IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大豊精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図1
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図2
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図3
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図4
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図5
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図6
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図7
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図8
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図9
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図10
  • 特開-鍛造装置及びギヤの製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034524
(43)【公開日】2022-03-03
(54)【発明の名称】鍛造装置及びギヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 5/12 20060101AFI20220224BHJP
   B21J 5/06 20060101ALI20220224BHJP
   B21K 1/30 20060101ALN20220224BHJP
【FI】
B21J5/12 Z
B21J5/06 D
B21K1/30 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116867
(22)【出願日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2020137844
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021021326
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207816
【氏名又は名称】大豊精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏孝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智正
(72)【発明者】
【氏名】築山 悦久
(72)【発明者】
【氏名】堀部 和剛
(72)【発明者】
【氏名】森田 康嗣
(72)【発明者】
【氏名】今野 匡
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087AA10
4E087CA22
4E087CA27
4E087CC03
4E087EA11
4E087EC18
4E087HA04
4E087HB02
(57)【要約】
【課題】少なくとも全体の工数を短縮でき、より好適には装置の取り換えなく成形形状の微調整が可能な鍛造装置を提供する。
【解決手段】本発明は、下方に移動することでワークWを下方に押圧するパンチ2と、パンチ2の下方に配置されワークWが載置されるカウンターパンチ3と、パンチ2の押圧によるカウンターパンチ3の下方への移動に対して反力を付与する反力付与装置4と、内周面に成形溝5aが形成された環状の成形ダイ5と、成形ダイ5の外周側に配置され、上下方向の位置に応じて成形ダイ5を押圧する押圧力が変化するように構成された環状のリング部材6と、リング部材6を上下方向に移動させる駆動部7と、パンチ2の上下方向の位置情報を検出する検出部8と、検出部8の検出結果に基づいて駆動部7を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、
前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、
前記パンチの押圧による前記カウンターパンチの下方への移動に対して反力を付与する反力付与装置と、
内周面に成形溝が形成された環状の成形ダイと、
前記成形ダイの外周側に配置され、状態に応じて前記成形ダイを押圧する押圧力が変化するように構成された環状のリング部材と、
前記リング部材の状態を変化させる駆動部と、
前記パンチの上下方向の位置情報を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、
を備える、鍛造装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記パンチの移動に同期して前記リング部材を移動させる、請求項1に記載の鍛造装置。
【請求項3】
前記成形溝は、歯形に形成され、
前記制御部は、
前記ワークの上端部又は下端部が前記成形ダイの上下方向における所定位置に位置する際の前記押圧力が、前記ワークの中間部が前記成形ダイの前記所定位置に位置する際の前記押圧力よりも大きくなるように、前記駆動部を制御する、請求項1又は2に記載の鍛造装置。
【請求項4】
前記リング部材及び前記成形ダイは、前記リング部材の上下方向の位置に応じて前記押圧力が変化するように構成され、
前記駆動部は、前記リング部材を上下方向に移動させる、請求項1~3の何れか一項に記載の鍛造装置。
【請求項5】
前記駆動部は、
成形完了後の前記ワークを前記成形ダイから取り出すためのノックアウトピンと、
前記ノックアウトピンを上下に駆動させる駆動源と、
前記ノックアウトピンの上下動を前記リング部材に伝達する動力伝達部材と、
を備える、請求項4に記載の鍛造装置。
【請求項6】
前記リング部材及び前記成形ダイは、前記リング部材が上方に移動するほど前記押圧力が小さくなるように構成されている、請求項5に記載の鍛造装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ワークの前記成形ダイからの取り出しに際して、前記駆動部を制御して、前記押圧力を前記ワークの成形時の前記押圧力よりも小さくする、請求項1~6の何れか一項に記載の鍛造装置。
【請求項8】
下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、
前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、
前記パンチの押圧による前記カウンターパンチの下方への移動に対して反力を付与する反力付与装置と、
内周面に成形溝が形成された環状の成形ダイと、
前記パンチの上下方向の位置情報を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記反力付与装置が付与する前記反力を制御する制御部と、
を備える、鍛造装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記パンチの移動に同期して前記反力を変更する、請求項8に記載の鍛造装置。
【請求項10】
前記成形溝は、歯形に形成され、
前記制御部は、
前記ワークの上端部又は下端部が前記成形ダイの上下方向における所定位置に位置する際の前記反力が、前記ワークの中間部が前記成形ダイの前記所定位置に位置する際の前記反力よりも小さくなるように、前記反力付与装置を制御する、請求項8又は9に記載の鍛造装置。
【請求項11】
前記反力付与装置は、前記ワークの成形中、常時、前記カウンターパンチに前記反力を付与する、請求項1~10の何れか一項に記載の鍛造装置。
【請求項12】
下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、
前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、
内周面に成形溝が形成された環状の成形ダイと、
前記カウンターパンチ又は前記カウンターパンチの下方への移動に連動して下方に移動する連動部材である移動部材の周囲に配置され、前記移動部材の下方への移動に対して摩擦力を発生させるカラー部材と、
を備え、
前記移動部材及び前記カラー部材は、前記摩擦力が前記移動部材の位置によって変化するように構成されている、鍛造装置。
【請求項13】
前記移動部材は、外周側に突出した第1凸部を有し、
前記カラー部材は、内周側に突出した第2凸部を有し、
前記移動部材及び前記カラー部材は、前記第1凸部と前記第2凸部とが当接することで、前記摩擦力が増大するように構成されている、請求項12に記載の鍛造装置。
【請求項14】
前記成形溝は、歯形に形成され、
前記移動部材及び前記カラー部材は、前記ワークの上端部又は下端部が前記成形ダイの上下方向における所定位置に位置する際の前記摩擦力が、前記ワークの中間部が前記成形ダイの前記所定位置に位置する際の前記摩擦力よりも小さくなるように構成されている、請求項12又は13に記載の鍛造装置。
【請求項15】
下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、
前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、
前記パンチの押圧による前記カウンターパンチの下方への移動に対して反力を付与し、流体の圧力を前記反力として出力するように構成された反力付与装置と、
内周面に歯形の成形溝が形成された環状の成形ダイと、
を備える鍛造装置を用いたギヤの製造方法であって、
外径が前記成形ダイの最小内径よりも大きい前記ワークを、前記成形ダイに押し入れる絞り加工工程を含み、
前記絞り加工工程では、前記反力付与装置によって前記カウンターパンチに前記反力が付与された状態で、前記パンチが前記ワークを前記成形ダイに押し入れて前記ワークを圧縮変形させる、ギヤの製造方法。
【請求項16】
前記ワークの成形が完了した後に前記ワークを前記成形ダイから取り出す取り出し工程を含み、
前記鍛造装置は、前記成形ダイの外周面に加える押圧力を調整する押圧力調整手段を備え、
前記取り出し工程では、前記押圧力調整手段が、前記押圧力を前記ワークの成形時の前記押圧力よりも小さくする、請求項15に記載のギヤの製造方法。
【請求項17】
下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、
前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、
前記パンチの押圧による前記カウンターパンチの下方への移動に対して反力を付与する反力付与装置と、
内周面に成形溝が形成された環状の成形ダイと、
前記成形ダイの外周面に加える押圧力を調整して前記成形ダイの内径を変化させる押圧力調整手段と、
を備える、鍛造装置。
【請求項18】
前記押圧力調整手段は、前記パンチの移動に応じて前記押圧力を変化させる、請求項17に記載の鍛造装置。
【請求項19】
前記成形溝は、歯形に形成され、
前記押圧力調整手段は、前記ワークの上端部又は下端部が前記成形ダイの上下方向における所定位置に位置する際の前記押圧力を、前記ワークの中間部が前記成形ダイの前記所定位置に位置する際の前記押圧力よりも大きくする、請求項17又は18に記載の鍛造装置。
【請求項20】
前記押圧力調整手段は、前記ワークの前記成形ダイからの取り出しに際して、前記押圧力を前記ワークの成形時の前記押圧力よりも小さくする、請求項17~19の何れか一項に記載の鍛造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造装置及びギヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鍛造装置の技術は、例えば特開2017-209699号公報に記載されている。この公報には、歯形が形成された中間円筒状ギヤを冷間鍛造して、クラウニング付きのギヤに成形する鍛造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-209699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記鍛造装置では、一度中間円筒状ギヤを成形した後に、別途クラウニング成形を実行する必要があるため、全体の工数が多くなる。また、金型の構造が複雑であることから、クラウニング成形について微調整が困難である。例えば経年により成形ダイの摩擦抵抗が変化した場合に、クラウニングの形状が変化するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、全体の工数を短縮できる鍛造装置を提供することであり、より好適には装置の取り換えなく成形形状の微調整が可能な鍛造装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、鍛造装置を用いたギヤの製造において、ワークに肉ハリのよい歯形が成形可能なギヤの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1形態にかかる鍛造装置は、下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、前記パンチの押圧による前記カウンターパンチの下方への移動に対して反力を付与する反力付与装置と、内周面に成形溝が形成された環状の成形ダイと、前記成形ダイの外周側に配置され、状態に応じて前記成形ダイを押圧する押圧力が変化するように構成された環状のリング部材と、前記リング部材の状態を変化させる駆動部と、前記パンチの上下方向の位置情報を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の第2形態にかかる鍛造装置は、下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、前記パンチの押圧による前記カウンターパンチの下方への移動に対して反力を付与する反力付与装置と、内周面に成形溝が形成された環状の成形ダイと、前記パンチの上下方向の位置情報を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて前記反力付与装置が付与する前記反力を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の第3形態にかかる鍛造装置は、下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、内周面に成形溝が形成された環状の成形ダイと、前記カウンターパンチ又は前記カウンターパンチの下方への移動に連動して下方に移動する連動部材である移動部材の周囲に配置され、前記移動部材の下方への移動に対して摩擦力を発生させるカラー部材と、を備え、前記移動部材及び前記カラー部材は、前記摩擦力が前記移動部材の位置によって変化するように構成されている。
【0009】
本発明の第4形態にかかるギヤの製造方法は、下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、前記パンチの押圧による前記カウンターパンチの下方への移動に対して反力を付与し、流体の圧力を前記反力として出力するように構成された反力付与装置と、内周面に歯形の成形溝が形成された環状の成形ダイと、を備える鍛造装置を用いたギヤの製造方法であって、外径が前記成形ダイの最小内径よりも大きい前記ワークを、前記成形ダイに押し入れる絞り加工工程を含み、前記絞り加工工程では、前記反力付与装置によって前記カウンターパンチに前記反力が付与された状態で、前記パンチが前記ワークを前記成形ダイに押し入れて前記ワークを圧縮変形させる。
【0010】
本発明の第5形態にかかる鍛造装置は、下方に移動することでワークを下方に押圧するパンチと、前記パンチの下方に配置され、前記ワークが載置されるカウンターパンチと、前記パンチの押圧による前記カウンターパンチの下方への移動に対して反力を付与する反力付与装置と、内周面に成形溝が形成された環状の成形ダイと、前記成形ダイの外周面に加える押圧力を調整して前記成形ダイの内径を変化させる押圧力調整手段と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1形態によれば、リング部材が状態に応じた押圧力で成形ダイを押圧することで、成形ダイを弾性変形させ、その内径を変化させることができる。リング部材の押圧力が大きいほど、成形ダイが径方向内側に締め付けられ、その内径が小さくなる。つまり、成形中に歯形の径方向の寸法の変更が可能となる。成形ダイの径が小さくなるほど、成形溝の形状(溝幅等)も相似的に小さくなる。これにより、例えばクラウニング付きのギヤを成形するに際して、制御部が、パンチの位置に応じて押圧力を変化させて成形ダイの内径を変化させることで、1回のパンチで(中間円筒状ギヤの成形なしに)クラウニング付きのギヤを成形することが可能となる。また、この構成によれば、反力及び/又は押圧力の調整により成形形状を微調整できるため、摩擦抵抗の変化等が生じた場合でも、装置を取り換える必要がない。
【0012】
本発明の第2形態によれば、パンチの位置に応じて反力を変化させることで、ワークの変形度合いを変化させることができる。つまり、反力が大きいほど、ワークに対する上下方向の挟み力が大きくなり、ワークの径方向外側への膨出量が大きくなる。これにより、例えばクラウニング付きのギヤを成形するに際して、制御部が、パンチの位置に応じて反力を変化させることで、1回のパンチで(中間円筒状ギヤの成形なしに)クラウニング付きのギヤを成形することが可能となる。また、この構成によれば、反力の調整により成形形状を微調整できるため、摩擦抵抗の変化等が生じた場合でも、装置を取り換える必要がない。
このように、本発明の第1形態及び第2形態によれば、全体の工数を短縮でき、装置の取り換えなく成形形状の微調整が可能となる。
【0013】
本発明の第3形態によれば、移動部材(カウンターパンチ又は連動部材)の位置に応じて、移動部材とカラー部材との間の摩擦力が変化することで、パンチ中に反力を変化させることができる。これにより、第2形態同様、ワークの変形度合いを変化させることができる。つまり、反力(摩擦力)が大きいほどワークの径方向外側への膨出量が大きくなる。これにより、例えばクラウニング付きのギヤを成形するに際して、特別な制御なしに、1回のパンチで(中間円筒状ギヤの成形なしに)クラウニング付きのギヤを成形することが可能となる。
【0014】
また、本発明の第4形態によれば、ワークに流体圧による反力(進入抵抗)が付与された状態で、絞り加工(圧縮加工)が行われる。これにより、歯形の成形における歯先へのワーク(材料)の流れが補助される。すなわち、成形中、ワーク(材料)が成形溝の底面を押圧する押圧力が大きくなる。つまり、肉ハリが良い歯形が成形される。
【0015】
本発明の第5形態によれば、第1形態同様、押圧力調整手段により押圧力が調整されることで、成形中に、成形ダイの内径を変化させることができる。これにより、第1形態と同様の効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の鍛造装置の構成図である。
図2】第1実施形態の成形溝の形状を示す概念図(溝延伸方向に見た図)である。
図3】第1実施形態の成形溝の構成を示す概念図(横から見た断面的説明図)である。
図4】第1実施形態のリング部材の位置と押圧力を説明するための概念図である。
図5】第1実施形態のクラウニングの概念図である。
図6】第1実施形態の成形完了後のワークを示す図である。
図7】第2実施形態の鍛造装置の構成図である。
図8】第3実施形態の鍛造装置の構成図である。
図9】第3実施形態の第1ノックアウトピンとカラー部材を説明するための概念図(断面図)である。
図10】本実施形態のワークの別例を示す概念図である。
図11】本実施形態のワーク及び鍛造装置の別例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。また、説明に用いる各図は概念図である。また、本説明において、固定は例えばねじ止め固定等である。図面では、ねじ止め固定で用いられるねじや、部材内が中空(例えば円筒状)であることの表示は省略されている。また、図1において、二点鎖線の左側が成形開始時の状態を表し、右側が成形完了後の状態を表している。また、図7において、二点鎖線の左側が装置の初期位置を表し、右側が成形完了後の状態を表している。鍛造装置は左右対称であり、図面の表示上、図1及び図7の符号は部材ごとに左右のいずれか一方にのみ付されている。
【0018】
<第1実施形態>
クラウニング付きのギヤ(歯車)を鍛造する鍛造装置を例として第1実施形態について説明する。成形対象であるワークWは、環状(円筒状)に形成されている。第1実施形態の鍛造装置1は、電動サーボプレスである。
【0019】
第1実施形態の鍛造装置1は、図1に示すように、パンチ2と、カウンターパンチ3と、ガスシリンダ(「反力付与装置」に相当する)4と、成形ダイ5と、リング部材6と、駆動部7と、検出部8と、制御部9と、を備えている。パンチ2は、下方に移動することでワークWを下方に押圧する上側のパンチ部材である。パンチ2は、内側パンチ部21と、外側パンチ部22と、移動部23と、を備えている。
【0020】
内側パンチ部21は、移動部23に固定され、移動部23から下方に延びた円柱状のパンチ部材である。外側パンチ部22は、内側パンチ部21の外周側に配置された円筒状のパンチ部材である。外側パンチ部22は、移動部23に、上下方向にスライド可能に係合している。内側パンチ部21は、外側パンチ部22に対して摺動可能に配置されている。少なくとも成形開始から完了までの間、内側パンチ部21の下端は、外側パンチ部22の下端よりも下方に位置している。ワークWは、外側パンチ部22の下端面22aの下方に配置される。
【0021】
移動部23は、制御部9の制御により上下方向に移動する部材である。移動部23には、下方に開口した凹部231が形成されている。凹部231の開口部には突起部231aが形成されている。このため、外側パンチ部22の上端部(フランジ部)221は、突起部231aと係合し、凹部231の底面231bと突起部231aとの間でスライド可能となる。内側パンチ部21は、凹部231の底面231b(移動部23の上端部)の中央部分に固定されている。したがって、内側パンチ部21は、移動部23の移動とともに移動する。
【0022】
移動部23が下方に移動する際、外側パンチ部22は、底面231bに当接することで下方に移動する。また、移動部23が上方に移動する際、外側パンチ部22は、突起部231aと上端部221とが当接することで上方に移動する。成形開始時には外側パンチ部22と底面231bとが当接している。したがって、成形開始から完了まで、外側パンチ部22は移動部23の下方への移動とともに移動する。
【0023】
カウンターパンチ3は、パンチ2の下方に配置され、ワークWが載置される下側のパンチ部材である。カウンターパンチ3は、パンチ2に対向配置されている。ワークWは、パンチ2とカウンターパンチ3の間に配置される。カウンターパンチ3は、パンチ2による下方への押圧により下方に移動する。カウンターパンチ3は、下方から、受圧部31、円柱部32、及び円筒部33を備えている。
【0024】
受圧部31は、円板状であって、下面にガスシリンダ4の圧力伝達部44が当接している。受圧部31は、カウンターパンチ3の下方への移動に対して、ガスシリンダ4により上方に押圧される。円柱部32は、受圧部31の上端面から上方に延びた円柱状の部分である。
【0025】
円筒部33は、外径が円柱部32と同径であり、円柱部32の上端面から円柱部32と同軸的に上方に延びた円筒状の部分である。円筒部33の上端面は、外側パンチ部22の下端面22a(パンチ2の段差面)に対向している。つまり、成形において、ワークWは、外側パンチ部22の下端面22aとカウンターパンチ3の円筒部33とに挟まれている。カウンターパンチ3の上端部には、円筒部33と円柱部32の上端面とにより凹部30が形成されている。内側パンチ部21は、パンチ2の下方への移動に応じて、凹部30内に進入する。内側パンチ部21は、後述するガイドダイ50とともに、ワークWの軸ずれを防止する。
【0026】
ガスシリンダ4は、パンチ2の押圧によるカウンターパンチ3の下方への移動に対して反力を付与する装置である。ガスシリンダ4は、流体の圧力(背圧)によりカウンターパンチ3に反力を付与する装置である。ガスシリンダ4は、下方から、シリンダ部41、ピストン部42、台座部43、及び圧力伝達部44を備えている。
【0027】
シリンダ部41には、ガスが充填されている。ピストン部42は、上下方向に移動可能にシリンダ部41に収容されている。ピストン部42の下端面には、圧力が付与されている。ピストン部42には、下方へのストロークに対して圧力により所定の反力(上方への押圧力)が付与される。
【0028】
台座部43は、ピストン部42の上端面に固定された円板状部材である。台座部43の下方に、複数のシリンダ部41及びピストン部42が配置されている。台座部43の上端面は、鍛造装置1の下側ユニット(筐体)1aに当接しており、上方への移動が制限されている。台座部43の中央には、ノックアウトピン72が挿通される貫通孔が形成されている。
【0029】
圧力伝達部44は、台座部43の上端面に設けられた、背圧(反力)を伝達する部材である。圧力伝達部44は、上下方向に延びている。圧力伝達部44の上端部は、カウンターパンチ3の受圧部31に当接している。ピストン部42が受ける上方への押圧力は、台座部43及び圧力伝達部44を介してカウンターパンチ3に伝達される。
【0030】
ガスシリンダ4は、ワークWの成形中、常時、カウンターパンチ3に反力を付与している。つまり、ワークWの成形は、カウンターパンチ3に反力(背圧)が加わった状態で行われる。これにより、ワークWに肉ハリが良い歯形が成形される。
【0031】
成形ダイ5は、内周面に成形溝5aが形成された環状のダイである。成形ダイ5の内周側にワークWが押し入れられることで、ワークWの外周面に成形溝5aに応じた形状が形成される。第1実施形態の成形ダイ5は、互いに上下幅が等しい複数のダイ、すなわち内側ダイ51及び外側ダイ52で構成されている。内側ダイ51は、成形溝5aを有する内側の環状部材である。
【0032】
外側ダイ52は、内側ダイ51の外周側に配置された環状部材である。外側ダイ52の内周面は、内側ダイ51の外周面に合わせた形状に形成されている。外側ダイ52の内周面と内側ダイ51の外周面とは全面的に当接している。外側ダイ52の外周面は、下方に向かうほど大径となるテーパ状に形成されている。つまり、成形ダイ5の外径は、下方に向かうほど大きくなる。
【0033】
成形ダイ5の上方には、成形ダイ5と同軸的に、ガイドダイ50が配置されている。ガイドダイ50は、成形ダイ5同様、2つのダイで構成されている。ガイドダイ50は、成形ダイ5に対して位置決め(固定)されている。ガイドダイ50は、ワークWの移動をガイドする。成形開始時、ワークWは、ガイドダイ50の内側に配置されている。パンチ2及びワークWは、ガイドダイ50を通って成形ダイ5の内側に進入する。
【0034】
リング部材6は、成形ダイ5の外周側に配置され、自身の上下方向の位置に応じて成形ダイ5を押圧する押圧力が変化するように構成された環状部材である。成形ダイ5は、リング部材6内に圧入される。リング部材6は、圧入リングといえる。リング部材6の内周面は、成形ダイ5の外周面に合わせたテーパ状に形成されている。つまり、リング部材6の内径は、下方へ向かうほど大きくなる。リング部材6の内周面と成形ダイ5の外周面とは当接している。リング部材6及び成形ダイ5は、リング部材6の上下方向の位置に応じてリング部材6の押圧力が変化するように構成されている。リング部材6及び成形ダイ5は、リング部材6が上方に移動するほど、リング部材6の押圧力が小さくなるように構成されている。
【0035】
駆動部7は、リング部材6を上下方向に移動させる装置である。駆動部7は、駆動源71と、ノックアウトピン72と、動力伝達部材73と、を備えている。駆動源71は、ノックアウトピンを駆動する装置である。駆動源71は、例えばモータ及び直動変換部材を備え、モータの回転力を上下方向の移動力に変換してノックアウトピン72に付与する。
【0036】
ノックアウトピン72は、成形完了後のワークWを成形ダイ5から取り出すための部材である。ノックアウトピン72は、上下方向に延びた棒状部材(例えば円筒状部材)であり、駆動源71の駆動力により上下方向に移動する。ノックアウトピン72は、カウンターパンチ3の下方に配置されている。ノックアウトピン72は、上方に移動すると、カウンターパンチ3の下端面に当接した後、カウンターパンチ3を上方に移動させる。成形完了後のワークWは、ノックアウトピン72及びカウンターパンチ3の上方への移動によって上方へ移動し、ガイドダイ50の上方に押し出される。なお、この際、ノックアウトピン72の移動とともに、パンチ2の移動部23も上方に移動する。第1実施形態の鍛造装置1は、成形ダイ5に対して、ワークWを、上方から押し入れ、上方から取り出すように構成されている。
【0037】
動力伝達部材73は、ノックアウトピン72の上下動(動力)をリング部材6に伝達する部材である。動力伝達部材73は、ノックアウトピン72の上下方向の移動に連動して上下方向に移動する。動力伝達部材73は、ベース部731と、複数の接続部732と、を備えている。ベース部731は、ノックアウトピン72に固定された板状部分である。ベース部731の中央部には、ノックアウトピン72の上端部が固定されている。
【0038】
接続部732は、ベース部731の外周部から上方に延びた棒状部材である。接続部732の下端部はベース部731に固定され、上端部はリング部材6に固定されている。つまり、接続部732は、ベース部731とリング部材6とを接続している。ノックアウトピン72とリング部材6とは、動力伝達部材73により連動する。換言すると、ノックアウトピン72、リング部材6、及び動力伝達部材73は、一体的に上下動する。
【0039】
検出部8は、パンチ2の上下方向の位置情報を検出する装置である。検出部8は、例えばパンチ2の直線変位を計測するリニアゲージ(リニアセンサ)である。検出部8は、検出結果を制御部9に送信する。パンチ2の位置からワークWの位置は推定できる。第1実施形態のように、電動サーボプレスでは、制御部9が、リニアゲージ(検出部8)によりパンチ2の位置を把握している。
【0040】
検出部8は、デジタルノギスでもよい。なお、パンチ2の位置は、リニアゲージの検出結果のように直接的な位置情報に限らず、例えば、モータの回転位置、パンチ2が受ける荷重、又はパンチ2が作動開始してからの経過時間等に基づいて演算されてもよい。つまり、検出部8は、パンチ2の位置を検出する手段として、例えば、回転角センサ、荷重センサ、又は制御部9のタイマー機能(時間計測機能)であってもよい。検出部8は、パンチ2の移動(移動量)を検出するともいえる。
【0041】
制御部9は、検出部8の検出結果に基づいて駆動部7(駆動源71)を制御する。制御部9は、CPUやメモリ等を有する電子制御ユニット(ECU)又はコンピュータである。制御部9は、制御対象に対して有線又は無線により通信可能となっている。制御部9は、パンチ2及びノックアウトピン72の位置を制御する。パンチ2とノックアウトピン72とは、連動するように制御可能である。制御部9は、例えば、パンチ2の移動と同期してノックアウトピン72を移動させる。つまり、制御部9は、パンチ2の移動に応じて、リング部材6を移動させる。
【0042】
(クラウニング付きギヤの成形)
以下、説明において、リング部材6が成形ダイ5を押圧する押圧力を「リング押圧力」と称する。クラウニング付きのギヤ(ここではヘリカルギヤ)を成形するに際し、制御部9は、ワークWの上端部又は下端部が成形ダイ5の上下方向における所定位置P(図3参照)に位置する際のリング押圧力が、ワークWの中間部が成形ダイ5の所定位置Pに位置する際のリング押圧力よりも大きくなるように、駆動部7を制御する。成形溝5aは、歯形に形成されている。
【0043】
図2に示すように、本例の成形溝5aは、径方向外側(底面)に向かうほど溝幅(溝の延伸方向に直交する方向の長さ)が小さくなっている。また、図3に示すように、成形ダイ5の成形溝5aには、アプローチ部5a1及びランド部5a2が設けられている。アプローチ部5a1は、成形溝5aの上端部を構成し、下方に向かうほど径方向内側に位置するように傾斜した部分である。アプローチ部5a1により、ワークWを徐々に変形させながら成形ダイ5内に入れることができる。
【0044】
ランド部5a2は、成形溝5aのうち、アプローチ部5a1の下方に形成された部分である。ランド部5a2は、アプローチ部5a1の最も径方向内側の位置と同じ位置で下方に延びている。換言すると、ランド部5a2は、アプローチ部5a1の径方向内側への最大突出高さ(最大溝深さ)を維持するように、下方に延びている部分である。第1実施形態の所定位置Pは、ランド部5a2の上端部(又はアプローチ部5a1の下端)に相当する。
【0045】
成形溝5aは、下方に押圧されたワークWがアプローチ部5a1に進入して弾性変形しつつ、ランド部5a2に到達した際に塑性変形となるように形成されている。つまり、ワークWが所定位置Pに位置する際に、ワークWのうち所定位置Pに対向する部位の形状が決定される。ワークWがランド部5a2に到達したときに、ワークWの塑性領域での変形が行われる。なお、ワークWの外径は、成形ダイ5(成形溝5a)の最小内径よりも大きく最大内径未満である(成形ダイ5の最小内径<ワークWの外径<成形ダイ5の最大内径)。また、成形中(少なくともワークWがランド部5a2に進入した後)、ワークWと成形溝5aの底面とは当接している。つまり、成形中、成形溝5aの底面とワークWとの間に隙間は発生しない。ワークWの外径は、ガイドダイ50によって成形ダイ5の最大内径未満に維持される。なお、ワークWの外径は、成形ダイ5の最大内径以上であっても、本実施形態の成形は可能である。
【0046】
制御部9は、ワークWの下端部が成形溝5aの所定位置Pに位置する際、リング押圧力が相対的に大きくなるように、リング部材6の位置を制御する。制御部9は、成形開始にあたり、リング部材6を若干下方に移動させる。図4に示すように、リング部材6が下方に移動すると、テーパ面が作用し、成形ダイ5の上端部に対応するリング部材6の内径が小さくなる。これにより、成形ダイ5の外周面がリング部材6に押圧され、成形ダイ5の径が小さくなる。この状態で成形が開始され、パンチ2が下降し、ワークWがアプローチ部5a1に進入し、小径となったランド部5a2に到達してワークWの下端部が成形される。
【0047】
そして、検出部8によりワークWの下端部が所定位置Pを通過しようとすることが検出されると、制御部9は、リング部材6を上方に移動させ、成形ダイ5の上端部に対応するリング部材6の内径を大きくする(図4参照)。これにより、リング押圧力が小さくなり、成形ダイ5の径は大きくなる。この状態で、所定位置Pには、ワークWの中間部(下端部と上端部とを除く部分)が進入する。ワークWの中間部は、下端部成形時よりも径が大きいランド部5a2により成形される。
【0048】
ワークWの中間部が所定位置Pを通り過ぎ、ワークWの上端部が所定位置Pに進入しようとした際、制御部9は、リング部材6を下方に移動させ、再びリング押圧力を大きくする。これにより、ワークWの上端部は、下端部同様、小さい径の成形ダイ5により成形される。
【0049】
リング部材6の下方への移動量は、ワークWの上端部成形時と下端部成形時とで同じである。なお、ワークWの上端部が所定位置Pに位置する際、成形ダイ5の径が全体的に小さくなるため、所定位置Pを通過したワークWの中間部及び下端部に対応する成形ダイ5の径も小さくなる。しかし、当該リング部材6の移動による成形ダイ5の径の変化は、弾性領域での変化(数十μmオーダーの変化)である。したがって、ワークW上端部成形時にワークWの中間部及び下端部は変形したとしても、それは弾性変形であり、成形完了後のワークWの形状に影響は出ない。
【0050】
このように、制御部9は、ワークWの上端部及び下端部ではリング押圧力を大きくして成形ダイ5の径を小さくし、ワークWの中間部ではリング押圧力を小さくして成形ダイ5の径を大きくする。成形ダイ5の径が小さくなると、成形溝5aの形状も相似的に小さくなる。つまり、成形ダイ5の径が小さくなるほど、成形溝5aの溝幅も小さくなる。したがって、上記制御によれば、成形されたワークWの歯幅は、上端部及び下端部が相対的に小さく、中間部が相対的に大きくなる。例えば図5及び図6に示すように、成形完了後のワークWには、1回のパンチにより歯形及びクラウニングが成形されている。
【0051】
第1実施形態では、パンチ2の移動とリング部材6(ノックアウトピン72)の移動とが連動するように設定されており、パンチ2を停止することなく成形することができる。例えば、制御部9は、成形開始時にパンチ2及びリング部材6を規定位置に位置させ、ワークWの中間部が所定位置Pに近づくにつれて徐々にリング部材6を上方に移動させ、ワークWの下端部が所定位置Pに近づくにつれて徐々にリング部材6を下方に移動させる。なお、パンチ2を停止させてからリング部材6の位置を変更することも可能である。
【0052】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態によれば、リング部材6が位置に応じたリング押圧力で成形ダイ5を押圧することで、成形ダイ5を弾性変形させ、その内径を変化させることができる。リング押圧力が大きいほど、成形ダイ5が径方向内側に締め付けられ、その内径が小さくなる。つまり、成形中に歯形の径方向の寸法の変更が可能となる。成形ダイ5の径が小さくなるほど、成形溝5aの形状(溝幅等)も相似的に小さくなる。これにより、例えばクラウニング付きのギヤを成形するに際して、制御部9が、パンチ2の位置に応じてリング押圧力を変化させて成形ダイ5の内径を変化させることで、1回のパンチで(中間円筒状ギヤの成形なしに)クラウニング付きのギヤを成形することが可能となる。
【0053】
また、この構成によれば、反力及び/又はリング押圧力の調整により成形形状を微調整できるため、摩擦抵抗の変化等が生じた場合でも、装置を取り換える必要がない。例えば、制御部9がリング部材6の位置すなわちリング押圧力を調整することで、ワークWに成形される歯幅・寸法等を調整することができる。
【0054】
また、ガスシリンダ4の圧力(背圧)を調整することで、ワークWに成形される歯幅を調整することができる。例えば、ガスシリンダ4の圧力を高くするほど、パンチ2が下方に行きにくくなり、パンチ間に強い力でワークWが挟まれる。この結果、ワークWの径方向への変形が促され、ワークW(歯)が成形溝5aの底面側に押し込まれる。これにより、成形形状を調整することが可能となる。
【0055】
このように、第1実施形態によれば、全体の工数を短縮でき、装置の取り換えなく成形形状の微調整が可能となる。また、リング部材6の位置制御をパンチ2の移動と同期させることで、連続的な成形制御が可能となる。第1実施形態の構成は、クラウニング付きギヤの製造において特に効果的である。なお、ガスシリンダ4の圧力の調整は、例えば、ガスシリンダ4の取り換えや、制御部9による圧力制御(後述の第2実施形態参照)によって為されてもよい。
【0056】
また、ノックアウトピン72の構成を利用してリング部材6の位置を変えることができるため、部品の有効利用が図れる。成形完了後、ノックアウトピン72が上昇し、ワークWが取り出される際、リング部材6も上昇するため、リング押圧力が低下し(例えばリング部材6の成形ダイ5への圧入が解除され)、ワークWが取り出しやすくなる。
【0057】
このように、ワークWの成形ダイ5からの取り出しに際して、すなわちワークWが成形ダイ5から取り出される前又は取り出される最中に、制御部9は、駆動部7を制御して、リング押圧力をワークWの成形時のリング押圧力(成形中の最小値)よりも小さくする。ノックアウトピン72を駆動部7の一部に利用した第1実施形態の構成では、ワークWを取り出す際に、ノックアウトピン72の上昇とともにリング押圧力が低下する。一方、駆動部7がノックアウトピン72とは独立した構成であった場合でも、制御部9は、ワークWの取り出しに際して、リング押圧力が小さくなるように駆動部7を制御すればよい。これにより、成形ダイ5の内径が成形時よりも大きくなり、ノックアウト荷重が低減し、上記のとおりワークWが取り出しやすくなる。本構成によれば、成形完了後のワークWの歯面に不要な力が加わることが抑制され、製品の寸法精度をより良く維持することができる。なお、制御部9は、ワークWの取り出しに際して、例えばリング押圧力を構成上の最小値にしてもよい。
【0058】
<第2実施形態>
第2実施形態の鍛造装置100は、第1実施形態と比べて、リング部材6及び動力伝達部材73がなく、制御部9がガスシリンダ4の圧力(背圧)を調整可能に構成されている点で異なっている。したがって、異なっている部分のみを説明し、その他の部分の説明は省略する。第2実施形態の説明において、第1実施形態の説明及び図面を参照することができる。
【0059】
図7に示すように、鍛造装置100は、パンチ2と、カウンターパンチ3と、ガスシリンダ(「反力付与装置」に相当する)4と、成形ダイ5と、検出部8と、制御部9と、を備えている。制御部9は、検出部8の検出結果に基づいてガスシリンダ4が付与する反力(背圧)を制御する。第2実施形態の制御部9は、パンチ2の移動に応じて(同期して)反力を変更する。
【0060】
クラウニング付きギヤの製造を例にすると、制御部9は、ワークWの上端部又は下端部が成形ダイ5の上下方向における所定位置Pに位置する際の反力が、ワークWの中間部が成形ダイ5の所定位置Pに位置する際の反力よりも小さくなるように、ガスシリンダ4を制御する。
【0061】
ガスシリンダ4は、反力を調整する手段として、例えばシリンダ部41内の圧力を調整する圧力調整器(例えば電磁弁)45を備えている。制御部9は、圧力調整器45を制御して反力を制御する。成形時は、第1実施形態同様、常時、カウンターパンチ3にガスシリンダ4による反力(背圧)が加わっている。これにより、ワークWに肉ハリが良い歯形が成形される。第2実施形態では、圧力伝達部44がなく、台座部43が直接的にカウンターパンチ3を押圧する。
【0062】
なお、ガスシリンダ4は、例えば、圧力が異なる複数のシリンダと、シリンダ切替器と、を含んで構成されてもよい。シリンダ切替器は、接続先のシリンダを切り替える電磁弁である。この場合、制御部9は、シリンダ切替器を制御してガスシリンダ4の出力圧を調整する。
【0063】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態によれば、パンチ2の位置に応じて反力を変化させることで、第1実施形態でのガスシリンダ4の調整と同様、ワークWの変形度合いを変化させることができる。つまり、反力が大きいほど、ワークWに対する上下方向の挟み力が大きくなり、ワークWの径方向外側への膨出量が大きくなる。これにより、例えばクラウニング付きのギヤを成形するに際して、制御部9が、パンチ2の位置に応じて反力を変化させることで、1回のパンチで(中間円筒状ギヤの成形なしに)クラウニング付きのギヤを成形することが可能となる。また、この構成によれば、反力の調整により成形形状を微調整できるため、摩擦抵抗の変化等が生じた場合でも、装置を取り換える必要がない。
【0064】
このように、第2実施形態によれば、全体の工数を短縮でき、装置の取り換えなく成形形状の微調整が可能となる。また、ガスシリンダ4の圧力制御をパンチ2の移動と同期させることで、連続的な成形制御が可能となる。第2実施形態の構成も、クラウニング付きギヤの製造において特に効果的である。
【0065】
<共通の製造方法>
上記クラウニング付きギヤの製造における共通の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法は、外径が成形ダイ5の最小内径よりも大きいワークWを、成形ダイ5に押し入れる絞り加工工程を含んでいる。絞り加工工程では、反力付与装置(例えばガスシリンダ4)によりカウンターパンチに反力が付与された状態で、パンチ2がワークWを成形ダイ5に押し入れてワークWを圧縮変形させる。つまり、ワークWに流体圧による反力(進入抵抗)が付与された状態で、絞り加工(圧縮加工)が行われる。これにより、歯形の成形における歯先の流れが補助され、成形中、ワークW(歯先)が成形溝5aの底面を押圧する押圧力が大きくなる。つまり、ワークWに肉ハリが良い歯形が成形される。
【0066】
<第3実施形態>
第3実施形態の鍛造装置100Aは、第2実施形態と比べて、制御部9が反力を調整するのではなく、移動部材(カウンターパンチ又は第1ノックアウトピン721)が移動する際の摩擦力が、移動部材の位置に応じて変化するように構成された点で異なっている。したがって、異なっている部分のみを説明し、その他の部分の説明は省略する。第3実施形態の説明において、第1及び第2実施形態の説明及び図面を参照することができる。
【0067】
図8に示すように、鍛造装置100Aは、パンチ2と、カウンターパンチ3と、成形ダイ5と、第1ノックアウトピン(「連動部材」及び「移動部材」に相当する)721と、第2ノックアウトピン722と、カラー部材74と、検出部8と、制御部9と、を備えている。
【0068】
第1ノックアウトピン721は、カウンターパンチ3の下方への移動に連動して下方に移動する棒状の連動部材である。第1ノックアウトピン721は、カウンターパンチ3の下方に配置されている。初期位置において、第1ノックアウトピン721の上端面は、カウンターパンチ3の下端面に当接している。詳細構成については後述する。
【0069】
第2ノックアウトピン722は、第1ノックアウトピン721の下方に配置された棒状部材である。第2ノックアウトピン722は、第1ノックアウトピン721から離間しており、カウンターパンチ3が最下点に位置しても(すなわち成形完了時に)第1ノックアウトピン721と当接しないように(あるいはカウンターパンチ3が最下点に位置したときに当接するように)配置されている。
【0070】
第2ノックアウトピン722は、駆動源71の作動により、第1ノックアウトピン721に当接した状態で第1ノックアウトピン721と一体的に上方に移動する。つまり、第1ノックアウトピン721と第2ノックアウトピンとが、1つのノックアウトピン72として機能し、カウンターパンチ3を上方に押し上げる。なお、ノックアウトピンは、ノックアウトロッドとも呼ばれる。
【0071】
カラー部材74は、第1ノックアウトピン721の周囲に配置され、第1ノックアウトピン721の移動に対して摩擦力を発生させる部材である。カラー部材74は、環状に形成され、中央の貫通孔741に第1ノックアウトピン721が挿通されるように構成されている。カラー部材74は、第1ノックアウトピン721が重力で下方に移動しないように、摩擦力によって第1ノックアウトピン721を上下移動可能に保持している。
【0072】
(第1ノックアウトピンとカラー部材の詳細)
第1ノックアウトピン721及びカラー部材74は、第1ノックアウトピン721とカラー部材74との間の摩擦力が、第1ノックアウトピン721の位置によって変化するように構成されている。
【0073】
第1ノックアウトピン721は、外周側に突出した第1凸部721aを備えている。第1凸部721aは、第1ノックアウトピン721の軸方向の一部において、全周にわたって突出した環形状に形成されている。図9に示すように、第1凸部721aは、第1ノックアウトピン721の外径が、上端から頂点に向かって緩やかに拡径し、頂点から下端に向かって緩やかに縮径するように形成されている。
【0074】
カラー部材74は、内周側に突出した第2凸部74aを備えている。第1ノックアウトピン721及びカラー部材74は、第1凸部721aと第2凸部74aとが当接することで、第1ノックアウトピン721とカラー部材74との間の摩擦力が増大するように構成されている、
【0075】
第2凸部74aは、カラー部材74の軸方向の一部において、全周にわたって突出した環形状に形成されている。第2凸部74aは、カラー部材74の内径が、上端から頂点に向かって緩やかに縮径し、頂点から下端に向かって緩やかに拡径するように形成されている。この例の第2凸部74aは、第1凸部721aにのみ当接するように構成されている。つまり、第2凸部74aの最小径は、第1凸部721aを除く第1ノックアウトピン721の外径よりも大きい。
【0076】
第1凸部721aは、カラー部材74の内周面に当接するように構成されている。つまり、本例において、第1凸部721aの最大径は、カラー部材74の内径の最大値よりも大きい。したがって、第1ノックアウトピン721は、カラー部材74内に圧入されて配置される。第1凸部721aは、初期位置において、第2凸部74aの上方で、カラー部材74の内周面に当接している。初期位置にある第1ノックアウトピン721は、第1凸部721aとカラー部材74との間の摩擦力によって位置決めされている。
【0077】
鍛造が開始され、カウンターパンチ3が下方に移動すると、第1ノックアウトピン721は、カウンターパンチ3に押圧されて下方に移動する。第1凸部721aは、下方に移動すると、第2凸部74aに当接する。第1凸部721aが下方に移動するにつれて、第2凸部74aにより貫通孔741の径が小さくなる。つまり、第2凸部74aが形成された部分で、圧入代が大きくなる。これにより、第2凸部74aを通過しようとする第1凸部721aの通過抵抗(摩擦力)が大きくなり、カウンターパンチ3の下方への移動に対する反力は大きくなる。
【0078】
第1凸部721aの頂点と第2凸部74aの頂点とが当接する際に、摩擦力(反力)は最大となる。そして、第1凸部721aが第2凸部74aの頂点より下方に移動すると、摩擦力は小さくなる。第2凸部74aは、緩やかな勾配で形成されているため、摩擦力は徐々に変化する。つまり、第1凸部721aと第2凸部74aとが当接することで、第1凸部721aが下方に移動するほど、摩擦力は徐々に増大し、第2凸部74aの頂点を過ぎると摩擦力は徐々に減少する。
【0079】
このように、山形状の第2凸部74aによれば、圧入代(通過時の摩擦力)は、第2凸部74aの頂点を最大値とし、上端及び下端に向けて徐々に小さくなる。つまり、第3実施形態の第1ノックアウトピン721及びカラー部材74は、ワークWの上端部又は下端部が成形ダイ5の上下方向における所定位置Pに位置する際の摩擦力が、ワークWの中間部が成形ダイ5の所定位置Pに位置する際の摩擦力よりも小さくなるように構成されている。また、成形溝5aは、歯形に形成されている。
【0080】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態によれば、カウンターパンチ3の位置に応じて、第1ノックアウトピン721とカラー部材74との間の摩擦力が変化することで、反力を変化させることができる。これにより、第2実施形態同様、ワークWの変形度合いを変化させることができる。つまり、反力(摩擦力)が大きいほどワークの径方向外側への膨出量が大きくなる。これにより、例えばクラウニング付きのギヤを成形するに際して、特別な制御なしに、1回のパンチで(中間円筒状ギヤの成形なしに)クラウニング付きのギヤを成形することが可能となる。
【0081】
また、第1凸部721a及び/又は第2凸部74aの形状や面粗度の変更(例えばやすりがけ等)により、摩擦力を微調整することも可能である。つまり、背圧力(反力)は、第1ノックアウトピン721とカラー部材74との間の圧入代、及び/又は両者の接触面の面粗度によって調整可能である。また、カウンターパンチ3の下方への移動中、圧入の作用により常に摩擦力が発生するため、ワークWに肉ハリが良い歯形が成形される。
【0082】
(第3実施形態の変形例)
第1凸部721aは、第2凸部74aとのみ当接するように形成されてもよい。この場合、第1凸部721aと第2凸部74aとが当接することで、第1ノックアウトピン721とカラー部材74とが係合する。つまり、この場合、初期位置から第1凸部721aと第2凸部74aとが当接している。そして、第1凸部721aの頂点位置が第2凸部74aの下端より下方になると、摩擦力がなくなり、第1ノックアウトピン721と第2ノックアウトピン722とが当接する。この構成であっても、クラウニング付きギヤが製造可能である。
【0083】
また、第2凸部74aの内径の最小値は、第1ノックアウトピン721の最小径よりも小さくてもよい。つまり、初期位置において、第2凸部74aが第1ノックアウトピン721の外周面に当接していてもよい。例えば、この場合、第1凸部721aの最大径は、カラー部材74の内径の最大値より小さくてもよい。つまり、第1凸部721aと第2凸部74aとが当接していない状態でも、第1凸部721a及び第2凸部74aの少なくとも一方によって摩擦力が発生するように設計されてもよい。
【0084】
また、図8の点線で示すように、第1ノックアウトピン721の下方に反力付与装置(例えばガスシリンダ4)が配置されてもよい。これによれば、カウンターパンチ3には、反力として、反力付与装置による背圧と、第1ノックアウトピン721とカラー部材74との間の摩擦力が加わることとなる。反力付与装置は、反力を制御可能な構成としてもよい。
【0085】
また、第1凸部721aは、カウンターパンチ3(「移動部材」に相当する)に設けられてもよい。この場合、第2凸部74aを有するカラー部材74は、カウンターパンチ3の周囲に配置される。これによっても上記同様の効果が発揮される。このように、カラー部材74は、カウンターパンチ3、又はカウンターパンチ3の下方への移動に連動して下方に移動する連動部材(第1ノックアウトピン721)の周囲に配置される。つまり、カラー部材74の内側には、第1ノックアウトピン721(連動部材)又はカウンターパンチ3である移動部材が配置される。なお、連動部材は、第1ノックアウトピン721に限らず、別の部材であってもよい。
【0086】
<その他>
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、成形物は、クラウニング付きギヤ以外のものでもよい。つまり、鍛造装置1、100は、クラウニング付きギヤ以外の成形も可能である。また、リング押圧力の制御は、ワークWの上端部、中間部、及び下端部に対して切り替える制御に限らず、成形目標に応じて設定されればよい。また、ワークWの上端部及び下端部の幅は、クラウニングの設計に応じて設定可能である。また、カウンターパンチ3に反力を付与する反力付与装置としては、流体の圧力を反力として出力する背圧付与装置(例えばガスシリンダ4やストロークシミュレータ)でもよいし、それ以外のものでもよい。
【0087】
また、成形溝5aのランド部5a2は、上端部よりも下方の部分が、上端部よりも径方向外側に位置して(溝が浅くなって)いてもよい。つまり、ランド部5a2の上端部のみが最も径方向内側に位置する(溝が深くなる)ように構成されてもよい。さらに換言すると、成形溝5aのうち所定位置Pを含む部分が成形ダイ5の中心に向けて凸形状となっている。これによれば、ワークWの上端部成形時に成形ダイ5の径が小さくなった際、成形溝5aが既に成形済みのワークWの中間部及び下端部を押圧することを抑制することができる。また、成形溝5aの溝幅は、図2のように径方向外側ほど小さくならなくてもよく、例えば一定の幅でもよい。
【0088】
また、リング部材6は、内側に成形ダイ5を配置した万力など、制御部9によりリング押圧力を制御可能に構成された部材でもよい。この場合、駆動部7は、万力のハンドルを回転させる装置となる。つまり、本発明において、リング部材6は、状態に応じて成形ダイ5を押圧する押圧力(リング押圧力)が変化するように構成された部材であり、駆動部7は、リング部材6の状態を変化させる装置であればよい。状態は、例えばリング部材6の上下位置やハンドルの回転位置等であって、リング部材6が成形ダイ5に押圧力を加える部位の状態(最小内径の値)ともいえる。
【0089】
また、ワークWは、環状に限らず、例えば図8に示すように、ギヤ部分に軸状部分が設けられた軸付き部材(成型後は軸付きギヤ)であってもよい。この場合、例えば、図9に示すように、パンチ2の下端部及びカウンターパンチ3の上端部は、中心部分が凹んだ凹形状に形成されている。ワークWの軸状部分は、各パンチの凹部内に配置される。このような構成であっても、上記実施形態同様の効果が発揮される。
【0090】
本発明の概念として、鍛造装置1は、成形ダイ5の外周面に加える押圧力(リング押圧力に相当する)を調整して成形ダイ5の内径を変化させる押圧力調整手段(リング部材6、駆動部7、及び制御部9)を備えているといえる。第1実施形態のように、押圧力調整手段は、パンチ2の移動に応じて可変押圧力を変化させる。また、押圧力調整手段は、ワークWの上端部又は下端部が成形ダイ5の上下方向における所定位置Pに位置する際の可変押圧力を、ワークWの中間部が成形ダイ5の所定位置Pに位置する際の可変押圧力よりも大きくする。
【0091】
また、押圧力調整手段は、ワークWの成形ダイ5からの取り出しに際して、可変押圧力をワークWの成形時よりも小さくする。ギヤの製造方法は、ワークWの成形が完了した後にワークWを成形ダイ5から取り出す取り出し工程を含んでいる。この取り出し工程では、押圧力調整手段が、成形ダイ5の外周面に加わる押圧力(以下、可変押圧力という)をワークWの成形時よりも小さくする。これにより、成形ダイ5の内径(内側の寸法、通路断面積)が大きくなり、成形完了後のワークWを精度よく取り出すことができる。
【符号の説明】
【0092】
1、100、100A…鍛造装置、2…パンチ、3…カウンターパンチ(移動部材)、4…ガスシリンダ(反力付与装置)、5…成形ダイ、5a…成形溝、6…リング部材、7…駆動部、721…第1ノックアウトピン(連動部材、移動部材)、73…カラー部材、8…検出部、9…制御部、W…ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11