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特開2022-34909音データ生成システム、音データ生成プログラム、及び音データ生成方法
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  • 特開-音データ生成システム、音データ生成プログラム、及び音データ生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034909
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】音データ生成システム、音データ生成プログラム、及び音データ生成方法
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
G10H1/00 Z
G10H1/00 102Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138841
(22)【出願日】2020-08-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】320007550
【氏名又は名称】井上 淑臣
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】井上 淑臣
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478EA51
5D478EB31
5D478HH11
(57)【要約】
【課題】MIDIデータに基づく電子楽器の演奏音を取得した場合に、その演奏音に他の楽器の演奏音又は人の音声を合わせ易くして音楽を制作できる音データ生成システムを提供する。
【解決手段】音データ生成システム1は、複数のオーナーの電子楽器うちの特定のオーナーBの電子ピアノ60の遠隔操作を選択可能な選択部30bと、電子ピアノ60に接続され、MIDIデータに基づいて電子ピアノ60を自動演奏させ、自動演奏音と同期して自動録音した電子ピアノ音を生成すると共に、電子ピアノ音及び自動演奏音と同期して所定のリズムを有するリズムガイドを組み合わせた組み合わせデータを生成する演奏録音制御部50aと、MIDIデータを、端末20から受信して演奏録音制御部50aに送信可能で、電子ピアノ音及び組み合わせデータを、演奏録音制御部50aから受信して端末20によって受信されることが可能である受送信部30cと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録される複数のオーナーの電子楽器の情報を提供して特定のオーナーの電子楽器の遠隔操作を選択可能な選択部と、
該電子楽器に接続され、MIDIデータに基づいて前記電子楽器を自動演奏させることにより自動演奏音を発生させ、前記自動演奏音と同期して自動録音した録音データを生成すると共に、前記録音データ、及び前記自動演奏音と同期して所定のリズムを有するリズムガイドを組み合わせた組み合わせデータを生成する制御部と、
前記MIDIデータを、ユーザーの端末から受信して前記制御部に送信可能であり、かつ、前記録音データ及び前記組み合わせデータを、前記制御部から受信して前記端末によって受信されることが可能である、又は前記制御部から受信して前記端末に送信可能な受送信部と、
を備える、ことを特徴とする音データ生成システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電子楽器が自動演奏を開始する自動演奏の開始のタイミング前に所定拍のカウントインを付加することがユーザーによって選択された場合には、
前記録音データの先頭に前記カウントインの分の無音データを形成すると共に、
前記リズムガイドの開始のタイミングを、前記カウントインの開始のタイミングに設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の音データ生成システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記電子楽器が自動演奏する曲が裏拍でリズムを取る曲である場合には、
前記リズムガイドの開始のタイミングを、半拍早いタイミングに設定する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音データ生成システム。
【請求項4】
ユーザーの端末からオーナーの電子楽器に送信したMIDIデータに基づいて前記電子楽器を自動演奏させることにより自動演奏音を発生させ、前記自動演奏音と同期して自動録音した録音データを生成すると共に、前記録音データ、及び前記自動演奏音と同期して所定のリズムを有するリズムガイドを組み合わせた組み合わせデータを生成する制御過程をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする音データ生成プログラム。
【請求項5】
登録される複数のオーナーの電子楽器のうちの特定のオーナーの電子楽器の遠隔操作を選択する過程と、
MIDIデータを、ユーザーの端末から受信して前記電子楽器に送信する過程と、
前記MIDIデータに基づいて前記電子楽器を自動演奏させることにより自動演奏音を発生させ、前記自動演奏音と同期して自動録音した録音データを生成すると共に、前記録音データ、及び前記自動演奏音と同期して所定のリズムを有するリズムガイドを組み合わせた組み合わせデータを生成する制御過程と、
前記録音データ及び前記組み合わせデータを、前記端末によって受信され、又は前記端末に送信する過程と、
を備える、ことを特徴とする音データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音データ生成システム、音データ生成プログラム、及び音データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1の電子楽器と別の場所にある第2の電子楽器とを公衆通信網を経由して接続し、第1の電子楽器から第2の電子楽器へとMIDIデータを送信する技術が特許文献1に開示されている。また、この特許文献1に記載の技術では、携帯電話端末によって、MIDIデータが送信された第2の電子楽器を遠隔操作して演奏のスタートストップをすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-100742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、第2の電子楽器として良質な音質を有する高価な電子楽器を使用して、この第2の電子楽器で演奏される演奏音に対して、更に別の第3の電子楽器で演奏される演奏音等を組み合わせる場合に、第2の電子楽器で演奏される演奏開始のタイミングに、第3の電子楽器で演奏される演奏開始のタイミングを合わせることが難しい場合がある。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、ユーザーが、MIDIデータに基づいて特定の電子楽器の演奏音を取得した場合に、その演奏音に他の楽器の演奏音又は人の音声を合わせ易くして音楽を制作することができる音データ生成システム、音データ生成プログラム、及び音データ生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る音データ生成システムは、登録される複数のオーナーの電子楽器の情報を提供して特定のオーナーの電子楽器の遠隔操作を選択可能な選択部と、該電子楽器に接続され、MIDIデータに基づいて前記電子楽器を自動演奏させることにより自動演奏音を発生させ、前記自動演奏音と同期して自動録音した録音データを生成すると共に、前記録音データ、及び前記自動演奏音と同期して所定のリズムを有するリズムガイドを組み合わせた組み合わせデータを生成する制御部と、前記MIDIデータを、ユーザーの端末から受信して前記制御部に送信可能であり、かつ、前記録音データ及び前記組み合わせデータを、前記制御部から受信して前記端末によって受信可能である、又は前記制御部から受信して前記端末に送信可能な受送信部と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る音データ生成プログラムは、ユーザーの端末からオーナーの電子楽器に送信したMIDIデータに基づいて前記電子楽器を自動演奏させることにより自動演奏音を発生させ、前記自動演奏音と同期して自動録音した録音データを生成すると共に、前記録音データ、及び前記自動演奏音と同期して所定のリズムを有するリズムガイドを組み合わせた組み合わせデータを生成する制御過程をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る音データ生成方法は、登録される複数のオーナーの電子楽器のうちの特定のオーナーの電子楽器の遠隔操作を選択する過程と、MIDIデータを、ユーザーの端末から受信して前記電子楽器に送信する過程と、前記MIDIデータに基づいて前記電子楽器を自動演奏させることにより自動演奏音を発生させ、前記自動演奏音と同期して自動録音した録音データを生成すると共に、前記録音データ、及び前記自動演奏音と同期して所定のリズムを有するリズムガイドを組み合わせた組み合わせデータを生成する制御過程と、前記録音データ及び前記組み合わせデータを、前記端末によって受信され、又は前記端末に送信する過程と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の音データ生成システム等によれば、MIDIデータに基づいて電子楽器を自動演奏させて自動演奏音を発生させ、この自動演奏音を録音した録音データ、及びこれと組み合わされるリズムガイドを取得することができる。ユーザーは、リズムガイドにタイミングを合わせながら他の楽器を演奏し、又は歌を歌うことができる。その結果、ユーザーが、MIDIデータに基づいて特定の電子楽器の演奏音を取得した場合に、その演奏音に他の楽器の演奏音又は人の音声を合わせ易くして音楽を制作することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザーが、MIDIデータに基づいて特定の電子楽器の演奏音を取得した場合に、その演奏音に他の楽器の演奏音又は人の音声を合わせ易くして音楽を制作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る制御部を備える音データ生成システムの概念図である。
図2】(a)リズムガイド付きデータにユーザーの歌声及びユーザーのギター音をのせる音楽制作に関する説明図である。(b)リズムガイド無しデータにユーザーの歌声及びユーザーのギター音をのせる音楽制作に関する説明図である。
図3】(a)ユーザーの歌声、ユーザーのギター音、オーナーの電子ピアノ音、カウントインを追加する前のリズムガイドの組み合わせのタイミングを示す概念図である。(b)ユーザーの歌声、ユーザーのギター音、オーナーの電子ピアノ音、カウントインを追加した後のリズムガイドの組み合わせのタイミングを示す概念図である。
図4】(a)ユーザーの歌声、ユーザーのギター音、オーナーの電子ピアノ音、調整拍を追加する前のリズムガイドの組み合わせのタイミングを示す概念図である。(b)ユーザーの歌声、ユーザーのギター音、オーナーの電子ピアノ音、調整拍を追加した後のリズムガイドの組み合わせのタイミングを示す概念図である。
図5】本発明の変形例に係る制御部を備える音データ生成システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る音データ生成システム1の概念図である。音データ生成システム1は、MIDIデータ提供サーバー5と、端末20と、遠隔操作サーバー30と、演奏録音サーバー50と、電子ピアノ60(電子楽器)と、を備える。MIDIデータ提供サーバー5と端末20との間、端末20と遠隔操作サーバー30との間、遠隔操作サーバー30と演奏録音サーバー50との間は、インターネット100を介して接続される。
【0014】
[ユーザーの端末]
ユーザーAの端末20は、操作部20aと、端末制御部20bと、を有する。端末20は、インターネット100に接続されたコンピュータのうち、主にユーザー側が使う機器(スマートフォン、タブレットパソコン、パソコン等)のことをいい、本実施形態では、端末20として、スマートフォンが用いられる。
操作部20aは、端末制御部20bの駆動を操作する部分である。
端末制御部20bは、ユーザーAによる操作部20aの操作により、MIDIデータ提供サーバー5と、遠隔操作サーバー30と、オーナーBの演奏録音サーバー50と、の関係において以下の制御を行う。
【0015】
端末制御部20bは、MIDIデータ(演奏情報)を、矢印J1のようにMIDIデータ提供サーバー5から受信する。MIDIデータ提供サーバー5には種々の音楽のMIDIデータ(演奏情報)が登録してあり、ユーザーAが操作部20aを操作することにより、特定のMIDIデータ(演奏情報)を取得することができるようになっている。端末制御部20bは、MIDIデータ(演奏情報)を、矢印J2のように遠隔操作サーバー30に送信する。ここで用いられるMIDIデータは、演奏情報(発音せよ、音の高さは、音の大きさは、といった楽器や音源のメッセージ)である。MIDI(Musical Instrument Digital Interface)は、電子楽器の演奏データを機器間で転送及び共有するための共通規格である。
【0016】
また、端末制御部20bは、録音データ(音声データ)を、矢印J7のように遠隔操作サーバー30から受信する。ここでいう録音データは、音声データ(マイク等で録音した音の波形をサンプリングしたもの)である。
【0017】
[遠隔操作サーバー]
遠隔操作サーバー30は、遠隔操作制御部30aと、選択部30bと、受送信部30cと、を有する。
遠隔操作制御部30aには、複数のユーザーAのアカウント、複数のオーナーのアカウントが作成されている。そして、遠隔操作制御部30aは、電子楽器、MIDIインターフェース、及びオーディオインターフェースの情報が登録される。遠隔操作制御部30aは、電子楽器を貸したい複数のオーナーの各々が所有する電子楽器、MIDIインターフェース、及びオーディオインターフェースの情報を、遠隔操作制御部30aに内容データが置かれているウェブサイト上に表示させ、ユーザーAは、端末20の操作部20aを操作することにより端末20の画面上でそれらの情報を閲覧したり確認したりすることができる。
【0018】
選択部30bは、登録される複数のオーナーの電子楽器のうちの特定のオーナーBの電子楽器をユーザーAが借りるための選択を可能にする部分であり、ユーザーAは、端末20の操作部20aを操作することにより端末20の画面上で自分が借りたい複数の電子楽器を確認することができる。本実施形態では、ユーザーAは、オーナーBの電子ピアノ60を選択する場合を例示する。
【0019】
受送信部30cは、MIDIデータ(演奏情報)を、矢印J2のようにユーザーAの端末20の端末制御部20bから受信して矢印J3のようにオーナーBの演奏録音サーバー50及び電子ピアノ60に送信可能である。受送信部30cは、後述の録音データ(音声データ)及び後述の組み合わせデータE1を矢印J6のようにオーナーBの演奏録音サーバー50から受信し、矢印J7のようにユーザーAの端末20の端末制御部20bに受信(ダウンロード)されることが可能である。
【0020】
[オーナー側]
オーナーBは、演奏録音サーバー50及び電子ピアノ60を所有している。この電子ピアノ60の音色は、種々の電子ピアノ毎に異なる。そのため、ユーザーAは、どの電子ピアノを使用するか、あるいはどの電子楽器を使用するかを考慮することになる。
演奏録音サーバー50は、電子ピアノ60に接続されており、インターネット100を介して遠隔操作サーバー30にも接続されている。演奏録音サーバー50としては、例えば、Linux(登録商標)を導入したパソコンを用いても良いし、あるいはLinuxを導入したラズベリーパイ(Raspberry Pi)(登録商標)(一例としてRaspberry Pi3)を用いても良い。
【0021】
演奏録音サーバー50は、演奏録音制御部50a(制御部)を有する。演奏録音制御部50aは、定期的に、遠隔操作サーバー30に接続して、ユーザーAから録音依頼があるかを確認する。演奏録音制御部50aは、オーナーBの電子ピアノ60のMIDIインターフェースと接続されており、ユーザーAの録音依頼がある場合には、矢印J4のようにMIDIデータ(演奏情報)をオーナーBの電子ピアノ60に送信する。そして、演奏録音制御部50aは、MIDIデータ(演奏情報)に基づいてオーナーBの電子ピアノ60を自動演奏させる。演奏録音制御部50aは、オーナーBの電子ピアノ60のオーディオインターフェースと接続されており、矢印J5のように自動演奏音のデータを受信して、録音データ(音声データ)として保有する。
【0022】
演奏録音制御部50aは、その自動演奏音と同期して自動録音した録音データを生成する。これと同時に、演奏録音制御部50aは、その自動演奏音と同期して所定のリズムを有する後述のリズムガイドQを録音データに組み合わせた後述の組み合わせデータE1を生成する(図2(a)参照)。所定のリズムといった場合には、メトロノームのように一分当たりに何拍設けるかという風な一定時間毎の音の並びのリズムの他、強勢のある音節が時間的にほぼ等間隔に繰り返される強勢リズム、各音節が時間的にほぼ等間隔で現れる音節リズムも含まれる。例えば、音と音との時間間隔が同じリズムの他、音と音との時間間隔が異なっても小節毎に同じ音の繰り返しとなるリズムも含まれる。
【0023】
この演奏録音制御部50aによる前述の録音データの生成及び前述の組み合わせデータE1の生成工程は、プログラム化されており、コンピュータに実行させることが可能な音データ生成プログラムとして形成されている。演奏録音制御部50aは、矢印J6のように録音データ(音声データ)及び組み合わせデータE1を遠隔操作サーバー30に送信し、遠隔操作サーバー30にアップロードする。なお、演奏録音制御部50aは、前述の音データ生成プログラムを、遠隔操作サーバー30からダウンロードして保有するようにされていても良い。
【0024】
ユーザーAは、端末20の端末制御部20bにより遠隔操作サーバー30の遠隔操作制御部30a及びオーナーBの演奏録音サーバー50の演奏録音制御部50aを制御するので、実質的に、ユーザーAが、オーナーBの電子ピアノ60にMIDIデータ(演奏情報)を送信して、電子ピアノ60を自動演奏させ、その自動演奏音を録音して、録音データを回収することになる。
【0025】
図2(a)は、リズムガイドQ付きの組み合わせデータE1にユーザーAの歌声R及びユーザーAのギター音Sをのせる音楽制作に関する説明図である。図2(b)は、リズムガイドQ無しの単独データE2にユーザーAの歌声R及びユーザーAのギター音Sをのせる音楽制作に関する説明図である。演奏録音サーバー50は、遠隔操作サーバー30からオーナーBの電子ピアノ60の録音データ(音声データ)(ここでは電子ピアノ音P)を受信する。また、演奏録音サーバー50は、録音データに対応するリズムガイドQを作成する。そして、演奏録音サーバー50は、遠隔操作サーバー30に対して、録音データ及びリズムガイドQを組み合わせた組み合わせデータE1を送信する。それから、ユーザーAが決済した後に、演奏録音サーバー50は、遠隔操作サーバー30に対して、録音データ単独の単独データE2を追加して送信する。
【0026】
そして、ユーザーAは、ユーザーAの歌声Rのパートの録音時には、リズムガイドQ付きの組み合わせデータE1を用いて録音する。同様に、ユーザーAは、ギター音Sのパートの録音時には、リズムガイドQ付きの組み合わせデータE1を用いて録音する。端末20の端末制御部20bは、オーナーBの電子ピアノ60の録音データと、リズムガイドQと、ユーザーAの歌声Rと、ユーザーAのギター音Sと、を組み合わせる。それから、ユーザーAは、組み合わせデータE1を単独データE2に差し替えることにより、リズムガイドQを無くしてパート毎のずれがない音楽を制作することができる。なお、この差し替えは、例えば、操作部20aを操作して端末制御部20bを制御することによって行う。
【0027】
図3(a)は、オーナーBの電子ピアノ音P、カウントインを追加する前のリズムガイドQ、ユーザーAの歌声R、ユーザーAのギター音Sの組み合わせのタイミングを示す概念図である。図3(b)は、オーナーBの電子ピアノ音P、カウントインを追加した後のリズムガイドQ、ユーザーAの歌声R、ユーザーAのギター音Sの組み合わせのタイミングを示す概念図である。
【0028】
例えば、演奏録音制御部50aは、電子ピアノ60が自動演奏を開始する自動演奏の開始のタイミング前に所定のカウントインを追加することがユーザーAによって選択された場合には、図3(a)に示されるように、曲の開始前のカウントインが第1所定拍X1(本実施形態では2拍)必要であって、曲の開始後のカウントインが第2所定拍X2(本実施形態では2拍)必要であることを認識する。
【0029】
これに対応して、リズムガイドQは、曲の開始後のカウントインの第2所定拍X2に相当する部分Q1(本実施形態では2拍)を含んでいるが、曲の開始前のカウントインの第1所定拍X1に相当する部分Y1(本実施形態では2拍)が不足している。そのため、演奏録音制御部50aは、図3(b)に示されるように、リズムガイドQの開始のタイミングをカウントインの開始のタイミングに設定する(すなわちリズムガイドQの先頭に追加拍Q2を追加する)ことにより、リズムガイドQを前に延長する。この結果、リズムガイドQに元から含まれた部分Q1と、リズムガイドQに後から追加された追加拍Q2と、により、カウントインが構成される。
【0030】
図4(a)は、オーナーBの電子ピアノ音P、調整拍Q3を追加する前のリズムガイドQ、ユーザーAの歌声R、ユーザーAのギター音Sの組み合わせのタイミングを示す概念図である。図4(b)は、オーナーBの電子ピアノ音P、調整拍Q3を追加した後のリズムガイドQ、ユーザーAの歌声R、ユーザーAのギター音Sの組み合わせのタイミングを示す概念図である。
【0031】
例えば、演奏録音制御部50aは、電子ピアノ音Pが自動演奏する曲が裏拍でリズムを取る曲である場合には、図4(a)に示されるように、曲の開始と拍の頭との間にずれZ1が生じる。そのために、拍のタイミングとリズムガイドQのタイミングとの間にもずれZ1が生じる。なお、裏拍でリズムを取る音楽には、例えば、ロック、ジャズ、レゲエ、ヒップホップ等がある。
【0032】
それにも関わらず、リズムガイドQは、曲の開始後の半拍分早く開始している。そのため、演奏録音制御部50aは、図4(b)に示されるように、リズムガイドQの開始のタイミングを、曲の開始のタイミングに設定する(すなわちリズムガイドQの先頭に調整拍Q3を追加する)ことにより、リズムガイドQを前に延長する。
【0033】
次に、前述した音データ生成システム1の動作について説明する。例えば、ユーザーAは、端末20の操作部20aを操作して、MIDIデータ提供サーバー5にアクセスする。ユーザーAは、操作部20aを操作して、MIDIデータ提供サーバー5に登録されている特定の音楽のMIDIデータをダウンロードして端末制御部20bに取得する。
【0034】
ユーザーAは、次に、遠隔操作サーバー30にアクセスする。遠隔操作サーバー30には、複数のオーナーが貸与を目的として登録している複数の電子楽器がアップされている。これらの複数の電子楽器の各々は、オーナーによって電源オンに設定されている。ユーザーAは、複数の電子楽器のいずれかである例えば電子ピアノ60を選択し(電子楽器の選択過程)、その電子ピアノ60に前述の特定の音楽に用いられている特定の楽器(例えば電子ピアノ)のMIDIデータを送信する(MIDIデータの送信過程)。このときに、そのMIDIデータは、端末20、遠隔操作サーバー30、演奏録音サーバー50の順に送信される。
【0035】
演奏録音サーバー50の演奏録音制御部50aは、MIDIデータに基づいて電子ピアノ60を自動演奏させると共に自動録音させる。演奏録音制御部50aは、電子ピアノ音P(録音データ)及びリズムガイドQを組み合わせた組み合わせデータE1と、電子ピアノ音P(録音データ)の単独データE2とを生成する(制御過程)。
【0036】
演奏録音制御部50aは、遠隔操作サーバー30に組み合わせデータE1及び単独データE2の生成が完了したことをユーザーAにメール送信により伝える(録音データ及び組み合わせデータE1のお知らせ過程)。ユーザーAは、遠隔操作サーバー30にアクセスして組み合わせデータE1をユーザーAの端末20にダウンロード(受信)することにより取得する。ユーザーAは、この組み合わせデータE1にユーザーAの歌声Rと、ユーザーAのギター音Sと、を更に組み合わせる。そして、ユーザーAは、それを試し聞きする。ユーザーAは、試し聞きをした結果、その出来に満足した場合には、単独データE2を取得するために決済をする。
【0037】
そうすると、演奏録音制御部50aは、単独データE2のダウンロード(受信)が可能であることをユーザーAにメール送信により伝える。ユーザーAは、遠隔操作サーバー30にアクセスして単独データE2をユーザーAの端末20にダウンロード(受信)することにより取得する。ユーザーAは、端末20の操作部20aを操作して、組み合わせデータE1を単独データE2に差し替える。その結果、オーナーBの電子ピアノ60の電子ピアノ音Pと、ユーザーAの歌声Rと、ユーザーAのギター音Sと、が組み合わされた音楽(リズムガイドQが無い音楽)を完成させることができる。
【0038】
以上で述べたように、本実施形態に係る音データ生成システム1は、登録される複数のオーナーの電子楽器の情報を提供して特定のオーナーBの電子ピアノ60の遠隔操作を選択可能な選択部30bと、電子ピアノ60に接続され、MIDIデータに基づいて電子ピアノ60を自動演奏させることにより自動演奏音を発生させ、自動演奏音と同期して自動録音した電子ピアノ音Pを生成すると共に、電子ピアノ音P、及び自動演奏音と同期して所定のリズムを有するリズムガイドQを組み合わせた組み合わせデータE1を生成する演奏録音制御部50aと、MIDIデータをユーザーAの端末20から受信して演奏録音制御部50aに送信可能であり、かつ、電子ピアノ音P及び組み合わせデータE1を、演奏録音制御部50aから受信して端末20によって受信されることが可能である受送信部30cと、を備える。
【0039】
こうした構成によれば、MIDIデータに基づいて電子ピアノ60を自動演奏させて自動演奏音を発生させ、この自動演奏音を録音した電子ピアノ音P、及びこれと組み合わされるリズムガイドQを取得することができる。ユーザーAは、リズムガイドQにタイミングを合わせながら他の楽器を演奏し、又は歌を歌うことができる。その結果、ユーザーAが、MIDIデータに基づいて特定の電子ピアノ60の演奏音を取得した場合に、その演奏音に他の楽器の演奏音又は人の音声を合わせ易くして音楽を制作することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る音データ生成システム1では、演奏録音制御部50aは、電子ピアノ60が自動演奏を開始する自動演奏の開始のタイミング前に所定拍のカウントインを付加することがユーザーAによって選択された場合には、電子ピアノ音Pの先頭にカウントインの分の無音データを形成すると共に、リズムガイドQの開始のタイミングを、カウントインの開始のタイミングに設定する。こうした構成によれば、無音データ部分が確保されて、無音データ部分の最初からリズムガイドQが形成されることになり、十分なカウントインの長さが確保される。
【0041】
また、本実施形態に係る音データ生成システム1では、演奏録音制御部50aは、電子ピアノ60が自動演奏する曲が裏拍でリズムを取る曲である場合には、リズムガイドQの開始のタイミングを、半拍早い時間に設定する。こうした構成によれば、裏拍のタイミングにリズムガイドQのタイミングを合わせることができる。
【0042】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えても良いし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせても良い。
【0043】
[変形例1]
本実施形態では、電子楽器として電子ピアノが使用されたが、上記実施形態に限定されず、電子オルガン、シンセサイザー、サンプラー、ドラムマシン、テルミン、電子ギター等が用いられても良い。
【0044】
[変形例2]
本実施形態では、端末20としてスマートフォンが用いられ、端末20の端末制御部20bがMIDIデータ提供サーバー5からMIDIデータを受信する構成であったが、上記実施形態に限定されなくても良い。例えば、図5に示されるように、端末20としてパソコンが用いられ、ユーザーAが電子ピアノ10を弾いた音を矢印J1のように端末20としてのパソコンに送信し、その音に基づいて端末20としてのパソコンでMIDIデータを作成する構成であっても良い。なお、図5において、端末20としてのパソコンは、操作部20aと、端末制御部20bと、を有し、操作部20aの操作によって端末制御部20bによる制御ができるように構成されている。
【0045】
[変形例3]
本実施形態では、受送信部30cは、録音データ(音声データ)及び組み合わせデータE1を、矢印J7のようにユーザーAの端末20の端末制御部20bに受信(ダウンロード)されることが可能であったが、上記実施形態に限定されなくても良い。例えば、受送信部30cは、録音データ(音声データ)及び組み合わせデータE1を、矢印J7のようにユーザーAの端末20の端末制御部20bに送信可能に構成しても良い。この場合には、受送信部30cは、メールで送信しても良く、SNS(Social Networking Service)により送信しても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 :音データ生成システム
5 :MIDIデータ提供サーバー
10,60 :電子ピアノ(電子楽器)
20 :端末
20a :操作部
20b :端末制御部
30 :遠隔操作サーバー
30a :遠隔操作制御部
30b :選択部
30c :受送信部
50 :演奏録音サーバー
50a :演奏録音制御部(制御部)
100 :インターネット
A :ユーザー
B :オーナー
E1 :組み合わせデータ
E2 :単独データ
J1,J2,J3,J4,J5,J6,J7 :矢印
P :電子ピアノ音(録音データ)
Q :リズムガイド
Q1 :部分
Q2 :追加拍
Q3 :調整拍
R :ユーザーの歌声
S :ユーザーのギター音
X1 :第1所定拍
X2 :第2所定拍
Y1 :部分
Z1 :ずれ
図1
図2
図3
図4
図5