(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034510
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】切削用先端工具
(51)【国際特許分類】
B23B 51/12 20060101AFI20220224BHJP
B23B 51/08 20060101ALI20220224BHJP
B23D 77/00 20060101ALI20220224BHJP
B25B 21/02 20060101ALI20220224BHJP
B25F 3/00 20060101ALI20220224BHJP
B25F 1/02 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B23B51/12
B23B51/08 A
B23D77/00
B25B21/02 A
B25F3/00 Z
B25F1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071328
(22)【出願日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2020137958
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390007386
【氏名又は名称】株式会社イチネンMTM
(71)【出願人】
【識別番号】517096084
【氏名又は名称】薪螢企業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】特許業務法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】長船 勝己
(72)【発明者】
【氏名】江 文宏
【テーマコード(参考)】
3C037
3C050
3C064
【Fターム(参考)】
3C037DD00
3C050EA00
3C050EB08
3C064AA03
3C064AA20
3C064AB02
3C064AC01
3C064AC14
3C064AD02
3C064BA12
3C064BB32
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB93
(57)【要約】 (修正有)
【課題】切削本体部と、切削本体部を回転工具に装着するアダプタとが着脱可能であり、かつアダプタから切削本体部を容易に取り外すことが可能な切削用先端工具を提供する。
【解決手段】対象物に孔を形成する切削用先端工具であって、切削本体部と、切削本体部を回転工具に装着するアダプタと、を備える。アダプタは、第1方向に延びた柱状の本体部が、第1方向における一方他の端部に設けられ、回転工具の差込角を挿入するための第1孔と、他方の端部に設けられ、第1方向に沿って延びて第1孔に貫通し、内周面に第1ネジ溝が設けられた第2孔と、を備えた構成である。切削本体部は、第1方向における一方の端部の外周面に設けられた第2ネジ溝と、他方の端部から第2ネジ溝までの間に設けられたドリル刃と、一方の端部の端面に設けられた、ネジ穴と、を備え、第2ネジ溝を第1ネジ溝とネジ作用により嵌め合わせて、アダプタに装着される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に孔を形成する切削用先端工具であって、
第1方向に沿って延びた棒状の切削本体部と、
前記切削本体部を回転工具に装着するアダプタと、
を備え、
前記アダプタは、
前記第1方向に延びた柱状の本体部が、
前記第1方向における一方他の端部に設けられ、前記回転工具の差込角を挿入するための第1孔と、
前記第1方向における他方の端部に設けられ、前記第1方向に沿って延びて前記第1孔に貫通し、内周面に第1ネジ溝が設けられた第2孔と、
を備えた構成であり、
前記切削本体部は、
前記第1方向における一方の端部の外周面に設けられた第2ネジ溝と、
前記第1方向における他方の端部から前記第2ネジ溝までの間に設けられたドリル刃と、
前記一方の端部の端面に設けられた、ネジ穴と、
を備え、
前記第2ネジ溝を前記第1ネジ溝とネジ作用により嵌め合わせて、前記アダプタに装着される、
切削用先端工具。
【請求項2】
前記ネジ穴は、マイナス溝、プラス溝、六角穴、四角穴または星形穴である、
請求項1に記載の切削用先端工具。
【請求項3】
前記切削本体部は、前記第1方向における前記第2ネジ溝と前記ドリル刃との間の外周面に設けられた、前記第1方向に平行で、かつ、前記第1方向に直交する方向に重なり合う第1平面及び第2平面を有する、
請求項1又は請求項2に記載の切削用先端工具。
【請求項4】
前記ドリル刃は、前記対象物に形成された孔の径を調整するリーマ用のドリル刃である、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の切削用先端工具。
【請求項5】
前記ドリル刃は、前記第1方向における前記他方の端部に設けられた、前記対象物に孔をあける刃と、前記孔をあける刃から前記第2ネジ溝までの間に設けられた、前記孔の径を調整するリーマ用の刃とを有している、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の切削用先端工具。
【請求項6】
前記回転工具はインパクトレンチである、
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の切削用先端工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削用先端工具に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板などに孔を空けたり、その孔の径を調整したりする先端工具としてドリルがある。例えば、ステップドリルは、種々の径の孔をあけるドリルであり、リーマは、ドリルであけた孔の径を調整するドリルである。この種の切削工具には手動用と電動用とがある。電動用のリーマは、インパクトレンチなどの電動工具に装着可能な構成となっている。インパクトレンチへの装着が可能となる構成としては、例えば、特許文献1に記載の構成がある。
【0003】
特許文献1に記載の接続構造(以下、「アダプタ」という。)は、駆動回転工具の差込角が挿入されることにより差込角を収容する収容部と、収容部の開口と反対側の面に設けられ、切削部材を固定する固定部とを備えている。固定部は雄ねじとなっていて、切削部材であるステップドリルの雌ネジに螺着するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のアダプタは、固定部のネジ山が切削部材の回転方向とは逆方向になるように設けられており、切削加工中に切削部材の雌ねじ及び固定部(雄ねじ)が互いに締め付けるように作用する。このため、切削加工中、常に増し締めされる。特許文献1では、駆動回転工具が正回転をしても逆回転をしても、固定部と切削部材との固定が弱まらないような工夫についての言及はあるが、固定部と切削部材との固定を解除する構成についての言及はない。このため、特許文献1の発明は、穴あけ加工終了後に、アダプタの固定部から切削部材を取り外すことは困難である。
【0006】
しかし、アダプタに装着する切削本体部を取り換えることができれば有用である。例えば、種類の違うドリル刃(ステップドリルやリーマのドリル刃)に交換したり、ドリル刃が破損した場合に、ドリル刃部分を交換したりできるからである。そのためには、仮に、切削本体部がアダプタに増し締めされた場合でも容易に取り外しができるような機構を備える必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、切削本体部と、切削本体部を回転工具に装着するアダプタとが着脱可能であり、かつアダプタから切削本体部を容易に取り外すことが可能な、切削用先端工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を鑑み、本発明は、対象物に孔を形成する切削用先端工具であって、
第1方向に沿って延びた棒状の切削本体部と、
前記切削本体部を回転工具に装着するアダプタと、
を備え、
前記アダプタは、
前記第1方向に延びた柱状の本体部が、
前記第1方向における一方他の端部に設けられ、前記回転工具の差込角を挿入するための第1孔と、
前記第1方向における他方の端部に設けられ、前記第1方向に沿って延びて前記第1孔に貫通し、内周面に第1ネジ溝が設けられた第2孔と、
を備えた構成であり、
前記切削本体部は、
前記第1方向における一方の端部の外周面に設けられた第2ネジ溝と、
前記第1方向における他方の端部から前記第2ネジ溝までの間に設けられたドリル刃と、
前記一方の端部の端面に設けられた、ネジ穴と、
を備え、
前記第2ネジ溝を前記第1ネジ溝とネジ作用により嵌め合わせて、前記アダプタに装着される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、切削本体部と、切削本体部を回転工具に装着するアダプタとが着脱可能であり、かつアダプタから切削本体部を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の切削用先端工具と、インパクトレンチとを示す概略図である。
【
図2】
図2は、切削本体部を取り外した状態のアダプタの平面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
【
図4】
図4は、アダプタの第1端部側を第1方向から視た平面図である。
【
図5】
図5は、アダプタの第2端部側を第1方向から視た平面図である。
【
図6】
図6は、アダプタから取り外した状態の切削本体部の平面図である。
【
図7】
図7は、切削本体部の第1端部側を第2方向から視た平面図である。
【
図8】
図8は、切削本体部の第2端部側を第2方向から視た平面図である。
【
図10】
図10は、変形例の切削用先端工具の切削本体部を示す図である。
【
図11】
図11は、第1端部側を、中心軸に沿った方向から視た平面図である。
【
図12】
図12は、別の変形例の切削用先端工具の切削本体部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、切削用先端工具はリーマ(ブリッジリーマとも言う)として説明する。リーマは、ドリル刃を鋼板などに開けられた孔に挿入して、ドリル刃を回転させて孔の内周を切削することで、孔の径を調整(仕上げ)する工具である。また、切削用先端工具が着脱される回転工具の一例として、インパクトレンチを挙げて説明する。
【0012】
[インパクトレンチについて]
図1は、本実施形態の切削用先端工具1と、インパクトレンチ50とを示す概略図である。
図1では、丸で囲む部分を拡大表示している。
【0013】
インパクトレンチ50は、モータに電力又はエアー等が供給されることにより、そのモータによって回転軸が回転する。インパクトレンチ50は、回転軸の回転に応じて回転する凸型の差込角51を備えている。
【0014】
差込角51は角取りされた四角柱形状であって、平行する両側面にはピン差込孔52が形成されている。なお、両側面に直交する上下面にもピン差込孔が形成されていてもよい。また、説明の便宜上、ピン差込孔52が形成された面を側面と称しているが、差込角51は回転するため、側面及び上下面を特定するものではない。このピン差込孔52は、後述の切削用先端工具1を差込角51に連結するためにピン(不図示)を挿入するための貫通孔である。差込角51に連結された切削用先端工具1は、差込角51が回転することで回転する。インパクトレンチ50の内部の具体的な構成については、従来のインパクトレンチの構成と同様なので、詳しい説明を省略する。
【0015】
[切削用先端工具1の具体的構成について]
以下、切削用先端工具1の具体的な構成について詳細に説明する。
【0016】
切削用先端工具1は、アダプタ10と、切削本体部20とを備えている。詳しくは後述するが、切削本体部20は、その外周面にドリル刃が設けられている。切削本体部20は、アダプタ10に着脱自在に装着される。アダプタ10は、インパクトレンチ50の差込角51に装着される。つまり、ドリル刃を有する切削本体部20は、アダプタ10を介して、インパクトレンチ50に着脱自在に装着される。
【0017】
先ず、アダプタ10について説明する。
図2は、切削本体部20を取り外した状態のアダプタ10の平面図である。
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
【0018】
アダプタ10は、中心軸P1を中心とした略円筒状の本体部11を備えている。以下では、中心軸P1に沿った方向を第1方向と言う。
【0019】
第1方向における本体部11の第1端部には、インパクトレンチ50の差込角51に接続する接続部が設けられている。接続部は、差込孔12と、溝13と、第1貫通孔14Aと、第2貫通孔14Bとを有している。
【0020】
図4は、アダプタ10の第1端部側を第1方向から視た平面図である。
【0021】
差込孔12は、インパクトレンチ50の差込角51が差し込み可能であって、中心軸P1に沿って形成されている。
【0022】
溝13は、中心軸P1を中心とした周方向に沿った環状であって、本体部11の第1端部の外周面に形成されている。この溝13には、
図1に示す、Oリング2がはめ込まれるようになっている。
【0023】
第1貫通孔14Aは、中心軸P1を中心とした径方向に沿って差込孔12から溝13へ貫通するように形成されている。第2貫通孔14Bは、径方向に沿って差込孔12から溝13へ貫通するように形成されている。第1貫通孔14Aと、第2貫通孔14Bとは、
図3に示すように、中心軸P1を中心に互いに反対側の位置であって、同一直線上に位置している。第1貫通孔14A及び第2貫通孔14Bは、差込角51のピン差込孔52に差し込まれるピンが差し込み可能な大きさを有している。
【0024】
アダプタ10をインパクトレンチ50に装着する場合、径方向に沿った一連の孔が形成されるように、差込角51のピン差込孔52と、第1貫通孔14A及び第2貫通孔14Bとを一致させて、アダプタ10の差込孔12に差込角51が差し込まれる。そして、この一連の孔にピンが差し込まれる。溝13には、一連の孔に差し込まれたピンの抜けを防止するために、Oリング2(
図1参照)が嵌められる。
【0025】
なお、本体部11の第1端部に設けられた接続部は、インパクトレンチの差込角51に対して装着できる構成であれば、上記構成に限定されないし、相手方がインパクトレンチ以外の回転工具であれば、その相手方の構成に応じて適宜変更される。
【0026】
第1方向における本体部11の第2端部には、第1方向に沿って延び、内周面にネジ溝(第1ネジ溝)15Aが形成された孔(第2孔)15が設けられている。
図5は、アダプタ10の第2端部側を第1方向から視た平面図である。この孔15には、後述の切削本体部20が挿入され、切削本体部20は、ネジ作用により孔15に固定される。孔15は、差込孔12と第1方向に重なるように、中心軸P1に沿って形成されている。また、孔15と、差込孔12とは、繋がっている。このため、孔15に切削本体部20が挿入されると、差込孔12側から、切削本体部20の端面が視認できるようになっている。
【0027】
次に、アダプタ10の孔15に挿入される切削本体部20について説明する。
【0028】
図6は、アダプタ10から取り外した状態の切削本体部20の平面図である。
【0029】
切削本体部20は、中心軸P2に沿って延びた棒状である。以下では、中心軸P2に沿った方向を、第2方向と言う。第2方向における切削本体部20の第1端部の外周面には、ネジ溝(第2ネジ溝)21が設けられている。このネジ溝21と、アダプタ10のネジ溝15Aとは、一方が雄ネジ、他方が雌ネジとなっている。そして、切削本体部20は、その第1端部がアダプタ10の孔15に挿入されて、ネジ溝21が、アダプタ10のネジ溝15Aと嵌め合わされることで、アダプタ10に固定されるようになっている。なお、切削本体部20をアダプタ10に取り付けた場合、中心軸P1と中心軸P2とは一致する。つまり、切削本体部20をアダプタ10に取り付けた状態では、第1方向と第2方向とは一致する。
【0030】
図7は、切削本体部20の第1端部側を第2方向から視た平面図である。切削本体部20の第1端部側の端面には、ネジ穴22が設けられている。図には、ネジ穴22がマイナス溝(すりわり)である例を示している。上記のように、孔15に切削本体部20が挿入されると、差込孔12側から、切削本体部20の端面が視認できるようになっている。このため、切削本体部20をアダプタ10に取り付けた状態で、差込孔12からマイナスドライバを差し込むことで、マイナスドライバをネジ穴22に嵌めることができる。そして、マイナスドライバで切削本体部20を回転させることで、ネジ作用によりアダプタ10に固定された切削本体部20を、アダプタ10から取り外すことができる。これにより、例えば、切削本体部20をアダプタ10から取り外す際にネジ同士が噛みこんで取り外しが困難な場合、又は、切削中に切削本体部20が折れて、切削本体部20のネジ溝21部分のみがアダプタ10の孔15内に残った場合であっても、マイナスドライバを用いて、切削本体部20をアダプタ10から取り外すことができる。
【0031】
なお、上記の説明では、ネジ穴22としてマイナス溝(すりわり)の例を挙げたが、ネジ穴22としては、マイナス溝のほか、プラス溝(十字穴)、六角穴、四角穴、星形穴(ヘックスローブ)など、公知のネジ穴が挙げられる。これらのネジ穴が設けられた切削本体部20であれば、これらのネジ穴に対応するビットやレンチによって、手作業または電動工具(インパクトレンチやインパクトドライバなど)を用いてドライバ、六角レンチその他の手工具や、電動ドライバによって容易にアダプタ10から取り外すことができる。
【0032】
第2方向における第2端部側からネジ溝21までの間となる切削本体部20の外周面には、ドリル刃23が設けられている。
図8は、切削本体部20の第2端部側を第2方向から視た平面図である。ドリル刃23は、鋼板などに形成された孔の径を調整するリーマ用の刃であって、刃の構成は特に限定されない。しかしながら、ドリル刃23は、切削本体部20をアダプタ10にネジ作用により固定させる際に、切削本体部20を回転させる方向と反対方向に回転することで、鋼板などを切削するようにしてあることが好ましい。例えば、アダプタ10に固定する際、切削本体部20を時計回りに回転させる場合、ドリル刃23は、切削本体部20が反時計回りに回転して、鋼板などを切削するようにしてある。これにより、切削途中で、切削本体部20がアダプタ10から脱落することを防止できる。
【0033】
図9は、
図6のIX-IX線における断面図である。第2方向におけるネジ溝21とドリル刃23との間の切削本体部20の外周面には第1平面24A及び第2平面24Bの平面対が設けられている。第1平面24A及び第2平面24Bは、第2方向に平行で、かつ、互いに平行であり、さらに、第2方向に直交する方向に重なり合っている。第1平面24A及び第2平面24Bを設けることで、レンチなどで第1平面24A及び第2平面24Bを挟み込んで、切削本体部20を回転させることができる。つまり、レンチなどの工具を用いて切削本体部20をアダプタ10に取り付け、また、切削本体部20をアダプタ10から取り外すことができる。なお、上記の平面対は、一つあればよいが、複数あってもよい。例えば、第2方向から見た場合に、互いに60°回転した三つの平面対により、正六角形を形成していてもよい。
【0034】
上記のように、アダプタ10と切削本体部20とから構成された切削用先端工具1は、インパクトレンチに装着して、鋼板などに形成された孔の径の調整(仕上げ)を行うことができる。また、切削本体部20が切削作業において折れた場合であっても、マイナスドライバを用いて切削本体部20をアダプタ10から取り外すことができる。このため、切削中に切削本体部20のドリル刃23部分が折れて、切削本体部20のネジ溝21部分のみが残った場合であっても、マイナスドライバを用いて、残ったネジ溝21部分をアダプタ10から取り外すことができる。
【0035】
さらに、第1平面24A及び第2平面24Bが設けられていることで、レンチなどの工具を用いて、切削本体部20をアダプタ10から取り外すことができる。これにより、手の力では切削本体部20をアダプタ10から取り外せない場合、又は、切削本体部20のドリル刃23部分が折れた場合であっても、レンチなどの工具を使うことで、切削本体部20をアダプタ10から取り外すことができる。
【0036】
なお、上記の実施形態では、回転工具の一例としてインパクトレンチを挙げて説明したが、回転工具は、インパクトドライバなどであってもよい。この場合、アダプタ10の接続部の構成は、インパクトドライバに合わせて適宜変更される。
【0037】
また、切削用先端工具1は、孔の径を調整(仕上げ)するリーマとして説明したが、鋼板などに孔を開けるドリルであってもよい。
図10は、変形例の切削用先端工具の切削本体部30を示す図である。変形例でも、上記実施形態と同様、切削用先端工具は、アダプタ10と、切削本体部30とを備えているが、アダプタ10は上記実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0038】
切削本体部30は、中心軸P3に沿った棒状であって、その一方の第1端部には、上記の実施形態と同様に、アダプタ10の孔15の内周面に設けられたネジ溝15Aと嵌め合わされるネジ溝31が設けられている。また、第1端部の端面には、ネジ穴32が設けられている。この変形例でもネジ穴32はマイナス溝である。
図10は、第1端部側を、中心軸P3に沿った方向から視た平面図である。
【0039】
中心軸P3に沿った方向における第2端部側からネジ溝31までの間となる切削本体部30の外周面には、ドリル刃33が設けられている。ドリル刃33は、鋼板などに孔をあける刃であり、先端に向かって徐々に径が小さくなっている。
【0040】
また、中心軸P3に沿った方向におけるネジ溝31とドリル刃33との間の切削本体部20の外周面には、第1平面34A及び第2平面34Bが設けられている。第1平面34A及び第2平面34Bは、上記実施形態の第1平面24A及び第2平面24Bと同様、レンチなどの工具を用いて切削本体部30をアダプタ10に取り付け、また、切削本体部30をアダプタ10から取り外すことを可能とする。
【0041】
さらに、切削用先端工具は、鋼板などに孔を開けるドリル刃と、孔の径を調整(仕上げ)するリーマ用のドリル刃とが一体となったものであってもよい。
図12は、別の変形例の切削用先端工具の切削本体部40を示す図である。この変形例でも、上記実施形態と同様、切削用先端工具は、アダプタ10と、切削本体部40とを備えているが、アダプタ10は上記実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0042】
切削本体部30は、中心軸P4に沿った棒状であって、その一方の第1端部には、上記の実施形態と同様に、アダプタ10の孔15の内周面に設けられたネジ溝15Aと嵌め合わされるネジ溝(第2ネジ溝)41が設けられている。また、第1端部の端面には、ネジ穴42が設けられている。この変形例でもネジ穴42はマイナス溝である。なお、第1端部側を、中心軸P4に沿った方向から視た平面図は、
図7と同様である。
【0043】
中心軸P4に沿った方向における第2端部側からネジ溝41までの間となる切削本体部40の外周面には、ドリル刃43が設けられている。ドリル刃43は、中心軸P4に沿った方向における第2端部に設けられた、鋼板などに孔をあける穿孔用ドリル刃と、その穿孔用ドリル刃からネジ溝41までの間に設けられた、孔の径を調整するリーマ用ドリル刃とを有している。つまり、この変形例では、鋼板などへの孔あけ作業と、その孔の径の調整作業とが、一つの切削本体部40でできるようになっている。このような一体型の切削用先端工具の場合、穿孔用ドリル刃及びリーマ用ドリル刃のいずれか一方が破損した場合には使用できなくなるという問題がある。このため、このような一体型の切削用先端工具の場合には、表面を窒化チタンアルミなどで例えば硬度HRC60以上でコーティングすることが好ましい。
【0044】
また、中心軸P4に沿った方向におけるネジ溝41とドリル刃43との間の切削本体部40の外周面には、第1平面44A及び第2平面44Bが設けられている。第1平面44A及び第2平面44Bは、上記実施形態の第1平面24A及び第2平面24Bと同様、レンチなどの工具を用いて切削本体部40をアダプタ10に取り付け、また、切削本体部40をアダプタ10から取り外すことを可能とする。
【符号の説明】
【0045】
1 切削用先端工具
2 Oリング
10 アダプタ
11 本体部
12 差込孔
13 溝
14A 第1貫通孔
14B 第2貫通孔
20、30、40 切削本体部
21、31、41 ネジ溝
22、32、42 ネジ穴
23、33、43 ドリル刃
24A、34A、44A 第1平面
24B、34B、44B 第2平面
50 インパクトレンチ
51 差込角
52 ピン差込孔