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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035030
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】入退室管理システム
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/37 20200101AFI20220225BHJP
   G07C 9/38 20200101ALI20220225BHJP
【FI】
G07C9/37
G07C9/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139075
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】518069003
【氏名又は名称】アヴァント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】坂口 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】木村 久男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将親
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138BA01
3E138BA20
3E138GA02
3E138HA06
3E138JA01
3E138JB16
3E138JC05
3E138JC19
3E138JC26
3E138JD06
(57)【要約】
【課題】社員を特定するときに、より確実に顔の温度を測定することができる入退室管理システムを提供する。
【解決手段】入退室管理システムであって、社員の顔を撮像する撮像用カメラ11と、撮像用カメラ11が社員の顔を撮像するときに、社員の顔の温度を計測する赤外線センサ12と、撮像用カメラ11が撮像した画像、および赤外線センサ12の計測データを送信する撮像用小型コンピュータ13と、上述した社員を含む全社員の情報を保存した社員設定ファイルを読み込むとともに、全社員の顔を機械学習した学習データを読み込み、撮像用コンピュータから送信された画像と学習データとを用いて社員設定ファイルから社員を特定し、特定した社員と撮像用小型コンピュータ13から送信された計測データとを紐付けして社員設定ファイルに保存する管理者用コンピュータ20とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退室する社員の識別管理を行うとともに、前記社員の体温を計測するための入退室管理システムであって、
前記社員の顔を撮像する撮像用カメラと、
前記撮像用カメラが前記社員の顔を撮像するときに、前記社員の顔の温度を計測する赤外線センサと、
前記撮像用カメラが撮像した画像、および前記赤外線センサの計測データを送信する撮像用コンピュータと、
前記社員を含む全社員の情報を保存した社員設定ファイルを読み込むとともに、前記全社員の顔を機械学習した学習データを読み込み、前記撮像用コンピュータから送信された前記画像と前記学習データとを用いて前記社員設定ファイルから前記社員を特定し、特定した前記社員と前記撮像用コンピュータから送信された前記計測データとを紐付けして前記社員設定ファイルに保存する管理者用コンピュータと
を有することを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
前記管理者用コンピュータは、顔の温度の閾値が予め設定され、紐付けられた前記計測データが閾値を超えている場合に管理者に発報することを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記管理者用コンピュータは、前記社員の計測データに基づいて基礎体温を計算し、前記社員設定ファイルに紐付けて保存することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
前記管理者用コンピュータは、前記社員の出勤時および退出時の2つの前記計測データに基づいて温度差を計算し、前記社員設定ファイルに紐付けて保存することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の入退室管理システム。
【請求項5】
前記基礎体温または前記温度差のいずれか一方または両方を社内検診を担当する医師のコンピュータへ送信することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の入退室管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室者の識別管理および健康管理を行うための入退室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入出退者の入出退時刻を記録するとともに、皮膚表面温度を測定・記録するための皮膚表面温度記録機能付入出退管理装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3160292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、非接触ICカードリーダーで社員を特定し、サーモグラフィー装置でその社員の顔の皮膚温度を測定している。しかしながら、ICカードは手でかざすものであり、ICカードをかざしているときに、社員の顔がサーモグラフィー装置の認識範囲内に位置するとは限らない。また、ICカードをかざすときにマスクなどをしていると、顔の温度を正確に測定することが困難である。
【0005】
また、ICカードリーダーは、カードの発行などのランニングコストが高くなる。また、ICカードを忘れた場合には、仮発行のICカードを用意しなければならず、業務管理者の手間もかかることが多い。さらには、仮発行のICカードでは、社員を特定することができない。
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、社員を特定するときに、より確実に顔の温度を測定することができる入退室管理システムを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述課題を解決するため、本発明は、入退室する社員の識別管理を行うとともに、前記社員の体温を計測するための入退室管理システムであって、前記社員の顔を撮像する撮像用カメラと、前記撮像用カメラが前記社員の顔を撮像するときに、前記社員の顔の温度を計測する赤外線センサと、前記撮像用カメラが撮像した画像、および前記赤外線センサの計測データを送信する撮像用コンピュータと、前記社員を含む全社員の情報を保存した社員設定ファイルを読み込むとともに、前記全社員の顔を機械学習した学習データを読み込み、前記撮像用コンピュータから送信された前記画像と前記学習データとを用いて前記社員設定ファイルから前記社員を特定し、特定した前記社員と前記撮像用コンピュータから送信された前記計測データとを紐付けして前記社員設定ファイルに保存する管理者用コンピュータとを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記管理者用コンピュータは、顔の温度の閾値が予め設定され、紐付けられた前記計測データが閾値を超えている場合に管理者に発報するようにしてもよい。
【0009】
さらに、前記管理者用コンピュータは、前記社員の計測データに基づいて基礎体温を計算し、前記社員設定ファイルに紐付けて保存することもできる。
【0010】
また、前記管理者用コンピュータは、前記社員の出勤時および退出時の2つの前記計測データに基づいて温度差を計算し、前記社員設定ファイルに紐付けて保存するようにしてもよい。
【0011】
さらにまた、前記基礎体温または前記温度差のいずれか一方または両方を社内検診を担当する医師のコンピュータへ送信することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の入退室管理システムによれば、社員の顔を撮像する撮像用カメラと、撮像用カメラが社員の顔を撮像するときに、社員の顔の温度を計測する赤外線センサと、撮像用カメラが撮像した画像、および赤外線センサの計測データを送信する撮像用小型コンピュータと、上述した社員を含む全社員の情報を保存した社員設定ファイルを読み込むとともに、全社員の顔を機械学習した学習データを読み込み、撮像用コンピュータから送信された画像と学習データとを用いて社員設定ファイルから社員を特定し、特定した社員と撮像用小型コンピュータから送信された計測データとを紐付けして社員設定ファイルに保存する管理者用コンピュータとを有しているので、毎日(出勤日)の体温をデータとして保存することができる。そのため、この毎日の体温のデータを基にして、入退室する社員の健康を大まかに診断することができる。また、このデータを医師に見てもらうことで、病気の予兆などを事前に察知することができる。
【0013】
また、社員が顔を撮像(認証)させるために撮像用カメラに顔を向けたときに、向けられた顔の温度を赤外線センサで計測することができる。そのため、社員の顔部が確実に赤外線センサで捉えられるので、顔部の温度の計測が常に正確に行える。また、社員は、顔を撮像させるために着用しているマスクなどを外すので、このような障害の影響を受けずに、より正確に顔の温度を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る入退室管理システムの構成例を示す図である。
図2図1に示す管理者用コンピュータの構成例を示す図である。
図3】本発明の動作原理を説明するための図である。
図4】撮影データ送信手段のフローチャートである。
図5】名前登録手段のフローチャートである。
図6】名前修正手段のフローチャートである。
図7】顔部撮影手段のフローチャートである。
図8】顔部識別用データ送信手段のフローチャートである。
図9】学習データ受信手段のフローチャートである。
図10】検温手段のフローチャートである。
図11】第1変形例の動作原理を説明するための図である。
図12】基礎体温計算手段のフローチャートである。
図13】第2変形例の動作原理を説明するための図である。
図14】検温データ差分計算手段のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態の一例について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る入退室管理システム1の構成例を示す図である。図1に示す構成では、入退室管理システム1は、入退室管理装置10、管理者用コンピュータ20、および、表示装置30を有している。入退室管理装置10と管理者用コンピュータ20、および、管理者用コンピュータ20と表示装置30は、それぞれLAN40a、HDMI(登録商標)などのビデオインターフェイス40bによって接続されている。
【0017】
入退室管理装置10は、その内部に撮像用カメラ11、赤外線センサ12,および、撮像用小型コンピュータ13を備えている。撮像用カメラ11と撮像用小型コンピュータ13、および、赤外線センサ12と撮像用小型コンピュータ13は、シリアルインターフェイス14a、14bでそれぞれ接続されている。
【0018】
撮像用カメラ11は、例えば、一般的なCCDカメラやCMOSカメラであり、入退室する社員の顔部を認識して顔部画像を撮像するものである。赤外線センサ12は、撮像用カメラ11で顔部を撮像するときに、その顔部の温度を非接触で計測するものである。また、撮像用小型コンピュータ13は、例えば、英国ラズベリーパイ財団が開発したコンピュータ製品「ラズベリーパイ」、或いはそれと同等の機能を有する小型コンピュータを用いることで、入退室管理装置10の全体を軽量・コンパクトに構成している。
【0019】
このような入退室管理装置10はエントランス部分に設置され、入退室する社員の各種データをその都度入手できるようになっている。また、従来技術を用いて、顔認証の結果によってエントランスの施錠または解除が行われるようになっていてもよい。
【0020】
管理者用コンピュータ20は、システムの管理者が有するパーソナルコンピュータ等によって構成される。また、管理者用コンピュータ20は、詳細は後述するが、上述した顔部画像および顔部の温度の計測データを格納するとともに、社員情報を格納し、それぞれを紐付けして処理するためのソフトウエアを有するサーバコンピュータである。
【0021】
また、管理者用コンピュータ20は、インターネット(共通の通信仕様を用いて全世界のコンピュータや通信機器を相互に繋いだグローバルなコンピュータネットワーク)と有線或いは無線で繋がれており、必要に応じてインターネット上の情報を取得できるようになっている。また、機械学習のためのクラウドサーバーとアクセスできるようになっている。
【0022】
図2は、図1に示す管理者用コンピュータ20の構成例を示す図である。
【0023】
管理者用コンピュータ20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、HDD(Hard Disk Drive)24、GPU(Graphical Processing Unit)25、I/F(Interface)26を有しており、バス27を介してそれぞれ接続されている。なお、HDD24の代わりに、または、HDD24に加えてSSD(Solid State Drive)を備えるようにしてもよい。
【0024】
ここで、CPU21は、ROM22およびHDD24に格納されているプログラムに基づいて処理を実行し、例えば、専用ソフトによって撮像用小型コンピュータ13にアクセスし、撮像用小型コンピュータ13に格納されている情報を検索し、検索結果を表示する等の動作を行う。
【0025】
ROM22は、CPU21が実行する基本的なプログラムやデータを格納する半導体記憶装置である。
【0026】
RAM23は、CPU21が実行するプログラムや演算途中のデータを一時的に格納するための半導体記憶装置である。
【0027】
HDD24は、CPU21が実行するプログラムやデータを格納する磁気記憶装置であり、種々のデータを格納するDB(Data Base)24aを有している。
【0028】
GPU25は、CPU21から供給される描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像等を表示装置30に供給して表示させる。なお、GPU25は、並列性が高い演算処理を実行するようにしてもよい。もちろん、GPU25以外の演算処理プロセッサを搭載するようにしてもよい。
【0029】
I/F26は、例えば、図示しないキーボードおよびマウス等の入力デバイスからの情報を入力するものである。
【0030】
バス27は、CPU21、ROM22、RAM23、HDD24、GPU25、および、I/F26を相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能にするための信号線群である。
【0031】
表示装置30は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等によって構成され、GPU25から供給される画像等を表示部に表示する。
【0032】
図3は、本発明の入退室管理システム1の動作原理を説明するための図である。また、図4図10は、撮像用小型コンピュータ13および管理者用コンピュータ20が有する各種手段について説明するフローチャートである。また、図3における破線で囲まれた各種手段群Aは、撮像用小型コンピュータ13、管理者用コンピュータ20、および、HDD24およびROM22等に格納されているソフトウエア資源が協働することによって実現される。
【0033】
撮像用小型コンピュータ13は、図3および図4に示すように、撮影データ送信手段50を有する。詳細には、入退室する社員について、撮像用カメラ11で撮像した顔部画像と、赤外線センサ12で計測した顔部温度を取得し(以下、取得データという)、取得データを管理者用コンピュータ20に送信する機能を有する。また、送信が完了した後に、順次、入退出する次の社員の取得データの取得、送信を繰り返す。
【0034】
管理者用コンピュータ20は、図3および図4図10に示すように、主に6つの手段を有している。詳細には、名前登録手段60、名前修正手段61、顔部撮影手段62、顔部識別用データ送信手段63、学習データ受信手段64、検温手段65である。
【0035】
名前登録手段60は、図5に示すように、各社員の氏名を社員名簿としてCSV形式で読み込み、社員設定ファイル(社員名簿のデータ)に登録する機能を有している。名前修正手段61は、図6に示すように、上述した社員設定ファイルを読み込み、社員名簿の中から修正する特定の社員のデータを選択する。そして、社員データを更新する場合と、削除する場合に分けて処理を行う機能を有している。
【0036】
顔部撮影手段62は、図7に示すように、社員設定ファイルを読み込み、特定の社員のデータを選択する。次に、特定の社員の顔部の画像を取り込むために、撮像用小型コンピュータ13から映像を受信し、撮影を行う。そして、撮像用小型コンピュータ13から映像の受信を囚虜し、映像を保存する機能を有する。
【0037】
顔部識別用データ送信手段63は、図8に示すように、社員設定ファイルと、撮像した顔部画像とを読み込み、機械学習用のクラウドサーバーに送信する機能を有している。
【0038】
学習データ受信手段64は、図9に示すように、クラウドサーバーに送信された顔部画像に基づいて作成された機械学習モデルをダウンロードし保存する機能を有している。なお、機械学習についての特徴量の選択や数値化などの技術は、従来技術を使用するものであるため、本実施形態では詳細な説明を省略する。
【0039】
検温手段65は、図10に示すように、社員設定ファイルと学習モデルを読み込むとともに、撮像用小型コンピュータ13から入退出する社員の顔部の映像データを受信する。そして、映像データを学習モデルに基づいて認識・識別するとともに、赤外線センサ12で顔の温度を計測する。このとき、顔の温度が閾値以上の場合には、社員或いは管理者に発報してその旨を知らせる。そして、識別した氏名、温度、時刻などをログファイルに出力し、表示装置30に表示する。一方、閾値以下の場合には、発報は行わず、識別した氏名、温度、時刻などをログファイルに出力し、表示装置30に表示する。この手順は、入退出の社員毎に行われる。
【0040】
また、検温手段65は、管理者用コンピュータ20の内部のタイマー機能(図示せず)によって、計測の時刻(入退室の時刻と同じ時刻)が保存され、計測結果とともに管理される。
【0041】
本発明の実施の形態に係る入退室管理システム1では、社員の顔を撮像する撮像用カメラ11と、撮像用カメラ11が社員の顔を撮像するときに、社員の顔の温度を計測する赤外線センサ12と、撮像用カメラ11が撮像した画像、および赤外線センサ12の計測データを送信する撮像用小型コンピュータ13と、上述した社員を含む全社員の情報を保存した社員設定ファイルを読み込むとともに、全社員の顔を機械学習した学習データを読み込み、撮像用小型コンピュータ13から送信された画像と学習データとを用いて社員設定ファイルから社員を特定し、特定した社員と撮像用小型コンピュータ13から送信された計測データとを紐付けして社員設定ファイルに保存する管理者用コンピュータ20とを有しているので、毎日(出勤日)の体温をデータとして保存することができる。そのため、この毎日の体温のデータを基にして、入退室する社員の健康を大まかに診断することができる。また、このデータを医師に見てもらうことで、病気の予兆などを事前に察知することができる。
【0042】
また、社員が顔を撮像(認証)させるために撮像用カメラ11に顔を向けたときに、向けられた顔の温度を赤外線センサ12で計測することができる。そのため、社員の顔部が確実に赤外線センサ12で捉えられるので、顔部の温度の計測が常に正確に行える。また、社員は、顔を撮像させるために着用しているマスクなどを外すので、このような障害の影響を受けずに、より正確に顔の温度を計測することができる。
【0043】
さらに、社員の顔部の画像で社員を特定しているので、ICカードのような操作物を携帯する必要がなく、利便性がよい。
【0044】
また、管理者用コンピュータ20は、顔の温度の閾値が予め設定され、紐付けられた計測データが閾値を超えている場合に管理者に発報するようになっているので、管理者は、体温に異常のある社員にすばやく気づき、体調不良が懸念される社員に帰宅を要請するなどの応急処置をとることができる。
【0045】
なお、本発明の入退室管理システム1は、当然に、社員の出退勤管理として使用することができ、出勤簿の作成、残業時間などの労務管理のデータも作成することができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態に係る入退室管理システム1について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0047】
(第1変形例)
例えば、第1変形例の入退室管理システム101では、図11および図12に示すように、本実施の形態に追加して、基礎体温計算手段166を備えている。
【0048】
基礎体温計算手段166は、社員設定ファイルおよび毎日の体温の計測結果を読み込み、基礎体温(平熱)を計算する機能を有している。この基礎体温は、例えば、設定によって、週、月、年ごとに計算される。また、計算された基礎体温をデータとして格納し、表示装置30或いはプリンタで出力する。また、この基礎体温のデータは、個々の社員と紐付けされて、社員設定ファイルとして保存される。
【0049】
この基礎体温のデータは、社内検診のときに担当医療機関または担当医師の所有するコンピュータに送信或いは紙面で提出し、尿、血液検査、便などのデータとあわせ総合判断する事で、疾病診断や健康診断などの判断の一部として活用することができる。また、各社員に個々にデータを送信し、自己の健康管理に関心を持たせるようにしてもよい。
【0050】
診断例としては、平熱が高い場合(例えば、微熱が続く場合)には、腎症候性出血熱、関節リウマチ、感染性心内膜炎、百日咳などのおそれがある。また、微熱が続く状況では、肺炎の疑いや新型コロナウィルス感染のPCR検査へ進むかの判定データとして役立てることができる。
【0051】
一方、低体温は見逃されがちだが、運動不足が原因で、筋肉量が減少していることが想定される。この場合、基礎代謝が下がり、内臓脂肪の増加のおそれがある。また、人間の体温は平均36.5度くらいだが、それが35度代に体温が下がると、体全体の免疫力が弱まり、癌を含めた大病になり易い体質と判定される場合がある。
【0052】
さらには、基礎体温データを特徴量として数値化することで、低体温などの判定をAIで行うようにしてもよい。
【0053】
(第2変形例)
例えば、第2変形例の入退室管理システム201では、図13および図14に示すように、本実施の形態に追加して、検温データ差分計算手段266を備えている。
【0054】
検温データ差分計算手段266は、社員設定ファイルおよび毎日の計測結果を読み込み、1日2回の計測結果(出社時と帰宅時)の温度差(差分)を計算する機能を有している。この差分は、例えば、設定によって、日、月、季節ごとに計算することができる。また、計算された差分をデータとして保存し、表示装置30或いはプリンタで出力する。また、この差分計算のデータは、個々の社員と紐付けされて、社員設定ファイルとして保存される。
【0055】
この差分計算のデータは、社内検診のときに担当医療機関または担当医師の所有するコンピュータに送信或いは紙面で提出し、尿、血液検査、便などのデータとあわせ総合判断する事で、疾病診断や健康診断などの判断の一部として活用することができる。また、各社員に個々にデータを送信し、自己の健康管理に関心を持たせるようにしてもよい。
【0056】
診断例としては、例えば、一般的には体温は夏が低く、冬が高くなる傾向にある。また、1日の中でも変化があり、朝が一番低く、夕方が一番高くなる。入退室管理システム201では、朝の出社時、夕方の帰宅時に体温を計測記録し、履歴管理する事で、季節毎の基礎体温や一日の体温変化を把握できるようになり、健康管理に役立てる事ができる。例えば、朝と夕の体温の変化は1度以内であるといわれているが、朝と夕方での1度以内の熱の変化は平常と判定し、超える場合には注意を呼びかけるようにするなどの対応が必要になる。
【0057】
なお、本実施の形態の入退室管理システム1に、第1変形例の基礎体温計算手段166と、第2変形例の検温データ差分計算手段266との両方を追加することもできる。
【0058】
また、本実施の形態では、「入退室する者(入退室者)」の分かり易い一例として、会社組織に属する「社員」を用いて説明しているが、これに限られない。すなわち、組織によって登録名簿のようなものが作成され、この登録名簿に基づいて入退室が管理されている者であればよく、雇用の有無などは関係ない。本明細書でいう「社員」とは、上述した組織によって登録名簿で管理された者も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1、101、201 入退室管理システム
10 入退室管理装置
11 撮像用カメラ
12 赤外線センサ
13 撮像用小型コンピュータ(撮像用コンピュータ)
14a、14b シリアルインターフェイス
20 管理者用コンピュータ
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 HDD
25 GPU
26 I/F
27 バス
30 表示装置
40a LAN
40b ビデオインターフェイス
50 撮影データ送信手段
60 名前登録手段
61 名前修正手段
62 顔部撮影手段
63 顔部識別用データ送信手段
64 学習データ受信手段
65 検温手段
166 基礎体温計算手段
266 検温データ差分計算手段
A 各種手段群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14