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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034669
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220225BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138477
(22)【出願日】2020-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】塔本 健太
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707BS26
3C707CT04
3C707CU02
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT30
3C707LV15
5F131AA02
5F131AA03
5F131CA38
5F131DB04
5F131DB54
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB92
(57)【要約】
【課題】直線移動機構によって移動させられる一対のハンドを備えた搬送装置において、小型化および低コスト化を図るのに適した構造を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置A1は、直線移動機構4と、直線移動機構4に支持され、当該直線移動機構4の作動によりワークWを水平直線状の移動行程GLに沿って搬送する第1および第2のハンド5A,5Bと、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)に駆動力を与える第1駆動源M3と、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)と第1駆動源M3との間に介在する差動ギア機構6と、を備える。また、搬送装置A1は、第1および第2の駆動機構43A,43Bそれぞれに対応し、駆動オン状態と駆動オフ状態とに切り替えるための第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ベースと、
この固定ベースに対して垂直状の旋回軸線の周りに旋回可能に支持された旋回ベースと、
この旋回ベースに支持された直線移動機構と、
この直線移動機構に支持され、上記直線移動機構の作動によりワークを水平直線状の移動行程に沿って搬送する第1および第2のハンドと、
上記直線移動機構に駆動力を与える第1駆動源と、
上記直線移動機構と上記第1駆動源との間に介在し、上記第1駆動源による駆動力が伝達される入力軸と、第1および第2の出力軸とを有する差動ギア機構と、を備え、
上記直線移動機構は、上記第1および第2の出力軸につながる第1および第2の駆動軸を有し、上記第1および第2のハンドをそれぞれ駆動する第1および第2の駆動機構を含み、
上記第1の出力軸の回転を許容し、または上記第1の出力軸の回転が上記第1の駆動軸に伝達する駆動オン状態と、上記第1の出力軸の回転を停止し、または上記第1の出力軸の回転が上記第1の駆動軸に伝達しない駆動オフ状態と、に切り替えるための第1の駆動状態切り替え機構と、
上記第2の出力軸の回転を許容し、または上記第2の出力軸の回転が上記第2の駆動軸に伝達する駆動オン状態と、上記第2の出力軸の回転を停止し、または上記第2の出力軸の回転が上記第2の駆動軸に伝達しない駆動オフ状態と、に切り替えるための第2の駆動状態切り替え機構と、を備える、搬送装置。
【請求項2】
上記第1の駆動機構は、水平軸線に沿って配置された上記第1の駆動軸と、上記第1の駆動軸に取り付けられた第1の駆動プーリを含む複数の第1のプーリ、および、垂直面内に沿うように上記複数の第1のプーリに掛け回され、上記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する第1の出力ベルトを含み、
上記第2の駆動機構は、水平軸線に沿って配置された上記第2の駆動軸と、上記第2の駆動軸に取り付けられた第2の駆動プーリを含む複数の第2のプーリ、および、垂直面内に沿うように上記複数の第2のプーリに掛け回され、上記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する第2の出力ベルトを含み、
上記直線移動機構は、上記第1および第2のハンドをそれぞれ移動可能に支持する第1および第2のガイドレールと、上記第1のハンドおよび上記第1の出力ベルトを連結する第1の連結部材と、上記第2のハンドおよび上記第2の出力ベルトを連結する第2の連結部材と、を含む、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記第1および第2の出力軸、ならびに上記第1および第2の駆動軸は、同軸状に配置されている、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記旋回ベースは、上記旋回軸線を中心とする旋回筒部を備え、
上記第1駆動源は、上記旋回筒部の内部に配置されている、請求項2または3に記載の搬送装置。
【請求項5】
上記固定ベースに対して昇降可能に支持され、かつ上記旋回ベースを支持する昇降ベースと、上記旋回ベースに旋回駆動力を与える第2駆動源と、上記第1駆動源および上記第2駆動源それぞれによる回転を減速して出力する2軸出力減速機と、を備え、
上記昇降ベースは、上記旋回軸線を中心とする円筒部を有し、
上記2軸出力減速機は、上記昇降ベースに支持されており、
上記第1駆動源、上記第2駆動源および上記2軸出力減速機は、上記円筒部の内部に配置されている、請求項2または3に記載の搬送装置。
【請求項6】
上記第1および第2の駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備える、請求項1ないし5のいずかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、より詳細には、基板等の薄板状のワークを直線状に搬送することができる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置のうち、直線状の移動行程に沿ってハンドを移動させる機構(直線移動機構)をもつものは、いわゆる多関節型ロボットに比較して構成が簡単で安価であり、たとえば、半導体製造装置の製造工程、あるいは、FPD(Flat Panel Display)の製造工程において、各処理室へのウエハ、あるいはガラス基板等の薄板状のワークの搬入あるいは搬出用として多用されている。
【0003】
このような薄板状のワークを搬送するための搬送装置としては、たとえば下記の特許文献1に開示されたものがある。この搬送装置は、固定ベースと、固定ベースに旋回可能に支持された旋回ベースと、旋回ベースに支持された直線移動機構と、直線移動機構に各別に支持された一対のハンドと、を備えている。直線移動機構は、一対のハンドをそれぞれ駆動する一対の駆動機構(たとえばベルト駆動機構)を有し、駆動機構が駆動すると、ハンドが水平方向に直線移動させられる。これにより、一対のハンドに保持された薄板状ワークを水平直線状の移動行程に沿って各別に搬送することが可能である。
【0004】
固定ベースないし旋回ベースの内部には、旋回ベースを旋回駆動させるためのモータ、および一対のハンド(一対の駆動機構)を駆動させるための一対のモータが配置されている。また、これら3つのモータにそれぞれ対応する3つの減速機が設けられており、各モータによる駆動力は、当該モータに対応する減速機を介して旋回ベースあるいはハンドに伝達される。
【0005】
近年では、たとえばFPDに使用されるガラス基板等のサイズの大型化により、搬送装置において搬送するべきワークもまた、大型化するとともに相当の重量を有する。また、ワークを保持するハンドの移動距離についても長大化が求められる。そうすると、一対のハンドや旋回ベースを駆動させるための複数のモータおよび複数の減速機もそれぞれ大型化し、これらの重量およびコストが嵩むとともに、搬送装置全体の大型化を招く傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-272847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、直線移動機構によって移動させられる一対のハンドを備えた搬送装置において、小型化および低コスト化を図るのに適した構造を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0009】
本発明によって提供される搬送装置は、固定ベースと、この固定ベースに対して垂直状の旋回軸線の周りに旋回可能に支持された旋回ベースと、この旋回ベースに支持された直線移動機構と、この直線移動機構に支持され、上記直線移動機構の作動によりワークを水平直線状の移動行程に沿って搬送する第1および第2のハンドと、上記直線移動機構に駆動力を与える第1駆動源と、上記直線移動機構と上記第1駆動源との間に介在し、上記第1駆動源による駆動力が伝達される入力軸と、第1および第2の出力軸とを有する差動ギア機構と、を備え、上記直線移動機構は、上記第1および第2の出力軸につながる第1および第2の駆動軸を有し、上記第1および第2のハンドをそれぞれ駆動する第1および第2の駆動機構を含み、上記第1の出力軸の回転を許容し、または上記第1の出力軸の回転が上記第1の駆動軸に伝達する駆動オン状態と、上記第1の出力軸の回転を停止し、または上記第1の出力軸の回転が上記第1の駆動軸に伝達しない駆動オフ状態と、に切り替えるための第1の駆動状態切り替え機構と、上記第2の出力軸の回転を許容し、または上記第2の出力軸の回転が上記第2の駆動軸に伝達する駆動オン状態と、上記第2の出力軸の回転を停止し、または上記第2の出力軸の回転が上記第2の駆動軸に伝達しない駆動オフ状態と、に切り替えるための第2の駆動状態切り替え機構と、を備える。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記第1の駆動機構は、水平軸線に沿って配置された上記第1の駆動軸と、上記第1の駆動軸に取り付けられた第1の駆動プーリを含む複数の第1のプーリ、および、垂直面内に沿うように上記複数の第1のプーリに掛け回され、上記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する第1の出力ベルトを含み、上記第2の駆動機構は、水平軸線に沿って配置された上記第2の駆動軸と、上記第2の駆動軸に取り付けられた第2の駆動プーリを含む複数の第2のプーリ、および、垂直面内に沿うように上記複数の第2のプーリに掛け回され、上記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する第2の出力ベルトを含み、上記直線移動機構は、上記第1および第2のハンドをそれぞれ移動可能に支持する第1および第2のガイドレールと、上記第1のハンドおよび上記第1の出力ベルトを連結する第1の連結部材と、上記第2のハンドおよび上記第2の出力ベルトを連結する第2の連結部材と、を含む。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記第1および第2の出力軸、ならびに上記第1および第2の駆動軸は、同軸状に配置されている。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記旋回ベースは、上記旋回軸線を中心とする旋回筒部を備え、上記第1駆動源は、上記旋回筒部の内部に配置されている。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記固定ベースに対して昇降可能に支持され、かつ上記旋回ベースを支持する昇降ベースと、上記旋回ベースに旋回駆動力を与える第2駆動源と、上記第1駆動源および上記第2駆動源それぞれによる回転を減速して出力する2軸出力減速機と、を備え、上記昇降ベースは、上記旋回軸線を中心とする円筒部を有し、上記2軸出力減速機は、上記昇降ベースに支持されており、上記第1駆動源、上記第2駆動源および上記2軸出力減速機は、上記円筒部の内部に配置されている。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記第1および第2の駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備える。
【0015】
好ましい実施の形態においては、上記旋回ベースの上方に配置され、かつ上記差動ギア機構を収容する収容ケース部を備え、上記第1および第2の駆動軸と上記収容ケース部との間には、シール機構が介装されている。
【0016】
好ましい実施の形態においては、上記差動ギア機構の上記入力軸と上記旋回ベースの上端部との間には、シール機構が介装されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る搬送装置は、直線移動機構と、当該直線移動機構の作動によりワークを水平直線状の移動行程に沿って搬送する第1および第2のハンドと、直線移動機構(第1および第2の駆動機構)に駆動力を与える第1駆動源と、直線移動機構(第1および第2の駆動機構)と第1駆動源との間に介在する差動ギア機構と、を備える。また、搬送装置は、第1および第2の駆動機構それぞれに対応する第1および第2の駆動状態切り替え機構を備える。このような構成によれば、第1および第2の駆動状態切り替え機構それぞれの駆動状態(駆動オン状態または駆動オフ状態)を適宜切り替えることにより、第1駆動源の駆動力を第1および第2の駆動機構のいずれか一方にのみ伝達させることができる。その結果、単一の第1駆動源により2つの第1および第2のハンドのいずれか一方を走行駆動させることが可能である。したがって、本発明の搬送装置によれば、直線移動機構を駆動させるための駆動源およびこれに対応する減速機を削減することができ、搬送装置全体の小型化および低コスト化を図ることが可能である。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る搬送装置の全体斜視図である。
図2図1に示す搬送装置の平面図である。
図3図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5図3のV-V線に沿う断面図である。
図6】第1実施形態の変形例に係る搬送装置を示す、図4と同様の断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る搬送装置を示す、図3と同様の断面図である。
図8図7の部分拡大図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る搬送装置を示す、図4と同様の断面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る搬送装置を示す、図3と同様の断面図である。
図11図10の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0021】
図1図5は、本発明の第1実施形態に係る搬送装置を示している。搬送装置A1は、たとえば液晶表示パネル用の基板等といった薄板状のワークWを搬送するためのものである。この搬送装置A1は、図1図3に表れているように、固定ベース1と、この固定ベース1に対して垂直状の旋回軸線Os周りに旋回可能に支持された旋回ベース2と、旋回ベース2に支持されたガイド部材3および直線移動機構4と、直線移動機構4に各別に支持された第1および第2のハンド5A,5Bと、差動ギア機構6と、第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bと、モータM1,M2,M3と、を備えている。ハンド5A,5Bは、上記薄板状のワークWを水平姿勢で保持するためのものである。
【0022】
図3によく表れているように、固定ベース1は、底壁部11と、円筒状の側壁部12と天井壁13とを備えた、略円柱状の外形を有するハウジング10を備えている。天井壁13には、中心開口13Aが形成されている。固定ベース1の内部下端寄りには、モータM1が配置されている。
【0023】
固定ベース1の内部には、昇降ベース14が支持されている。昇降ベース14は、中心開口13Aよりも小径の外径をもち、上下方向に所定の寸法を有する円筒部141と、この円筒部141の下端に形成された外向フランジ部142とを有している。円筒部141は、旋回軸線Osを中心とする円筒状とされている。ハウジング10の側壁部12の内壁には、上下方向の直線ガイドレール15が複数取り付けられているとともに、昇降ベース14の外向フランジ部142に設けた複数のガイド部材16が直線ガイドレール15に対して上下方向スライド移動可能に支持されている。これにより、昇降ベース14は、固定ベース1に対し、上下方向に所定範囲内で移動可能であり、このとき、昇降ベース14の円筒部141の上部がハウジング10の中心開口13Aから出没する。また、昇降ベース14(外向フランジ部142)には、モータM2が支持されている。
【0024】
固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の外向フランジ部142との間には、この昇降ベース14の円筒部141を取り囲むようにして配置されたベローズ17の両端が連結されている。このベローズ17は、昇降ベース14の上下方向の移動にかかわらず、固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の外向フランジ部142との間を気密シールする。
【0025】
固定ベース1の内部にはまた、ベローズ17の外側において、鉛直方向に配置されて回転するネジ軸181と、このネジ軸181に螺合され、かつ昇降ベース14の外向フランジ部142に貫通状に固定されたナット部材182とからなるボールネジ機構18が配置されている。ネジ軸181は、その下端に取付けたプーリ183に掛け回されたベルト184によってモータM1に連係されており、このモータM1の駆動により、正逆方向に回転させられる。このようにしてネジ軸181を回転することにより、昇降ベース14が昇降させられる。
【0026】
旋回ベース2は、図3に表れているように、旋回筒部21と、その上方に一体的につながる上板22とを備えている。旋回筒部21は、旋回軸線Osを中心とする概略円筒状とされている。旋回筒部21は、昇降ベース14の円筒部141の内部にベアリング231,232を介して旋回軸線Osを中心として回転可能に支持されている。円筒部141と旋回筒部21との間にはまた、ベアリング231,232よりも上位に位置するシール部233が介装されている。シール部233は、当該シール部233よりも上方の空間と、シール部233よりも下方の昇降ベース14の内側空間とを遮蔽して気密性を保持するものである。昇降ベース14には、モータM2および減速機24が支持されている。減速機24の入力軸にはプーリ241が取り付けられており、このプーリ241とモータM2の出力軸に取り付けたプーリとの間にベルト242が掛け回されている。減速機24の出力軸は、旋回筒部21の下端に連結されている。これにより、モータM2を駆動させると、旋回ベース2が旋回軸線Os周りに旋回する。
【0027】
図3および図4に表れているように、旋回ベース2の旋回筒部21の内部には、モータM3および減速機25が配置されている。減速機25は、後述するガイド部材3の底壁31の下端面に固定されている。モータM3は、直線移動機構4(後述する第1および第2の駆動機構43A,43B)に駆動力を与えるものであり、本発明で言う第1駆動源の一例に相当する。減速機25の入力軸はモータM3の出力軸に連結されている。減速機25の出力軸は、後述の差動ギア機構6の入力軸61に連結されている。
【0028】
ガイド部材3は、水平方向に延びる長手軸線(移動行程GL)を有する平面視略長矩形の箱状とされており、底壁31、側壁32、中壁33、カバー34、およびケース壁35を有する。底壁31の中央には開口が形成されており、この開口を通じて減速機25の出力軸と差動ギア機構6の入力軸61とが連結される。ガイド部材3(底壁31)はまた、旋回ベース2の上板22に固定されており、旋回ベース2が旋回させられると、これにともなって旋回する。ガイド部材3の底壁31と旋回ベース2の上板22との間は図示しない環状のシール部材(たとえばOリングなど)によって気密シールされている。
【0029】
直線移動機構4は、第1および第2のハンド5A,5Bを水平直線状の移動行程GLに沿って搬送するためのものであり、図3に表れているように、ガイド部材3上に設けられた第1および第2のガイドレール41A,41Bと、第1および第2のハンド5A,5Bに水平方向の駆動力を伝達する第1および第2の駆動機構43A,43Bと、第1および第2の連結部材44a,44bと、を含む。第1および第2のガイドレール41A,41Bは、それぞれが図中左右に対をなして設けられており、第1のガイドレール41Aは内側に配置され、第2のガイドレール41Bは外側に配置される。内側の一対の第1のガイドレール41Aは、ガイド部材3の中壁33に支持されており、外側の一対の第2のガイドレール41Bは、側壁32に支持されている。
【0030】
第1のハンド5Aは、その下部に形成された一対の支持アーム51a、および支持アーム51aに設けられたスライダ42Aを介して、一対の第1のガイドレール41Aに支持されている。第2のハンド5Bは、第1のハンド5Aの側方を迂回するように形成された一対の支持アーム51b、および支持アーム51bに設けられたスライダ42Bを介して、一対の第2のガイドレール41Bに支持されている。各ガイドレール41A,41Bの上方は、カバー34によって覆われている。第1のハンド5Aの支持アーム51aは、カバー34の上面に形成されたスリット34aを貫通しており、支持アーム51aには、第1の連結部材44aが設けられている。第1の連結部材44aは、中壁33に形成されたスリットを貫通して後述する第1の駆動機構43Aの第1の出力ベルト435aに連結されている。これにより、第1の連結部材44aは、第1のハンド5Aおよび第1の出力ベルト435aを連結している。また、第2のハンド5Bにおいては、支持アーム51bは、カバー34の側面に形成されたスリット34bを貫通しており、支持アーム51bには、第2の連結部材44bが設けられている。第2の連結部材44bは、中壁33に形成されたスリットを貫通して後述する第2の駆動機構43Bの第2の出力ベルト435bに連結されている。これにより、第2の連結部材44bは、第2のハンド5Bおよび第2の出力ベルト435bを連結している。
【0031】
図1図3によく表れているように、第1および第2のハンド5A,5Bには、ガイド部材3の長手方向に延びる複数ずつのホーク状の保持片53a,53bが一体形成されており、これらの保持片53a,53b上に上記薄板状のワークWが載置保持される。なお、図3および図5においては、図1および図2と異なり、第1および第2のハンド5A,5Bの双方が固定ベース1の上方に位置する状態を示している。
【0032】
第1および第2の駆動機構43A,43Bは、第1および第2のハンド5A,5Bを各別に移動行程GLに沿って移動させるためのものである。第1および第2の駆動機構43A,43Bは、基本的に同様の構成を有しているので、以下に第1の駆動機構43Aの構成について具体的に説明し、第2の駆動機構43Bについては適宜説明を省略する。
【0033】
第1の駆動機構43Aは、図3図5に表れているように、第1の駆動軸431aと、第1の駆動プーリ432aと、プーリ433a~433fと、第1の出力ベルト435aと、を備え、ガイド部材3に収容されている。第1の駆動軸431aは、ガイド部材3によって、旋回軸線Osに対して直交する水平軸線O1周りに回転可能に支持されている。第1の駆動軸431aの一端(図中右側)は、後述する差動ギア機構6の第1の出力軸62aにつながっている。第1の駆動軸431aの他端(図中左側)には第1の駆動プーリ432aが設けられている。
【0034】
図5に表れているように、プーリ433a~433fは、ガイド部材3内においてそれぞれ所定の水平軸線周りに回転可能に支持されている。第1の出力ベルト435aは、第1の駆動プーリ432aおよびプーリ433a~433f(これらを併せて複数の第1のプーリ)に対し、垂直面内に沿うように掛け回されている。プーリ433a,433bは、ガイド部材3の長手方向(移動行程GLに沿う方向)の両端部近傍に設けられている。一方、プーリ433c,433d,433e,433fは、第1の駆動プーリ432aの近傍に設けられており、そのうちのプーリ433c,433dは、第1の出力ベルト435aの外側に配置されている。これにより、第1の出力ベルト435aには、適度な張力が付与されている。第1の出力ベルト435aとしては、たとえばタイミングベルトが好適に用いられる。
【0035】
プーリ433a,433bは、移動行程GLの平行線に沿って配置されている。そして、図5において第1の出力ベルト435aにおけるプーリ433a,433bの上方に位置する領域は、移動行程GLと平行な区間46aとなっており、第1の出力ベルト435aは、この区間46aにおいて往復動しうるように構成されている。第1の出力ベルト435aにおける上記区間46aの所定部位には、第1のハンド5Aの支持アーム51aに一端が連結された第1の連結部材44aの他端が連結されている。これにより、第1のハンド5Aは、第1の駆動機構43Aの駆動により、内側2つの第1のガイドレール41Aに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0036】
第2の駆動機構43Bは、図3図5に表れているように、第2の駆動軸431bと、第2の駆動プーリ432bと、プーリ434a~434fと、第2の出力ベルト435bと、を備え、ガイド部材3に収容されている。第2の駆動軸431bは、旋回軸線Osを挟んで第1の駆動機構43Aの第1の駆動軸431aとは反対側に配置されており、ガイド部材3によって水平軸線O1周りに回転可能に支持されている。第2の駆動軸431bの一端(図中左側)は、後述する差動ギア機構6の第2の出力軸62bにつながっている。第2の駆動軸431bの他端(図中右側)には第2の駆動プーリ432bが設けられている。
【0037】
図5から理解されるように、プーリ434a~434fは、ガイド部材3内においてそれぞれ所定の水平軸線周りに回転可能に支持されており、第1の駆動機構43Aにおけるプーリ433a~433fと同様の配置とされている。第2の出力ベルト435bは、第2の駆動プーリ432bおよびプーリ434a~434f(これらを併せて複数の第2のプーリ)に対し、垂直面内に沿うように掛け回されている。第2の出力ベルト435bとしては、たとえばタイミングベルトが好適に用いられる。第2の出力ベルト435bについても、第1の出力ベルト435aと同様に、移動行程GLと平行な区間46aにおいて往復動しうるように構成されている。第2の出力ベルト435bにおける上記区間46aの所定部位には、第2のハンド5Bの支持アーム51bに一端が連結された第2の連結部材44bの他端が連結されている。これにより、第2のハンド5Bは、第2の駆動機構43Bの駆動により、外側2つの第2のガイドレール41Bに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0038】
差動ギア機構6は、直線移動機構4とモータM3との間に介在しており、モータM3による駆動力が伝達される入力軸61と、第1および第2の出力軸62a,62bとを有する。差動ギア機構6は、いわゆるディファレンシャルギアによって構成されており、差動ギア機構6においては、モータM3から入力軸61に伝達された回転駆動力が第1および第2の出力軸62aに伝達される。第1および第2の出力軸62aは、それぞれ水平軸線O1周りに回転可能であり、旋回軸線Osを挟んで互いに反対側に配置される。第1の出力軸62aには第1の駆動機構43Aの第1の駆動軸431aがつながっており、第2の出力軸62bには第2の駆動機構43Bの第2の駆動軸431bがつながっている。差動ギア機構6において、第1の出力軸62aの回転を停止すると入力軸61の回転は第2の出力軸62bにのみ伝達され、第2の出力軸62bの回転を停止すると入力軸61の回転は第1の出力軸62aにのみ伝達される。
【0039】
本実施形態において、差動ギア機構6は、ガイド部材3の内部に配置されている。より具体的には、ガイド部材3は、底壁31、中壁33およびケース壁35で囲まれた収容ケース部30を有する。収容ケース部30は、旋回ベース2の上方に配置され、差動ギア機構6は収容ケース部30に収容されている。本実施形態において、第1および第2の駆動機構43A,43Bの第1および第2の駆動軸431a,431bと収容ケース部30(ケース壁35)との間には、シール機構45が介装されている。シール機構45は、たとえば磁性流体ユニットからなり、当該シール機構45によって、収容ケース部30の内部から旋回ベース2を介して連通する昇降ベース14の内側空間は、外部に対して気密シールされている。
【0040】
第1の駆動状態切り替え機構7Aは、第1の出力軸62aに取り付けられており、ブレーキまたはクラッチにより構成される。第1の駆動状態切り替え機構7Aがブレーキにより構成される場合、当該第1の駆動状態切り替え機構7Aは、第1の出力軸62aの回転を許容する駆動オン状態と、第1の出力軸62aの回転を停止する駆動オフ状態と、に適宜切り替えることが可能である。また、第1の駆動状態切り替え機構7Aがクラッチにより構成される場合、当該第1の駆動状態切り替え機構7Aは、第1の出力軸62aの回転が第1の駆動軸431aに伝達する駆動オン状態と、第1の出力軸62aの回転が第1の駆動軸431aに伝達しない駆動オフ状態と、に適宜切り替えることが可能である。
【0041】
第2の駆動状態切り替え機構7Bは、第2の出力軸62bに取り付けられており、ブレーキまたはクラッチにより構成される。第2の駆動状態切り替え機構7Bがブレーキにより構成される場合、当該第2の駆動状態切り替え機構7Bは、第2の出力軸62bの回転を許容する駆動オン状態と、第2の出力軸62bの回転を停止する駆動オフ状態と、に適宜切り替えることが可能である。また、第2の駆動状態切り替え機構7Bがクラッチにより構成される場合、当該第2の駆動状態切り替え機構7Bは、第2の出力軸62bの回転が第2の駆動軸431bに伝達する駆動オン状態と、第2の出力軸62bの回転が第2の駆動軸431bに伝達しない駆動オフ状態と、に適宜切り替えることが可能である。
【0042】
上記構成の搬送装置A1において、モータM3を駆動させると、モータM3の回転駆動力は差動ギア機構6に伝達される。第1の駆動状態切り替え機構7Aを駆動オン状態とし、第2の駆動状態切り替え機構7Bを駆動オフ状態とする場合、第1の駆動軸431aのみが回転駆動し、第2の駆動軸431bは停止する。この場合、第1の駆動機構43Aのみが駆動し、第1の駆動軸431aの回転に伴って第1の出力ベルト435aが所定の垂直面内において往復動させられる。そして、第1のハンド5Aが内側2つの第1のガイドレール41Aに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0043】
一方、第1の駆動状態切り替え機構7Aを駆動オフ状態とし、第2の駆動状態切り替え機構7Bを駆動オン状態とする場合、第2の駆動軸431bのみが回転駆動し、第1の駆動軸431aは停止する。この場合、第2の駆動機構43Bのみが駆動し、第2の駆動軸431bの回転に伴って第2の出力ベルト435bが所定の垂直面内において往復動させられる。そして、第2のハンド5Bが外側2つの第2のガイドレール41Bに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0044】
本実施形態の搬送装置A1は、たとえばFPDの製造工程において、プロセスチャンバへワークを搬入し、あるいは搬出するために用いられる。この場合、搬送装置A1は、たとえば周部に複数のプロセスチャンバが配置されたトランスポートチャンバ内に真空環境下で配置される。
【0045】
搬送装置A1は、直線移動機構4と、当該直線移動機構4の作動によりワークWを水平直線状の移動行程GLに沿って搬送する第1および第2のハンド5A,5Bと、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)に駆動力を与えるモータM3と、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)とモータM3との間に介在する差動ギア機構6と、を備える。また、搬送装置A1は、第1および第2の駆動機構43A,43Bそれぞれに対応する第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bを備える。このような構成によれば、第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bそれぞれの駆動状態(駆動オン状態または駆動オフ状態)を適宜切り替えることにより、モータM3の駆動力を第1および第2の駆動機構43A,43Bのいずれか一方にのみ伝達させることができる。その結果、単一のモータM3により2つの第1および第2のハンド5A,5Bのいずれか一方を走行駆動させることが可能である。したがって、本実施形態によれば、直線移動機構4を駆動させるためのモータおよびこれに対応する減速機を削減することができ、搬送装置A1全体の小型化および低コスト化を図ることが可能である。
【0046】
第1および第2の駆動機構43A,43Bは、それぞれベルト式駆動機構によって構成されている。また、第1および第2のハンド5A,5Bは、第1および第2のガイドレール41A,41Bに支持されるともに、第1および第2の連結部材44a,44bを介して第1および第2の出力ベルト435a,435bとつながっている。このような構成によれば、たとえばワークWの大型化に伴って第1および第2のハンド5A,5Bの移動距離を延長する場合においても、第1および第2のガイドレール41A,41B、ならびに第1および第2の出力ベルト435a,435bを長尺化することにより容易に対応することが可能である。このため、第1および第2のハンド5A,5Bの移動距離の長大化によって直線移動機構4が重量化するのを適切に回避することができる。
【0047】
差動ギア機構6の第1および第2の出力軸62a,62b、ならびに第1および第2の駆動機構43A,43Bの第1および第2の駆動軸431a,431bは、それぞれ水平軸線O1周りに回転可能であり、同軸状に配置されている。このような構成によれば、差動ギア機構6から第1および第2の駆動機構43A,43Bの第1および第2の駆動プーリ432a,432bに至る駆動力伝達経路を近接して配置することができる。このことは、搬送装置A1の小型化を図るうえで好ましい。
【0048】
モータM3(第1駆動源)は、旋回筒部21の内部に配置されている。このような構成によれば、直線移動機構4に駆動力を与えためのモータM3を効率よく省スペースで配置することが可能であり、搬送装置A1の小型化を図るのに適する。
【0049】
差動ギア機構6は、旋回ベース2の上方に配置された収容ケース部30に収容されている。また、第1および第2の駆動軸431a,431bと収容ケース部30(ケース壁35)との間には、シール機構45が介装されている。このような構成によれば、搬送装置A1が真空環境下に配置される場合においても、収容ケース部30の内部を非真空環境とすることができ、差動ギア機構6が適切に作動させられる。
【0050】
図6は、上記第1実施形態の搬送装置A1の変形例を示している。なお、図6以降の図面において、上記実施形態の搬送装置A1と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0051】
本変形例の搬送装置A11は、減速機25のガイド部材3への取付構造が上記実施形態の搬送装置A1と異なっている。本変形例では、減速機25は、ガイド部材3の底壁31の上端面に固定されている。減速機25の入力軸は、底壁31の中央の上記開口を通じてモータM3の出力軸に連結されている。本変形例の搬送装置A11においても、上記第1実施形態の搬送装置A1と同様の作用効果を奏する。

【0052】
図7図8は、本発明の第2実施形態に係る搬送装置を示している。本実施形態の搬送装置A2は、モータM2,M3の配置が上記実施形態と大きく異なる。また、搬送装置A2は、上記の搬送装置A1における減速機24,25に代えて、2軸出力減速機26を備えており、それに伴い種々の変更が加えられている。
【0053】
本実施形態の2軸出力減速機26は、モータM3(第1駆動源)およびモータM2それぞれによる回転を減速して出力するものである。2軸出力減速機26の上端部には、固定用フランジ261が設けられており、この固定用フランジ261が昇降ベース14の円筒部141の上端に固定されている。これにより、2軸出力減速機26は、昇降ベース14に支持されている。固定用フランジ261と円筒部141の上端との間は図示しない環状のシール部材(たとえばOリングなど)によって気密シールされている。本実施形態において、2軸出力減速機26は、円筒部141の内部に配置されている。
【0054】
モータM2は、旋回ベース2に旋回駆動力を与えるものである。図示は省略するが、モータM2の出力軸に2軸出力減速機26の入力軸が連結されている。モータM3は、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)に駆動力を与えるものである。図示しないが、モータM3(第1駆動源)の出力軸に2軸出力減速機26の他の入力軸が連結されている。モータM2,M3は、ボルト締結等により2軸出力減速機26に固定されている。本実施形態において、モータM2,M3は、円筒部141の内部に配置されている。
【0055】
また、図示しないが、2軸出力減速機26の内部には、両モータM2,M3からの入力が旋回軸線Osに合致する状態で出力される機構を有する。2軸出力減速機26の2つの出力軸は、固定用フランジ261の上方に延出しており、同軸状に配置されている。
【0056】
2軸出力減速機26においてモータM2と連係する出力軸は、旋回ベース2(上板22)と固定されている。これにより、モータM2を駆動させると、旋回ベース2が旋回軸線Os周りに旋回する。本実施形態(搬送装置A2)におけるモータM2は、本発明で言う第2駆動源の一例に相当する。なお、本実施形態では、旋回ベース2は、旋回筒部21を具備せず、実質的に上板22のみからなる。2軸出力減速機26においてモータM3と連係する他の出力軸は、差動ギア機構6の入力軸61に連結されている。
【0057】
搬送装置A2は、直線移動機構4と、当該直線移動機構4の作動によりワークWを水平直線状の移動行程GLに沿って搬送する第1および第2のハンド5A,5Bと、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)に駆動力を与えるモータM3と、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)とモータM3との間に介在する差動ギア機構6と、を備える。また、搬送装置A2は、第1および第2の駆動機構43A,43Bそれぞれに対応する第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bを備える。このような構成によれば、第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bそれぞれの駆動状態(駆動オン状態または駆動オフ状態)を適宜切り替えることにより、モータM3の駆動力を第1および第2の駆動機構43A,43Bのいずれか一方にのみ伝達させることができる。その結果、単一のモータM3により2つの第1および第2のハンド5A,5Bのいずれか一方を走行駆動させることが可能である。したがって、本実施形態によれば、直線移動機構4を駆動させるためのモータおよびこれに対応する減速機を削減することができ、搬送装置A2全体の小型化および低コスト化を図ることが可能である。
【0058】
本実施形態の搬送装置A2において、その他にも、上記第1実施形態の搬送装置A1について上述したのと同様の作用効果を奏する。
【0059】
さらに、搬送装置A2において、モータM3(第1駆動源)およびモータM2(第2駆動源)は、円筒部141(昇降ベース14)の内部に配置されている。また、これらモータM2,M3の回転を減速するための2軸出力減速機26を備え、当該2軸出力減速機26についても円筒部141の内部に配置されている。このような構成によれば、旋回ベース2および直線移動機構4に駆動力を与えるためのモータM2,M3、および2軸出力減速機26について、より省スペースで配置することが可能であり、搬送装置A2の小型化を図るうえでより好ましい。また、モータM2,M3に対応する減速機(本実施形態では2軸出力減速機26)の数が削減されるので、搬送装置A2全体の小型化および低コスト化を図るのに適する。
【0060】
図9は、本発明の第3実施形態に係る搬送装置を示している。本実施形態の搬送装置A3は、上記第2実施形態の搬送装置A2と比べて、回転数検出手段8が追加的に設けられている。
【0061】
回転数検出手段8は、第1および第2の駆動軸431a,431bそれぞれの回転数を検出するものである。回転数検出手段8は、たとえばロータリエンコーダにより構成されており、第1および第2の駆動プーリ432a,432bそれぞれの近傍2箇所に設けられる。
【0062】
本実施形態の搬送装置A3は、直線移動機構4と、当該直線移動機構4の作動によりワークWを水平直線状の移動行程GLに沿って搬送する第1および第2のハンド5A,5B(図示せず)と、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)に駆動力を与えるモータM3と、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)とモータM3との間に介在する差動ギア機構6と、を備える。また、搬送装置A3は、第1および第2の駆動機構43A,43Bそれぞれに対応する第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bを備える。このような構成によれば、第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bそれぞれの駆動状態(駆動オン状態または駆動オフ状態)を適宜切り替えることにより、モータM3の駆動力を第1および第2の駆動機構43A,43Bのいずれか一方にのみ伝達させることができる。その結果、単一のモータM3により2つの第1および第2のハンド5A,5Bのいずれか一方を走行駆動させることが可能である。したがって、本実施形態によれば、直線移動機構4を駆動させるためのモータおよびこれに対応する減速機を削減することができ、搬送装置A3全体の小型化および低コスト化を図ることが可能である。
【0063】
本実施形態の搬送装置A3において、その他にも、上記第1実施形態の搬送装置A1について上述したのと同様の作用効果を奏する。
【0064】
本実施形態において、モータM3(第1駆動源)およびモータM2(第2駆動源)は、円筒部141(昇降ベース14)の内部に配置されている。また、これらモータM2,M3の回転を減速するための2軸出力減速機26を備え、当該2軸出力減速機26についても円筒部141の内部に配置されている。このような構成によれば、旋回ベース2および直線移動機構4に駆動力を与えるためのモータM2,M3、および2軸出力減速機26について、より省スペースで配置することが可能であり、搬送装置A3の小型化を図るうえでより好ましい。また、モータM2,M3に対応する減速機(本実施形態では2軸出力減速機26)の数が削減されるので、搬送装置A3全体の小型化および低コスト化を図るのに適する。
【0065】
さらに、搬送装置A3において、第1および第2の駆動軸431a,431bそれぞれの回転数を検出する回転数検出手段8を備える。このような構成によれば、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)の駆動時に第1および第2の駆動軸431a,431bの回転数を検出し、差動ギア機構6による回転誤差を適宜補正することで、第1および第2のハンド5A,5Bを移動行程GLに沿って所望の速度でスライド走行させることができる。
【0066】
図10図11は、本発明の第4実施形態に係る搬送装置を示している。上記第3実施形態の搬送装置A3において、第1および第2の駆動軸431a,431bと収容ケース部30(ケース壁35)との間にシール機構45が介装されていたが、本実施形態の搬送装置A4は、シール機構45を具備せず、これに代えてシール機構27を備えている。
【0067】
シール機構27は、差動ギア機構6の入力軸61と旋回ベース2の上端部(上板22の内周部)との間に介装されている。シール機構27は、たとえば磁性流体ユニットからなり、当該シール機構27によって、旋回ベース2の内部からこれと連通する昇降ベース14の内側空間は、外部に対して気密シールされている。本実施形態では、差動ギア機構6を密閉収容するための収容ケース部30が形成されておらず、たとえば中壁33には開口331が形成されている。
【0068】
本実施形態の搬送装置A4は、直線移動機構4と、当該直線移動機構4の作動によりワークWを水平直線状の移動行程GLに沿って搬送する第1および第2のハンド5A,5Bと、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)に駆動力を与えるモータM3と、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)とモータM3との間に介在する差動ギア機構6と、を備える。また、搬送装置A4は、第1および第2の駆動機構43A,43Bそれぞれに対応する第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bを備える。このような構成によれば、第1および第2の駆動状態切り替え機構7A,7Bそれぞれの駆動状態(駆動オン状態または駆動オフ状態)を適宜切り替えることにより、モータM3の駆動力を第1および第2の駆動機構43A,43Bのいずれか一方にのみ伝達させることができる。その結果、単一のモータM3により2つの第1および第2のハンド5A,5Bのいずれか一方を走行駆動させることが可能である。したがって、本実施形態によれば、直線移動機構4を駆動させるためのモータおよびこれに対応する減速機を削減することができ、搬送装置A4全体の小型化および低コスト化を図ることが可能である。
【0069】
本実施形態の搬送装置A4において、その他にも、上記第1実施形態の搬送装置A1について上述したのと同様の作用効果を奏する。
【0070】
本実施形態において、モータM3(第1駆動源)およびモータM2(第2駆動源)は、円筒部141(昇降ベース14)の内部に配置されている。また、これらモータM2,M3の回転を減速するための2軸出力減速機26を備え、当該2軸出力減速機26についても円筒部141の内部に配置されている。このような構成によれば、旋回ベース2および直線移動機構4に駆動力を与えるためのモータM2,M3、および2軸出力減速機26について、より省スペースで配置することが可能であり、搬送装置A4の小型化を図るうえでより好ましい。また、モータM2,M3に対応する減速機(本実施形態では2軸出力減速機26)の数が削減されるので、搬送装置A4全体の小型化および低コスト化を図るのに適する。
【0071】
また、搬送装置A4において、第1および第2の駆動軸431a,431bそれぞれの回転数を検出する回転数検出手段8を備える。このような構成によれば、直線移動機構4(第1および第2の駆動機構43A,43B)の駆動時に第1および第2の駆動軸431a,431bの回転数を検出し、差動ギア機構6による回転誤差を適宜補正することで、第1および第2のハンド5A,5Bを移動行程GLに沿って所望の速度でスライド走行させることができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、差動ギア機構6の入力軸61と旋回ベース2の上端部(上板22の内周部)との間には、シール機構27が介装されている。このような構成によれば、搬送装置A4が真空環境下に配置される場合、差動ギア機構6自体が真空環境下に晒されるので、差動ギア機構6を密閉収容するための収容ケース部30を形成する必要がない。したがって、図11に例示した中壁33における開口331の形成などが可能であり、ガイド部材3の軽量化を図ることができる。なお、真空環境下に配置される差動ギア機構6については、必要に応じて真空グリース等を塗布しておくとよい。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。たとえば、上記第3実施形態の搬送装置A3が具備する回転数検出手段8については、上記第2実施形態の搬送装置A2に追加的に設けられていたが、これに代えて、上記第1実施形態の搬送装置A1に上記回転数検出手段8を追加的に設けた構成としてもよい。また、上記第4実施形態の搬送装置A4に装備されたシール機構27については、たとえば上記第1実施形態の搬送装置A1において、上記シール機構45に代えて上記シール機構27と同様の構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
A1,A11,A2,A3,A4:搬送装置、1:固定ベース、14:昇降ベース、141:円筒部、2:旋回ベース、21:旋回筒部、26:2軸出力減速機、27:シール機構、30:収容ケース部、4:直線移動機構、41A:第1のガイドレール、41B:第2のガイドレール、43A:第1の駆動機構4、43B:第2の駆動機構、431a:第1の駆動軸、431b:第2の駆動軸、432a:第1の駆動プーリ、432b:第2の駆動プーリ、435a:第1の出力ベルト、435b:第2の出力ベルト、44a:第1の連結部材、44b:第2の連結部材、45:シール機構、46a:区間、5A:第1のハンド、5B:第2のハンド、6:差動ギア機構、61:入力軸、62a:第1の出力軸、62b:第2の出力軸、7A:第1の駆動状態切り替え機構、7B:第2の駆動状態切り替え機構、8:回転数検出手段、M2:モータ(第2駆動源)、M3:モータ(第1駆動源)、Gl:移動行程、Os:旋回軸線、O1:水平軸線、W:ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11