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特開2022-34642ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034642
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/02 20060101AFI20220225BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20220225BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220225BHJP
   C08K 3/24 20060101ALI20220225BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20220225BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20220225BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220225BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
C08L23/02
C08K3/34
C08K3/36
C08K3/24
C08K3/16
C08K5/42
B32B27/32 Z
B32B27/18 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138435
(22)【出願日】2020-08-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 佑典
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AA05B
4F100AA06B
4F100AA07
4F100AA07B
4F100AA20
4F100AA20B
4F100AC04B
4F100AH02
4F100AH02B
4F100AH08
4F100AH08B
4F100AK03B
4F100AK62
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10B
4F100CA18
4F100CA18B
4F100GB01
4F100JL02
4F100JN01
4F100YY00B
4J002BB031
4J002BB041
4J002BB051
4J002BB061
4J002BB071
4J002BB121
4J002BE031
4J002BG021
4J002DD059
4J002DD069
4J002DE117
4J002DE147
4J002DG047
4J002DG048
4J002DG049
4J002DG059
4J002DJ007
4J002DJ017
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002DJ057
4J002EH046
4J002EV238
4J002FD017
4J002FD070
4J002FD316
4J002GA01
(57)【要約】
【課題】
良好な透明性及び生産性を維持しつつ、流滴性を長期に持続できるポリオレフィン系農業フィルム用改質剤、ポリオレフィン系農業フィルム用マスターバッチ、ポリオレフィン系農業フィルム及び積層フィルムを提供する。
【解決手段】
ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤を、(A)非イオン性界面活性剤、(B)有機スルホン酸塩、(C)下記の無機塩、及び(D)無機物(前記(C)成分を除く)を含有するものとする。(C)成分は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムから選ばれる少なくとも一つである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非イオン性界面活性剤、(B)有機スルホン酸塩、(C)下記の無機塩及び(D)無機物(前記(C)成分を除く)を含有することを特徴とするポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
成分(C):硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムから選ばれる少なくとも一つ
【請求項2】
前記(A)成分が、多価アルコールと、脂肪酸及び脂肪酸誘導体から選ばれる少なくとも一つとから形成された分子中に水酸基を有する脂肪酸エステルである請求項1に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項3】
前記(B)成分が、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、及び炭素数6~22のアルキル基を有するスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つである請求項1又は2に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項4】
前記(D)成分が、シリカ、ゼオライト、タルク及び珪藻土から選ばれる少なくとも一つである請求項1~3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項5】
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記(D)成分を1~75質量部の割合で含有する請求項1~4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項6】
更に、(E)酸化防止剤を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項7】
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分及び前記(E)成分の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記(D)成分を2~70質量部の割合で含有する請求項6に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤とポリオレフィン系樹脂とを含有するポリオレフィン系農業フィルム用マスターバッチであって、
前記ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤及び前記ポリオレフィン系樹脂の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤を10~45質量部の割合で含有することを特徴とするポリオレフィン系農業フィルム用マスターバッチ。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤とポリオレフィン系樹脂とを含有するポリオレフィン系農業フィルムであって、
前記ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤及び前記ポリオレフィン系樹脂の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤を0.1~5質量部の割合で含有することを特徴とするポリオレフィン系農業フィルム。
【請求項10】
2層以上の積層フィルムであって、
少なくともどちらか一方の表層が、請求項9に記載のポリオレフィン系農業フィルムであることを特徴とする積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤、ポリオレフィン系農業フィルム用マスターバッチ、ポリオレフィン系農業フィルム及び積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル栽培やハウス栽培に用いられる農業フィルムには、耐久性、透明性、防曇性等様々な性能が求められており、多種多様な特性を有した機能性フィルムが提供されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
中でも、ポリオレフィン系樹脂組成物を成形したフィルムが広く用いられている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は疎水性であるため、水分による曇りや静電気による帯電等を引き起こすという問題を有する。農業フィルムが曇ると、太陽光の透過率が低下し、栽培作物の成長が遅れる虞がある。これを改善するため、様々な種類の防曇剤を含有するポリオレフィン系フィルムが知られている(特許文献3から5参照)。例えば、特許文献3では、多価アルコールと炭素数14~22の飽和脂肪酸との部分エステル化合物からなる防曇剤が用いられている。また、特許文献4では、ポリオレフィン系樹脂にソルビタンセスキステアレート等の非イオン系界面活性剤とアルキルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩が添加されている。特許文献5では、特定の非イオン性界面活性剤、特定の有機スルホン酸塩及び特定の無機塩をポリオレフィン系樹脂に配合することにより、優れた防曇性及び帯電防止性を実現している。
【0004】
しかし、これらのポリオレフィン系フィルムは、農業フィルムに求められる優れた流滴性を実現できていない。流滴性とは、フィルムの表面に付着した凝結水をフィルムの表面に沿って流れさせる特性である。フィルムの流滴性が低いと、栽培環境の湿度が高くなった際にフィルム表面で凝結した水分が滴下し、栽培作物に付着することにより悪影響を及ぼす虞がある。更に、原油の高騰による生産コストの増加などの課題もあり、生産性を低下させないことも望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-002105号公報
【特許文献2】特開平9-227744号公報
【特許文献3】特開平10-000035号公報
【特許文献4】特開平10-001571号公報
【特許文献5】特開2018-193512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため良好な透明性、生産性を維持しつつ、優れた流滴性を長期に持続できるポリオレフィン系農業フィルムが必要とされている。そして、このようなポリオレフィン系農業フィルムを実現できるポリオレフィン系農業フィルム用改質剤、ポリオレフィン系農業フィルム用マスターバッチも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によると、ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤は、(A)非イオン性界面活性剤、(B)有機スルホン酸塩、(C)下記の無機塩、及び(D)無機物(前記(C)成分を除く)を含有する。(C)成分は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムから選ばれる少なくとも一つである。
【0008】
前記(A)成分は、例えば、多価アルコールと、脂肪酸及び脂肪酸誘導体から選ばれる少なくとも一つと、から形成された分子中に水酸基を有する脂肪酸エステルである。
【0009】
前記(B)成分は、例えば、炭素数が6~22のアルキル基を有するアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、炭素数が6~22のアルキル基を有するアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、及び炭素数6~22のアルキル基を有するスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つである。
【0010】
前記(D)成分は、例えば、シリカ、ゼオライト、タルク及び珪藻土から選ばれる少なくとも一つである。
【0011】
ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤は、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記(D)成分を1~75質量部の割合で含有する。
【0012】
ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤は、更に、(E)酸化防止剤を含有してもよい。
【0013】
ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤は、例えば、(E)酸化防止剤を含有する場合、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分及び前記(E)成分の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記(D)成分を2~70質量部の割合で含有する。
【0014】
本開示の一態様によると、上述したいずれかのポリオレフィン系農業フィルム用改質剤とポリオレフィン系樹脂とを含有するマスターバッチでも良い。マスターバッチは、ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤及びポリオレフィン系樹脂の含有割合の合計を100質量部とした場合に、ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤を10~45質量部の割合で含有する。
【0015】
本開示の一態様によると、上述したいずれかのポリオレフィン系農業フィルム用改質剤とポリオレフィン系樹脂とを含有するポリオレフィン系農業フィルムでも良い。ポリオレフィン系農業フィルムは、ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤及びポリオレフィン系樹脂の含有割合の合計を100質量部とした場合に、ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤を0.1~5質量部の割合で含有する。
【0016】
本開示の一態様によると、少なくともどちらか一方の表層が、上述したいずれかのポリオレフィン系農業フィルムである積層フィルムとしてもよい。積層フィルムの層は、2層としてもよいし、中間層を設けて3層以上としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本開示の態様によると、良好な透明性、生産性を維持しつつ、流滴性が高く、かつ流滴性を長期に持続できるポリオレフィン系農業フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ポリオレフィン系農業フィルム>
本形態の農業フィルムは、ポリオレフィン系であって、例えばトンネル栽培、ハウス栽培の際に使用できる。ポリオレフィン系農業フィルム(以下、フィルムという)は、ポリオレフィン系樹脂にポリオレフィン系農業フィルム用改質剤(以下、改質剤という)を配合し、成形することにより作成される。また、ポリオレフィン系樹脂と高濃度の改質剤とを含有するマスターバッチを作成し、マスターバッチとポリオレフィン系樹脂との混合物を成形してフィルムを作成してもよい。
【0019】
≪ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤≫
改質剤は、(A)非イオン性界面活性剤、(B)有機スルホン酸塩、(C)特定の無機塩、及び(D)無機物(前記(C)成分を除く)を含有する。改質剤には任意に(E)酸化防止剤が含有されてもよい。
【0020】
<(A)成分:非イオン性面活性剤>
(A)非イオン性界面活性剤は、従来公知のものを使用することができ、その種類は特に限定されない。(A)非イオン性界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0021】
(A)成分は、界面活性剤である分子中に水酸基を有する脂肪酸エステルである。脂肪酸エステルは、例えば(a1)多価アルコールと、(a2)脂肪酸及び脂肪酸誘導体から選ばれる少なくとも一つと、から形成される。分子中に水酸基を有する脂肪酸エステルは、「部分エステル」と呼ぶ場合がある。
【0022】
(a1)多価アルコールとしては、1)エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース等の多価アルコール、2)ソルビタン、ソルバイド等の、ソルビトールの脱水によって得られる環状エーテル多価アルコール、3)ジグリセリン、エチレングリコールジグリセリルエーテル等の(ポリ)エーテルテトラオール、4)トリグリセリン、トリメチロールプロパンジグリセリルエーテル等の(ポリ)エーテルペンタオール、5)テトラグリセリン、ジペンタエリスリトール等の(ポリ)エーテルヘキサオールが挙げられる。(a1)多価アルコールは、例えば初期の流滴性の観点から、3~6価であることが好ましい。
【0023】
(a2)脂肪酸及び脂肪酸誘導体としては、カプロン酸、ソルビン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ドコサン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノレイン酸等の脂肪酸、及びそれらの誘導体が挙げられる。(a2)脂肪酸及び脂肪酸誘導体は、例えば初期の流滴性の観点から、炭素数8~22であることが好ましい。脂肪酸誘導体とは、脂肪酸の一部の官能基を他の官能基で置換したものであって、例えば(a1)多価アルコールと反応することにより脂肪酸エステルを形成可能なものである。
【0024】
<(B)成分:有機スルホン酸塩>
(B)有機スルホン酸塩は、従来公知のものを使用することができ、その種類は特に限定されない。(B)有機スルホン酸塩は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
(B)成分は、有機スルホン酸塩であり、例えば(b1)炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、(b2)炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、及び(b3)炭素数6~22のアルキル基を有するスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つである。(b1)炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルスルホン酸アルカリ金属塩は、例えば流滴性の持続性の観点から更に好ましい。
【0026】
(b1)炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルスルホン酸アルカリ金属塩としては、ヘキシルスルホン酸リチウム、ヘキシルスルホン酸ナトリウム、ヘキシルスルホン酸カリウム、オクチルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸カリウム、ノニルスルホン酸リチウム、ノニルスルホン酸ナトリウム、ノニルスルホン酸カリウム、デシルスルホン酸リチウム、デシルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸カリウム、ウンデシルスルホン酸リチウム、ウンデシルスルホン酸ナトリウム、ウンデシルスルホン酸カリウム、ドデシルスルホン酸リチウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、トリデシルスルホン酸リチウム、トリデシルスルホン酸ナトリウム、トリデシルスルホン酸カリウム、テトラデシルスルホン酸リチウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸カリウム、ペンタデシルスルホン酸リチウム、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルスルホン酸カリウム、ヘキサデシルスルホン酸リチウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸カリウム、ヘプタデシルスルホン酸リチウム、ヘプタデシルスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルスルホン酸カリウム、オクタデシルスルホン酸リチウム、オクタデシルスルホン酸ナトリウム、オクタデシルスルホン酸カリウム、ベヘニルスルホン酸リチウム、ベヘニルスルホン酸ナトリウム、ベヘニルスルホン酸カリウム等が挙げられる。(b2)炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩としては、ヘキシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルベンゼンスルホン酸カリウム、オクチルベンゼンスルホン酸リチウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸カリウム、ノニルベンゼンスルホン酸リチウム、ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノニルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸リチウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸リチウム、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸カリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸リチウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸リチウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸カリウム等、ジブチルナフタレンスルホン酸リチウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等、ジブチルナフタレンスルホン酸カリウム等が挙げられる。(b3)炭素数6~22のアルキル基を有するスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩としては、ジエチルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジプロピルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸エステルカリウム、ジドデシルスルホコハク酸エステルリチウム、ジエイコシルスルホコハク酸エステルリチウム、ドデシルスルホ酢酸エステルナトリウム、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(オキシエチレン単位の繰り返し数1~10)スルホ酢酸エステルカリウム等が挙げられる。(B)成分が(b1)から(b3)である場合、ナトリウム塩であることがより好ましい。
【0027】
<(C)成分:無機塩>
(C)成分は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムから選ばれる少なくとも一つの無機塩である。例えば流滴性、透明性の観点から、(C)無機塩は硫酸ナトリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0028】
<(D)成分:無機物>
(D)成分は、(C)成分以外の無機物であればよく、その種類は特に限定されない。なお(D)成分は、(C)成分が上述のように特定されているため明瞭に特定していると考える。(D)無機物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0029】
(D)成分の無機物としては、例えば、硫酸マグネシウム、硝酸カリウム等の無機塩、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化鉄、フェライト等の酸化物系無機粒子、及び、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、マイカ、クレー等の珪酸塩系無機粒子が挙げられる。例えば、フィルムは、インフレーション成形等によって成形される。このときに、(D)成分によって、フィルム生産時の押出変動が抑制され、生産性が良好に保持される。(D)成分は、シリカ、ゼオライト、タルク、又は珪藻土であることが好ましく、シリカ、ゼオライト、又はタルクであることが更に好ましく、シリカ又はゼオライトであることがより好ましく、シリカであることが最も好ましい。
【0030】
<(E)成分:酸化防止剤>
(E)酸化防止剤は、従来公知のものであればよく、その種類は特に限定されない。(E)酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0031】
(E)酸化防止剤としては、例えば3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等のフェノール系酸化防止剤、ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ) -1-オキソプロピルオキシ]メチル]-1,3-プロパンジイル等の硫黄系酸化防止剤、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)等のリン系酸化防止剤、2-tert-ブチル-6-メチル-4-{3-[(2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ]プロピル}フェノール等のフェノールリン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0032】
<含有割合>
改質剤は、(A)~(D)成分の含有割合の合計を100質量部とした場合に、(D)成分を1~75質量部の割合で含有することが好ましい。また、(A)~(D)成分の含有割合の合計を100質量部とした場合に、(D)成分を2~60質量部の割合で含有することが更に好ましく、5~40質量部の割合で含有することがより好ましい。
【0033】
改質剤は、(E)成分である酸化防止剤を含有しても良い。この場合、(A)~(E)成分の含有割合の合計100質量部に対して、例えば生産性の観点から(D)成分を2~70質量部の割合で含有することが好ましく、5~40質量部の割合で含有することが更に好ましい。
【0034】
<ポリオレフィン系樹脂>
ポリオレフィン系樹脂としては、アルファオレフィンの単独重合、アルファオレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体が挙げられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、エチレン-オクテン共重合体等のエチレン-アルファオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニルから得られる共重合体をけん化して得られるエチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル-メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等が挙げられる。上記二つ以上のポリオレフィン系樹脂を混合して用いることもできる。
【0035】
これらのポリオレフィン系樹脂には、合目的的に添加剤を含有させることもできる。かかる添加剤としては、耐候剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、アンチブロッキング剤、防霧剤、保温剤、熱安定剤、中和剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、結晶核剤、顔料等の機能付与剤が挙げられる。
【0036】
<マスターバッチ>
ポリオレフィン系農業フィルム用マスターバッチ(以下、マスターバッチという)は、上述したいずれかのポリオレフィン系農業フィルム用改質剤とポリオレフィン系樹脂とを含有して生成される。マスターバッチには、本開示の目的を阻害しない範囲であれば、合目的的に他の剤を含有させることができる。かかる他の剤としては、耐候剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、防霧剤、保温剤、熱安定剤、中和剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、結晶核剤、顔料等等が挙げられる。
【0037】
マスターバッチの製造方法には公知の方法を用いることができる。これには例えば、1)予めポリオレフィン系樹脂と、前記(A)~(D)成分とを高濃度に含有するマスターバッチを作製しておき、このマスターバッチを更にポリオレフィン系樹脂と混合して所定のポリオレフィン系樹脂組成物とする方法、2)予めポリオレフィン系樹脂と、前記(A)~(D)成分とをタンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機に投入して混合し、その混合物を単軸押出し機や多軸押出し機等の押出し機により溶融混練しつつ造粒して所定のポリオレフィン系樹脂組成物とする方法、3)ポリオレフィン系樹脂を単軸押出し機や多軸押出し機等の押出し機により溶融状態としたところへ、前記(A)~(D)成分をサイドフィード又は液状注入により混合し、溶融混練しつつ造粒して所定のポリオレフィン系樹脂組成物とする方法、4)2)及び3)を組み合わせて行う方法等が挙げられる。1)のマスターバッチの製造は、前記2)、3)及び4)と同様に行うことができる。ポリオレフィン系樹脂と、前記(A)~(D)成分を混合する手段として、タンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機による混合、サイドフィード、液状注入のどの方法を採用するかは、ポリオレフィン系樹脂、前記(A)~(D)成分の形状によって決めることができ、固体の場合はタンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機による混合又はサイドフィードを採用し、また液体の場合は液状注入又はスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を採用する。固体のものについては、液状のものに溶解又は分散させた後、液体又は液状体として混合することもできる。
【0038】
<ポリオレフィン系樹脂フィルム>
フィルムを成形する方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、空冷インフレーション成形、空冷2段インフレーション成形、空冷3段インフレーション成形、水冷インフレーション成形等のインフレーション成形、Tダイとしてストレート・マニホールド型、コート・ハンガー型、これらを組み合わせたもの等を用いたTダイ成形が挙げられる。フィルムはインフレーション成形、Tダイ成形等が挙げられる。なお、フィルムの成形に用いられる樹脂組成物としては、ポリオレフィン系樹脂に上述のマスターバッチを混合した樹脂組成物と、ポリオレフィン系樹脂に直接改質剤を混合した樹脂組成物とのいずれを用いてもよい。フィルムの厚みは、例えば10μm~300μmであるが、この厚さに限定されない。
【0039】
<積層フィルム>
積層フィルムは、例えば2層以上の積層フィルムであって、上述の改質剤を含有する改質フィルムを少なくともどちらか一方の表層として有する。積層フィルムの他の層は、熱可塑性樹脂、接着剤、アンカーコート剤、接着性樹脂等によって形成される。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6等のポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂として、改質フィルムに含有される材料と同じポリオレフィン系樹脂を用いることもできる。熱可塑性樹脂には、合目的的に添加剤を含有させることもできる。添加剤としては、耐候剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、防霧剤、保温剤、熱安定剤、中和剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、結晶核剤、顔料等が挙げられる。
【0040】
積層フィルムは、公知の方法で製造できる。例えば製造方法としては、ドライラミネート法、サンドラミネート法、押出しラミネート法、共押し出し法等が挙げられる。ドライラミネート法、サンドラミネート法、押出しラミネート法により積層フィルムを製造する場合には、公知のポリウレタン系接着剤、有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤及び接着性樹脂等を使用することができる。共押し出し法による製造では、インフレーション成形及びTダイ成形を用いることができ、未延伸及び延伸方法による延伸のどちらの成形方法を用いることもできる。フィルムの厚みは、例えば10μm~300μmであるが、この厚さに限定されない。
【0041】
本開示のポリオレフィン系樹脂用改質剤は、(A)非イオン性界面活性剤、(B)有機スルホン酸塩、(C)特定の無機塩、及び(D)特定の無機物を含有して成る。これにより、良好な透明性及び生産性を維持しながら、優れた流滴性を発現できる。流滴性は、農業フィルムとして重要な効果である。しかもフィルムを製膜する際に押出変動が生じる可能性を低減できるため、安定した膜厚のフィルムを得ることができ、生産性を向上することができる。
【実施例0042】
以下、本開示の構成及び効果をより具体的とする実施例を以下に挙げる。以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、%は質量%を意味する。表1は、各実施例および各比較例におけるポリオレフィン系農業フィルム用改質剤の成分とその質量比を示す。
【0043】
実施例1-1:改質剤(K-1)
非イオン性界面活性剤としてジグリセリンとラウリン酸の部分エステル(A-1)63.20部、有機スルホン酸塩としてアルキル基の炭素数13~18のアルキルスルホン酸ナトリウム(B-1)14.22部、無機塩として硫酸ナトリウム(C-1)1.58部、無機物としてシリカ(D-1)を20.50部、及び酸化防止剤として3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(E-1)0.5部を均一混合することで、改質剤(K-1)を得た。
【0044】
実施例1-2~1-15及び比較例1-1~1-4:改質剤(K-2~K-15およびk-1~k―4)
実施例1-1の改質剤(K-1)と同様にして、表1に示す組成の実施例1-2~1-15の各改質剤(K-2~K-15)および比較例1-1~1-4の改質剤(k-1~k-4)を得た。
【表1】

表1において、
※1:A成分、B成分、C成分及びD成分の含有割合を100質量部とした場合のD成分の含有割合
※2:A成分、B成分、C成分、D成分及びE成分の含有割合を100質量部とした場合のD成分の含有割合
【0045】
A-1: ジグリセリンとラウリン酸の部分エステル
A-2:ジグリセリンとステアリン酸の部分エステル
A-3:グリセリンとオレイン酸の部分エステル
A-4:ソルビタンとラウリン酸の部分エステル
A-5:テトラグリセリンとヘキサン酸の部分エステル
A-6:エチレングリコールとドコサン酸の部分エステル
A-7:グリセリンと酢酸の部分エステル
A-8:デカグリセリンとラウリン酸の部分エステル
【0046】
B-1:アルキル基の炭素数13~18のアルキルスルホン酸ナトリウム
B-2:ペンタデシルスルホン酸ナトリウム
B-3:ヘキシルスルホン酸ナトリウム
B-4:ベヘニルスルホン酸ナトリウム
B-5:アルキル基の炭素数10~16のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
B-6:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
B-7:ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム
B-8:ジオクチルスルホコハク酸エステルカリウム
【0047】
C-1:硫酸ナトリウム
C-2:塩化ナトリウム
C-3:塩化カリウム
C-4:塩化リチウム
C-5:塩化カルシウム
C-6:硫酸カリウム
c-1:オレイン酸ナトリウム
【0048】
D-1:シリカ
D-2:ゼオライト
D-3:タルク
D-4:珪藻土
【0049】
E-1:イルガノックス1076(ヒンダードフェノール系、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル)
E-2:イルガノックス1010(ヒンダードフェノール系、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート])
E-3:イルガフォス168(ホスファイト系、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル))
【0050】
表2は、各実施例および各比較例における樹脂組成物(マスターバッチ)の成分とその含有量を示す。
【0051】
実施例2-1:マスターバッチ(N-1)
オレフィン系樹脂としてエチレン-(1-ヘキセン)共重合体(密度:0.930g/cm、MFR:1.0g/10分、エチレン共重合比率96%)(R-1)80部と、実施例1-1で得た改質剤(K-1)20部を均一混合した。これにより改質剤の濃度が20%となるマスターバッチ(N-1)を得た。
【0052】
実施例2-2~2-15及び比較例2-1~2-4:マスターバッチ(N-2~N-15及びn-1~n-4)
実施例2-1のマスターバッチ(N-1)と同様にして、表2に示す組成の実施例2-2~2-15のマスターバッチ(N-2~N-15)及び比較例2-1~2-4のマスターバッチ(n-1~n-4)を得た。
【表2】
【0053】
表2において、R-1~R-4は、それぞれ以下を表す。
R-1:エチレン-(1-ヘキセン)共重合体(密度:0.930g/cm、MFR:1.0g/10分、エチレン共重合比率96%)
R-2:エチレン-(1-ブテン)共重合体(密度:0.920g/cm、MFR:2.1g/10分、エチレン共重合比率95%)
R-3:エチレン-プロピレン共重合体(密度:0.90g/cm、MFR:7.0g/10分、エチレン共重合比率4%)
R-4:エチレン・酢酸ビニル共重合体(密度:0.936g/cm3、MFR:2.0g/10分、エチレン共重合比率85%)
【0054】
表3は、各実施例および各比較例におけるフィルムの製造原料とフィルムの組成と厚さを示す。フィルムの製造原料の欄には、フィルムを製造した際のポリオレフィン系樹脂とマスターバッチの各使用量を示す。フィルムの組成の欄には、製造されたフィルムにおけるポリオレフィン系樹脂と改質剤の各含有量を示す。
【0055】
実施例3-1:フィルム(F-1)
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン-(1-ヘキセン)共重合体(密度:0.930g/cm、MFR:1.0g/10分、エチレン共重合比率96%)(R-1)90部と、実施例2-1で得たマスターバッチ(N-1)10部をタンブラーで混合して混合材料を得た。混合材料をTダイ法により30℃に冷却しながら押し出して80μmのフィルム(F-1)を得た。得られた混合材料及びフィルムは、ポリオレフィン系樹脂98部に対して、改質剤を2部含有していた。
【0056】
実施例3-2~3-15及び比較例3-1~3-4:フィルム(F-2~F-15及びf-1~f-4)
実施例3-1のフィルム(F-1)と同様にして、表3に示す組成及び膜厚の実施例3-2~3-15のフィルム(F-2~F-15)及び比較例3-1~3-4のフィルム(f-1~f-4)を得た。
【表3】
【0057】
表4は、単層フィルムについて、流滴性、透明性、外観および生産性の各評価を行った結果を示す。
【0058】
流滴性の評価
20℃の雰囲気下に水温40℃の水を張った水槽を置き、30度の斜度を付けた金型にフィルムを張った。3時間後にフィルムの表面に対する水滴の付き具合を観察して、以下の基準で初期の流滴性を評価した。10日後にもフィルムの表面に対する水滴の付き具合を観察して、同基準で流滴性の持続性を評価した。
【0059】
流滴性の評価基準
4:水滴の付着無し
3:水滴の付着面積が50%未満
2:水滴の付着面積が50%以上80%未満
1:水滴の付着面積が80%以上
【0060】
透明性の評価
フィルムを、20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した。その後、ヘイズメーター(日本電色工業社製の商品名(NDH-5000))を用いて、JIS K 7136:2000に準拠した方法によりヘイズ値を測定した。以下の基準でフィルムの透明性を評価した。
【0061】
透明性の評価基準
3(優):10%未満(透明性が優れている)
2(良):10%以上且つ20%未満(透明性が良好である)
1(不良):20%以上(透明性が劣る)
【0062】
外観の評価
フィルムを、20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した後、目視でフィルムを観察した。以下の基準でフィルムの外観を評価した。
【0063】
外観の評価基準
3(優):フィルムにブツ(無機物の分散不良)が観察されない
2(良):フィルムにブツがわずかに観察される
1(不良):フィルムにブツが多く観察される
【0064】
生産性の評価
フィルムを製膜する際に、フィルムの製膜安定性を目視で観察した。以下の基準で生産性を評価した。
【0065】
生産性の評価基準
4(優):製膜開始から5時間以上製膜フィルムに押出変動が見られず、安定した膜厚のフィルムが得られた。
3(良):製膜開始から2時間以上5時間未満に製膜フィルムに押出変動が見られず、安定した膜厚のフィルムが得られた。
2(可):製膜開始から30分以上2時間未満に製膜フィルムに押出変動がみられなかったが、安定した膜厚のフィルムが得られなかった。
1(不良):製膜開始から30分未満に製膜フィルムに押出変動がみられ、安定した膜厚のフィルムが得られなかった。
【表4】
【0066】
実施例3-1から3-15は、優れた流滴性、透明性、外観、及び生産性を有していた。一方、比較例3-1は、(C)無機塩が硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムのいずれにも該当しないため、流滴性の持続性が劣っていた。比較例3-2は(A)非イオン性界面活性剤を含まないため、流滴性が劣っていた。比較例3-3は(B)有機スルホン酸塩を含まないため、流滴性の持続性が劣っていた。比較例3-4は(D)無機物を含まないため、生産性が劣っていた。
【0067】
表5は、各実施例および各比較例における積層フィルムを示す。積層フィルムは、改質剤を含有するフィルムであるA層と、改質剤を含まないポリオレフィン系樹脂であるB層とC層を備える。A層の製造原料の欄には、フィルムを製造した際のポリオレフィン系樹脂とマスターバッチの各使用量を示す。A層の組成の欄には、製造されたA層におけるポリオレフィン系樹脂と改質剤の各含有量を示す。表5には、さらに各層の厚さの比と積層フィルムの膜厚を示す。
【0068】
実施例4-1:積層フィルム(M-1)
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン-(1-ヘキセン)共重合体(密度:0.930g/cm、MFR:1.0g/10分、エチレン共重合比率96%)(R-1)90部と、製造したマスターバッチ(N-1)10部を混合して混合材料を得た。混合材料は、ポリオレフィン系樹脂98部に対して改質剤を2部含有していた。得られた混合材料を片側の外層(表層1:A層)の原料として利用した。エチレン-(1-ヘキセン)共重合体(R-1)を中間層(B層)の原料、及び他方の外層(表層2:C層)の原料として利用した。A~C層をTダイ法により30℃に冷却しながら共押し出しして、厚さ100μmの3層の積層フィルム(M-1)を得た。各層の厚さの比は、A層/B層/C層=1/8/1とした。
【0069】
実施例4-2~4-15及び比較例4-1~4-4:積層フィルム(M-2~M-15及びm-1~m-4)
実施例4-1の積層フィルム(M-1)と同様にして、表5に示す組成及び膜厚の実施例4-2~4-15の積層フィルム(M-2~M-15)及び比較例4-1~4-4の積層フィルム(m-1~m-4)を得た。
【表5】
【0070】
表6は、積層フィルムについても、上述する流滴性、透明性、外観および生産性の各評価を行った結果を示す。なお、流滴性試験においては、A層が水滴付着面(下方を向くよう)30度の斜度を付けた金型にフィルムを張り、試験を行った。
【0071】
【表6】
【0072】
実施例4-1から4-15は、優れた流滴性、透明性、外観、及び生産性を有していた。一方、比較例4-1は、(C)無機塩が硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムのいずれにも該当しないため、流滴性の持続性が劣っていた。比較例4-2は(A)非イオン性界面活性剤を含まないため、流滴性が劣っていた。比較例4-3は(B)有機スルホン酸塩を含まないため、流滴性の持続性が劣っていた。比較例4-4は(D)無機物を含まないため、生産性が劣っていた。
【手続補正書】
【提出日】2020-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非イオン性界面活性剤、(B)有機スルホン酸塩、(C)下記の無機塩及び(D)無機物(前記(C)成分を除く)を含有することを特徴とするポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
成分(C):硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムから選ばれる少なくとも一つ
【請求項2】
前記(A)成分が、多価アルコールと、脂肪酸及び脂肪酸誘導体から選ばれる少なくとも一つとから形成された分子中に水酸基を有する脂肪酸エステルである請求項1に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項3】
前記(B)成分が、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、炭素数6~22のアルキル基を有するアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、及び炭素数6~22のアルキル基を有するスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つである請求項1又は2に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項4】
前記(D)成分が、シリカ、ゼオライト、タルク及び珪藻土から選ばれる少なくとも一つである請求項1~3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項5】
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記(D)成分を1~75質量部の割合で含有する請求項1~4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項6】
更に、(E)酸化防止剤を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【請求項7】
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分及び前記(E)成分の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記(D)成分を2~70質量部の割合で含有する請求項6に記載のポリオレフィン系農業フィルム用改質剤。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系農業フィルム用改質剤に関する。