(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035063
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】呼出システム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20220225BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
H04M9/00 B
G08B27/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139128
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】301072063
【氏名又は名称】株式会社エコー総合企画
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】森山 明彦
【テーマコード(参考)】
5C087
5K038
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA10
5C087AA16
5C087AA21
5C087AA33
5C087AA41
5C087BB20
5C087BB73
5C087BB74
5C087DD27
5C087DD39
5C087EE11
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF05
5C087FF11
5C087FF16
5C087GG07
5C087GG12
5C087GG22
5C087GG32
5C087GG35
5C087GG57
5C087GG66
5C087GG70
5K038AA05
5K038CC06
5K038DD14
5K038DD16
5K038FF01
5K038FF12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】呼出釦操作に伴う瞬時的な発電で動作する呼出機から呼出信号を送信して受信機及び携帯表示機で呼出表示を行う場合に、携帯表示機を簡単且つ容易にグループ分けした呼出表示を可能とする呼出システムを提供する。
【解決手段】呼出システムにおいて、、携帯表示機22は、呼出先に対応してグループ分けされ、受信機16にはテーブル情報48として呼出釦とグループの対応関係が登録される。受信機16は、呼出機10から呼出釦の操作による呼出信号を受信し、テーブル情報48から呼出元名、呼出先グループを取得してモニタ装置18に呼出枠を呼出順に表示し、呼出先グループを指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号を携帯表示機22へ送信する。携帯表示機22は、受信した呼出中継信号の内、自分の所属する呼出先グループを指定した呼出中継信号の呼出枠情報に基づき呼出枠を表示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の呼出機、モニタ部を備えた受信機、及び、複数の携帯表示機で構成された呼出システムであって、
前記複数の携帯表示機は、複数のグループにグループ分けされており、
前記呼出機は、呼出釦の操作に伴う瞬時的な電磁誘導発電で動作して所定の呼出信号を前記受信機へ送信し、
前記受信機は、呼出元となる前記呼出機と呼出先となる前記グループとの対応関係を設定したテーブル情報を備え、前記呼出機から受信した前記呼出信号に基づき所定の呼出内容を表示するための呼出枠情報を生成してモニタ部に前記所定の呼出内容である呼出枠を表示するとともに、前記テーブル情報に基づいて当該呼出信号を送信した前記呼出元の呼出機に対応した呼出先のグループを指定した前記呼出枠情報を含む呼出中継信号を前記複数の携帯表示機へ送信し、
前記携帯表示機は、前記受信機から受信した前記呼出中継信号の内、自分の所属するグループを指定した前記呼出中継信号に含まれる前記呼出枠情報に基づき前記呼出枠を表示する
ことを特徴とする呼出システム。
【請求項2】
複数の呼出機、モニタ部を備えた受信機、及び、複数の携帯表示機で構成された呼出システムであって、
前記複数の携帯表示機は、複数のグループにグループ分けされており、
前記呼出機は、複数の呼出釦を備え、前記呼出釦の何れかの操作に伴う瞬時的な電磁誘導発電で動作して、所定の呼出信号を前記受信機へ送信し、
前記受信機は、呼出元となる前記呼出機の前記呼出釦と呼出先となる前記グループとの対応関係を設定したテーブル情報を備え、前記呼出機から受信した前記呼出信号に基づき所定の呼出内容を表示するための呼出枠情報を生成してモニタ部に前記所定の呼出内容である呼出枠を表示すると共に、前記テーブル情報に基づいて当該呼出信号を送信した呼出元の呼出機の呼出釦に対応した呼出先のグループを指定した前記呼出枠情報を含む呼出中継信号を前記複数の携帯表示機へ送信し、
前記携帯表示機は、前記受信機から受信した前記呼出中継信号の内、前記自分が所属するグループを指定した前記呼出中継信号に含まれる前記呼出枠情報に基づき前記呼出枠を表示する
ことを特徴とする呼出システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の呼出システムに於いて、
前記モニタ部及び前記携帯表示機に表示される前記呼出枠は、呼出元となる前記呼出機を示す所定の呼出元名、呼出先となる前記携帯表示機が所属する前記グループを示す所定のグループ名、前記呼出信号を受信したときからの経過時間を含むことを特徴とする呼出システム。
【請求項4】
請求項1乃至3何れかに記載の呼出システムに於いて、
複数の所定グループに所属するようにグループ分けされた前記携帯表示機は、前記受信機から受信した自分の所属するグループを指定した複数の前記呼出中継信号に含まれる前記呼出枠情報に基づき前記呼出枠を表示することを特徴とする呼出システム。
【請求項5】
請求項1乃至4何れかに記載の呼出システムに於いて、
前記受信機の前記テーブル情報は、更に、前記呼出機又は前記呼出機の前記呼出釦に対応して優先表示指示が設定されており、
前記受信機は、前記優先表示指示が設定された前記呼出機又は前記呼出機の前記呼出釦から前記呼出信号を受信した場合、当該優先表示指示に対応した呼出枠を前記モニタ部の所定の先頭位置に表示させるとともに、前記携帯表示機へ前記呼出中継信号を送信して前記優先表示指示に対応した呼出枠を所定の先頭位置に表示させることを特徴とする呼出システム。
【請求項6】
請求項1乃至5何れかに記載の呼出システムに於いて、
前記受信機の前記テーブル情報のうち、前記呼出機又は前記呼出機の前記呼出釦の一部は、前記グループとの対応関係が設定されていなく呼出取消指示が設定されており、
前記受信機は、前記呼出取消指示が設定された前記呼出機又は前記呼出機の前記呼出釦から前記呼出信号を受信した場合、当該呼出取消指示に対応した前記呼出枠情報を取消して前記モニタ部から当該取消した呼出枠情報に対応した前記呼出枠を消去し、
当該取消した前記呼出枠情報を除く前記呼出中継信号の送信により、前記携帯表示機での当該取消した呼出枠情報に対応した前記呼出枠を消去させることを特徴とする呼出システム。
【請求項7】
請求項1乃至6何れかに記載の呼出システムに於いて、
前記携帯表示機は、所定の呼出取消操作を検出した場合に、当該呼出取消操作に対応した前記呼出枠情報を取消して当該取消した呼出枠情報に対応した前記呼出枠を消去するとともに、当該呼出枠情報の取消を示す呼出取消通知信号を前記受信機へ送信し、
前記受信機は、前記携帯表示機から前記呼出取消通知信号を受信したときに、該当する前記呼出枠情報を取消して当該取消した呼出枠情報に対応した前記呼出枠を消去するとともに、当該取消した呼出枠情報に対応した履歴枠情報を生成して記憶することを特徴とする呼出システム。
【請求項8】
請求項1乃至7何れかに記載の呼出システムに於いて、
前記履歴枠情報は、呼出元となる前記呼出機を示す所定の呼出元名、呼出先となる前記携帯表示機が所属する前記グループを示す所定のグループ名、呼出の対応完了時刻、呼出に対応した前記携帯表示機の所有者氏名を含むことを特徴とする呼出システム。
【請求項9】
請求項7又は8記載の呼出システムに於いて、
前記携帯表示機は、
呼出中釦と履歴釦を備え、
前記呼出中釦が操作されたときに、前記呼出中継信号を受信してから取消前までの前記呼出枠情報に基づく前記呼出枠を表示し、
前記履歴釦が操作されたときに、前記履歴枠情報を前記受信機から取得して消去された前記呼出枠に対応した履歴枠を表示する
ことを特徴とする呼出システム。
【請求項10】
請求項1乃至9何れかに記載の呼出システムに於いて、
前記受信機の前記テーブル情報のうち、前記呼出機又は前記呼出機の前記呼出釦の一部は、前記グループとの対応関係が設定されていなく前記呼出機又は前記呼出機の呼出釦の無効指示が設定されおり、
前記受信機は、前記呼出釦の無効指示が設定された前記呼出機又は前記呼出機の前記呼出釦から前記呼出信号を受信した場合、当該呼出信号に基づく処理を無効化することを特徴とする呼出システム。
【請求項11】
請求項1乃至10何れかに記載の呼出システムに於いて、
前記受信機の前記テーブル情報は、更に、前記呼出機又は前記呼出機の前記呼出釦に対応した前記呼出枠の表示色および呼出音が設定されており、
受信機は、前記表示色および前記呼出音が設定された前記呼出機又は前記呼出機の前記呼出釦から前記呼出信号を受信した場合、前記テーブル情報から取得した前記表示色により前記呼出枠を表示するとともに前記テーブル情報から取得した呼出音を出力することを特徴とする呼出システム。
【請求項12】
請求項1乃至11何れかに記載の呼出システムに於いて、
前記複数の呼出機と前記受信機は第1の無線ネットワークを介して接続され、
前記受信機と前記複数の携帯表示機は第2の無線ネットワークを介して接続されることを特徴とする呼出システム。
【請求項13】
請求項12記載の呼出システムに於いて、
前記第1の無線ネットワークは所定の特定小電力通信での1のチャンネル周波数を使用して前記複数の呼出機から前記受信機へ前記呼出信号を送信し、
前記第2の無線ネットワークは所定の無線式ローカルエリアネットワークを使用して前記受信機と前記複数の携帯表示機の間で信号を送受信することを特徴とする呼出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場の組立ライン等に配置した呼出機の呼出操作による作業の進行等に必要な呼出表示を受信機及び携帯表示機側で行って対応する呼出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の量産等を行う工場にあっては、ベルトコンベアー等により組立ラインを流れてくる機器に、組立ラインの各工程に配置されている作業者が部品の取付け、加工、検査等の一連の流れ作業を行うライン生産方式を採用している。
【0003】
このようなライン生産方式にあっては、製品の生産効率を高めるために、組立ラインの各工程に配置されている作業者に対する部品の供給や点検修理といった支援を円滑に行う必要があり、組立ラインの作業者が生産ラインの管理者、部品供給や点検修理等の担当者等を呼出して支援を求める呼出システムを構築している。
【0004】
従来の呼出システムは、組立ラインに配置した呼出機の呼出操作による呼出信号を受信機で受信し、受信機のモニタ装置に呼出操作に対応した呼出内容を表示している。例えば組立ラインで部品が不足しそうな場合や作業機材の故障等のトラブルが発生した場合、作業者は部品不足やトラブル発生等に対応した呼出機の操作を行って呼出信号を受信機へ送信し、受信機で呼出音を出力するとともに部品不足やトラブル発生等の呼出操作があったことを呼出順に並べてモニタ装置に表示し、生産ラインの管理者、部品供給や点検修理等の担当者がモニタ装置の呼出表示を確認して、必要とする対応を迅速且つ適切に行うようにしている。
【0005】
また、従来の呼出システムで使用している呼出機は電池電源で動作しており、定期的な充電や交換を必要とするために維持管理が大変であることから、近年にあっては、スイッチ操作に伴う電磁誘導式の自己発電により呼出信号を送信する電池レスの呼出機の普及も進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-168138号公報
【特許文献2】特開2015-061227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の呼出システムにあっては、呼出機の操作による呼出内容を、遠くから確認可能なサイズの画面をもつ受信機のモニタ装置に一括して表示しており、生産ラインの管理者、部品供給や点検修理等の担当者等は、一括に表示されているモニタ装置の呼出表示の中から、自分に関係する呼出表示を見分けて対応する必要があることから、対応するにあたりモニタ装置の呼出表示を確認しなくてはいけなく、また呼出表示の数が多い場合は確認に手間と時間がかかり、作業負担が大きいという問題がある。また、管理者、担当者によっては、複数の工程を担当する場合があり、自分の担当する複数の工程に対する呼出表示を確認して対応することから、作業負担はさらに大きくなる問題がある。
【0008】
この問題を解決するため、支援部門の担当者にスマートフォン等の携帯表示機を持たせ、受信機のモニタ装置に表示している呼出表示を携帯表示機へ送信して表示させ、呼出先となる管理者、担当者の手元で呼出表示を確認できるようにすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、モニタ装置での確認を不要とし、携帯表示機により手元で呼出表示を確認できるようにしても、モニタ装置に表示している呼出表示と同様に自分に関係する呼出表示と関係しない呼出表示が混在して表示されるため、その中から自分に関係する呼出表示を調べ、必要な対応を行う必要があり、呼出表示の数が多い場合の確認にかかる手間と時間は解消されていなく、またモニタ装置よりも小さい画面にて確認するため見落とす懸念もある。
【0010】
この問題を解消するためには、呼出元となる複数の呼出機と呼出先となる複数の携帯表示機をグループ分けし、例えば、同じグループに属する呼出機と携帯表示機に同じグループアドレスを設定し、呼出機から自己のグループアドレスを含む呼出信号を送信し、携帯表示機は自己の所属するグループアドレスの呼出信号のみを受信して呼出表示することで、他のグルーブの呼出表示に影響されることなく、自分に関係する呼出表示を確認して迅速に対応できる。
【0011】
しかし、呼出機が、スイッチ操作による瞬時的な電磁誘導式の自己発電により呼出信号を送信する電池レスの呼出機の場合は、発電電力が微弱であることから、例えば1msといった短時間しか呼出信号を送信することができず、送信する呼出信号のデータ量は制約されており、送信データは、例えば送信機アドレス、呼出機モデル番号、釦番号、電波強度、チェックサム、デミリタ(区切符号)で構成されており、これに加えて自分の所属するグループアドレスを設定すると、データ長が長くなり、送信途中で発電電力が不足して正常な呼出信号の送信ができない場合がある。
【0012】
また、呼出機に設定するグループアドレスは、組立ラインの変更や担当変更などに伴い必要に応じて変更する必要がある。しかし、電池レスの呼出機はスイッチ操作に伴う瞬時的な発電電力しか得られないため、製造段階で設定したグループアドレスを運用中にその場で直ぐに変更することができず、変更するには製造段階で設定したときと同様の設備を用意する必要がある。このため、グループ分けの変更に伴い、変更後のグループアドレスを設定した新たな呼出機を準備して置き換えるか、或いは、グループアドレスの再設定のための設備を用意する必要があり、運用コストが嵩むことになる。
【0013】
また、呼出機と携帯表示機をグループ分けする別の手法として、グループ毎に異なるチャンネル周波数を割り当てることも考えられる。しかし、必ずしも行われるとは限らないグループ変更に対応できるように呼出機にチャンネル周波数を切替え選択する機能を予め設けておくことは、呼出機の構成を複雑にしてコストが嵩むことになる。
【0014】
本発明は、呼出機から呼出信号を送信して、受信機及び携帯受信機で呼出表示を行う場合に、呼出機にコストを掛けることなくグループ分けを可能とし、携帯表示機には必要とするグループの呼出表示のみを表示することを可能し、運用コストを掛けることなくグループ分けの変更も簡単に対応可能とする呼出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(呼出システム1)
本発明は、複数の呼出機、モニタ部を備えた受信機、及び、複数の携帯表示機で構成された呼出システムであって、
複数の携帯表示機は、複数のグループにグループ分けされており、
呼出機は、呼出釦の操作に伴う瞬時的な電磁誘導発電で動作して所定の呼出信号を受信機へ送信し、
受信機は、呼出元となる呼出機と呼出先となるグループとの対応関係を設定したテーブル情報を備え、呼出機から受信した呼出信号に基づき所定の呼出内容を表示するための呼出枠情報を生成してモニタ部に所定の呼出内容である呼出枠を表示するとともに、テーブル情報に基づいて当該呼出信号を送信した呼出元の呼出機に対応した呼出先のグループを指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号を複数の携帯表示機へ送信し、
携帯表示機は、受信機から受信した呼出中継信号の内、自分の所属するグループを指定した呼出中継信号に含まれる呼出枠情報に基づき呼出枠を表示する
ことを特徴とする。
【0016】
(呼出システム2)
本発明は、複数の呼出機、モニタ部を備えた受信機、及び、複数の携帯表示機で構成された呼出システムであって、
複数の携帯表示機は、複数のグループにグループ分けされており、
呼出機は、複数の呼出釦を備え、呼出釦の何れかの操作に伴う瞬時的な電磁誘導発電で動作して、所定の呼出信号を受信機へ送信し、
受信機は、呼出元となる呼出機の呼出釦と呼出先となるグループとの対応関係を設定したテーブル情報を備え、呼出機から受信した呼出信号に基づき所定の呼出内容を表示するための呼出枠情報を生成してモニタ部に所定の呼出内容である呼出枠を表示すると共に、テーブル情報に基づいて当該呼出信号を送信した呼出元の呼出機の呼出釦に対応した呼出先のグループを指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号を複数の携帯表示機へ送信し、
携帯表示機は、受信機から受信した呼出中継信号の内、自分の所属するグループを指定した呼出中継信号に含まれる呼出枠情報に基づき呼出枠を表示する
ことを特徴とする。
【0017】
(呼出枠の内容)
モニタ部及び携帯表示機に表示される呼出枠は、呼出元となる呼出機を示す所定の呼出元名、呼出先となる携帯表示機が所属するグループを示す所定のグループ名、呼出信号を受信したときからの経過時間を含む。
【0018】
(携帯表示機の複数グループ所属)
複数の所定グループに所属するようにグループ分けされた携帯表示機は、受信機から受信した自分の所属するグループを指定した複数の呼出中継信号に含まれる呼出枠情報に基づき呼出枠を表示する。
【0019】
(呼出枠の優先表示)
受信機のテーブル情報は、更に、呼出機又は呼出機の呼出釦に対応して優先表示指示が設定されており、
受信機は、優先表示指示が設定された呼出機又は呼出機の呼出釦から呼出信号を受信した場合、当該優先表示指示に対応した呼出枠をモニタ部の所定の先頭位置に表示させるとともに、端末表示機へ呼出中継信号を送信して優先表示指示に対応した呼出枠を所定の先頭位置に表示させる。
【0020】
(呼出取消)
受信機のテーブル情報のうち、呼出機又は呼出機の呼出釦の一部はグループとの対応関係が設定されていなく、呼出取消指示が設定されており、
受信機は、呼出取消指示が設定された呼出機又は呼出機の呼出釦から呼出信号を受信した場合、当該呼出取消指示に対応した呼出枠情報を取消してモニタ部から当該取消した呼出枠情報に対応した呼出枠を消去させ、
当該取消した呼出枠情報を除いた呼出中継信号の送信により、携帯表示機での当該取消した呼出枠情報に対応した呼出枠を消去させる。
【0021】
(携帯表示機での呼出取消)
携帯表示機は、所定の呼出取消操作を検出した場合に、当該呼出取消操作に対応した呼出枠情報を取消して当該取消した呼出枠情報に対応した呼出枠を消去するとともに、当該呼出枠情報の取消を示す呼出取消通知信号を受信機へ送信し、
受信機は、携帯表示機から呼出取消通知信号を受信したときに、該当する呼出枠情報を取消して当該取消した呼出枠情報に対応した呼出枠を消去するとともに、当該取消した呼出枠情報に対応した履歴枠情報を生成して記憶する。
【0022】
(履歴枠情報の内容)
履歴枠情報は、呼出元となる呼出機を示す所定の呼出元名、呼出先となる携帯表示機が所属するグループを示す所定のグループ名称、呼出の対応完了時刻、呼出に対応した携帯表示機の所有者氏名を含む。
【0023】
(携帯表示機の呼出中釦と履歴釦)
携帯表示機は、
呼出中釦と履歴釦を備え、
呼出中釦が操作されたときに、呼出中継信号を受信してから取消前までの呼出枠情報に基づく呼出枠を表示し、
履歴釦が操作されたときに、履歴枠情報を受信機から取得して消去された呼出枠に対応した履歴枠を表示する。
【0024】
(呼出釦の無効指示)
受信機のテーブル情報のうち、呼出機又は呼出機の呼出釦の一部はグループとの対応関係が設定されていなく、呼出機又は呼出機の呼出釦の無効指示が設定されており、
受信機は、呼出釦の無効指示が設定された呼出機又は呼出機の呼出釦から呼出信号を受信した場合、当該呼出信号に基づく処理を無効化する。
【0025】
(テーブル情報の追加登録情報:表示色と呼出音)
受信機のテーブル情報は、更に、呼出機又は呼出機の呼出釦に対応した表示色および呼出音が設定されており、
受信機は、表示色および呼出音が設定された呼出機又は呼出機の呼出釦から呼出信号を受信した場合、テーブル情報から取得した表示色により呼出枠を表示するとともにテーブル情報から取得した呼出音を出力する。
【0026】
(無線ネットワーク)
複数の呼出機と受信機は第1の無線ネットワークを介して接続され、
受信機と複数の携帯表示機は第2の無線ネットワークを介して接続される。
【0027】
(無線ネットワークの詳細)
第1の無線ネットワークは所定の特定小電力通信での1のチャンネル周波数を使用して複数の呼出機から受信機へ呼出信号を送信し、
第2の無線ネットワークは所定の無線式ローカルエリアネットワーク(無線LAN)を使用して受信機と複数の携帯表示機の間で信号を送受信する。
【発明の効果】
【0028】
(呼出システム1の効果)
本発明の呼出システム1によれば、呼出先となるグループに所属する複数の携帯表示機を、例えば組立ラインの作業者に対し部品供給や保守点検等を行う異なる担当部門ごと分けてグループ化し、受信機で呼出元となる呼出機と呼出先となるグループとの対応関係を登録し、受信機で呼出機から呼出信号の受信に基づき所定の呼出内容を表示するための呼出枠情報を生成して所定の呼出内容である呼出枠を表示するとともに、呼出先のグループを指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号を複数の携帯表示機へ送信することで、受信機では全ての呼出信号に対応する呼出枠を表示するが、携帯表示機では自分の所属しているグループを指定した呼出中継信号に対応した呼出枠のみが表示され、自分が所属していない他のグループの呼出枠は表示されず、携帯表示機を所持している担当者は、自分の所属するグループへの呼出を簡単且つ容易に確認して迅速且つ適切に対処することができる。
【0029】
(呼出システム2の効果)
また、本発明の呼出システム2にあっては、前述した呼出システム1と同じ基本的な効果に加え、呼出機が複数の呼出釦を備えることから、呼出機の呼出釦ごとに、受信機で呼出元となる呼出機の呼出釦と呼出先となるグループとの対応関係をテーブル情報として設定しておくことで、同じ呼出機であっても、複数の呼出釦によって、異なるグループに属する携帯表示機の呼出を行うことができ、例えば、組立ラインにいる作業者は、部品不足や作業機材の不具合等の呼出先の異なる状況の発生に対し、同じ呼出機に設けた別々の呼出釦の操作により、呼出釦に対応付けられた特定のグループに属する携帯表示機に対してのみ呼出を行うことができ、呼出を受けたグループに所属する担当者は、他のグループに対する呼出に妨げられることなく、自分の所属するグループに対する呼出のみを持参している携帯表示機で確認し、迅速且つ適切に、作業側からの呼出に対応することができる。
【0030】
(呼出枠の内容による効果)
また、受信機及び携帯表示機により表示される呼出枠は、呼出元となる呼出機を示す所定の呼出元名(例えば組立ライン名)、呼出先となる携帯表示機の所属するグループを示す所定のグループ名(例えば〇〇グループ、〇〇部門)、呼出信号を受信したときからの経過時間(例えば現在時刻からどのくらい前に呼出信号を受信したかを示す例えば「〇分前」といった時間)を含むことから、呼出先の担当者等は、受信機のモニタ部又は持参している携帯表示機に表示された呼出枠から呼出場所、呼出内容、呼出がいつ行われたかといった呼出状況を適確に捉えて呼出に対応することができる。
【0031】
(携帯表示機の複数グループ所属の効果)
また、複数の所定グループに所属するようにグループ分けされた携帯表示機は、受信機から受信した自分の所属するグループを指定した複数の呼出枠情報に基づく呼出枠を表示することで、例えば、組立ラインの全体の状況を管理者や複数のグループを担当する担当者にあっては、簡単に、自分が担当している複数のグループに対する呼出を1台の携帯表示機に表示して確認することができる。
【0032】
(呼出枠の優先表示による効果)
また、受信機のテーブル情報に、緊急呼出等の重要度の高い呼出機又は呼出釦に対応して優先表示指示を設定しおくことで、例えばモニタ部に既に複数の呼出枠を呼出順に並べて表示している状態で、優先表示指示が設定された呼出機又は呼出機の呼出釦から呼出信号を受信すると、優先表示指示に対応した呼出枠が既に表示している呼出枠の先頭位置に優先して表示され、携帯表示機でもモニタ部の表示と連動して表示され、携帯表示機を所持している担当者は、緊急呼出等の重要度の高い呼出を知って迅速な対応を行うことを可能とする。
【0033】
(呼出取消の効果)
また、受信機のテーブル情報のうち、呼出機又は呼出機の呼出釦の一部はグループとの対応関係が設定されていなく、呼出取消指示が設定されていることで、呼出機又は呼出機の設けた複数の呼出釦の内の一部を呼出取消釦として機能させることができ、例えば呼出に対し担当者が対応したときに作業者は呼出取消釦を操作することで、既に受信機及び携帯表示機側で呼出中で表示されている呼出枠を簡単に消去することができる。
【0034】
(端末表示機での呼出取消の効果)
また、携帯表示機での呼出表示は、所定の呼出取消操作より呼出枠情報を取消して呼出枠を消去することができ、例えば、呼出を受けた担当者は呼出元に出向くなどして対応が済んだときに、自分の携帯表示機での呼出取消操作により簡単に対応済みの呼出枠を消去することできる。また、携帯表示機での呼出取消操作に連動して受信機での呼出枠情報を取消してモニタ部の呼出枠を消去し、併せて、取消した呼出枠情報に対応する履歴枠情報を自動的に生成して記憶することができる。
【0035】
(履歴枠情報の内容による効果)
また、履歴枠情報は、取り消された呼出枠情報に対応した呼出元となる呼出機を示す所定の呼出元名(例えば、組立ライン名等)、呼出先となる携帯表示機の所属するグループを示す所定のグループ名(例えば〇〇グループ、〇〇部門)に加え、取消に伴う追加情報として、呼出に対する対応完了時刻、対応した担当者氏名を含み、呼出表示に対し誰がどのように対応したかを簡単且つ容易に把握可能とする。
【0036】
(携帯表示機の呼出中釦と履歴釦の効果)
また、携帯表示機は、呼出中釦と履歴釦を画面表示等により備えており、通常は呼出中釦を操作することで、呼出中継信号を受信してから消去前の呼出枠を表示しており、一方、必要に応じて履歴釦を操作することで、消去された対応済みの呼出枠情報に対応した履歴枠情報を履歴枠として表示し、対応の済んだ過去の呼出とその対応状況の確認等が簡単にできる。
【0037】
(呼出釦無効指示の効果)
また、受信機のテーブル情報のうち、呼出機又は呼出機の呼出釦の一部はグループとの対応関係が設定されていなく、呼出機又は呼出機の呼出釦の無効指示が設定されていることで、使用しない呼出機又は呼出釦を誤操作しても、当該操作は無効化され、誤操作による混乱を防ぐことが出来る。
【0038】
(テーブル情報の追加登録内容による効果)
また、受信機のテーブル情報は、更に、呼出機又は呼出機の呼出釦に対応した呼出枠の表示色および呼出音が設定されており、表示色および呼出音が設定された呼出機又は呼出機の呼出釦から呼出信号を受信した場合、テーブル情報から取得した表示色により呼出枠を表示すると共にテーブル情報から取得した呼出音を出力することで、受信機及び携帯表示機で表示する呼出枠を、簡単に、見分けしたり、聞き分けたりすることを可能とする。
【0039】
(無線ネットワークの効果)
また、複数の呼出機と受信機は第1の無線ネットワークを介して接続され、受信機と複数の携帯表示機は第2の無線ネットワークを介して接続され、第1の無線ネットワークは所定の特定小電力通信での1のチャンネル周波数を使用して複数の呼出機から受信機へ呼出信号を送信し、第2の無線ネットワークは所定の無線式ローカルエリアネットワーク(無線LAN)を使用して受信機と複数の携帯表示機の間で信号を送受信することで、例えば、第1の無線ネットワークは920MHz帯の特定小電力通信の1チャンネルを使用することで、全ての呼出機のチャンネル周波数が同じとなり、呼出釦の操作に伴う瞬時的な電磁誘導発電で動作して呼出信号を送信する呼出機の構成を簡単にしてコストを低減可能とする。また、第2の無線ネットワークは、携帯表示機として使用するスマートフォンが備えた例えばWiFi(登録商標)などの公知の無線LANや、Bluetooth(登録商標)などの公知の近距離無線通信を利用することで、簡単且つ確実な受信機と携帯表示機との間の無線回線による通信接続を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】呼出システムによる呼出表示の例を示した説明図である。
【
図3】呼出システムの機能構成の実施形態を示した説明図である。
【
図4】受信機のテーブル情報を示した説明図である。
【
図5】呼出信号、呼出中継信号及び呼出取消通知信号の形式を示した説明図である。
【
図7】モニタ画面に表示する呼出数に対応した呼出枠の配置を示した説明図である。
【
図8】
図7に続く呼出枠の配置を示した説明図である。
【
図10】携帯表示機の設定情報を示した説明図である。
【
図11】携帯表示機のディスプレイ画面に表示する呼出枠と操作釦を示した説明図である。
【
図12】呼出機の呼出操作に伴う受信機及び携帯表示機での呼出動作を示したタイムチャートである。
【
図13】
図12に続いて呼出機で行った呼出取消操作に伴う受信機及び携帯表示機での呼出取消動作を示したタイムチャートである。
【
図14】携帯表示機での呼出取消操作に伴う受信機での呼出取消動作を示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明に係る呼出システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0042】
[実施形態の基本的な概念]
実施形態は、概略的に、呼出システムに関するものである。呼出システムとは、工場の組立ライン等についている作業者が、呼出機の呼出操作を行ったときに、受信機及び携帯表示機で呼出表示を行って、呼出先の担当者等により作業の進行等に必要な対応を行わせるためのシステムをいう。ここで、「呼出表示」とは、受信機や携帯表示機に所定の呼出内容を示す情報を表示することを意味し、呼出表示の種類や形態は任意であるが、本実施形態にあっては、所定の呼出内容を示す「呼出枠情報」に基づき受信機や携帯表示機に「呼出枠」を表示することを意味する。
【0043】
本実施形態の呼出システムは、複数の呼出機、モニタ部を備える受信機、及び、複数の携帯表示機で構成されるものである。
【0044】
「呼出機」とは、例えば、組立ラインの各工程に配置されている作業者の近傍に配置され、呼出釦の操作に伴う瞬時的な電磁誘導発電で動作して、呼出信号を受信機へ送信するものであり、呼出釦の数は複数でもよく、その数は任意である。ここで「電磁誘導発電」とは、呼出釦の操作に伴う機械的な動きにより、例えば誘導コイルと永久磁石とを相対移動させ、誘導コイルを通る磁束の変化により電気エネルギーを発電するものであり、自己発電となることから、電池電源を必要としない所謂電池レスの呼出機を実現するものである。
【0045】
また、「呼出信号」とは、呼出機の呼出釦が操作されたことを示す信号であり、呼出信号の信号形式は任意であるが、呼出機又は呼出機の呼出釦を識別可能とする情報が含むものである。呼出機を識別可能とする情報としては、例えば各々呼出機に設定されたアドレス等があり呼出機の呼出釦を識別可能とする情報としては、例えば操作された呼出釦を示す呼出釦番号等がある。ここで、「呼出釦番号」とは、操作された呼出釦を識別するための番号であるが、番号に限定されるものではなく、識別子、識別コード、識別符号、アドレス等を含む概念である。なお、呼出信号は呼出釦番号を含むことで呼出元を特定する情報を含む信号であるが、呼出先を特定する情報は含まず、呼出先の特定は、後述する受信機で行われるものである。
【0046】
「受信機」とは、複数の携帯表示機が複数のグループにグループ分けされていることを前提に、呼出元となる呼出機と呼出先となるグループとの対応関係、又は呼出元となる呼出機の呼出釦と呼出先となるグループとの対応関係を設定したテーブル情報を備えており、呼出機が受信した呼出信号に基づくテーブル情報の参照により所定の呼出内容、例えば、呼出元名、呼出先グループ名などを表示するための呼出枠情報を生成してモニタ部に呼出枠を表示し、呼出先のグループを指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号を生成して複数の携帯表示機へ送信するものである。
【0047】
ここで、「呼出先のグループを指定した呼出枠情報」とは、呼出先のグループを識別するための情報である「呼出先グループ」を含んだ呼出枠情報であり、「呼出先グループ」とは、グループアドレス、グループ名、識別子、識別コード、識別符号等を含む概念である。
【0048】
また、「テーブル情報」とは、呼出機ごとに登録される情報であり、例えば呼出元名、呼出釦番号、呼出先グループとの対応関係を登録したテーブル情報であり、ルックアップテーブルを含む概念であり、またテーブル形式に限定されず、対応関係を登録する適宜の情報形式を含むものである。また、「呼出枠情報」とは、呼出機からどのような呼出があったかの呼出内容を表示するための情報であり、例えば呼出機を設置した組立ライン等の呼出元名、呼出先を示すグループ名、呼出からの経過時間等を、例えば、一つの呼出枠(表示枠)にまとめてモニタ部に画面表示する呼出枠画像データを含む情報である。また、テーブル情報には、例えば呼出釦番号に対応して表示色や呼出音の種類が予め登録されており、モニタ装置での呼出枠の表示がテーブル情報に基づく表示色で行われ、また、テーブル情報に基づく呼出音の出力がモニタ部から行われるものである。
【0049】
また、受信機のテーブル情報には、呼出機又は呼出機の呼出釦、例えば呼出機の呼出釦番号に対応して優先表示指示が予め登録され、呼出機から受信した呼出信号に含まれる呼出釦番号に対応する優先表示指示をテーブル情報から取得した場合、優先表示指示に対応する呼出枠をモニタ部の所定の先頭位置に表示し、これに連動して端末表示機でも優先表示指示に対応した呼出枠が所定の先頭位置に表示されるものである。
【0050】
また、「モニタ部」とは、呼出機からどのような呼出があったかの呼出内容(呼出枠)を表示するものであり、例えば受信機に接続されるモニタ装置や、受信機自体に備わるモニタ等を含む概念である。
【0051】
「携帯表示機」とは、例えば呼出機を配置した組立ライン等に対する不足した部品の供給や不具合の発生に対し保守点検等の支援を行う部門の担当者が携帯する携帯表示機であり、一例として、スマートフォン等のディスプレイ付きの携帯機器であり、担当者の所属するグループを予め選択して登録することでグループ分けされており、受信機から呼出中継信号を受信したときに、自分の所属する呼出先のグループを指定した呼出中継信号に含まれる呼出枠情報に基づきディスプレイに呼出枠を表示するものである。携帯表示機では所属するグループの1又は複数のグループ選択登録を可能とする。また、携帯表示機には、1又は複数のグループを選択登録する以外に、例えば、全てのグループを一括して選択登録する機能も設けられる。
【0052】
一方、受信機は、呼出機又は呼出機に設けた複数の呼出釦の一部を、呼出を取り消すため呼出取消釦として機能させることができる。このため、受信機のテーブル情報には、呼出取消釦として使用する呼出機又は呼出機の呼出釦、例えば呼出釦番号に対応して呼出取消指示が予め登録されており、受信した呼出信号の呼出釦番号によるテーブル情報の参照で呼出取消指示を取得すると、該当するモニタ部の呼出枠情報を取消して呼出枠を消去し、消去した呼出枠に対応する呼出枠情報を除いた呼出中継信号が携帯表示機へ送信することで、端末表示機での更新表示により取消対象となった呼出枠が消去される。なお、呼出取消指示は、呼出取消コマンド又は呼出取消命令の概念を含むものである。
【0053】
ここで、受信機はモニタ部に呼出枠の表示するともに、同じ呼出枠を受信機に接続中の1又は複数の携帯表示機に表示しており、モニタ部で呼出枠の追加、変更、消去が行われると、これに連動して携帯表示機で呼出枠の追加、変更、消去が行われるものである。このように受信機によりモニタ部と1又は複数の携帯表示機での呼出枠の表示を連動させる表示制御は、例えば所謂1対nの画面表示のミラーリング、画面表示の同期、又は、画面表示の共有といった概念を含むものである。
【0054】
また、担当者が呼出に対応した際に、携帯表示機で呼出取消操作を行うものであり、所定の呼出取消操作により携帯表示機で呼出枠情報を取消して呼出枠を消去した場合には、呼出取消通知信号を受信機へ送信して該当する呼出枠情報を取消して呼出枠を消去し、併せて、履歴枠情報を生成して記憶させるものである。また、携帯表示機の操作で呼出枠情報を取消した際に記憶された履歴枠情報は、必要に応じて携帯表示機で閲覧することができるものである。
【0055】
また、呼出機又は呼出機に設けた複数の呼出釦の内、使用していない呼出機又は呼出釦がある場合、受信機は、使用しない呼出機又は呼出釦を無効として機能させることができる。このため、受信機のテーブル情報には、使用しない呼出機又は呼出機の呼出釦、例えば呼出釦の呼出釦番号に対応して呼出釦無効指示が予め登録されており、受信した呼出信号の呼出釦番号によるテーブル情報の参照で呼出無効釦指示を取得すると、処理を無効化して何も行わないようにする。なお、呼出釦無効指示は、呼出釦無効コマンド又は呼出釦無効命令の概念を含むものである。
【0056】
また、複数の呼出機と受信機は第1の無線ネットワークを介して接続され、受信機と複数の携帯表示機は第2の無線ネットワークを介して接続されるものである。ここで、「第1の無線ネットワーク」とは、所定の特定小電力通信の1のチャンネル周波数を使用して複数の呼出機から呼出信号を受信機へ送信するものであり、例えば、920MHz帯の特定小電力通信の1のチャンネル周波数を使用するものである。また、「第2の無線ネットワーク」とは、所定の無線式のローカルエリアネットワーク(無線LAN)や近距離無線ネットワークを使用して受信機と複数の端末表示機のあいだで信号を送受信するものであり、例えば、携帯表示機として使用するスマートフォンに設けられたWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線ネットワークを含む概念である。
【0057】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す実施形態では、複数の呼出機が工場の組立ラインに配置されており、複数の端末表示機がグループG1とグループG2にグループ分けされており、呼出機に4個の呼出釦が設けられた場合について説明する。
【0058】
[実施形態の具体的内容]
実施形態の具体的内容について、以下のように分けて説明する。
a. 呼出システムの概要
b. グループ分けと呼出表示
c. 呼出システムの構成
d. 呼出機
e. 受信機
e1. 呼出制御部
e2. テーブル情報
e3. 呼出枠による呼出表示
e4. サーバ部
e5. 履歴処理部
f. 携帯表示機
g. 呼出システムの呼出動作
h. 呼出機による呼出取消動作
i. 携帯表示機による呼出取消動作
j. 本発明の変形例
【0059】
[a.呼出システムの概要]
図1は呼出システムの概略を示した説明図であり、工場の組立ラインに適用した場合を例にとっている。本実施形態の呼出システムは、複数の呼出機10、第1の無線ネットワーク14、受信機16、モニタ装置18、第2の無線ネットワーク20及び複数の携帯表示機22、設定装置24及び履歴収集装置26で構成される。なお、設定装置24及び履歴収集装置26は、必要に応じて設けられる構成となる。
【0060】
呼出機10は組立ラインの各工程に配置されている作業者の近傍に配置される。例えば、組立ラインは第1組立ラインL1と第2組立ラインL2で構成される。第1組立ラインL1は、例えば、第1工程L1-1と第2工程L1-2に分けられており、各工程に作業者15a,15bがついており、作業者15a,15bに対応して呼出機10が配置されている。また、第2組立ラインL2も例えば、第1工程L2-1と第2工程L2-2に分けられており、各工程に作業者15c,15dがついており、作業者15c,15dに対応して呼出機10が配置されている。
【0061】
呼出機10は、例えば4つの呼出釦12a,12b,12c,12dを備えている。なお、呼出釦の数は任意である。呼出釦12a~12dの何れかを押込み操作すると内蔵した呼出釦スイッチがオンし、押込み操作に伴う瞬時的な電磁誘導発電による電力を受けて動作し、呼出信号E1を第1の無線ネットワーク14を介して受信機16へ送信する。呼出信号E1には呼出機10に固有な呼出機アドレスと操作した呼出釦を示す呼出釦番号が少なくとも含まれている。
【0062】
受信機16は、呼出機10から送信された呼出信号E1を受信して所定の呼出内容を示す呼出枠情報を生成し、この呼出枠情報に基づきモニタ装置18のモニタ画面に呼出枠を表示するとともにモニタ装置18のスピーカから呼出音を出力し、呼出があったことを示す。また、受信機16は、呼出信号E1の受信に基づき、第2の無線ネットワーク20を介して接続中の携帯表示機22へ呼出先のグループを指定した呼出中継信号E2を送信する。受信機16からの呼出中継信号E2の送信のタイミングは任意であり、例えば、所定周期ごと、或いは、呼出枠の追加、変更、消去等のイベント発生ごとに行われる。
【0063】
ここで、携帯表示機22は、第1及び第2組立ラインL1,L2の作業者15a~15bからの呼出に対し、例えば部品供給を行うグループG1と保守点検を行うグループG2にグループ分けされている。グループG1には担当者25a,25b、25cの3人が所属し、グループG2には担当者25c,25dの2人が所属し、それぞれ携帯表示機22を所持している。なお、担当者25cはグループG1,G2の両方に所属した統括担当者となる。
【0064】
受信機16は、携帯表示機22のグループ分けに対応して、呼出機10のアドレス毎に、呼出機10の設置場所等を示す呼出元名称、携帯表示機22の所属する呼出先のグループG1,G2との対応関係等を、後の説明で明らかにするテーブル情報として予め登録している。例えば、呼出機10における呼出釦12aの呼出釦番号に対応してグループG1を登録し、また、呼出釦12bの呼出釦番号に対応してグループG2を登録している。このため呼出機10の呼出釦12aはグループG1の呼出釦として機能し、呼出釦12bはグループG2の呼出釦として機能することになる。
【0065】
受信機16は、呼出機10からの呼出信号E1を受信すると、テーブル情報の参照で得られた呼出元名称、呼出先グループを含む呼出枠情報を生成してモニタ装置18に呼出枠を表示し、呼出先のグループG1又はG2を指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号E2を、接続中の全ての端末呼出機22へ送信する。
【0066】
携帯表示機22は、例えばスマートフォンであり、自分の所属するグループG1及び又はG2が運用前に予め設定されている。例えば、担当者25a、25bの携帯表示機22にはグループG1が設定され、担当者25cの携帯表示機22にはグループG1及びG2が設定され、担当者25dの携帯表示機22にはグループG2が設定されている。このため携帯表示機22は、受信した呼出中継信号E2に含まれる、自己の所属するグループG1又はG2に一致する呼出先グループG1又はG2を指定した呼出枠情報に基づき、ディスプレイに呼出枠を表示する。これにより受信機16に接続されたモニタ装置18には、グループG1及びG2の全てに対する呼出枠が表示されるが、携帯表示機22には自分の所属するグループG1及び又はG2を指定した呼出枠が表示されることになる。
【0067】
また、受信機16のテーブル情報には、呼出機10における呼出釦12cの呼出釦番号に対応して呼出先グループを全グループの指定とした登録を行うことができる。これにより受信機16は、呼出機10の呼出釦12cを全グループ呼出釦として機能させることができる。
【0068】
また、受信機16のテーブル情報には、呼出機10における特定の呼出釦、例えば緊急度の高い呼出釦の呼出釦番号に対応して「優先表示指示」が登録されている。これにより受信機16は、モニタ装置18に複数の呼出枠を呼出順に表示している状態で、優先表示指示が登録された呼出釦番号を含む呼出信号を受信すると、その呼出枠をモニタ装置18に既に表示している呼出枠の先頭位置に表示させることができる。これに伴い携帯表示機22においても、モニタ装置18の表示に連動して、優先表示指示が登録された呼出釦番号の呼出枠が先頭位置に表示される。
【0069】
また、受信機16のテーブル情報には、呼出機10における呼出釦12dの呼出釦番号に対応して「呼出取消指示」が登録されている。これにより受信機16は、呼出機10の呼出釦12dを呼出取消釦として機能させることができる。例えば、作業者が呼出操作を行った後に、呼出先の担当者による対応が不要となった場合や誤操作した場合などに、呼出機10の呼出釦12dを操作して呼出を取消すことができる。
【0070】
一方、携帯表示機22においても、所定の呼出取消操作により呼出を取消して呼出枠の表示を消去することができる。携帯表示機22による呼出の取消は、呼出を受けた担当者が呼出元に出向いて部品補充や点検修理等の対応が済んだ場合に行う操作であり、この呼出取消操作に伴い、携帯表示機22は第2の無線ネットワーク20を介して受信機16へ呼出取消通知信号E3を送信する。この呼出取消通知信号E3には、対応済みの時刻情報と対応した担当者名などが含まれる。受信機16は、携帯表示機22から呼出取消通知信号E3を受信すると、モニタ装置18に表示中の対応する呼出枠を消去し、併せて、消去した呼出枠に対応した履歴枠情報を生成して記憶する。この履歴枠情報には、呼出元の名称、呼出先のグループ名に加え、対応済み時刻と対応した担当者氏名が含まれる。
【0071】
また、呼出機10に使用しない呼出釦がある場合には、受信機16のテーブル情報には、使用しない呼出釦の呼出釦番号に対応して「呼出釦無効指示」が登録される。これにより受信機16は、呼出機10で使用しない呼出釦を誤って操作したとしても、受信機16側で何の処理も行われない無効呼出釦として機能させることができる。
【0072】
設定装置24は、受信機16に信号ケーブル等で接続され、受信機16に設けたテーブル情報を登録するための操作を行う。このため受信機16は登録用画面を設定装置24にダウンロードするサーバ部を備え、設定装置24はブラウザ部による受信機16から登録用画面をダウンロードし、必要とする登録操作を行う。設定装置24による登録用画面を使用した登録操作は、呼出機10毎に、呼出元名、呼出先グループ名、呼出釦番号に対応した呼出先グループ、全グループ又は呼出取消指示の登録等を含むものである。
【0073】
履歴収集装置26は、受信機16に信号ケーブル等で接続され、定期的に受信機16に記憶している履歴枠情報を読み出して収集し、保存するものである。なお、履歴収集装置26は常時接続とせず、必要な場合に接続してもよい。
【0074】
[b.グループ分けと呼出表示]
次に、
図2を参照してグループ分けに対応した呼出表示の例を簡単に説明する。
図2において、第1組立ラインL1の第1工程L1-1についている作業者15aが部品不足に伴い自分の呼出機10の呼出釦12aを操作してグループG1の呼出しを行うと、呼出信号E1-1が受信機16へ送信される。
【0075】
受信機16は、呼出信号E1-1の受信に基づき、テーブル情報48を参照して、呼出機アドレスに対応した呼出元名、呼出釦番号に対応した呼出先グループG1等を取得して呼出枠情報を生成し、この呼出枠情報に基づきモニタ装置18に呼出枠28-1を表示する。呼出枠28-1には、呼出先のグループG1と呼出元の第1組立ライン第1工程L1-1が示されている。なお、呼出枠28-1には呼出信号E1-1を受信してからの経過時間も表示されるが、省略している。また、受信機16は、呼出先グループG1を指定した呼出枠28-1の呼出枠情報を含む呼出中継信号を生成し、受信機16に接続中の全ての担当者25a~25dの携帯表示機22へ送信する。
【0076】
受信機16から送信されたグループG1を指定した呼出中継信号は全ての担当者25a~25dの携帯表示機22で受信され、グループG1の担当者25a,25b,25cの携帯表示機22は自分の所属するグループG1を指定した呼出枠情報の呼出枠28-1を表示するが、グループG2の担当者25dの携帯表示機22は自分の所属していないグループG1を指定した呼出枠情報の呼出枠28-1は表示しない。
【0077】
続いて、第2組立ラインL2の第1工程L2-1についている作業者15cが機材の故障等に伴い自分の呼出機10の呼出釦12bを操作してグループG2の呼出しを行うと、呼出信号E1-2が受信機16へ送信される。受信機16は、呼出信号E1-2の受信に基づきテーブル情報を参照し、呼出機アドレスに対応した呼出元名、呼出釦番号に対応した呼出先グループG2等を取得して呼出枠情報を生成し、この呼出枠情報に基づきモニタ装置18に呼出枠28-2を表示する。呼出枠28-2には、呼出先のグループG2と呼出元の第2組立ライン第1工程L2-1が表示されている。また、受信機16は、呼出グループG2を指定した呼出枠28-2の呼出枠情報、及び、既に呼出中の呼出グループG1を指定した呼出枠28-1の呼出枠情報を含む呼出中継信号を生成し、受信機16に接続中の全ての担当者25a~25dの携帯表示機22へ送信する。
【0078】
グループG1の担当者25a,25b,25cの携帯表示機22は、受信した呼出中継信号に含まれるグループG1を指定した呼出枠情報の呼出枠28-1をディスプレイに更新表示するが、グループG2を指定した呼出枠情報の呼出枠28-2は表示しない。
【0079】
また、グループG2に属する担当者25c,25cの携帯表示機22は、受信機16から受信した呼出中継信号に含まれる自分の所属するグループG2を指定した呼出枠情報の呼出枠28-2をディスプレイに新たに表示する。この結果、グループG1,G2の両方に所属する担当者25cの端末表示機22には、グループG1を指定した呼出枠情報の呼出枠28-1とグループG2を指定した呼出枠情報の呼出枠28-2の二つが受信順に並べて表示される。
【0080】
[c.呼出システムの構成]
次に、
図3に基づいて、呼出システムを構成する呼出機、受信機及び携帯表示機の構成を、より詳細に説明する。
【0081】
[d.呼出機]
呼出機10は、呼出釦の操作により呼出信号を送信するものであり、その機能、構成及び構造は任意であるが、一例として、
図1に示した複数の呼出釦12a~12dに対応した呼出釦スイッチ30a~30d、呼出釦制御部32、アンテナ35を接続した送信部34および電磁誘導発電部33で構成される。
【0082】
呼出釦スイッチ30a~30dは、呼出釦12a~12dの押込み操作等により接点を閉じてオン信号を出力するものであり、例えば、シーソー構造であり、シーソーの一端を押し込むと他端の接点を閉じてオンし、押し込みを解除するとスプリングの力で戻ってオフとなる。
【0083】
呼出釦制御部32は、呼出釦スイッチ30a~30dの何れかの操作によるオン信号が入力されたときに、所定形式の呼出信号E1を生成して送信部34へ出力する。呼出信号E1の信号形式は任意であるが、例えば、
図4(A)に示すように、呼出機アドレス、呼出釦番号、電波強度、チェックサムCK、区切符号などで構成される。
【0084】
送信部34は、呼出信号をアンテナ35から無線送信するものであり、その通信方式は任意であるが、例えば、特定小電力通信として知られた920MHz帯の割当チャンネルの何れか一つを使用して呼出信号を送信する。なお、920MHz帯以外の特定小電力通信を使用することを妨げない。
【0085】
電磁誘導発電部33は、呼出釦12a~12dによる呼出釦スイッチ30a~30dの何れかのオン操作に伴った瞬時的な電磁誘導発電による発電電力を呼出釦制御部32及び送信部34に供給して動作し、呼出信号を送信するものである。例えば、呼出釦スイッチ30a~30dの何れかのオン操作に伴い、誘導コイルに対し永久磁石を相対移動して誘導コイルを通る磁束を変化させて発電する。電磁誘導発電部33の発電は、動作電力が得られている時間が1ms程度の瞬時的な発電となる。このため呼出釦制御部32及び送信部34の1ms程度の瞬時動作により送信可能な呼出信号の信号長は制約されており、例えば、ボーレートを57.6kbpsとすると20バイト程度に制約されている。
【0086】
[e.受信機]
受信機16は、呼出機10からの呼出信号を受信して所定の呼出内容の呼出枠情報を生成し、この呼出枠情報に基づき接続されたモニタ装置18のに呼出枠を表示すると共にスピーカから呼出音を出力させ、また、携帯表示機22へ呼出先グループを指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号を送信するものであり、その機能および構成は任意であるが、例えば、
図3に示すように、受信機制御部36、アンテナ38を接続した受信部40、及びアンテナ44を接続した送受信部42を備える。なお、例えばモニタ装置との接続はHDMI(登録商標)ケーブルであり、HDMI(登録商標)ケーブルによる接続は、高精度マルチメディアインタフェース(High Definition Multimedia Interface)規格に基づくものであり、画像データ(画像コンテンツ)と音声データの転送ができる。
【0087】
受信部40は、呼出機10から第1の無線ネットワーク14を介して送信された呼出信号を受信するものであり、呼出機10の送信部34と同じ特定小電力通信の920MHz帯の1のチャンネル周波数に対応した受信機能を備えている。
【0088】
送受信部42は、第2無線ネットワーク20を介して各種の信号を送受信するものであり、例えば、無線ルータやアクセスポイントとして機能するものであり、無線LANとなるWiFi(登録商標)や、近距離無線ネットワークとなるBluetooth(登録商標)の通信部で構成されるものである。
【0089】
受信機制御部36は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路であり、CPUによるプログラムの実行により実現される機能として、呼出制御部46、テーブル情報48、サーバ部50及び履歴処理部52を備える。
【0090】
(e1.呼出制御部)
呼出制御部46は、呼出信号E1の受信に基づくテーブル情報48の参照により、呼出機アドレスに対応した呼出元名、呼出釦番号に対応した呼出先グループとグループ名等を取得して呼出枠情報を生成し、モニタ装置18に呼出枠を表示する表示制御を行うものである。また、呼出制御部46は、呼出先グループを指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号E2を生成して携帯表示機22へ送信して呼出枠を表示させる制御を行う。また、呼出制御部46は、呼出釦番号によるテーブル情報48の参照で「呼出取消指示」を取得した場合、モニタ装置18に表示中の呼出枠を消去し、消去した呼出枠の呼出枠情報を除いた呼出中継信号E2を生成して携帯表示機22へ送信して呼出枠を消去させる制御を行う。更に、呼出制御部46は、端末表示機22から受信した呼出取消通知信号E3に基づき呼出枠情報を取消してモニタ装置18の呼出枠を消去する制御を行うものである。
【0091】
ここで、呼出中継信号E2は、任意であるが、例えば、
図4(B)に示すように、受信機アドレス(受信機URL)、接続中の表示機アドレス、1又は複数の表示枠に対応した呼出枠情報等を含む所定形式の信号である。また呼出枠情報には呼出機アドレス、呼出先グループ、呼出枠画像データ等が含まれ、呼出先グループには、テーブル情報48で登録しているG1グループ、G2グループ又は全グループの何れかを含むものである。
【0092】
更に、呼出中継信号E2は繰り返し送信されるものであり、例えば、所定周期ごとに送信され、また、呼出枠の追加、変更、消去等の表示イベントが発生したときに送信され、これにより受信機16に接続したモニタ装置18での呼出枠の表示に連動して携帯表示機22のディスプレイでの呼出枠の更新表示が行われるが、携帯表示機22は自分の所属するグループを呼出先とする呼出枠のみの更新表示となる。
【0093】
(e2.テーブル情報)
テーブル情報48は、呼出機10のアドレスに対応した呼出元名、複数の呼出釦12a~12dに対応した呼出釦番号と呼出先グループとの対応関係などを登録するものであり、そのデータ構造は任意であるが、例えば、
図5に示す一覧形式としている。
【0094】
テーブル情報48は、呼出機アドレス、呼出元名、呼出釦番号、呼出対象、表示優先度、表示色、呼出音等を含むものである。呼出機アドレスは
図1に示した複数の呼出機10を識別するための固有のアドレスである。呼出元名は、呼出機10を設置している場所を示す情報であり、例えば、
図1に示した作業者15a,15bに対応して設置した呼出機10の呼出機アドレスをA1,A2とすると、呼出機アドレスA1の呼出元名は「第1組立ライン第1工程L1-1」とし、呼出機アドレスA2の呼出元名は「第1組立ライン第2工程L1-2」とする。
【0095】
呼出釦番号は、呼出機10に設けた、例えば呼出釦12a~12dに固有な呼出釦番号CB1~CB4を設定するものである。なお、CB1~CB4は、単なる表記であり、実際には、所定のビットコードが設定される。
【0096】
呼出対象は、呼出釦番号CB1~CB4に対応した呼出先グループを指定することを基本とする情報であり、例えば、
図1に示した携帯表示機22のグループG1,G2のグループ分けに対応し、呼出釦番号CB1の呼出先としてグループG1を登録し、呼出釦番号CB2の呼出先としてグループG2を登録している。なお、グループG1,G2はそれぞれに固有なグループアドレスを意味する。
【0097】
また、呼出対象には呼出先グループ以外に、呼出釦番号CB3に対応して「全グループ」を呼出先として登録している。さらに、呼出釦番号CB4に対応して「呼出取消指示」を登録している。これ以外に、使用しない呼出釦の呼出釦番号に対応して「呼出釦無効指示」を登録することも可能である。
【0098】
表示優先度は、モニタ装置18に表示する複数の表示枠を表示する順番を指示するものであり、「通常」又は「優先」を登録する。「通常」とは、通常表示指示であり、複数の表示枠を呼出順に表示する。「優先」とは、優先表示指示であり、既に呼出順に表示している表示枠の先頭に新たに受信した表示枠を表示する。
【0099】
表示色は、モニタ装置18や携帯表示機22に表示する呼出枠の表示色を、例えば、呼出先グループ等に対応して登録するものであり、表示色は任意であるが、例えば、呼出先グループG1の呼出枠は「緑」、呼出先グループG2の呼出枠は「青」、全グループの呼出枠は「赤」とし、更に、「呼出取消指示」の対象となった呼出枠も「赤」としている。これにより同一グループに属する呼出枠であることを同じ表示色によって簡単に見分けることを可能とする。
【0100】
呼出音は、呼出信号を受信したときの報知音の種類を登録するものであり、表示音は任意であるが、例えば、呼出先グループG1は「ピンポーン」、呼出先グループG2は「シャラン」、全グループは「ウィンウィン」とし、更に、「呼出取消指示」も「ピンポーン」としている。これにより同一グループに属する呼出であることを同じ呼出音によって簡単に聞き分けることを可能とする。
【0101】
(e3.呼出枠による呼出表示)
受信機16で呼出信号を受信したときにモニタ装置18に表示する呼出枠28は、その形状や構造は任意であるが、例えば、
図6(A)に示すように、横長の矩形形状であり、上段に呼出先となるグループ名68を配置し、中段に呼出元名70を配置し、さらに、下段に時間情報72として、呼出信号を受信してからの経過時間を配置している。また、呼出枠28の周囲には所定幅の枠取部74が形成され、同じ呼出信号を2回以上受信すると、枠取部74をフリッカ(点滅又は明滅)して、注意を喚起するようにしている。
【0102】
具体的には、
図6(B)に示すように、グループ名68は「部品供給グループ001」であり、呼出元名70は「第1組立ライン第1工程L1-1」であり、時間情報72は例えば「5分前」となる。
【0103】
モニタ装置18に対する呼出枠28の表示は、呼出件数により例えば
図7及び
図8に示すように配置される。なお、呼出枠の表示件数は、1件、2件、4件、7件、12件に分けて行うものであるが、2件の呼出枠表示は図示を省略している。
図7(A)は呼出件数が1件の場合であり、モニタ画面18aの中央に大きなサイズで呼出枠28が一つ表示される。
図7(B)は呼出件数が4件の場合であり、モニタ画面18aに2行2列に4つの呼出枠28が表示され、左上が最新の呼出で、右下が最も古い呼出となる。
図7(C)は呼出件数が7件の場合であり、上段に3件の呼出枠28が左から新しい順に表示され、下段に4件の呼出枠28が少し小さいサイズで4件表示される。更に、
図8は呼出件数が表示限界となる12件の場合であり、3行4列に12件の呼出枠28が表示され、12件を超える13件目以降は、画面のスクロール表示となる。
【0104】
(e4.サーバ部)
サーバ部50は、
図5に示したデーブル情報48の登録操作に必要な登録用画面を備え、
図1に示した設定装置24に設けたブラウザ部により登録用画面をダウンロードして、必要とする登録操作を行わせるものである。
【0105】
(e5.履歴処理部)
履歴処理部52は、携帯表示機22から呼出取消通知信号E3を受信したときに、該当する呼出枠情報を取消してモニタ装置18に表示している呼出枠を消去し、取消した呼出枠情報に対応する履歴枠情報を生成して記憶するものである。履歴処理部52で生成する履歴枠情報の内容は任意であるが、取消した呼出枠情報における呼出機アドレス、呼出元名、呼出先グループ名に加え、履歴追加情報として、呼出先グループの担当者による対応時刻と対応した担当者情報が加えられる。
【0106】
図9(A)は、記憶された履歴枠情報を読出してモニタ装置に表示する履歴枠76の一例であり、
図6に示した呼出枠28に対応してグループ名68と呼出元名70が配置され、これに加え、履歴追加部78として、対応時刻情報80と対応担当者情報82が配置される。
図9(B)は履歴枠76の具体例であり、取消対象となった呼出枠28のグループ名68を例えば「部品供給グループ001」とし、呼出元名70を例えば「第1組立ライン第1工程L1-1」とし、履歴追加部78における対応時刻情報80を例えば「14:35分対応済」とし、対応担当者情報82を例えば「特許太郎」としている。
【0107】
[f.携帯表示機]
携帯表示機22は、グループ分けされた各グループの担当者が所持し、受信機16から受信した呼出中継信号に含まれる、自分の所属する呼出先グループを指定した呼出枠情報を取得して呼出枠を表示又は更新表示するものであり、その機能や構成は任意であるが、例えば、スマートフォンや携帯端末を使用するものであり、表示機制御部54、アンテナ58を接続した送受信部56及びディスプレイ60で構成される。
【0108】
表示機制御部54は、例えばスマートフォンにおけるCPU,メモリ、各種入出力ポート等を備えたコンピュータ回路であり、CPUによるプログラムの実行により実現される表示制御部62、設定部64の機能を備える。
【0109】
表示制御部62は、受信した呼出中継信号に含まれる自分の所属する呼出先グループを指定した呼出枠情報を取得して呼出枠を表示又は更新表示する制御を行う。また、表示制御部62は、担当者の対応済みに伴う呼出取消操作により呼出枠情報を取消して呼出枠を消去し、呼出取消通知信号E3を生成して受信機16へ送信する制御を行うものである。
【0110】
ここで、呼出取消通知信号E3は、
図4(C)に示すように、表示機アドレス(表示機URL)、受信機アドレス(受信機URL)、呼出機アドレス、呼出取消指示等を含む所定形式の信号となる。
【0111】
設定部64は、携帯表示機22に必要な各種の設定を行うものであり、設定内容は任意であるが、例えば、
図10の設定情報84に示すように、担当者の名前等を設定する端末名設定部86、受信機16のアドレスとなるURLを設定する受信機設定部88、呼出音の種類と音量を設定する呼出音設定部90、所属グループを選択して設定するグループ設定部92、携帯表示機自身のアドレスとなるURLを設定する端末情報設定部94、受信機16に設けたサーバ部のウェブページ(登録用ウェブ画面)を設定する受信機設定部96を設けている。
【0112】
ここで、グループ設定部92には、「全て」、「G1グループ」、「G2グループ」に分けてチェックボックスが設けられ、グループG1、G2或いは全グループの設定を選択可能としている。なお、選択可能なグループはG1,G2以外に、G3以降の任意の数のグループを必要に応じて追加することが可能である。
【0113】
送受信部56は、端末表示機22として使用するスマートフォンに設けられている無線LAN又は近距離無線通信の通信部であり、その機能や構成は任意であるが、例えば、受信機16の送受信部42と同様に、無線LANの場合はWiFi(登録商標)の通信部、近距離無線ネットワークの場合はBluetooth(登録商標)の通信部等で構成されるものである。
【0114】
ディスプレイ60は、例えば、タッチパネル付きの液晶カラーディスプレイ又は有機ELカラーディスプレイであり、受信機16からの呼出中継信号の受信するごとに、自分の所属する呼出先クループを指定した1又は複数の呼出枠情報の呼出枠を表示又は更新表示するものである。
【0115】
ディスプレイ画面60aは、
図11(A)に示す横表示と
図11(B)に示す縦表示があり、画面下側に呼出中釦98と履歴釦100が配置されている。呼出中釦98を操作すると呼出中となり、
図11(A)の縦表示では、例えば、呼出中が4件の場合、内2件の呼出枠28を左から右へ新しい順に配置し、3件目の呼出枠28は一部の表示となり、スクロール操作により3件目と4件目の呼出枠28が表示できる。
【0116】
履歴釦100を操作すると履歴の表示に切り替わり、消去した呼出枠に対応した履歴枠情報を受信機16からダウンロードし、
図9に示した履歴枠76を表示するものである。
【0117】
[g.呼出システムの呼出動作]
次に、
図12のタイムチャートを参照して呼出システムの呼出動作を説明する。
図12に示すように、
図1に示した呼出機10の何れかで、作業者が例えば呼出釦12aをオン操作したとすると、ステップS2で呼出釦12aの呼出釦番号CB1を含む呼出信号を受信機16へ送信する。
【0118】
受信機16はステップS3で呼出信号を受信すると、ステップS4でテーブル情報48の参照により、呼出機アドレスに対応した呼出元名、呼出釦番号CB1に対応した呼出先グループG1などを取得し、ステップS5で呼出枠情報を生成して呼出枠をモニタ装置18に表示し、続いて、ステップS6で呼出先グループG1を指定した呼出先情報を含む呼出中継信号を生成し、現在接続中の全ての携帯表示機22へ向けて送信する。なお、モニタ装置18における呼出枠の表示は、表示優先度指示が「通常」の場合は呼出順の表示となり、「優先」の場合は先頭位置への表示となる。
【0119】
グループG1に所属する携帯表示機22は、ステップS7で呼出中継信号を受信し、ステップS8で自分の所属する呼出先グループを指定した呼出枠情報を取得し、ステップS9で呼出枠情報に基づく呼出枠をディスプレイに表示する。
【0120】
その後、受信機16は、ステップS3の呼出信号の受信からの経過時間が例えば1分ずつ増加するごとに、ステップS10で経過時間を更新した呼出先グループG1を指定した呼出枠情報を含む呼出中継信号を携帯表示機22へ送信し、携帯表示機22はステップS11で呼出中継信号を受信し、ステップS12で自分の所属する呼出先グループG1を指定した呼出枠情報を取得し、ステップS13で経過時間を更新した呼出枠を表示する。
【0121】
なお、携帯表示機22による呼出枠の中の経過時間の更新は、受信機16からの呼出中継信号によらず、携帯表示機22側で経過時間を求めて更新しても良く、この場合は、ステップS10~S12の処理は不要となる。また、受信機16は、
図12のステップS3に示す呼出信号の受信タイミング以外に、例えば、所定周期ごとに、そのとき呼出中の呼出枠の呼出枠情報を含む呼出中継信号を携帯表示機22へ送信し、携帯表示機22で呼出枠を更新表示しているが、この点は、図示を省略している。
【0122】
[h.呼出機による呼出取消動作]
次に、
図13のタイムチャートを参照して、呼出機10の呼出取消操作によりモニタ装置18と携帯表示機22の呼出枠を消去する動作を説明する。
【0123】
図13は、
図12の呼出動作に続く動作であり、呼出機10が
図12のステップS1の呼出釦12aの操作による呼出を行った後に、呼出の必要がなくなった場合、ステップS14で作業者は呼出取消釦として機能する呼出釦12dをオン操作し、ステップS15で呼出釦12dの呼出釦番号CB4を含む呼出信号を受信機16へ送信する。
【0124】
受信機16はステップS16で呼出信号を受信し、ステップS17で呼出釦番号CB4によるテーブル情報48の参照で「呼出取消指示」を取得し、ステップS18で該当する呼出枠情報を取消すことでモニタ装置18に表示中の対応する呼出枠を消去する。続いて、受信機16はステップS19で消去した呼出枠に対応した呼出枠情報を除いた呼出中継信号を生成して全ての携帯表示機22へ向けて送信する。
【0125】
受信機16で取消対象となった呼出枠を表示していたグループG1の携帯表示機22は、ステップS20で呼出中継信号を受信するが、ステップS21で自分の所属する呼出先グループを指定した呼出枠情報が含まれていないことから呼出枠画像データが得られず、それまでディスプレイに表示されていた取消対象となった呼出枠がステップS22で更新表示により消去される。
【0126】
[i.携帯表示機による呼出取消動作]
次に、
図14のタイムチャートを参照して、携帯表示機22による呼出中の呼出枠を消去する呼出取消動作を説明する。
【0127】
図14に示すように、例えばグループG1に所属する担当者は、自分の所持する携帯表示機22に表示された自分の所属するグループG1の呼出枠を見て、呼出元となる組立ラインの呼出場所に出向き、必要な対応を行った場合に、ステップS23で携帯表示機22における所定の呼出取消操作を行う。携帯表示機22での呼出取消操作は任意であり、例えば、呼出枠にタッチすると取消を含むダイヤログが開き、取消操作を可能とする。
【0128】
ステップS23で呼出取消操作を行うと、ステップS24で対応する呼出枠情報を取消して呼出枠を消去し、続いて、ステップS25で
図4(C)に示した呼出取消通知信号を生成し、受信機16へ送信する。
【0129】
受信機16はステップS26で携帯表示機22からの呼出取消通知信号を受信し、ステップS27で該当する呼出枠情報を取消してモニタ装置18に表示している該当する呼出枠を消去し、さらに、ステップS28で取消した呼出枠情報に対応する履歴枠情報を生成し、メモリに記憶する。
【0130】
[j.本発明の変形例]
(呼出システムの適用対象)
上記の実施形態は、工場の組立ラインに適用される呼出システムを例にとるものであったが、適用対象は任意であり、例えば、複数の作業者により人為時な作業を必要とする適宜の施設や場所、例えば、飲食店舗施設、販売施設、宿泊施設、交通機関、建設現場などを含むものである。
【0131】
(制御指示)
上記の実施形態にあっては、受信機のテーブル情報に、呼出釦番号に対応して呼出取消指示と呼出釦無効指示を登録する場合を例にとっているが、これに限定されず、呼出釦番号に対応して任意の制御指示を登録するようにしてもよい。例えば、所定の呼出釦番号に対応して緊急通報指示や火災通報指示等の防災に関する制御指示を登録し、呼出機の呼出釦を緊急通報釦や火災通報釦として機能させることができる。なお、緊急通報指示や火災通報指示等の防災に関する制御指示は、全グループを呼出先とし、受信機及び全ての携帯表示機での通報を可能とする。
【0132】
(その他)
また,本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0133】
10:呼出機
12a~12d:呼出釦
14:第1の無線ネットワーク
15a~15d:作業者
16:受信機
18:モニタ装置
18a:モニタ画面
20:第2の無線ネットワーク
22:携帯表示機
24:設定装置
25a~25d:担当者
26:履歴収集装置
28、28-1、28-2:呼出枠
30a~30d:呼出釦スイッチ
32:呼出釦制御部
33:電磁誘導発電部
34:送信部
35、38、44、58:アンテナ
36:受信機制御部
40:受信部
42、56:送受信部
46:呼出制御部
48:テーブル情報
50:サーバ部
52:履歴処理部
54:表示機制御部
60:ディスプレイ
60a:ディスプレイ画面
62:表示制御部
64:設定部
68:グループ名
70:呼出元名
72:時間情報
74:枠取部
76:履歴枠
78:履歴追加部
80:対応時刻情報
82:対応担当者情報
84:設定情報
86:端末名設定部
88:受信機設定部
90:呼出音設定部
92:グループ設定部
94:端末情報設定部
96:受信機設定部
98:呼出中釦
100:履歴釦