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特開2022-34949ゴルフボール取出具およびゴルフボール取出構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034949
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】ゴルフボール取出具およびゴルフボール取出構造
(51)【国際特許分類】
   A63B 57/40 20150101AFI20220225BHJP
   A63B 47/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A63B57/40
A63B47/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138902
(22)【出願日】2020-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】320008513
【氏名又は名称】亀井 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】亀井 雅之
(57)【要約】
【課題】カップインした時の発音機構による発音機能を維持させつつカップからゴルフボールを取り出し易くすることが可能なゴルフボール取出具およびゴルフボール取出構造を提供する。
【解決手段】旗竿1に装着されることでゴルフボール2をカップ3から取り出し易くするためのゴルフボール取出具10に、環状に形成されているリング部11a、及びリング部11aから中心へ向かって延出しているスポーク部11b、を有する台座11と、リング部11aと同軸上で円筒状に延出し外周面にハブ部11cを介してスポーク部11bが接続されている筒部12と、を具備させる。および、カップ3の底の発音機構4に載置されているゴルフボール取出具10を具備し、リング部11aの内側の空隙をゴルフボール2が通過不能であると共に、空隙を通してゴルフボール2が発音機構4に当接するようにしたゴルフボール取出構造。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旗竿に装着されることでゴルフボールをカップから取り出し易くするためのゴルフボール取出具であって、
環状に形成されているリング部、及び該リング部から中心へ向かって延出しているスポーク部、を有する台座と、
前記リング部と同軸上で円筒状に延出しており、外周面に前記スポーク部が接続されている筒部と
を具備していることを特徴とするゴルフボール取出具。
【請求項2】
前記筒部は、
軸方向の全長に亘って切欠かれており軸方向と直角をなす方向から旗竿を挿入可能な開口部を
有していることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール取出具。
【請求項3】
旗竿に装着させると共にカップの底に設けられている発音機構に載置させることでゴルフボールを前記カップから取り出し易くするためのゴルフボール取出具を備えたゴルフボール取出構造であって、
前記ゴルフボール取出具は、
前記カップよりも小径の環状に形成されているリング部、及び該リング部から中心へ向かって延出しているスポーク部、を有する台座と、
前記リング部と同軸上で旗竿が挿通される円筒状に延出しており、外周面に前記スポーク部が接続されている筒部と
を具備し、
前記リング部の内側の空隙を前記ゴルフボールが通過不能であると共に、前記空隙を通して前記ゴルフボールが前記発音機構に当接する
ことを特徴とするゴルフボール取出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールをカップから取り出し易くするためのゴルフボール取出具およびゴルフボール取出構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場において、カップインしたゴルフボールをカップから取り出す場合、カップ内のゴルフボールを指で摘まむために腰を曲げたり屈んだりする必要があり、腰や膝などに負担がかかっていた。そのため、シニアや腰などが弱いプレーヤーでは、ゴルフボールの取り出しに時間がかかったり、腰などを痛めてしまったりして、プレーを楽しむことができなくなることがあった。
【0003】
このような問題に対して、カップインしたゴルフボールを受けるボール受け皿と、ボール受け皿を旗竿に沿って可動させるパイプと、パイプの上端に設けられている把手と、を備えることで、腰を曲げることなくカップからゴルフボールを取り出すことが可能な取出装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、底に発音機構(例えば、発音板)が設けられているカップでは、ボール受け皿が皿状であるため、ゴルフボールが発音板に当たることはなく、カップインした時の音が出ない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-263227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、カップインした時の発音機構による発音機能を維持させつつカップからゴルフボールを取り出し易くすることが可能なゴルフボール取出具およびゴルフボール取出構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明にかかるゴルフボール取出具は、
「旗竿に装着されることでゴルフボールをカップから取り出し易くするためのゴルフボール取出具であって、
環状に形成されているリング部、及び該リング部から中心へ向かって延出しているスポーク部、を有する台座と、
前記リング部と同軸上で円筒状に延出しており、外周面に前記スポーク部が接続されている筒部と
を具備している」ことを特徴とする。
【0008】
本ゴルフボール取出具は、以下のようにして、旗竿に装着する。例えば、筒部の内径を旗竿の竿部の外径よりも大きいものとした場合、竿部の下端に取付けられている筒状の支持スリーブ(ヘラールとも称する)を一旦取り外し、台座を下にした状態で筒部に上方から竿部を挿通させて装着する。その後、竿部の下端に支持スリーブを取付けて旗竿を組立てる。また、筒部の内径を旗竿の支持スリーブの内径と同じにした場合、竿部から支持スリーブを取り外し、台座を上にした状態で筒部に上方から竿部を挿入(嵌入)して装着する。この場合では、筒部が支持スリーブの代わりとなる。
【0009】
上記のように、本ゴルフボール取出具を旗竿に装着した状態で、旗竿の支持スリーブ又は支持スリーブの代わりの筒部を、カップの底にある旗竿支持部に挿入してカップに旗竿を立てた状態にする。この際に、カップの底に設けられている発音機構(発音板)の上面に台座を当接させておく。この状態でゴルフボールがカップインすると、リング部と筒部とがスポーク部で連結されており、スポーク部のない部分ではリング部と筒部との間に空隙があるため、その空隙を通してゴルフボールが発音機構の上面に当接することとなり、発音機構から音が発せられる。従って、ゴルフボールがカップインしたことが判り、発音機構による発音機能が損なわれることはない。
【0010】
そして、ゴルフボールをカップから取り出す場合、旗竿をカップから引き抜くことによって、リング部と筒部との間にゴルフボールが保持された状態でカップから引き上げられることとなり、カップからゴルフボールを取り出すことができる。この際に、旗竿に対して筒部が摺動可能であっても、旗竿の下端に取り付けられている支持スリーブに上方から筒部が当接し、筒部が旗竿から抜けることはない。
【0011】
従って、カップからゴルフボールを取り出す際に、旗竿の掴みやすい部位を持って引き抜くだけで、ゴルフボールを取り出すことができるため、従来とは異なり腰を曲げたり膝をついたりする必要がなく、腰や膝などにかかる負担を低減させることができ、腰などを傷め難くすることができる。また、カップからゴルフボールを容易に取り出すことができるため、ゴルフボールの取り出しにかかる時間を従来よりも短くすることができ、プレーが早く進行することで余裕のあるプレーを楽しむことができる。
【0012】
本発明にかかるゴルフボール取出具は、上記の構成に加えて、
「前記筒部は、
軸方向の全長に亘って切欠かれており軸方向と直角をなす方向から旗竿を挿入可能な開口部を
有している」ことを特徴としても良い。
【0013】
本構成によれば、筒部に旗竿を挿入可能な開口部を有するようにしているため、本ゴルフボール取出具を旗竿に装着する際に、旗竿の支持スリーブを取外さなくても、開口部を通して横から筒部に旗竿を挿入することができ、装着や取り外しが楽である。
【0014】
本発明にかかるゴルフボール取出構造は、
「旗竿に装着させると共にカップの底に設けられている発音機構に載置させることでゴルフボールを前記カップから取り出し易くするためのゴルフボール取出具を備えたゴルフボール取出構造であって、
前記ゴルフボール取出具は、
前記カップよりも小径の環状に形成されているリング部、及び該リング部から中心へ向かって延出しているスポーク部、を有する台座と、
前記リング部と同軸上で旗竿が挿通される円筒状に延出しており、外周面に前記スポーク部が接続されている筒部と
を具備し、
前記リング部の内側の空隙を前記ゴルフボールが通過不能であると共に、前記空隙を通して前記ゴルフボールが前記発音機構に当接する」
ことを特徴とする。
【0015】
本構成は、上記のゴルフボール取出具を備えたゴルフボール取出構造であり、リング部の内側の空隙をゴルフボールが通過不能であるため、引き上げた時にゴルフボールを確実に保持させてカップから取り出すことができる。また、空隙を通してゴルフボールが発音機構に当接可能であるため、ゴルフボールがカップインすると、発音機構から発音させることができ、発音機構による発音機能が損なわれることはない。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の効果として、カップインした時の発音機構による発音機能を維持させつつカップからゴルフボールを取り出し易くすることが可能なゴルフボール取出具およびゴルフボール取出構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は本発明の第一実施形態のゴルフボール取出具の平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は側面図である。
図2】(a)は第一実施形態のゴルフボール取出具を分解した旗竿と共に示す斜視図であり、(b)は(a)のゴルフボール取出具の使用状態を示す説明図である。
図3】(a)は第一実施形態のゴルフボール取出具、ゴルフボール、カップ、および旗竿の関係を平面から示す説明図であり、(b)は(a)を側面から示す説明図であり、(c)は(b)の状態から旗竿を引き上げて台座を発音機構から離した状態で示す説明図である。
図4】(a)は図3(b)において旗竿の中心から右半部を示すと共に各構成の寸法関係を示す説明図であり、(b)はリング部の内側の空隙が狭くなることでゴルフボールが発音機構に当接していない状態を示す説明図であり、(c)はリング部の内径が小さくなることでゴルフボールが発音機構に当接していない状態を示す説明図である。
図5】(a)は第一実施形態のゴルフボール取出具を旗竿と一緒に引き上げてゴルフボールの取り出している状態を示す説明図であり、(b)は第一実施形態のゴルフボール取出具のみを引き上げているゴルフボールを取り出している状態を示す説明図である。
図6】(a)は第二実施形態のゴルフボール取出具の平面図であり、(b)は(a)におけるA-A断面図であり、(c)は(a)のゴルフボール取出具を旗竿と共に示す斜視図である。
図7】第三実施形態のゴルフボール取出具を示す斜視図である。
図8】(a)は第四実施形態のゴルフボール取出具を示す斜視図であり、(b)は(a)のゴルフボール取出具の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施形態である第一実施形態のゴルフボール取出具10について、図1乃至図5を参照して詳細に説明する。ゴルフボール取出具10は、旗竿1に装着されることでゴルフボール2をカップ3から取り出し易くするためのものである。ゴルフボール取出具10は、平板状の台座11と、台座11から上方へ延出している円筒状の筒部12と、筒部12の上端から水平方向へ延出している棒状の手掛け部13と、を備えている。
【0019】
台座11は、環状に形成されているリング部11aと、リング部11aから中心へ向かって延出している複数のスポーク部11bと、リング部11aの中心付近に設けられており複数のスポーク部11bを繋いでいるハブ部11cと、を有している。リング部11aは、一定の幅の円環状に形成されている。スポーク部11bは、リング部11aの中心に対して点対称に二つ設けられている。ハブ部11cは、二つのスポーク部11bにおけるリング部11aの中心に近い端部同士を繋いでおり、リング部11aと同軸の円環状に形成されている。
【0020】
筒部12は、下端が台座11におけるハブ部11cの内周穴に嵌め込まれるように取付けられている。筒部12の内径は、後述する旗竿1の竿部1aの外径よりも若干大きい。
【0021】
手掛け部13は、二つ設けられており、夫々が二つのスポーク部11bの直上となる位置に設けられている。手掛け部13は、筒部12からリング部11aの半径よりも短く外方へ延出しており、先端が斜め下方へ屈曲している。
【0022】
次に、本実施形態のゴルフボール取出具10におけるゴルフボール2およびカップ3などとの寸法関係について説明する。
【0023】
ここで、R&AやUSGAでは、ゴルフの用具規則として、旗竿1、ゴルフボール2、カップ3、などの大きさ(寸法)を以下のように規定している。旗竿1は、グリーン面から上下3インチ(76.2mm)の範囲の外径Pを19mm以下とし、その範囲内に付属物を設けることを認めていない。ゴルフボール2は、直径Dを約43mmとしている。カップ3は、内径C1を108mmとし、深さC2を101.6mm以上としている。
【0024】
まず、カップインしたゴルフボール2は、カップ3の内周面と筒部12の外周面との間の空間に保持されるため、筒部12の外径をd2とすると、次式(1)の関係を満たす必要がある。
(d2+2D)<C1 式(1)
【0025】
また、ゴルフボール取出具10はカップ3内に配置されるため、リング部11aの外径d1をカップ3の内径C1よりも小さくすることとは言うまでもない。但し、リング部11aの外径d1が、カップ3の内径C1からゴルフボール2の直径Dを引いた値(C1-D)よりも小さくなると、カップ3の内周面に接しているゴルフボール2の中心がリング部11aよりも外側となる。この状態で、ゴルフボール取出具10を上方へ移動させると、ゴルフボール2がカップ3の内周面に接したまま上昇することとなり、ゴルフボール2によりカップ3の内周面を傷付けてしまう恐れがある。従って、リング部11aの外径d1の下限は、値(C1-D)よりも大きくする必要がある。つまり、次式(2)の関係を満たす必要がある。
(C1-D)<d1 式(2)
【0026】
加えて、リング部11aは、幅wを有していると共に、リング部11a及びハブ部11cは厚さtを有しているため、カップインしたゴルフボール2が、リング部11aとハブ部11cとの間の空隙を通して後述する発音機構4にゴルフボール2が当接するためには、図3(b)及び図4(a)に示すように、カップインして発音機構4の上面に当接しているゴルフボール2の縦断面である円において、リング部11a及びハブ部11cの上面と同じ高さで断面円を切断した場合の円弧の円弧幅Lは、ハブ部11cの外周面とリング部11aの内周面との間の距離Nより小さい必要がある。ここで、円弧幅Lのときの円弧の開き角をθとすると、円弧幅Lは次式で表される。
L=Dsin(θ/2)
また、厚さtは、この円弧の円弧高さに相当するから次式で表される。
t=(D/2)(1-cos(θ/2))
【0027】
この二つの式から、LをtとDで表すと次のようである。
L=2(t(D-t))1/2
一方、Nは、ハブ部11cの外径をd3とすると、次式で表される。
N=(d1-d3-2w)/2
【0028】
そして、図4(b)に示すように、L>Nであるとゴルフボール2が発音機構4に当接しないため、カップインしたゴルフボール2が発音機構4の上面に当接して音を発するためにL<Nであることが必要であり、且つ、リング部11aとハブ部11cとの間をゴルフボール2が通過不能であるためにN<Dであることにより、次式(3)の関係を満たす必要がある。
2(t(D-t))1/2<(d1-d3-2w)/2<D 式(3)
【0029】
更に、上記式(3)の関係を満たしていても、図4(c)に示すように、ゴルフボール2が筒部12の外周面に接している場合、リング部11aの内径が小さくなると、ゴルフボール2が発音機構4に当接しなくなる。従って、発音機構4にゴルフボール2を確実に当接させるためには、筒部12に接しているゴルフボール2がリング部11aに接しないようにする必要がある。つまり、次式の関係を満たす必要がある。ここで、リング部11aの内径はd1-2wで表される。
d2+D+L<d1-2w
この式から、LをtとDで表した場合、d1は次式(4)の関係を満たす必要がある。
d2+D+2(t(D-t))1/2+2w<d1 式(4)
【0030】
上記の式(4)では、ゴルフボール2が筒部12の外周面に接している場合を想定したが、筒部12の高さによっては、筒部12の上端の外周縁にゴルフボール2が接したり、筒部12に接することなく竿部1aにゴルフボール2が接したり、する場合がある。そのような場合、当該ゴルフボール2は台座11の中心軸側へ移動するため、ゴルフボール2とリング部11aとの間に隙間が生じて、リング部11aに接することはなく、上記式(4)を用いることが可能である。
【0031】
なお、厚さtとリング部11aの幅wは、ゴルフボール2の直径Dの1/30~1/10の範囲内、また、ハブ部11cの幅は、ゴルフボール2の直径Dの1/10~1/5の範囲内、であれば強度的に充分である。ハブ部11cの幅は、(d3-d2)/2の式で表される。
【0032】
上記の式(1)~式(4)の関係を満たす設定とすることにより、リング部11aの内側の空隙をゴルフボール2が通過不能であって、台座11によってゴルフボール2を保持することができ、カップインしたゴルフボール2を発音機構4に当接させて音を発生させることができると共に、ゴルフボール2をカップから引き上げる際にカップの内周面に接触させないゴルフボール取出具10を備えたゴルフボール取出構造を構築することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、リング部11aの外径d1を70mm~100mmの範囲内としている。これにより、ゴルフボール取出具10をカップ3内に挿入し易いものとしつつ、リング部11aと筒部12との間(リング部11aの内側)にゴルフボール2を確実に保持させることができる。また、台座11の厚さtを1.5mm~3.5mm、リング部11aの幅wを2.5mm~4mm、の範囲内としている。厚さtや幅wを限定している理由は、この範囲よりも小さいと台座11の強度が低下することで変形し易くなってゴルフボール2を保持できなくなる恐れがあるためであり、この範囲よりも大きくても強度による効果の向上が望めないと共にゴルフボール取出具10の重量が無駄に重くなるためである。
【0034】
また、台座11では、スポーク部11bの幅をリング部11aの幅wと同じ範囲内としていると共に、ハブ部11cの外径d3を25mm~30mmの範囲内としている。
【0035】
また、本実施形態では、筒部12の外径d2を、22mm以下としている。これにより、カップ3の内周と筒部12の外周との間をゴルフボール2が通過することができ、台座11上にゴルフボール2を確実に保持することができる。筒部12の長さ(ゴルフボール取出具10の高さh)を、45mm~50mmとしている。
【0036】
因みに、本実施形態では、旗竿1における竿部1aの外径Pを13mm、筒部12の外径d2を15mm、内径を13.4mm、台座11のリング部11aの外径d1を92mm、としている。
【0037】
本実施形態のゴルフボール取出具10は、ステンレス鋼板をレーザーまたはプレスにより抜き加工により形成された台座11と、ステンレス鋼のパイプからなる筒部12と、ステンレス棒を曲げ加工した手掛け部13と、を溶接して組立てたものである。なお、ステンレス棒を曲げ加工したり溶接したりして台座11を形成しても良い。
【0038】
続いて、本実施形態のゴルフボール取出具10の使用方法について説明する。旗竿1における竿部1aの下端に取付けられている支持スリーブ1bを取り外し、台座11を下にした状態で上から筒部12に竿部1aを挿通させた上で、竿部1aの下端に支持スリーブ1bを取付ける。これにより、旗竿1にゴルフボール取出具10が装着された状態となる。
【0039】
ゴルフボール取出具10を旗竿1に装着した状態では、筒部12の内径が竿部1aの外径よりも若干大きいため、ゴルフボール取出具10を竿部1aに沿ってスライドさせることができる。また、竿部1aの下端には支持スリーブ1bが取付けられているため、竿部1aに沿って下方へスライドしたゴルフボール取出具10の下端が、支持スリーブ1bに当接し、下方へ抜けることはない。
【0040】
そして、旗竿1にゴルフボール取出具10を装着した状態で、旗竿1の支持スリーブ1bを、カップ3の底にある旗竿支持部3aに挿入し、カップ3に旗竿1を立てた状態にする。このカップ3の底には、発音機構4が設けられており、旗竿1に装着されているゴルフボール取出具10の台座11が発音機構4の上面に当接した状態となる(図2(a)を参照)。
【0041】
なお、カップ3の底に設けられている発音機構4は、その上面がグリーン面から127mm以上の深さとなるように設けられている。従って、高さを45mm~50mmの範囲内としているゴルフボール取出具10は、グリーン面から76.2mm(3インチ)以上の深さに位置しており、上記の用具規則に適合している。
【0042】
ゴルフボール取出具10を装着した旗竿1をカップ3に立てた状態で、ゴルフボール2がカップインすると、リング部11aと筒部12とがハブ部11cを介してスポーク部11bで連結されており、スポーク部11bのない部分ではリング部11aと筒部12(ハブ部11c)との間に空隙があるため、その空隙を通してゴルフボール2が発音機構4の上面に当接することとなり、発音機構4から音が発せられる。従って、ゴルフボール2がカップインしたことが判り、発音機構4による発音機能が損なわれることはない。
【0043】
そして、ゴルフボール2をカップ3から取り出す場合、図5(a)に示すように、旗竿1をカップ3から上方へ引き抜くと、旗竿1と一緒にゴルフボール取出具10が上方へ移動することとなる。これにより、ゴルフボール2がリング部11aと筒部12との間に保持された状態となり、ゴルフボール取出具10と一緒に引き上げられて、カップ3から取り出すことができる。
【0044】
詳述すると、図3(b)および(c)に示すように、例えば、同図においてゴルフボール2がカップ3の内周面に接している場合、ゴルフボール取出具10が上方へ移動して発音機構4の上面から離れると、リング部11aによりゴルフボール2がリング部11aの中心方向へ移動し、リング部11aの内周縁と筒部12とに接した状態で保持される。或いは、ゴルフボール2が筒部12に接している場合、ゴルフボール取出具10が上方へ移動して発音機構4の上面から離れると、ゴルフボール2が相対的に下方へ移動し、リング部11aの内周縁と筒部12とに接した状態で保持される。
【0045】
従って、カップ3からゴルフボール2を取り出す際には、ゴルフボール2をリング部11aの内周縁と筒部12または筒部12とに接した状態で保持するようにしているため、ゴルフボール2がカップ3の内周面に接しながら取り出されることはなく、カップ3の内周面を傷付けることはない。
【0046】
別の使用方法として、本実施形態のゴルフボール取出具10は、竿部1aに沿ってスライドさせることができると共に、上端に手掛け部13を備えているため、ゴルフボール2をカップ3から取り出す場合、カップ3に挿入した指を手掛け部13に引っ掛けてゴルフボール取出具10を引き上げることで、旗竿1をカップ3から引き抜くことなくゴルフボール2を取り出すことができる(図5(b)を参照)。従って、カップ3の内周面と竿部1aとの間の狭小な見え難い空間において、ゴルフボール2を手探りで探して掴む必要はなく、取り出しを容易なものとすることができる。
【0047】
手掛け部13に指を掛けてゴルフボール取出具10を引き上げるようにした場合でも、取り出す際に、ゴルフボール2がカップ3の内周面から離れており、カップ3の内周面を傷付けることはない。また、この場合、ゴルフボール2を取り出した後に手掛け部13から指を離すと、ゴルフボール取出具10が竿部1aに沿って落下し、自動で元の状態に戻すことができ、カップ3に旗竿1を再び立てる手間を無くすことができる。
【0048】
このように、本実施形態のゴルフボール取出具10によれば、カップ3からゴルフボール2を取り出す際に、旗竿1の掴みやすい部位を持って引き抜くだけで、ゴルフボール2を取り出すことができるため、従来とは異なり腰を曲げたり膝をついたりする必要がなく、腰や膝などにかかる負担を低減させることができ、腰などを傷め難くすることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、カップ3からゴルフボール2を容易に取り出すことができるため、ゴルフボール2の取り出しにかかる時間を従来よりも短くすることができ、プレーが早く進行することで余裕のあるプレーを楽しむことができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、カップ3からゴルフボール2を取り出す際に、屈んだり膝をついたりする必要がないため、グリーン面におけるカップ3周りの芝生を傷め難くすることができる。従って、後続のプレーに悪影響を与え難くすることができ、パットラインを保護することが可能となる。
【0051】
ところで、特許文献1の技術では、腰を屈めなくても把手を把持できるように、旗竿1が挿通されているパイプをグリーン面よりも上方へ延出させているため、パイプの存在によりカップ3の開口面積が狭くなる問題があった。また、R&AやUSGAの定めるゴルフの用具規則では、旗竿1に対してグリーン面から上下76.2mm(3インチ)の範囲に付属物を設けることは認められておらず、限られたところでしか使用することはできなかった。これに対して、本実施形態のゴルフボール取出具10は、グリーン面から76.2mm(3インチ)以上の深さに位置するように形成しており、カップ3の開口面積が狭くなることはないと共に、上記の用具規則に適合していることで多くのゴルフ場で使用することができる。
【0052】
次に、本発明の第二実施形態のゴルフボール取出具10Aについて、図6を参照して説明する。このゴルフボール取出具10Aは、平板状の台座11と、台座11から上方へ延出している円筒状の筒部12と、を備えている。このゴルフボール取出具10Aは、台座11のハブ部11cが半円弧状に形成されており、筒部12に軸方向の全長に亘って切欠かれている開口部12aが形成されている。筒部12の開口部12aの幅が、竿部1aの外径Pよりも若干小さく形成されている。
【0053】
ゴルフボール取出具10Aは、台座11における半円弧状のハブ部11cが開口している方向と同じ方向へ、筒部12の開口部12aを向けた状態で、筒部12の下端がハブ部11cに取付けられている。筒部12は、その長さ(高さ)を15mm~25mmの範囲内とすることが望ましい。なお、上記のゴルフボール取出具10と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
このゴルフボール取出具10Aは、筒部12の開口部12aを通して旗竿1の竿部1aを筒部12内に挿通して装着することができるものである。詳述すると、まず、台座11を下にした状態で、二つのスポーク部11bにより仕切られているリング部11aの内側のうち、筒部12の開口部12aと連通している方に、旗竿1を挿通させる。そして、開口部12aに竿部1aを接触させ、竿部1aと筒部12とを互いに接近させると、竿部1aの外周面により筒部12が弾性変形して開口部12aが拡張し、筒部12内に竿部1aが挿入される。この竿部1aが筒部12に挿入されると、筒部12の弾性力により開口部12aが元の幅に戻る。これにより、ゴルフボール取出具10Aを竿部1a(旗竿1)に装着することができる。
【0055】
このゴルフボール取出具10Aによっても、上記のゴルフボール取出具10と同様の作用効果に加えて、旗竿1の支持スリーブ1bを取り外さなくても、開口部12aを通して横から筒部12に旗竿1の竿部1aを挿入することができ、装着や取り外しが楽である。
【0056】
次に、本発明の第三実施形態のゴルフボール取出具10Bについて、図7を参照して説明する。このゴルフボール取出具10Bは、平板状の台座11と、台座11から下方へ延出している円筒状の筒部12と、を備えている。このゴルフボール取出具10Bは、筒部12の外径d2と内径とが、旗竿1の支持スリーブ1bの外径と内径と同じである。台座11の構成は、上記のゴルフボール取出具10と同じであり、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0057】
このゴルフボール取出具10Bは、旗竿1の支持スリーブ1bと交換することで装着される。具体的には、台座11を上にした状態で、上方から旗竿1の竿部1aの下端を筒部12に嵌入させて装着する。そして、筒部12をカップ3の底の旗竿支持部3aに挿入することで、カップ3に旗竿1を立てることができる。これにより、ゴルフボール取出具10Bによっても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
次に、本発明の第四実施形態のゴルフボール取出具10Cについて、図8を参照して説明する。このゴルフボール取出具10Cは、平板状の台座11と、台座11から上方へ延出している円筒状の筒部12と、を備えている。台座11および筒部12の構成は、上記のゴルフボール取出具10と同じであり、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。このゴルフボール取出具10Cは、上記のゴルフボール取出具10と同様に、台座11を下にした状態で上から筒部12に旗竿1の竿部1aを挿通させ、竿部1aの下端に支持スリーブ1bを取付けることにより、旗竿1に装着される。
【0059】
このゴルフボール取出具10Cは、図示するように、筒部12が上方へ長く延出している。具体的には、ゴルフボール取出具10Cは、図8(b)に示すように、ゴルフボール取出具10Cを装着させた旗竿1をカップ3に立てて台座11を発音機構4の上面に当接させた状態で、筒部12の上端がグリーン面から上方に突出するようにしている。本実施形態では、筒部12の上端がグリーン面から高さC3(例えば、76.2mm(3インチ))よりも上方に突出するようにしている。また、ゴルフボール取出具10Cは、筒部12の外径d2を19mm以下としている。なお、筒部12の長さ(高さ)は、グリーン面から発音機構4の上面までの深さC2に応じて設定すれば良く、150mm~300mmの範囲内とすることが望ましい。
【0060】
ゴルフボール取出具10Cを使用してカップ3からゴルフボール2を取り出す場合、旗竿1を引き抜くことで一緒にゴルフボール取出具10Cを引き上げても良いし、旗竿1を引き抜くことなくゴルフボール取出具10Cを引き上げても良い。その際に、筒部12の上端がグリーン面よりも上方へ突出しているため、大きく屈まなくても筒部12を容易に掴むことができ、ゴルフボール取出具10Cを引き上げ易い。このゴルフボール取出具10Cによっても、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
なお、このゴルフボール取出具10Cでは、筒部12の存在によりカップ3の開口面積が小さくなってはいるが、筒部12の外径d2を19mm以下としているため、ゴルフの用具規則の適合範囲内に納められている。
【0062】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。以下では、上記と同じ構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。
【0063】
例えば、上記の実施形態では、台座11のリング部11aを円環状としたものを示したが、これに限定するものではなく、八角形、十角形、十二角形、のような多角形の環状としても良い。この場合、式(1)のd1は多角形の外接円の直径とする。
【0064】
また、上記の実施形態では、台座11のハブ部11cに筒部12を取付けたものを示したが、これに限定するものではなく、中心側のスポーク部11bの端部に筒部12を直接に取付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 旗竿
1a 竿部
1b 支持スリーブ
2 ゴルフボール
3 カップ
3a 旗竿支持部
4 発音機構
10 ゴルフボール取出具
10A ゴルフボール取出具
10B ゴルフボール取出具
10C ゴルフボール取出具
11 台座
11a リング部
11b スポーク部
11c ハブ部
12 筒部
12a 開口部
13 手掛け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8