(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035118
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 3/60 20060101AFI20220225BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
B41J3/60
B41J29/38 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139217
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】植田 健二
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 和
【テーマコード(参考)】
2C061
2C062
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HK15
2C061HK16
2C061HK19
2C061HN15
2C061HN23
2C061HN24
2C062RA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】片面印刷用の印刷装置を用いて両面印刷を行う際の利便性を向上させた印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、シートを積載可能な積載部と、シートの一方面に対して印刷を行う印刷部12と、駆動制御部15とを備え、駆動制御部は、両面印刷を指示する第1印刷ジョブを受け取った後に第2印刷ジョブを更に受け取った場合、第1印刷ジョブに基づくシートの第1面への印刷を印刷部により行うと共に印刷で使用されたシートを示す情報を第1情報として取得し、第1印刷ジョブに基づくシートの第1面への印刷の完了後に積載部に新たに積載されたシートを示す情報を第2情報として取得し、第1~第2情報が所定条件を満たすときには第1印刷ジョブに基づくシートの第2面への印刷を行い、また、第1~第2情報が所定条件を満たさないときには第2印刷ジョブに基づく印刷を行うと共に第1印刷ジョブに基づくシートの第2面への印刷を保留する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および第2面を有するシートを積載可能な積載部と、シートの一方面に対して印刷を行う印刷部と、駆動制御部とを備える印刷装置であって、
前記駆動制御部は、
両面印刷を指示する第1印刷ジョブを受け取った場合、前記第1印刷ジョブに基づくシートの前記第1面への印刷を前記印刷部により行うと共に、該印刷で使用されたシートを示す情報を第1情報として取得し、前記第1印刷ジョブに基づくシートの前記第1面への印刷の完了後に前記積載部に新たに積載されたシートを示す情報を第2情報として取得し、
前記第1印刷ジョブを受け取った後に前記第1印刷ジョブとは異なる第2印刷ジョブを更に受け取った場合、前記第1~前記第2情報が所定条件を満たすときには、前記第1印刷ジョブに基づくシートの前記第2面への印刷を行い、前記第1~前記第2情報が前記所定条件を満たさないときには、前記第2印刷ジョブに基づく印刷を行うと共に前記第1印刷ジョブに基づくシートの前記第2面への印刷を保留する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1情報は、前記第1印刷ジョブに基づく前記第1面への印刷で使用されたシートの量を示し、
前記第2情報は、前記積載部に新たに積載されたシートの量を示す
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記積載部から前記印刷部にシートを搬送する搬送部を更に備え、
前記駆動制御部は、前記搬送部が搬送したシートの量を前記第1情報として取得する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷部により印刷されたシートを排出可能な排出部を更に備え、
前記駆動制御部は、前記排出部に排出されたシートの量を前記第1情報として取得する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項記載の印刷装置。
【請求項5】
前記排出部を第1排出部として、前記第1排出部とは異なる第2排出部を更に備え、
前記駆動制御部は、
前記第1~前記第2情報が前記所定条件を満たす場合には、前記第1印刷ジョブに基づいて印刷されたシートを前記第1排出部に排出し、
前記第1~前記第2情報が前記所定条件を満たさない場合には、前記第2印刷ジョブに基づいて印刷されたシートを前記第2排出部に排出する
ことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1~前記第2情報が前記所定条件を満たすことは、前記第1情報が示すシートの量と前記第2情報が示すシートの量との差が所定の範囲内である
ことを特徴とする請求項2から請求項5の何れか1項記載の印刷装置。
【請求項7】
信号発生部を更に備え、
前記第1印刷ジョブに基づく前記第1面への印刷の完了後、所定時間に亘って、前記第1~前記第2情報が前記所定条件を満たさない場合、及び/又は、前記積載部に新たにシートが積載されない場合、前記信号発生部は前記第1印刷ジョブの残りの印刷のキャンセルするための信号を発生する
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、片面印刷用の印刷装置を用いて、例えば、奇数ページについて所定のシートの一方面に対して印刷した後に、偶数ページについて同シートの他方面に対して印刷することにより、両面印刷を実現することが記載されている。この場合、ユーザには、一方面への印刷の完了後かつ他方面への印刷の開始前に、一方面の印刷が完了したシートを印刷装置に改めてセットすることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、上記シートをセットする前に印刷装置に次の印刷ジョブが入力された場合には該次の印刷ジョブが保留されうるため、該次の印刷ジョブが長時間に亘って実行されない可能性があり、利便性の観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明は、片面印刷用の印刷装置を用いて両面印刷を行う際の利便性の向上を比較的簡素な構成で実現可能とすることを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は印刷装置にかかり、前記印刷装置は、第1面および第2面を有するシートを積載可能な積載部と、シートの一方面に対して印刷を行う印刷部と、駆動制御部とを備える印刷装置であって、前記駆動制御部は、両面印刷を指示する第1印刷ジョブを受け取った場合、前記第1印刷ジョブに基づくシートの前記第1面への印刷を前記印刷部により行うと共に、該印刷で使用されたシートを示す情報を第1情報として取得し、前記第1印刷ジョブに基づくシートの前記第1面への印刷の完了後に前記積載部に新たに積載されたシートを示す情報を第2情報として取得し、前記第1印刷ジョブを受け取った後に前記第1印刷ジョブとは異なる第2印刷ジョブを更に受け取った場合、前記第1~前記第2情報が所定条件を満たすときには、前記第1印刷ジョブに基づくシートの前記第2面への印刷を行い、前記第1~前記第2情報が前記所定条件を満たさないときには、前記第2印刷ジョブに基づく印刷を行うと共に前記第1印刷ジョブに基づくシートの前記第2面への印刷を保留することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、片面印刷用の印刷装置を用いて両面印刷を行う際の利便性を向上可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る印刷装置の構成を示すブロック図。
【
図2】印刷装置の一態様における外観側面を示す模式図。
【
図3】印刷装置の他の態様における外観側面を示す模式図。
【
図4】印刷装置における駆動制御の方法の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る印刷装置1の構成を示すブロック図である。
図2は、印刷装置1の一態様における外観側面を示す模式図を示す。
図3は、印刷装置1の他の態様における外観側面を示す模式図を示す。
【0011】
印刷装置1は、ホスト装置等とも称される外部装置9と有線または無線により通信可能であり、外部装置1から印刷ジョブを受け取って印刷を行うインクジェット記録方式のプリンタとする。印刷装置1は、記録装置、画像形成装置等と表現されてもよい。印刷装置1は、積載部11、印刷部12、搬送部13、排出部14、駆動制御部15および信号発生部16を備える。
【0012】
積載部11は、シート状の印刷媒体ないし記録媒体(以下、単に「シート」という。)SHを積載可能に構成される。本実施形態では、積載部11は、シートSHの積載量に応じて昇降可能に構成され、積載されたシート(以下、「積載シート」という。)SHを下方から押圧するように保持する。
【0013】
例えば、ユーザは、
図2に示されるように、積載部11を下方に移動させることにより該積載部11にシートSHを積載させることができ、その後、積載部11は上方に移動し、積載シートSHの最上端(最上のシートSH)は位置P1にて係止される。印刷によりシートSHが使用された場合には、
図3に示されるように、シートSHの使用量に応じて積載部11は上方に移動することとなる。
【0014】
尚、積載部11の昇降は、ユーザによる所定のスイッチへの操作入力により行われてもよいし、ユーザが積載部11そのものを手動で移動させることにより行われてもよい。
【0015】
以下の説明において、個々のシートSHの表面および裏面の一方を第1面とし、他方を第2面とする。シートSHは、典型的には紙材で構成されうるが、布材、樹脂材等、他の材料で構成されていてもよい。
【0016】
印刷部12は、シートSHの一方面に対して印刷を実行可能に構成され、即ち、印刷装置1は片面印刷用のプリンタとする。印刷部12には、公知のシリアルヘッドやラインヘッドが用いられればよい。印刷部12は、印刷ヘッド、記録ヘッド等と表現されてもよい。
【0017】
搬送部13は、例えば1以上の搬送ローラおよび其れ/其れ等を駆動する電動モータを含み、積載部13から印刷部12にシートSHを搬送可能に構成される。本実施形態においては、積載シートSHは、最上のものから順に搬送部13により搬送される。付随的に、搬送部13は、印刷済のシートSHを印刷部12から排出部14に搬送する1以上の搬送ローラを更に含みうる。
【0018】
排出部14は、例えば排出トレイを含み、印刷部12により印刷されたシートSHを排出可能に構成される。排出部14には、印刷済のシートSHが積載される。
【0019】
駆動制御部15は、CPU(中央演算部)151、ROM(Read Only Memory)152、及び、RAM(Random Access Memory)153を有し、印刷装置1のシステム全体の駆動制御を行う。例えば、駆動制御部15は、CPU151により、外部装置9からの印刷ジョブに基づいて印刷データをRAM153上で展開し、必要な印刷情報をROM152に記憶させ、それにより、上述の個々の要素の駆動制御を行う。このようにして、搬送部13は、単一のシートSHあるいは2以上のシートSHを順に積載部11から印刷部12に搬送する。その間、印刷部12は該搬送されたシートSHに対して印刷を行い、そして、印刷済のシートSHは排出部14に排出される。
【0020】
本実施形態に係る駆動制御部15の制御内容の詳細については後述とするが、その機能は、ASIC(特定用途向け集積回路)等の半導体装置により実現されてもよい。即ち、本明細書で説明される駆動制御部15の機能はハードウェア及びソフトウェアの何れによって実現されてもよい。
【0021】
信号発生部16は、詳細については後述とするが、所定信号を発生可能に構成される。
【0022】
上述のとおり、印刷装置1は、片面印刷用の構造ないし機構を有するが、両面印刷を指示する印刷ジョブにも対応可能に構成される。両面印刷の場合、ユーザは、第1面のみ印刷されて排出部14に排出されたシートSHを、排出部14から取り出して積載部11に改めて積載することとなる。例えば、1以上のシートSHの第1面に対して奇数ページのみの印刷が行われ、その後、同シートSHの第2面に対して偶数ページのみの印刷が行われる。ここでは、第1面、第2面の順に印刷が行われることとするが、この順序は逆でもよい(第2面、第1面の順に印刷が行われてもよい。)。
【0023】
一方、ユーザが上記シートSHを積載部11に積載する前に、次の印刷ジョブが外部装置9から印刷装置1に新たに入力される場合が考えられる。このような場合、上記シートSHが積載部11に積載されるまで、該次の印刷ジョブは保留されたままとなってしまうこととなりうる。或いは、上記第1面のみ印刷されたものとは異なるシートSHが積載部11に積載されてしまう場合も考えられる。このような場合、シートSHを無用に消費してしまうこととなりうる。よって、このような場合における印刷装置1の利便性の向上に有利な技術が求められる。
【0024】
図4は、本実施形態に係る駆動制御の方法を示すフローチャートである。本フローチャートは、主に駆動制御部15により実行される。本フローチャートは、印刷装置1が印刷可能な状態になったことに応じて開始されるものとする。
【0025】
本フローチャートの概要は、例えば、印刷ジョブ(第1印刷ジョブJ1とする。)が入力された後に次の印刷ジョブ(第2印刷ジョブJ2とする。)を更に入力された場合、積載部11に新たに積載されたシートSHに基づいて制御態様が変更される、というものである。ここで、印刷ジョブJ1は、両面印刷を指示するものとする。印刷ジョブJ2は、本実施形態では理解の容易化のため、片面印刷を指示するものとするが、他の実施形態として両面印刷を指示するものであってもよい。
【0026】
本フローチャートの間、駆動制御部15では、例えばRAM153を用いて、処理されるべき印刷ジョブ(印刷ジョブJ1~J2を含む。)の個々の内容、該印刷ジョブに基づく印刷に使用されたシートSHの量(例えば枚数、総重量)を示す情報等の管理が適宜行われる。印刷ジョブは、例えば、片面印刷および両面印刷の何れを指示するものか、個々のシートSHに印刷されるべき画像、該画像が形成されるべきシートSHの面(即ち、第1面および第2面の何れか)等の情報を示す。尚、ここでいう画像の概念には、文字、記号、図形、写真等の他、それらの間に形成されうる空白も含まれるものとする。
【0027】
ステップS1000(以下、単に「S1000」と示す。後述の他のステップについても同様とする。)では、未処理の印刷ジョブの有無を判定する。未処理の印刷ジョブが存在する場合にはS1010に進み、そうでない場合にはS1000に戻るものとする。
【0028】
S1010では、未処理の印刷ジョブのなかから最も古いものをRAM153から読み出す。
【0029】
S1020では、S1010で読み出された印刷ジョブが片面印刷および両面印刷の何れを指示するものかを判定する。該判定の結果、片面印刷(シートSHの第1面のみに対する印刷指示)の場合にはS1030に進み、両面印刷(シートSHの第1面および第2面の双方に対する印刷指示)の場合にはS1040に進む。
【0030】
S1030では、S1020で片面印刷を指示するものと判定された印刷ジョブに基づいて、搬送部13により積載部11から印刷部12にシートSHを順に搬送しながら印刷部12により該シートSHの第1面に対して印刷を行う。該印刷の完了を以って、この印刷ジョブは処理済となる(未処理の印刷ジョブから削除される。)。
【0031】
S1040では、S1020で両面印刷を指示するものと判定された印刷ジョブに基づいて、搬送部13により積載部11から印刷部12にシートSHを順に搬送しつつ、先ず、該シートSHの第1面に対して印刷部12により印刷を行う。その後、S1045にて、該印刷に使用されたシートSHを示す情報(第1情報Inf1とする。)を取得し、S1050に進む。
【0032】
本実施形態では、情報Inf1は、搬送部13が搬送したシートSHの量を示す。この場合、搬送部13には、搬送されたシートSHの量を計測するセンサが設けられればよい。代替的に、情報Inf1は、例えば、搬送部13により積載部11から搬送されたシートSHの量を示してもよい。この場合、積載部11には、使用されたシートSHの量(例えば、積載部11の移動距離)を計測するセンサが設けられればよい。代替的に、情報Inf1は、排出部14に排出されたシートSHの量を示してもよい。この場合、排出部14には、排出されたシートSHの量(例えば、排出部14に積載されたシートSHの厚み/重量)を計測するセンサが設けられればよい。
【0033】
S1050では、積載部11にシートSHが新たに積載されたか否かを判定する。この判定は、積載部11の昇降があったか否かに基づいて行われればよい(
図2及び
図3参照)。シートSHが新たに積載された場合には、S1055にて、該新たに積載されたシートSHの量を示す情報(第2情報Inf2とする。)を取得して、S1060に進み、また、そうでない場合にはS1080に進む。
【0034】
S1060では、情報Inf1~Inf2が所定条件を満たすか否かを判定する。本実施形態では、情報Inf1が示すシートSHの量と、情報Inf2が示すシートSHの量との差が所定範囲内(例えば±10%以内)の場合には上記条件が成立したものとする。このことは、S1020の両面印刷における第1面への印刷で使用されたシートSHと、積載部11に新たに積載されたシートSHと、が互いに略一致することを示す。よって、上記差は、±5%以内であることが好適であり、実質的にないことが更に好適である。上記条件が成立した場合にはS1070に進み、そうでない場合にはS1090に進む。
【0035】
S1070では、S1020で両面印刷を指示するものと判定された印刷ジョブに基づいて、上記新たに積載されたシートSHを搬送部13により積載部11から印刷部12に順に搬送し、該シートSHの第2面に対して印刷部12により印刷を行う。
【0036】
ここで、本実施形態に係る構造では、積載部11における積載シートSHは、最上のものから順に搬送部13により搬送される(
図2及び
図3参照)。また、この構造においては、上記新たに積載されるシートSHは、積載部11における既存の積載シートSHの上に更に積載される。そのため、S1070における上記第2面への印刷は、既存の積載シートSHの上に更に積載されたシートSHに対して適切に行われることとなる。該印刷の完了を以って、この印刷ジョブは処理済となる(未処理の印刷ジョブから削除される。)。
【0037】
S1080では、所定時間が経過した否かを判定する。所定時間が経過した場合にはS1090に進み、そうでない場合にはS1050に戻る。
【0038】
S1090では、積載部11に新たに積載されたシートSHとS1020の両面印刷で使用されたシートSHとが互いに異なると考えられること、又は、積載部11に新たにシートSHが積載されなかったことに基づいて、以下に例示される処理を実行する。
【0039】
先ず、S1020で両面印刷を指示するものと判定された印刷ジョブに基づくシートSHの第2面に対する印刷は、一旦、保留される。該印刷のためのデータは、RAM153に一時的に記憶されればよい。また、この印刷ジョブは、未処理の印刷ジョブからは削除され、保留ジョブとして取り扱われる。次に、未処理の印刷ジョブのなかから次のものがRAM153から読み出され(S1010同様)、該次の印刷ジョブが片面印刷および両面印刷の何れを指示するものか、判定される(S1020同様)。
【0040】
上記判定の結果、該次の印刷ジョブが片面印刷を指示するものの場合には、該次の印刷ジョブに基づく印刷(第1面に対する印刷)を行う(S1030同様)。該印刷の完了を以って、該次の印刷ジョブは処理済となる(未処理の印刷ジョブから削除される。)。
【0041】
一方、上記判定の結果、該次の印刷ジョブが両面印刷を指示するものの場合には、該次の印刷ジョブに基づく印刷の実行は抑制され、該次の印刷ジョブは未処理のままとする。この場合、同様の手順で、更に次の印刷ジョブの読み出し、判定、及び、該判定の結果に基づく印刷の実行又は該実行の抑制が行われてもよい。このようなS1090によれば、後続する未処理の印刷ジョブのうち、片面印刷を指示するものについては、順次、適切に実行されうる(長時間に亘って実行されないままとなってしまうこともない。)。
【0042】
他の例として、上記判定の結果、該次の印刷ジョブが両面印刷を指示するものの場合には、上記保留ジョブはキャンセルされてもよい。この場合、RAM153に一時的に記憶された上記データ(上記保留となった第2面に対する印刷のためのデータ)は、RAM153から削除されることとなる。付随的/代替的に、上記保留ジョブのキャンセルはユーザに通知されてもよい。また、これ/これらのことは、信号発生部16が発生する信号により実現可能である。
【0043】
尚、外部装置9は、新たな印刷ジョブとして、上記キャンセルされた保留ジョブを改めて印刷装置1に出力可能となるように構成されるとよい。これにより、ユーザは、第2面に対する印刷を忘れていた場合(即ち、第1面のみの印刷が完了したシートSHを排出部14から積載部11に移載することを忘れていた場合)には、外部装置9を用いて、第2面に対する印刷を比較的簡便に指示可能となる。このことは、外部装置9に適用されうるソフトウェアを用いることで比較的容易に実現可能である。
【0044】
以上の制御態様は、印刷装置1に印刷ジョブJ1が入力された後に更に印刷ジョブJ2が入力されるケース(印刷ジョブJ1は両面印刷を指示するものとする。)を考えると、次のとおり小括される。
【0045】
駆動制御部15は、印刷ジョブJ1に基づくシートSHの第1面への印刷を印刷部12により行うと共に、該印刷で使用されたシートSHを示す情報Inf1を取得する(S1040、S1045)。また、駆動制御部15は、印刷ジョブJ1に基づくシートSHの第1面への印刷の完了後に積載部11に新たに積載されたシートSHを示す情報Inf2を取得する(S1050、S1055)。本実施形態では、情報Inf1は、印刷ジョブJ1に基づく第1面への印刷で使用されたシートSHの量を示し、また、情報Inf2は、積載部11に新たに積載されたシートSHの量を示す。
【0046】
その後、駆動制御部15は、情報Inf1~Inf2が所定条件を満たす場合、印刷ジョブJ1に基づくシートSHの第2面への印刷を行う(S1070)。一方、情報Inf1~Inf2が上記条件を満たさない場合には、駆動制御部15は、後続の印刷ジョブJ2に基づく印刷を行うと共に、印刷ジョブJ1に基づくシートSHの第2面への印刷を保留する(S1090)。
【0047】
上記条件としては、情報Inf1が示すシートSHの量と、情報Inf2が示すシートSHの量とが一致することが好ましいが、本実施形態では、其れ等の差が所定範囲内(例えば±10%以内)の場合には上記条件が成立したものとする(S1060)。これにより、印刷ジョブJ1を速やかに完了させることを優先し、印刷ジョブJ2(更に後続する他の印刷ジョブ)が無用に保留されてしまうような事態を防止可能とする。
【0048】
印刷ジョブJ1に基づく第1面への印刷の完了後、所定時間に亘って、情報Inf1~Inf2が上記条件を満たさない場合、又は、積載部11に新たにシートSHが積載されない場合、信号発生部16は所定信号を発生可能とする。この信号は、例えば、印刷ジョブJ1に基づく第1面への印刷が完了したことをユーザに通知するための信号であってもよいし、印刷ジョブJ1の残りの部分をキャンセル(第2面への印刷を行うためのデータを削除)するための信号であってもよい。
【0049】
本実施形態では、単一の排出部14を備える構成としたが、他の実施形態として、印刷装置1は、2以上の排出部14を備えていてもよい。例えば、印刷装置1が2つの排出部14(区別のため、一方を第1排出部14aとし、他方を第2排出部14bとする。)を備える場合、情報Inf1~Inf2が上記条件を満たす場合と、そうでない場合とで、シートSHの排出先(14a又は14b)は変更されてもよい。即ち、印刷ジョブJ1に基づく印刷済のシートSHと、印刷ジョブJ2に基づく印刷済のシートSHとは、互いに異なる排出部14に排出され積載されることとなるため、其れ等が混ざってしまうような事態を適切に防止可能となる。
【0050】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1:印刷装置、11:積載部、12:印刷部、15:駆動制御部。