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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035073
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139145
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】安藤 直樹
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333CA21
2C333CA26
2C333CA71
2C333FA05
2C333FA09
2C333FA17
2C333GA05
(57)【要約】
【課題】遊技者の自動操作設定に対する意向を汲み取り、演出の内容を遊技者の意向を反映したものにできる遊技機を提供する。
【解決手段】CPUは、オートモードから非オートモードへの切替操作が開始されてからオート操作タイミングまでの残余時間が長押し必要時間よりも短い場合(S262:YES、S263:YES)、オート操作キャンセルフラグを「ON」にする(S265)。CPUは、オート操作キャンセルフラグが「ON」の場合、オート操作演出の実行をキャンセルする。CPUは、非オートモードからオートモードへの切替操作が開始されてからオート操作タイミングまでの残余時間が長押し必要時間よりも短い場合(S262:YES、S263:NO)、オート操作演出実行フラグを「ON」にする(S266)。CPUは、オート操作演出実行フラグが「ON」の場合、オート操作演出を実行する。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出に関する操作の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって所定期間に亘る前記操作である特定操作の入力の受け付けが開始されたかを判断する第一判断手段と、
前記特定操作の入力期間が前記所定期間に到達した場合、前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられたことに応じて実行される演出である操作演出が実行される第一状態と、前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられなくても前記操作の入力が受け付けられた場合と同様の前記操作演出が実行される状態である第二状態とを切り替える状態切替を実行する第一切替実行手段と、
前記第一状態において前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられたことに応じて前記操作演出が実行される期間である操作演出期間と、前記操作演出期間内に定められ、前記第二状態において前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられなくても前記操作演出が実行されるタイミングである実行タイミングとを定める定義手段と、
前記第一判断手段によって前記特定操作の入力の受け付けが開始された時点から前記所定期間内に前記実行タイミングが到来するかを判断する第二判断手段と、
前記第二判断手段によって前記所定期間内に前記実行タイミングが到来すると判断された場合、前記実行タイミングよりも前に前記状態切替を実行する第二切替実行手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
演出に関する操作の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって所定期間に亘る前記操作である特定操作の入力の受け付けが開始されたかを判断する第一判断手段と、
前記特定操作の入力期間が前記所定期間に到達した場合、前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられたことに応じて実行される演出である操作演出が実行される第一状態と、前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられなくても前記操作の入力が受け付けられた場合と同様の前記操作演出が実行される状態である第二状態とを相互に切り替える状態切替を実行する第一切替実行手段と、
前記第一状態において前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられたことに応じて前記操作演出が実行される期間である操作演出期間と、前記操作演出期間内に定められ、前記第二状態において前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられなくても前記操作演出が実行されるタイミングである実行タイミングとを定める定義手段と、
前記操作演出期間以外の期間における前記所定期間を第一時間とし、前記操作演出期間における前記所定期間を前記第一時間よりも短い第二時間とする時間設定手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記第一切替実行手段による前記状態切替に応じて、前記第一状態又は前記第二状態のいずれが生起しているかを報知する状態報知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出用の操作部材を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、演出用のボタン、レバー等の操作部材を備えた遊技機が知られている。特許文献1は、演出用の操作部材が操作された場合に操作に応じた演出を行う非自動操作状態と、演出用の操作部材が操作されなくても操作された場合と同様の演出を行う自動操作状態とを設けた遊技機を開示する。非自動操作状態と自動操作状態との相互の変更を、以下では、自動操作設定という。自動操作設定は、非遊技期間に所定の操作を行うことの他、遊技期間に演出用のボタンを長押し(所定期間押し続ける操作態様)することによっても行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-42234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機では、遊技者が自動操作設定をしようとしても、自動操作設定のための操作に所定の時間が必要なため、遊技者が所望する時期に自動操作設定が間に合わず、操作部材の操作に応じた演出が遊技者の所望のものにならないことがあるといった問題がある。
【0005】
本発明は、遊技者の自動操作設定に対する意向を汲み取り、演出の内容を遊技者の意向を反映したものにできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遊技機は、演出に関する操作の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって所定期間に亘る前記操作である特定操作の入力の受け付けが開始されたかを判断する第一判断手段と、前記特定操作の入力期間が前記所定期間に到達した場合、前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられたことに応じて実行される演出である操作演出が実行される第一状態と、前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられなくても前記操作の入力が受け付けられた場合と同様の前記操作演出が実行される状態である第二状態とを切り替える状態切替を実行する第一切替実行手段と、前記第一状態において前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられたことに応じて前記操作演出が実行される期間である操作演出期間と、前記操作演出期間内に定められ、前記第二状態において前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられなくても前記操作演出が実行されるタイミングである実行タイミングとを定める定義手段と、前記第一判断手段によって前記特定操作の入力の受け付けが開始された時点から前記所定期間内に前記実行タイミングが到来するかを判断する第二判断手段と、前記第二判断手段によって前記所定期間内に前記実行タイミングが到来すると判断された場合、前記実行タイミングよりも前に前記状態切替を実行する第二切替実行手段とを備える。
【0007】
特定操作の入力に所定期間が必要な場合、遊技者が実行タイミングよりも前に状態変更を行おうとしても、特定操作の開始時点によっては状態変更を行えないことがある。本発明に係る遊技機は、特定操作の入力の受け付けが開始されてから所定期間が経過するまでの間に実行タイミングが到来する場合には、特定操作の入力が所定期間に到達しなくても、実行タイミングよりも前に状態変更を実行する。これにより、本発明に係る遊技機は、実行タイミングよりも前に状態変更を間に合わせたいという遊技者の意向に応えることができる。このように、本発明に係る遊技機は、遊技者の第一状態と第二状態との切替えに対する意向を汲み取り、操作演出の内容を遊技者の意向を反映したものにできる。
【0008】
本発明に係る遊技機は、演出に関する操作の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって所定期間に亘る前記操作である特定操作の入力の受け付けが開始されたかを判断する第一判断手段と、前記特定操作の入力期間が前記所定期間に到達した場合、前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられたことに応じて実行される演出である操作演出が実行される第一状態と、前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられなくても前記操作の入力が受け付けられた場合と同様の前記操作演出が実行される状態である第二状態とを相互に切り替える状態切替を実行する第一切替実行手段と、前記第一状態において前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられたことに応じて前記操作演出が実行される期間である操作演出期間と、前記操作演出期間内に定められ、前記第二状態において前記受付手段によって前記操作の入力が受け付けられなくても前記操作演出が実行されるタイミングである実行タイミングとを定める定義手段と、前記操作演出期間以外の期間における前記所定期間を第一時間とし、前記操作演出期間における前記所定期間を前記第一時間よりも短い第二時間とする時間設定手段とを備える。
【0009】
本発明に係る遊技機は、操作演出期間において特定操作に必要な時間を、第一時間よりも短い第二時間とするので、実行タイミングよりも前に状態変更を間に合わせたいという遊技者の意向に応えやすい。このように、本発明に係る遊技機は、遊技者の第一状態と第二状態との切替え(自動操作設定)に対する意向を汲み取り、操作演出の内容を遊技者の意向を反映したものにできる。
【0010】
前記遊技機は、前記第一切替実行手段による前記状態切替に応じて、前記第一状態又は前記第二状態のいずれが生起しているかを報知する状態報知手段を備えてもよい。
【0011】
この場合、状態切替が遊技者の意向に応じて行われたことが遊技者に報知されるので、遊技機に対する遊技者の満足度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】遊技盤2の正面図である。
図3】パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。
図4】RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアを示す概念図である。
図5】ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルの概念図である。
図6】主基板41において行われるメイン処理のフローチャートである。
図7】メイン処理において行われる特別図柄処理のフローチャートである。
図8図7に続くフローチャートである。
図9図8に続くフローチャートである。
図10】メイン処理において行われる客待ち処理のフローチャートである。
図11】第一報知演出及びボタン演出の例を説明する説明図である。
図12】オートモードから非オートモードへの切り替えが行われる場合の手動操作演出又はオート操作演出の実行態様を説明する説明図である。
図13】非オートモードからオートモードへの切り替えが行われる場合の手動操作演出又はオート操作演出の実行態様を説明する説明図である。
図14】サブ制御基板58において行われるサブ制御基板処理のフローチャートである。
図15図14に続くフローチャートである。
図16】サブ制御基板処理において行われる第一報知演出実行処理のフローチャートである。
図17】サブ制御基板処理において行われるオートボタン機能切替処理のフローチャートである。
図18図17に続くフローチャートである。
図19】サブ制御基板処理において行われるボタン演出期間判断処理のフローチャートである。
図20】サブ制御基板処理において行われるボタン操作演出処理のフローチャートである。
図21】ボタン演出カスタム機能のうち演出タイミングカスタム機能を説明するための説明図及びROM583に記憶されているオート操作タイミングテーブルの概念図である。
図22】ROM583に記憶されている連打ペーステーブルの概念図である。
図23】サブ制御基板処理において行われるボタン演出カスタム処理のフローチャートである。
図24】ボタン演出カスタム機能の設定操作の例を示す説明図である。
図25図24に続く説明図である。
図26】オートボタン機能に関する報知内容を説明する説明図である。
図27】第二実施形態のROM583に記憶されている長押し必要時間テーブルの概念図である。
図28】第二実施形態のオートボタン機能切替処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る遊技機の第一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。パチンコ機1は、特別図柄を備えた、いわゆる旧1種タイプの遊技機である。本願が開示する技術は、演出に関する操作の入力を受け付ける受付手段を備えた遊技機であれば、旧2種タイプ、1種2種混合タイプ、一般電役タイプ、普通機タイプ等、様々な遊技仕様の遊技機に適用できる。
【0014】
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。操作ボタン9は、演出に関する操作の入力を受け付けるために設けられており、パチンコ機1においては、操作ボタン9は、押下する操作を受け付ける押しボタンスイッチである。パチンコ機1は、操作ボタン9が操作されることに応じて、特定の画像が表示画面28にカットインしたり、特定の音がスピーカ48から出力されたり、パチンコ機1の各種の電飾部材が特定の発光を行ったりする演出である、ボタン演出を実行する。
【0015】
上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
【0016】
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り8の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り8の右側を流下する。以下、遊技球がセンター飾り8の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り8の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
【0017】
センター飾り8は、表示画面28及び可動体35を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の上部の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成されており、様々な数字・文字等を表示可能である。また、表示画面28は、報知演出を実行可能である。報知演出は、演出用の図柄である演出図柄100(図11参照)を変動させた後に、後述する大当たり判定の結果を示す演出図柄100の組合せを確定表示させる変動表示を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出である。可動体35は、センター飾り8の下部において、表示画面28の前側に配置されている。可動体35は、汎用のモータである可動体モータ351(図3参照)の駆動力によって左右方向における動作及び回転動作を行うことで、各種の演出を行う。
【0018】
センター飾り8の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14の下方には、第二大入賞口17が設けられている。センター飾り8の右斜め下方には、遊技球が通過可能なゲート12が設けられている。ゲート12は、普通図柄の作動ゲートである。ゲート12の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15は、いわゆる普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。第二始動口15は、第二始動口ソレノイド69(図3参照)によって電気的に開閉される。
【0019】
第二始動口15の左斜め下方には、第一大入賞口16が設けられている。第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、それぞれ開閉部材を備える。遊技球は、開閉部材が開放された場合にのみ、第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17のそれぞれに入賞することができる。なお、第二始動口15は、開閉部材が閉鎖された閉鎖状態にも遊技球の入賞が可能であって、開閉部材が開放されることで閉鎖状態よりも遊技球が入賞容易となる構成であってもよい。
【0020】
第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、それぞれ、いわゆる特別電動役物(後述する大当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。第一大入賞口16は、第一大入賞口ソレノイド70(図3参照)によって電気的に開閉される。第二大入賞口17は、第二大入賞口ソレノイド71(図3参照)によって電気的に開閉される。本実施形態では、第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、後述する大当たり遊技状態が生起されている場合に、大当たり遊技として開放状態と閉鎖状態とが切り替えられるように構成されている。
【0021】
遊技領域4には、上記以外に、アウト口18、各種の電飾部材、入賞口、風車及び遊技くぎ等が設けられている。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、遊技盤2の下部に設けられたアウト口18を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
【0022】
なお、遊技領域4において、各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも第一始動口14に入賞しやすい。右打ちされた遊技球が第一始動口14へ入賞することは困難である。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりもゲート12、第二始動口15及び第二大入賞口17を、通過又は入賞しやすい。また、第二大入賞口17には、左打ちされた遊技球及び右打ちされた遊技球のいずれも入賞可能であるが、左打ちされた遊技球よりも右打ちされた遊技球の方が第二大入賞口17に入賞しやすくなるように遊技くぎ等が配置されている。左打ちされた遊技球が、ゲート12、第二始動口15及び第二大入賞口17を、通過又は入賞することは困難である。したがって、遊技者は、後述する大当たり遊技中及び時短状態中には右打ちによって遊技を進め、それ以外の場合に左打ちによって遊技を進める。
【0023】
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、それぞれ1つの7セグメントLEDからなり、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を示す第一特別図柄及び第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定及び第二大当たり判定を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LEDは、第一大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球である第一保留球の個数を示す第一保留球数を表示する。第二特別図柄記憶数表示LEDは、第二大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球である第二保留球数の個数を示す第二保留球数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球である普通保留球の個数を示す普通保留球数を表示する。
【0024】
パチンコ機1における遊技の概要について説明する。パチンコ機1の遊技には、大当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。大当たり遊技について説明する。本実施形態では、第一始動口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第一特別図柄が、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される。第一大当たり判定では、大当たり又ははずれのいずれかが、第一大当たり乱数に基づいて判定される。第一大当たり判定によって大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示される。これに伴い、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の各開閉部材が交互に開放状態にされることが所定回数繰り返される大当たり遊技が実行される。
【0025】
一方、第二始動口15へ遊技球が入賞すると、第二大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。第二大当たり判定では、大当たり又ははずれのいずれかが、第二大当たり乱数に基づいて判定される。第二大当たり判定において大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に確定表示される。これに伴い、上記と同様の大当たり遊技が実行される。なお、パチンコ機1は、第二大当たり判定が第一大当り判定に優先して実行される、いわゆる優先変動タイプの遊技仕様を有する。
【0026】
パチンコ機1は、確変状態又は非確変状態を設定できる。確変状態とは、大当たり判定において大当たりであると判定される確率(以下、「大当たり確率」という。)が通常よりも高い確率に変動している遊技状態である。非確変状態は、確変状態が設定されておらず、大当たり判定によって大当たりであると判定される確率(以下、「大当たり確率」という。)が通常の確率である状態である。
【0027】
本実施形態では、大当たり判定によって大当たりであると判定されると、大当たり遊技の終了後に60%の割合で確変状態が設定される。大当たり遊技の終了後に確変状態が生起される大当たり判定の結果を、以下では、「確変大当たり」という。大当たり遊技の終了後に非確変状態が生起される大当たり判定の結果を、以下では、「非確変大当たり」という。大当たり遊技が実行された場合には、大当たり遊技の終了後に、確変状態の他、後述の時短状態が設定されることがある。
【0028】
普通当たり遊技について説明する。ゲート12を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われ、判定の結果を示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。普通当たり判定において普通当たりであると判定されると、第二始動口15の開閉部材が開閉される普通当たり遊技が実行される。本実施形態では、普通当たり判定において当たりであると判定される確率(以下、「普通当たり確率」という。)は、遊技状態に関わらず、約1/1.1(約90/100)である。
【0029】
パチンコ機1は、非時短状態及び時短状態のいずれかを設定する。非時短状態は、第二始動口15の開閉部材が開放状態にされる割合が通常の割合である遊技状態である。時短状態は、非時短状態よりも第二始動口15の開閉部材が開放状態にされる頻度が高くなる遊技状態である。具体的には、1回の普通当たり遊技中における第二始動口15の開閉部材の開放時間の合計は、非時短状態よりも時短状態の方が長い。また、普通図柄の変動時間は、非時短状態における変動時間(本実施形態では約10秒)よりも時短状態における変動時間(本実施形態では約2秒)の方が短い。本実施形態では、非時短状態のことを、通常状態ともいう。
【0030】
パチンコ機1は、大当たり判定によって判定結果が導出されたときの遊技状態に応じて、以降に時短状態を設定するか否かを決定する。本実施形態では、設定された時短状態は、大当たり遊技の終了後に行われた大当たり判定の回数(第一大当たり判定と第二大当たり判定との合計実施回数。)があらかじめ定められた回数に達することで終了する。
【0031】
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47及び電源基板42を主に備える。
【0032】
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、乱数発生回路56及び割込信号発生回路57が接続されている。乱数発生回路56は、所定範囲の乱数を発生させる。割込信号発生回路57は、一定周波数のクロック信号を出力するクロック回路(図示略)からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、後述する主制御プログラムのメイン処理を実行する。
【0033】
主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、外部端子板55、第一始動口スイッチ61及び第二始動口スイッチ62に接続している。
【0034】
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582及びROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9及びスピーカ48に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。
【0035】
操作ボタン9は、ボタンスイッチ91、ボタン用電飾基板92及びボタンモータ93を備える。ボタンスイッチ91は、サブ制御基板58に接続している。ボタンスイッチ91は、操作ボタン9の操作を検出する、汎用のスイッチ部材である。ボタンスイッチ91は、操作ボタン9の操作状況を示す信号であるボタン入力読込信号を、1ミリ秒間隔でサブ制御基板58に送信する。本実施形態では、ボタンスイッチ91は、操作ボタン9が押下されたことを検出した場合、「ON」のボタン入力読込信号をサブ制御基板58に送信する。ボタンスイッチ91は、操作ボタン9の押下を検出しなかった場合、「OFF」のボタン入力読込信号をサブ制御基板58に送信する。
【0036】
ランプドライバ基板46は、電飾基板34、ボタン用電飾基板92、ボタンモータ93及び可動体モータ351に接続している。電飾基板34は、例えばLEDを搭載しており、前述の各種の電飾部材の内部に設けられている。ボタン用電飾基板92は、LEDを搭載しており、LEDの発光によって操作ボタン9の点灯、点滅、発色等を行う。ボタンモータ93は、汎用のモータであり、駆動することで操作ボタン9を振動させる。ランプドライバ基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、電飾基板34及びボタン用電飾基板92の発光動作、ボタンモータ93の駆動等を制御する。
【0037】
演出制御基板43は、CPU431、CGROM(図示略)等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を賞球として賞球払出装置49に払い出させる。
【0038】
中継基板47は、第二始動口ソレノイド69、第一大入賞口ソレノイド70、第二大入賞口ソレノイド71、ゲートスイッチ74、第一大入賞口スイッチ76、第二大入賞口スイッチ77及び図柄表示部24に接続している。
【0039】
第二始動口ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材を開閉する。第一大入賞口ソレノイド70及び第二大入賞口ソレノイド71は、大当たり遊技中に第二大入賞口17の開閉部材を開閉する。ゲートスイッチ74は、ゲート12に設けられており、ゲート12への遊技球の通過を検出する。第一大入賞口スイッチ76は、第一大入賞口16に設けられており、第一大入賞口16への遊技球の入賞を検出する。第二大入賞口スイッチ77は、第二大入賞口17に設けられており、第二大入賞口17への遊技球の入賞を検出する。
【0040】
外部端子板55は、パチンコホールに設置されている遊技機を統括的に管理する遊技場管理用コンピュータ(いわゆるホールコンピュータ、図示略)にパチンコ機1の情報を接点出力する。第一始動口スイッチ61は、第一始動口14に設けられており、第一始動口14への遊技球の入賞を検出する。第二始動口スイッチ62は、第二始動口15に設けられており、第二始動口15への遊技球の入賞を検出する。
【0041】
電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
【0042】
図4を参照して、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。第一大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図7から図9参照)において使用される。第一大当たり関係情報記憶エリアには、最大第一保留球数に対応する複数の記憶エリアが設けられている。本実施形態において、記憶可能な第一保留球数の上限である最大第一保留球数は「4」である。このため、第一大当たり関係情報記憶エリアには、No.1からNo.4の4つの記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に第一保留球数が4未満(0~3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。
【0043】
第一保留球数は、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、第一大当たり判定の実行、第一特別図柄の変動時間を示す第一変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている乱数(第一保留球)の個数である。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、判定エリア(図示略)にシフトする。判定エリアは、大当たり判定を行う乱数を格納するために、RAM52に設けられている記憶エリアであり、第一大当たり判定と第二大当たり判定とで共通に用いられる。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について第一大当たり判定等の各種処理を行う。最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が、判定エリアにシフトされると、次の番号以下に記憶されている乱数が、1つ小さな番号の記憶エリアにシフトされる。以降は、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が順次、判定エリアにシフトされて、第一大当たり判定等の処理が繰り返される。判定エリアに記憶されている乱数についての各種処理には、例えば、第一大当たり判定の結果を報知する報知演出の決定、及び判定結果に応じて実行される大当たり遊技に関する処理が含まれる。なお、判定エリアの乱数は、大当たり判定等の処理が終了した後に消去される。
【0044】
各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの当たりが記憶される第一図柄決定乱数欄、及び第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。遊技球が第一始動口14へ入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す第一変動パターンを決定するために用いられる。第一大当たり乱数とともに取得されて第一大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して、第一乱数ともいう。また、第一特別図柄の変動時間を、第一変動時間ともいう。
【0045】
図示しないが、RAM52には、第二大当たり関係情報記憶エリアが設けられている。第二大当たり関係情報記憶エリアも、メイン処理の特別図柄処理において使用される。本実施形態では、第二大当たり関係情報記憶エリアに、最大第二保留球数に対応する4つの記憶エリアが設けられている。第二保留球数は、第二始動口15へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、第二大当たり判定の実行、第二特別図柄の変動時間を示す第二変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている乱数(第二保留球)の個数である。第二始動口15に遊技球が入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、第二大当たり関係情報記憶エリアの各欄に記憶される。記憶エリアには、第二大当たり判定カウンタの値が記憶される第二大当たり乱数欄、第二特別図柄決定カウンタの値が記憶される第二特別図柄決定乱数欄、及び第二変動パターン決定カウンタの値が記憶される第二変動パターン決定乱数欄が設けられている。
【0046】
CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、前述の判定エリアにシフトする。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について第二大当たり判定等の各種処理を行う。第二大当たり乱数とともに取得されて第二大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して、第二乱数ともいう。また、第二特別図柄の変動時間を、第二変動時間ともいう。
【0047】
以下の説明では、第一大当たり乱数及び第二大当たり乱数を総称する場合又はいずれかを特定しない場合、大当たり乱数ともいう。また、第一変動パターン決定乱数及び第二変動パターン決定乱数を総称する場合又はいずれかを特定しない場合、変動パターン決定乱数ともいう。また、第一特別図柄決定乱数数及び第二特別図柄決定乱数を総称する場合又はいずれかを特定しない場合、特別図柄決定乱数ともいう。
【0048】
パチンコ機1において、第一変動時間及び第二変動時間は、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動開始に同期して、演出図柄100の変動表示を開始する。主基板41は、第一変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。また、主基板41は、第二特別図柄の変動時間が終了すると、変動させていた第二特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄停止表示時間に同期して、演出図柄100を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄100による他、表示画面28、電飾部材、スピーカ48等によっても、特別図柄の変動時間と同期した報知演出を実行する。
【0049】
なお、RAM52には、ゲート12を遊技球が通過する時点に取得される普通当たり乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。本実施形態では、普通当たり関係情報記憶エリアに4つの記憶エリアが設けられており、最大普通保留球数は「4」である。記憶エリアには、普通当たり判定カウンタの値が記憶される普通当たり乱数欄、普通図柄決定カウンタの値が記憶される普通図柄決定乱数欄が設けられている。普通当たり乱数は、普通当たり判定のために用いられる。普通図柄決定乱数は、普通当たり図柄を決定するために用いられる。
【0050】
図5を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターン決定テーブルは、大当たり判定による判定結果及び変動パターンが決定される時点における遊技状態に応じて、複数のテーブルを設けている。本実施形態に設けられる遊技状態は、通常状態、確変時短状態、非確変時短状態の3種類である。通常状態は、非確変状態と非時短状態との組合せによる。確変時短状態は、確変状態と非確変状態との組合せによる。非確変時短状態は、非確変状態と確変状態との組み合わせによる。複数のテーブルのそれぞれには、1又は複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンに変動パターン決定乱数の値(0~511)及び変動時間が対応付けられている。
【0051】
第一大当たり判定が行われた場合、その時点の遊技状態と大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、第一大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。通常状態における第一大当たり判定の判定結果が大当たりの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄100のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。したがって、第一大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。
【0052】
なお、本実施形態において、「非リーチ演出A」等の「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。「非リーチ」の第一変動パターンは、第一普通図柄の変動開始時における第一保留球数によって、第一変動時間が変動する。図5において、保留球数「0」は、第一保留球が記憶されていない状態(第一保留球数が「0」個の状態)において遊技球が第一図柄ゲート11を通過したことを契機として第一普通図柄が変動を開始する場合を示す。保留球数「1」、「2」又は「3」は、第一保留球が1個、2個又は3個記憶されている状態において、第一保留球に基づいて第一普通図柄が変動を開始する場合を示す。「非リーチ演出A」においては、第一保留球数が「0」又は「1」の場合の変動時間は、12秒である。第一保留球数が「2」の場合の変動時間は、8秒である。第一保留球数が「3」の場合の変動時間は、4秒である。非リーチ演出Aの第一変動パターンによるこれらの変動時間の第一普通図柄の変動を、以下では、「12秒変動」、「8秒変動」、「4秒変動」という。
【0053】
遊技状態が確変時短状態及び非確変時短状態である場合においても、通常状態の場合と同様に、大当たり判定による判定結果に応じて、第一大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。図示を省略するが、第二変動パターンについても第一変動パターンと同様に、遊技状態に応じた複数のテーブルのそれぞれに、1又は複数種類の第二変動パターンが割り当てられている。各変動パターンには、第二変動パターン決定乱数の値(0~511)及び第二変動時間が対応付けられている。第二大当たり判定が行われた時点の遊技状態と大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、第二大当たり乱数とともに取得されている第二変動パターン決定乱数の値に対応する第二変動パターンが1つ決定される。
【0054】
図6から図10を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図6参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が検知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0055】
パチンコ機1の電源がONにされると、CPU51は、メイン処理を開始する。図6に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
【0056】
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、ゲート12、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17、その他の入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球の通過又は入賞を検知するための処理が行われる。各スイッチが遊技球の通過を検出すると、RAM52に記憶されている各スイッチに対応するフラグが「ON」となる。
【0057】
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである第一変動時間カウンタ及び第二変動時間カウンタの値が減算される。
【0058】
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作を制御するための処理、遊技状態に関する処理等が行われる。大当たり遊技の動作とは、主に、大当たり遊技における第一大入賞口16及び第二大入賞口17の開閉部材の開閉動作である。
【0059】
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の図柄種別の決定及び遊技状態の移行処理等が行われる(図7から図9参照)。
【0060】
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たり判定の結果が普通当たりとなった場合に、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口15の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態が設定されていれば、非時短状態中よりも長く、第二始動口15の開閉部材を開放させる。
【0061】
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、ゲートスイッチ74が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。また、普通図柄の変動時間は、非時短中の変動時間(本実施形態では10秒)よりも時短状態中の変動時間(本実施形態では2秒)の方が短い。
【0062】
次いで、客待ち処理が行われる(S17)。詳細は後述するが、客待ち処理では、パチンコ機1が稼働していない状態である客待ち状態であるかの判断処理及び客待ち状態である場合における各種の処理が行われる。
【0063】
次いで、払出処理(S18)、エラーチェック(S19)及び情報出力処理(S20)が行われ、メイン処理が終了する。払出処理では、スイッチ読込処理によって各スイッチに対応するフラグが「ON」とされた場合に、各スイッチに対応する入賞口へ遊技球が入賞したことを示すコマンドが、払出制御基板45に送信される。このコマンドを受信した払出制御基板45のCPU45aは、コマンドに対応する入賞口について予め定められている個数の賞球を、入賞口への入賞球数に応じて賞球払出装置49に払い出させる。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28及びスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、遊技場管理用コンピュータ(図示略)に各種の情報が出力される。
【0064】
図7から図9を参照して、特別図柄処理(S14、図6参照)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。特別図柄処理では、大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確変フラグ、時短フラグ等が使用される。これらのフラグはRAM52に記憶される。
【0065】
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、大当たり遊技状態に「1」が記憶されて「ON」になり、大当たり遊技状態でない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれか一方が変動している場合(変動中)に「1」、いずれか一方が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、いずれも変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。確変フラグは、確変状態であるかを示すフラグであり、確変状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非確変状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。時短フラグは、時短状態であるかを示すフラグであり、時短状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非時短状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。
【0066】
図7に示すように、特別図柄処理が開始されると、第一始動口14に遊技球が入賞しているかが判断される(S41)。第一始動口スイッチ61(図3参照)が遊技球の入賞を検知すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図6参照)において第一始動口スイッチ61に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「OFF」の場合には、第一始動口14に遊技球が入賞していないと判断されて(S41:NO)、処理はS51の判断へ移行する。
【0067】
このフラグが「ON」の場合には、第一始動口14に遊技球が入賞していると判断されて(S41:YES)、第一保留球数が「4」であるかが判断される(S43)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「4」である場合(S43:YES)、第一保留球数が最大第一保留球数に達しているため、処理はS51の判断へ移行する。第一保留球数が「4」でない場合(S43:NO)、RAM52に記憶されている第一保留球数に「1」が加算される(S45)。次いで、第一乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S46)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり乱数の乱数値が、第一図柄決定乱数欄には第一図柄決定乱数の乱数値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。処理はS51の判断へ移行する。
【0068】
次いで、第二始動口15に遊技球が入賞しているかが判断される(S51)。第二始動口スイッチ62(図3参照)が遊技球の入賞を検知すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図6参照)において第二始動口スイッチ62に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「OFF」の場合には、第二始動口15に遊技球が入賞していないと判断されて(S51:NO)、処理はS61(図8参照)の判断へ移行する。
【0069】
このフラグが「ON」の場合には、第二始動口15に遊技球が入賞していると判断されて(S51:YES)、第二保留球数が「4」であるかが判断される(S52)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「4」である場合(S52:YES)、第二保留球数が最大第二保留球数に達しているため、処理はS61の判断へ移行する。第二保留球数が「4」でない場合(S52:NO)、RAM52に記憶されている第二保留球数に「1」が加算される(S55)。次いで、第二乱数が取得され、第二大当たり関係情報記憶エリア(図示略)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S56)。具体的には、第二大当たり乱数欄には第二大当たり乱数の乱数値が、第二図柄決定乱数欄には第二図柄決定乱数の乱数値が、第二変動パターン決定乱数欄には第二変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。処理はS61の判断へ移行する。
【0070】
次いで、図8に示すように、大当たり遊技状態であるかが判断される(S61)。大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、大当たり遊技状態であると判断されて(S61:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、大当たり遊技状態中でないと判断されて(S61:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが変動中であるか否かが判断される(S62)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合、いずれも変動中でないと判断されて(S62:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが停止状態中であるか否かが判断される(S63)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合、いずれも停止表示中でないと判断されて(S63:NO)、処理はS71(図9参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
【0071】
本実施形態では、大当たり判定において、第二大当り判定が第一大当たり判定よりも優先して行われる。図9に示すように、まず、第二保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S71)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「1」以上である場合(S71:YES)、第二大当り判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留球数が「0」である場合(S71:NO)、第一保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S72)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「0」である場合(S72:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
【0072】
第一保留球数が「1」以上である場合(S72:YES)、RAM52に記憶されている第一保留球数が「1」減算される(S73)。第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)において最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一乱数が、判定エリアにシフトされる(S75)。
【0073】
次いで、第一大当り判定処理が行われる(S76)。図示しないが、ROM53には、第一大当たり判定を行うための第一判定テーブルが記憶されている。第一判定テーブルには、「大当たり」及び「はずれ」にそれぞれ対応する第一大当たり乱数の乱数値が定義されている。S76では第一判定テーブルが参照されて、S75で判定エリアにシフトされた第一大当たり乱数が「大当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第一大当たり乱数に基づく第一大当たり判定が、第一大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0074】
次いで、S76で導出された第一大当たり判定の結果に応じた第一特別図柄が決定される(S78)。S78の処理では、S75で判定エリアにシフトされた第一図柄決定乱数の値に応じて、大当たり又ははずれの判定結果を示す第一特別図柄が決定される。決定された第一特別図柄は、RAM52に記憶される。処理はS101へ移行する。
【0075】
一方、第二大当たり判定が行われる場合には、まず、第二保留球数が「1」減算される(S91)。第二大当たり関係情報記憶エリア(図示略)において最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第二乱数が、判定エリアにシフトされる(S92)。
【0076】
次いで、第二大当り判定処理が行われる(S93)。図示しないが、ROM53には、第二大当たり判定を行うための第二判定テーブルが記憶されている。第二判定テーブルには、「大当たり」及び「はずれ」にそれぞれ対応する第二大当たり乱数の乱数値が定義されている。S93では第二判定テーブルが参照されて、S92で判定エリアにシフトされた第二大当たり乱数が「大当たり」又は「はずれ」のいずれに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が、第二大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0077】
次いで、S93で導出された第二大当たり判定の結果に応じた第二特別図柄が決定される(S95)。S95の処理では、S92で判定エリアにシフトされた第二図柄決定乱数の値に応じて、大当たり又ははずれの判定結果を示す第二特別図柄が決定される。決定された第二特別図柄は、RAM52に記憶される。処理はS101へ移行する。
【0078】
次いで、変動パターンが決定される(S101)。S101では、確変フラグ及び時短フラグの状態が参照されて、現時点において通常状態、確変時短状態又は非確変時短状態のいずれの遊技状態が設定されているかが特定される。そして、変動パターン決定テーブル(図5参照)が参照されて、特定された遊技状態と、大当たり判定による判定結果にと応じて、変動パターン決定乱数に対応する変動パターンが決定される。
【0079】
決定された変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドが生成される(S102)。生成された変動パターン指定コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、中継基板47及びサブ制御基板58に送信される。中継基板47を介して、第一変動パターンを指定する第一変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部24は、第一特別図柄表示部における第一特別図柄の変動を開始する。第二変動パターンを指定する第二変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部24は、第二特別図柄の変動を開始する。第一変動パターン指定コマンド及び第二変動パターン指定コマンドを受信したサブ制御基板58は、表示画面28の演出図柄100の変動開始を指示する。
【0080】
次いで、決定された変動パターンに対応する特別図柄の変動時間が、特別図柄変動時間カウンタに記憶される(S103)。特別図柄が変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S104)、処理はメイン処理へ戻る。
【0081】
また、図8に示すS62の判断において、特別図柄表示フラグに「1」が記憶されている場合には、特別図柄が変動中であると判断されて(S62:YES)、第一変動時間又は第二変動時間が経過したかが判断される(S111)。この判断は、S103において記憶された特別図柄変動時間カウンタの値に応じて行われる。特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には第一変動時間又は第二変動時間がまだ経過していないと判断されて(S111:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
【0082】
特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には第一変動時間又は第二変動時間が経過したと判断されて(S111:YES)、特別図柄停止コマンドが生成される(S112)。生成された特別図柄停止コマンドは、RAM52に記憶される。特別図柄停止コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理によって中継基板47及びサブ制御基板58に送信され、図柄表示部24における第一特別図柄又は第二特別図柄の変動停止及び表示画面28の演出図柄100の変動停止を指示する。
【0083】
次いで、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)が、RAM52の特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S113)。第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S114)。その後、処理はメイン処理へ戻る。
【0084】
また、S63の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S63:YES)、S103においてセットされた特別図柄停止時間カウンタの値に応じて、特別図柄停止時間が経過したかが判断される(S116)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には特別図柄停止時間が経過していないと判断されて(S116:NO)、処理はメイン処理へ戻る。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」の場合には特別図柄停止時間が停止したと判断されて(S116:YES)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S117)。
【0085】
次いで、遊技状態の移行が行われる(S118)。S118では、大当たり判定によって大当たりであると判定された場合に、遊技を大当たり遊技状態に移行させるための処理が行われる。また、確変状態及び時短状態を設定する所定の条件が成立した場合に時短状態を設定し、時短状態を終了する所定の条件が成立した場合に時短状態を終了させるための処理が行われる。処理はメイン処理へ戻る。
【0086】
図10を参照して、客待ち処理(S17、図6参照)の詳細について説明する。客待ち処理では、客待ちフラグ等が使用される。客待ちフラグは、パチンコ機1が客待ち状態であるかを示すフラグであり、RAM52に記憶される。客待ちフラグは、客待ち状態である場合に「1」が記憶されて「ON」になり、客待ち状態でない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。本実施形態では、第一特別図柄及び第二特別図柄が変動中でなく、かつ、第一保留球数及び第二保留球数がいずれも「0」である場合に、パチンコ機1が稼働しておらず客待ち状態であると判断される。また、客待ちフラグが「ON」の状態でいずれかの特別図柄が変動表示を開始した場合、客待ちフラグは「OFF」になる。
【0087】
客待ち処理が開始されると、客待ちフラグが「ON」であるかが判断される(S121)。客待ちフラグが「OFF」である場合(S121:NO)、処理はメイン処理へ戻る。客待ちフラグが「ON」である場合(S121:YES)、第一特別図柄及び第二特別図がともに変動中及び停止表示中でないかが判断される(S122)。この判断は、特別図柄表示状態フラグが「0」であるかによって行われる。特別図柄表示状態フラグが「1」又は「2」である場合には、いずれかの特別図柄が変動中又は停止表示中であるので(S122:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
【0088】
特別図柄表示状態フラグが「0」である場合には第一特別図柄及び第二特別図柄がともに変動中及び停止表示中でないと判断されて(S122:YES)、第一保留球数及び第二保留球数がいずれも「0」であるかが判断される(S123)。第一保留球数及び第二保留球数のいずれかが「0」でない場合(S123:NO)、処理はメイン処理へ戻る。第一保留球数及び第二保留球数がいずれも「0」である場合(S123:YES)、客待ち状態が開始されたことを通知するための客待ちコマンドが生成される(S125)。生成された客待ちコマンドは、次回に実行されるメイン処理のコマンド出力処理によってサブ制御基板58に送信される。次いで、客待ちフラグが「ON」になり(S126)、処理はメイン処理へ戻る。
【0089】
図11を参照して、第一変動パターンの種類に応じた第一報知演出と、各第一報知演出に設けられるボタン演出等について説明する。第一変動パターンがいずれの場合においても、演出図柄100を構成する左図柄101、中図柄102及び右図柄103のそれぞれが、停止した状態から縦方向のスクロールを開始することによって、演出図柄100が変動表示を開始する。これにより、第一報知演出の実行が開始される。
【0090】
その後、演出図柄100のスクロールの速度が加速する変動加速が行われる。変動加速の結果、演出図柄100のスクロールの速度が最高速度となる高速変動の状態に至る。その後は、演出図柄100のスクロールの速度が減速する変動減速が行われた後、演出図柄100が大当たり判定の結果を示す組合せとなり、わずかに揺れて表示される揺れ変動の態様を用いて、演出図柄100が仮停止した状態が表示される。その後に演出図柄100が確定表示して、第一報知演出の実行終了が報知される。
【0091】
第一変動パターンが「非リーチ演出A」の場合、対応する第一報知演出は、第一保留球数に応じて「12秒変動」、「8秒変動」、「4秒変動」のいずれかで実行される。ここでは、「4秒変動」の例を示す。本実施形態では、「12秒変動」、「8秒変動」、「4秒変動」いずれの第一報知演出にも、ボタン演出が設けられない。
【0092】
パチンコ機1は、オートボタン機能を備える。オートボタン機能は、操作ボタン9を遊技者等が手動で操作することなく、操作ボタン9が操作された場合と同様のボタン演出を、パチンコ機1が自動的に行う機能である。パチンコ機1は、オートボタン機能が「ON」の場合、原則として、操作ボタン9が操作されなくても、操作ボタン9が操作された場合と同様に、所定のタイミングにボタン演出を実行する。パチンコ機1は、オートボタン機能が「OFF」の場合、原則として、操作ボタン9が操作されたときにボタン演出を実行し、操作ボタン9が操作されないときにはボタン演出を実行しない。以下では、操作ボタン9を手動で操作されたことに応じて行われるボタン演出を「手動操作演出」、オートボタン機能に基づいて操作ボタン9が手動で操作されることなく行われるボタン演出を「オート操作演出」という。
【0093】
本実施形態では、パチンコ機1は、第一報知演出の実行中において操作ボタン9を押下する操作が所定期間に亘って継続した場合、オートボタン機能の「ON」と「OFF」とを切り替える。操作ボタン9を押下する操作が所定期間に亘って継続する状態を、以下では、操作ボタン9が「長押し」された状態であるという。操作ボタン9を押下する操作がされた期間が「長押し」に必要な所定期間に満たない場合の操作ボタン9の操作を、以下では、「単発押し」という。すなわち、本実施形態において、オートボタン機能の「ON」と「OFF」との切り替えは、操作ボタン9の長押しによって行われ、単発押しによっては行われない。
【0094】
なお、パチンコ機1は、オートボタン機能が「OFF」の状態で操作ボタン9が長押しされた場合を、操作ボタン9の単発押しが短時間に繰り返して行われる連打が行われたものとして扱う、オート連打機能も備えている。オート連打機能は公知であるので、詳細な説明を省略する。
【0095】
第一変動パターンが「リーチ演出A」の場合、ボタン演出による予告演出である「ひよこ予告」が実行される期間が第一報知演出に設けられる。「ひよこ予告」は、演出図柄100の変動表示が高速変動に至った後に行われる。「ひよこ予告」は、表示画面28にひよこのキャラクタH1が表示される。その後、キャラクタH1がキャラクタH2又はキャラクタH3のいずれかに変化する。キャラクタH1は通常のひよこ、キャラクタH2は鳴かないひよこ、キャラクタH3は鳴いているひよこを表している。キャラクタH1がキャラクタH3に変化した場合には、キャラクタH1がキャラクタH2に変化した場合よりも実行中の第一報知演出の期待度が高いことが示唆される。
【0096】
オートボタン機能が「OFF」の場合、パチンコ機1は、操作ボタン9の単発押しを検出したときには、原則として、検出したタイミングでキャラクタH1からキャラクタH2又はキャラクタH3へ変化させるキャラクタ変化を行う。なお、本実施形態では、オートボタン機能が「OFF」の場合において操作ボタン9の単発押しが検出されないときには、原則としてキャラクタH1が表示され続け、キャラクタH2,H3に変化しないまま、ひよこ予告が終了する。一方、オートボタン機能が「ON」の場合、パチンコ機1は、原則として、「ひよこ予告」の実行期間中に操作ボタン9の単発押しを検出しなくても、実行期間中の所定のタイミング(以下、「オート操作タイミング」という。)で、自動的にキャラクタ変化を行う。遊技者は、オートボタン機能の「ON」又は「OFF」を所望するものに切り替えることができる。なお、オート操作タイミングは、ボタン演出毎に、ボタン演出の実行期間のうち後述するボタン演出カスタム機能に基づいて遊技者が設定した所定のタイミングに定められる。以下では、ボタン演出の実行期間を、ボタン演出期間という。
【0097】
第一変動パターンが「リーチ演出B」の場合、可動体演出期間が第一報知演出に設けられる。可動体演出期間は、演出図柄100の変動表示が高速変動に至った後に設けられる。可動体演出期間に実行される可動体演出は、可動体35が模るカエルが表示画面28の前側において左右方向に往復移動する動作及び回転動作を行うことによって行われる。
【0098】
第一変動パターンが「リーチ演出D」の場合、ボタン演出による予告演出である「ボタン連打演出」が実行される期間が第一報知演出に設けられる。「ボタン連打演出」は、演出図柄100の変動表示が高速変動に至った後であって、リーチ状態を構成した後に行われる。「ボタン連打演出」は、ボタン連打演出の実行期間に操作ボタン9が連打された回数が所定の回数以上に至った場合に、表示画面28に表示されるたまごが割れる内容で行われる。ボタン連打演出が開始されると、たまごを模る画像R1と、たまごを割るために必要な連打の回数の目安を示すゲージ表示R2とが表示される。なお、実行中の第一報知演出の期待度が比較的低い場合には、操作ボタン9が連打された回数が所定の回数以上に至っても、たまごが割れない場合も設けられている。オートボタン機能が「OFF」の場合、ボタン連打演出における操作ボタン9の連打については、単発押しの繰り返しによって行われる場合と、前述のオート連打機能によって行われる場合とがある。また、オートボタン機能が「ON」の場合、オート操作タイミングの到来に応じて、ゲージ表示R2の示す連打回数が、操作ボタン9を連打したときと同様に、所定のペースで増加する。
【0099】
第一変動パターンが「リーチ演出E」の場合、所定の映像が表示画面28にカットインする「カットイン演出」が実行される期間が第一報知演出に設けられる。カットイン演出はボタン演出である。カットイン演出では、手動操作演出又はオート操作演出として、画像C1,C2,C3のいずれかが,第一報知演出の期待度に応じて表示画面28に表示される。オートボタン機能が「OFF」の場合、パチンコ機1は、操作ボタン9の単発押しを検出したときには、原則として、検出したタイミングに画像C1,C2,C3のいずれかを表示画面28に表示する。なお、本実施形態では、オートボタン機能が「OFF」の場合において操作ボタン9の単発押しが検出されないときには、原則として画像C1,C2,C3のいずれも表示されないまま、カットイン演出が終了する。一方、オートボタン機能が「ON」の場合、パチンコ機1は、原則として、「カットイン演出」の実行期間中に操作ボタン9の単発押しを検出しなくても、オート操作タイミングに画像C1,C2,C3のいずれかを表示画面28に自動的に表示する。本実施形態では、画像C1,C2,C3の順に示唆する期待度が高くなる。カットイン演出は、演出図柄100の変動表示が高速変動に至った後であって、リーチ状態を構成した後に行われる。
【0100】
図12及び図13を参照して、オートボタン機能の「ON」と「OFF」との切り替えと、手動操作演出又はオート操作演出の実行態様との関係について説明する。以下では、オートボタン機能が「ON」である状態を「オートモード」、オートボタン機能が「OFF」である状態を「非オートモード」という。また、オートボタン機能の「ON」と「OFF」との切り替えのために、所定期間に亘って行われる操作ボタン9の長押し操作を、「切替操作」という。切替操作として必要な長押し操作の継続時間を、長押し必要時間という。本実施形態では、長押し必要時間は、2秒間である。すなわち、パチンコ機1は、操作ボタン9の長押しが2秒間継続して行われた場合、オートモードを非オートモードに、又は非オートモードをオートモードに、それぞれ切り替える。
【0101】
図12及び図13では、第一変動パターンがリーチ演出Eの場合に設けられるボタン演出であるカットイン演出(図11のW部分に相当)を例として説明する。図12は、オートモードから非オートモードにオートボタン機能が切り替わる場合を示す。ここでは、カットイン演出のオート操作タイミングが、カットイン演出の実行期間の中盤に設けられているとする。非オートモードにおいて手動で操作ボタン9を操作した場合に手動操作演出が実行される期間を、手動操作可能期間とする。本実施形態では、ボタン演出の実行期間(ボタン演出の開始時点から終了時点まで)の全てが手動操作可能期間である。したがって、非オートモードが設定されている場合、カットイン演出の実行期間中であれば、操作ボタン9が手動で操作されたタイミングに手動操作演出が行われる。本実施形態では、非オートモードが設定されている場合に操作ボタン9が手動で操作されなかった場合には、ボタン演出が行われない。
【0102】
図12は、オートモードから非オートモードへの切り替えが行われる場合を示す。(A)は、オート操作タイミングよりも先の時点に、オートモードから非オートモードへの切り替えが完了する場合の例である。この場合、オート操作タイミングには非オートモードが設定されるので、オート操作タイミングにオート操作演出が行われることがない。パチンコ機1は、非オートモードが設定されている状態で操作ボタン9の単発押しを検出した場合、単発押しを検出したタイミングに、画像C1,C2,C3(図11参照)のいずれかを表示画面28に表示する。
【0103】
(A)は、カットイン演出の開始前から切替操作が開始される例を示しているが、カットイン演出の開始後から切替操作が開始され、オート操作タイミングよりも先の時点にオートモードから非オートモードへの切り替えが行われる場合も同様である。また、カットイン演出の前後に亘って非オートモードのままオートボタン機能の切り替えが行われない場合も、(A)と同様である。
【0104】
(B)は、オート操作タイミングよりも後の時点に、オートモードから非オートモードへの切り替えが行われる場合の例である。この場合、オート操作タイミングにはオートモードが設定されるので、オート操作タイミングにオート操作演出が行われる。すなわち、オート操作タイミングに画像C1,C2,C3のいずれかが、自動的に表示画面28に表示される。本実施形態では、カットイン演出において画像C1,C2,C3のいずれかが表示画面28に表示されるタイミングは1回だけである。オート操作演出として画像C1,C2,C3のいずれかが表示された後、ボタン演出期間内に非オートモードが設定された場合に操作ボタン9が手動で単発押しされても、その単発押しに応じて画像C1,C2,C3が再び表示されることはない。
【0105】
(B)は、オート操作タイミングの後に開始された切替操作が、カットイン演出が終了するよりも先の時点に完了し、カットイン演出の終盤に非オートモードが設定される例を示している。オート操作タイミングの後に開始された切替操作がカットイン演出の終了後に完了し、オートモードから非オートモードへの切り替えがカットイン演出の終了後に行われる場合も、(B)と同様である。
【0106】
(C)は、切替操作の実行中にオート操作タイミングが到来する場合の例である。すなわち、切替操作の開始時点において、オート操作タイミングが到来するまでに残された時間(以下、「残余時間」という。)が、長押し必要時間よりも短い場合の例である。この場合は(B)の場合と同様に、オート操作タイミングにはオートモードが設定されており、オート操作タイミングが経過した後に非オートモードが設定される。
【0107】
(C)のように、オート操作タイミングよりも先の時点に切替操作が開始されている場合、切替操作を行う遊技者は、(A)の場合のように、オートモードを非オートモードに切り替えてカットイン演出を楽しみたいという意向を有していると考えられる。すなわち、遊技者は、切替操作の完了をカットイン演出の実行期間中に何とか間に合わせて、操作ボタン9を手動で操作することでカットイン演出を楽しみたいという意向を有していると考えられる。このような意向を有する遊技者に対して、パチンコ機1がオート操作タイミングにオート操作演出によるカットイン演出を実行することは、遊技者の意向に沿わないことになる。
【0108】
パチンコ機1は、遊技者の意向に沿ったボタン演出を提供するため、(C)の場合には、オート操作タイミングにオート操作演出を行わない。パチンコ機1は、切替操作が終了した後、手動操作可能期間に操作ボタン9の単発押しを検出した場合、検出したタイミングに応じて手動操作演出を実行する。これにより、パチンコ機1は、遊技者の意向に沿って、オート操作演出を実行せず、操作ボタン9を手動で操作する機会を確保し、遊技者のボタン演出に対する期待感、満足感を向上できる。
【0109】
なお、パチンコ機1は、(C)の場合において、オート操作タイミングにはオートモードが設定されているが、オート操作タイミングが切替操作の実行中に到来する場合には、例外的に、オート操作タイミングにオート操作演出を行わない制御を行う。
【0110】
図13は、非オートモードからオートモードへの切り替えが行われる場合を示す。(D)は、オート操作タイミングよりも先の時点に、非オートモードからオートモードへの切り替えが完了する場合の例である。この場合、オート操作タイミングにはオートモードが設定されるので、オート操作タイミングにオート操作演出が行われる。パチンコ機1は、オート操作タイミングにオート操作演出として、画像C1,C2,C3のいずれかを表示画面28に表示する。
【0111】
(D)は、カットイン演出の開始前から切替操作が開始される例を示しているが、カットイン演出の開始後から切替操作が開始され、オート操作タイミングよりも先の時点に非オートモードからオートモードへの切り替えが行われる場合も同様である。また、カットイン演出の前後に亘ってオートモードのままオートボタン機能の切り替えが行われない場合も、(D)と同様である。
【0112】
(E)は、オート操作タイミングよりも後の時点に、非オートモードからオートモードへの切り替えが行われる場合の例である。この場合、オート操作タイミングには非オートモードが設定されるので、オート操作タイミングにオート操作演出が行われることがない。パチンコ機1は、非オートモードが設定されている間に操作ボタン9を手動で単発押しする操作を検出した場合に、その単発押しに応じて画像C1,C2,C3を表示する。
【0113】
(E)は、オート操作タイミングの後に開始された切替操作が、カットイン演出が終了するよりも先の時点に完了し、カットイン演出の終盤にオートモードが設定される例を示している。オート操作タイミングの後に開始された切替操作がカットイン演出の終了後に完了し、非オートモードからオートモードへの切り替えがカットイン演出の終了後に行われる場合も、(E)と同様である。
【0114】
(F)は、切替操作の実行中にオート操作タイミングが到来する場合の例である。すなわち、切替操作の開始時点において、オート操作タイミングが到来するまでの残余時間が、長押し必要時間よりも短い場合の例である。この場合は(E)の場合と同様に、オート操作タイミングには非オートモードが設定されており、オート操作タイミングが経過した後にオートモードが設定される。
【0115】
(F)のように、オート操作タイミングよりも先の時点に切替操作が開始されている場合、切替操作を行う遊技者は、(D)の場合のように、非オートモードをオートモードに切り替えてカットイン演出を楽しみたいという意向を有していると考えられる。すなわち、遊技者は、切替操作の完了をカットイン演出の実行期間中に何とか間に合わせて、操作ボタン9を手動で操作するのではなく、オートモードでカットイン演出を楽しみたいという意向を有していると考えられる。このような意向を有する遊技者に対して、パチンコ機1がオート操作タイミングにオート操作演出によるカットイン演出を実行せず、手動で単発押しが行われないと画像C1,C2,C3がカットインしないことは、遊技者の意向に沿わないことになる。
【0116】
仮に、(F)の場合にオート操作演出が実行されない場合、切替操作後にはオートモードが設定されるが、オート操作タイミングを既に経過しているため、オート操作演出が行われる機会がない。加えて、切替操作の完了後には非オートモードが終了しているので、手動で操作ボタン9を操作しても、画像C1,C2,C3がカットインしない。この場合、遊技者はカットイン演出において画像C1,C2,C3を表示させる機会を失う。このような事態を回避し、遊技者の意向に沿ったボタン演出を提供するため、パチンコ機1は、(F)の場合には、オート操作タイミングにオート操作演出を行う。これにより、パチンコ機1は、遊技者の意向に沿って、操作ボタン9を手動で操作されなくてもオート操作演出を実行し、遊技者のボタン演出に対する期待感、満足感を向上できる。
【0117】
なお、パチンコ機1は、(F)の場合において、オート操作タイミングには非オートモードが設定されているが、オート操作タイミングが切替操作の実行中に到来する場合には、例外的に、オート操作タイミングにオート操作演出を行う制御を行う。
【0118】
図14及び図15を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、各種の演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、報知演出の制御、オートボタン機能の切り替え、オートモード及び非オートモードのそれぞれに応じたボタン演出の制御が行われる。この他、サブ制御基板処理では、大当たり遊技中の演出等の制御も行われるが、本件では説明を省略する。サブ制御基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従ってCPU581によって実行される。
【0119】
サブ制御基板処理で使用されるフラグについて説明する。サブ制御基板処理では、客待ち中フラグ、ボタン演出期間フラグ、オート操作キャンセルフラグ、オート操作演出実行フラグ等が使用される。これらのフラグは、RAM582に記憶される。
【0120】
客待ち中フラグは、パチンコ機1が客待ち状態にあるかを示すフラグであり、客待ち状態に「1」が記憶されて「ON」になり、客待ち状態でない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。ボタン演出期間フラグは、ボタン演出期間中であるかを示すフラグであり、ボタン演出期間中に「1」が記憶されて「ON」になり、ボタン演出期間中でない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。
【0121】
オート操作キャンセルフラグは、オートモードから非オートモードへの切替操作がオート操作タイミングをまたいで行われる場合であり、オートモードが設定されているがオート操作演出を実行しないことを示す。オート操作キャンセルフラグは、切替操作の実行中にオート操作演出の実行をキャンセルする場合に「1」が記憶されて「ON」になり、そうでない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。すなわち、図12(C)の場合における切替操作の実行中に、オート操作キャンセルフラグが「ON」になる。
【0122】
オート操作演出実行フラグは、非オートモードからオートモードへの切替操作がオート操作タイミングをまたいで行われる場合であり、非オートモードが設定されているがオート操作演出が実行されることを示す。オート操作演出実行フラグは、非オートモードが設定されているがオート操作演出を実行する場合に「1」が記憶されて「ON」になり、そうでない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。すなわち、図13(F)の場合における切替操作の実行中に、オート操作演出実行フラグが「ON」になる。
【0123】
図14に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から第一変動パターン指定コマンドを受信したかが判断される(S201)。第一変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S201:NO)、処理はS203の判断へ移行する。第一変動パターン指定コマンドを受信した場合(S201:YES)、第一報知演出実行処理が実行されて(S202)、処理はS203の判断へ移行する。
【0124】
図16を参照して、第一報知演出実行処理(S202、図14参照)の詳細について説明する。第一報知演出実行処理では、主に、第一報知演出の実行開始及び第一報知演出におけるボタン演出に関する処理が行われる。
【0125】
第一報知演出実行処理が開始されると、客待ち中フラグが「ON」であるかが判断される(S231)。客待ち中フラグが「OFF」である場合(S231:NO)、処理はS235へ移行する。客待ち中フラグが「ON」である場合(S231:YES)、客待ちデモ表示の実行が終了される(S232)。客待ちデモ表示は、パチンコ機1が客待ち状態において表示画面28に表示する各種の画像、映像等である。客待ち中フラグが「OFF」になり(S233)、処理はS235へ移行する。
【0126】
次いで、第一変動パターン指定コマンドの示す第一変動パターンが特定され、特定された第一変動パターンがRAM582に記憶される(S235)。S235で記憶された第一変動パターンが、ボタン演出を実行するものであるかが判断される(S236)。第一変動パターンがボタン演出を実行しないものである場合(S236:NO)、処理はS239へ移行する。
【0127】
第一変動パターンがボタン演出を実行するものである場合(S236:YES)、ボタン演出期間及びオート操作タイミングがRAM582に記憶される(S238)。ROM583は、第一変動パターンにおけるボタン演出期間を、第一変動パターンの種類毎に予め定義し、記憶している。CPU581は、ROM583に記憶される情報を参照することによって、ボタン演出期間の始期と終期を第一変動パターンの種類毎に特定し、特定したボタン演出期間の始期と終期をRAM582に記憶する。一つの第一変動パターンについてボタン演出期間が複数設けられている場合には、それぞれのボタン演出期間の始期と終期がRAM582に記憶される。
【0128】
次いで、S235で記憶された第一変動パターンに基づく第一報知演出の実行が開始される(S239)。CPU581は、S235で記憶した第一変動パターンに応じた映像に基づく第一報知演出の実行を指示するコマンドを演出制御基板43に送信する。第一報知演出の実行が開始されてから経過した時間である第一報知演出経過時間の計測が開始される(S241)。第一報知演出経過時間の計測は、RAM582のタイマカウンタを用いて行われる。処理はサブ制御基板処理へ戻る。
【0129】
図14の説明に戻る。次いで、第一報知演出が実行中であるかが判断される(S203)。第一報知演出経過時間が計測中でない場合には第一報知演出の実行中でないと判断されて(S203:NO)、処理はS208の判断へ移行する。第一報知演出経過時間が計測中である場合には第一報知演出の実行中であると判断されて(S203:YES)、オートボタン機能切替処理(S205)及びボタン演出期間判断処理(S206)が順に実行されて、処理はS208の判断へ移行する。
【0130】
図17及び図18を参照して、オートボタン機能切替処理(S205、図14参照)の詳細について説明する。オートボタン機能切替処理では、主に、オートボタン機能の「ON」と「OFF」との切り替えに関する処理が行われる。
【0131】
図17に示すように、オートボタン機能切替処理が開始されると、操作ボタン9の長押しが開始されたかが判断される(S251)。CPU581は、操作ボタン9からのボタン入力読込信号を、「OFF」、「OFF」、「ON」、「ON」の順の並びで「ON」又は「OFF」の各信号を受信した場合、操作ボタン9の操作が開始されたと判断する。CPU581は、操作ボタン9の操作が開始されたと判断した後、「ON」信号をさらに連続して所定回数受信した場合、操作ボタン9の長押しが開始されたと判断する。本実施形態においては、CPU581は、「ON」信号を連続して400回受信した場合(操作ボタン9の押下が400ミリ秒間継続して行われた場合)、操作ボタン9の長押しが開始されたと判断する。なお、CPU581は、操作ボタン9の操作が開始されたと判断した後、「ON」信号をさらに連続して受信した回数が400回未満である場合には、操作ボタン9が単発押しされたと判断する。
【0132】
操作ボタン9の長押しが開始されたと判断された場合(S251:YES)、操作ボタン9の長押しが継続して行われた時間である長押し継続時間の計測が開始される(S252)。長押し継続時間の計測は、RAM582のタイマカウンタを用いて行われる。CPU581は、S251で操作ボタン9の長押しが開始されたこと判断した後から経過した時間を、長押し継続時間として計測する。処理はサブ制御基板処理へ戻る。
【0133】
操作ボタン9の操作が検出されない場合、操作ボタン9の単発押しが検出された場合及び操作ボタン9の長押しが既に開始されている場合には、操作ボタン9の長押しが開始されたと判断されない。これらの場合(S251:NO)、長押し継続時間が計測中であるかが判断される(S253)。長押し継続時間が計測中でない場合(S253:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
【0134】
長押し継続時間が計測中である(すなわち、操作ボタン9の長押しが既に開始されている)場合(S253:YES)、オート操作演出実行フラグが「ON」であるかが判断される(S255)。オート操作演出実行フラグが「ON」である場合(S255:YES)、後述するS261における残余時間の算出が既に行われているので、処理はS271(図18参照)の判断へ移行する。オート操作演出実行フラグが「OFF」である場合(S255:NO)、オート操作キャンセルフラグが「ON」であるかが判断される(S256)。オート操作キャンセルフラグが「ON」である場合(S256:YES)、後述するS261における残余時間の算出が既に行われているので、処理はS271の判断へ移行する。
【0135】
オート操作キャンセルフラグが「OFF」である場合(S256:NO)、現時点がボタン演出期間であるかが判断される(S258)。CPU581は、RAM582で計測されている第一報知演出経過時間と、RAM582に記憶されているボタン演出期間の始期及び終期とを参照し、現時点がボタン演出期間に当たるかを判断する。現時点がボタン演出期間でない場合(S258:NO)、後述するS261における残余時間の算出が不要であるので、処理はS271の判断へ移行する。
【0136】
現時点がボタン演出期間である場合(S258:YES)、現時点がオート操作タイミングよりも先の時点であるかが判断される(S259)。CPU581は、RAM582で計測されている第一報知演出経過時間と、後述するボタン演出カスタム機能によってRAM582に記憶されているオート操作タイミングとを参照し、現時点がオート操作タイミングよりも先の時点であるかを判断する。現時点がオート操作タイミングよりも先の時点でない場合(S259:NO)、処理はS271の判断へ移行する。
【0137】
現時点がオート操作タイミングよりも先の時点である場合(S259:YES)、オート操作タイミングが到来するまでに残された時間である前述の残余時間が算出される(S261)。CPU581は、RAM582に記憶されているオート操作タイミングと、RAM582で計測されている第一報知演出経過時間とを比較して、残余時間を算出する。
【0138】
次いで、残余時間が長押し必要時間よりも短いかが判断される(S262)。残余時間が長押し必要時間以上の長さである場合(S262:NO)、処理はS271の判断へ移行する。残余時間が長押し必要時間よりも短い場合(S262:YES)、現時点にオートモードが設定されているかが判断される(S263)。現時点にオートモードが設定されている場合(S263:YES)、オート操作キャンセルフラグが「ON」になり(S265)、処理はS271の判断へ移行する。現時点に非オートモードが設定されている場合(S263:NO)、オート操作演出実行フラグが「ON」になり(S266)、処理はS271の判断へ移行する。
【0139】
次いで、図18に示すように、計測中の長押し継続時間が長押し必要時間を超えたかが判断される(S271)。長押し継続時間が長押し必要時間を超えていない場合(S271:NO)、操作ボタン9の長押しが終了しているかが判断される(S273)。CPU581は、操作ボタン9からのボタン入力読込信号を、「ON」、「ON」、「OFF」、「OFF」の順の並びで「ON」又は「OFF」の各信号を受信した場合、操作ボタン9の長押しが終了されたと判断する。操作ボタン9の長押しが終了していない場合(S273:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。操作ボタン9の長押しが終了している場合(S273:YES)、処理はS275へ移行する。
【0140】
長押し継続時間が長押し必要時間を超えた場合(S271:YES)、オートボタン機能が切り替えられる(S272)。なお、本実施形態では、オートボタン機能が「OFF」(非オートモード)であった場合には「ON」(オートモード)に、「ON」(オートモード)であった場合には「OFF」(非オートモード)に、それぞれ切り替えられる。次いで、長押し継続時間の計測が終了されて(S275)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
【0141】
図19を参照して、ボタン演出期間判断処理(S206、図14参照)の詳細について説明する。ボタン演出期間判断処理では、ボタン演出期間が開始又は終了したかが判断される。ボタン演出期間判断処理が開始されると、ボタン演出期間が開始するかが判断される(S281)。CPU581は、RAM582で計測されている第一報知演出経過時間と、RAM582に記憶されているボタン演出期間の始期とを参照し、現時点がボタン演出期間の始期に当たるかを判断する。現時点がボタン演出期間の始期でない場合(S281:NO)、処理はS283の判断へ移行する。現時点がボタン演出期間の始期である場合(S281:YES)、ボタン演出期間フラグが「ON」になる(S282)。処理はS283の判断へ移行する。
【0142】
次いで、ボタン演出期間が終了するかが判断される(S283)。CPU581は、計測中の第一報知演出経過時間と、RAM582に記憶されているボタン演出期間の終期とを参照し、現時点がボタン演出期間の終期に当たるかを判断する。現時点がボタン演出期間の終期でない場合(S283:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。現時点がボタン演出期間の終期である場合(S283:YES)、ボタン演出期間フラグが「OFF」になる(S285)。
【0143】
次いで、オート操作演出実行フラグが「ON」であるかが判断される(S286)。オート操作演出実行フラグが「OFF」である場合(S286:NO)、処理はS288の判断へ移行する。オート操作演出実行フラグが「ON」である場合(S286:YES)、オート操作演出実行フラグが「OFF」になり(S287)、処理はS288の判断へ移行する。
【0144】
次いで、オート操作キャンセルフラグが「ON」であるかが判断される(S288)。オート操作キャンセルフラグが「ON」である場合(S288:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。オート操作キャンセルフラグが「OFF」である場合(S288:YES)、オート操作キャンセルフラグが「OFF」になり(S289)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
【0145】
図14の説明に戻る。次いで、現時点がボタン演出期間であるかが判断される(S208)。ボタン演出期間フラグが「OFF」である場合にはボタン演出期間でないと判断されて(S208:NO)、処理はS211の判断へ移行する。ボタン演出期間フラグが「ON」である場合にはボタン演出期間であると判断されて(S208:YES)、ボタン操作検出処理が行われ(S209)、処理はS211の判断へ移行する。
【0146】
図20を参照して、ボタン操作検出処理(S209、図14参照)の詳細について説明する。ボタン操作検出処理では、操作ボタン9が手動で操作された場合に手動操作演出を実行するための制御及びオート操作演出を実行するための制御が行われる。
【0147】
ボタン操作検出処理が開始されると、オートモードが設定されているかが判断される(S291)。オートボタン機能が「ON」の場合にはオートモードが設定されていると判断されて(S291:YES)、オート操作キャンセルフラグが「ON」であるかが判断される(S292)。オート操作キャンセルフラグが「OFF」である場合(S292:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。オート操作キャンセルフラグが「ON」である場合(S292:YES)、処理はS293の判断へ移行する。
【0148】
一方、オートボタン機能が「OFF」の場合には非オートモードが設定されていると判断されて(S291:NO)、オート操作演出実行フラグが「ON」であるかが判断される(S296)。オート操作演出実行フラグが「ON」である場合(S296:YES)、処理はS293の判断へ移行する。
【0149】
次いで、オート操作タイミングが到来したかが判断される(S293)。CPU581は、RAM582で計測されている第一報知演出経過時間と、RAM582に記憶されているオート操作タイミングとを参照し、現時点がオート操作タイミングに当たるかを判断する。オート操作タイミングが到来していない場合(S293:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
【0150】
オート操作タイミングが到来している場合(S293:YES)、オート操作演出が実行される(S295)。CPU581は、オート操作演出に対応する映像の表示を指示するコマンドを演出制御基板43に送信する。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、CGROM(図示略)に記憶されているオート操作演出用の映像データを読み出し、読み出した映像データを用いて、オート操作演出に係る各種の映像を表示画面28に表示させる。処理はサブ制御基板処理へ戻る。
【0151】
一方、オート操作演出実行フラグが「OFF」である場合(S296:NO)、操作ボタン9が(実際に手動で)操作されたかが判断される(S298)。実行するボタン演出に対応する操作法(単発押し、連打、長押し等)による操作ボタン9の操作が検出された場合(S298:YES)、検出された操作に対応する手動操作演出が実行される(S299)。処理はサブ制御基板処理へ戻る。操作ボタン9の操作が検出されない場合(S298:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
【0152】
図14の説明に戻る。次いで、主基板41から第一特別図柄停止コマンドを受信したかが判断される(S211)。第一特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S211:NO)、処理はS213(図15参照)の判断へ移行する。第一特別図柄停止コマンドを受信した場合(S211:YES)、演出図柄100が第一大当たり判定の結果を示す図柄の組合せで確定表示されて、第一報知演出の実行が終了する(S212)。処理はS213の判断へ移行する。
【0153】
図15に示すように、主基板41から第二変動パターン指定コマンドを受信したかが判断される(S213)。第二変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S213:NO)、処理はS221の判断へ移行する。第二変動パターン指定コマンドを受信した場合(S213:YES)、客待ち中フラグが「ON」であるかが判断される(S215)。客待ち中フラグが「OFF」である場合(S215:NO)、処理はS219へ移行する。客待ち中フラグが「ON」である場合(S215:YES)、客待ちデモ表示の実行が終了される(S216)。CPU581は、客待ちデモ表示に対応する映像の表示の終了を指示するコマンドを演出制御基板43に送信する。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、表示画面28における客待ちデモ表示に係る各種の映像の表示を終了する。その後、客待ち中フラグが「OFF」になり(S218)、処理はS235へ移行する。次いで、第二変動パターン指定コマンドの示す第二変動パターンが特定され、特定された第二変動パターンに基づく第二報知演出の実行が開始される(S219)。処理はS221の判断へ移行する。
【0154】
主基板41から第二特別図柄停止コマンドを受信したかが判断される(S221)。第二特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S221:NO)、処理はS223の判断へ移行する。第二特別図柄停止コマンドを受信した場合(S221:YES)、演出図柄100が第二大当たり判定の結果を示す図柄の組合せで確定表示されて、第二報知演出の実行が終了する(S222)。処理はS223の判断へ移行する。
【0155】
次いで、主基板41から客待ちコマンドを受信したかが判断される(S223)。客待ちコマンドを受信していない場合(S223:NO)、処理はS228の判断へ移行する。客待ちコマンドを受信した場合(S223:YES)、客待ちデモ表示の実行が開始される(S225)。CPU581は、客待ちデモ表示に対応する映像の表示を指示するコマンドを演出制御基板43に送信する。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、CGROM(図示略)に記憶されている客待ちデモ表示用の映像データを読み出し、読み出した映像データを用いて、客待ちデモ表示に係る各種の映像を表示画面28に表示させる。その後、客待ち中フラグが「ON」になり(S226)、処理はS228の判断へ移行する。
【0156】
次いで、客待ち状態であるかが判断される(S228)。客待ち中フラグが「OFF」である場合には客待ち状態でないと判断されて(S228:NO)、処理はS201(図14参照)の判断へ戻る。客待ち中フラグが「ON」である場合には客待ち状態であると判断されて(S228:YES)、ボタン演出カスタム処理が行われて(S229)、処理はS201の判断へ戻る。
【0157】
図21から図25を参照して、パチンコ機1のボタン演出カスタム機能及びボタン演出カスタム機能に関するボタン演出カスタム処理について説明する。ボタン演出カスタム機能は、オートモードにおいてボタン演出期間に実行されるボタン演出であるオート操作演出の実行態様を、遊技者の所望に応じて調整することができる機能である。
【0158】
パチンコ機1は、ボタン演出期間におけるオート操作タイミングを、複数段階のうちから遊技者の所望に応じた段階のものに調整できる。この機能を、ボタン演出カスタム機能のうち、演出タイミングカスタム機能という。図21を参照して、パチンコ機1のカットイン演出(図11のW部分に相当)を例として、演出タイミングカスタム機能について説明する。
【0159】
ボタン演出期間は、所定の長さを有する期間である。図21(G-1),(G-2),(G-3)に示すように、パチンコ機1は、カットイン演出の始期から終期までの間(ボタン演出期間)において、オート操作タイミングを複数通りに設けることができる。(G-1)は、ボタン演出期間の序盤に、オート操作タイミングであるタイミングT1が設けられる例を示す。(G-2)は、ボタン演出期間の中盤に、オート操作タイミングであるタイミングT2が設けられる例を示す。(G-3)は、ボタン演出期間の終盤に、オート操作タイミングであるタイミングT3が設けられる例を示す。
【0160】
カットイン演出においては、第一報知演出の期待度に応じて画像C1,C2,C3のいずれかが表示画面28に表示される。パチンコ機1が画像C1,C2,C3を用いて示す第一報知演出の期待度を、遊技者が知りたいと思うタイミングは様々である。遊技者には、ボタン演出期間のうちできるだけ早く知りたい者、中盤に知りたい者、できるだけ遅く知りたい者、特にこだわりがない者等、様々な者が含まれる。パチンコ機1の演出タイミングカスタム機能は、カットイン演出についてタイミングT1,T2,T3のうちから所望のタイミングを遊技者に選ばせる機能である。なお、カットイン演出によって第一報知演出の期待度の示唆を受けたくないと所望する遊技者は、非オートモードを選択した上で、ボタン演出期間内に操作ボタン9を操作しなければよい。
【0161】
ボタン演出期間は、ボタン演出によって様々である。パチンコ機1は、演出タイミングカスタム機能で遊技者が選択できるオート操作タイミングの段階を、(G-4)に示すオート操作タイミングテーブルにおいて、ボタン演出の種類毎に定めている。パチンコ機1は、オート操作タイミングテーブルを、ROM583に記憶する。オート操作タイミングテーブルは、ボタン演出の種類毎に、タイミングT1,T2,T3の3段階のオート操作タイミングを、各ボタン演出の開始後のどの時点とするかを定義している。
【0162】
「リーチ演出C」は、1回の第一報知演出において複数種類のボタン演出(本例では「セリフ予告」と「可動体出現演出」)を実行する。(G-4)に示すように、オート操作タイミングテーブルは、「リーチ演出C」の「セリフ予告」と「可動体出現演出」とのそれぞれのボタン演出について複数段階のオート操作タイミングを定義する。パチンコ機1は、すべてのボタン演出について同じ段階(本例では3段階)のオート操作タイミングを設ける必要はない。例えば、セリフ予告に定義されるオート操作タイミングのうち、タイミングT3は、タイミングT2と同じタイミングであり、セリフ予告についてはオート操作タイミングが実質的に2段階となる。
【0163】
オート操作タイミングテーブルによって定義されるオート操作タイミングは、操作ボタン9の単発押しに対応するタイミングだけでなく、単発押しの連打の開始タイミングを定義してもよい。例えば、「リーチ演出D」の「ボタン連打演出」についても、オート操作タイミングテーブルは、複数通りのオート操作タイミングを定義している。パチンコ機1は、「ボタン連打演出」について定義されるオート操作タイミングのそれぞれを、オート操作演出におけるゲージ表示R2(図11参照)の示す連打回数の増加を開始する時点とする。
【0164】
また、パチンコ機1は、オートモードにおいて、ボタン連打演出等で操作ボタン9を操作することなく自動的に行われる操作ボタン9の単発押しのペースを、遊技者の所望に応じて調整できる。操作ボタン9の単発押しのペースを、連打ペースという。パチンコ機1は、連打ペースを、複数段階のうちから遊技者の所望に応じた段階のものに調整できる。この機能を、ボタン演出カスタム機能のうち、連打ペースカスタム機能という。なお、本実施形態では、オート連打機能によって自動的に行われる操作ボタン9の単発押しの連打ペースについても、連打ペースカスタム機能によって調整できる。
【0165】
パチンコ機1は、図22に示す連打ペーステーブルを、ROM583に記憶する。連打ペーステーブルは、ペースA,B,Cの3段階の連打ペースを定義する。ペースAは1秒間に2回の単発押しが行われた場合と同様の連打ペースであり、ペースBは1秒間に4回の単発押しが行われた場合と同様の連打ペースであり、ペースCは1秒間に6回の単発押しが行われた場合と同様の連打ペースである。
【0166】
図23を参照して、ボタン演出カスタム処理(S229、図15参照)の詳細について説明する。ボタン演出カスタム処理は客待ち状態に実行される処理であり、CPU581は、ボタン演出カスタム機能の設定をするための操作ボタン9の操作を検出することに応じて各種の処理を実行する。以下では、ボタン演出カスタム機能の設定操作の例を示す図24及び図25を、図23の説明に合わせて参照する。CPU581は、客待ち状態において、図24(1)に示す内容の客待ちデモ表示を表示画面28において実行する。(1)に示すように、客待ちデモ表示は、遊技説明画像、パチンコ機に関するキャラクタの画像等によって構成される
【0167】
図23に示すように、ボタン演出カスタム処理が開始されると、操作メニュー画像80の表示が要求されたかが判断される(S301)。本実施形態において、操作メニュー画像80の表示の要求は、客待ち状態において操作ボタン9の所定時間に亘る長押しによって開始される。操作ボタン9の所定時間に亘る長押しが検出されない場合には操作メニュー画像80の表示が要求されていないと判断されて(S301:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。操作ボタン9の所定時間に亘る長押しが検出された場合には操作メニュー画像80の表示が要求されたと判断されて(S301:YES)、表示画面28に操作メニュー画像80が表示される(S302)。
【0168】
図24(2)に示すように、操作メニュー画像80は、パチンコ機1の各種の設定を遊技者に促すための画像である。操作メニュー画像80は、光量調整ボタン81、音量調整ボタン82、ボタンカスタムボタン83及び終了ボタン89を含む。遊技者は、操作メニュー画像80が表示された状態で操作ボタン9の単発押しを繰り返すことによって、光量調整ボタン81、音量調整ボタン82、ボタンカスタムボタン83、終了ボタン89、光量調整ボタン81…の順で各ボタンを選択できる。いずれかのボタンが選択された状態で所定時間が経過した場合、選択されたボタンの表示色が反転し、選択されたボタンに応じた画像がその後に表示される。
【0169】
光量調整ボタン81が選択された場合、パチンコ機1の遊技中の発光度合いを調整するための画像(図示略)が表示される。音量調整ボタン82が選択された場合、遊技中にスピーカ48から出力される音量を調整するための画像(図示略)が表示される。パチンコ機1の光量調整及び音量調整については公知であるので、詳細な説明を省略する。ボタンカスタムボタン83は、ボタン演出カスタム機能の設定操作を行うためのボタンである。なお、終了ボタン89が選択された場合、操作メニュー画像80が表示画面28から消去される。また、図示しないが、操作メニュー画像80が表示された後、操作ボタン9の操作が検出されない状態が所定期間継続した場合、操作メニュー画像80が表示画面28から消去される。
【0170】
次いで、ボタンカスタムボタン83が選択されたかが判断される(S303)。ボタンカスタムボタン83が選択されない場合(S303:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。ボタンカスタムボタン83が選択された場合、図24(3)に示すようにボタンカスタムボタン83の表示色が反転された後、図24(4)に示す演出タイミング設定画像85が表示画面28に表示される(S305)。
【0171】
図24(4)に示すように、演出タイミング設定画像85は、演出タイミングカスタム機能の設定を行うための画像であり、早めボタン851、ふつうボタン852、遅めボタン853及び次へボタン859を含む。早めボタン851は、オート操作タイミングのうちタイミングT1に対応する。ふつうボタン852はタイミングT2に対応する。遅めボタン853はタイミングT3に対応する。次へボタン859は、オート操作タイミングを特に設定せず、連打ペースカスタム機能の設定に移る場合に用いられる。
【0172】
遊技者は、演出タイミング設定画像85が表示された状態で操作ボタン9の単発押しを繰り返すことによって、早めボタン851、ふつうボタン852、遅めボタン853、次へボタン859、早めボタン851…の順で各ボタンを選択できる。いずれかのボタンが選択された状態で所定時間が経過した場合、選択されたボタンの表示色が反転し、選択されたボタンに応じた画像がその後に表示される。なお、終了ボタン89が選択された場合、演出タイミング設定画像85が表示画面28から消去される。
【0173】
次いで、オート操作タイミングをタイミングT1,T2,T3のいずれにするかに関する入力があったかが判断される(S306)。S306では、早めボタン851、ふつうボタン852、遅めボタン853のいずれが選択されたかが判断される。オート操作タイミングをタイミングT1,T2,T3のいずれにするかに関する入力があった場合(S306:YES)、入力に対応するオート操作タイミングが設定される(S308)。CPU581は、早めボタン851が選択された場合にはタイミングT1を、ふつうボタン852が選択された場合にはタイミングT2を、遅めボタン853が選択された場合にはタイミングT3を、それぞれRAM582に記憶する。図25(5)は、早めボタン851が選択され、表示色が判定された状態を示す。一方、次へボタン859が選択された場合には、オート操作タイミングの入力がないと判断され(S306:NO)、デフォルトのオート操作タイミングであるタイミングT2が設定される(S309)。次いで、図25(6)に示す連打ペース設定画像86が表示画面28に表示される(S311)。
【0174】
図25(6)に示すように、連打ペース設定画像86は、連打ペースカスタム機能の設定を行うための画像であり、ゆっくりボタン861、ふつうボタン862、速めボタン863及びメニュートップボタン869を含む。ゆっくりボタン861は、連打ペースのうちペースAに対応する。ふつうボタン862はペースBに対応する。速めボタン863はペースCに対応する。メニュートップボタン869は、連打ペース特に設定せず、操作メニュー画像80に戻る場合に用いられる。
【0175】
遊技者は、連打ペース設定画像86が表示された状態で操作ボタン9の単発押しを繰り返すことによって、ゆっくりボタン861、ふつうボタン862、速めボタン863、メニュートップボタン869、ゆっくりボタン861…の順で各ボタンを選択できる。いずれかのボタンが選択された状態で所定時間が経過した場合、選択されたボタンの表示色が反転し、選択されたボタンに応じた画像がその後に表示される。
【0176】
連打ペースをペースA,B,Cのいずれにするかに関する入力があったかが判断される(S312)。S312では、ゆっくりボタン861、ふつうボタン862、速めボタン863のいずれが選択されたかが判断される。連打ペースをペースA,B,Cのいずれにするかに関する入力があった場合(S312:YES)、入力に対応する連打ペースが設定される(S313)。CPU581は、ゆっくりボタン861が選択された場合にはペースAを、ふつうボタン862が選択された場合にはペースBを、ゆっくりボタン863が選択された場合にはペースCを、それぞれ設定する。CPU581は、設定した連打ペースを示す情報をRAM582に記憶し、以降のオート操作演出における連打ペース及びオート連打機能による連打ペースを、設定した連打ペースとする。図25(7)は、速めボタン863が選択され、表示色が判定された状態を示す。一方、メニュートップボタン869が選択された場合には、連打ペースの入力がないと判断され(S312:NO)、デフォルトの連打ペースであるペースBが設定される(S315)。処理はサブ制御基板処理へ戻る。なお、メニュートップボタン869が選択された場合、連打ペース設定画像86が表示画面28から消去され、操作メニュー画像80が表示される。
【0177】
このように、パチンコ機1は、演出タイミングカスタム機能及び連打ペースカスタム機能によって、オート操作タイミング及び連打ペースを、遊技者の所望する内容に近づける調整をすることができる。したがって、遊技者は、オートモードにおいて、手動で操作ボタン9を操作することなく、自身が手動で操作ボタン9を操作した場合と同様の感覚でオート操作演出を楽しむことができる。パチンコ機1は、オートモードにおける遊技者の満足度を高め、パチンコ機1の稼働の向上を図ることができる。また、遊技者は、ボタン演出カスタム機能によってオート操作タイミング及び連打ペースがいずれに設定されているかを、ボタン演出が実行される場合にオートモードと非オートモードを切り替えるか否かの判断材料にすることができる。パチンコ機1は、オートモードを備える遊技機の楽しみ方を多様化できる。
【0178】
図26を参照して、パチンコ機1のオートボタン機能に関する報知内容について説明する。パチンコ機1は、オートボタン機能の状態に応じて、所定の報知動作を行う。図26(1)は、オートモード(オートボタン機能が「ON」の場合)における報知内容、(2)は、非オートモード(オートボタン機能が「OFF」の場合)における報知内容を示す。図26に示す報知内容は、操作ボタン9の発色の態様である。原則として、オートモードにおいては緑色に、非オートモードにおいては白色に、操作ボタン9がそれぞれ発色する。
【0179】
パチンコ機1は、オートモードにおいてオート操作キャンセルフラグの状態に応じて、異なる報知動作を実行する。(1)に示すように、オートモードにおいてオート操作キャンセルフラグが「OFF」の場合、操作ボタン9は緑色に発色する。図12(A),(B)のように切替操作が行われる場合、切替操作の実行中には、操作ボタン9は緑色に発色する。これにより、パチンコ機1は、オートモードが設定されており、操作ボタン9を手動で操作することなくオート操作演出が実行される状態にあることを、遊技者に報知できる。また、図12(A),(B)の切替操作の終了後には非オートモードが設定される。この場合、操作ボタン9が緑色から白色に変化するので、遊技者は、切替操作によってオートモードから非オートモードにオートボタン機能が切り替わったことを認識できる。
【0180】
一方、オートモードにおいてオート操作キャンセルフラグが「ON」の場合、操作ボタン9は、所定のペースで白・白・緑の順の発色動作を繰り返す。図12(C)のように切替操作が行われる場合がこれに相当する。これにより、パチンコ機1は、オートモードが設定されているが、オート操作演出が実行されない状態にあることを、遊技者に報知できる。すなわち、オートモードが設定されている状態において、オート操作タイミングをまたいでオートモードから非オートモードへの切替操作が行われているので、遊技者の意向に沿ってオート操作タイミングにオート操作演出か実行されないことが遊技者に報知される。遊技者は、操作ボタン9が緑色よりも白色に発色する割合が多いので、オートモードであるが自身の意向に沿ってオート操作演出が行われない状態にあることを報知動作によって把握できる。遊技者は、自身の意向に沿ってオート操作演出がキャンセルされることを認識できるので、遊技者のパチンコ機1に対する満足度が向上する。
【0181】
パチンコ機1は、非オートモードにおいてオート操作演出実行フラグの状態に応じて、異なる報知動作を実行する。(2)に示すように、非オートモードにおいてオート操作演出実行フラグが「OFF」の場合、操作ボタン9は白色に発色する。図13(D),(E)のように切替操作が行われる場合、切替操作の実行中には、操作ボタン9は白色に発色する。これにより、パチンコ機1は、非オートモードが設定されており、操作ボタン9の単発押しに応じて手動操作演出が行われる状態にあることを、遊技者に報知できる。また、図13(D),(E)の切替操作の終了後にはオートモードが設定される。この場合、操作ボタン9が白色から緑色に変化するので、遊技者は、切替操作によって非オートモードからオートモードにオートボタン機能が切り替わったことを認識できる。
【0182】
一方、非オートモードにおいてオート操作演出実行フラグが「ON」の場合、操作ボタン9は、所定のペースで緑・緑・白の順の発色動作を繰り返す。図13(F)のように切替操作が行われる場合が、これに相当する。これにより、パチンコ機1は、非オートモードが設定されているが、オート操作演出が実行される状態にあることを、遊技者に報知できる。すなわち、非オートモードが設定されている状態において、オート操作タイミングをまたいで非オートモードからオートモードへの切替操作が行われているので、遊技者の意向に沿ってオート操作演出が実行されることが遊技者に報知される。遊技者は、操作ボタン9が白色よりも緑色に発色する割合が多いので、非オートモードであるが自身の意向に沿ってオート操作演出が行われる状態にあることを報知動作によって把握できる。遊技者は、自身の意向に沿ってオート操作演出が実行されることを認識できるので、遊技者のパチンコ機1に対する満足度が向上する。
【0183】
図27及び図28を参照して、本発明に係る遊技機の第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態のパチンコ機1において、以下で説明する構成以外の構成については、第一実施形態のパチンコ機1と共通する。したがって、第二実施形態における第一実施形態と共通する構成については、説明を適宜省略する。
【0184】
図27を参照して、ROM583に記憶されている長押し必要時間テーブルについて説明する。第二実施形態のパチンコ機1は、ボタン演出期間中にオートボタン機能の「ON」と「OFF」との切り替えを何とか間に合わせて、所望するボタン演出を楽しみたいという遊技者の意向に沿うための構成として、長押し必要時間テーブルを備える。
【0185】
長押し必要時間テーブルは、複数通りの長押し必要時間を定義する。非ボタン演出期間中の長押し必要時間は第一時間(第二実施形態においては2秒)である。ボタン演出期間中の長押し必要時間は第二時間(第二実施形態においては0.5秒)である。第二時間を第一時間よりも短時間としている点が、第二実施形態の特徴である。
【0186】
図28を参照して、第二実施形態のオートボタン機能切替処理について説明する。なお、図28において、第一実施形態のオートボタン機能切替処理と同様の処理については、図17及び図18と同じステップ番号を付して、説明を適宜省略する。
【0187】
第二実施形態のオートボタン機能切替処理は、オート操作演出実行フラグ、オート操作キャンセルフラグを用いない。したがって、第二実施形態のオートボタン機能切替処理は、第一実施形態のオートボタン機能切替処理で行っていたS255からS266の処理を行わない。第二実施形態は、切替操作の開始に伴い長押し継続時間の計測が開始された後に、第一実施形態には設けられていない処理が行われる。
【0188】
第二実施形態のオートボタン機能切替処理では、長押し継続時間の計測が開始されると(S252)、現時点がボタン演出期間であるかが判断される(S401)。CPU581は、RAM582で計測されている第一報知演出経過時間と、RAM582に記憶されているボタン演出期間の始期及び終期とを参照し、現時点がボタン演出期間に当たるかを判断する。現時点がボタン演出期間でない場合(S401:NO)、長押し必要時間が第一時間とされる(S403)。現時点がボタン演出期間である場合(S401:YES)、長押し必要時間が第二時間とされる(S402)。CPU581は、S402又はS403で決定された長押し必要時間をRAM582に記憶し、S271においてRAM582に記憶した第一時間又は第二時間に基づいて、長押し継続時間が長押し必要時間を超えたかを判断する。処理はサブ制御基板処理に戻る。
【0189】
第二実施形態のパチンコ機1は、非ボタン演出期間においては長押し必要時間を第二時間よりも長い第一時間とすることで、操作ボタン9の長押しが所定期間に亘って行われると切替操作が完了することを遊技者に理解させることができる。また、第二実施形態のパチンコ機1は、ボタン演出期間における切替操作については、長押し必要時間を第二時間とすることで、非ボタン演出期間よりも短い時間で切替操作を完了させることができる。ボタン演出期間中に切替操作を開始する遊技者は、オートボタン機能の「ON」と「OFF」との切り替えをボタン演出期間中に何とか間に合わせて、所望するボタン演出を楽しみたいという意向を有していることが多い。パチンコ機1は、ボタン演出期間中の切替操作に係る長押し必要時間を、非ボタン演出期間のものよりも短縮することで、オートボタン機能を意向に沿って切り替えることのできる遊技者を増やすことができる。これにより、パチンコ機1は、従来よりも多くの遊技者の満足度を向上することができる。
【0190】
第二実施形態においては、第一実施形態と同様に、オートモードにおいては緑色に、非オートモードにおいては白色に、操作ボタン9がそれぞれ発色する。このため、非ボタン演出期間においては、操作ボタン9が第一時間に亘って長押しされた場合に、操作ボタン9の発色態様が変化する。また、ボタン演出期間においては、操作ボタン9が第一時間よりも短い第二時間の長押しで操作ボタン9の発色態様が変化する。パチンコ機1は、オートモード機能の状態に応じて操作ボタンの発色を変化させることによって、ボタン演出期間においては長押し必要時間が短縮されることを遊技者に認識させることができる。パチンコ機1は、ボタン演出期間における切替操作を遊技者に促し、遊技者の意向に沿ったボタン演出を実行する機会を従来よりも増やすことができるので、ボタン演出の興趣が向上する。
【0191】
以上説明したように、オートボタン機能の切り替えのための切替操作としての操作ボタン9の長押しに長押し必要時間が設けられる場合がある。パチンコ機1は、長押し継続時間が長押し必要時間に達した場合、オートボタン機能を切り替える(S271)。例えば、ボタン演出を手動操作演出として楽しみたいと考える遊技者がオートモードから非オートモードへの切替操作を開始したとする。従来の遊技機は、オート操作タイミングよりも先に切替操作が完了しない場合には、オート操作タイミングにオート操作演出を実行する。この場合、遊技者は、手動操作演出への切り替えが間に合わず、意に沿わないオート操作演出が行われたことを、残念に思うこととなる。第一実施形態のパチンコ機1は、オートモードから非オートモードへの切替操作が開始されてからオート操作タイミングまでの残余時間が長押し必要時間よりも短い場合(S262:YES、S263:YES)、オート操作キャンセルフラグを「ON」にする(S265)。パチンコ機1は、オート操作キャンセルフラグが「ON」の場合、オート操作タイミングにおけるオート操作演出の実行をキャンセルする(S292:YES)。また、パチンコ機1は、非オートモードからオートモードへの切替操作が開始されてからオート操作タイミングまでの残余時間が長押し必要時間よりも短い場合(S262:YES、S263:NO)、オート操作演出実行フラグを「ON」にする(S266)。パチンコ機1は、オート操作演出実行フラグが「ON」の場合、オート操作タイミングにオート操作演出を実行する(S296:YES、S295)。これにより、パチンコ機1は、オートモード機能の切替操作がオート操作タイミングに間に合わない場合であっても、遊技者の意向に沿ったボタン演出を提供することができる。
【0192】
第二実施形態のパチンコ機1は、ボタン演出期間における長押し必要時間を、非ボタン演出期間における長押し必要時間である第一時間よりも短い第二時間とする。これにより、パチンコ機1は、オート操作タイミングに切替操作を間に合わせて、所望の内容のボタン演出を楽しみたいという遊技者の意向に応えやすい。パチンコ機1は、遊技者の意向を汲み取り、ボタン演出期間における切替操作に必要な時間を短縮し、ボタン演出に対する遊技者の満足度を向上できる。
【0193】
パチンコ機1は、原則として、オートモードにおいては緑色に、非オートモードにおいては白色に、操作ボタン9をそれぞれ発色させる。遊技者は、緑色がオートモード、白色が非オートモードに対応することを認識できる。第一実施形態のパチンコ機1は、例外的に、オートモードにおいてオート操作キャンセルフラグが「ON」の場合、操作ボタン9を所定のペースで白・白・緑の順に繰り返して発色させる。また、第一実施形態のパチンコ機1は、非オートモードにおいてオート操作演出実行フラグが「ON」の場合、操作ボタン9を所定のペースで緑・緑・白の順に繰り返して発色させる。遊技者は、自身の意向に沿ったボタン演出が行われる状態が例外的に設けられていることを、報知動作によって認識することができる。また、第二実施形態のパチンコ機1は、オートモードにおいては緑色に、非オートモードにおいては白色に、操作ボタン9をそれぞれ発色させることによって、ボタン演出期間における長押し必要時間が非ボタン演出期間における長押し必要時間よりも短縮されることを、遊技者に視覚的に報知することができる。したがって、パチンコ機1は、ボタン演出に対する遊技者の満足度を向上できる。
【0194】
上記実施形態において、操作ボタン9が,本発明の「受付手段」に相当する。操作ボタン9の長押しが、本発明の「特定操作」に相当する。図17及び図28のS251の判断を実行するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「第一判断手段」として機能する。ボタン演出が、本発明の「操作演出」に相当する。オートボタン機能が「OFF」の状態が、本発明の「第一状態」に相当する。オートボタン機能が「ON」の状態が、本発明の「第二状態」に相当する。図18及び図28のS272を実行するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「第一切替実行手段」として機能する。ボタン演出期間が、本発明の「操作演出期間」に相当する。オート操作タイミングが、本発明の実行タイミングに相当する。第一変動パターンにおけるボタン演出期間を、第一変動パターンの種類毎に予め定義し、図23のS308及びS309でオート操作タイミングを設定するサブ制御基板58のROM583が、本発明の「定義手段」に相当する。図17のS262の判断を実行するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「第二判断手段」として機能する。図17のS265及びS266の処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「第二切替実行手段」として機能する。図28のS402及びS403の処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「時間設定手段」として機能する。図26に示す態様で操作ボタン9を発色させるサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「状態報知手段」として機能する。
【0195】
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。本発明の「受付手段」には、操作ボタン9のような押下式の手段の他、押す操作、引く操作等を受付可能なレバー状の操作レバー、トラックボール式のスイッチ、指などで回転させることで作動する回転式のスイッチ等、様々な手段を適用できる。上記実施形態では、パチンコ機1に操作ボタン9が1つだけ設けられるが、本発明の受付手段は、1台の遊技機に複数設けられてもよい。受付手段が複数設けられる場合には、それらの一部又は全部について本発明が適用されてもよい。
【0196】
上記実施形態の長押し必要時間は、一例であり、上記実施形態のものよりも長くても短くてもよい。本発明の「特定操作」は、受付手段の特定の操作であればよい。したがって、オートボタン機能の切り替えのための操作ボタン9の操作は、操作ボタン9の長押しの他、操作ボタン9を特定回数連打する、操作ボタン9を特定のリズムで単発押しする、単発押しと長押しとを所定のパターンで繰り返す等、多様に定められてよい。演出に関する操作の入力を受け付ける受付手段として操作レバーが設けられる場合、特定操作は、操作レバーを所定時間に亘って引く、押す、回す等の各種の動作であってもよい。受付手段としてトラックボールが設けられる場合には、トラックボールの操作が継続する時間に応じて特定操作とするか否かが決定されてもよい。受付手段は、接触操作が必要な物理的なスイッチに限られず、モーションセンサ等の非接触操作が可能なセンサ類であってもよい。
【0197】
上記実施形態では、オートボタン機能の「ON」と「OFF」との切り替えが第一報知演出の実行中に行われる例を示した。この他、パチンコ機1は、本発明に係るオートボタン機能の切り替えを、第二報知演出の実行中、大当たり遊技の実行中、遊技が行われていない場合のデモ映像の表示中等、様々な場面で実行してもよい。本発明によるオートボタン機能の切り替えが行われるかが、時短状態であるか等、遊技状態に応じて決定されてもよい。
【0198】
オートボタン機能の「ON」から「OFF」への切り替え及び「OFF」から「ON」への切り替えの双方が、上記実施形態の内容で行われる必要はない。したがって、オートボタン機能の「ON」から「OFF」への切り替え又は「OFF」から「ON」への切り替えのいずれか一方が上記実施形態の内容で行われ、他方がその他の手法で切り替えが行われてもよい。
【0199】
第一実施形態において、図12(C)は、オート操作タイミングにおいてオートモードから非オートモードへの切替操作がまだ完了していない状態である。第一実施形態では、このような場合にオート操作キャンセルフラグを「ON」とし、オートモードが設定されているがオート操作キャンセルフラグが「ON」の場合には、オート操作タイミングにおいて例外的にオート操作演出を行わない構成を採る。同様に、図13(F)は、オート操作タイミングにおいて非オートモードからオートモードへの切替操作がまだ完了していない状態である。第一実施形態では、このような場合にオート操作演出実行フラグを「ON」とし、非オートモードが設定されているがオート操作演出実行フラグが「ON」の場合には、オート操作タイミングにおいて例外的にオート操作演出を行う構成を採る。すなわち、第二切替実行手段による状態切替は、切替操作の完了前であり、切替操作開始時点の状態が継続しているが、実行タイミングよりも前に状態切替がなされたものとして扱う処理として行われてもよい。
【0200】
一方、図12(C)のように、切替操作の実行中にオート操作キャンセルフラグが「ON」である場合には、オートモードから非オートモードへのオートボタン機能の切り替えが実際に行われてもよい。同様に、図13(F)のように、切替操作の実行中にオート操作演出実行フラグが「ON」である場合には、非オートモードからオートモードへのオートボタン機能の切り替えが実際に行われてもよい。すなわち、第二切替実行手段による状態切替は、切替操作の完了前であるが実行タイミングよりも前に実際に状態切替を行う処理として行われてもよい。
【0201】
上記実施形態では、オートボタン機能を切り替えるための切替操作と、手動操作演出を実行させるための単発押しとが、同じ操作ボタン9を用いる。このため、切替操作の実行中に操作ボタン9の単発押しが実行されることが実質的にない。この点、パチンコ機1は、オートボタン機能を切り替えるための受付手段である第一受付手段と、手動操作演出を実行させるための受付手段である第二受付手段とを備えてもよい。この場合、オートボタン機能の切替操作と手動操作演出を実行させるための操作とが、第一受付手段と第二受付手段とによって独立して行われる。すなわち、切替操作の実行中に手動操作演出を実行させるための第二受付手段に対する手動操作が行われうる。
【0202】
このような場合において図12(C)の状況になったとき、パチンコ機1は、切替操作の実行中においてオート操作演出の実行をキャンセルすることに加えて、切替操作の実行中に手動操作を検出したことに応じて手動操作演出を行ってもよい。これにより、パチンコ機1は、切替操作の完了を待たずに手動操作に応じて手動操作演出を実行できるので、オートモードから非オートモードへ切り替えてボタン演出を楽しみたい遊技者の意向に応えることができる。
【0203】
また、このような場合において図13(F)の状況になったとき、パチンコ機1は、切替操作の実行中においてオート操作演出の実行することとすることに加えて、切替操作の実行中に手動操作を検出しても手動操作演出を実行しないこととしてもよい。この場合、切替操作の完了を待たずにオート操作タイミングにオート操作演出が確実に実行されるので、パチンコ機1は、非オートモードからオートモードへ切り替えてボタン演出を楽しみたい遊技者の意向に応えることができる。一方、図13(F)の状況において、切替操作を開始したが、今回のボタン演出は第二受付手段を手動で操作することによって楽しみたいという意向を遊技者が有している場合もある。このことを鑑み、パチンコ機1は、切替操作の実行中において、オート操作タイミングよりも先の時点に第二受付手段の手動操作を検出した場合には、その手動操作の検出に応じて手動操作演出を行ってもよい。この場合において、パチンコ機1は、オート操作タイミングよりも先の時点に第二受付手段の手動操作を検出しなかった場合には、オート操作タイミングにオート操作演出を行えばよい。
【0204】
ボタン演出は、表示画面28に映像が表示される内容の他、スピーカ48から特定の音が出力される、パチンコ機1の各種の電飾部材が特定の態様で発光する、操作ボタン9が発光したり振動したりする内容で行われてもよい。ボタン演出は、操作ボタン9の単発押し、長押し、連打等、様々な操作に応じて行われてもよい。
【0205】
ボタン演出カスタム機能によって調整可能なオート操作演出の実行態様は、上記実施形態の他、様々に応用できる。例えば、パチンコ機1は、所定のリズムの単発押しを実行するテンポ(BPM)を早いものから遅いものまで複数段階設け、遊技者の所望に応じてそれらのいずれかを選択できるようにしてもよい。パチンコ機1は、連打ペースとして、上記実施形態のものに加えて、速めの連打→ゆっくりの連打→早い連打…を繰り返すものを設けてもよい。
【0206】
オートボタン機能の「ON」「OFF」等に応じた報知は、図26に示す例に限られない。操作ボタン9の発色の他、パチンコ機1の各種の電飾部材のうち特定のものの点灯、点滅、発色等のパターンを変化することによって、報知が行われてもよい。例えば、オートモードにおいては「オートモード」、非オートモードにおいては「非オートモード」の文言等を用いて、表示画面28において報知が行われてもよい。オートモードでの切替操作中においてオート操作キャンセルフラグが「ON」の場合(図12(C)、白・白・緑の順の発色動作時に相当)、例えば、「今回はオート操作演出を実行しないよ」の文字等を用いて、オートモードであるが例外的にオート操作演出が行われないことが、表示画面28において報知されてもよい。非オートモードでの切替操作中においてオート操作演出実行フラグが「ON」の場合(図13(F)、緑・緑・白の順の発色動作時に相当)、例えば、「今回はオート操作演出を実行するよ」の文字等を用いて、オートモードであるが特例的にオート操作演出が行われることが、表示画面28において報知されてもよい。また、スピーカ48から出力される音の違いによって報知が行われてもよい。このような報知を行うことで、パチンコ機1は、遊技者の意向に沿った演出を提供していることを遊技者に認識させ、ボタン演出に対する遊技者の満足感を向上できる。
【0207】
第二実施形態において、パチンコ機1は、S401(図28参照)の判断に加えて、現時点がボタン演出期間のうちオート操作タイミングよりも先の時点であるか否かの判断を行ってもよい。パチンコ機1は、現時点がオート操作タイミングよりも先の時点であると判断した場合に長押し必要時間を第二時間とし(S402)、そうでない場合に長押し必要時間を第一時間としてもよい(S403)。オート操作演出がすでに行われた場合等には、その後のボタン演出期間中にオートボタン機能の切り替えが迅速に行われる必要性が低下する。パチンコ機1は、このような場合にはデフォルトとして第一時間を設定し、オートボタン機能の切り替えが迅速に行われる必要性が高いオート操作タイミングよりも先の時点の場合には特例として第二時間を設定する。これにより、パチンコ機1は、遊技者の意向に、より正確に沿うことかできる。また、操作ボタン9の長押しを開始した時点のオートボタン機能が「ON」であるか「OFF」であるかに応じて、異なる第一時間、異なる第二時間が設けられていてもよい。
【0208】
パチンコ機1がボタン演出カスタム機能のうち演出タイミングカスタム機能を備えず、ボタン演出期間内に1通りのオート操作タイミングを、ボタン演出毎に予め定めている場合にも、本発明は実現できる。連打ペースカスタム機能についても同様に、1通りの連打ペースが予め設定されている遊技機についても、本発明を適用できる。
【0209】
上記実施形態では、ボタン演出カスタム機能の設定が客待ち状態に行われるが、これに限られず、遊技機の稼働中にボタン演出カスタム機能の設定の機会が設けられてもよい。
【0210】
上記実施形態では、ボタン演出カスタム機能である連打ペースカスタム機能によって設定される連打ペースが、オート連打機能によって自動的に行われる操作ボタン9の単発押しの連打にも適用される。パチンコ機1は、少なくとも、オート操作演出において連打が自動的に行われる連打ペースを遊技者の所望のものに設定できる構成であればよい。例えば、オート連打機能による連打ペースはオート連打機能による設定の対象とはならず、予め1通りに定められていてもよい。
【0211】
上記実施形態では、ボタン演出期間の全てが手動操作可能期間であるが、手動操作可能期間は、ボタン演出期間の一部の期間であってもよい。この場合、ボタン演出期間の一部に設けられる手動操作可能期間が、本発明の「操作演出期間」に相当する。
【0212】
主基板41のCPU51、演出制御基板43のCPU431等、サブ制御基板58のCPU581以外の手段が、オートボタン機能切替処理、ボタン演出期間判断処理、ボタン操作検出処理を実行してもよい。オートボタン機能切替処理、ボタン演出期間判断処理、ボタン操作検出処理に含まれる各処理の一部が、サブ制御基板58のCPU581に加えて主基板41のCPU51、演出制御基板43のCPU431等を用いて、分散して実行されてもよい。
【0213】
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、受付手段等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「受付手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0214】
1 パチンコ機
9 操作ボタン
58 サブ制御基板
581 CPU
582 RAM
583 ROM
図1
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