(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034877
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】格納式荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/44 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
B60P1/44 J
B60P1/44 E
B60P1/44 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138795
(22)【出願日】2020-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 良和
(72)【発明者】
【氏名】高尾 英彦
(57)【要約】
【課題】リフトシリンダの油室が昇圧した状態でも荷受台を引き出す際の荷受台とガイドレールとの擦れを抑制する。
【解決手段】荷受台を車枠の下側に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、前記荷受台をガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、前記リフトシリンダへの作動油の流れを制御する昇降制御弁と、前記スライドシリンダへの作動油の流れを制御するスライド制御弁と、前記昇降制御弁及び前記スライド制御弁を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記スライド制御弁に対する前記荷受台の引き出し動作の指令開始後、前記荷受台が格納位置にある場合に前記引き出し動作の指令を継続した状態で前記昇降制御弁に前記荷受台の下降動作を指令する格納式荷受台昇降装置を提供する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷受台を車枠の下側に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、
前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動するスライダと、
前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、
前記アームを回動させて前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、
前記スライダと共に前記荷受台を前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、
作動油タンクと、
前記作動油タンクから作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから前記リフトシリンダへの作動油の流れを制御する昇降制御弁と、
前記油圧ポンプから前記スライドシリンダへの作動油の流れを制御するスライド制御弁と、
前記昇降制御弁及び前記スライド制御弁を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記スライド制御弁に対する前記荷受台の引き出し動作の指令開始後、前記荷受台が格納位置にある場合に前記引き出し動作の指令を継続した状態で前記昇降制御弁に前記荷受台の下降動作を指令することを特徴とする格納式荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1の格納式荷受台昇降装置において、
前記荷受台が前記格納位置にあることを検知する格納センサを備え、
前記制御装置は、
前記格納センサが前記荷受台を検出している間、前記荷受台が前記格納位置にあると判定し、
前記引き出し動作の指令開始から設定時間が経過した時点で前記格納センサが前記荷受台を検知している場合に、前記下降動作を指令することを特徴とする格納式荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1又は2の格納式荷受台昇降装置において、前記制御装置は、前記荷受台の下降動作の指令に先行して、前記荷受台が格納位置にある状態で前記リフトシリンダの圧抜き動作を指令することを特徴とする格納式荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項3の格納式荷受台昇降装置において、
前記荷受台の下降動作の指令は、前記荷受台の上昇動作の指令を伴わず、
前記リフトシリンダの圧抜き動作の指令は、前記荷受台の下降動作の指令と共に前記荷受台の上昇動作の指令を含む
ことを特徴とする格納式荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台に対する荷物等の積卸作業を支援する格納式荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置とは、車両の荷台床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させ、車両の荷台に対する荷物等の積卸作業を支援するものである。荷受台昇降装置の中には、車枠の下側に引き込んで荷受台を格納する格納式(床下格納式)のものがある(特許文献1等参照)。
【0003】
格納式の荷受台昇降装置は、一般に車枠に取り付けたガイドレールに沿って荷受台がスライドし、車枠の下側のスペースに荷受台が出入りするように構成されている。この種の荷受台昇降装置では、荷受台を格納する際に格納姿勢の高さまで荷受台を確実に上昇させるために荷受台をガイドレールに当てる構成とする場合がある。この場合、格納位置で荷受台はガイドレールに接触した状態となる。格納位置には、リフトシリンダの作動油のリーク等による荷受台の下降を防止するために落下防止部材が設けられている。
【0004】
ところで、特許文献1では、ガイドレールに接触した状態の荷受台を車枠の下側から引き出す際、短時間だけリフトシリンダの油室をタンクに接続してリフトシリンダのボトム圧を抜いている。荷受台とガイドレールとの摩擦を抑制するためである。ただ、リフトシリンダの油室をタンクに接続することで荷受台の自重による下降が許容された状態となり、引き出しの初動時に荷受台が下降して荷受台と落下防止部材との擦れにより異音が生じ得る。
【0005】
そこで、同文献では、荷受台の引き出しの初動時に単純にリフトシリンダの油室をタンクに接続するだけでなく、同時にリフトシリンダの油室を油圧ポンプにも接続し、荷受台の高さ維持による異音発生の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、停車中や走行中に外気温の変化等でリフトシリンダの油室が昇圧し、格納位置において荷受台がガイドレールに強く押し付けられた状態となる場合がある。この状態で荷受台を引き出すと、ガイドレールと荷受台が強く擦れ、ガイドレールや荷受台が傷付く恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、リフトシリンダの油室が昇圧した状態でも荷受台を引き出す際の荷受台とガイドレールとの擦れを抑制することができる格納式荷受台昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、荷受台を車枠の下側に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動するスライダと、前記スライダと前記荷受台とを連結するアームと、前記アームを回動させて前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、前記スライダと共に前記荷受台を前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、作動油タンクと、前記作動油タンクから作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから前記リフトシリンダへの作動油の流れを制御する昇降制御弁と、前記油圧ポンプから前記スライドシリンダへの作動油の流れを制御するスライド制御弁と、前記昇降制御弁及び前記スライド制御弁を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記スライド制御弁に対する前記荷受台の引き出し動作の指令開始後、前記荷受台が格納位置にある場合に前記引き出し動作の指令を継続した状態で前記昇降制御弁に前記荷受台の下降動作を指令する格納式荷受台昇降装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リフトシリンダの油室が昇圧した状態でも、荷受台が格納位置にある場合にはその「格納位置にある」状態を回避するように制御するために、荷受台を引き出す際の荷受台とガイドレールとの擦れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る格納式荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図
【
図2】
図1に示した荷受台昇降装置の詳細構造を表す斜視図
【
図3】
図1に示した荷受台昇降装置の詳細構造を表す左側面図
【
図4】
図3中のIV-IV線による左端近傍部の矢視断面図
【
図6】
図1に示した荷受台昇降装置に備えられたスライダの左側面図
【
図8】
図1に示した荷受台昇降装置の荷受台を引き出した状態の図
【
図9】
図1に示した荷受台昇降装置に備えられた落下防止部材の平面図
【
図10】
図1に示した荷受台昇降装置に備えられた落下防止部材の背面図
【
図11】
図1に示した荷受台昇降装置のパワーユニットの回路図
【
図12】
図1に示した荷受台昇降装置の制御装置等の機能ブロック図
【
図13】
図12に示した制御装置によるによる展開動作時の圧抜き動作から第1下降動作までの制御手順を表すフローチャート
【
図14】
図12に示した制御装置による展開動作時の圧抜き動作から第1下降動作までのタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0013】
-格納式荷受台昇降装置-
図1は本発明の一実施形態に係る格納式荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図である。本願明細書においては、
図1の左右を車両の前後とする。
【0014】
図1に示した車両は、車枠1と、車枠1の前方に設けた運転室2と、車枠1上に搭載した荷台3と、車枠1の下側後部に設けた格納式荷受台昇降装置(以下、荷受台昇降装置)4とを備えている。この荷受台昇降装置4は、例えば走行運転時には荷受台5を折り畳んで車枠1の下側の格納位置(後述)に引き込み格納する。荷役作業(荷台3に対する荷物の積卸作業)時には、荷受台5を車枠1の下側から(本実施形態では後方に)引き出して展開し、荷台3の床面と地面との間の高さを昇降させて荷役作業を支援する。
【0015】
図2は荷受台昇降装置の詳細構造を表す斜視図、
図3は左側面図、
図4は
図3中のIV-IV線による左端近傍部の矢視断面図、
図5は
図4中のV-V線による矢視断面図である。
図6はスライダ(後述)の左側面図、
図7は
図6中のVII-VII線による矢視断面図、
図8は
図1に示した荷受台昇降装置の荷受台を引き出した状態の図である。
図3においてはパワーユニット26及び操作装置27を取り外した状態を表している。
【0016】
図2-
図8に示したように、荷受台昇降装置4は、荷物を積載する上記の荷受台(プラットフォーム)5と、荷受台5等を前後方向に移動させるスライド駆動部6と、荷受台5を昇降させる昇降駆動部7とを備えている。後述するが、展開及び格納の際に荷受台5は昇降駆動部7と共に前後にスライド移動する。本願明細書では、荷受台5及び昇降駆動部7のスライド範囲の前端を含む位置範囲を「格納位置」、後端を「後端位置」と定義する。格納位置は格納時の荷受台5の前後位置、後端位置は荷役作業時の荷受台5の前後位置である。なお、本実施形態において、格納位置は落下防止部材75(後述)がロック状態となる位置と換言でき、前後に一定(例えば100mm程度)の長さを持つ。また、荷受台5の上下位置として、ガイドレール8(後述)に接触する高さを「格納高さ」、地面に接触する高さを「接地高さ」、格納高さと接地高さの間の設定高さを「中間高さ」と定義する。
【0017】
-スライド駆動部-
スライド駆動部6は、左右一対のガイドレール8、左右のスライダ9、連結部材10、左右のブラケット部11、支持ローラ12、支持フレーム13(
図3)、及びスライドシリンダ14を備えている。
【0018】
ガイドレール8は前後方向に延在し左右に平行に並べて2本設けられており、取り付け部8aを介して車枠1の下側後部に取り付けてある。左右のガイドレール8は左右に延びるステー8bによって前端部で連結される。また、ガイドレール8は
図7等に示したように、上下に対面する水平な天板部8l及び底板部8mを鉛直な中板部8nで連結したI型の断面形状をしている。
【0019】
左右のスライダ9はそれぞれ、2枚のプレート9a、上走行ローラ9b、下走行ローラ9c及びスクレーパ9d,9eを備えている。
図5及び
図8では、スライダ9の内部構造を図示するために手前側のプレート9aを図示省略してある。
【0020】
2枚のプレート9aはスライダ9の本体をなす部材であり、ガイドレール8、上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cを挟んで左右に対向している。ガイドレール8とこれを挟む2枚のプレート9aとの間には、僅かな間隙が介在している。
【0021】
上走行ローラ9bはガイドレール8の上面に外周面を接触させ、スライダ9の移動に伴ってガイドレール8の上面を転動するように設けられている。下走行ローラ9cはガイドレール8の下面に外周面を接触させ、スライダ9の移動に伴ってガイドレール8の下面を転動するように設けられている。つまり、ガイドレール8を上下から挟んだ上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cによってスライダ9がガイドレール8に沿って走行する構成である。荷受台5等が格納位置にある場合を除き、スライダ9及びこれに支持された部材の重量は、上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cを介してガイドレール8で支持される。このとき、スライダ9は荷受台昇降装置4の重心よりも前方に位置するため、上走行ローラ9bを下走行ローラ9cよりも後方に配置してモーメントを支持している。ガイドレール8は、上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cからの面圧を受けるのに十分な強度を有するように、本実施形態ではアルミ製ではなく鉄製としてある。
【0022】
上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cの軸(ピン)9fは、ガイドレール8を挟む2枚のプレート9aに両端が支持された両持ち梁構造をしている。換言すれば、軸9fによって2枚のプレート9aが連結されている。また、軸9fの内部には外周部に一部が開口したグリス孔9g(
図7)が設けられており、プラグ(不図示)を外して注入口9hからグリスガン等でグリスを注入することにより、上走行ローラ9bや下走行ローラ9cに給脂できるようになっている。
【0023】
スクレーパ9d,9eは、ガイドレール8の表面に接触するように、ガイドレール8を挟む2枚のプレート9aの間に設けられている。具体的には、スクレーパ9dはプレート9aに固定したブラケット9iにボルトで固定されてガイドレール8の上面に接触している。スクレーパ9eはプレート9aに固定したブラケット9jにボルトで固定されてガイドレール8の下面に接触している。スクレーパ9d,9eは、それぞれ上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cに対して荷受台5を引き出す方向(この例では後側)に位置し、後進時に上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cに先行する。スクレーパ9d,9eは例えばゴムや樹脂等で形成されている。
【0024】
連結部材10は左右のスライダ9を連結する部材であり、両端部はプレート9aを貫通してスライダ9から外側(機体幅方向の外側)に突出している。ブラケット部11は連結部材10の左端に設けられている。支持フレーム13は、連結部材10から後方に延び、左右のスライダ9の間の中央付近に位置している。支持ローラ12は格納及び展開の際に荷受台5が転接するものであり、回転軸を左右に延ばした姿勢で支持フレーム13の先端(後端)に回転自在に設けられている。スライドシリンダ14は複動式であり、一端がブラケットを介してステー8bに、他端が支持フレーム13に対して固定されている。スライドシリンダ14の伸縮動作に伴って上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cがガイドレール8を転がって左右のスライダ9が走行し、昇降駆動部7が荷受台5と一体となって前後に移動する。
【0025】
また、ガイドレール8の上面及び下面にそれぞれ段差8c,8d(
図6等)が設けられている。本実施形態では、ガイドレール8の上面における段差8cよりも前側の部分が段差8cよりも後側の部分より相対的に低くなっている。同様に、ガイドレール8の下面における段差8dよりも前側の部分が段差8dよりも後側の部分より相対的に高くなっている。これら段差8c,8dは、荷受台5がスライド範囲の前端位置から引き出される際に上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cが乗り越えなければならない位置に設けてある。具体的には、段差8c,8dはスライダ9が前端位置にあるときにそれぞれ上走行ローラ9b、下走行ローラ9cの後側に来る位置に設けてある。ここで言う「上走行ローラ9b、下走行ローラ9cの後側」とは、上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cのガイドレール8に最も近い(走行時にガイドレールに接触する)部分の後側、つまり上走行ローラ9bの下縁部、下走行ローラ9cの上縁部のことである。走行ローラの後縁よりも後側の意味に限定されない。
【0026】
左右のガイドレール8の下部には、それぞれ押圧ローラ8e(
図5等)が設けられている。押圧ローラ8eは、軸を左右に延ばした姿勢でブラケット8fを介してガイドレール8の下面に回転自在に支持されている。押圧ローラ8eは、格納動作時に上昇してくる荷受台5に接触するようにガイドレール8の後部に配置してある。また、スライダ9のプレート9aには、ガイドレール8を挟んだ上下の位置に押え板9l,9m(
図5等)が設けられている。ガイドレール8の上面及びステー8bには、荷受台5が格納位置にあるときに押え板9l,9mに対応する位置にパッド8g,8hがそれぞれ設けられている。パッド8g,8hは、格納位置でスライダ9及びこれに取り付けられた要素の重量を受けるものである。荷受台5が格納位置に引き込まれ(スライダ9が格納位置に引き込まれ)、上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cが段差8c,8dを越えると、押え板9l,9mがパッド8g,8hに接触する。このように格納位置では、押え板9l,9mでパッド8g,8hを上下から挟んで押え込むことでスライダ9が遊びなく上下から拘束されるようになっている。このとき、前述したように段差8c,8dよりも前側の部分では後側の部分よりもガイドレール8の上面と下面との間の距離が短くなっている。そのため、スライダ9が格納位置にあってパッド8g,8hで支持されているとき、ガイドレール8の上面及び下面から上走行ローラ9b及び下走行ローラ9cが離れるようになっている。なお、スクレーパ9dのブラケット9i及び押え板9lには、上走行ローラ9bの上側を覆うローラカバー9k(
図2等)がボルト等で固定されている(
図4及び
図6はローラカバー9kを取り外した状態を図示している)。
【0027】
ガイドレール8には、後端センサ15と格納センサ16(
図12)が設けられている。後端センサ15及び格納センサ16には、例えば近接センサやリミットスイッチを用いることができる。
【0028】
後端センサ15は例えばガイドレール8の後部に天板部8l及び底板部8mの間に位置するように設けられている。スライダ9のプレート9aの内壁面にはストライカ9n(
図8等)が、ガイドレール8の後端部近傍にはストッパ8iが設けられている。本実施形態では、ストライカ9nがストッパ8iに当たってスライダ9のスライド範囲の後端が規定される。ストライカ9nはストッパ8iから設定距離L(例えば50mm程度)以内の距離にあるときに後端センサ15に近接し後端センサ15で検知されるように長さが設定されている。これにより荷受台5が後端位置から設定距離L以内の距離にあることを検知できる。
【0029】
格納センサ16(
図12)はスライダ9が格納位置にあることを検知するセンサであり、後端センサ15と同様に構成することができる。例えば第2ストライカ(不図示)をスライダ9に、スライダ9のスライド範囲の前端を規定する第2ストッパ(不図示)をガイドレールに設ける。スライダ9が格納位置にあるときに第2ストライカに近接するように格納センサ16を設ける。より具体的には、前述した通り格納位置は長さを持つため、第2ストライカが第2ストッパに当たる位置から設定距離(例えば100mm程度)の範囲内にスライダ9があるときに第2ストライカが格納センサ16で検知されるようにする。これにより荷受台5が格納位置にあることが検知できる。
【0030】
-昇降駆動部-
昇降駆動部7は、第1アーム(チルトアーム)17、第2アーム(リフトアーム)18、第3アーム(コンプレッションアーム)19及びリフトシリンダ20をそれぞれ左右一組ずつ備えている。第1アーム17は、連結部材10に設けたブラケット10a(
図4)に上端部が回動可能に連結されている。第2アーム18は、基端部(前端部)が第1アーム17に、先端部(後端部)が荷受台5にそれぞれ回動可能に連結してある。第3アーム19は、上記ブラケット10aに基端部(前端部)が、荷受台5に先端部(後端部)がそれぞれ回動可能に連結されている。リフトシリンダ20は複動式でも良いが本実施形態では単動式であり、ロッド側が第1アーム17の下端部に、ボトム側が第2アーム18にそれぞれ回動可能に連結されている。第2アーム18及び第3アーム19はスライダ9に対して荷受台5を昇降可能に連結する平行リンクを形成し、この平行リンクがリフトシリンダ20の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで荷受台5が水平姿勢を保って昇降する。
【0031】
-荷受台-
荷受台5は、上記昇降駆動部7に支持された荷受台基部21と、荷受台基部21にヒンジ22を介し回動可能に連結された荷受台本体部23とを備えている。ヒンジ22は、両端が荷受台基部21及び荷受台本体部23にそれぞれピン(不図示)を介し回動可能に連結されており、荷受台基部21に対する荷受台本体部23の回動機構が、ヒンジ22を介する二重関節構造になっている。荷受台本体部23は、格納時には各図に示したように荷受台基部21の上部に折り重ねられる。第2アーム18と荷受台基部21との連結部(又はヒンジ22)には、荷受台5が中間高さにあるか否かの判断の基礎となる値として格納動作中の荷受台5の姿勢(折り畳み状態)を検知するゲートセンサ56(
図12)が設けられている。このゲートセンサ56には、第2アーム18(又は荷受台基部21)に対する荷受台基部21(又はヒンジ22)の角度を検出する角度センサを用いることができる。ゲートセンサ56は所定角度を検出するものではなく僅かではあるが検出角度に範囲が与えられている。荷受台5が中間高さを含む設定の高さ範囲にある場合に入り状態となり、荷受台5が設定の高さ範囲にあることを検知する。若しくはゲートセンサ56そのものは単純に角度検出信号を出力するものとして、後述する制御装置45の方でゲートセンサ56の信号を基に荷受台5が設定の高さ範囲にあることを検知する構成としても良い。
【0032】
-落下防止部材-
ガイドレール8及び荷受台5には、格納位置にある荷受台5の下方への移動を規制し荷受台5の不測の落下を抑制する落下防止部材75(
図5等)が備えられている。落下防止部材75は、ガイドレール8の後端部の下面に取り付けた第1部材76(
図8)、及び荷受台本体部23の裏面(格納時に上を向く面)に取り付けた第2部材77(
図8)を備えている。落下防止部材75の平面図を
図9に、背面図を
図10に示す。
【0033】
図9及び
図10に示すように、第1部材76は本実施形態では左右に延びる鉛直断面がI型に形成された部材であり、取り付け部76a、支持部76b及び被拘束部76cを備えている。取り付け部76aは、ガイドレール8の下面にボルト等で固定する水平な板状の部位である。被拘束部76cは支持部76bを介して取り付け部76aに連結された水平な板状の部材であり、取り付け部76aを挟んでガイドレール8の下面に間隙を介して上下に対面している。支持部76bも板状に形成されていて、前後に延びる鉛直面に沿っている。被拘束部76cは支持部76bの左右の少なくとも一方に延びていて、本実施形態では支持部76b及び被拘束部76cをT字型に連結している。第1部材76をガイドレール8に溶接等で取り付ける場合、取り付け部76aは不要である。
【0034】
第2部材77は荷受台5が格納位置にあるときに第1部材76と位置が対応するように荷受台本体部23の裏面に取り付けられており、取り付け部77a、支持部77b及び拘束部77cを備えている。取り付け部77aは拘束部77cよりも左右及び前方に広く面積を確保した水平な板状の部材であり、左右両側のそれぞれ前後位置で貫通孔(この例では長穴)77dに通したボルト等で荷受台本体部23に固定されている。第2部材77を荷受台5に溶接等で取り付ける場合、取り付け部77aは不要である。本実施形態では、荷受台5が格納位置に移動する際、取り付け部77aにおける拘束部77cの前側に広がる部分に前述した押圧ローラ8eが乗り上げるようになっている(
図5)。
【0035】
取り付け部77aの後部は鉛直に折り曲げられて端壁77eを形成している。拘束部77cは左右の支持部77bを介して取り付け部77aに連結された水平な板状の部材であり、支持部77b及び端壁77eと共に前側が開口した箱型を形成している。拘束部77cは取り付け部77aを挟んで荷受台本体部23の裏面に間隙を介して上下に対面すると共にスリット77fを有している。スリット77fはガイドレール8と同じく前後方向に延び、入り口部分(開口側つまり前端部)にテーパ77gが設けられていて、スリット77fの入り口部分が広がっている。
【0036】
荷受台5が格納位置にあるとき、第1部材76の支持部76bがスリット77fに収まると同時に、第2部材77の拘束部77cと荷受台本体部23の裏面との対向面間に第1部材76の被拘束部76cが収まる。このように第1部材76及び第2部材77が上下に対向することで、格納された荷受台5の下方への移動が規制される。以降、第2部材77に第1部材76の被拘束部76cが収まった状態を落下防止部材75の「ロック状態」、第2部材77から第1部材76が外れた状態を落下防止部材75の「解除状態」と記載する。なお、押圧ローラ8eが荷受台5(この場合取り付け部77a)に接触した状態で、
図10に示したように第1部材76の被拘束部76cが、第2部材77の拘束部77c及び取り付け部77aの双方に対して間隙を介して対向するように構成されている。つまり押圧ローラ8eが荷受台5に接触した状態では、落下防止部材75(第1部材76及び第2部材77)は非接触状態となる構成である。
【0037】
-パワーユニット-
図2等に示すように、スライド駆動部6の左側のブラケット部11には、パワーユニット26及び操作装置27が取り付けられている。パワーユニット26はスライドシリンダ14及びリフトシリンダ20を駆動するための動力装置である。荷受台昇降装置4は操作装置27によって操作することができる。
【0038】
図11はパワーユニット26の回路図の一例である。同図に示したパワーユニット26は、電動モータ28、油圧ポンプ29、作動油タンク30、供給管路31、上昇用制御弁32、戻り管路33、下降用制御弁34、絞り35、メインリリーフ弁36及びコンダクタリレー37を備えている。
【0039】
油圧ポンプ29は、電動モータ28によって駆動され、作動油タンク30から吸い込んだ作動油を吐出管路29aに吐出する。油圧ポンプ29とリフトシリンダ20は供給管路31で接続されており、油圧ポンプ29から吐出された作動油は供給管路31を介してリフトシリンダ20に供給される。供給管路31には上昇用制御弁32が設けられており、ソレノイド32aに入力される信号によって上昇用制御弁32が開閉して供給管路31が連通又は遮断される。戻り管路33は供給管路31における上昇用制御弁32の下流側から分岐し、作動油タンク30に接続している。戻り管路33には下降用制御弁34が設けられており、ソレノイド34aに入力される信号によって下降用制御弁34が開閉して戻り管路33が連通又は遮断される。本実施形態では、これら上昇用制御弁32及び下降用制御弁34が、油圧ポンプ29からリフトシリンダ20への作動油の流れを制御する昇降制御弁を構成する。1つの3位置切換弁で昇降制御弁を構成することもできる。これら昇降制御弁は制御装置45により制御される。
【0040】
絞り35は戻り管路33における下降用制御弁34の下流側に設けられている。絞り35は可変絞りであるが、流量調節機能が不要であれば固定絞りでも良い。また、吐出管路29aにはメインリリーフ弁36が設けられており、メインリリーフ弁36によって吐出管路29aの圧力の最大値が規定されている。電動モータ28と電源57(
図12)との間には、コンダクタリレー37が備えられている。
【0041】
また、パワーユニット26は、供給管路38、絞り弁39、逆止弁40、供給管路41、引出用制御弁42、戻り管路43及び引込用制御弁44を備えている。
【0042】
供給管路38は、油圧ポンプ29の吐出管路29aから分岐してスライドシリンダ14のロッド側油室に接続している。供給管路38には絞り弁39及び逆止弁40が設けられている。供給管路41は、供給管路38から分岐してスライドシリンダ14のボトム側油室に接続している。供給管路41には引出用制御弁42が設けられており、ソレノイド42aに入力される信号によって引出用制御弁42が開閉して供給管路41が連通又は遮断される。戻り管路43は引出用制御弁42の下流側で供給管路41から分岐して作動油タンク30に接続している。戻り管路43には引込用制御弁44が設けられており、ソレノイド44aに入力される信号によって引込用制御弁44が開閉して戻り管路43が連通又は遮断される。本実施形態では、これら引出用制御弁42及び引込用制御弁44が、油圧ポンプ29からスライドシリンダ14への作動油の流れを制御するスライド制御弁を構成する。1つの3位置切換弁でスライド制御弁を構成することもできる。これらスライド制御弁は制御装置45により制御される。
【0043】
本実施形態においては、メインリリーフ弁36よりも下流側で引出用制御弁42及び引込用制御弁44よりも上流側の位置において、バイパス管路71が吐出管路29aから分岐して戻り管路43に接続している。このバイパス管路71には、サブリリーフ弁73とリリーフ圧切換弁72とが設けられている。リリーフ圧切換弁72も上昇用制御弁32等と同様の制御弁であり、そのソレノイド72aに対する指令信号によって切り換えポジションが連通位置(図中上側の位置)又は遮断位置(図中下側の位置)に切り換わる。リリーフ圧切換弁72の切り換えポジションによってサブリリーフ弁73への作動油の流れが連通又は遮断される。リリーフ圧切換弁72はサブリリーフ弁73の上流側に設けられているが、下流側に設けても良い。サブリリーフ弁73のリリーフ圧(例えば6MPa程度)は、メインリリーフ弁36のリリーフ圧(例えば20MPa程度)よりも低く設定してある。リリーフ圧切換弁72が連通位置に切り換わって吐出管路29aに接続した際には、吐出管路29aの圧力の最大値がメインリリーフ弁36のリリーフ圧よりも低い値に規定される。
【0044】
また、油圧ポンプ29の吐出管路29aには、押圧ローラ8eを介してガイドレール8に荷受台5が押し付けられたことを検知する押圧センサとして圧力センサ74が設けられている。ガイドレール8に荷受台5が押し付けられると吐出管路29aの圧力が上昇することから、圧力センサ74の検出値が閾値(設定値)を超えたらガイドレール8に荷受台5が接触したと判定できる。
【0045】
-制御装置-
図12は荷受台昇降装置4に備えられた制御装置の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。
図12に示した制御装置45は、車両(又はパワーユニット26内)に設置されている。この制御装置45は、荷受台昇降装置4の電源(バッテリ)57に電源スイッチ58を介して接続しており、電源スイッチ58によって電源の入り切りが切り換えられる。電源スイッチ58は、例えば車両の運転室2の内部やパワーユニット26等に設置することができる。制御装置45に入力される操作信号には、操作装置27が出力する有線信号の他、リモコン等の無線式の操作装置46が出力する無線信号が含まれる。
【0046】
操作装置27は、例えば、押しボタン式の上スイッチ47A及び下スイッチ47Bを備えたペンダント操作方式のものである。この操作装置27は、上スイッチ47A又は下スイッチ47Bの操作に応じた操作信号を制御装置45にケーブル等を介して出力する。
【0047】
操作装置46は、上スイッチ48A、下スイッチ48B、電源スイッチ48C及び送信部49を備えている。上スイッチ48A、下スイッチ48B及び電源スイッチ48Cは押しボタン式のスイッチである。送信部49は、上スイッチ48A又は下スイッチ48BのON・OFF状態等のシリアルデータを生成し、このシリアルデータを無線信号として送信する。操作装置46はオペレータが携帯することもできるが、運転室2や荷台3の中に保管される場合もある。
【0048】
制御装置45は、入力部50,受信部51、記憶部(メモリ)52、演算部(CPU)53、出力部54及びタイマ55を備えている。入力部50は、後端センサ15、格納センサ16、ゲートセンサ56及び圧力センサ74からの検出信号、操作装置27からの操作信号を入力する機能部である。受信部51は、操作装置46からの無線操作信号を受信する。記憶部52は、制御プログラム(例えばシーケンス制御やタイマ制御等のプログラム)や制御閾値を記憶する。演算部53は、記憶部52に記憶された制御プログラムに従って演算処理を実行しシリンダ14,20の動作を指示する指令信号等を生成する。出力部54は、演算部53で生成した指令信号を各制御弁32,34,42,44,72のソレノイド32a,34a,42a,44a,72aやコンダクタリレー37に出力する。タイマ55は計時手段であり、例えば展開動作時におけるリフトシリンダ20の圧抜き動作実行後の経過時間等、種々の時間計測に用いられる。
【0049】
制御装置45は、格納された状態の荷受台5を車枠1の下側から引き出す際、具体的には格納センサ16がONで下スイッチ47B又は48Bが操作されていることを条件として、リフトシリンダ20の圧抜き動作を実行するようにプログラムされている。リフトシリンダ20の圧抜き動作は、下降用制御弁34を所定時間(例えば1s)開放することで行われる。そして、本実施形態において、制御装置45は、このリフトシリンダ20の圧抜き動作と同時に上昇用制御弁32及びリリーフ圧切換弁72を開放する。これによりリフトシリンダ20の油室は作動油タンク30だけでなく油圧ポンプ29にも連通した状態となり、荷受台5の自重による下降が抑制されて荷受台5の高さが維持され、荷受台5を引き出す際の落下防止部材75の擦れが抑制される。この間、リフトシリンダ20の油室の最大圧はサブリリーフ弁73で制限される。
【0050】
このとき、荷受台5が格納されている間に外気温の上昇等の要因でリフトシリンダ20の油室の圧力が上昇し、荷受台5がガイドレール8に強く押し付けられた状態となる場合がある。この場合、上記のようにリフトシリンダ20の油室を油圧ポンプ29に繋いだ状態では、所定時間内にリフトシリンダ20の油室の圧力が適正範囲まで下がり切らない可能性がある。油室圧力が高いまま荷受台5を引き出すと、ガイドレール8と荷受台5が強く擦れ、ガイドレール8や荷受台5が傷付く恐れがある。
【0051】
そこで、制御装置45は、上記圧抜き動作後に格納位置において昇降制御弁に荷受台5の下降動作を再指令する場合、引出用制御弁42に荷受台5の引き出し動作を指令した状態で荷受台5の下降動作を再指令するようにプログラムされている。昇降制御弁に対する下降動作の再指令とは、先行して実行される圧抜き動作における下降用制御弁34の開放指令の後、荷受台5が格納位置から引き出されるまでに下降用制御弁34に対して再びされ得る開放指令である。
【0052】
この下降動作の再指令と共にされる引出用制御弁42への開放指令は、下降動作の再指令に先行し、下降動作の再指令より前から開始される。つまり引出用制御弁42の開放(つまり引き出し動作)の指令開始後、荷受台5が格納位置にある場合に引き出し動作の指令を継続した状態で下降動作の再指令がされる。なお、ここで意図しているのはあくまでも指令の前後関係である。作動油や機械部の性状変化によって荷役台昇降装置4の動作応答性が変化した場合、例えば先行して指令された荷受台5の引き出し動作が下降動作の再指令とほぼ同時になることもあり得る。
【0053】
より具体的に説明すると、格納センサ16が荷受台5を検出している間、制御装置45により荷受台5が格納位置にあると判定する。前述した通り、本実施形態では格納位置に長さがあるため、荷受台5が若干(例えば落下防止部材75がロック状態を脱しない程度に)後進しても荷受台5は格納位置にあると判定され得る。そして、制御装置45は、リフトシリンダ20の油室の圧抜き指令後、引出用制御弁42に荷受台5の引き出し動作を継続して設定時間指令した時点で格納センサ16が荷受台5を検知している場合に、荷受台5の下降動作を再指令する。また、後述するように、リフトシリンダ20の圧抜き動作の指令が荷受台5の下降動作の指令と共に荷受台5の上昇動作の指令を含むのに対し、荷受台5の下降動作の再指令は荷受台5の上昇動作の指令を伴わない。
【0054】
-動作-
続いて荷受台昇降装置4の動作を説明する。以下に説明する各動作は制御装置45の制御によるものであり、記憶部52に格納されたプログラムに従って演算部53で生成された指令信号が出力部54を介して各制御弁32,34,42,44,72やコンダクタリレー37に出力されることにより実行される。
【0055】
[荷役動作]
荷受台5が後端位置にある状態で上スイッチ47A又は48Aが操作されると、その間、操作装置27又は46から出力される操作信号に応じて制御装置45からコンダクタリレー37及び上昇用制御弁32に指令信号が出力される。これによりコンダクタリレー37のコイル37a(
図11)に通電され、ノーマルオープンの接点37bが閉じ、接点37bを介して電源57から電動モータ28に給電されて油圧ポンプ29が駆動する。同時に、上昇用制御弁32のソレノイド32aが励磁され、上昇用制御弁32が
図11中の左側の開通位置に切り換わる。このとき、消磁状態の下降用制御弁34は同図中の下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの作動油が供給管路31を介しリフトシリンダ20に供給され、リフトシリンダ20が伸長して荷受台5が上昇する。
【0056】
一方、下スイッチ47B又は48Bが操作されると、その間、操作装置27又は46から出力される操作信号に応じて制御装置45から指令信号が下降用制御弁34のソレノイド34aに出力される。コンダクタリレー37のコイル37aは消磁されるので、接点37bが開いて電動モータ28及び油圧ポンプ29は停止する。この状態でソレノイド34aが励磁されると、下降用制御弁34が同図中の上側の開通位置に切り換わり、リフトシリンダ20の油室が上昇用制御弁32の遮断位置の逆止弁及び戻り管路33を介して作動油タンク30に繋がり、荷受台5が自重で下降する。
【0057】
なお、スライダ9が後端位置にある状態で荷受台5を上昇させるため、リフトシリンダ20を伸長させる間、引出用制御弁42を開通位置に切り換えてスライダ9をストッパ8iに押し付けるように構成しても良い。荷受台5の下降時も、油圧ポンプ29を駆動すると共に引出用制御弁42を開けてスライダ9を後端位置に押し付けるように構成することができる。
【0058】
[展開動作]
荷受台昇降装置4の展開動作は、リフトシリンダ20及びスライドシリンダ14を対象としたシーケンス制御による動作であり、格納された状態の荷受台5を引き出して地上に下ろす動作である。この展開動作は、圧抜き動作、第1引出動作、第1下降動作、第2引出動作、第2下降動作からなり、これらの動作を順次実行して格納位置から地上まで荷受台5をステップ状に移動させる。具体的に、圧抜き動作はリフトシリンダ20(本実施形態ではリフトシリンダ20及びスライドシリンダ14)の油室の圧力を抜く動作である。第1引出動作は、格納位置から荷受台5を後進させて引き出し、落下防止部材75を解除状態にする動作である。第1下降動作は、格納位置から引き出した荷受台5を格納高さから中間高さまで下降させ、荷受台5をガイドレール8から離す動作である。第2引出動作は、中間高さで荷受台5を後進させて後端位置まで引き出す動作である。第2下降動作は、後端位置で荷受台5を中間高さから接地するまで下降させる動作である。
【0059】
なお、
図14中の「上SW」は上スイッチ47A又は48Aの操作信号のONOFF、「下SW」は下スイッチ47B又は48Bの操作信号のON/OFFを表している。「モータ」はコンダクタリレー37の励磁及び消磁による電動モータ28及び油圧ポンプ29の駆動(ON)及び停止(OFF)を表している。「ゲートセンサ」はゲートセンサ56、「格納センサ」は格納センサ16、「後端センサ」は後端センサ15のそれぞれON/OFFを表している。「制御弁(上)」は上昇用制御弁32、「制御弁(下)」は下降用制御弁34、「制御弁(出)」は引出用制御弁42、「制御弁(入)」は引込用制御弁44、「切換弁」はリリーフ圧切換弁72のそれぞれ励磁(ON)及び消磁(OFF)を表している。また、同図においては下スイッチ47B又は48Bが連続的に操作さる場合を例示している。同図における時刻t2-t9は時刻t1からの下スイッチ47B又は48Bの操作時間の累積時間であって時刻t1からの経過時間には必ずしも一致しない。下スイッチ47B又は48Bが断続的に操作される条件では、操作中断時間の分だけ時刻t2-t9は遅れて到来する。圧抜き動作、第1引出動作、第1下降動作、第2引出動作及び第2下降動作の各動作について順に説明する。
【0060】
・圧抜き動作
図13は制御装置45による展開動作時の圧抜き動作から第1下降動作までの制御手順を表すフローチャート、
図14は制御装置45による展開動作時の圧抜き動作から第1下降動作までのタイミングチャートである。
図14には
図13のフローのステップS16で格納センサ16がONのまま設定時間が経過した場合(設定時間引き出し指令をしても荷受台5が格納位置にある場合)のタイミングチャートを例示している。
図13のフローのスタートは
図14のタイミングチャートの時刻t0、具体的には電源スイッチ58(
図12)をONにした時点に対応している。
【0061】
圧抜き動作は時刻t1-t3にかけて行われる。荷受台5が格納位置にある場合、ゲートセンサ56及び格納センサ16はON、後端センサ15及び圧力センサ74はOFFである(時刻t0)。圧抜き動作は、格納センサ16がONであることを条件に、操作装置27の下スイッチ47B又は操作装置46の下スイッチ48Bが操作されている間だけ実行される。具体的には、制御装置45は
図13のように下スイッチ47B又は48BがONであるか(ステップS11)、格納センサ16がONであるか(ステップS12)を判定し、いずれもONである場合(任意の時刻t1)に圧抜き動作を実行する(ステップS13)。以下、無線式の操作装置46を操作した場合を例に挙げて説明するが、有線式の操作装置27を操作した場合の動作も同様である。
【0062】
格納位置で下スイッチ48Bが押されると、制御装置45はリフトシリンダ20及びスライドシリンダ14の圧抜き動作を指令する(ステップS12)。具体的には、コンダクタリレー37及び引出用制御弁42の他、上昇用制御弁32、下降用制御弁34、引込用制御弁44及びリリーフ圧切換弁72(つまり全ての電磁弁)を励磁する(任意の時刻t1)。これにより油圧ポンプ29が駆動され、引出用制御弁42が開き、スライドシリンダ14のボトム側油室が油圧ポンプ29に繋がる。このとき、引出用制御弁42を開くと同時に引込用制御弁44が開き、ボトム側油室が作動油タンク30にも繋がることで、スライドシリンダ14の圧抜きがされる。また、これと同時に下降用制御弁34が開いてリフトシリンダ20の油室が作動油タンク30に繋がることでリフトシリンダ20が圧抜きされ、荷受台5とガイドレール8(押圧ローラ8e)との接触圧力が低下する。更に、上昇用制御弁32が開いてリフトシリンダ20の油室が油圧ポンプ29にも繋がり、落下防止部材75の第1部材76と第2部材77が接触しているようなら、落下防止部材75が接触状態から脱する。この間、リリーフ圧切換弁72も開くので、荷受台5とガイドレール8(押圧ローラ8e)との接触圧力が必要以上に上昇することはない。
【0063】
圧抜き動作で引込用制御弁44及び引出用制御弁42が開く時間(t1-t2)は例えば0.2s程度であり、時刻t2に引込用制御弁44及び引出用制御弁42は消磁されて閉じる。また、上昇用制御弁32及び下降用制御弁34が開く時間(t1-t3)は例えば1s程度であり、時刻t3で上昇用制御弁32及び下降用制御弁34も消磁されて閉じる。リリーフ圧切換弁72のみ圧抜き動作後も第1引出動作の開始後一定の時間だけ開放状態で保たれる。このようにスライドシリンダ14の圧抜き後も時刻t3までは、荷受台5とガイドレール8の接触圧力の抑制、落下防止部材75の接触状態の回避が図られる。
【0064】
・第1引出動作
第1引出動作は時刻t3-t8にかけて行われる。この第1引出動作の指令には、必ず出力される基本指令(時刻t3-t5)と、基本指令に続いて必要に応じて出力される追加指令(時刻t5-t8)とが含まれる。
【0065】
ステップS14に手順を移して第1引出動作を開始するに当たり、制御装置45は基本指令として、引込用制御弁44、上昇用制御弁32及び下降用制御弁34が閉じ、リリーフ圧切換弁72は開いた状態で、引出用制御弁42に開放を指令する(時刻t3)。圧抜き動作及び第1引出動作(基本指令及び追加指令を含む)の間、コンダクタリレー37は常時励磁されている。第1引出動作の間、制御装置45は、制御弁32,34,44を消磁した状態でコンダクタリレー37及び引出用制御弁42を励磁し、荷受台5の後進を指令する。荷受台5の後進の指令後一定時間(時刻t3-t4)だけリリーフ圧切換弁72を開き、一定時間経過時(時刻t4)にリリーフ圧切換弁72を閉じる。この一定時間(時刻t3-t4)は例えば0.2s程度である。
【0066】
第1引出動作の指令(基本指令)を開始した後、制御装置45は格納センサ16がONのままであるかを判定し(ステップS15)、ONのままであれば基本指令を開始してから設定時間が経過したか(時刻t5が到来したか)を判定する(ステップS16)。この設定時間(時刻t3-t5)は例えば2s程度である。ステップS15の判定で格納センサ16がOFFになった時点で、制御装置45は第1引出動作の追加指令(ステップS17)をせずに第1引出動作を終了し、第1引出動作の指令(ステップS19)に手順を移す。つまり
図14では時刻t3-t8の時間のうち少なくとも時刻t5-t8の時間は省略される。
【0067】
しかし、第1引出動作の基本指令では荷受台5が格納位置から引き出しきれない場合もあり得る。この場合、つまり時刻t5の時点で格納センサ16が依然としてONである場合、制御装置45は第1引出動作の追加指令(ステップS17)と格納センサ16がOFFになったかの判定(ステップS18)とを繰り返し実行する。第1引出動作についての時刻t5以降の追加指令では、制御装置45は時刻t3-t5の基本指令から引き続き、引出用制御弁42への開放指令を継続する。その際、追加指令の開始後、引込用制御弁44を時刻t5-t6(例えば0.5s程度)の間だけ開放し、下降用制御弁34を時刻t5-t7(例えば0.8s程度)の間だけ開放する。引込用制御弁44の開放はスライドシリンダ14の再度の圧抜きを目的とし、下降用制御弁34の開放は荷受台5とガイドレール8との接触圧力の更なる低下を目的とする。時刻t1-t3の圧抜き動作と異なり、第1引出動作の追加指令における再度の下降指令(下降用制御弁34の開放指令)の際は上昇用制御弁32を閉じた状態で実行される。引き出し指令(引出用制御弁42の開放指令)は第1引出動作の基本指令から継続しており、時刻t5-t7にかけての荷受台5の下降動作の再指令は、前述した通り荷受台5の引き出し動作を指令した状態で行われる。
【0068】
この第1引出動作の追加指令により、スライダ9が後進して格納センサ16がOFFになると(時刻t8)、制御装置45は第1引出動作を終了する。時刻t8は格納センサ16がOFFになった時刻であるため、時刻t5-t8の時間は作動油の粘度や荷受台5とガイドレール8との接触圧力等によって変化し得る。
図14の例では、時刻t7より後に格納センサ16がOFFになる例を表しているが、時刻t5-t7の間にOFFになった場合、その時点で第1引出動作は終了し、第1下降動作(ステップS19)に手順が移る。
【0069】
・第1下降動作
第1下降動作は、ゲートセンサ56がON、格納センサ16及び後端センサ15がOFF、下スイッチ48Bが操作されていることを条件に実行される。スライダ9が後進して格納センサ16がOFFになると、制御装置45は、下降用制御弁34を励磁し、コンダクタリレー37及び制御弁32,42,44,72を消磁した状態に切り換える。これにより油圧ポンプ29は停止し、リフトシリンダ20の油室の作動油が作動油タンク30に排出され、荷受台5は自重で下降する。荷受台5が下降してゲートセンサ56がOFFになると、制御装置45は、第1下降動作を終了して第2引出動作に手順を移す。
【0070】
・第2引出動作
第2引出動作は、ゲートセンサ56、格納センサ16及び後端センサ15がOFFであること、又はこれら3つのセンサがOFFの状態から後端センサ15のみがONになって所定時間以内であることを条件に実行される。第2引出動作も下スイッチ48Bが操作されている間だけ実行される。但し、後端センサ15がONになってから所定時間、下スイッチ48Bの操作を中断しても引出動作が強制的に継続する。
【0071】
第2引出動作を開始するに当たり、制御装置45は、コンダクタリレー37及び引出用制御弁42を励磁し、制御弁32,34,44,72を消磁した状態に切り換える。これにより荷受台5が再び後進する。その後、後端センサ15がONになってストッパ8iとスライダ9の間隔が設定距離L以下になったことを認識すると、制御装置45は、コンダクタリレー37及び制御弁34,42を励磁して制御弁32,44,72を消磁し、後進速度を減速する。この速度を落とした後進動作が前述した強制的に行われる後進動作であり、この間に荷受台5が後端位置に到達するようになっている。後端センサ15がONになってから所定時間が経過すると、制御装置45は第2引出動作を終了して第2下降動作に手順を移す。
【0072】
・第2下降動作
第2下降動作は、ゲートセンサ56及び格納センサ16がOFFで、後端センサ15がONになってから所定時間が経過したことを条件に、下スイッチ48Bが操作されている間だけ実行される。第2下降動作の実行するに当たり、制御装置45は、下降用制御弁34を励磁し、コンダクタリレー37及び制御弁32,42,44,72を消磁した状態に切り換える。これにより油圧ポンプ29は停止し、リフトシリンダ20の油室の作動油が作動油タンク30に排出され、荷受台5は自重で下降し、荷受台5が接地すれば第2下降動作は終了である。オペレータは、荷受台5の接地を確認して下スイッチ48Bの操作を止め、荷受台5を広げて展開する。これにより前述した荷役動作ができるようになる。
【0073】
[格納動作]
荷受台昇降装置4の格納動作とは、リフトシリンダ20及びスライドシリンダ14を対象とした制御装置45のシーケンス制御による動作であり、荷受台5を地上から上昇させて格納位置に引き込む動作である。本実施形態の格納動作は、第1上昇動作、第1引込動作、第2上昇動作、第2引込動作を含み、展開動作と同じようにステップ状に荷受台5が移動する(
図1)。
【0074】
第1上昇動作は、荷受台5を折り畳んで支持ローラ12に立て掛けた状態で上スイッチ48Aの操作により行われ、後端センサ15がONであることを条件に実行される。荷受台5を広げた状態では荷受台5は格納高さを超えて荷台3の床面の高さまで到達するが、荷受台5を支持ローラ12に立て掛けた状態では荷受台5が中間高さに到達した時点でゲートセンサ56がONになる。これが第1上昇動作から第1引込動作への切り換え、ひいては格納動作の実行のトリガとなる。
【0075】
第1引込動作は、後端センサ15及びゲートセンサ56がONで、格納センサ16がOFFになったことを条件に開始され、スライダ9が前進して格納センサ16がONになるまで実行される。
【0076】
第2上昇動作は、格納センサ16及びゲートセンサ56がONで、後端センサ15がOFFになったことを条件に開始され、圧力センサ74の検出値が閾値を超えるまで(荷受台5がガイドレール8に押し付けられるまで)実行される。第2上昇動作時、制御装置45は、上昇用制御弁32と同時にリリーフ圧切換弁72を開き、回路のリリーフ圧をサブリリーフ弁73による規定圧力に下げることで荷受台5とガイドレール8との間に働く接触圧力を抑制する。
【0077】
第2引込動作は、圧力センサ74の信号を基にガイドレール8に荷受台5が接触したことが認識されたら実行される。第2引込動作は、制御装置45によって自動的に指令される動作であり、操作装置27,46の操作の有無に関係なく引込用制御弁44が開いてスライダ9が前進する。荷受台5を格納位置に確実に到達させるためである。このとき、引込用制御弁44を開いた時点から僅かに(例えば500ms)遅れてリリーフ圧切換弁72を閉じ、油圧回路のリリーフ圧をメインリリーフ弁36によるリリーフ圧に復帰させる。第2引込動作の開始時点にガイドレール8に対する荷受台5の接触圧力を弱めておくためである。制御装置45は、所定時間だけスライダ9を前進させたら、コンダクタリレー37及び制御弁32,34,42,44,72を全て消磁状態として格納動作を終了する。
【0078】
-効果-
(1)本実施形態によれば、格納位置から荷受台5を引き出す際、圧抜き動作をした上で引き出し指令をしても格納位置から荷受台5を引き出しきれない場合、昇降制御弁に荷受台5の下降動作を再び指令する。この下降指令はスライド制御弁に荷受台5の引き出し動作を指令した状態で行われる。つまり荷受台5の引き出し指令をしても荷受台5が格納位置から引き出せない場合、荷受台5の引き出し動作を指令しつつ下降動作を指令する。これにより、荷受台5が格納位置にある間に外気温の変化等でガイドレール8に強く押し付けられた状態でも、荷受台5とガイドレール8との接触圧力を改めて下げ、荷受台5とガイドレール8との擦れを抑制し荷受台5を円滑に引き出すことができる。また、圧抜き動作後に格納位置で荷受台5の下降動作が指令される場合、荷受台5がガイドレール8に押し付けられた状態が想定され、荷受台5の下降を許容しても落下防止部材75の擦れは生じない。
【0079】
また、格納位置における下降動作の再指令は、荷受台5が依然として格納位置にある場合に実行されるのであって、荷受台5が格納位置から引き出されていれば省略される。従って、下降動作の再指令をプログラムに組み込むことにより不必要に荷受台5の展開に要する時間が長くなることもない。
【0080】
(2)荷受台5の引き出し動作を継続して設定時間指令した時点で格納センサ16が荷受台5を検知している場合に、荷受台5の下降動作を再指令する制御とした。これにより、設定時間の調整により荷受台5の展開に要する時間と荷受台5の引出動作の円滑性とのバランスを容易に適正化できる。
【0081】
(3)リフトシリンダ20の圧抜き動作の指令は荷受台5の下降動作の指令と上昇動作の指令を含むのに対し、第1引出動作の追加指令は荷受台5の上昇動作の指令を伴わない。第1引出動作の追加指令をする必要が生じる場面では、リフトシリンダ20の作動油のリークによる荷受台5の下降は推定されないため、荷受台5の上昇動作の指令をしなくても落下防止部材75の擦れが生じる可能性は低い。従って第1引出動作の追加指令では荷受台5の上昇動作の指令を省略することができ、荷受台5の下降動作を単独指令することにより、圧抜き動作時に比べてリフトシリンダ20の圧抜き作用を高め、荷受台5の円滑な引き出し動作の実現に大きく貢献する。
【0082】
-変形例-
本実施形態においては、格納位置に長さを持たせた場合を具体例として説明したが、格納位置をポイントとしてスライド範囲の前端に荷受台5が位置していることを格納センサ16で検知する構成とすることもできる。但し、この場合は格納センサ16がオフになっても落下防止部材75の解除状態に移行しているとは限らず第1下降動作に動作を切り換えることができないため、落下防止部材の方式を変更する必要がある。この場合、リフトシリンダ20からの作動油のリークを抑制するホールド弁を設け、油圧的に荷受台5の落下を抑制する構成が考えらえる。
【0083】
第1引出動作、第1下降動作、第2引出動作、第2下降動作という手順で格納位置から設置位置まで荷受台5を移動させる場合を例に挙げて説明したが、この展開動作の間の引出動作や下降動作の実行数は変更しても良い。格納動作についても同様である。構造上、展開動作の最初は必然的に引出動作であるため、展開動作の過程の引出動作や下降動作の実行数が変化しても制御弁32,34,42,44,72の前述したような制御は適用可能であり、同様の効果が得られる。
【0084】
また、ゲートセンサ56に角度センサを適用し、荷受台本体部23の角度変化を基に荷受台5が中間高さにあることを検知付する構成としたが、近接センサで代替することもできる。またスライダ9が後端位置にあることを目視で確認することとする場合には、後端センサ15は省略できる。また、スライダ9が確実に後端位置にある状態で荷受台5を昇降させるため、荷役動作、展開動作の第2下降動作、又は格納動作の第1上昇動作の実行中、引出用制御弁42を連通位置に切り換えてストッパ8i及びストライカ9nが押し合うようにもできる。これらの場合にも本発明は適用可能であり、上記と同様の効果が得られる。
【0085】
また、本実施形態では、荷受台を車枠の下側に格納する格納式荷受台昇降装置を適用対象とした場合を例に挙げて説明した。しかし、この種の格納式荷受台昇降装置には、車枠の下側に格納する格納姿勢の他、荷受台を荷台の後部に起立させた格納姿勢を選択できるものも存在する。このような2通りの格納姿勢を採用する格納式荷受台昇降装置に本発明を適用しても、荷受台を車枠の下側から引き出す際に同様の効果を得ることができる。
【0086】
また、荷受台5を車両の後側に引き出して荷役作業をする格納式荷受台昇降装置に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、荷受台を車両の左側又は右側に引き出して荷役作業を行う格納式荷受台昇降装置に本発明を適用しても同様の効果が得られる。その他、ガイドレール8に対してスライダ9がローラで走行する構成を例に挙げて説明したが、レールに対してパッドを介してスライダが支持され、パッドをレールに対して摺動させてスライダを移動させる荷受台昇降装置も存在する。そのような荷受台昇降装置にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1…車枠、4…格納式荷受台昇降装置、5…荷受台、8…ガイドレール、9…スライダ、14…スライドシリンダ、16…格納センサ、17…第1アーム(アーム)、18…第2アーム(アーム)、19…第3アーム(アーム)、20…リフトシリンダ、29…油圧ポンプ、30…作動油タンク、32…上昇用制御弁(昇降制御弁)、34…下降用制御弁(昇降制御弁)、42…引出用制御弁(スライド制御弁)、44…引込用制御弁(スライド制御弁)、45…制御装置