(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035086
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】携帯型衝立
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20220225BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20220225BHJP
A47B 17/04 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A47B96/04 A
A47B13/00 Z
A47B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139170
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】大久保 伸一
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ07
(57)【要約】
【課題】容易に着脱することができ且つ持ち運び可能な携帯型衝立を提供する。
【解決手段】折り畳み状態と展開状態とをそれぞれ維持することの可能な枠部21と、枠部21に沿って外縁部が取り付けられたシート状部材22と、展開状態にある枠部21を、枠部21と交差する方向から支持する複数の支持部材3と、を備え、支持部材3は、枠部21を取り外し可能に支持する。枠部21を展開状態とし、シート状部材22が張られた状態にしこれを支持部材3で支持することで携帯型衝立1を設置し、枠部21を折り畳み状態にしシート状部材22を折り畳むことにより携帯型衝立1を容易に携帯することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み状態と展開状態とをそれぞれ維持することの可能な枠部と、
当該枠部に沿って外縁部が取り付けられたシート状部材と、
展開状態にある前記枠部を、当該枠部と交差する方向から支持する複数の支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記枠部を取り外し可能に支持することを特徴とする携帯型衝立。
【請求項2】
前記支持部材は側面視でU字形状を有する保持部を備え、当該保持部で前記枠部を支持することを特徴とする請求項1に記載の携帯型衝立。
【請求項3】
前記支持部材は吸盤を有し、当該吸盤により前記支持部材を取り付ける面に固定するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯型衝立。
【請求項4】
前記枠部は略矩形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の携帯型衝立。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型衝立に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対面式のカウンターにおける窓口業務の従事者を、インフルエンザ等の感染を防ぐ目的で任意の対面位置に設置するようにした、着脱可能な対面用防護パネルが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、レストランや喫茶店等で相席となったときに、互いの視線を遮るため、両者の間に設置するようにした、着脱可能な衝立も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3152493号公報
【特許文献2】実用新案登録第3202335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の対面用防護パネルや衝立は、着脱可能であって、必要なときに設置し不要なときには取り外すことができる。しかしながら、いずれの場合も、対面式のカウンターが設置された店側或いはレストラン等側が主体となって設置するものであるため、利用者が、パネルや衝立を設置することを希望したとしても、店側に用意がなければ設置することができない。利用者側でパネルや衝立を用意すればよいが、ある程度の大きさを有するため、常時携帯するには邪魔である。
【0005】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、容易に着脱することができ且つ持ち運び可能な携帯型衝立を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の一態様によれば、折り畳み状態と展開状態とをそれぞれ維持することの可能な枠部と、枠部に沿って外縁部が取り付けられたシート状部材と、展開状態にある枠部を、枠部と交差する方向から支持する複数の支持部材と、を備え、支持部材は、枠部を取り外し可能に支持する、携帯型衝立が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支持部材は取り外し可能に枠部を支持し、枠部は展開状態と折り畳み状態とを維持可能に形成されているため、衝立を使用しないときには枠部を折り畳み状態とすることにより、支持部材と共に枠部を小さく纏めることができ、衝立を容易に携帯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る携帯型衝立の一例を示す正面図である。
【
図3】本体の収納方法を説明するための説明図の一例である。
【
図4】携帯型衝立の設置状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
〔携帯型衝立の構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯型衝立1の一例を示したものである。
携帯型衝立1は、本体2と複数の支持部材3と、を備え、本体2は、枠部21とシート状部材22とを備える。
図1では、3つの支持部材3を備える。
枠部21は、シート状部材22を折り畳んだり、開いたりするためのものである。枠部21は、バネ鋼などの弾性変形可能なループ状のワイヤで形成され、シート状部材22の外縁部に設けられる。枠部21は、例えばワンタッチテント等のように折り曲げることで、複数のリング部が形成され、これら複数のリング部が重なりあうことによって、枠部21が折り畳まれて、結果的に本体2が折り畳まれるようになっている。
【0011】
シート状部材22は模様が施された布で形成され、略矩形状を有する。シート状部材22の外縁部には袋部が形成され、シート状部材22の縁に沿って環状に配置された袋部に、バネ鋼等のワイヤを通し、ループ状の枠部21としている。そのため、枠部21を構成するワイヤが元の直線状に戻ろうとすることによって、シート状部材22が引っ張られ、その結果、本体2は、シート状部材22が、角が面取りされた略四角形状のピンと張られた形状となり、この状態で維持されるようになっている。
【0012】
シート状部材22は伸縮性を有するシートからなり、シート状部材22としては布であってもよく、具体的には例えば綿、麻、絹などの繊維であってよい。また、シート状部材22は、布に限らず、ポリエステル系の素材であってもよい。
本体2、つまりシート状部材22は、展開状態で、JIS規格で定める標準規格A3程度の大きさであることが望ましい。
【0013】
支持部材3は、
図2に示すように、保持部31と保持部31の下端に設けられた吸盤32とを備える。保持部31は
図2に示すように、側面視がローマ字の「U」字形状を有し、U字状部分で本体2を支持するようになっている。
【0014】
支持部材3は、例えば
図3に示すように、携帯型衝立1を設置するテーブル等の上面である設置面f1と、設置面f1に垂直な垂直面f2とに取り付けることによって、携帯型衝立1を設置面f1に対して垂直に支持するようになっている。つまり、3つの支持部材3のうち、2つの支持部材3の吸盤32それぞれを設置面f1に取り付けることにより、支持部材3が設置面f1上で自立し、残りの支持部材3の吸盤32を垂直面f2に取り付けることによって、設置面f1に垂直な方向と垂直面f2に垂直な方向との2方向から、本体2を支持するようになっている。
【0015】
なお、支持部材3は、底面に吸盤32が設けられ、本体2を支持することができればどのような形状であってもよい。また、本体2と共に携帯することができれば、どのような大きさであってもよい。例えば、保持部31はU字形状ではなく、ピンチ状の把持部であってもよく、本体2を把持部で挟むことで支持するようにしてもよい。また、本体2に支持部材3を予め固定しておき、展開した状態の本体2に取り付けられた支持部材3の吸盤32を設置面f1及び垂直面f2に取り付けることで、本体2を設置面f1に対して垂直となるように支持してもよい。また、支持部材3は、3つに限るものではなく、設置面f1及び垂直面f2に対してそれぞれ1つずつ計2つの支持部材3により本体2を支持するようにしてもよく、また、4つ以上の支持部材3によって、本体2を支持するようにしてもよい。
【0016】
さらに、支持部材3は、同一形状でなくてもよく、例えば、垂直面f2に取り付ける支持部材3には吸盤32を設け、設置面f1に取り付ける支持部材3は吸盤32を持たず、自立できる形状であってもよい。
そして、折り畳んだ状態の本体2と複数の支持部材3とは、例えば
図4に示すように収納袋4に収納される。展開状態での本体2の大きさが、JIS規格で定める標準規格A3程度の大きさである場合、折り畳んだ状態の本体2は、JIS規格で定める標準規格A4~A5程度の大きさの収納袋4に収納することができる。そのため、展開状態では携帯することが困難な携帯型衝立1であっても、折り畳んだ状態とすることによって容易に携帯することができる。
【0017】
〔携帯型衝立の使用方法〕
図3に示すカウンター席において、テーブルに携帯型衝立1を設置する場合について説明する。
まず、収納袋4から、折り畳まれた状態の本体2と支持部材3とを取り出す。次いで枠部21を広げ、折り畳まれた状態の本体2を展開する。枠部21は、弾性変形可能なループ状のワイヤで形成されているため、枠部21を広げると、枠部21が元の一つのループ状に戻ろうとし、さらに、枠部21をなすワイヤが元の直線状に戻ろうとするため、枠部21は、略矩形状に復帰しさらにシート状部材22が引っ張られた状態に復帰する。
【0018】
そして、
図3に示すように、テーブルの上面に、支持部材3を前後に二つ配置し、吸盤32でテーブルの上面である設置面f1に取り付ける。同様にして、残りの支持部材3を吸盤32により垂直面f2に取り付ける。この状態で、展開状態の本体2を3つの支持部材3のU字状部分に嵌める。これにより、本体2は、テーブルの上面(設置面f1)に垂直に維持される。つまり、利用者の片側に携帯型衝立1が設けられた状態となる。このとき、本体2を、設置面f1と垂直面f2との2方向から支持するため、例えば、本体2の腕や手がぶつかること等により、本体2が傾いたり倒れたりすることを回避することができる。
【0019】
なお、テーブルの前に垂直面f2が設けられていない場合には、テーブルの上面(設置面f1)に取り付けた2つの支持部材3のみで本体2を支持するようにしてもよく、3つの支持部材3を設置面f1に取り付け、本体2をより強固に略垂直に維持するようにしてもよい。
【0020】
次に、携帯型衝立1がテーブル上に設置されている状態から、
図4に示すように、携帯型衝立1を収納する場合には、まず本体2を支持部材3から取り外す。続いて、本体2を折り畳む。例えば、枠部21を長さ方向に2つに折り曲げ、上に配された枠部21の両側部で2つのリングを作る。これにより、2つ折りにした下の部分と、上に配された部分で作った2つのリングとによって、3つのリングが形成される。次いで、3つのリングを重ね合わせ、3つの支持部材3と共に、収納袋4に収納する。これによって、本体2は折り畳まれた状態を維持するため、利用者は本体2が折り畳まれた、よりコンパクトな状態で携帯型衝立1を携帯することができる。
【0021】
〔効果〕
本発明の一実施形態に係る携帯型衝立1は、本体2を展開した状態を維持すると共に、折り畳んだ状態をも維持できるようにしている。そのため、本体2を展開した状態とすることにより衝立として用いることができ、衝立として使用しないときには本体2を折り畳むことで、展開した状態よりも小さくすることができ、容易に携帯することができる。
また、支持部材3をテーブル等に取り付けるときには、支持部材3に設けられた吸盤32により取り付けている。そのため、支持部材3を取り付け面に固定することができ、本体2が動かないように支持することができる。
また、折り畳んだ状態の本体2において、折り畳まれた枠部21を広げるだけで、本体2を展開することができる。そのため、利用者は簡単に携帯型衝立1をセットすることができる。逆に、枠部21を折り畳むことで本体2を折り畳むことができるため、携帯型衝立1の着脱を容易に行うことができる。
【0022】
〔変形例〕
上記実施形態においては、枠部21としてバネ鋼などの弾性変形可能なループ状のワイヤを用い、枠部21を折り畳み、枠部21により3つのリングを作ることで、枠部21を折り畳む場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、枠部21の各辺を、略中央部分で折り曲げ可能に構成すると共に、展開した状態も維持できるように構成すること等により、折り畳み状態と展開状態とを維持することができればよい。
また、上記実施形態においては、本体2が略矩形状である場合について説明したが、シート状部材を引っ張った状態に維持することができ且つ容易に折り畳むことができればどのような形状であってもよい。
【0023】
また、上記実施携帯においては、支持部材3は保持部31と吸盤32とが一体に形成されている場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、吸盤32に対して保持部31を回動可能に取り付けてもよい。このようにすることによって、吸盤32を取り付けた面に対し、保持部31が支持する本体2の傾きを可変とすることができる。そのため、例えば、設置面f1に対し、垂直面f2に相当する面が垂直でない場合でも、保持部31を傾け、本体2を保持部31が斜めから支持することにより、本体2を確実に支持することができる。また、本体2が略矩形状でなくとも吸盤32と保持部31との相対位置を調整することによって、設置面f1及び垂直面f2に吸盤32を取り付けた状態で、本体2を支持することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0024】
また、上記実施形態においてはシート状部材22に模様が施されている場合について説明したがこれに限るものではない。例えば、カウンター席で携帯型衝立1を設置した場合、隣の席に座った人に違和感、不快感を与える可能性がある。そのため、シート状部材22に、例えば、感染症予防の標語等を描いて、隣席の人に与える違和感、不快感を低減するようにしてもよい。例えば「新型コロナウイルスの感染症予防のために3密(密閉空間、密集場所、密接場面)を避けよう」という主旨の標語等を描くことにより、新型コロナウイルス感染防止のために携帯型衝立1を設置していることを、隣席の人に認識させることができる。その結果、臨席の人に与える違和感、不快感を低減することができる。また、シート状部材22に、企業の広告等を描いてもよく、このように、広告等が描かれていれば、隣席の人は、販促品として配布された携帯型衝立1であると推測することができ、携帯型衝立1を設置したとしても、隣席の人に与える違和感、不快感を低減することができる。
【0025】
また、企業の広告等が描かれた携帯型衝立1を販促品として配布し、例えば、携帯型衝立1を使用している状況の写真を広告主に送ると、ポイントが付与され、ポイント数に応じた還元を携帯型衝立1の利用者が得られるようにしたシステムを構築するようにしてもよい。
【0026】
なお、上述した実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 携帯型衝立
2 本体
21 枠部
22 シート状部材
3 支持部材
31 保持部
32 吸盤
4 収納袋