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特開2022-34994撮像装置及び測定装置、撮像装置の制御方法及びその制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034994
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】撮像装置及び測定装置、撮像装置の制御方法及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20220225BHJP
   G01C 22/00 20060101ALI20220225BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20220225BHJP
【FI】
A61B5/11 200
G01C22/00 E
G06T7/20 100
A61B5/11 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138988
(22)【出願日】2020-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】清原 武彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴成
【テーマコード(参考)】
2F024
4C038
5L096
【Fターム(参考)】
2F024AB01
2F024AF03
4C038VA12
4C038VB35
4C038VC05
4C038VC20
5L096BA03
5L096CA05
5L096DA04
5L096HA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全身を撮像可能で、かつ、小型の撮像手段を提供する。
【解決手段】距離センサ22で対象者までの距離を測定し、測定した距離情報に基づいて台座部32を対象者の側方に移動することで、対象者に追従して側方側から撮像することができる。このとき、第二カメラのレンズ方向を第一カメラの方向とすることで、第一カメラで撮像した第一撮像情報及び第二カメラで撮像した第二撮像情報を合成して合成撮像情報を作成した際、全身を撮像可能で、かつ、小型の撮像手段を提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者との距離を測定する距離測定手段と、
前記対象者の少なくとも一部を撮像する第一撮像手段と、
前記第一撮像手段の上方又は下方に位置し、前記対象者の少なくとも一部であって、前記第一撮像手段が位置する方向側を撮像する第二撮像手段と、
前記距離測定手段で測定した前記距離に基づいて前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段を移動する移動手段と、
前記第一撮像手段で撮像した第一撮像情報と、前記第二撮像情報で撮像した第二撮像情報とを合成する撮像情報合成手段と、
を備えることを特徴とする、
撮像装置。
【請求項2】
前記第一撮像手段と前記第二撮像手段は、前記第一撮像手段の前記対象者側の側面の少なくとも一部と前記第二撮像手段の前記対象者側の側面の少なくとも一部が互いに当接することを特徴とする、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記対象者が歩行又は走行する移動領域の側方に平行に設けられたレールに沿って移動することで、前記距離に基づいて前記対象者の側方に前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段を移動することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記第一撮像情報及び前記第二撮像情報に基づいて、前記対象者の歩行又は走行に関する情報を算出する歩行情報算出手段と、
を備えたことを特徴とする、
測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の測定装置において、
前記対象者が歩行又は走行する際の圧力を感知する圧力センサを有する歩行路と、
を備え、
前記歩行情報算出手段は、前記撮像情報と前記圧力センサから出力された圧力情報とに基づいて、前記対象者の歩行又は走行に関する情報を算出することを特徴とする、
測定装置。
【請求項6】
対象者との距離を測定する距離測定手段と、前記対象者の少なくとも一部を撮像する第一撮像手段と、前記第一撮像手段の上方又は下方に位置し、前記対象者の少なくとも一部であって、前記第一撮像手段が位置する方向側を撮像する第二撮像手段と、前記距離測定手段で測定した前記距離に基づいて前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段を移動する移動手段と、前記第一撮像手段で撮像した第一撮像情報と、前記第二撮像情報で撮像した第二撮像情報とを合成する撮像情報合成手段と、を備えることを特徴とする、撮像装置の制御方法であって、
前記対象者までの距離を測定する距離測定ステップと、
前記距離測定ステップで測定した前記距離に基づいて、前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段を移動する移動ステップと、
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段で前記対象者を撮像し、第一撮像情報及び第二撮像情報を出力する撮像ステップと、
前記第一撮像情報及び前記第二撮像情報を合成する撮像情報合成ステップと、
を含むことを特徴とする、
撮像装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置の制御方法を1又は2以上のコンピュータで実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び測定装置、撮像装置の制御方法及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡易な構成でありながら高精度に歩幅を測定することのできる歩幅測定装置が知られている。例えば、特許文献1では、ビデオカメラにより、走行する被験者の足を含む画像を撮影し、コンピュータにより、その画像における被験者の足の位置の時間変化に基づいて一方の足の着地位置と一方の足に続いて前方に出された他方の足の着地位置とを取得することで、歩幅を算出する歩幅測定装置が記載されている。この歩幅測定装置は、被験者の足を含む画像から直接的に歩幅を算出するため、簡易な構成によって高精度に歩幅を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-167002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の歩幅測定装置では、被験者の足のみを撮像しているため、歩幅以外の歩行に関する情報を取得することができないという課題がある。一方、被験者の足以外も撮像するには、被験者とカメラとの距離を離す必要があり、装置が大型化するという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、全身を撮像可能で、かつ、小型の撮像手段を提供することを主目的とする。また、小型の撮像手段の制御方法及び制御プログラムを提供することも、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の撮像装置は、
対象者との距離を測定する距離測定手段と、
前記対象者の少なくとも一部を撮像する第一撮像手段と、
前記第一撮像手段の上方又は下方に位置し、前記対象者の少なくとも一部であって、前記第一撮像手段が位置する方向側を撮像する第二撮像手段と、
前記距離測定手段で測定した前記距離に基づいて前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段を移動する移動手段と、
前記第一撮像手段で撮像した第一撮像情報と、前記第二撮像情報で撮像した第二撮像情報とを合成する撮像情報合成手段と、
を備えることを特徴とする、
ものである。
【0008】
この撮像装置は、距離測定手段で対象者までの距離を測定し、距離測定手段で測定した対象者までの距離に基づいて対象者の少なくとも一部を撮像する第一撮像手段及び第二撮像手段を対象者の側方に移動し、対象者を撮像する。続いて、撮像情報合成手段が、第一撮像手段で撮像した第一撮像情報と第二撮像手段で撮像した第二撮像情報とを合成することで、対象者の全身の撮像情報を撮像することができる。このように、2つの撮像手段を用いて対象者を撮像することにより、単一の撮像手段を用いて撮像する場合と比較して、撮像手段と対象者との距離が近い状態で、対象者の全身を撮像することができる。加えて、このとき、第一撮像手段と第二撮像手段は、移動手段によって対象者の側方側に位置し、第二撮像手段は、第一撮像手段が位置する方向側を撮像するため、第一撮像手段の撮像方向と第二撮像手段の撮像方向とが互いに平行である場合と比較して、第一撮像情報と第二撮像情報とを合成する際、第一撮像情報と第二撮像情報との境界を合成する際に必要な画像補正の労力を低減することができる。こうすることにより、対象者の全身を撮像する際に、対象者と第一撮像手段と第二撮像手段との距離を狭くし、装置を小型化することができる。
【0009】
本発明の撮像装置において、前記第一撮像手段と前記第二撮像手段は、前記第一撮像手段の前記対象者側の側面の少なくとも一部と前記第二撮像手段の前記対象者側の側面の少なくとも一部が互いに当接することを特徴としてもよい。こうすることにより、第一撮像情報と第二撮像情報とを合成する際、第一撮像情報と第二撮像情報との境界を合成する際に必要な画像補正の労力を低減することができる。
【0010】
本発明の撮像装置において、前記移動手段は、前記対象者が歩行又は走行する移動領域の側方に平行に設けられたレールに沿って移動することで、前記距離に基づいて前記対象者の側方に前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段を移動することを特徴としてもよい。レールを平行に設けることにより、第一撮像手段及び第二撮像手段がレールに沿って移動する際、第一撮像手段及び第二撮像手段と対象者との距離を常に一定に保つことができるため、複数の撮像情報を比較する際、経時変化を比較しやすい。
【0011】
本発明の測定装置は、
上述したいずれかに記載の撮像装置と、
前記撮像手段で撮像された撮像情報に基づいて、前記対象者の歩行又は走行に関する情報を算出する歩行情報算出手段と、
を備えたことを特徴とする、
ものである。
【0012】
この測定装置は、歩行情報算出手段において、撮像手段で撮像された撮像情報に基づいて対象者の歩行又は走行に関する情報を算出することができる。このとき、上述したいずれかの撮像装置を備えているため、上述したいずれかの撮像装置と同様の効果、例えば、第一撮像情報と第二撮像情報とを合成する際、第一撮像情報と第二撮像情報との境界を合成する際に必要な画像補正の労力を低減するという効果が得られる。
【0013】
本発明の測定装置において、前記対象者が歩行又は走行する際の圧力を感知する圧力センサを有する歩行路と、を備え、前記歩行情報算出手段は、前記撮像情報と前記圧力センサから出力された圧力情報とに基づいて、前記対象者の歩行又は走行に関する情報を算出することを特徴としてもよい。こうすることにより、圧力センサを有しない場合と比較して、より詳細な情報を得ることができる。
【0014】
本発明の撮像装置の制御方法は、
歩行又は走行する対象者までの距離を測定する距離測定手段と、前記対象者の少なくとも一部を撮像する第一撮像手段と、前記第一撮像手段の上方又は下方に位置し、前記対象者の少なくとも一部であって、前記第一撮像手段が位置する方向側を撮像する第二撮像手段と、前記距離測定手段で測定した前記距離に基づいて前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段を移動する移動手段と、前記第一撮像手段で撮像した第一撮像情報と、前記第二撮像情報で撮像した第二撮像情報とを合成する撮像情報合成手段と、を備えることを特徴とする、撮像装置の制御方法であって、
前記対象者までの距離を測定する距離測定ステップと、
前記距離測定ステップで測定した前記距離に基づいて、前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段を移動する移動ステップと、
前記第一撮像手段及び前記第二撮像手段で前記対象者を撮像し、第一撮像情報及び第二撮像情報を出力する撮像ステップと、
前記第一撮像情報及び前記第二撮像情報を合成する撮像情報合成ステップと、
を含むことを特徴とする、
ものである。
【0015】
この撮像装置の制御方法は、距離測定手段で対象者までの距離を測定し、距離測定手段で測定した対象者までの距離に基づいて対象者の少なくとも一部を撮像する第一撮像手段及び第二撮像手段を対象者の側方に移動し、対象者を撮像する。続いて、撮像情報合成手段が、第一撮像手段で撮像した第一撮像情報と第二撮像手段で撮像した第二撮像情報とを合成することで、対象者の全身の撮像情報を撮像することができる。このように、2つの撮像手段を用いて対象者を撮像することにより、単一の撮像手段を用いて撮像する場合と比較して、撮像手段と対象者との距離が近い状態で、対象者の全身を撮像することができる。加えて、このとき、第一撮像手段と第二撮像手段は、移動手段によって対象者の側方側に位置し、第二撮像手段は、第一撮像手段が位置する方向側を撮像するため、第一撮像手段の撮像方向と第二撮像手段の撮像方向とが互いに平行である場合と比較して、第一撮像情報と第二撮像情報とを合成する際、第一撮像情報と第二撮像情報との境界を合成する際に必要な画像補正の労力を低減することができる。こうすることにより、対象者の全身を撮像する際でも、対象者と第一撮像手段と第二撮像手段との距離を狭くし、装置を小型化することができる。
【0016】
本発明のプログラムは、1又は複数のコンピュータに、撮像装置の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(例えば、ハードディスク、ROM、CD、DVD、フラッシュメモリなど)に記録されていても良いし、伝送媒体(インターネットや有線/無線LANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ送信されても良いし、その他どのような形で授受されても良い。また、制御方法の各ステップを実行する装置で実行されるものであっても、プログラムが実行される装置と処理が行われる装置とが異なっていてもよい。いずれの場合であっても、このプログラムを1つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した制御方法と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、測定装置20の構成の概略を示す斜視図である。
図2図2は、レール部材30a及び台座部32の構成の概略を示す側面図である。
図3図3は、台座部32の構成の概略を示す側面図である。
図4図4は、測定装置20の電気的接続を説明するためのブロック図である。
図5図5は、測定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、比較例の撮像情報の一例を示す比較図である。
図7図7は、実施例の撮像情報の一例を示す比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態の一例として、測定装置20について詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。また、測定装置20の制御方法の一例を示すことで、本発明の測定方法の一例も明らかにする。
【0019】
本発明の実施の形態の一例である測定装置20は、図1及び図2に示すように、対象者が歩行又は走行する領域(図1中点線領域)の歩行又は走行する方向側に設けられた距離センサ22と、対象者が歩行又は走行する領域の側面側に設けられたレール30と、レール30に移動可能に設けられた台座部32と、台座部32に取り付けられ、対象者を撮影する第一カメラ34a及び第二カメラ34b(以下、「カメラ34」とも言う。図3参照)と、台座部32の移動及びカメラ34から出力された撮像情報の合成を制御する制御ユニット40(図4参照)と、を備えている。この測定装置20は、対象者が歩行又は走行する際、距離センサ22が対象者との距離を距離情報として取得し、この距離情報に基づき、制御ユニット40がレール30に沿って台座部32を対象者の側方位置に移動する。そして、カメラ34で対象者を撮像し、第一カメラ34aから出力された第一撮像情報と第二カメラ34bから出力された第二撮像情報とを合成することで、対象者を撮像した合成撮像情報を取得し、この合成撮像情報に基づいて対象者の歩行又は走行に関する情報を測定する。こうすることにより、対象者の歩行又は走行に台座部32が追従し、台座部32に設けられたカメラ34により、対象者の側面から対象者を撮像することができる。
【0020】
距離センサ22は、本発明の距離測定手段に相当する公知の距離センサであり、距離センサ22と対象者との距離を測定し、距離情報として制御ユニット40に出力する。こうすることにより、距離センサ22と対象者との距離情報、付言すると、対象者の位置情報を制御ユニット40に出力することができる。このような距離センサ22としては、例えば、赤外線や電波、超音波等を用いて対象物までの距離を検知する距離センサや位置センサ等を使用することができる。
【0021】
レール30は、所定の長さのレール部材30aが複数連結されることで形成された組み立て式のレールであって、一端側が距離センサ22の真横となる位置であって、対象者の側面側に平行となる位置に設けられている。このレール30の上方面にはラックギア31が設けられており、台座部32に設けられているピニオンギア33がラックギア31と互いに嵌合する。こうすることにより、制御ユニットがモータ35(図3参照)を駆動すると、ピニオンギア33が回転し、台座部32がレール30に沿って対象者に沿って平行な位置(対象者と等距離の位置)を移動し、対象者の側面側(例えば、真横)に移動することができる。
【0022】
台座部32は、図3に示すように、本発明の移動手段に相当し、レール30に設けられたラックギア31(図2参照)と嵌合するピニオンギア33と、対象者を撮像する第一カメラ34a及び第二カメラ34bと、が設けられている。この台座部32には、モータ35がギアを介してピニオンギア33を回転可能な位置に設けられており、制御ユニット40からの制御信号によってモータ35の回転が制御され、モータの回転に伴ってピニオンギアが回転することで、台座部32の位置が制御される。
【0023】
第一カメラ34aは、本発明の撮像手段に相当する公知の撮像手段であり、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラである。この第一カメラ34aは、台座部32に固定されており、台座部32の移動に伴って移動する。また、第一カメラ34aは、図示しないレンズが斜め上方側を向く方向に傾斜して固定されており、対象者の上半身を含む領域を主に撮像する。
【0024】
第二カメラ34bは、本発明の撮像手段に相当する公知の撮像手段であり、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラである。第二カメラ34bは、台座部32の第一カメラ34aの上方側に一部が当接する状態で固定されており、台座部32の移動に伴って移動する。また、第二カメラ34bは、図示しないレンズが斜め下方側を向く方向に傾斜して固定されており、対象者の下半身を含む領域を主に撮像する。具体的には、第一カメラ34aの図示しないレンズ側の上面と第二カメラ34bの図示しないレンズ側の下面とが互いに当接する位置で固定されている。こうすることにより、第一カメラ34aと第二カメラ34bのレンズの方向が互いに平行な位置に固定されている場合と比較して、第一カメラ34aが撮像した第一撮像情報と第二カメラ34bが撮像した第二撮像情報とを合成する際の労力を低減することができる。
【0025】
制御ユニット40は、本発明の撮像情報合成手段に相当し、図4に示すように、CPU41を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、台座部32の移動やカメラ34を制御する対象者情報算出処理ルーチンを含む各種制御プラグラムや第一撮像情報及び第二撮像情報を合成する合成プログラムが記憶されたROM42と、カメラによって撮像された撮影情報等を一時的に記憶するRAM43と、距離センサ22や台座部32、カメラ34等との間の各種信号の送受信を行うインタフェース44(以下、「I/F44」と言う。)がそれぞれバス45を介して電気的に接続されている。この制御ユニット40は、距離センサ22から出力された距離情報に基づいて台座部32の位置を制御すると共に、第一カメラ34aから出力された第一撮像情報と第二カメラ34bから出力された第二撮像情報とを合成し、合成撮像情報から歩行又は走行に関する情報を算出する。こうすることにより、対象者の歩行又は走行に関する情報を算出することができる。
【0026】
次に、対象者の歩行又は走行に関する情報を算出する際に実行される動作について、制御ユニット40によって実行される対象者情報算出処理ルーチンを一例に説明する。この対象者情報算出処理ルーチンは、図示しない開始ボタンが押圧され、開始信号が制御ユニット40に入力されると、CPU41がROM42より対象者情報算出処理ルーチンを読み出し、繰り返し実行される。なお、ここで図5は、対象者情報算出処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、図示しない開始ボタンが押圧されると、距離センサ22に電力が供給され、距離センサ22が対象者との距離を検知し、距離情報を制御ユニット40に出力するものとする。
【0027】
対象者情報算出処理ルーチンが実行されると、CPU41は、距離センサ22から出力された距離情報に基づいて、台座部32を対象者の側面側(真横)の位置に移動する(ステップS110)。具体的には、モータ35を回転する回転信号を出力し、距離センサ22から出力された距離情報が示す距離センサ22と対象者の距離とレール30の一端側と台座部32とが同一の距離となる位置に台座部32が移動するまでモータ35を回転させる。こうすることにより、台座部32を対象者の真横の位置に移動することができる。
【0028】
続いて、CPU41は、第一カメラ34a及び第二カメラ34bより第一撮像情報及び第二撮像情報を取得する(ステップS120)。具体的には、第一カメラ34a及び第二カメラ34bに撮像信号を出力し、第一カメラ34aから出力された第一撮像情報と第二カメラ34bから出力された第二撮像情報とを一時的にRAM43に記憶する。こうすることにより、対象者の真横から対象者を撮像することができる。
【0029】
続いて、CPU41は、第一撮像情報と第二撮像情報とを合成し、合成撮像情報を作成する(ステップS130)。このとき、第一撮像情報と第二撮像情報は、例えば、台形補正等の公知の補正方法を用いて補正し、合成する。こうすることにより、このとき、第一カメラ34aの図示しないレンズは上方向を、第二カメラ34bの図示しないレンズは下方向を、それぞれ向いているため、一台のカメラで撮像する場合と比較して、対象者から近距離の位置であっても、対象者全体を撮像することができる。言い換えると、対象者とカメラ34の位置を近づけることができるため、小型化することができる。更に、第一カメラ34aの図示しないレンズ側の上面と第二カメラ34bの図示しないレンズ側の下面とが当接しているため、第一撮像情報と第二撮像情報とを一つの合成撮像情報に合成する際、合成する際の境界面の撮像情報の変化が小さくなるため、撮像情報を補正する際の労力を低減することができる。
【0030】
続いて、CPU41は、合成撮像情報に基づいて、対象者の歩行又は走行に関する情報を算出する(ステップS140)。具体的には、例えば、骨格推定アルゴリズムを用いて各関節の座標を算出し、所定の時間経過後の撮像情報から産出した各関節の座標を比較することで各関節の移動情報を算出したり、腰の基準位置の座標を算出し、股関節の作動角度を算出したりする。こうすることにより、対象者の歩行又は走行に関する情報を算出することができる。
【0031】
ここで、第一カメラ34aと第二カメラ34bとの位置関係と撮像情報との関係を示す。図6は、比較例の一例を示す写真図である。この写真図は、第一カメラ34aと第二カメラ34bのレンズの方向が略平行な状態に配置して撮像した第一撮像情報(図6A)、第二撮像情報(図6B)及び合成撮像情報(図6C)である。図6Cから明らかなように、第一カメラ34aと第二カメラ34bとを平行な状態に配置した場合には、境界部分の撮像情報にズレがあり、正しく合成することができない。
【0032】
次に、実施例の一例を図7に示す。ここで、図7は、第一カメラ34aの図示しないレンズ側の上面と第二カメラ34bの図示しないレンズ側の下面とが当接し、第一カメラ34aが仰角18°に、第二カメラ34bが俯角18°となるように配置した場合の第一撮像情報(図7A)、第二撮像情報(図7B)及び合成撮像情報(図7C)である。図7から明らかなように、上述した実施の形態で第一カメラ34a及び第二カメラ34bを配置した場合には、切れ目の無い合成撮像情報が得られる。
【0033】
以上詳述した実施の形態の測定装置20によれば、距離センサ22で対象者までの距離を測定し、測定した距離情報に基づいて台座部32を対象者の側方に移動することで、対象者に追従して側方側から撮像することができる。このとき、第二カメラ34bのレンズ方向を第一カメラ34aの方向とすることで、第一カメラ34aで撮像した第一撮像情報及び第二カメラ34bで撮像した第二撮像情報を合成して合成撮像情報を作成した際、一台のカメラで撮像した撮像情報と比較して、対象者から近い距離で広範囲を撮像することができる。
【0034】
また、第一カメラ34aの図示しないレンズ側の上面と第二カメラ34bの図示しないレンズ側の下面とが当接しているため、第一カメラ34aで撮像した第一撮像情報と第二カメラ34bで撮像した第二撮像情報とを合成する際、境界領域で必要な画像補正の労力を低減することができる。
【0035】
更にまた、台座部32は、対象者が歩行又は走行する領域に平行に設けられたレール30に沿って移動することで、カメラ34と対象者との距離が等距離に保たれるため、対象者の経時変化を比較しやすい。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
例えば、上述した実施の形態において、距離センサ22に替えて、対象者が歩行又は走行する領域に圧力センサを有する歩行路を設けていてもよい。こうすることにより、対象者が歩行又は走行する位置を圧力センサで検知することができ、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0038】
上述した実施の形態において、対象者が歩行又は走行する領域に圧力センサを設けてもよい。こうすることにより、対象者が歩行又は走行する際の圧力情報が得られるため、より詳細に対象者の歩行又は走行に関する情報を算出することができる。
【0039】
上述した実施の形態において、第一カメラ34aのレンズ側の上面と第二カメラ34bのレンズ側の下面とが互いに当接するものとしたが、当接に限定されるものではなく、近傍に位置してもよい。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0040】
上述した実施の形態において、第一カメラ34aは、図示しないレンズが斜め上方側を向く方向に傾斜して固定されており、第二カメラ34bは、図示しないレンズが斜め下方側を向く方向に傾斜して固定されているものとしたが、第一カメラ34aの図示しないレンズが水平方向であって、第二カメラ34bの図示しないレンズが斜め下方側であってもよいし、第一カメラ34aの図示しないレンズが上方向であって、第二カメラ34bの図示しないレンズが水平方向であってもよい。いずれの場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述した実施の形態で示すように、撮像分野、特に歩行情報測定装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
20…測定装置、22…距離センサ、30…レール、30a…レール部材、31…ラックギア、32…台座部、33…ピニオンギア、35…モータ、34…カメラ、34a…第一カメラ、34b…第二カメラ、40…制御ユニット、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…インタフェース、45…バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7