(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034954
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】就業管理システム、就業管理方法、就業管理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220225BHJP
G07C 1/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G06Q10/10 342
G07C1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138919
(22)【出願日】2020-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大志
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩二
【テーマコード(参考)】
3E138
5L049
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138BA02
3E138BB04
3E138HA04
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】タイムレコーダーへの出退勤時刻の打ち忘れが発生した場合でも、申請などの修正作業や就業担当者による管理作業工数を削減し、適正な労務管理を行う。
【解決手段】本発明の一形態に係る就業管理システムは、就業者が業務に使用する業務装置と、就業者により操作される就業管理装置と、前記業務装置および前記就業管理装置と通信可能な管理装置とを具備する。前記管理装置は、前記業務装置から送信された前記起動履歴情報を記憶部に記憶する起動履歴情報記録部と、前記就業管理装置から送信された出退勤打刻情報を記憶部に記憶する出退勤情報記録部と、記憶部に記録された出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出し、前記未打刻出退勤情報を検出したときは、記憶部に記録された起動履歴情報に基づいて前記未打刻出退勤情報の補完を行うデータを生成する出退勤補完情報生成部とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
就業者が業務に使用する業務装置と、
就業者により操作される就業管理装置と、
前記業務装置および前記就業管理装置と通信可能な管理装置と
を具備し、
前記業務装置は、起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報を前記管理装置に送信する起動履歴情報送信部を有し、
前記就業管理装置は、
時計部と、
就業者を識別する就業者識別情報を記憶する第1の記憶部と、
就業者が前記就業者識別情報の入力および打刻を行ったときに、前記時計部から取得された時刻、および当該就業者を示す情報を出退勤打刻情報として生成する打刻情報生成部と、
前記出退勤打刻情報を前記管理装置に送信する出退勤打刻情報送信部と
を有し、
前記管理装置は、
第2の記憶部と、
前記業務装置から送信された前記起動履歴情報を前記第2の記憶部に記録する起動履歴情報記録部と、
前記就業管理装置から送信された前記出退勤打刻情報を前記第2の記憶部に記録する出退勤情報記録部と、
前記第2の記憶部に記録された出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出し、前記未打刻出退勤情報を検出したときは、前記第2の記憶部に記録された起動履歴情報に基づいて前記未打刻出退勤情報の補完を行うデータを生成する出退勤補完情報生成部と
を有する
就業管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の就業管理システムであって、
前記管理装置は、前記出退勤補完情報生成部が生成したデータを用いて、就業者本人または管理担当者に前記未打刻出退勤情報の確認を行わせる処理を実行する出退勤補完情報確定部をさらに有する
就業管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の就業管理システムであって、
前記出退勤補完情報生成部は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴の種類および取得優先順位を、就業者の勤務状況等の条件に応じて変更するように構成される
就業管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の就業管理システムであって、
前記出退勤補完情報生成部は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴が存在しない場合に、出退勤時刻の推定処理を実行するように構成される
就業管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の就業管理システムであって、
前記出退勤補完情報生成部は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴情報として、業務に関連する各種時刻データを利用するように構成される
就業管理システム。
【請求項6】
就業者が業務に使用する業務装置から、起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報を管理装置に送信し、
就業者により操作される就業管理装置から、打刻時刻および当該就業者を示す情報を含む出退勤打刻情報を管理装置に送信し、
前記管理装置が、前記業務装置から送信された前記起動履歴情報を記憶部に記録し、前記就業管理装置から送信された前記出退勤打刻情報を前記記憶部に記録し、前記出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出し、前記未打刻出退勤情報を検出したときは、前記起動履歴情報に基づいて前記未打刻出退勤情報の補完を行うデータを生成する
就業管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の就業管理方法であって、
前記管理装置はさらに、前記出退勤補完情報生成部が生成したデータを用いて、就業者本人または管理担当者に前記未打刻出退勤情報の確認を行わせる処理を実行する
就業管理方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の就業管理方法であって、
前記管理装置は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴の種類および取得優先順位を、就業者の勤務状況等の条件に応じて変更する
就業管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の就業管理方法であって、
前記管理装置は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴が存在しない場合に、出退勤時刻の推定処理を実行する
就業管理方法。
【請求項10】
請求項8に記載の就業管理方法であって、
前記管理装置は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴情報として、業務に関連する各種時刻データを利用する
就業管理方法。
【請求項11】
時計部と、
就業者を識別する就業者識別情報を記憶する記憶部と、
就業者が前記就業者識別情報の入力および打刻を行ったときに、前記時計部から取得された時刻、および当該就業者を示す情報を出退勤打刻情報として生成する打刻情報生成部と、
前記出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出し、前記未打刻出退勤情報を検出したときは、就業者が業務に使用する業務装置から送信される起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報に基づいて、前記未打刻情報の補完を行うデータを生成することが可能な管理装置に、前記出退勤打刻情報を送信する出退勤打刻情報送信部と
を具備する就業管理装置。
【請求項12】
管理装置に、
就業者により操作される就業管理装置から送信される、打刻時刻および当該就業者を示す情報を含む出退勤打刻情報を記録するステップと、
就業者が業務に使用する業務装置から送信される、起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報を記録するステップと、
前記出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出するステップと、
前記未打刻出退勤情報を検出したとき、前記起動履歴情報に基づいて前記未打刻出退勤情報の補完を行うデータを生成するステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就業者の出退状況を管理する就業管理システム、就業管理方法、就業管理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイムレコーダーによる労働時間管理は広く行われているが、打刻打ち忘れが発生すると、後日打刻データの補正作業を行う必要がある。従業員が打刻データの修正申請等を行うケースが多いが、従業員本人の記憶のみを根拠として時刻を申請し、実際の時刻と申請時刻との間に乖離が発生すると、労働時間を正確に把握できない。また、不正に長い勤務時間となるような出退勤時刻を申請することもできてしまう。
【0003】
例えば特許文献1には、タイムレコーダーに対して直接打刻をすることができない、又は行われなかった場合でも、従業員が所定の端末装置を用いて出勤時刻、退勤時刻等の情報を所定の管理装置に対して送信しておくことで、タイムレコーダーに対しても情報が自動的に送信され、次の打刻時に未打刻情報もあわせて打刻をすることができるタイムレコーダーについての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、従業員による端末装置を用いた出退勤情報の送信作業が必須であり、この送信作業が行われないと、管理装置に出退勤情報が記憶されないため、未打刻の問題を解消することができない。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、タイムレコーダーへの出退勤時刻の打ち忘れが発生した場合でも、申請などの修正作業や就業担当者による管理作業工数を削減し、適正な労務管理を行うことができる就業管理システム、就業管理方法、就業管理装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る就業管理システムは、就業者が業務に使用する業務装置と、就業者により操作される就業管理装置と、前記業務装置および前記就業管理装置と通信可能な管理装置とを具備する。
前記業務装置は、起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報を前記管理装置に送信する起動履歴情報送信部を有する。
前記就業管理装置は、時計部と、就業者を識別する就業者識別情報を記憶する第1の記憶部と、就業者が前記就業者識別情報の入力および打刻を行ったときに、前記時計部から取得された時刻、および当該就業者を示す情報を出退勤打刻情報として生成する打刻情報生成部と、前記出退勤打刻情報を前記管理装置に送信する出退勤打刻情報送信部とを有する。
前記管理装置は、第2の記憶部と、前記業務装置から送信された前記起動履歴情報を前記第2の記憶部に記録する起動履歴情報記録部と、前記就業管理装置から送信された前記出退勤打刻情報を前記第2の記憶部に記録する出退勤情報記録部と、前記第2の記憶部に記録された出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出し、前記未打刻出退勤情報を検出したときは、前記第2の記憶部に記録された起動履歴情報に基づいて前記未打刻出退勤情報の補完を行うデータを生成する出退勤補完情報生成部とを有する。
【0008】
前記管理装置は、前記出退勤補完情報生成部が生成したデータを用いて、就業者本人または管理担当者に前記未打刻出退勤情報の確認を行わせる処理を実行する出退勤補完情報確定部をさらに有してもよい。
【0009】
前記出退勤補完情報生成部は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴の種類および取得優先順位を、就業者の勤務状況等の条件に応じて変更するように構成されてもよい。
【0010】
前記出退勤補完情報生成部は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴が存在しない場合に、出退勤時刻の推定処理を実行するように構成されてもよい。
【0011】
前記出退勤補完情報生成部は、前記未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴情報として、業務に関連する各種時刻データを利用するように構成されてもよい。
【0012】
本発明の一形態に係る就業管理方法は、就業者が業務に使用する業務装置から、起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報を管理装置に送信し、
就業者により操作される就業管理装置から、打刻時刻および当該就業者を示す情報を含む出退勤打刻情報を管理装置に送信し、
前記管理装置が、前記業務装置から送信された前記起動履歴情報を記憶部に記録し、前記就業管理装置から送信された前記出退勤打刻情報を前記記憶部に記録し、前記出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出し、前記未打刻出退勤情報を検出したときは、前記起動履歴情報に基づいて前記未打刻出退勤情報の補完を行うデータを生成する。
【0013】
本発明の一形態に係る就業管理装置は、時計部と、記憶部と、打刻情報生成部と、出勤打刻情報送信部とを具備する。
前記記憶部は、就業者を識別する就業者識別情報を記憶する。
前記打刻情報生成部は、就業者が前記就業者識別情報の入力および打刻を行ったときに、前記時計部から取得された時刻、および当該就業者を示す情報を出退勤打刻情報として生成する。
前記出勤打刻情報送信部は、前記出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出し、前記未打刻出退勤情報を検出したときは、就業者が業務に使用する業務装置から送信される起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報に基づいて、前記未打刻情報の補完を行うデータを生成することが可能な管理装置に、前記出退勤打刻情報を送信する。
【0014】
本発明の一形態に係るプログラムは、管理装置に、
就業者により操作される就業管理装置から送信される、打刻時刻および当該就業者を示す情報を含む出退勤打刻情報を記録するステップと、
就業者が業務に使用する業務装置から送信される、起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報を記録するステップと、
前記出退勤打刻情報から打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出するステップと、
前記未打刻出退勤情報を検出したとき、前記起動履歴情報に基づいて前記未打刻出退勤情報の補完を行うデータを生成するステップと
を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、就業管理装置(タイムレコーダー)において打刻打ち忘れが発生した場合、申請などの修正作業や就業担当者による管理作業工数を削減し、適正な労務管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る就業管理システムの構成図である。
【
図2】上記就業管理システムにおける業務装置、就業管理装置、および管理装置の構成図である。
【
図3】業務装置から管理装置に送信される起動履歴情報のフォーマットを示す図である。
【
図4】就業管理装置の構成の一例を示す正面図である。
【
図5】就業管理装置に格納される就業者情報テーブルの一例を示す図である。
【
図6】就業管理装置から管理装置に送信される出退勤打刻情報のフォーマットを示す図である。
【
図7】管理装置に格納される就業者情報テーブルの一例を示す図である。
【
図8】管理装置に格納される起動履歴情報テーブルの一例を示す図である。
【
図9】管理装置に格納される出退勤情報テーブルの一例を示す図である。
【
図10】管理装置において実行される処理手順の一例を示すフローチャートの前半部である。
【
図11】管理装置において実行される処理手順の一例を示すフローチャートの後半部である。
【
図12】管理装置に格納される勤務スケジュール情報テーブルの一例を示す図である。
【
図13】管理装置に格納される勤務シフトテーブルの一例を示す図である。
【
図14】管理装置に格納される起動履歴検索対象情報テーブルの一例を示す図である。
【
図15】管理装置に格納される出退勤補完情報テーブルの一例を示す図である。
【
図16】業務装置に表示される電子メールの一例を示す図である。
【
図17】業務装置に表示される就業管理画面の一例を示す図である。
【
図18】業務装置に表示されるポップアップ画面の一例を示す図である。
【
図19】補完データが追加された出退勤情報テーブルの一例を示す図である。
【
図20】業務装置に表示されるポップアップ画面の一例を示す図である。
【
図21】本発明の他実施形態に係る就業管理システムの構成図である。
【
図22】業務装置から管理装置に送信される起動履歴情報のフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0018】
[就業管理システム]
図1は、本発明の一実施形態に係る就業管理システムの構成図である。
本実施形態の就業管理システム10は、業務装置1、就業管理装置2および管理装置3を備える。
業務装置1、就業管理装置2および管理装置3は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続されており、データの送受信が可能となっている。なお、業務装置1は、図示の例では1台であるが、典型的には、2台以上の業務装置1を含む。また、就業管理装置2は、図示の例では1台であるが、典型的には、2台以上の就業管理装置2を含む。また、
図1の就業管理システム10はWeb版であり、業務装置1は管理装置3の生成するWeb画面上で、各種届出申請処理を行う。
【0019】
業務装置1は、就業者である従業員が日常の業務において社内で管理し使用する装置である。典型的には、業務装置1は、デスクトップ型やノート型の情報処理装置(Personal Computer)、タブレット、スマートフォン等のPDA(Personal Digital Assistance)などである。業務装置1には、従業者を管理する管理担当者が使用する業務装置が含まれてもよい。
【0020】
就業管理装置2は、就業管理装置(タイムレコーダー)であり、従業員の出退勤の登録を行う。就業管理装置2は、例えば、企業の事業所ごと、部署ごと、店舗ごとに配置され、典型的には、作業場所の出入り口付近に設置される。
【0021】
管理装置3は、就業管理サーバーであり、各従業員が就業管理装置2で入力した出退勤データを一元管理し、従業員や管理担当者が業務装置1において行う、各手続きを受け付け、データベースの更新など種々の処理を実行する。
【0022】
図2は、就業管理システム10における業務装置1、就業管理装置2、および管理装置3の構成図である。
【0023】
(業務装置)
業務装置1は、
図2に示すように、制御部11、記憶部12、表示部13、入力部14、インターフェース部15、外部通信部19等を有する。
記憶部12、表示部13、入力部14および外部通信部19は、インターフェース部15を通じて相互に接続される。インターフェース部15はバス16を通じて制御部11と接続される。
【0024】
記憶部12は、業務装置1の各種機能を実行するためのソフトウェア(プログラム)を記憶する。記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成される。上記ソフトウェアは、例えば記録媒体を介してインストールされてもよいし、ネットワークNを介してインストールされてもよい。
【0025】
表示部13は、液晶パネル等のディスプレイであり、業務装置1の本体と別の機器であってもよい。入力部14は、キーボード、マウス、タッチパネル等を含む。外部通信部19は、ネットワークNを通じて就業管理装置2と通信可能な通信モジュールである。通信方式は特に限定されず、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを含む情報処理装置であり、記憶部12に記憶されているソフトウェアを実行することで、種々の情報処理を行う。制御部11は、機能ブロックとして、起動履歴情報送信部111などを含む。
【0027】
起動履歴情報送信部111は、業務装置1の起動状態および非起動状態に関する起動履歴情報を生成する。起動状態とは、典型的には、業務装置1に電源が投入されてOS(Operating System)が起動している状態をいう。業務装置1に複数のOSがインストールされている場合は、OSごとにその起動の有無が判定される。
また、非起動状態とは、典型的には、業務装置1のシャットダウン状態をいうが、これに限られず、スリープ状態、ログアウト(またはログオフ)状態を含んでもよい。また、起動状態には、スリープからの電源復帰や業務装置1へのログイン(またはログオン)状態を含んでもよい。
【0028】
起動履歴情報送信部111は、起動/非起動の状態変化が生じるたびに、外部通信部19を通じて、生成した起動履歴情報を管理装置3へ送信する。起動履歴情報送信部111は、業務装置1の起動時、スリープからの電源復帰時、または、ログイン動作の実行時に起動情報を示す起動履歴情報を生成し、管理装置3へ送信する。また、起動履歴情報送信部111は、シャットダウン動作の実行時、スリープ動作の実行時、または、ログアウト動作の実行時に非起動状態を示す起動履歴情報を生成し、管理装置3へ送信する。
【0029】
図3に業務装置1から管理装置3に送信される起動履歴情報のフォーマットを示す。
同図に示す起動履歴情報フォーマットは、個人識別のためのIDの種類を表す「ID種別」、および、操作者の「識別ID」の項目を有し、さらに「日付」、「時刻」、発生した「イベント内容」、「発生箇所」、「発生箇所種別」から構成される。
図3の例では、NW(ネットワーク)ログインIDでの識別IDが「001N」である従業者(個人コード001)が2020年6月1日の8時50分にパソコン(PC1)を起動(ログイン)させたときの起動履歴情報が示されている。
【0030】
(就業管理装置)
就業管理装置2は、
図2に示すように、制御部21、記憶部22(第1の記憶部)、表示部23、音声出力部24、インターフェース部25、時計部26、操作入力部27、操作者情報入力部28、外部通信部29等を有する。
表示部23、音声出力部24、時計部26、操作入力部27、操作者情報入力部28および外部通信部29は、インターフェース部25を通じて相互に接続される。記憶部22およびインターフェース部15は、バス30を通じて制御部21と接続される。
【0031】
記憶部22は、就業管理装置2の各種機能を実行するためのソフトウェア(プログラム)を記憶する。記憶部22は、HDD、SSD、ROM、RAM等から構成される。上記ソフトウェアは、例えば記録媒体を介してインストールされてもよいし、ネットワークNを介してインストールされてもよい。記憶部22には、各従業員の識別情報が格納される。
【0032】
図4は、就業管理装置2の構成の一例を示す正面図である。
【0033】
表示部23は、液晶パネル等のディスプレイであり、典型的には
図4に示すように、就業管理装置2の筐体20の正面に設置される。音声出力部24は、典型的には、操作の正常あるいは異常を示す電子音を出力し、設定に応じては、操作方法を音声で提示するように構成されてもよい。
【0034】
時計部26は、現在時刻を計時し、日付とともに時刻を表示部23に表示する。操作入力部27は、操作者である就業者(従業員)の操作に基づいて、出勤および退勤を少なくとも含む打刻種別を入力する。
本実施形態において操作入力部27は、表示部23の一部を構成するタッチセンサ等の入力操作面であり、
図4に示すように、表示部23の表示領域に「出勤」、「退勤」、「外出」および「戻り」の各選択ボタン(選択キー)が配置される。これに限られず、操作入力部27は、表示部23以外の領域に配置された操作ボタン等で構成されてもよい。
【0035】
操作者情報入力部28は、操作者から識別情報を取得し、その情報を入力する。操作者情報入力部28は、各従業員に発行される社員証などの非接触通信が可能なIDカードから操作者の識別情報(操作者情報あるいは就業者情報ともいう)を読み出すことが可能なカードリーダで構成される。
操作者は、表示部23の近傍に設置されたカードリーダ面28aにIDカードをかざすことで、就業管理装置2へ操作者の識別情報を入力する。操作者情報としては、例えば、従業員コード(個人コード)、個人名、企業コードなどが挙げられる。
【0036】
外部通信部29は、ネットワークNを通じて各業務装置1と通信可能な通信モジュールである。通信方式は特に限定されず、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0037】
制御部21は、CPUやメモリを含む情報処理装置であり、記憶部22に記憶されているソフトウェアを実行することで、種々の情報処理を行う。制御部21は、
図2に示すように、機能ブロックとして、就業者認識部211、表示制御部212、打刻情報生成部213、出退勤打刻情報送信部214などを含む。
【0038】
就業者認識部211は、操作者情報入力部28に入力された識別情報から、操作者を認識する。就業者認識部211は、記憶部22に格納された就業者情報テーブルに基づき、操作者を認識する。
【0039】
図5に就業管理装置2に格納される就業者情報テーブルの一例を示す。
同図に示す就業者情報テーブルには、各従業員の就業管理装置2での個人識別IDであるカードIDと個人名とが保持されている。就業者情報テーブルの内容は、管理装置3より事前に送信される。
なお、
図5に示すカードID「001C」の従業員は、
図3に示すネットワークID「001N」の従業員と同一である。つまり、従業員の個人コードの末尾に「C」が付された識別IDがカードIDに相当し、個人コードの末尾に「N」が付された識別IDがNWログインIDに相当する(
図7参照)。
【0040】
表示制御部212は、表示部23に表示される画像を生成する。表示制御部212は、通常、現在時刻、日付および打刻種別の画面(
図4)が表示されるように表示部23を制御する。
【0041】
打刻情報生成部213は、操作者の識別ID、操作者が入力した打刻の種類、および時計部から取得した時刻情報を用いて出退勤打刻情報を生成する。
【0042】
出退勤打刻情報送信部214は、打刻情報生成部213が生成した出退勤打刻情報を、管理装置3に送信する。
【0043】
図6に就業管理装置2から管理装置3に送信される出退勤打刻情報のフォーマットを示す。
同図に示す出退勤打刻情報フォーマットは、個人識別のためのIDの種類を表す「ID種別」、および、操作者の「識別ID」の項目を有し、さらに「日付」、「時刻」、「出退区分」、「発生箇所」、「発生箇所種別」から構成される。
【0044】
(管理装置)
管理装置3は、
図2に示すように、制御部31、記憶部32(第2の記憶部)、表示部33、入力部34、インターフェース部35、外部通信部39等を有する。
記憶部32、表示部33、入力部34および外部通信部39は、インターフェース部35を通じて相互に接続される。インターフェース部35はバス36を通じて制御部31と接続される。
【0045】
記憶部32は、HDD、SSD、ROM、RAMなどから構成される。記憶部32には、出退勤情報テーブル321、起動履歴情報テーブル322、出退勤補完情報テーブル323、起動履歴検索対象情報テーブル324、就業者情報テーブル325、勤務スケジュール情報テーブル326、勤務シフトテーブル327等が格納されている。
【0046】
制御部31は、CPUやメモリを有する情報処理装置で構成される。制御部31は、
図2に示すように、機能ブロックとして、出退勤情報記録部311、起動履歴情報記録部312、出退勤補完情報生成部313、出退勤補完情報確定部314等を有する。
【0047】
起動履歴情報記録部312は、業務装置1から送信された、
図3のフォーマットの起動履歴情報を受信し、起動履歴情報の識別用IDから記憶部32の就業者情報テーブル325を参照し、該当する個人コードを取得して、記憶部32の起動履歴情報テーブル322に記憶する。
【0048】
図7に、記憶部32に格納される就業者情報テーブル325の一例を示す。
同図に示す就業者情報テーブル325には、個人コード・個人名に加えて、カードIDやネットワークログインID等の、個人情報に紐づけられた各識別用IDおよびメールアドレスが保持されている。
【0049】
図8に、記憶部32に格納される起動履歴情報テーブル322の一例を示す。起動履歴情報テーブル322には、個人コード・日付・時刻・イベント内容・発生箇所、発生箇所種別が保持されている。
【0050】
この起動履歴情報テーブル322において、イベント内容は、業務装置1のログイン・ログオフ情報のほか、該当の起動履歴情報の状態を表す。発生箇所は、該当する業務装置1の起動履歴情報の発生箇所の具体的名称を保持する。発生箇所種別は、該当する業務装置1の分類を保持する。
【0051】
起動履歴情報テーブル322には、業務装置1の起動履歴情報送信部111により起動履歴情報が送信されるたびに、管理装置3の起動履歴情報記録部312により、その起動履歴情報が追加される。常時通信処理を行いリアルタイムに記録処理が行われることに限定されず、管理装置3は、業務装置1から定期的にバッチ処理として起動履歴情報を取得することで、起動履歴情報テーブルを更新するようにしてもよい。
【0052】
出退勤情報記録部311は、就業管理装置2から送信された、
図6のフォーマットの出退勤打刻情報を受信し、就業者情報テーブル325を参照してカードIDから該当する個人コードを取得して、記憶部32の出退勤情報テーブル321に記憶する。
【0053】
図9に、記憶部32に格納される出退勤情報テーブル321の一例を示す。この出退勤情報テーブル321には、個人コード・日付・時刻・出退区分・イベント内容・発生箇所・発生箇所種別・発生要因種別・状態種別が保持されている。
【0054】
出退区分は、「出勤」「退勤」などの打刻の種類を指す。イベント内容は、起動履歴から出退勤情報の記録を行った場合に、起動履歴のイベントを保持する。発生箇所は、該当の出退勤情報の発生箇所の具体的名称を保持する。発生箇所種別は、該当の出退勤情報の発生箇所の分類を保持する。
発生要因種別は、出退勤情報の発生要因が、就業管理装置2(タイムレコーダー)からの受信なのか、後述するように起動履歴からの自動補完か、の分類を保持する。状態種別は、該当の出退勤情報の現在のステータスとして、「本人確認済み」あるいは「管理者承認済み」などの状態を保持する。
【0055】
また、出退勤情報テーブル321には、就業管理装置2の出退勤打刻情報送信部214により出退勤打刻情報が送信されるたびに、管理装置3の出退勤情報記録部311により、その出退勤打刻情報が追加される。常時通信処理を行いリアルタイムに記録処理が行われることに限定されず、管理装置3は、就業管理装置2から定期的にバッチ処理として出退勤打刻情報を取得することで、出退勤情報テーブルを更新するようにしてもよい。
【0056】
出退勤補完情報生成部313は、出退勤情報テーブル321を参照して打刻抜けがある未打刻出退勤情報の有無を検出し、未打刻出退勤情報を検出したときは、起動履歴情報テーブル322の情報で補完可能なデータを抽出し、出退勤補完情報テーブル323(
図15参照)にデータを追加する。このデータは、打刻抜けがある未打刻出退勤情報の補完を行うためのデータである。
【0057】
出退勤補完情報生成部313は、日付切換時刻に達した時・残業開始時刻時など、一日のうちの所定の時刻に行うか、あるいは10分ごと・30分ごと等に周期的に行うか、もしくは、起動履歴情報テーブルにレコードが追加された場合に随時行うなど、業務上必要なタイミングで任意に呼び出して行ってよい。
【0058】
出退勤補完情報確定部314は、出退勤補完情報生成部313が生成したデータを用いて、就業者本人または管理担当者に上記未打刻出退勤情報の確認を行わせる処理を実行する。本実施形態において、出退勤補完情報確定部314は、後述するように、出退勤補完情報生成部313で追加された出退勤補完情報について、就業者本人に申請依頼を送信して処理を受け付け、結果をデータベースに保存を行う等の事後処理を行う。データベースは、管理装置3の内部(例えば記憶部32の一部)に設置されてもよいし、管理装置3の外部に設置されてもよい。
【0059】
[就業管理システムの動作]
(起動履歴情報を利用して、出退勤補完情報を生成する処理)
続いて、上記のように構成される就業管理システム10の動作について説明する。
【0060】
図10および
図11は、管理装置3にて実行される、制御部31(主として出退勤補完情報生成部313)の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【0061】
以下、「個人コード=004」の就業者が、業務装置「PC4」にて、「2020/6/1 21:15」に業務装置1のログオフ操作を行った後、就業管理装置2での退勤打刻操作を行わずに退出し、翌日に管理装置3にて出退勤補完情報生成が行われたケースを例とし、説明を行う。
【0062】
出退勤補完情報生成処理前の、出退勤情報記録部311による出退勤情報の取り込み結果が、
図9の出退勤情報テーブル321に示されている。出退勤補完情報生成処理前の、起動履歴情報記録部312による起動履歴情報の取り込み結果は、
図8の起動履歴情報テーブル322に示されている。
【0063】
まず、制御部31は、就業者情報テーブル325(
図7参照)から一個人のデータを取得する(ステップS101)。
次に、制御部31は、出退勤情報テーブル321(
図9)から当該個人のチェック対象日の出退勤情報を取得し、勤務スケジュール情報テーブル326(
図12)から該当日の勤務スケジュール情報を取得し、勤務シフトテーブル327(
図13)より設定を取得する。
時間外届出データがある場合は、時間外届出データ(図示せず)も取得される(ステップS102)。
【0064】
図12に、管理装置3に格納される勤務スケジュール情報テーブル326の一例を示す。この勤務スケジュール情報テーブル326には、個人コード・日付・勤務シフトが保持されている。
【0065】
図13に、管理装置3に格納される勤務シフトテーブル327の一例を示す。この勤務シフトテーブル327には、シフト名、各シフト名に対応する始業時刻・終業時刻・出勤開始時刻・残業開始時刻・出退切換時刻・日付切換時刻・テレワーク有無が保持されている。
【0066】
ここで例として、就業者情報テーブル325(
図7参照)から「個人=004」のデータと、出退勤情報テーブル321(
図9参照)から「個人=004、日付=2020/6/1」のデータと、勤務スケジュール情報テーブル326(
図12参照)から「個人=004、勤務シフト=遅番」のデータと、勤務シフトテーブル327(
図13参照)から「シフト名=遅番」の種々のデータとが取得される。
【0067】
次に、制御部31は、起動履歴検索対象情報テーブル324(
図14参照)より、打刻抜け(未打刻出退勤情報)の補完を行う起動履歴の検索対象を取得する。このとき制御部31は、シーケンスNoのレコード順にチェックし、出退区分および適用条件に全て合致するデータがある場合に、検索対象を記憶部32に展開する。
出勤・退勤両方に関してこの処理を行われ、また、検索対象が複数設定されている場合は、全て取得される(ステップS103)。
【0068】
図14に、管理装置3に格納される起動履歴検索対象情報テーブル324の一例を示す。ここで例として、出勤については、ステップS102にて取得した「勤務シフト=遅番」の勤務シフトは、テレワークの属性を持たないため、「シーケンスNo=1」の、「出退区分=出勤,テレワークでない」条件の検索対象データが取得される。検索対象が複数ある場合は全て取得される。
退勤についても同様の処理が行われ、「シーケンスNo=3」の、「出退区分=退勤,テレワークでない」条件の検索対象データが取得される。
【0069】
次に、制御部31は、出勤打刻についての処理を開始する。
出退勤情報の内容から出勤打刻が既に存在する場合、または、勤務スケジュール情報テーブル326の内容から出勤予定でない場合は(ステップS104、No)、出勤についての処理は行わず、退勤の処理(ステップS109)に進む。出勤予定かつ出勤打刻がない場合(ステップS104、Yes)は、次のステップS105に進む。
【0070】
ここで例として、出退勤情報テーブル321(
図9)には、「個人=004, 日付=2020/6/1」の出勤情報は存在するため、出勤補完情報の生成は行われず、ステップS109の退勤処理に進む。
【0071】
次に、確認すべき起動履歴検索対象が残っている場合は(ステップS105、Yes)、当該個人の該当日の起動履歴情報の中で、検索対象に合致する起動履歴情報が取得される(ステップS106)。
【0072】
次に、制御部31は、定時出社予定の場合は、当該個人の該当日のスケジュール情報から勤務シフトを取り出して、勤務シフト情報を取得し、出勤時間帯(出勤開始時刻~始業時刻)の範囲内にある起動履歴情報の有無を判定する。
早出予定の場合は、時間外届出データを取り出し、早出時間帯の範囲内にある起動履歴情報の有無が判定される(ステップS107)。起動履歴が存在しない場合(ステップS107、No)は、次の優先順位の検索対象の有無を確認し、検索対象が無くなるまで継続される(ステップS105、No)。
【0073】
出勤時間帯もしくは早出時間帯の範囲内の起動履歴情報があった場合(ステップS107、Yes)は、出退勤補完情報テーブル323に、当該個人が起動履歴情報の時刻に出勤したことを表すデータを追加する(ステップS108、
図15)。
制御部31は、出退勤補完情報テーブル323の発生箇所・発生箇所種別には、起動履歴情報と同内容を記録し、発生要因種別には、起動履歴からの補完である旨を記録する(
図15参照)。また、状態種別には本人確認待ちである旨が記録される。
以上により出勤についての処理が完了する。
【0074】
続いて、制御部31は、退勤についての処理を開始する。
出退勤情報の内容から退勤打刻が既に存在する場合、もしくは勤務スケジュール情報の内容から出勤予定でない場合は(ステップS109、No)、退勤についての処理は行なわない。出勤予定かつ退勤打刻がない場合(ステップS109、Yes)は、次のステップS110に進む。
【0075】
この例では、出退勤情報テーブル321(
図9)には、「個人=004, 日付=2020/6/1」の退勤データは存在しないため、制御部31は、退勤打刻抜けの未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴データの抽出を行う(ステップ110)。
【0076】
本実施形態では、確認すべき起動履歴検索対象が残っている場合は(ステップS110、Yes)、当該個人の該当日の起動履歴情報の中で、検索対象に合致する起動履歴情報が取得される(ステップS111)。
【0077】
例として、退勤についてはステップS103にて、「シーケンスNo=3」の「出退区分=退勤,テレワークでない」条件の起動履歴検索対象データを取得しているため、検索対象1の「種別:パソコン、イベント:ログオフ」を使用して検索を行う。結果として、起動履歴情報テーブル322(
図8参照)より、「個人=004、日付=2020/6/1、時刻=21:15、イベント=ログオフ、発生箇所=PC4、発生箇所種別=パソコン」のデータが取得される。
【0078】
次に、定時退社予定の場合は、当該個人の該当日のスケジュール情報から勤務シフトを取り出して、勤務シフト情報を取得し、退勤時間帯(終業時刻~残業開始時刻)の範囲内にある起動履歴の有無が判定される。残業予定の場合は、時間外届出データを取り出し、残業時間帯の範囲内にある起動履歴の有無が判定される(ステップS112)。
存在しない場合(ステップS112、No)は、次の優先順位の検索対象の有無を確認し、検索対象が無くなるまで(ステップS110、No)一連のループが継続される。
【0079】
例として、「個人=004、日付=2020/6/1、時刻=21:15、イベント=ログオフ、発生箇所=PC4、発生箇所種別=パソコン」のデータが、退勤時間帯(21:00~21:30)の範囲内にあることが確認できる。
【0080】
この時間帯内の起動(停止)履歴があった場合(ステップS112、Yes)は、出退勤補完情報テーブル323に、起動履歴の時刻に退勤したことを表すデータを追加する(ステップS113、
図15)。発生箇所・発生箇所種別は、起動履歴情報と同内容を記録し、発生要因種別には起動履歴からの補完である旨が記録される。また、状態種別には本人確認待ちである旨を記録する。
【0081】
例として、出退勤補完情報テーブル323に、「個人=004」が「日付=2020/6/1、時刻=21:15」に退勤したことを表すデータが追加される。
図15にそのデータが追加された出退勤補完情報テーブルの一例を示す。このデータは、管理装置3の記憶部32に格納される。
【0082】
以上により、一個人についての処理は完了する。
処理が必要な個人が残っていない場合は(ステップS114、Yes)、一連のフローの処理が完了する。
【0083】
上述したように、業務装置1からの起動履歴を利用して補完情報の生成を行うことにより、打ち忘れ発生の際の管理作業を軽減することができる。また、データ補完のために取得する起動履歴情報データの検索対象(起動履歴の種類)および取得優先順位を、就業者の勤務状況等の条件に応じて設定し使用するようにしているため、勤務実態に合った条件を適切に設定し運用を行うことができる。
【0084】
(出退勤情報への反映)
次に、出退勤補完情報生成部313による出退勤補完情報テーブル323への更新作業後、管理装置3が行う処理について説明する。
【0085】
出退勤補完情報生成処理は、管理装置3により主に自動起動で行われることを想定しているため、そのまま打刻情報として確定した場合、就業者本人にとって意図しない結果である可能性があり、不都合が発生しうる。従って、就業管理システム10の動作として、確認作業を行い、必要であれば修正作業を行った上で、出退勤情報の確定処理を行う。
【0086】
管理装置3の出退勤補完情報確定部314にて、出退勤補完情報生成部313による処理が終了した、前日以前の出退勤補完情報テーブル323の検索を行い、「状態種別=本人確認待ち」の条件に合致するデータが取得される。
図15に示す出退勤補完情報テーブル323の例では、「個人=004, 日付=2020/6/1, 出退区分=退勤」のデータが該当するため、制御部31は、就業者情報テーブル325(
図7)を参照し「個人=004」のメールアドレスに対して確認依頼メールを送信する。
【0087】
図16は、その就業者に送られる確認依頼メールの一例である。
【0088】
個人=004が業務装置1にてメールを受信し、メール本文に含まれた、就業管理システム10へのアクセス用URLをクリックし、表示された画面にて就業管理システム10に対するログインIDおよびパスワードを入力すると、管理装置3に対して出退勤情報を更新する要求を行う。
管理装置3では、個人=004の対象期間の出退勤情報を取得してWebページを生成し、業務装置1に送り返す。具体的には、表示対象期間の出退勤情報を出退勤情報テーブルより取得し、打刻抜けの部分を出退勤補完情報により穴埋めしたWebページを生成する。
【0089】
図17は、業務装置1に送信される確認依頼画面の一例である。
【0090】
本人確認が必要なことを示す「※」が付加されている、「日付=2020/6/1」の「退勤時刻=21:15」の部分をクリックすると、管理装置3に対してデータ補完処理を進める要求を行い、以下のようなWebページがポップアップで表示される。
【0091】
図18は、業務装置1に表示された、そのポップアップ画面の一例である。
該当する出退勤補完情報データの内容から、退勤時刻の経緯に関する情報(同日のPC4に対する起動履歴から補完されたこと)を伝えたうえで、問題ないか本人に確認を促している。
個人=004が「確認OK」を押した場合は、管理装置3に対して処理要求が行われ、出退勤情報テーブル321に、起動履歴の時刻に退勤したことを表すデータを追加する。発生箇所・発生箇所種別は、起動履歴情報と同内容が記録され、発生要因種別には起動履歴からの補完である旨が記録される。
また、状態種別には本人確認済みである旨が記録される。同時に、出退勤補完情報テーブル323の状態種別には、本人確認済みである旨が記録される。
図19に上記のデータが追加された出退勤情報テーブル321の一例を示す。
【0092】
一方、
図18に示すポップアップ画面において「届出申請」が押された場合は、
図20のような届出申請画面がポップアップで業務装置1に表示される。
上記例では、退勤時刻およびその理由が入力可能かつ必須項目となっているため、個人=004は、変更したい時刻およびその理由を入力する。ここで、時刻を直接入力してもよいし、該当日の起動履歴情報の一覧を抽出表示し、入力候補として選択可能としてもよい。
入力後に「申請」をクリックすると管理装置3に退勤時刻変更の処理を進める要求が行われ、就業管理担当や上長の承認処理をもって申請された打刻が確定し、出退勤情報テーブルにデータが追加され、状態種別の項目が「管理者承認済み」に更新されることになる。
【0093】
以上のような確定処理を行うことで、就業者が複雑な操作を行うことなく記録された出退勤打刻データについて、適正な手続きをもって確認を行うことができ、また、訂正することができる。それにより、就業管理者は、正しく確定したデータをもとに、月次の給与管理、後工程の業務管理作業などを適切に行うことができる。
【0094】
以上のように本実施形態によれば、就業管理装置(タイムレコーダー)において打刻打ち忘れが発生した場合でも、就業者の業務状況を表す業務装置1の起動履歴情報を出退勤情報として利用することで、申請などの修正作業や就業担当者による管理作業工数を削減し、適正な労務管理を行うことができる。
【0095】
また、管理装置3は、出退勤補完情報生成部313が生成したデータを用いて、就業者本人または管理担当者に打刻抜けがある未打刻出退勤情報の確認を行わせる処理を実行するように構成されている。このように管理装置3が生成した出退勤打刻の補完データについて、就業者本人もしくは管理担当者の確認をもって出退勤情報の反映を行うことで適切に業務処理を行い、管理工数を削減することができる。
【0096】
また、管理装置3は、打刻抜けがある未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴の種類および取得優先順位を、就業者の勤務状況等の条件に応じて設定するように構成されている。これにより、起動履歴の抽出方法を就業者の勤務条件等に応じて設定できるので、適切に打刻補完処理を遂行することができる。
【0097】
[他実施形態]
図21は、本発明の他実施形態の就業管理システム100の構成図である。
以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0098】
近年テレワークが普及し社外で業務を行う事例が増加している。
図21では破線より上側が社内のネットワーク、下側は社外のネットワークを表している。
テレワーク勤務時に、VPN(Virtual Private Network)を使用し、自宅などの社外の場所からインターネット経由で社内のネットワークに接続を行う。詳細にはファイアウォールやVPNサーバー等が構成に含まれるが、説明の簡単化のために省略している。
【0099】
社外に設置されている業務装置4をVPNクライアントとして、VPN接続アプリケーションを起動し、認証IDとパスワードを入力すると、VPNサーバーから認証を受け、業務装置4が社内ネットワークに接続される。
そして、リモートデスクトップを使用して、社外の業務装置4から社内の業務装置1を遠隔操作し作業を行う。このように、機密データの外部持ち出しを防ぎセキュリティを保ちながら社内リソースへアクセスし、効率的に業務を行う方法が採用されている。
【0100】
しかし、
図21の構成では、社外のネットワークに就業管理装置2が配置されておらず、テレワーク勤務時に出退勤打刻の記録を行うことができない。
実務においては、テレワークと社内で作業を行うオフィスワークとを、日によって変更しながら行うことが多いため、出退勤時刻の適切な取得・収集作業を行うことが課題となる。
【0101】
上記のようなケースにおいて、出退勤時刻の取得を行う場合は、業務装置4から、
図22のようなフォーマットの、VPNネットワークへのログイン・ログオフの起動履歴情報を、作業開始・終了に関する時刻情報として送信し、管理装置3にて取り込んでおく。
そうすれば、出退勤補完情報生成部313にて、業務実態に応じた出勤時刻・退勤時刻を記録することができる。
【0102】
また、就業者本人の操作によらずに発生した、本人確認待ちステータスの出退勤補完情報データとして、管理装置3の出退勤補完情報確定部314により本人確認を促し、必要に応じて修正申請を行うことで、適切なプロセスで出退勤情報を確定することができる。
【0103】
上述したようにテレワークなどの作業形態により、就業管理装置2が使用できない状況が発生しても、新たにネットワークタイムレコーダー用のソフトウェア等を導入・運用することなく、適切に出退勤打刻の収集作業を行うことができ、利便性が向上する。
【0104】
以上のように、本発明の就業管理システムによれば、業務装置の起動終了時刻を、出退勤打刻打ち忘れ時の補完に使用することができる。勤務シフトや時間外予定等を考慮した時刻を使用できるため、作業実態に近い出退勤打刻を自動生成でき、就業管理者の管理工数の削減を図ることができる。
また、出退勤情報の確定状況のステータスを管理し、確認作業を行うことができるので、より適切な就業管理を行うことができる。
【0105】
[変形例]
以上の実施形態では、打刻抜けがある未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴情報として、業務装置1の起動履歴情報およびネットワークのログイン・ログオフの起動履歴情報を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、施設内の入退室時刻、照明設備(個人の電気スタンドなど)のオン・オフ時刻、警備設備のオン・オフ時刻、公共交通機関の改札通過時刻、社内バスの乗降時刻など、個人に結び付いた業務に関連する各種時刻データを利用することで、業務実態に即した打刻補完処理を行うことができる。
【0106】
一方、管理装置3は、打刻抜けがある未打刻出退勤情報の補完に使用する起動履歴が存在しない場合に、出退勤時刻の推定処理を実行するように構成されてもよい。例えば、当日の勤務スケジュール(あるいは勤務シフト)や過去の出退勤情報、同じ所属で当日同じ勤務シフトだった別の就業者の出退勤情報などから、未打刻出退勤情報の補完データを生成してもよい。
【0107】
典型例として、オフィスワークとテレワークを日毎に切替えながら勤務を行うケースを挙げる。オフィスワーク時のPCログオフ時刻を退勤打ち忘れ発生時の打刻補完に使用していても、次の日がテレワーク勤務で外部からVPNネットワーク接続を行う必要がある場合、テレワークの前日は自社に備え付けのPCのログオフ操作を行わず退社することがある。その場合、ログオフ時刻が残らず、打ち忘れ発生時に打刻補完を行うことができないような場合が発生する。対応として、オフィスワーク勤務日の退勤打刻の打刻抜けを検出し、打刻補完のためのPCログオフ時刻が無かったとしても、次の日がテレワーク勤務日の場合は、その前日は定時に退出したと推定し、定時終了時刻をもって未打刻出退勤情報の補完データを生成する。
【0108】
また、過去の打刻打ち忘れ発生事例のデータを蓄積しておき、学習データとして機械学習を行うことにより、出退勤時刻の推定処理を実行してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の技術は、パソコンなどの情報端末を用いて業務を行う環境における就業管理システムにおいて、好適に利用できるものである。
【符号の説明】
【0110】
1…業務装置
2…就業管理装置
3…管理装置
4…業務装置
10…就業管理システム
11…制御部
12…記憶部
13…表示部
21…制御部
22…記憶部(第1の記憶部)
23…表示部
26…時計部
27…操作入力部
28…操作者情報入力部
31…制御部
32…記憶部(第2の記憶部)
33…表示部
111…起動履歴情報送信部
211…就業者認識部
212…表示制御部
213…打刻情報生成部
214…出退勤打刻情報送信部
311…出退勤情報記録部
312…起動履歴情報記録部
313…出退勤補完情報生成部
314…出退勤補完情報確定部