである。ここで、タフティングプロセスにおける基布はインターレース糸の基布である。このように、紡績糸の特殊なプロセスにより、針は紡績糸をけん引してインターレース糸の基布を刺し通し、紡績糸はフックにより引き連られ、フックの後退作用のもと自ら撚り合わす撚り数が増え、紡績糸がカーペット表面層において自らねじりパン状に加撚し、カーペット表面層を形成する。
3)染色ステップでは、オーバーフローシリンダーにより染色し、タフテッドカーペット表面素材を130度の水に入れ、オーバーフローシリンダーにおける連続回転および水流による洗堀により紡績糸を二回回転させ、ねじりパン状を固める。
4)接着ステップでは、染色後、発泡スチレンによりカーペット底面に対して滑り止め処理をする。
5)縁取りステップでは、弾性無しのポリエステルの縁取り用布で縁取りする。
【0023】
<実施例2>
図2に示すように、本実施例に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットは、
起毛構造を有し、撚糸し合撚されたポリエステル長繊維により加工されたZ撚りの紡織糸がタフティングにより基布層に植設され、自らねじ合わさって形成された複数のねじりパン状の突起を有するカーペット表面層1と、
インターレース糸からなる基布層2と、
底層のTPE滑り止め撥水層である滑り止め層3と、
を有する。
【0024】
上記倣綿ポリエステル吸水カーペットの製造プロセスは、以下のステップを含む。
1)紡績ステップでは、32本の300DのDTYポリエステル長繊維を9600Dの紡績糸に合撚し、ダブルツイスター撚糸機により撚糸し、紡績糸はZ撚りし、撚り数は50T/mである。
2)染色ステップでは、紡績糸を染色シリンダーに入れて染色する。
3)織造ステップでは、S撚りのタフティング機によりタフティング織造し、染色後の紡績糸は反対方向からタフティング機の針を貫通して上記基布層においてタフティングし、紡績糸は針にけん引されて基布層を刺し通すと、フックの後退作用のもと自ら撚り合わす撚り数が増え、それぞれのループパイルはねじりパン上に形成され、パイルの高さは35mmである。ここで、タフティングプロセスにおける基布はインターレース糸の基布であり、タフティングプロセスはループパイルプロセスである。
4)水洗処理ステップでは、オーバーフローシリンダーにより一回水洗いすることで紡績糸が続けて加撚するようにする。この場合の水温は60度である。
5)接着ステップでは、染色後、TPE材料によりカーペットの底面に対して滑り止め処理をする。
6)縁取りステップでは、弾性無しのポリエステルの縁取り用布で縁取りする。
【0025】
<実施例3>
本実施例に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットは、
起毛構造を有し、撚糸し合撚されたポリエステル長繊維により加工されたZ撚りの紡織糸がタフティングにより基布層に植設され、自らねじ合わさって形成された複数のねじりパン状の突起を有するカーペット表面層と、
PPニードルパンチ不織布からなる基布層と、
底層の滑り止め撥水材料層である滑り止め層と、
を有する。
【0026】
上記吸湿ループパイルポリエステルカーペットの製造プロセスは、以下のステップを含む。
1)紡績ステップでは、42本の200DのATYポリエステル長繊維を8400Dの紡績糸に合撚し、ダブルツイスター撚糸機により撚糸し、紡績糸はZ撚りし、撚り数は60T/mである。
2)織造ステップでは、S撚りのタフティング機によりタフティング織造し、紡績糸は反対方向からタフティング機の針を貫通して上記基布層においてタフティングし、紡績糸は針にけん引されて基布層を刺し通すと、フックの後退作用のもと自ら撚り合わす撚り数が増え、それぞれのループパイルはねじりパン上に形成され、パイルの高さは26mmである。ここで、タフティングプロセスにおける基布はPPニードルパンチ不織布の基布であり、タフティングプロセスはループパイルプロセスである。このように、紡績糸の特殊なプロセスにより、針は紡績糸をけん引してPPニードルパンチ不織布を刺し通し、紡績糸はフックにより引き連られ、フックの後退作用のもと自ら撚り合わす撚り数が増え、紡績糸がカーペット表面層において自らねじりパン上に加撚し、カーペット表面層を形成する。
3)染色ステップでは、オーバーフローシリンダーにより染色し、タフテッドカーペット表面素材を130度の水に入れ、オーバーフローシリンダーにおける連続回転および水流による洗堀により紡績糸を二回回転させ、ねじりパン状を固める。
4)接着ステップでは、染色後、スポンジ、サンドイッチ生地やプラスチックシート生地を複合する。
5)縁取りステップでは、弾性無しのポリエステルの縁取り用布で縁取りする。
【0027】
[性能検証]
1)滴下法テスト
滴下拡散時間は主に織物の水分に対する吸収速度を表し、水滴を固定の高さからサンプル表面に滴下させ、水滴がサンプルに接触してからそれがサンプル上における反射光が消えるまでの時間を記録する。同じく30グラムでステッチが12針/10mmのシェニール生地のカーペットと実施例1の吸湿ループパイルポリエステルカーペットとを比較し、同じ20mmの高さで、20mlの測量カップを使って点滴法によるテストを行う。
テスト結果として、シェニール生地の反射光が消える時間は1秒で、本発明に係る吸湿ループパイルポリエステルの反射光の消える時間は0.6秒である。
【0028】
2)速乾性テスト
同じ重量で同じ大きさのシェニール生地のカーペットおよび実施例1の吸湿ループパイルポリエステルカーペットをともに1Lの水の中で1分間浸水させ、両方の生地を取り出して家庭用脱水機で10分間脱水した後、温度が120度のオーブンに入れて30分後に取り出す。
テストの結果として、倣綿ループ(すなわち、ループパイルポリエステル)の湿度は明らかにシェニール生地の湿度より低い。
【0029】
3)抜け率テスト
(1)5cm×20cmの実施例1に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットを、引張試験機により平均剥離力テストを3回行う。テストの結果として、それぞれ28.841N、39.693N、42.624Nであった。
(2)5cm×20cmのシェニール生地のカーペットを、引張試験機により平均剥離力テストを3回行う。テストの結果として、それぞれ26.689N、16.735N、37.340Nであった。
【0030】
以上から、本発明に係る吸湿ループパイルポリエステルカーペットはシェニール生地のカーペットよりも毛抜きに必要な力が大きいことがわかり、吸湿ループパイルポリエステルカーペットの毛抜け率はシェニール生地のカーペットの毛抜け率よりも低いことがわかる。
【0031】
以上、本発明の具体的な実施例について説明した。しかしながら、本発明は上記実施例などに限定されるものではないことを理解されたい。特定の実施形態において、いわゆる当業者は、特許請求の範囲内においてさまざまな変形や変更を行うことができるが、これらも本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 カーペット表面層、
2 基布層、
3 滑り止め層。
図1
図2