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特開2022-34887マスク、マスク支持部材、及びマスクの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034887
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】マスク、マスク支持部材、及びマスクの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138808
(22)【出願日】2020-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】503175966
【氏名又は名称】株式会社クロスフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(72)【発明者】
【氏名】土橋 秀位
(57)【要約】
【課題】マスクを着用したときのマスクの脱落を抑制するとともに、マスクを着用したときのマスクの使い心地を良くすることが可能なマスクを提供する。
【解決手段】マスク本体と、前記マスク本体を取り付けて支持するマスク支持部材とを有し、前記マスク支持部材は、少なくとも中央部を開口させる窓部が設けられた支持枠部と、前記支持枠部から後方に延びる少なくとも1つの口腔挿入部とを有する、マスクが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と、前記マスク本体を取り付けて支持するマスク支持部材とを有し、
前記マスク支持部材は、少なくとも中央部を開口させる窓部が設けられた支持枠部と、前記支持枠部から後方に延びる少なくとも1つの口腔挿入部とを有する、
ことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記支持枠部は、上フレームと、下フレームと、左右のサイドフレームとを備え、
前記口腔挿入部は、前記サイドフレームから延びる左上側口腔挿入部、左下側口腔挿入部、右上側口腔挿入部、及び、右下側口腔挿入部の少なくとも1つを有し、
前記口腔挿入部は、前記支持枠部に連結する基端部と、前記基端部から延びるアーム部と、前記アーム部の先端部に配されるパッド部とを備え、
前記アーム部は、前記マスク支持部材を上方から見た平面視において、略S字状に湾曲する前アーム部と、前記前アーム部から連続して後方へ延びるとともに左右方向の内側に湾曲する後アーム部とを備え、
前記パッド部は、左右方向の内側に向く平坦な押さえ面を備える、
請求項1記載のマスク。
【請求項3】
前記マスク支持部材は、前記支持枠部よりも外側に配される外枠部を有し、
前記外枠部は、外側上フレームと、外側下フレームと、左右の外側サイドフレームと、左右の前記外側サイドフレームに連結する少なくとも1つの横フレームとを備え、
前記横フレームは、左側の前記外側サイドフレームから右側の前記外側サイドフレームまで連続して延び、且つ、前記外側上フレーム及び前記外側下フレーム間に、前記外側上フレームと前記外側下フレームとから離間して配され、
前記支持枠部と前記横フレームとが連結されている、
請求項1又は2記載のマスク。
【請求項4】
少なくとも中央部を開口させる窓部が設けられた支持枠部と、前記支持枠部から後方に延びる少なくとも1つの口腔挿入部とを有する、
ことを特徴とするマスク支持部材。
【請求項5】
前記支持枠部は、上フレームと、下フレームと、左右のサイドフレームとを備え、
前記口腔挿入部は、前記サイドフレームから延びる左上側口腔挿入部、左下側口腔挿入部、右上側口腔挿入部、及び、右下側口腔挿入部の少なくとも1つを有し、
前記口腔挿入部は、前記支持枠部に連結する基端部と、前記基端部から延びるアーム部と、前記アーム部の先端部に配されるパッド部とを備え、
前記アーム部は、前記マスク支持部材を上方から見た平面視において、略S字状に湾曲する前アーム部と、前記前アーム部から連続して後方へ延びるとともに左右方向の内側に湾曲する後アーム部とを備え、
前記パッド部は、左右方向の内側に向く平坦な押さえ面を備える、
請求項4記載のマスク支持部材。
【請求項6】
請求項1~3の何れかに記載の前記マスク、又は、請求項4若しくは5記載の前記マスク支持部材を有するマスクの使用方法であって、
前記口腔挿入部の少なくとも一部を使用者の口腔内に挿入して、前記マスクを前記使用者の少なくとも口が前記マスクで覆われる状態に保持することを含む、
ことを特徴とするマスクの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マスク、マスク支持部材、及びマスクの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々のマスクが知られている。
例えば、特許文献1には、マスクの両側に、空洞のある伸縮性を有する耳かけ紐を設け、その空洞の中に柔かく自由に形を形成できる芯材を装着し、曲げて引っかける形を形成できるマスクが開示されている。
特許文献2には、筒状の弾性体に対して、軸方向の切り込みまたは隙間を一条設け、さらに周方向の切り込み又は隙間を、その切り込み又は隙間に交差させるように複数条設けた構造のマスクの耳輪用カバーが開示されている。
特許文献3には、マスクの裏面に粘着剤層を設けてなり、顔面に当該粘着剤層を介して貼付して口及び鼻を被覆することができるマスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-141600号公報
【特許文献2】特開2015-051251号公報
【特許文献3】特開2009-000420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、マスクを着用したときのマスクの脱落を抑制するとともに、マスクを着用したときのマスクの使い心地を良くすることが可能なマスク、マスク支持部材、及びマスクの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のマスク、マスク支持部材、及びマスクの使用方法は、以下の態様を含む。
【0006】
本開示のマスクは、
マスク本体と、前記マスク本体を取り付けて支持するマスク支持部材とを有し、
前記マスク支持部材は、少なくとも中央部を開口させる窓部が設けられた支持枠部と、前記支持枠部から後方に延びる少なくとも1つの口腔挿入部とを有する、
マスクである。
【0007】
本開示のマスクにおいて、
前記支持枠部は、上フレームと、下フレームと、左右のサイドフレームとを備え、
前記口腔挿入部は、前記サイドフレームから延びる左上側口腔挿入部、左下側口腔挿入部、右上側口腔挿入部、及び、右下側口腔挿入部の少なくとも1つを有し、
前記口腔挿入部は、前記支持枠部に連結する基端部と、前記基端部から延びるアーム部と、前記アーム部の先端部に配されるパッド部とを備え、
前記アーム部は、前記マスク支持部材を上方から見た平面視において、略S字状に湾曲する前アーム部と、前記前アーム部から連続して後方へ延びるとともに左右方向の内側に湾曲する後アーム部とを備え、
前記パッド部は、左右方向の内側に向く平坦な押さえ面を備える、
ことが好ましい。
【0008】
前記マスク支持部材は、前記支持枠部よりも外側に配される外枠部を有し、
前記外枠部は、外側上フレームと、外側下フレームと、左右の外側サイドフレームと、左右の前記外側サイドフレームに連結する少なくとも1つの横フレームとを備え、
前記横フレームは、左側の前記外側サイドフレームから右側の前記外側サイドフレームまで連続して延び、且つ、前記外側上フレーム及び前記外側下フレーム間に、前記外側上フレームと前記外側下フレームとから離間して配され、
前記支持枠部と前記横フレームとが連結されている、
ことが好ましい。
【0009】
本開示のマスク支持部材は、
少なくとも中央部を開口させる窓部が設けられた支持枠部と、前記支持枠部から後方に延びる少なくとも1つの口腔挿入部とを有する、
マスク支持部材である。
【0010】
本開示のマスク支持部材において、
前記支持枠部は、上フレームと、下フレームと、左右のサイドフレームとを備え、
前記口腔挿入部は、前記サイドフレームから延びる左上側口腔挿入部、左下側口腔挿入部、右上側口腔挿入部、及び、右下側口腔挿入部の少なくとも1つを有し、
前記口腔挿入部は、前記支持枠部に連結する基端部と、前記基端部から延びるアーム部と、前記アーム部の先端部に配されるパッド部とを備え、
前記アーム部は、前記マスク支持部材を上方から見た平面視において、略S字状に湾曲する前アーム部と、前記前アーム部から連続して後方へ延びるとともに左右方向の内側に湾曲する後アーム部とを備え、
前記パッド部は、左右方向の内側に向く平坦な押さえ面を備える、
ことが好ましい。
【0011】
本開示のマスクの使用方法は、
本開示に係るマスク、又は本開示に係るマスク支持部材を有するマスクの使用方法であって、
前記口腔挿入部の少なくとも一部を使用者の口腔内に挿入して、前記マスクを前記使用者の少なくとも口が前記マスクで覆われる状態に保持することを含む、
マスクの使用方法である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、マスクを着用したときのマスクの脱落を抑制するとともに、マスクを着用したときのマスクの使い心地を良くすることが可能なマスク、マスク支持部材、及びマスクの使用方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態に係るマスクを斜め後方側から見た模式的な斜視図である。
図2】本開示の実施形態に係るマスク支持部材を斜め後方側から見た模式的な斜視図である。
図3】本開示の実施形態に係るマスク支持部材を模式的に示す背面図である。
図4】本開示の実施形態に係るマスク支持部材を模式的に示す平面図である。
図5】本開示の実施形態に係るマスク支持部材を模式的に示す側面図である。
図6】本開示の別の実施形態に係るマスク支持部材を斜め後方側から見た模式的な斜視図である。
図7】従来のマスクを模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
従来から、花粉症対策、感染予防(例えば、風邪、インフルエンザ)、飛沫拡散防止等のためにマスクが着用されてきた。特に最近では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染を防止するため、マスクの着用が求められることが多くなってきている。
【0015】
例えば図7に従来のマスク60を示す。従来のマスク60は、一般的に、マスク本体(フィルター部)61と、マスク本体61の左右側縁部に設けられる左右の耳掛け部62とを有する。マスク本体61は、ガーゼ(織布)又は不織布等により形成されている。マスク60の着用により、マスク本体61で、鼻、口、及びそれらの周辺部を覆うことができる。
【0016】
一方、マスク60の使用者は、長時間の着用により、耳掛け部62によって耳が痛くなる場合がある。この耳が痛くなるという不快感を軽減又は解消するために、種々の工夫が施されたマスクが開示されている(特許文献1及び2を参照)。しかしながら、耳掛け部を耳に掛ける構造を備えるマスクに工夫が加えられていても、マスクの着用時に耳掛け部を耳に掛けることには変わりがない。このため、長時間の着用により使用者の耳が痛くなることを抑えることは難しかった。
【0017】
また、耳掛け部を設けずに、マスク本体を粘着剤層によって使用者の顔に貼り付けるマスクが知られている(特許文献3を参照)。しかし、このマスクは、粘着剤層によって顔に貼り付ける構造を備えるため、粘着剤層が顔に直接付着することに対して不快感を抱く人もいる。また、粘着剤層が顔の皮膚に触れることにより、痒み及び肌荒れ等を生じさせる可能性がある。更に、特に女性の場合は、粘着剤層の付着により化粧崩れが生じること、また、マスク着用のために化粧をためらうこと等の不安が惹起される。
【0018】
これに対し、本開示のマスクは、マスクを着用したときのマスクの脱落を抑制するとともに、マスクを着用したときのマスクの使い心地(付け心地)を良くすることが可能となる。すなわち、本開示のマスクは、フィルター機能を有するマスク本体と、マスク本体を取り付けて支持するマスク支持部材とを有する。マスク支持部材は、前後に開口した窓部が少なくとも中央部に設けられた支持枠部と、支持枠部から後方に延びる少なくとも1つの口腔挿入部とを有する。
【0019】
本開示のマスクは、マスク支持部材に設けた口腔挿入部が、使用者の口から口腔内に挿入されて保持されることにより、使用者がマスクを着用できる。また、そのマスクのマスク本体で少なくとも口及びその周辺部(例えば、口、鼻、及びその周辺部)を覆うことができる。また、使用者が上述した口腔挿入部を口腔内で保持することにより、マスクの着用状態を容易に維持してマスクが脱落することを抑制できる。
【0020】
すなわち、本開示のマスクは、従来のマスクが備えていた左右の耳掛け部を設けなくても、口腔挿入部を用いて着用可能である。このため、マスクを長時間に亘って着用しても、耳が痛くなることはない。また、本開示のマスクは、着用のために粘着剤層を用いて顔に貼り付けなくてよい。このため、粘着剤層に起因する痒み及び肌荒れ等を顔に生じさせることはなく、安心して使用できる。更に、女性が着用する場合でも、化粧崩れ等を生じさせ難くできる。また、化粧をためらうこと等の不安を取り除くことができる。
【0021】
なお、従来のマスク60では(図7を参照)、マスク60の着用時に耳に掛けた左右の耳掛け部62でマスク本体61が引っ張られる。それにより、マスク本体61が鼻、口、及びそれらの周辺部の肌に直接接触し、又は、マスク本体61とマスク本体61で覆われる肌との間の距離が近くなり過ぎる。このため、マスク60の着用時に、息苦しさ、呼吸の行い難さ等を感じさせる場合がある。また、しゃべり難さを感じる人もいる。更に、マスク60の着用時の息苦しさから、鼻呼吸ではなく、たくさんの空気を取り込み易い口呼吸になる傾向があり、口呼吸による様々な影響が指摘されている。更に、マスク60の着用中はマスク本体61の内側に熱がこもり易く、暑苦しさを感じること、また、汗によりマスク本体61が肌へ貼り付いて不快感を抱くこともある。気温が高くなる時期でのマスク60の着用は、熱中症のリスクが高くなるため、注意を払うことが求められる。
【0022】
これに対し、本開示のマスクは、マスク本体を支持するマスク支持部材の支持枠部に窓部(開口部)が設けられている。また、マスクの着用時に、左右の耳掛け部でマスク本体が顔に向けて引っ張られることもない。このため、本開示のマスクでは、着用時にマスク本体と肌との間に空間部を適切な大きさで確保し易くなる。これにより、使用者に対するマスク着用時の息苦しさ、呼吸の行い難さ、暑苦しさ等の不快感が緩和される。このため、マスク着用時の使い心地が良好に感じられるという利点が得られ易い。
【0023】
更に、マスクに設けられる口腔挿入部は、使用者の歯肉と頬粘膜との間に挿し込まれて保持されるものの、口を動かす際に邪魔になり難い。またマスクの着用時に、マスク本体と口との間隔も確保し易い。このため、しゃべり難さを感じることを抑制できる。
【0024】
以下、本開示のマスクの好ましい実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の第1の実施形態に係るマスクを斜め後方側から見た模式的な斜視図である。図2図3図4、及び図5は、それぞれ、第1の実施形態に係るマスク支持部材を模式的に示す斜視図、背面図、平面図、及び側面図である。
【0025】
なお、本開示において、マスク及びマスク支持部材についての上下方向及び左右方向は、本開示のマスクを着用した人を基準にしたときの上下方向及び左右方向を言う。また、上下方向の内側とは、マスク及びマスク支持部材における上下方向の中心位置に対して上下方向に沿って近付く向きを言い、上下方向の外側とは、上下方向の中心位置に対して上下方向に沿って離れる向きを言う。左右方向の内側及び外側とは、それぞれ、マスク及びマスク支持部材における左右方向の中心位置に対して、左右方向に沿って近付く向き及びその中心位置から離れる向きを言う。また、前後方向は、上下方向及び左右方向に直交する方向である。特に前方は、マスクの着用時にマスク本体の外面側の向きを言い、後方は、マスク本体の肌に対向する側の向きを言う。更に、マスク本体に対して前方側を前後方向の外側と言い、マスク本体に対して後方側を前後方向の内側と言うこともある。また本開示において、形状を表す場合の「略」の用語は、当該形状及び当該形状に近い形状を含む概念である。
【0026】
第1の実施形態に係るマスク1は、マスク本体5と、マスク本体5を取り付けて支持するマスク支持部材10とを有する。マスク本体5は、複数枚の不織布が積層されて形成される不織布タイプに形成されており、マスク1の着用時に使用者の少なくとも口を覆うことが可能である。また、マスク本体5は、マスク1の着用時に使用者の鼻、口、及びその周辺部を覆ってもよい。
【0027】
マスク本体5は、図示を省略するが、マスク本体5の外面(表面)を形成する外側不織布と、マスク本体5の内面(裏面)を形成する内側不織布と、外側不織布及び内側不織布間に配される少なくとも1つの中間不織布とを有する。この場合、マスク本体5は、中間不織布の少なくとも1つがフィルター用の不織布として形成されており、フィルター機能を備える。なお本開示において、マスク本体の素材(材質)、形状、構造、大きさ等は限定されない。また、本開示のマスク本体には、例えば一般的に市販されているマスクのマスク本体を用いることが可能である。
【0028】
マスク支持部材10は、熱可塑性の合成樹脂で形成されており、また、弾性変形可能に形成されている。マスク支持部材10が弾性を有する材料で形成されていることにより、マスク支持部材10の少なくとも一部(具体的には、後述する口腔挿入部30)を使用者の口腔内に挿入したときに、マスク支持部材10を歯肉及び頬粘膜に優しく接触させることができる。このため、口腔内が傷付けられることを抑制できる。また、口の開閉を行い易くすることができる。
【0029】
第1の実施形態におけるマスク支持部材10は、略環状に連続する形状を備えた支持枠部20と、支持枠部20から後方に延びる4つの口腔挿入部30と、支持枠部20を前方側から見た正面視(不図示)又は後方側から見た背面視(図3)において支持枠部20よりも外側に配される部分を備えた外枠部40とを有する。
【0030】
支持枠部20は、支持枠部20の正面視又は背面視(図3)において、閉じた略楕円状又は略長方形状を有する。支持枠部20の中央部を含む領域には、前後方向に開口する中央窓部21が設けられている。中央窓部21が支持枠部20に設けられていることにより、マスク1の通気性が適切に確保される(すなわち、マスク本体5が備える通気性を発揮させ易くできる)。支持枠部20の前面(表面)は、マスク本体5が取り付けられる取付面である。
【0031】
この支持枠部20は、左右方向の中心位置を基準にして左右対称的な形状を有する。また、支持枠部20は、前後方向に緩やかに折り曲げられた湾曲状の立体的な形状を有する(図2及び図4を参照)。支持枠部20における環状の周方向に対して直交する断面は、支持枠部20の全周に亘って、支持枠部20の厚さよりも幅が大きな略矩形の一定の形状を有する。なお支持枠部20において、厚さは支持枠部20の表面及び裏面間の最短距離を言い、幅は、支持枠部20の内周面及び外周面間の最短距離を言う。
【0032】
支持枠部20は、マスク支持部材10の正面視又は背面視(図3)において、左右方向に延びる上フレーム22及び下フレーム23と、上フレーム22の左右の各端部から下フレーム23の左右の各端部まで上下方向に延びる左右のサイドフレーム24とを有する。なお本開示において、上フレーム22又は下フレーム23とサイドフレーム24との境界は、支持枠部20の正面視又は背面視において、支持枠部20の外周縁における接線25の向きが上下方向又は左右方向に対して45°で傾く部分とする。
【0033】
第1の実施形態の支持枠部20において、左右のサイドフレーム24は、上フレーム22を下フレーム23よりも前側に配置させるために上下方向に対して傾斜して配されている(図5を参照)。これにより、支持枠部20にマスク本体5を取り付けたときに、マスク本体5を顔の形状又はそれに近い形状に合わせて支持枠部20で保持し易くできる。
【0034】
4つの口腔挿入部30は、支持枠部20の左右のサイドフレーム24から後方に向けて延びている。この場合、口腔挿入部30は、左側のサイドフレーム24から延びる上下一対の左上側口腔挿入部30a及び左下側口腔挿入部30bと、右側のサイドフレーム24から延びる上下一対の右上側口腔挿入部30c及び右下側口腔挿入部30dとを有する。
【0035】
左上側口腔挿入部30a及び左下側口腔挿入部30bと、右上側口腔挿入部30c及び右下側口腔挿入部30dとは、互いに左右対称的な形状(対称に近い形状を含む)に形成されている。また、左上側口腔挿入部30a及び右上側口腔挿入部30cと、左下側口腔挿入部30b及び右下側口腔挿入部30dとは、互いに上下対称的な形状(対称に近い形状を含む)に形成されている。
【0036】
左上側口腔挿入部30aと左下側口腔挿入部30bとの間、及び右上側口腔挿入部30cと右下側口腔挿入部30dとの間には、クリアランス31がそれぞれ設けられている。この場合、クリアランス31の上下方向における寸法の最小値は、例えば0.5mm以上1.5mm以下である。第1の実施形態では、前記最小値が1.0mm(±0.2mmの誤差を含む)のクリアランス31が、左右両方における上側口腔挿入部30a,30cと下側口腔挿入部30b,30dとの間に設けられている。
【0037】
前記最小値が0.5mm以上のクリアランス31が設けられていることにより、左右の上側口腔挿入部30a,30cと左右の下側口腔挿入部30b,30dとがそれぞれ弾性変形するときに、上下方向で互いに干渉することを抑制して、各口腔挿入部30a,30b,30c,30dをそれぞれ円滑に変形させることが可能である。それにより、4つの口腔挿入部30を使用者の口腔内に挿入した場合に、上側口腔挿入部30a,30cと下側口腔挿入部30b,30dとが、それぞれ口を動かしたときの唇の上下動に追従して変形し易くなる。このため、使用者が口の開閉を行い易くすることができる。一方、前記最小値が1.5mm以下のクリアランス31が設けられていることにより、4つの口腔挿入部30を使用者の口腔内に挿入した場合に、使用者の唇を閉じ易くすることができる。
【0038】
各口腔挿入部30(すなわち、上下左右の口腔挿入部30a,30b,30c,30d)は、支持枠部20に連結する基端部32と、基端部32から延びるアーム部33と、アーム部33の先端部(後端部)に配されるパッド部37とを有する。アーム部33は、基端部32から後方に向けて長く延ばして形成されており、また、口腔挿入部30の長手方向に直交する断面の面積をパッド部37に比べて小さくして細く形成されている。このため、アーム部33は、アーム部33の基端部32からパッド部37までの全体が細長い形状を有する。
【0039】
また、アーム部33は、マスク支持部材10を上方から見た平面視(図4)において、略S字状に湾曲する前アーム部34と、前アーム部34から連続して後方へ延びるとともに湾曲する後アーム部35とを有する。前アーム部34と後アーム部35との間には、変曲点となる境界部36が設けられている。つまり、境界部36は、前アーム部34と後アーム部35とを区画する境目部分である。
【0040】
各口腔挿入部30の基端部32は、サイドフレーム24の外周縁部に連結されている。基端部32の表面及び裏面は、サイドフレーム24の前面(表面)及び後面(裏面)から段差を形成することなく滑らかに連続して形成されている。
【0041】
前アーム部34は、マスク支持部材10の平面視(図4)において、左右方向に略S字状に湾曲する形状を有するとともに、マスク支持部材10の側面視(図5)において、上下方向に略S字状に湾曲する形状を有する。前アーム部34が、互いに直交する左右方向と上下方向の2つの方向にそれぞれ略S字状に湾曲していることより、各口腔挿入部30を左右方向の内側と外側の両方に弾性変形させ易くすることができ、且つ、上下方向の内側と外側の両方にも弾性変形させ易くすることができる。
【0042】
前アーム部34の形状についてより具体的に説明すると、平面視(図4)において、前アーム部34は、基端部32から後方に向けて延びている。それとともに、前アーム部34は、左右方向に関して、基端部32から左右方向の外側へ向けて凸状となる方向に湾曲し、その後、左右方向の内側へ向けて凸状となる方向に湾曲している。このため、前アーム部34は、左右方向に略S字状に連続的に湾曲している。
【0043】
また側面視(図5)において、前アーム部34は、上下方向に関して、基端部32から上下方向の内側へ向けて凸状となる方向に湾曲し、その後、上下方向の外側へ向けて凸状となる方向に湾曲している。このため、前アーム部34は、上下方向にも略S字状に連続的に湾曲している。
【0044】
アーム部33は、前アーム部34と後アーム部35との間で変曲点となる境界部36において、前アーム部34の後ろ側における左右方向の内側へ向けて凸状を呈する湾曲から、後アーム部35における左右方向の外側へ向けて凸状を呈する湾曲へと湾曲の曲がる方向を変化させている。
【0045】
後アーム部35は、平面視(図4)において、境界部36から後方に向けて延びながら、左右方向の内側に湾曲している。すなわち、左右の後アーム部35は、例えば境界部36における接線38を後方に向けて仮想的に延ばしたときに、その接線38よりも左右方向の内側に向けて湾曲している。この場合、後アーム部35は、左右方向の外側へ向けて凸状となる方向に略円弧状を描きながら湾曲し、且つ、左右の後アーム部35間の間隔を後方に向けて漸増させて配されている。また、後アーム部35は、側面視(図5)において、略直線状に延びる直線部分を有する。この後アーム部35の直線部分は、上下方向に関し、後アーム部35の後端部が前端部よりも上下方向の外側に配される向きで前後方向に対して傾斜している。
【0046】
後アーム部35が上記形状に形成されていることにより、マスク支持部材10の口腔挿入部30を使用者の口腔内に挿入したときに、後アーム部35を使用者の歯肉(又は歯)と頬粘膜との間に挿入させ易くすることができる。また、後アーム部35を、歯肉(又は歯)の表面に沿わせ易くすることができる。
【0047】
口腔挿入部30のパッド部37は、略円形状又は略楕円形状の厚さが薄い板状に形成されている。このパッド部37は、平坦な表面(外面)及び裏面(内面)を有する。ここで、平坦とは、口腔内を傷つけるほどの凹凸がなく、なだらかであることを指す。例えば、パッド部37の表面及び裏面が平坦であるとは、表面及び裏面に触れたときにざらざらとした感じを受け難く形成されていることを意味する。本開示において、平坦な面には、完全に平らな面だけでなく、平らに近い面も含まれる。
【0048】
パッド部37は、パッド部37の裏面を左右方向の内側に向けて配されている。パッド部37の平坦な裏面は、口腔挿入部30が使用者の口腔内に挿入されたときに、使用者の歯肉(又は歯)に接して歯肉を押さえる押さえ面となる。パッド部37が、丸みを帯びた略円形状又は略楕円形状に形成されていることにより、使用者の口の中がパッド部37によって傷付き難くすることができる。なお本開示において、パッド部の形状は限定されず、口腔内が傷付き難い形状であれば様々な形状を採用可能である。
【0049】
外枠部40は、マスク支持部材10の正面視又は背面視(図3)において、閉じた略楕円状の外形を有する。また、外枠部40は、左右方向の中心位置を基準にして左右対称的な形状を有するとともに、前後方向に二つ折り状に折り曲げられた立体的な形状を有する(図2及び図4を参照)。外枠部40が上記形状に形成されていることにより、第1の実施形態のマスク1を使用者が着用したときに、外枠部40の外周縁部又はマスク本体5の外周縁部と使用者の肌とを密着させ易くして、マスク1と使用者の肌との間から空気を漏れ難くすることが可能である。
【0050】
この外枠部40において、環状の周方向に対して直交する断面は、外枠部40の全周に亘って、外枠部40の厚さよりも幅が大きな略矩形の一定の形状を有する。この場合、外枠部40の断面は、支持枠部20の上述した断面と同じ形状であってもよい。それにより、マスク本体5に支持枠部20及び外枠部40が重ねられたときのマスク1全体の厚さが増大することを抑制できる。また、マスク本体5を支持枠部20及び外枠部40に沿った立体的な形状に安定して保持できる。なお、外枠部40の厚さ及び幅の用語は、支持枠部20の場合と同じ意味である。
【0051】
外枠部40は、マスク支持部材10の正面視又は背面視(図3)において、外側に湾曲しながら左右方向に延びる外側上フレーム41及び外側下フレーム42と、外側上フレーム41の左右の各端部から外側下フレーム42の左右の各端部まで外側に湾曲しながら上下方向に延びる左右の外側サイドフレーム43と、左右の外側サイドフレーム43に連結する横フレーム44とを有する。この場合、外側上フレーム41又は外側下フレーム42と外側サイドフレーム43との境界は、マスク支持部材10の正面視又は背面視(図3)において、外枠部40の外周縁における接線45の向きが上下方向又は左右方向に対して45°で傾く部分とする。
【0052】
外側上フレーム41は、マスク支持部材10の正面視又は背面視(図3)において、左右方向の中心部が最も上側に配され、且つ、左右方向の中心部から左右の外側サイドフレーム43に向けて下方に傾斜する形状を有する。また、外側上フレーム41は、左右方向の中央部に配される鼻当て部41aと、鼻当て部41aから左右の外側サイドフレーム43まで延びる左右の繋ぎ部41bとを有する。外側上フレーム41の鼻当て部41aは、使用者の鼻及びその近傍に対向させる部分であり、左右方向の中心部が最も前方に突出するとともに凸状の形状に湾曲して形成されている(図2及び図4を参照)。左右の繋ぎ部41bは、後方へ凸状に膨らむ湾曲形状に形成されている(図4を参照)。
【0053】
外側下フレーム42は、使用者の顎及びその近傍に対向させる部分であり、上下方向及び前後方向に湾曲した形状を有する。このため、マスク支持部材10の正面視又は背面視(図3)において、外側下フレーム42の左右方向の中心部が外側下フレーム42の最も下側に配されており、且つ、マスク支持部材10の平面視(図4)又は底面視において、外側下フレーム42の左右方向の中心部が外側下フレーム42の最も前側に配されている。
【0054】
外側上フレーム41及び外側下フレーム42が上述の形状を有することにより、マスク支持部材10にマスク本体5が支持されたマスク1を着用したときに、外側上フレーム41及び外側下フレーム42(又はマスク本体5の上端部及び下端部)と使用者の肌との密着性を維持し易くすることができる。
【0055】
横フレーム44は、マスク支持部材10の正面視又は背面視(図3)において、左側の外側サイドフレーム43から右側の外側サイドフレーム43まで連続して、左右方向にまっすぐ延びている。また、横フレーム44は、マスク支持部材10の平面視(図4)又は底面視において、全体的に前後方向に湾曲した曲線状に延びており、横フレーム44の左右方向の中央部が横フレーム44で最も前側に配される形状を有する。横フレーム44は、外枠部40における上下方向の中央位置で、左右の外側サイドフレーム43にそれぞれ直接連結しており、且つ、支持枠部20の左右のサイドフレーム24にそれぞれ直接連結している。
【0056】
横フレーム44は、外側上フレーム41及び外側下フレーム42から上下方向の内側へ離れた位置に配されている。横フレーム44の断面(横フレーム44の長さに直交する断面)は、厚さよりも幅が大きな略矩形の形状を有する。この横フレーム44は、左側の外側サイドフレーム43から右側の外側サイドフレーム43まで、一定の幅及び一定の断面形状を有する。この場合、横フレーム44の断面は、外枠部40の上述した断面と同じ形状であってもよい。
【0057】
マスク支持部材10の正面視又は背面視(図3)において、外側上フレーム41と横フレーム44との間の上下方向における間隔、及び、横フレーム44と外側下フレーム42との間の上下方向における間隔は、左右の外側サイドフレーム43から外枠部40の左右方向の中央部に向けて漸増しており、左右方向の中央部で最も大きい。
【0058】
また、外側上フレーム41と横フレーム44及び支持枠部20との間には上側窓部46が開口し、外側下フレーム42と横フレーム44及び支持枠部20との間には下側窓部47が開口している。これらの上側窓部46及び下側窓部47が設けられているとともに、支持枠部20の中央部に上述した中央窓部21が設けられていることにより、マスク本体5の裏面にマスク支持部材10が重ねられてもマスク1の通気性が低下することを抑制できる。
【0059】
ここで、マスク支持部材10の平面視(図4)又は底面視において、外枠部40の左右方向の中央部における前後方向の寸法を「中央寸法D1」と規定する。また、外枠部40の全体における前後方向の寸法の最大値を「最大寸法D2」と規定する。例えば、第1の実施形態の場合、中央寸法D1は、マスク支持部材10の平面視又は底面視において、外側下フレーム42の裏面(後面)から横フレーム44の表面(前面)までの前後方向に沿った大きさである。最大寸法D2は、左右の外側サイドフレーム43における側端面と裏面の境界(稜線)から、横フレーム44の表面までの前後方向に沿った大きさである。
【0060】
例えば、外枠部40における中央寸法D1は、外枠部40における最大寸法D2の20%以上50%以下の大きさである。外枠部40において、中央寸法D1が最大寸法D2の20%以上であることにより、マスク1の着用時にマスク本体5を使用者の肌から離して、マスク本体5と肌との間に適度な空間を安定して設けることができる。また、中央寸法D1が最大寸法D2の50%以下であることにより、マスク1の着用時にマスク本体5が前方に飛び出し過ぎることを防ぎ、マスク本体5が使用者の視界を遮ることを抑制できる。更に、マスク本体5と使用者の肌とが離れ過ぎることを抑制し、マスク本体5に空気漏れを生じ難くすることができる。
【0061】
第1の実施形態において、マスク本体5は、マスク支持部材10における支持枠部20の前面の全体と外枠部40の前面の全体とに固定されて取り付けられている。なお本開示において、マスク本体5は、マスク支持部材10における支持枠部20の前面の少なくとも一部、又は、外枠部40の前面の少なくとも一部にのみ固定されて取り付けられていてもよい。また、マスク本体5は、外枠部40よりも更に外側に拡がる状態で支持枠部20及び外枠部40に取り付けられている。この場合、マスク本体5は、マスク支持部材10の外枠部40の全周から外側に全体的に拡がって支持枠部20及び外枠部40に取り付けられていてもよい。
【0062】
マスク本体5は、マスク支持部材10に対し、固定されて取着されていてもよく、又は、取り外し可能に取着されていてもよい。例えばマスク本体5をマスク支持部材10に固定する場合は、接着、溶着等の固定手段を採用することが可能である。マスク本体5をマスク支持部材10に取り外し可能に取着する場合、図示を省略するが、フックなどのマスク本体5に引っ掛けることが可能な引っ掛け部材をマスク支持部材10に設けること、マスク本体5及びマスク支持部材10に互いに係合・脱離可能な面ファスナー若しくはスナップボタンを設けること、又は、マスク本体5及びマスク支持部材10に磁石と磁石に吸着される材料を利用すること等の手段を採用することが可能である。
【0063】
以上のマスク支持部材10にマスク本体5が取り付けられたマスク1によれば、4つの口腔挿入部30が使用者の口から口腔内に挿入されて歯肉と頬粘膜との間(歯肉と頬の内側との間)に挿し込まれる。更に、各口腔挿入部30の前アーム部34(特に、前アーム部34の左右の口腔挿入部30間の間隔が最も小さい部分)が口角周辺の唇に挟まれて保持される。これにより、使用者がマスク1を容易に着用して、マスク本体5で使用者の口、鼻、及びその周辺部を覆うことができる。
【0064】
また、使用者が、上下左右の4つの口腔挿入部30を、例えば図4に仮想線で示す口腔8内において歯肉と頬粘膜とによって保持することにより、マスク1の着用状態を安定して維持でき、使用者の意思に反してマスク1が脱落することを抑制できる。この場合、マスク支持部材10の支持枠部20は、上下の唇の前面に対向して配される。
【0065】
更に、第1の実施形態のマスク1は、左右の耳掛け部を設けなくても、口腔挿入部30を用いて着用可能であるため、マスク1を長時間に亘って着用しても、耳が痛くなることはない。更に、本開示のマスク1は、着用のために粘着剤層を用いて顔に貼り付けなくてもよいため、顔に痒み及び肌荒れ等を生じさせることはなく、安心して使用できる。また、口腔挿入部30を挿入してマスク1を着用した状態でも、使用者が口を容易に動かすことができ、しゃべり難さを感じることも抑えられる。
【0066】
また、第1の実施形態のマスク1は、マスク支持部材10によって、マスク本体5の形状をマスク支持部材10に沿った立体的な形状に安定して保持できる。また、マスク支持部材10の使用によってマスク1の通気性の性能が低下することを抑制でき、マスク本体5が本来有する機能(フィルター機能)を安定して発揮させることができる。
【0067】
更に、第1の実施形態のマスク1を着用したときには、マスク本体5と肌との間に適度な空間部を設けて、マスク本体5とマスク本体5で覆う肌(特に、鼻、口、及びその周辺部の肌)との間の距離を確保し易くすることができる。それによって、マスク本体5の裏面と使用者の鼻、口、及びその周辺部の肌とを直接接触させ難くすることができる。
【0068】
従って、マスク1を着用した使用者は、マスク本体5との間に形成された空間部を利用して、呼吸を楽に行い易くなり、息苦しさ、呼吸の辛さ等の不快感を抱き難くなる。特に第1の実施形態のマスク1では、外側上フレーム41と横フレーム44及び支持枠部20との間に上側窓部46が大きく開口していることにより、例えば使用者の鼻と口との間におけるマスク1の通気性が安定して確保されている。
【0069】
これにより、マスク1の着用時に鼻呼吸を維持し易くなり、また、鼻呼吸から口呼吸への移行を予防できることが期待される。その結果、例えば、ウィルス等の口からの侵入を抑えることができ、それによって、ウィルス感染症への対策効果が高まることが期待される。また、マスク本体5と肌との間に空間部を設けることにより、マスク本体5内で適度な保湿性が得られ易くなることも考えられ、喉の乾燥等が抑えられることが期待される。
【0070】
また、マスク本体5と肌との間に上述した空間部を形成するとともに、マスク支持部材10の中央窓部21、上側窓部46、及び下側窓部47によってマスク1の通気性を確保していることにより、マスク本体5の内側に熱がこもることを抑制し、暑苦しさを感じさせ難くできる。また、マスク本体5の肌への貼り付きを抑制できる。
【0071】
更に、例えば女性がマスク1を着用しても、化粧品がマスク本体5に付着することによる化粧崩れ及びマスク1の汚れ等を発生させ難くすることができる。このため、マスク1の着用に際し、化粧をためらうこと等の不安が生じることも抑制できる。
【0072】
次に、第2の実施形態に係るマスク支持部材について説明する。
図6は、第2の実施形態に係るマスク支持部材を斜め後方側から見た模式的な斜視図である。
【0073】
第2の実施形態のマスク支持部材10aは、上述した第1の実施形態のマスク支持部材10における外枠部40が設けられておらず、第1の実施形態における支持枠部20及び口腔挿入部30のみによって形成されている。このマスク支持部材10aを形成する支持枠部20及び口腔挿入部30は、第1の実施形態(マスク支持部材10)の図1等における支持枠部20及び口腔挿入部30と同様である。このため、第2の実施形態ではこれらの詳しい説明を省略する。
【0074】
上述した第1の実施形態のマスク支持部材10は、例えばマスク本体5が柔軟に形成されていること等により、マスク本体5のみでは、マスク本体5を使用者の鼻、口、およびその周辺部を覆う形状に保持できない場合に主に用いられる。すなわち、第1の実施形態では、マスク支持部材10の支持枠部20だけではなく、外枠部40にもマスク本体5を取り付ける(固定する)ことによって、マスク1の着用時に、マスク本体5で使用者の鼻、口、およびその周辺部を安定して覆うことができる。
【0075】
これに対して、第2の実施形態のマスク支持部材10aは、例えばマスク本体5自体にマスク本体5の形状を保持するための形状保持部材が取り付けられている場合等に主に用いられる。マスク本体5がそれ自体で形状を保持することが可能であれば、そのマスク本体5を支持枠部20のみに取り付けることによって(すなわち、第1の実施形態の外枠部40にマスク本体5を取り付けなくても)、マスク本体5を使用者の鼻、口、およびその周辺部を覆うことが可能な形状に保持することが可能である。
【0076】
図6に示した第2の実施形態のマスク支持部材10aにマスク本体5が取り付けられたマスクであっても、上述した第1の実施形態のマスク1(図1)と実質的に同様の効果を得ることができる。
【0077】
以上、本開示の好適な一例として、図1図5に示した第1の実施形態及び図6に示した第2の実施形態について説明したが、本開示のマスク及びマスク支持部材はこれに限定されるものではない。本開示では、本開示と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
【0078】
例えば、マスク支持部材の正面視又は背面視における支持枠部の形状及び外枠部の形状としては、第1の実施形態(図2図5)で説明した略楕円状又は略長方形状の形状以外に、略円形の形状、三角形、正方形若しくは五角形等の多角形の形状、又は、角を丸くした略多角形の形状等のその他の形状を採用してもよい。なお、マスク支持部材をマスク本体に取り付けたときの肌触り、マスクの通気性等の観点で、支持枠部及び外枠部の形状は、多角形ではなく、楕円形、円形、角を丸くした略多角形等の丸みを帯びた形状であってもよい。
【0079】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、上下左右の4つの口腔挿入部30がマスク支持部材10,10aに設けられている。本開示はこれに限定されず、本開示のマスク支持部材には少なくとも1つの口腔挿入部が設けられていればよい。例えばマスク支持部材には、支持枠部の左右のサイドフレームからそれぞれ延びる左右一対の口腔挿入部、又は、支持枠部の左右のサイドフレームの一方から延びる上下一対の口腔挿入部等の2つの口腔挿入部が設けられていてもよい。好適には、口腔挿入部の一部を口腔に挿入してマスク支持部材を支持するときの安定性の観点で、口腔挿入部が左右のサイドフレームにそれぞれ設けられていればよい。更に本開示において、1つの口腔挿入部が、支持枠部の左右のサイドフレームの一方から延びるとともに、当該口腔挿入部の後端部で上下2つに分岐して形成されていてもよい。また、支持枠部の上フレーム及び下フレームの少なくとも一方から、少なくとも1つの口腔挿入部が後方に延びていてもよい。
【0080】
更に、第1の実施形態におけるマスク支持部材10の外枠部40には、外側上フレーム41、外側下フレーム42、及び左右の外側サイドフレーム43の他に、左側の外側サイドフレーム43から右側の外側サイドフレーム43まで連続して延びる1つの横フレーム44が設けられている。本開示において、マスク支持部材の外枠部には、例えばマスク支持部材の強度を確保する観点で、2つ以上の横フレームが、支持枠部と接続可能に左右の外側サイドフレームに連結して設けられていてもよい。また、息苦しさの緩和、鼻呼吸の維持の観点で、横フレームの本数は少なくすることがよい。この場合、横フレームの設置数は、5本以下であることが好ましく、また、4本以下であってもよく、3本以下であってもよい。
【0081】
更にまた、マスク支持部材の外枠部には、横フレームに代えて、又は横フレームに加えて、外側上フレームから外側下フレームまで上下に延びる1つ又は2つ以上の縦フレームが、外側上フレーム及び外側下フレームに連結して設けられていてもよい。
【0082】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、マスク支持部材10,10aは、熱可塑性の合成樹脂で形成されている。本開示において、マスク支持部材の材質は特に限定されず、例えばエラストマー、ゴム、又は金属等によってマスク支持部材が形成されていてもよい。マスク支持部材の製造及び取り扱いの容易さの観点で、マスク支持部材は合成樹脂で形成されることが好ましい。この場合、合成樹脂は、熱可塑性でもよく、熱硬化性でもよい。また、マスク支持部材は、例えば射出成形又は注型成形で成形されてもよく、3Dプリンターで成形されてもよい。更に、マスク支持部材には、合成樹脂に抗菌剤を練り込むこと、マスク支持部材の表面に抗菌処理を行うこと等の抗菌加工が施されていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…マスク、5…マスク本体、8…口腔、10,10a…マスク支持部材、20…支持枠部、21…中央窓部、22…上フレーム、23…下フレーム、24…サイドフレーム、25…接線、30…口腔挿入部、30a…左上側口腔挿入部、30b…左下側口腔挿入部、30c…右上側口腔挿入部、30d…右下側口腔挿入部、31…クリアランス、32…基端部、33…アーム部、34…前アーム部、35…後アーム部、36…境界部、37…パッド部、38…接線、40…外枠部、41…外側上フレーム、41a…鼻当て部、41b…繋ぎ部、42…外側下フレーム、43…外側サイドフレーム、44…横フレーム、45…接線、46…上側窓部、47…下側窓部、D1…外枠部の左右方向の中央部における前後方向の寸法(中央寸法)、D2…外枠部の全体における前後方向の寸法の最大値(最大寸法)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7