(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035151
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】輸送システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220225BHJP
【FI】
G06Q10/08 306
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139271
(22)【出願日】2020-08-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】500183607
【氏名又は名称】藤沢 和則
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 和則
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多様なユーザニーズに応えることのできる無人搬送車やドローン等の無人機を輸送システム等を提供する。
【解決手段】1以上の管理サーバ21と、電子商取引にて購入された商品を最寄り拠点にて収容する収容部を有するAGV(Automated guided vehicle)22a~22cと、管理サーバまたはAGVに商品の輸送を指示するユーザ端末25a、25bとを備えた輸送システムであって、ユーザ端末は、管理サーバとの電子商取引にて商品が購入された場合の受け取り方法としてAGVを使った商品の受け取りを指示するための指示インタフェースを備える。AGVは、指示インタフェースを介した指示により、管理サーバの制御に基づき、商品の受け取りを遂行するよう制御される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の管理サーバと、
電子商取引にて購入された商品を最寄り拠点にて収容する収容部を有するAGVと、
前記管理サーバまたは前記AGVに前記商品の輸送を指示するユーザ端末と
を備えた輸送システムであって、
前記ユーザ端末は、前記管理サーバとの電子商取引にて商品が購入された場合の受け取り方法として前記AGVを使った商品の受け取りを指示するための指示インタフェースを備え、
前記AGVは、前記指示インタフェースを介した指示により、前記管理サーバの制御に基づき、前記商品の受け取りを遂行するよう制御される
ことを特徴とする輸送システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、それぞれ必須ではないが個別に電子商取引を行うこともできる複数の管理サーバで構成されており、
前記ユーザ端末を介して、前記複数の管理サーバのうちの1の管理サーバとの間の1の電子商取引及び他の管理サーバとの間の他の電子商取引にてそれぞれ商品が購入された場合に、
前記AGVが、前記指示インタフェースを介した指示により、前記1の管理サーバの制御に基づき、前記1の電子商取引で購入した商品の受け取りを遂行したあと、前記1の管理サーバによる前記AGVへの制御は、前記他の管理サーバへ移行される
ことを特徴とする請求項2に記載の輸送システム。
【請求項3】
前記制御には、(1)最寄り拠点までの誘導、(2)進行速度の調整、(3)最寄り拠点等での待機調整、のうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の輸送システム。
【請求項4】
前記1以上の電子商取引が行われて前記AGVが前記指示インタフェースを介した指示により、前記1以上の電子商取引で購入した商品の受け取りを開始する際、前記AGVは、今回の1以上の電子商取引で購入した商品の受け取りを全て遂行するために必要なバッテリー残量をチェックし、残量が十分であるか、または残量が十分でないかのいずれかを前記ユーザ端末へ通知する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項5】
前記AGVを使用した場合の前記1以上の個々の電子商取引は、
(1)前記1以上の電子商取引の個々の電子商取引における決済時点、
(2)前記1以上の電子商取引で購入した商品の前記最寄り拠点における前記AGVへの積載時点、
(3)前記AGVが前記1以上の電子商取引で購入した商品を、前記ユーザ端末を使用するユーザ宅へ持ち帰り、前記ユーザにより前記ユーザ端末を介して前記商品の確認が指示された時点、
のいずれかで取引完了として処理される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項6】
前記AGVは、複数のユーザ端末を介して複数のユーザにて共有されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項7】
1以上の管理サーバと、電子商取引にて購入された商品を最寄り拠点にて収容する収容部を有するAGVと、前記管理サーバまたは前記AGVに前記商品の輸送を指示するユーザ端末とを備えた輸送システム上で実行されるプログラムであって、
前記ユーザ端末に、前記管理サーバとの電子商取引にて商品が購入された場合の受け取り方法として前記AGVを使った商品の受け取りを指示するための指示インタフェースを提供させるステップと、
前記管理サーバに、前記指示インタフェースを介した指示により、前記AGVが前記商品の受け取りを遂行するよう制御させるステップと
を実行することを特徴とする輸送システム。
【請求項8】
前記管理サーバは、それぞれ必須ではないが個別に電子商取引を行うこともできる複数の管理サーバで構成されており、
前記ユーザ端末を介して、前記複数の管理サーバのうちの1の管理サーバとの間の1の電子商取引及び他の管理サーバとの間の他の電子商取引にてそれぞれ商品が購入された場合に、
前記AGVが、前記指示インタフェースを介した指示により、前記1の管理サーバの制御に基づき、前記1の電子商取引で購入した商品の受け取りを遂行したあと、前記1の管理サーバによる前記AGVへの制御は、前記他の管理サーバへ移行されるように制御される
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記制御には、(1)最寄り拠点までの誘導、(2)進行速度の調整、(3)最寄り拠点等での待機調整、のうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項7または8に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く荷物や商品等を輸送する輸送システム等に関し、より詳細には、無人搬送車やドローン等の無人機を使用した輸送システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、荷物や商品等を配送先に配送する配送システムをはじめとする輸送システムにおいて、荷物等の配送や集荷作業の効率を向上させる目的で、無人搬送車(Automated guided vehicle:AGV)やドローン等の無人機(Unmanned vehicle:UV)を採用した輸送システム等が運用されており、様々な工夫が提案されている。
【0003】
例えば、取引媒体を無人飛行体で輸送し、当該取引媒体の紛失・盗難による不正取引を防止することが可能な輸送システムが提案されている(特許文献1)。
【0004】
具体的には、特許文献1には、金融取引に利用される取引媒体を収容する収容部を有する無人飛行体と、前記取引媒体を収容した前記無人飛行体が飛行している間、前記取引媒体の利用を不可能に制御し、前記無人飛行体が目的地に到着すると、前記取引媒体の利用を可能に制御する制御部を有する情報処理装置と、を備える輸送システムが開示されている。
【0005】
また、受取人の状況に係わらず確実に荷物を届けることができ、確実に受け取ることができるようにした配送システムも提案されている(特許文献2)。
【0006】
すなわち、特許文献2には、配送先に配送する配送ボックスを積載する配送車両と、前記配送車両を搭載する母車両とを有する配送システムであって、前記配送車両は、前記母車両から降車して前記配送先まで移動制御し、前記配送先に設けられる配送ボックス固定具に対して前記配送ボックスを固定可能であり、前記配送ボックス固定具が前記配送先に設けられていない場合、前記配送ボックスに収容された荷物の受取人へ前記荷物の到着を報知し、所定の待機位置にて待機して前記受取人へ前記荷物の受渡しを行うことを特徴とする配送システムが開示されている。
【0007】
また、荷物の配送や集荷作業の効率化を図るための荷物の配送支援システムも提案されている(特許文献3)。
【0008】
すなわち、特許文献3には、地域に少なくとも1つ配置される移動体と、前記移動体の管理装置とを備え、前記管理装置は、前記移動体に積載された荷物の配送要求と、前記移動体を用いた荷物の集荷要求との少なくとも一方を取得する取得手段と、前記配送要求及び前記集荷要求との少なくとも一方において指定された位置へ前記移動体が移動する指示を前記移動体に供給する供給手段とを含む荷物の配送支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-151989号公報
【特許文献2】特開2019-069855号公報
【特許文献3】特開2019-117595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の技術を踏まえたとしても、さらに多様なユーザニーズに応えることのできる輸送システム等についての更なる改善が期待される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の一実施形態にかかる輸送システム等は、1以上の管理サーバと、電子商取引にて購入された商品を最寄り拠点にて収容する収容部を有するAGVと、前記管理サーバまたは前記AGVに前記商品の輸送を指示するユーザ端末とを備えた輸送システムであって、前記ユーザ端末は、前記管理サーバとの電子商取引にて商品が購入された場合の受け取り方法として前記AGVを使った商品の受け取りを指示するための指示インタフェースを備え、前記AGVは、前記指示インタフェースを介した指示により、前記管理サーバの制御に基づき、前記商品の受け取りを遂行するよう制御されることを特徴とする。
【0012】
また、前記管理サーバは、それぞれ必須ではないが個別に電子商取引を行うこともできる複数の管理サーバで構成され、前記ユーザ端末を介して、前記複数の管理サーバのうちの1の管理サーバとの間の1の電子商取引及び他の管理サーバとの間の他の電子商取引にてそれぞれ商品が購入された場合に、前記AGVが、前記指示インタフェースを介した指示により、前記1の管理サーバの制御に基づき、前記1の電子商取引で購入した商品の受け取りを遂行したあと、前記1の管理サーバによる前記AGVへの制御は、前記他の管理サーバへ移行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる輸送システム等によれば、多様なユーザニーズに応えることのできる輸送システム等を提供することができる等の有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける物流の様子を説明する説明図である。
【
図1B】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるAGVの動作の様子を説明する説明図である。
【
図1C】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるUVの動作の様子を説明する説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる輸送システムの全体構成例を説明する説明図である。
【
図3A】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける管理サーバの機能ブロック構成を説明する説明図である。
【
図3B】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるタブレット端末の機能ブロック構成を説明する説明図である。
【
図4A】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるAGVの外観構成例を説明する説明図である。
【
図4B】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるAGVの外観構成例を説明する説明図である。
【
図4C】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるAGVの外観構成例を説明する説明図である。
【
図4D】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるUVの外観構成例を説明する説明図である。
【
図4E】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるUVの外観構成例を説明する説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかるAGVやUVを構成するハードウェアの機能ブロック構成を説明する説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける処理フロー例を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける処理フロー例を説明するフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける詳細な処理フロー例を説明する説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける詳細な処理フロー例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかる輸送システム等について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1Aに、本発明の一実施形態にかかる輸送システムを含む物流網を模式的に示す。同図において、施設及び流通経路から見た物流網10は、大別して、物流センター11~13と最寄り拠点14~16とを含む、荷物や商品等(以下、単に「商品等」ともいう。)を輸送するための物流網を構成している。
さらに、本発明の一実施形態にかかる輸送システムには、最寄り拠点14~16とユーザ宅(「顧客宅」ともいう。以下、同じ)17a~17dとの間の商品等の輸送を担うAGV18a~18cあるいはUV19aが含まれ、これらのAGVやUVは、後述する管理サーバやユーザ端末(「顧客端末」ともいう。以下、同じ)等と通信可能に接続される。
【0017】
なお、物流センター11~13、及び最寄り拠点14~16の数は、これらの数に限定されるものではなく、任意のセンター数及び拠点数を含みうる。以下、本発明の理解の容易のために、便宜上、
図1Aに示されたモデルに沿って説明する。
【0018】
[物流センター及び最寄り拠点]
本発明の一実施形態において、物流網における施設は、物流センター及び最寄り拠点の2種類の施設が含まれる。一実施形態においては、従来の物流拠点としての物流センターに加えて、商品や荷物等を一時的に預かるための受取り拠点として、最寄り拠点が設けられている。
【0019】
また、
図1Aに示されるように、物流センターごとに異なる役割があっても良い。例えば、同図において、物流センター12は、経路121、122を介して最寄り拠点14、15へ商品等を配送し、物流センター13は、経路131、132を介して最寄り拠点15、16へ商品等を配送する一方で、物流センター11は、経路112、114を介して他の物流センター12、13へ商品等を配送するほか、経路111、113、115を介して最寄り拠点14、15、16へ商品等を配送する役割も担っている。例えば、最寄り拠点14へは、通常、地理的に近い物流センター12から商品等が供給されるが、物流センター12に在庫が無い場合には、物流センター11から商品等が最寄り拠点14へ供給される場合もある。
【0020】
また、物流センター11~13は、最寄り拠点の役割を果たすこともできる。したがって、本発明の他の実施形態においては、物流センターであるか最寄り拠点であるかの明確な区別が存在しない場合もありうる。
【0021】
さらに、物流センター11~13や最寄り拠点14~16の一部または全部は、倉庫型卸売店舗、量販店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアといった店舗自体であってもよい。
【0022】
[物流管理]
本発明はこれに限定されるものではないが、商品等の輸送時間(予想時間)や拠点における商品等の在庫数は、輸送システムにおけるサーバ上で管理させることができる。本発明の一実施形態にかかる輸送システムの全体構成例については、
図2を参照して後述するが、例えば、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける管理サーバが、
図1Aにおけるいずれのかの物流センターまたは最寄り拠点、あるいは、図示されていない社屋等に設置され、かかる管理サーバが各センター及び各拠点と情報端末及びネットワークによって接続されて、各拠点等における商品等の在庫状況及び入出庫数、並びに各拠点間または目的地(顧客宅)までの輸送状況を管理サーバに管理させることができる。さらに、これらの実績等から、各拠点間または目的地(顧客宅)までの輸送時間が算出され、逐次更新管理させることができる。
【0023】
したがって、
図1Aにおける各経路も、それぞれ常に唯一のルートであるという訳でもない。例えば、物流センター11から最寄り拠点14への経路は、111としてシステム上管理されているが、これ以外の1以上のルートを代替ルートとして記憶管理させることもできる。
【0024】
これらの代替ルートは、例えば、その時々の交通状況によって代替的に採用させて、具体的な配送設備(拠点)または配送手段(AGVやUV)に対して指示させることができる。
【0025】
[販売管理]
また、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおいては、必ずしもこれらが必須のものとされるわけではないが、必要に応じて商品等の販売管理も行わせることができる。本発明の一実施形態にかかる輸送システムは、図示しない通信販売(電子商取引)システムや店舗POSレジとも連動させることができ、通信販売による販売実績や店舗における販売実績も顧客ごとに管理させることができる。そのためのデータベースとして、一実施形態において次のようなデータベース(D1)~(D4)を管理サーバ内に有しており、必要に応じて各種端末からの参照や更新要求が可能となっている。
【0026】
(D1)顧客管理データベース
顧客に関する項目が登録されたデータベースであり、顧客氏名、住所、電話番号等の個人情報と、保有ポイントや最寄り拠点等の付帯情報とが登録されている。また、ユーザあるいは顧客が単独で、あるいは共同で所有するAGVやUVについての情報(たとえば、機体の識別番号や機種名等の情報)も登録管理される。
【0027】
(D2)商品管理データベース
商品に関する項目が登録されたデータベースであり、商品名、JANコードに対応付けられる商品コード等が登録管理されている。
【0028】
(D3)在庫管理データベース
物流拠点ごとの商品在庫を管理するためのデータベースであり、適宜商品管理データベースと連携し、必要なテーブルが派生抽出される。また、最寄り拠点でユーザあるいは顧客からの引き取りに応じるために現在預かっている商品に関する情報を管理するためのデータベースも備える。
【0029】
(D4)販売管理データベース
物流拠点や店舗ごとに販売された商品に関する実績管理データベースである。
【0030】
図1Bに、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるAGVの動作の様子を示す。
図1Bにおいて、AGV104a~104dは、図示しない最寄り拠点に到着しており、最寄り拠点にある棚101に収められている102a、10b等の商品等を積載して持ち帰ろうと順番に整列している状態である。
図1Bでは、最寄り拠点のスタッフ103が商品等102bを取り出し、待機列の先頭に待機しているAGV104aの収納部へ商品等102bを収納しようとしている様子が表されている。
【0031】
本発明の一実施形態においては、AGVは必ずしも最寄り拠点に到着してから待機するように制御される必要はなく、顧客宅から最寄り拠点へ移動する際の速度調整や任意の地点での待機等を行うことによって、最寄り拠点での混雑を抑制するように制御されることができる。
【0032】
図1Cに、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるUVの動作の様子を示す。
図1Cでは、UVの例としてドローンが描かれており、UV105a~105cは、図示しない最寄り拠点に到着したところであり、UV105dは、最寄り拠点から離陸しようとしているところである。図示されるとおり、UV105a~105cは、最寄り拠点に設置された離着陸プラットフォーム106a~106cへめがけて着陸しようとしている。この場合、本発明の一実施形態においては、UV105a~105cは、離着陸プラットフォームに貼付された二次元コード(不図示)を内蔵カメラで読み取るなどして、指定されたプラットフォームであることを確認して着陸を図るよう構成することができる。また、本発明の他の実施形態においては、離着陸プラットフォームに描かれた文字や数字(不図示)を内蔵カメラで認識することにより、指定されたプラットフォームに着陸を図るよう構成することができる。
【0033】
なお、
図1Cにおいては、UVの例としてドローンを挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、飛行機やロケットなどの他の無人航空機(Unmanned aerial vehicle:UV)や、車輪を使わない無人地上車両(Unmanned ground vehicle:UGV)、無人水上艦・水上艇(Uunmanned surface vehicle:USV)、無人潜水艦・潜水艇(Unmanned underwater vehicle:UUV)など広く採用することができる。
【0034】
図2に、本発明の一実施形態にかかる輸送システムの全体構成例を示す。
図2に示されるように、輸送システム20は、その一実施形態における大別的な構成として、管理サーバ(群)21と、顧客宅から最寄り拠点まで商品等を受け取りに行くAGV22a~22c及びUV23a~23bと、拠点スタッフや顧客等が使用する各種情報処理装置(図において、例示的に、PC24と、携帯情報端末、タブレット端末あるいはPOS端末25a~25bが示されている。以下、総称して「各種端末」あるいは単に「端末」とも言うこともある)で構成されている。
なお、各種端末数は、図示されたものに限られず、任意である。例えば、顧客端末については、顧客数に応じた数が想定され、拠点に配置される端末についても、拠点ごとに1以上の端末が配置されてもよいし、端末が配置されない拠点があってもよい。
【0035】
本発明の一実施形態において、管理サーバ(群)21、各種端末間は、
図2に示されるように専用回線やインターネット等の公衆回線(有線の回線として、37~39)を介して相互に通信可能に接続されている。
【0036】
また、回線は、有線であっても無線であってもよい。回線が無線の場合、各種端末24~25a、25bは、無線で図示しない基地局やアクセスポイント等を介してインターネット39に乗り入れ、更に回線38を介して管理サーバ(群)21と相互に通信可能に接続される。また、AGV22a~22c、UV23a~23bについても、図示しない基地局や無線局を介して必要に応じてインターネット39に乗り入れ、管理サーバ(群)21や各種端末24~25a、25bと相互に通信可能に接続されている。
【0037】
ここで、アクセスポイントとは、PCやスマートフォンなどの無線端末を相互に接続したり、他のネットワークに接続させたりするための無線機である。典型的には、OSI参照モデルにおける第1層(物理層)及び第2層(データリンク層)の通信プロトコルで作動するデバイスである。
【0038】
なお、AGV22a~22cやUV23a~23bは、必ずしもインターネット39を介して管理サーバ(群)21等と通信する必要はなく、他の無線通信手段によって接続されてもよい。
【0039】
また、本願の出願時点での携帯情報端末やタブレットは、パーソナルコンピュータ(PC)と同等かそれ以上の処理能力(通信処理速度や画像処理能力等)を備えているものも多く、小型の高性能コンピュータとも言うべきものである。
【0040】
さらに、本発明の実施に必要なプログラムないしソフトウェアは、通常、PCや携帯情報端末の記憶部におけるHDD、SSD等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPUにおいて演算実行される。
【0041】
あるいは、ブラウザベースのコンピュータないし携帯情報端末を採用することもできる。この場合は、必要に応じて他のサーバやコンピュータから端末にプログラムが配信され、端末上のブラウザではこれを実行するという構成になる。
【0042】
また、管理サーバ(群)21のハードウェア構成も、基本的にはPCを採用することができる(念のため、
図3Aを参照して後述する)。なお、本発明はこれに限定されるものではないが、管理サーバ(群)21は、必要に応じてそのハードウェアスペックを上げるにあたり、複数のPC(一例として、数十台~数万台)を並列的に作動させることによって大規模データの処理に適した構成をとることもできる。
【0043】
図3Aに、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける管理サーバ(管理サーバ(群)21における1つのサーバに相当する)の機能ブロック図を示す。例示的に、管理サーバの動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びソフトウェアとこれらハードウェアとの連携動作によって実現されている。
【0044】
図3Aにおいて、ハードウェアブロック全体としての管理サーバ300は、大別すると、各種比較・演算処理を行うためのCPU301と、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の記憶部302と、キーボードやポインティングデバイス等の入力部303と、ディスプレイやスピーカ等の出力部304と、各種信号制御のための制御部305と、通信(インタフェース)部306(無線、有線を問わない)と、時刻等を計時するための計時部307と、電源部308とからなる。
【0045】
これらのモジュールは必要に応じて適宜通信バスや給電線(
図3Aにおいては、便宜上これらの通信バスや給電線といった各線が適宜含まれる結線349として表す)によって接続されている。
【0046】
また、本発明の実施に必要な管理サーバ300上で実行されるプログラムないしソフトウェアは、通常、記憶部302を構成するハードディスクディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部302内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU301において演算実行される。
【0047】
なお、演算実行は必ずしもCPU301等の中央処理部で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を用いることもできる。
【0048】
図3Bに、本発明の一実施形態にかかる顧客端末としてのタブレット端末25aを構成するハードウェアの機能ブロック図を例示する。タブレット端末25aの動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びソフトウェアとこれらハードウェアとの連携動作によって実現されている。
【0049】
図3Bにおいて、ハードウェアブロック全体としてのタブレット端末350は、大別すると、ハードウェアボタン、ディスプレイに設けられたマルチタッチ入力パネル、マイク等で構成される入力部351と、プログラムやデータ等を記憶するためのハードディスク、RAM及び/又はROM等で構成される記憶部352と、プログラムによって様々な数値計算や論理演算を行うCPUによって構成される中央処理部353と、ディスプレイ等で構成される表示部354と、チップや電気系統等の制御を行うための制御部355と、インターネットにアクセスするためのスロットや光通信を行うためのポート、及び通信インタフェースから構成される通信インタフェース部356と、スピーカやバイブレーション、赤外線プロジェクター等の出力部357と、時刻等を計時するための計時部358と、CMOS等のイメージセンサや赤外線センサ、慣性センサ等からなるセンサ部359と、装置内の各モジュールに電源を供給するための電源部360とからなり、これらのモジュールは必要に応じて適宜通信バスや給電線(
図3Bにおいては、便宜上これらの通信バスや給電線といった各線が適宜含まれる結線399として表す)によって接続されている。
なお、センサ部359には、タブレット端末350(25a)の位置を特定するためのGPSセンサモジュールを含めることとしても良い。センサ部359を構成するCMOS等のイメージセンサや赤外線センサ等によって検知された信号は、入力部351において入力情報として処理することができる。
【0050】
また、本発明の実施に必要なタブレット端末350上で実行されるプログラムないしソフトウェアは、通常、記憶部352を構成するハードディスクディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部352内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU353において演算実行される。
【0051】
なお、演算実行は必ずしもCPU等の中央処理部353で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を用いることもできる。
【0052】
図4A~
図4Eに本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおけるAGV及びUVの外観構成を示す。
図4A~
図4Cは、AGVの外観構成例であり、
図4D~
図4Eは、UV(ここでは、一例としてドローンを挙げる)の外観構成例である。本発明の一実施形態においては、AGVを無人搬送車(Automated guided vehicle)としており、UVについては、車輪を有することを必須としない無人機(Unmanned vehicle)を想定しているが、本発明は、これらを厳密に区別する趣旨ではなく、本発明の実施形態においては、AGVやUVのほか、人が搭乗しない乗り物や輸送機械が広く含まれる。
【0053】
図4Aにおいて、AGV410は、大別すると、車台部411と、車輪部412a及び412bと、商品等を収納する収納部413と、その他、図示されない駆動部や電気系統部、制御部(電子制御部を含む)とからなる。さらに、管理サーバや顧客端末等と通信するための通信部や自身の位置を測定するためのGPSモジュール部を搭載させることもできる。
【0054】
また、
図4Aにおいて、AGV410は、四輪車であり、車台部411上に設置された収納部413には、図示しないドア機構あるいは蓋機構、さらには、これらに対する図示されないロック機構が実装されてもよい。
【0055】
図4Bにおいて、AGV420は、車台部421と、車輪部422a及び422bと、その他、図示されない駆動部や電気系統部、制御部(電子制御部を含む)とからなる。さらに、管理サーバや顧客端末等と通信するための通信部や自身の位置を測定するためのGPSモジュール部を搭載させることもできる。AGV420も四輪車であり、車台部421上には、任意の商品等を積載可能である。あるいは、車台部421上に着脱可能な収納部(不図示)が採用されてもよい。この場合、車台部421上が無積載であれば、図示されるとおり、車高はAGV420と比較しても有意に低いものとなり、例えば、一般車両(自動車やトラック)の車体下部へ潜り込ませることも可能となる。一般の交通規制やAGVの運行ルールとの兼ね合いもあるが、従来の交通量に悪影響を与えることなく高速移動を実現する独自の流通網を構築できる可能性を秘めている。
【0056】
図4Cにおいて、AGV430は、車台部431と、車輪部432a及び432bと、その他、図示されない駆動部や電気系統部、制御部(電子制御部を含む)とからなる。さらに、管理サーバや顧客端末等と通信するための通信部や自身の位置を測定するためのGPSモジュール部を搭載させることもできる。図示されるとおり、AGV430も四輪車であり、図示しないジャイロ機構等を備えており、停止時も走行時も安定した姿勢を維持することができる。AGV430は、AGV420と同様に車高は低いものとなり、例えば、一般車両(自動車やトラック)の車体下部へ潜り込ませることも可能となり、従来の交通量に悪影響を与えることなく高速移動を実現する独自の流通網を構築できる可能性を秘めている。
【0057】
図4Dにおいて、UV440は、本体部441と、プロペラ駆動部442a及び442bと、脚部443a及び443bとを有する。また、図示されない他の駆動部や電気系統部、制御部(電子制御部を含む)を備える。さらに、管理サーバや顧客端末等と通信するための通信部や自身の位置を測定するためのGPSモジュール部を搭載させることもできる。本発明の一実施形態において、UV440は、
図4Dにおいてはその全てが表されていないが、4つのプロペラ駆動部を有するクワドロコプターである。また、一実施形態において、UV440は、4つの脚部を有する。しかしながら、他の実施形態においては、6つのプロペラ駆動部を備えるドローンであってもよいし、任意の数の脚部を備えるように構成してもよい。
【0058】
図4Eにおいて、UV450は、本体部451と、プロペラ駆動部452a及び452bと、脚部453a及び453bと、商品等の収納部455とを有する。本発明の一実施形態において、収納部455には、図示しないドア機構あるいは蓋機構、さらには、これらに対する図示されないロック機構が実装されてもよい。
【0059】
また、UV450は、図示されない他の駆動部や電気系統部、制御部(電子制御部を含む)を備える。さらに、管理サーバや顧客端末等と通信するための通信部や自身の位置を測定するためのGPSモジュール部を搭載させることもできる。本発明の一実施形態において、UV450は、UV440と同様に、
図4Eにおいてはその全てが表されていないが、4つのプロペラ駆動部を有するクワドロコプターである。また、一実施形態において、UV450は、4つの脚部を有する。しかしながら、他の実施形態においては、6つのプロペラ駆動部を備えるドローンであってもよいし、任意の数の脚部を備えるように構成してもよい。
【0060】
図5に、本発明の一実施形態にかかるAGVを構成するハードウェアの機能ブロック構成を示す。
図5において、ハードウェアブロック全体としてのAGV500は、大別すると、車輪を駆動するためのモータ等の駆動部501と、プログラムやデータ等を記憶するためのハードディスク、RAM及び/又はROM等で構成される記憶部502と、プログラムによって様々な数値計算や論理演算を行うCPUによって構成される中央処理部503と、商品等を格納するための収納部の開閉やロック等の機構部である収納機構部504と、チップや電気系統等の制御を行うための制御部505と、ネットワークにアクセスするためのスロットや近距離無線通知を行うためのポート、及び通信インタフェースから構成される通信インタフェース部506と、スピーカ等の出力部507と、CMOS等のイメージセンサや赤外線センサ、慣性センサ等からなるセンサ部508と、装置内の各モジュールに電源を供給するための電源部509とからなり、これらのモジュールは必要に応じて適宜通信バスや給電線(
図5においては、便宜上これらの通信バスや給電線といった各線が適宜含まれる結線599として表す)によって接続されている。
【0061】
なお、本発明の一実施形態において、センサ部509には、AGV22a~22cの位置を特定するためのGPSセンサモジュールを含めることとしても良い。また、センサ部509を構成するCMOS等のイメージセンサや赤外線センサ等によって検知された信号は、図示しない入力部において入力情報として処理することができる。
【0062】
また、本発明の実施に必要なAGV500上で実行されるプログラムないしソフトウェアは、通常、記憶部502を構成するハードディスクディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部502内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU503において演算実行される。
【0063】
なお、
図5は、本発明の一実施形態にかかるAGVを構成するハードウェアの機能ブロック構成例を示したが、UVの場合であっても、例えば、駆動部501がプロペラ駆動部であったり、収納機構部504が公知の技術レベルで異なったりするだけで、商品等を輸送する輸送機械としては、AGVと同様の構成を備える。
【0064】
図6に、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける処理フロー例を示す。
図6に示される処理フローは、例示的に、ユーザ(顧客)が自身の端末を使って電子商取引によって商品等を購入した場合に、当該ユーザ(顧客)が商品等の受け取り方法を選択できることを想定している。従来であれば、ユーザ宅に配送してもらうか、あるいは、最寄り拠点や店舗まで自身で取りに行くという選択肢があった。本発明の一実施形態においては、ユーザは、AGVやUV等の無人機に最寄り拠点や店舗まで商品等を取りに行かせるという選択が可能となる(以下、説明の便宜上、無人機の代表としてAGVを取り上げて説明する)。
【0065】
そして、本発明の一実施形態において、ユーザがAGVに最寄り拠点や店舗まで商品等を取りに行かせる選択を行った場合には、まず、ユーザ端末とAGVとの間で通信がなされ、当該AGVが運行可能かどうかのチェックがなされて問題がなければ当該AGVの運行開始となる。以下、
図6に基づいてフローを説明する。
【0066】
ステップS601において、処理が開始されると、ステップS602へ進み、ユーザはユーザ端末を介して商品等の注文をする。本発明はこれに限定されるものではないが、この注文には購入処理や決済処理が含まれてもよい。一実施形態においては、販売元サーバが運営するECサイト等に対して、ユーザがユーザ端末を介してアクセスし、所望の商品等に対する注文手続きが行われる。
【0067】
次に、ステップS603へ進み、ユーザは、ユーザ端末を介して注文した商品等の受け取り方法を選択する。ここでは、AGVを使って最寄り拠点あるいは店舗に預けられている商品等を受け取りに行く旨が、選択あるいは指示入力される。本発明の一実施形態において、この選択あるいは指示入力は、管理サーバへ送信され、管理サーバにおいて登録あるいは管理される。さらに、一実施形態においては、管理サーバからユーザ端末へAGVによる受け取りを承諾する旨の返信がなされる。
【0068】
ステップS604では、ユーザ端末からAGVへ指示が出される。この指示には、少なくとも対象AGVへ対する所定の商品等の受け取り命令が含まれる。本発明の他の実施形態においては、このAGVへの指示は、ユーザの承諾あるいはユーザ登録内容を踏まえて管理サーバからなされてもよい。
【0069】
ステップS605では、ユーザ端末からAGVへ、取りに行くべき商品等の情報や取りに行くべき最寄り拠点あるいは店舗情報が送信される。本発明の他の実施形態においては、これらの情報は、ユーザ端末からではなく管理サーバからAGVへ送信させたり、AGVに管理サーバから取得させたりすることもできる。
【0070】
ステップS606では、一例として、AGVにおいて電池残量等のチェックが行われる。このチェックには、当該AGVが指定された最寄り拠点あるいは店舗まで往復走行するために必要なバッテリー残量があるかどうかの確認がなされる。あるいは、今回の1以上の電子商取引で購入した商品の受け取りを全て遂行するために必要なバッテリー残量のチェックも含まれうる。
その他、明示しない走行のための各種点検や状況確認がなされてもよい。
【0071】
ステップS607では、前ステップでチェックされた事項に基づき、当該AGVが指定された最寄り拠点あるいは店舗へ向けて運行可能かどうかが判断される。ステップS607においてYesの場合はステップS608へ進むが、Noの場合は、ステップS609へ進む。
【0072】
ステップS609では、当該AGVが指定された最寄り拠点あるいは店舗へ向けて運行できない旨のアラート通知がユーザ端末に対してなされる。一実施形態において、この通知には、下表のようなものが挙げられる。
【表1】
ステップS609では、一実施形態において、AGVはユーザ端末に対して上記のようなアラート通知を行った後、ユーザからの指示待ちに入る。
【0073】
ステップS610では、ユーザ端末から運行開始してよいかどうかの指示内容によって処理動作が異なる。同ステップにおいて、Yesの場合には、ステップS608へ進むが、Noの場合はステップS612へ進み、本フローとしては修了する。
【0074】
ここで、ステップS610においてYesとなる場合には、上表のメッセージ内容(つまり、AGVの状況)に応じて、下表のような条件付きの運行指示が出される(下表の状況番号は、上表のメッセージ番号にそれぞれ対応する)。
【表2】
この場合、各状況において、AGVからさらにユーザに対して詳細な問い合わせを行ってからユーザからの指示を受けるように制御されてもよい。例えば、メッセージ(状況)1の場合、AGVからユーザ端末に対して、「充電完了まであと○○分です。充電完了したら商品受け取りのために運行開始しますか?」といった問い合わせがなされる。ユーザが図示しないボタン押下当によりYesを指示した場合には、当該AGVは充電が完了すると直ちに指定の商品等を受け取るために最寄り拠点あるいは店舗へ向かう。
【0075】
ここで、さらに他の実施形態において、AGVからさらにユーザに対して次のような詳細な問い合わせを行うことも可能である。
「現在50%充電中です。指定の最寄り拠点(店舗)までの往復に80%の残量が必要です。80%の残量に達したら直ちに運行を開始しますか?あるいは100%充電完了後に運行を開始しますか?」
この場合には、ユーザは図示しない選択ボタン等により、当該AGVが今回の商品等の受け取りのために最低限必要な80%のバッテリー残量に達したら直ちに運行を開始させるのか、あるいは、100%充電完了後に運行を開始させるのかを指示することができ、当該AGVは、そのユーザ指示によって運行を開始させる(ステップS608へ進む)。
【0076】
また、上表の状況において、例えば、状況2の場合、AGVからユーザ端末に対して、次の(A)または(B)の選択を問い合わせるよう制御することもできる。
(A)AGVは、いったんユーザ宅へ帰還して他の商品等を降ろしてから今回の商品等の受け取りに向かう。
(B)AGVは、ユーザ宅へは帰還せず、そのまま今回の商品等の受け取りに向かう。
【0077】
ユーザは図示しない選択ボタン等により問い合わせに応じることができ、当該AGVは、そのユーザ指示によって運行を継続する。本発明はこれに限定されるものではないが、一実施形態において、前者(A)の場合には、ステップS608へ進むことなくステップS611へ進んでユーザ宅への帰還まで運行を継続させることができ、後者(B)の場合には、ステップS608へ進み、必要に応じてAGVの制御権を管理サーバへ移行させてAGVの運行を継続させることができる。
【0078】
ステップS608では、上述したように、この時点で必ずしもAGVがユーザ宅に待機しているとは限らない状況もありうるが、AGVの制御権が管理サーバへ移行する。すなわち、AGVは、ユーザ端末とではなく、管理サーバとのやり取りによって運行することとなる。換言すると、AGVは、管理サーバからの制御に基づいて運行することとなる。
ここで、上述したように、この時点でAGVがすでに他の商品の受け取りのために運行している場合には、ユーザ宅へ帰還するか、あるいは、最寄り拠点や店舗において当該他の商品の受け取りを完了したのち、適宜のタイミングで、当該AGVの制御権は現在の管理サーバから他の管理サーバへ移行することとなる(この詳細フローは、
図9を参照しながら後述する)。
【0079】
ステップS611では、AGVの運行が開始される。その詳細は、
図7を参照して後述する。AGVの運行が終了すると(典型的にはユーザ宅への帰還である)、ステップS612へ進み、本フローとしては終了する。
【0080】
ここで、本発明の一実施形態におけるAGVのユーザ宅から最寄り拠点までの運行には、(1)最寄り拠点までの誘導、(2)進行速度の調整、(3)最寄り拠点等での待機調整を含む制御が含まれる。
【0081】
図7に、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける処理フローを示す。
図7に示される処理フローは、
図6のステップS611のおける処理フローを詳細に説明するフローチャートであり、より具体的には、AGVの運行中の詳細な動作処理フローを示すフローチャートである。
【0082】
ステップS701において、AGVが運行を開始すると、ステップS702に進み、AGVは定常運行を行う。本発明の一実施形態においては、このときすでに、AGVには向かうべき最寄り拠点または店舗への道順等がセットされているか、あるいは、向かうべき最寄り拠点または店舗が確定したうえで運行がなされている。
また、ステップS702における定常運行には、AGV発進時の安全確認(AGVに搭載された図示しないカメラによる安全確認などが含まれる)や交差点等における一旦停止、右折・左折・車線変更等の進路変更などが含まれる。
【0083】
次に、ステップS703及びステップS705は、AGVの定常運行中に随時判断される割込みのような位置付けである(したがって、ステップS705においてNoの場合には、ステップS702へ復帰している)。そして、ステップS703では、管理サーバから速度調整等の指示があるかどうかが判断され、Yesの場合は、ステップS704へ進み、Noの場合は、ステップS705へ進む。本発明の一実施形態において、ステップS703で判断される速度調整等の指示は、最寄り拠点や店舗での状況(繁忙具合)や待機AGVの込み具合等により適宜調整される。
【0084】
ステップS704では、管理サーバからの指示によって、速度調整等の制御を受ける。ここでの速度調整等の制御には、AGVの加速及び/または減速のほか、運行順路途中での待機も含まれる。一実施形態において、AGVは、運行速度を適宜上げたり下げたりしながら、目的地への到着時間を調整することができる。また、待機指示については、交通に悪影響を与えず、周囲の邪魔にならないような配慮がなされたうえで管理サーバからAGVに対して送信され、これを受信したAGVによって実施される。
【0085】
ステップS705では、割込み処理の一種として目的地である最寄り拠点あるいは店舗に到着したかどうかが判断され、Yesの場合はステップS706へ進み、Noの場合はステップS702へ復帰する。
【0086】
ステップS706では、到着した最寄り拠点あるいは店舗において注文した商品等の格納がなされる。ここでは、図示しない待機(例えば、
図1Bに例示)や商品等の格納時の扉のロック開錠がなされる。本発明の一実施形態においては、商品等のAGVへの格納または積み込みはロボット等を使って自動的に行われてもよいし、一部人手によって積み込みが行われてもよい。また、一実施形態において、商品等の格納あるいは積み込みが完了すると、AGVは管理サーバ及び/またはユーザ端末へ通知することができる。
【0087】
ステップS707では、管理サーバあるいはAGVにおいて、次の最寄り拠点あるいは店舗での他の商品等の受け取りがあるかどうかが判断され、Yesの場合はステップS708へ進み、Noの場合はステップS710へ進む。ステップS710では、AGVがユーザ宅帰還モードに設定されるなどして、ユーザ宅へ向けて帰還運用を開始する。そして、AGVがユーザ宅へ帰還すると、本フローとしては終了する(ステップS711)。
【0088】
ステップS708では、当該AGVの制御権が、ある管理サーバから他の管理サーバへ移行する。本発明の一実施形態において、この制御権の移行は、現在積み込みが終わった商品等が置かれていた最寄り拠点(あるいは店舗)を管轄する小売店Aが運用する管理サーバから次に取りに行くべき商品等が置かれている最寄り拠点(あるいは店舗)を管轄する小売店Bが運用する管理サーバへの制御権移行が含まれる。この場合、当該AGVは、最初の商品等を受け取るために最寄り拠点へ運行する際には、小売店Aが運用する管理サーバの制御に基づいて運行しており、次に、小売店Aから購入した商品等の積み込みが終わったあとは、自らの制御権を小売店Bが運用する管理サーバへ移行させて、小売店Bが運用する管理サーバの制御のもと、運行を継続することとなる。
【0089】
あるいは、本発明の他の実施形態においては、上述した小売店Aが運用する管理サーバの機能と小売店Bが運用する管理サーバの機能とを統合する統合サーバの管理下において、AGVの運行が継続されるように構成されてもよい。個々の管理サーバや統合サーバの運用形態の相違については、
図9を参照して後述する。
【0090】
次に、ステップS709へ進み、当該AGVは、次の最寄り拠点へ向けて運行を継続し、ステップS702へ復帰する。
【0091】
図8に、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける動作例を示す。
【0092】
図8において、「ユーザ端末」は、一例として
図2における端末25a~25b等に対応し、「情報処理サーバ」は、
図2における管理サーバ(群)21に対応する。また、
図8中、t1~t10は時系列の流れを示し、経時的に後述する動作や処理が行われるものである。
【0093】
なお、実施形態において例示される動作または処理時刻(t1等)は、本発明の概念の理解の容易のために例示されたものであり、本発明が実施形態において例示される個別の時系列関係に制限されることはない。
【0094】
まず、日時t1において、ユーザ(顧客)は、ユーザ端末を介して情報処理サーバから自身のユーザ端末を本発明にかかる情報処理端末として動作させるためのアプリケーションソフトウェアをダウンロードする(ステップS801)。このアプリケーションソフトウェアは、本発明にかかるプログラムの一部又は全部を処理するためのクライアントソフトウェアまたはアプリケーションソフトウェアである。そして、ダウンロードしたアプリケーションソフトウェアをユーザ端末にインストールする(ステップS802)。このとき、時刻t2において、ユーザ端末からは、必要に応じてユーザ登録としてユーザ自身のメールアドレスのほか、次表のようなプロフィール情報を情報処理サーバへアップロード(ステップS803)して登録管理させることもできる(ステップS804)。
【表3】
【0095】
以上のデータ項目は、ユーザデータとして情報処理サーバ上の記憶装置に保存される(ステップS805)。時刻t3以降は、ユーザ(顧客)が情報処理端末を操作することによりアプリを使用することができる。そして、サーバは、端末に対してサービスを提供する。
【0096】
次に、ユーザ端末にアプリをダウンロード及びインストールしたユーザは、時刻t4においてアプリケーションソフトウェアを起動する(ステップS806)。一実施形態において、ユーザは、時刻t4~時刻t5まで、情報処理サーバから情報処理端末に対して提供されるサービスを受けている。
【0097】
時刻t5になると、ユーザはいったん本発明の一実施形態にかかるアプリケーションソフトウェアを中断または終了する。このとき、必要に応じて、アプリケーションのステータス情報は情報処理サーバへ転送され(ステップS807)、サーバではこれを受信して当該ユーザのユーザ情報としてのステータス情報を更新(ステップS808)及び保存(ステップS809)する。
図8においては、これらの処理は、時刻t6までに完了している。
【0098】
なお、本発明の一実施形態にかかるアプリケーションソフトウェアを情報処理端末にインストールした後は、端末上で少なくとも一部をクローズドに実行可能な形態とすることも可能であり、この場合は、上述のステップS804~ステップS805、並びに、ステップS808~ステップS809を省略することができる。また、必要な情報は、適宜端末上のメモリに保存管理される。
【0099】
次に、
図8において、時刻t7~時刻t10における処理動作は、本発明の一実施形態にかかるアプリケーションソフトウェアの少なくとも一部を情報処理サーバにおいて実施する場合の実施形態例を示している。この場合、ユーザ(顧客)は、ログイン動作と、コマンド送信という2つの典型的なユーザ端末操作を行い、情報処理サーバから必要なデータ送信を受け、あるいは、サービス提供を受けることとなる。
【0100】
例えば、
図8の時刻t7において、ユーザは自身の情報処理端末を介してサーバへのログイン処理を行う(ステップS810)と、情報処理サーバでは必要な認証処理が適宜行われ(ステップS811)、時刻t8において、ユーザがサービス提供を受けられるためのデータを送信する(ステップS812)。例えば、端末からのコマンドを受信可能に構成されたトップメニュー画面や、アプリケーションの起動画面等である。
【0101】
時刻t9において、ユーザは、情報処理端末を介して何らかのコマンドを送信する(ステップS813)。このコマンドは、メニュー画面に表示されたメニューの選択でもよく、アプリケーション起動画面であれば、アプリケーションを開始するための開始コマンドの場合もある。サーバ側では、このコマンドを受けて、サービス処理を開始する(ステップS814)。そして、時刻t10において、サーバから端末の要求に応じたサービスが提供される(ステップS815)。
【0102】
なお、
図8には図示していないが、時刻t10以降も、端末からは随時コマンドを送信することができ(例えば、メッセージ送信コマンドやメニュー選択コマンドなど)、都度、サーバでは端末からのコマンド受信を受けてサービスを提供することができる(例えば、受信したメッセージを他端末に転送したり、メッセージ解析をしてその結果を返信したりするなど)。
【0103】
図9に、本発明の一実施形態にかかる輸送システムにおける詳細な動作例を示す。
図9において、「ユーザ端末」は、一例として
図2における端末25a~25b等に対応し、「AGV」は、一例として
図2における22a~22cに対応し、「最寄り拠点1」及び「最寄り拠点2」は、一例として
図1Aにおける14~16にを管轄するサーバに対応し(これらのサーバは必ずしも拠点内に設定されている必要はない)、このサーバは、後述するように、
図2における管理サーバ21にも対応しうる。さらに、「情報処理サーバ」は、
図2における管理サーバ(群)21に対応する。また、
図9中、t21~t37は時系列の流れを示し、経時的に後述する動作や処理が行われるものである。
【0104】
特に、
図9においては、例示的に、ユーザが、インターネット等を介して店舗Aから商品Aを購入し、店舗Bから商品Bを購入したあとで、ユーザのAGVを使ってこれらの商品A及びBをそれぞれの最寄り拠点に取りに行く様子を説明している。
【0105】
そして、
図9において、t21~t26までの処理動作は、上述のとおり、ユーザがインターネット等を介して店舗Aから商品Aを購入し、店舗Bから商品Bを購入した場合において、「情報処理サーバ」が、AGVを制御する統合サーバとして機能した場合の例を示しており、さらに、t31~t37までの処理動作は、ユーザがインターネット等を介して店舗Aから商品Aを購入し、店舗Bから商品Bを購入した場合において、「最寄り拠点1」及び「最寄り拠点2」を管轄するサーバ(必ずしも拠点内に設定される必要はない)が、
図2における管理サーバ21として機能した場合の例をそれぞれ示している。
【0106】
[「情報処理サーバ」が、AGVを制御する統合サーバとして機能する場合)]
図9のt21において、ユーザは、ユーザ端末を介して店舗Aから商品Aをネット注文し(このとき電子決済がなされてもよい。ステップS901)、同じくユーザ端末を介して店舗Bから商品Bをネット注文する(このとき電子決済がなされてもよい。ステップS902)。
【0107】
次に、t22において、ユーザは、ユーザ端末を介してAGVに最寄り拠点1へ商品Aを受け取りにいくよう依頼する(ステップS903)。この間、店舗Aでは、図示しない店舗Aサーバの管理に基づき、ユーザが購入した商品Aを最寄り拠点1へ配送するように手配され、店舗Bでは、図示しない店舗Bサーバの管理に基づき、ユーザが購入した商品Bを最寄り拠点2へ配送するように手配される(
図9においては、これら様子は省略する)。
AGVは、上述したユーザからの依頼を受けて、自身の運行制御について、店舗Aのサーバに依頼し(ステップS904)、店舗Aのサーバは、当該AGVの制御を情報処理サーバへ依頼する(ステップS905)。この結果、ユーザが購入した商品Aの最寄り拠点1への受け取りためのAGV制御は、情報処理サーバに委ねられることになる。
なお、
図9では、情報処理サーバによるAGV制御に関し、店舗Aサーバを介した制御権の移行(ステップS904、ステップS905)を例にとって説明したが、本発明はこれに制限されるものではなく、ユーザ端末からAGVへの依頼(ステップS903)のあと、AGVが自身の制御権を情報処理サーバへ直接委ねるように制御されてもよい。その場合、情報処理サーバと店舗Aサーバとの間で必要な情報共有がなされる。
【0108】
時刻t22後は、情報処理サーバは、AGVの制御を行い(ステップS906)、AGVはこれに伴い運行を開始する(ステップS907)。以後、情報処理サーバとAGVは、随時通信を行って運行を継続させることができる(図中、破線で表した)。また、本発明の一実施形態において、最寄り拠点1における店舗Aサーバと情報処理サーバとの間で通信されてもよい(ステップS908)。例えば、最寄り拠点1における待機AGVの混み具合に関する情報などが共有される。情報処理サーバは、こうした情報を受けて、AGVに対する速度の調整を行ったり、待機指示を出したりする。
【0109】
時刻t23において、AGVは最寄り拠点1へ到着し、ステップS909において、AGVへの商品Aの格納(積み込み)が行われる。
【0110】
次に、時刻t24において、AGVへの商品Aの格納が完了すると、店舗Aサーバから情報処理サーバへ格納完了通知がなされ(ステップS910)、また、AGVからユーザ端末に格納完了通知がなされる(ステップS911)。ここで、
図9においては、格納完了通知は、店舗Aサーバから情報処理サーバへの通知(ステップS910)と、AGVからユーザ端末への通知(ステップS911)とを区別して記載したが、本発明はこれに制限されるものではなく、設計上可能な範囲で通知ルートを変更することができる。あるいは、本発明の実施に影響を与えない範囲で、これらの通知の一部または全部を省略することもできる。
【0111】
時刻t24後は、情報処理サーバでは、当該AGVの制御権を維持したまま、今度は、最寄り拠点2へ商品Bを取りに行くよう当該AGVを運行制御する(ステップS912)。AGVはこれに伴い運行を開始する(ステップS913)。以後、情報処理サーバとAGVは、随時通信を行って運行を継続させることができる(図中、破線で表した)。また、本発明の一実施形態において、最寄り拠点2における店舗Bサーバと情報処理サーバとの間で通信されてもよい(ステップS914)。例えば、最寄り拠点2における待機AGVの混み具合に関する情報などが共有される。情報処理サーバは、こうした情報を受けて、AGVに対する速度の調整を行ったり、待機指示を出したりする。
【0112】
時刻t25において、AGVは最寄り拠点2へ到着し、ステップS915において、AGVへの商品Bの格納(積み込み)が行われる。
【0113】
次に、時刻t26において、AGVへの商品Bの格納が完了すると、店舗Bサーバから情報処理サーバへ格納完了通知がなされ(ステップS916)、また、AGVからユーザ端末に格納完了通知がなされる(ステップS917)。ここで、
図9においては、格納完了通知は、店舗Bサーバから情報処理サーバへの通知(ステップS916)と、AGVからユーザ端末への通知(ステップS917)とを区別して記載したが、本発明はこれに制限されるものではなく、設計上可能な範囲で通知ルートを変更することができる。あるいは、本発明の実施に影響を与えない範囲で、これらの通知の一部または全部を省略することもできる。
【0114】
そして、時刻t26後は、AGVは他の商品を取りに行く予定はないので、ユーザ宅へ帰還するために運行する(ステップS918)。
図9では、時刻t27に、AGVはユーザ宅へ帰還している。
【0115】
[「最寄り拠点1」及び「最寄り拠点2」を管轄するサーバが、それぞれ管理サーバ21として機能する場合)]
図9のt31において、ユーザは、ユーザ端末を介して店舗Aから商品Cをネット注文し(このとき電子決済がなされてもよい。ステップS951)、同じくユーザ端末を介して店舗Bから商品Dをネット注文する(このとき電子決済がなされてもよい。ステップS952)。
【0116】
次に、t32において、ユーザは、ユーザ端末を介してAGVに最寄り拠点1へ商品Cを受け取りにいくよう依頼する(ステップS953)。この間、店舗Aでは、図示しない店舗Aサーバの管理に基づき、ユーザが購入した商品Cを最寄り拠点1へ配送するように手配され、店舗Bでは、図示しない店舗Bサーバの管理に基づき、ユーザが購入した商品Dを最寄り拠点2へ配送するように手配される(
図9においては、これら様子は省略する)。
AGVは、上述したユーザからの依頼を受けて、自身の運行制御について、店舗Aのサーバに依頼する(ステップS954)。この結果、ユーザが購入した商品Aの最寄り拠点1への受け取りためのAGV制御は、店舗Aサーバに委ねられることになる。
【0117】
時刻t32後は、店舗Aサーバは、AGVの制御を行い(ステップS955)、AGVはこれに伴い運行を開始する(ステップS956)。以後、店舗AサーバとAGVは、随時通信を行って運行を継続させることができる(図中、破線で表した)。例えば、最寄り拠点1における待機AGVの混み具合等を踏まえて、店舗Aサーバは、AGVに対する速度の調整を行ったり、待機指示を出したりする。
【0118】
時刻t33において、AGVは最寄り拠点1へ到着し、ステップS957において、AGVへの商品Cの格納(積み込み)が行われる。
【0119】
次に、時刻t34において、AGVへの商品Cの格納が完了すると、本発明の一実施形態において、店舗Aサーバから店舗BサーバへAGVの制御依頼が行われる(ステップS958)。ここで、店舗BサーバがAGVの制御依頼を店舗Aサーバから受諾すると、当該AGVの制御権は、店舗Aサーバから店舗Bサーバへ移行する。
また、AGVからユーザ端末に格納完了通知がなされる(ステップS959)。この完了通知については、店舗Aサーバからユーザ端末へ通知させるなど、設計上可能な範囲で通知ルートを変更することができる。あるいは、本発明の実施に影響を与えない範囲で、これらの通知の一部または全部を省略することもできる。
【0120】
時刻t34後は、店舗Bサーバは、当該AGVを制御し(ステップS960)、最寄り拠点2へ商品Dを取りに行くよう運行させる(ステップS961)。以後、店舗BサーバとAGVは、随時通信を行って運行を継続させることができる(図中、破線で表した)。例えば、最寄り拠点2における待機AGVの混み具合等を踏まえて、店舗Bサーバは、AGVに対する速度の調整を行ったり、待機指示を出したりする。
【0121】
時刻t35において、AGVは最寄り拠点2へ到着し、ステップS962において、AGVへの商品Dの格納(積み込み)が行われる。
【0122】
次に、時刻t36において、AGVへの商品Dの格納が完了すると、AGVからユーザ端末に格納完了通知がなされる(ステップS963)。この完了通知については、店舗Aサーバからユーザ端末へ通知させるなど、設計上可能な範囲で通知ルートを変更することができる。あるいは、本発明の実施に影響を与えない範囲で、これらの通知の一部または全部を省略することもできる。
【0123】
そして、時刻t36後は、AGVは他の商品を取りに行く予定はないので、ユーザ宅へ帰還するために運行する(ステップS964)。
図9では、時刻t37に、AGVはユーザ宅へ帰還している。
【0124】
[その他のバリエーション]
(取引完了の取り扱い)
本発明の一実施形態においては、個々の商品等の注文あるいは購入による電子商取引の「取引完了」の取り扱いにつき、種々の処理等の時点を取引完了とすることができる。一例として、次の(1)~(3)における時点を取引完了として処理させることができる。
(1)1以上の電子商取引の個々の電子商取引における決済時点(例えば、
図9におけるステップS901、ステップS902など)。
(2)前記1以上の電子商取引で購入した商品の前記最寄り拠点における前記AGVへの積載時点(例えば、
図9におけるステップS909、ステップS915の完了時点など)。
(3)前記AGVが前記1以上の電子商取引で購入した商品を、前記ユーザ端末を使用するユーザ宅へ持ち帰り、前記ユーザにより前記ユーザ端末を介して前記商品の確認が指示された時点(例えば、
図9におけるステップS918、ステップS964の完了時の図示しないユーザ端末を介したユーザによる確認処理がなされた時点など)。
【0125】
(AGVのシェア)
本発明の一実施形態においては、AGVは、ユーザごとに所有されたものとの解釈がなされるかもしれないが、本発明はこれに限定されるものではなく、AGVは、複数のユーザによってシェアされてもよい。例えば、アパートやマンションの住人によるシェア、パーキングなどを利用した不特定多数のユーザに対する時間シェアなどがある。この場合、1以上のAGVは、公知の技術によって共有管理や予約管理がなされ、複数のユーザによって共有される。
【0126】
以上、具体例に基づき、輸送システム等の実施形態を説明したが、本発明の実施形態としては、システム又は装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、メモリカード)等としての実施態様をとることも可能である。
【0127】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であっても良い。
【0128】
さらに、プログラムは、必ずしも制御基板上のCPUにおいてのみ、全ての処理が実施される必要はなく、必要に応じて基板に付加された拡張ボードや拡張ユニットに実装された別の処理ユニット(DSP等)によってその一部又は全部が実施される構成とすることもできる。
【0129】
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0130】
また、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0131】
さらに、本発明は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法又は処理のステップ、又はそれらの組合せに拡張することができる。
【符号の説明】
【0132】
10 物流システム
20 輸送システム
21 管理サーバ(群)
22a~22c AGV
23a~23b UV
24 PC(拠点端末あるいは顧客端末の一形態)
25a、25b タブレット端末(拠点端末あるいは顧客端末の一形態)
37、38 通信回線
39 公衆回線(専用線、インターネット等)
【手続補正書】
【提出日】2021-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の管理サーバと、
電子商取引にてユーザによって購入された商品を受け取るために、前記ユーザ宅から最寄り拠点へ向かって前記最寄り拠点にて前記商品を収容する収容部を有するAGVと、
前記管理サーバまたは前記AGVに前記商品の輸送を指示するユーザ端末と
を備えた輸送システムであって、
前記ユーザ端末は、前記管理サーバとの電子商取引にて商品が購入された場合の受け取り方法として前記AGVを使った商品の受け取りを指示するための指示インタフェースを備え、
前記AGVは、前記指示インタフェースを介した指示により、前記管理サーバの制御に基づき前記ユーザ宅から前記最寄り拠点へ向かい、前記最寄り拠点において前記商品の受け取りを遂行するよう制御される
ことを特徴とする輸送システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、個別に電子商取引を行うこともできる複数の管理サーバで構成され、前記複数の管理サーバのうち少なくとも2のサーバは個別に電子商取引を行うことができるように構成されており、
前記ユーザ端末を介して、前記複数の管理サーバのうちの1の管理サーバとの間の1の電子商取引及び他の管理サーバとの間の他の電子商取引にてそれぞれ商品が購入された場合に、
前記AGVが、前記指示インタフェースを介した指示により、前記1の管理サーバの制御に基づき、前記1の電子商取引で購入した商品の受け取りを遂行したあと、前記1の管理サーバによる前記AGVへの制御は、前記他の管理サーバへ移行される
ことを特徴とする請求項1に記載の輸送システム。
【請求項3】
前記制御には、(1)最寄り拠点までの誘導、(2)進行速度の調整、(3)最寄り拠点等での待機調整、のうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の輸送システム。
【請求項4】
前記1以上の電子商取引が行われて前記AGVが前記指示インタフェースを介した指示により、前記1以上の電子商取引で購入した商品の受け取りを開始する際、前記AGVは、今回の1以上の電子商取引で購入した商品の受け取りを全て遂行するために必要なバッテリー残量をチェックし、残量が十分であるか、または残量が十分でないかのいずれかを前記ユーザ端末へ通知する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項5】
前記AGVを使用した場合の前記1以上の個々の電子商取引は、
(1)前記1以上の電子商取引の個々の電子商取引における決済時点、
(2)前記1以上の電子商取引で購入した商品の前記最寄り拠点における前記AGVへの積載時点、
(3)前記AGVが前記1以上の電子商取引で購入した商品を、前記ユーザ端末を使用するユーザ宅へ持ち帰り、前記ユーザにより前記ユーザ端末を介して前記商品の確認が指示された時点、
のいずれかで取引完了として処理される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項6】
前記AGVは、複数のユーザ端末を介して複数のユーザにて共有されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項7】
1以上の管理サーバと、電子商取引にてユーザによって購入された商品を受け取るために、前記ユーザ宅から最寄り拠点へ向かって前記最寄り拠点にて前記商品を収容する収容部を有するAGVと、前記管理サーバまたは前記AGVに前記商品の輸送を指示するユーザ端末とを備えた輸送システム上で実行されるプログラムであって、
前記ユーザ端末に、前記管理サーバとの電子商取引にて商品が購入された場合の受け取り方法として前記AGVを使った商品の受け取りを指示するための指示インタフェースを提供させるステップと、
前記管理サーバに、前記指示インタフェースを介した指示により、前記AGVが前記ユーザ宅から前記最寄り拠点に向かい、前記最寄り拠点において前記商品の受け取りを遂行するよう制御させるステップと
を実行することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記管理サーバは、個別に電子商取引を行うこともできる複数の管理サーバで構成され、前記複数の管理サーバのうち少なくとも2のサーバは個別に電子商取引を行うことができるように構成されており、
前記ユーザ端末を介して、前記複数の管理サーバのうちの1の管理サーバとの間の1の電子商取引及び他の管理サーバとの間の他の電子商取引にてそれぞれ商品が購入された場合に、
前記AGVが、前記指示インタフェースを介した指示により、前記1の管理サーバの制御に基づき、前記1の電子商取引で購入した商品の受け取りを遂行したあと、前記1の管理サーバによる前記AGVへの制御は、前記他の管理サーバへ移行されるように制御される
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記制御には、(1)最寄り拠点までの誘導、(2)進行速度の調整、(3)最寄り拠点等での待機調整、のうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項7または8に記載のプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
そこで、本発明の一実施形態にかかる輸送システム等は、1以上の管理サーバと、電子商取引にてユーザによって購入された商品を受け取るために、前記ユーザ宅から最寄り拠点へ向かって前記最寄り拠点にて前記商品を収容する収容部を有するAGVと、前記管理サーバまたは前記AGVに前記商品の輸送を指示するユーザ端末とを備えた輸送システムであって、前記ユーザ端末は、前記管理サーバとの電子商取引にて商品が購入された場合の受け取り方法として前記AGVを使った商品の受け取りを指示するための指示インタフェースを備え、前記AGVは、前記指示インタフェースを介した指示により、前記管理サーバの制御に基づき前記ユーザ宅から前記最寄り拠点へ向かい、前記最寄り拠点において前記商品の受け取りを遂行するよう制御されることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、前記管理サーバは、個別に電子商取引を行うこともできる複数の管理サーバで構成され、前記複数の管理サーバのうち少なくとも2のサーバは個別に電子商取引を行うことができるように構成されており、前記ユーザ端末を介して、前記複数の管理サーバのうちの1の管理サーバとの間の1の電子商取引及び他の管理サーバとの間の他の電子商取引にてそれぞれ商品が購入された場合に、前記AGVが、前記指示インタフェースを介した指示により、前記1の管理サーバの制御に基づき、前記1の電子商取引で購入した商品の受け取りを遂行したあと、前記1の管理サーバによる前記AGVへの制御は、前記他の管理サーバへ移行されることを特徴とする。