IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

<>
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図1
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図2
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図3
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図4
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図5
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図6
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図7
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図8
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図9
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図10
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図11
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図12
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図13
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図14
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図15
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図16
  • 特開-表示装置、検出装置および時計 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035171
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】表示装置、検出装置および時計
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220225BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/041 410
G06F3/044
G06F3/041 570
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139300
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 晃彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 薫
(72)【発明者】
【氏名】安部 大智
(57)【要約】
【課題】画像を表示する際の表示品位とタッチによる優れた操作性との両立を実現することが可能な表示装置、検出装置および時計を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る表示装置は、第1基板と、第1基板に対向する第2基板と、第1基板と第2基板との間に挟持される液晶層と、画像を表示する表示領域に配置される少なくとも1つの第1検出電極と、表示領域を囲む周辺領域に配置される複数の第2検出電極と、を備え、表示領域に画像を表示する表示期間においては、第1検出電極には、液晶層を駆動するための所定の電圧が印加され、液晶層を駆動しない期間においては、第1検出電極は、電気的にどことも接続されていない状態または50kΩ以上でバイアスされた状態に設定される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持される液晶層と、
画像を表示する表示領域に配置される少なくとも1つの第1検出電極と、
前記表示領域を囲む周辺領域に配置される複数の第2検出電極と、
を具備し、
前記表示領域に画像を表示する表示期間においては、前記第1検出電極には、前記液晶層を駆動するための所定の電圧が印加され、
前記液晶層を駆動しない期間においては、前記第1検出電極は、電気的にどことも接続されていない状態または50kΩ以上でバイアスされた状態に設定される、表示装置。
【請求項2】
前記液晶層を駆動しない期間においては、前記第1検出電極は、50kΩ以上でバイアスされた状態に設定される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1検出電極と前記第2検出電極とは同層に配置される、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1検出電極と前記第2検出電極とは異なる層に配置される、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1基板は、画素電極を備え、
前記第2基板は、前記第1検出電極および前記第2検出電極を備え、
前記表示期間においては、前記第1検出電極は前記液晶層を駆動するための共通電極として動作し、前記所定の電圧が印加される、請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1基板は、画素電極および前記第2検出電極を備え、
前記第2基板は、前記第1検出電極を備え、
前記表示期間においては、前記第1検出電極は前記液晶層を駆動するための共通電極として動作し、前記所定の電圧が印加される、請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示装置は、
前記液晶層を駆動しない期間において前記第2検出電極より出力される検出信号のうち、所定数以上の検出信号の波形に所定の変化が見られた場合、前記第1検出電極により外部近接物体が検出されたと判断し、スリープモードを解除する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の表示装置を備える時計。
【請求項9】
少なくとも1つの第1検出電極と、
前記第1検出電極を囲む周辺領域に配置される複数の第2検出電極と、
を具備し、
第1期間においては、前記第1検出電極には、所定の電圧が印加され、
前記第1期間とは異なる第2期間においては、前記第1検出電極は、電気的にどことも接続されていない状態または50kΩ以上でバイアスされた状態に設定される、検出装置。
【請求項10】
前記第1期間においては、前記第1検出電極は、50kΩ以上でバイアスされた状態に設定される、請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
前記第1検出電極と前記第2検出電極とは同層に配置される、請求項9または請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記第1検出電極と前記第2検出電極とは異なる層に配置される、請求項9または請求項10に記載の検出装置。
【請求項13】
前記検出装置は、
前記第2期間において前記第2検出電極より出力される検出信号のうち、所定数以上の検出信号の波形に所定の変化が見られた場合、前記第1検出電極により外部近接物体が検出されたと判断し、スリープモードを解除する、請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項14】
請求項9~請求項13のいずれか1項に記載の検出装置を備える時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置、検出装置および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチ検出機能付きのウェアラブルデバイス(例えば腕時計型のウェアラブルデバイス、眼鏡型のウェアラブルデバイス等)が徐々に普及してきている。このようなウェアラブルデバイスでは、画像を表示する際の表示品位と、タッチによる優れた操作性との両立が求められており、種々様々な開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-61563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、画像を表示する際の表示品位とタッチによる優れた操作性との両立を実現することが可能な表示装置、検出装置および時計を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持される液晶層と、画像を表示する表示領域に配置される少なくとも1つの第1検出電極と、前記表示領域を囲む周辺領域に配置される複数の第2検出電極と、を具備し、前記表示領域に画像を表示する表示期間においては、前記第1検出電極には、前記液晶層を駆動するための所定の電圧が印加され、前記液晶層を駆動しない期間においては、前記第1検出電極は、電気的にどことも接続されていない状態または50kΩ以上でバイアスされた状態に設定される、表示装置が提供される。
本実施形態によれば、上記した表示装置を備える時計が提供される。
本実施形態によれば、
少なくとも1つの第1検出電極と、前記第1検出電極を囲む周辺領域に配置される複数の第2検出電極と、を具備し、第1期間においては、前記第1検出電極には、所定の電圧が印加され、前記第1期間とは異なる第2期間においては、前記第1検出電極は、電気的にどことも接続されていない状態または50kΩ以上でバイアスされた状態に設定される、検出装置が提供される。
本実施形態によれば、上記した検出装置を備える時計が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は第1実施形態に係る表示装置の一構成例を示す平面図である。
図2図2は同実施形態に係る表示装置の一構成例を示す断面図である。
図3図3は同実施形態に係る共通電極をハイインピーダンス状態にするための回路構成例を示す図である。
図4図4は同実施形態に係る共通電極をハイインピーダンス状態にするための回路構成例を示す図である。
図5図5は同実施形態に係る共通電極をハイインピーダンス状態にするための回路構成例を示す図である。
図6図6は同実施形態に係る表示装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図7図7は同実施形態に係る表示装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図8図8は同実施形態に係る表示装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図9図9は同実施形態に係る表示装置の動作例を示すフローチャートである。
図10図10は同実施形態に係る表示装置の一構成例を示す断面図である。
図11図11は同実施形態に係る表示装置の一構成例を示す断面図である。
図12図12は第2実施形態に係る表示装置の一構成例を示す平面図である。
図13図13は同実施形態に係る表示装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図14図14は同実施形態に係る表示装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図15図15は各実施形態に係る表示装置の適用例を示す図である。
図16図16は各実施形態に係る表示装置の別の適用例を示す図である。
図17図17は自己容量方式によるタッチ検出の原理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0008】
(第1実施形態)
本実施形態においては、表示装置の一例として、タッチ検出機能付きの表示装置について説明する。タッチ検出方式には、光学式、抵抗式、静電容量方式、電磁誘導方式、等の種々の方式がある。上記した各種検出方式のうちの静電容量方式は、物体(例えば指等)の近接または接触に起因して静電容量が変化することを利用する検出方式であり、比較的単純な構造で実現可能である、消費電力が少ない、等の利点を有している。本実施形態では、主に、静電容量方式を利用したタッチ検出機能付きの表示装置について説明する。
【0009】
なお、静電容量方式は、互いに離間した状態で配置された一対の送信電極(駆動電極)と受信電極(検出電極)との間に電界を発生させ、物体の近接または接触に伴う当該電界の変化を検出する相互容量方式と、単一の電極を用いて、物体の近接または接触に伴う静電容量の変化を検出する自己容量方式とを含む。本実施形態では、主に、自己容量方式を利用したタッチ検出機能付きの表示装置について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、および第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していても良い。第1方向Xおよび第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。本明細書においては、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を上方向、当該矢印の先端から反対に向かう方向を下方向と称することもある。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSPを観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向Xおよび第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視と言う。
【0011】
図1に示すように、表示装置DSPは、表示パネルPNLと、フレキシブル配線基板FPC1と、回路基板PCBと、を備えている。表示パネルPNLと、回路基板PCBとは、フレキシブル配線基板FPC1を介して電気的に接続されている。より詳しくは、表示パネルPNLの端子部Tと、回路基板PCBの接続部CNとは、フレキシブル配線基板FPC1を介して電気的に接続されている。
【0012】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示部DAと、表示部DAを囲む額縁状の非表示部NDAと、を備えている。表示部DAは表示領域と称される場合もある。また、非表示部NDAは周辺領域と称される場合もある。表示部DAには画素PXが配置されている。具体的には、表示部DAには、多数の画素PXが第1方向Xおよび第2方向Yに沿ってマトリクス状に配列されている。本実施形態において、画素PXは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の副画素SPを含む。また、各副画素SPは、複数のセグメント画素SGを有する。各セグメント画素SGは、面積の異なる画素電極を有しており、これら複数のセグメント画素SGの表示/非表示を切り替えることで、副画素SPごとに階調が形成される。
【0013】
図1に示す2つの同心円のうちの内側の円の領域が表示部DAに相当し、外側の円から内側の円を除いた領域が非表示部NDAに相当する。なお、本実施形態では、表示部DAが円形状であり、かつ、表示部DAを囲む非表示部NDAもまた同系統の形状である場合を例示しているが、これに限定されず、表示部DAは円形状でなくてもよいし、非表示部NDAは表示部DAとは異なる系統の形状であってもよい。例えば、表示部DAおよび非表示部NDAは多角形状であってもよい。さらに、表示部DAが多角形状の場合に、非表示部NDAが表示部DAとは異なる系統の形状である円形状であってもよい。
【0014】
図1に示すように、非表示部NDAには、複数の検出電極(センサ電極)Rx1~Rx8が表示部DAを囲むように配置されている。なお、本実施形態では、8個の検出電極Rx1~Rx8を例示しているが、非表示部NDAに配置される検出電極Rxの個数はこれに限定されず、任意の個数の検出電極Rxが表示部DAを囲むように配置されて構わない。複数の検出電極Rx1~Rx8は、図示しない導通材(金属でコーティングされた導電ビーズ)を介してRx配線層RL1~RL8にそれぞれ電気的に接続される。便宜上、図1では簡略化して図示しているが、Rx配線層RL1~RL8は、端子部(パッド)や当該端子部から端子部Tに向けて延びるRx配線等を含む。Rx配線は、検出電極Rx1~Rx8への駆動信号の供給、および、検出電極Rx1~Rx8からの検出信号(RxAFE信号)の出力のために使用される配線である。
【0015】
図1に示すように、表示装置DSPは、非表示部NDAにおいて、水平ドライバHDと、垂直ドライバVDと、画素信号供給回路RGBIFと、共通電極駆動回路COMDとを備えている。これら各種回路と、検出電極Rx1~Rx8とは、平面視において重畳している。これら各種回路は、各々から端子部Tに向けて延びる配線(図示せず)を介して、フレキシブル配線基板FPC1と電気的に接続されている。なお、水平ドライバHDは、信号線駆動回路またはソースドライバ等と称される場合もある。また、垂直ドライバVDは、走査線駆動回路またはゲートドライバ等と称される場合もある。
【0016】
図1において拡大して示すように、セグメント画素SGは、スイッチング素子SW、画素回路PC、画素電極PE、共通電極COM、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線Gおよび信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gは、第1方向Xに並んだセグメント画素SGの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだセグメント画素SGの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、画素回路PCを介して、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極COMと対向し、画素電極PEと共通電極COMとの間に生じる電界によって液晶層LCを駆動している。走査線Gは上記した垂直ドライバVDと電気的に接続され、信号線Sは上記した水平ドライバHDと電気的に接続されている。
【0017】
図1に示すように、回路基板PCBには、タッチコントローラTCと、マイコンMCUと、バッテリBTと、第1~第3電力管理回路PMIC1~PMIC3と、等が配置される。バッテリBTは、第1~第3電力管理回路PMIC1~PMIC3に電源電圧を供給する。第1電力管理回路PMIC1は、バッテリBTから供給される電源電圧を、アナログ電源またはデジタル電源として、タッチコントローラTCに供給する。タッチコントローラTCは、CPU1と、アナログフロントエンド回路AFEとを備えている。CPU1は、タッチコントローラTCの動作を制御する。CPU1は、アナログフロントエンド回路AFEを介して入力される検出信号に基づき、タッチ検出を行う。第2電力管理回路PMIC2は、バッテリBTから供給される電源電圧をマイコンMCUに供給する。マイコンMCUは、CPU2と、汎用入出力ピンGPIOとを備えている。CPU2は、マイコンMCUの動作を制御する。CPU2は、汎用入出力ピンGPIOを介して、表示パネルPNLに配置された各種回路やタッチコントローラTCと各種信号の授受を行う。詳細については後述するが、マイコンMCUは、第3電力管理回路PMIC3に設けられるスイッチのオン/オフを制御する。第3電力管理回路PMIC3は、バッテリBTから供給される電源電圧を、アナログ電源またはデジタル電源として、表示パネルPNLに配置された各種回路に供給する。
【0018】
図2は、表示装置DSPの一構成例を示す断面図である。以下では、表示部DA側の構成と、非表示部NDA側の構成とのそれぞれについて説明する。
表示装置DSPは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、カバー部材CMとを備えている。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、平面視において重畳し、シール(図示せず)によって接着されている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シールによって封止されている。
【0019】
なお、図2では、表示装置DSPが、バックライトユニットが配置されない反射型の表示装置である場合を例示しているが、これに限定されず、表示装置DSPは、有機ELを画素として採用した表示装置や、バックライトユニットが配置された透過型の表示装置であってもよい。あるいは、表示装置DSPは、反射型と透過型を組み合わせた表示装置であってもよい。バックライトユニットとしては、種々の形態のバックライトユニットが利用可能であり、例えば、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや、冷陰極管(CCFL)を利用したもの、などが利用可能である。
【0020】
表示部DA側において、第1基板SUB1は、図2に示すように、透明基板10と、スイッチング素子SWと、画素回路PCと、平坦化膜11と、画素電極PEと、配向膜AL1とを備えている。第1基板SUB1は、上記した構成の他に、図1に示した走査線Gや信号線S等を備えているが、図2ではこれらの図示を省略している。
【0021】
透明基板10は、主面(下面)10Aと、主面10Aの反対側の主面(上面)10Bと、を備えている。スイッチング素子SWおよび画素回路PCは、主面10B側に配置されている。平坦化膜11は、少なくとも一つ以上の絶縁膜によって構成されており、スイッチング素子SWおよび画素回路PCを覆っている。画素電極PEは、平坦化膜11の上に配置され、平坦化膜11に形成されたコンタクトホールを介して画素回路PCに接続されている。スイッチング素子SW、画素回路PCおよび画素電極PEは、セグメント画素SG毎に配置されている。配向膜AL1は、画素電極PEを覆い、液晶層LCに接している。
【0022】
なお、図2においては、スイッチング素子SWおよび画素回路PCを簡略化して図示しているが、実際にはスイッチング素子SWおよび画素回路PCは半導体層や各層の電極を含んでいる。また、図2においては図示を省略しているが、スイッチング素子SWと画素回路PCとは電気的に接続されている。さらに、上記したように、図2において図示を省略した走査線Gや信号線Sは、例えば、透明基板10と平坦化膜11との間に配置されている。
【0023】
表示部DA側において、第2基板SUB2は、図2に示すように、透明基板20と、カラーフィルタCFと、オーバーコート層OCと、共通電極COMと、配向膜AL2と、を備えている。
【0024】
透明基板20は、主面(下面)20Aと、主面20Aの反対側の主面(上面)20Bと、を備えている。透明基板20の主面20Aは、透明基板10の主面10Bと対向している。カラーフィルタCFは透明基板20の主面20A側に配置されている。カラーフィルタCFは、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、などを含む。オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。共通電極COMは、複数のセグメント画素SG(複数の画素PX)に亘って配置され、第3方向Zにおいて複数の画素電極PEと対向している。共通電極COMはオーバーコート層OCの上に配置されている。配向膜AL2は、共通電極COMを覆い、液晶層LCに接している。なお、図2では、表示部DA側の第2基板SUB2の構成として、各セグメント画素SGを区画する遮光膜が設けられていない構成を説明したが、各セグメント画素SGを区画するために遮光膜が設けられ、この遮光膜がカラーフィルタCFの一部と重なる構成であってもよい。
液晶層LCは、主面10Aと主面20Aとの間に配置されている。
【0025】
透明基板10および20は、例えばガラス基材やプラスチック基板などの絶縁基板である。平坦化膜11は、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物またはアクリル樹脂などの透明な絶縁材料によって形成されている。一例では、平坦化膜11は、無機絶縁膜および有機絶縁膜を含んでいる。画素電極PEは、反射電極として形成され、例えば、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、銀(Ag)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)の三層積層構造になっている。共通電極COMは、例えばインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。配向膜AL1およびAL2は、X-Y平面にほぼ平行な配向規制力を有する水平配向膜である。配向規制力は、ラビング処理により付与されてもよいし、光配向処理により付与されてもよい。
【0026】
非表示部NDA側において、第1基板SUB1は、図2に示すように、透明基板10と、Rx配線層RLと、平坦化膜11と、配向膜AL1とを備えている。以下では、表示部DA側において既に説明した構成については、その詳しい説明を省略する。
【0027】
透明基板10の上には、Rx配線層RLが配置されている。便宜上、図2ではRx配線層RLを簡略化して図示しているが、上記したように、Rx配線層RLは端子部(パッド)や当該端子部から端子部Tに向けて延びるRx配線などを含み、導通材を介して第2基板SUB2側に配置される検出電極Rxと電気的に接続されている。
【0028】
非表示部NDA側において、第2基板SUB2は、図2に示すように、透明基板20と、遮光膜BMと、オーバーコート層OCと、検出電極Rxと、配向膜AL2とを備えている。以下では、表示部DA側において既に説明した構成については、その詳しい説明を省略する。
【0029】
透明基板20の主面20A側には、遮光膜BMが配置されている。遮光膜BMは、非表示部NDAのほぼ全面に亘って配置されている。オーバーコート層OCは、表示部DA側のカラーフィルタCFと共に遮光膜BMを覆っている。検出電極Rxはオーバーコート層OCの上に配置されている。図2に示す構成においては、検出電極Rxは、表示部DA側の共通電極COMと同層に配置されており、例えば共通電極COMと同じ透明導電材料によって形成されている。配向膜AL2は検出電極Rxを覆い、液晶層LCに接している。
【0030】
なお、図2では、液晶層LCに含まれる液晶分子の配向を変化させるための電界の印加方向によって2つに分類される液晶モードが、いわゆる縦電界モードである場合の構成を例示しているが、本構成は、液晶モードがいわゆる横電界モードの場合にも適用可能である。上記した縦電界モードは、例えばTN(Twisted Nematic)モードや、VA(Vertical Alignment)モードなどを含む。また、上記した横電界モードは、例えばIPS(In-Plane Switching)モードや、IPSモードの1つであるFFS(Fringe Field Switching)モードなどを含む。横電界モードを採用する場合、表示領域に設けられる共通電極COMは第1基板SUB1側に設けられ、薄い絶縁層を介して画素電極PEと対向する。
【0031】
本実施形態に係る表示装置DSPは、非表示部NDAに配置された検出電極Rx1~Rx8を用いて、表示部DAがタッチされたことを検出する。具体的には、表示部DAに配置された共通電極COMを、ハイインピーダンス状態またはフローティング状態(どことも電気的に接続されていない状態)にすることで、表示装置DSPは、非表示部NDAに配置された検出電極Rx1~Rx8により、表示部DAがタッチされた際の静電容量の変化を検出する。以下では、共通電極COMをハイインピーダンス状態またはフローティング状態にするための回路構成、ならびに、表示部DAがタッチされたことを検出電極Rx1~Rx8を用いて検出する動作について説明する。
【0032】
図3は、共通電極COMをハイインピーダンス状態にするための回路構成の一例を示している。図3に示すように、第3電力管理回路PMIC3は、電源回路PMIC3aとスイッチPMIC3bとを含む。第3電力管理回路PMIC3は、表示パネルPNLに配置された各種回路に電源電圧を供給する回路であり、図3に示すように、共通電極駆動回路COMDにも接続される。共通電極駆動回路COMDは、表示部DAの全面に亘って配置される共通電極COMに接続され、共通電極COMに駆動パルスを供給する。図3に示すように、共通電極駆動回路COMDは接地されている。
【0033】
なお、第3電力管理回路PMIC3は、スイッチPMIC3bがオフの場合、ハイインピーダンス状態になる回路、あるいは、グランド電位になる回路である。スイッチPMIC3bのオン/オフは、マイコンMCUからの制御信号P_CTRLにより制御される。
【0034】
図3に示すように、マイコンMCUからの制御信号P_CTRLによりスイッチPMIC3bがオフされている場合、上記したように、第3電力管理回路PMIC3は、ハイインピーダンス状態またはグランド電位になる。これによれば、第3電力管理回路PMIC3に接続される共通電極駆動回路COMDは駆動されないため、共通電極COMには駆動パルスが供給されず、共通電極COMを、ハイインピーダンス状態またはフローティング状態にすることができる。
【0035】
なお、図3では、第3電力管理回路PMIC3がスイッチPMIC3bを含む構成を例示したが、第3電力管理回路PMIC3の構成はこれに限定されず、第3電力管理回路PMIC3はスイッチPMIC3bを含んでいなくてもよい。この場合、第3電力管理回路PMIC3は、電源回路PMIC3aがオフの場合に、ハイインピーダンス状態またはグランド電位になる。この構成においても、第3電力管理回路PMIC3を、ハイインピーダンス状態またはグランド電位にできる点に変わりはないため、共通電極COMをハイインピーダンス状態またはフローティング状態にすることが可能である。
【0036】
また、図3では、第3電力管理回路PMIC3がハイインピーダンス状態またはグランド電位になることで、共通電極駆動回路COMDが駆動されず、その結果、共通電極COMがハイインピーダンス状態またはフローティング状態になる場合について説明したが、共通電極COMをハイインピーダンス状態またはフローティング状態にする回路構成はこれに限定されない。
【0037】
例えば図4に示すように、共通電極駆動回路COMDと共通電極COMとの間に、共通電極駆動回路COMDと共通電極COMとの接続/非接続を切り替えるためのスイッチCOMSWが設けられる回路構成であってもよい。スイッチCOMSWのオン/オフは、例えばマイコンMCUからの制御信号COMFLにより制御される。図4に示す回路構成の場合、スイッチCOMSWがオフされると、共通電極駆動回路COMDから共通電極COMに駆動パルスが供給されない状態になるため、共通電極COMをフローティング状態にすることができる。
【0038】
あるいは、図5に示すように、共通電極駆動回路COMDと共通電極COMとの間にスイッチCOMSWが設けられ、かつ、共通電極COMに50kΩ以上の抵抗Rが接続される回路構成であってもよい。スイッチCOMSWのオン/オフは、図4に示した回路構成と同様に、例えばマイコンMCUからの制御信号COMFLにより制御される。この場合、スイッチCOMSWがオフされると、共通電極駆動回路COMDから共通電極COMに駆動パルスが供給されない状態になる一方で、共通電極COMには50kΩ以上の抵抗Rが接続されているため、共通電極COMを50kΩ以上でバイアスされた状態にすることが可能である。
【0039】
なお、共通電極COMをハイインピーダンス状態、フローティング状態または50kΩ以上でバイアスされた状態にすることが可能な回路構成であれば、図3図5に示した回路構成に限定されず、任意の回路構成が適用されて構わない。
【0040】
次に、図6のタイミングチャートを参照して、表示部DAがタッチされたことを検出電極Rx1~Rx8を用いて検出する動作の一例について説明する。なお、図6の左側では表示部DAがオフの時の各種構成の状態を示し、図6の右側では表示部DAがオンの時の各種構成の状態を示している。
【0041】
図6に示すように、表示部DAがオフの場合、表示部DAの表示制御に関する各種パネル制御信号PCSは、マイコンMCUによりハイインピーダンス状態またはグランド電位に設定される。なお、表示パネル制御信号PCSがグランド電位に設定されるとは、表示パネル制御信号PCSを出力するための各種配線がグランド電位になることを意味する。
【0042】
また、図6に示すように、表示部DAがオフの場合、マイコンMCUから出力される制御信号P_CTRLはLowであり、第3電力管理回路PMIC3内のスイッチPMIC3bはオフされているため、第3電力管理回路PMIC3はオフとなり、第3電力管理回路PMIC3はハイインピーダンス状態またはグランド電位になっている。これによれば、上記したように、共通電極駆動回路COMDが駆動されないため、共通電極COMには駆動パルスが供給されず、共通電極COMは、図6に示すように、ハイインピーダンス状態またはフローティング状態(または、後述する50kΩ以上でバイアスされた状態)になっている。
【0043】
検出電極Rx1~Rx8には、タッチコントローラTCより駆動信号が時分割で供給される。共通電極COMがハイインピーダンス状態またはフローティング状態になっている時に表示部DAがタッチされると、図6に示すように、検出電極Rx1~Rx8は、タッチコントローラTCより時分割で供給された駆動信号に応じた波形の検出信号RxAFE1~RxAFE8をタッチコントローラTCに順次出力する。
【0044】
タッチコントローラTCは、検出電極Rx1~Rx8より検出信号RxAFE1~RxAFE8を取得し、表示部DAがタッチされたことを検出すると、表示部DAがタッチされたことをマイコンMCUに通知する。なお、タッチコントローラTCからマイコンMCUへの通知については後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0045】
マイコンMCUは、タッチコントローラTCから表示部DAがタッチされた旨の通知を受けると、図6に示すように、第3電力管理回路PMIC3に含まれるスイッチPMIC3bへの制御信号P_CTRLをLowからHighに遷移させ、スイッチPMIC3bをオンする。これによれば、図6に示すように、第3電力管理回路PMIC3はオフからオンに遷移する。第3電力管理回路PMIC3がオンされると、表示部DAはオフからオンに遷移する(つまり、液晶層LCを駆動しない期間から液晶層LCを駆動する表示期間に遷移する)。第3電力管理回路PMIC3がオンされると、電源電圧が共通電極駆動回路COMDに供給され、共通電極駆動回路COMDが駆動されるため、図6に示すように、共通電極COMには駆動パルスが供給され、共通電極COMには所定の電圧が印加される。また、マイコンMCUは、表示部DAに画像を表示するための表示制御(Normal Operation)を開始する。表示制御時には、各種表示パネル制御信号PCSは、HighまたはLowに適宜遷移する。図6では、便宜上、各種表示パネル制御信号PCSがHighまたはLowに適宜遷移する様子を「Normal Operation」と表記して示している。
【0046】
表示部DAがオンの場合、検出電極Rx1~Rx8には、表示部DAがオフの場合と同様に、タッチコントローラTCより駆動信号が時分割で供給される。検出電極Rx1~Rx8は、タッチコントローラTCより時分割で供給された駆動信号に応じた波形の検出信号RxAFE1~RxAFE8をタッチコントローラTCに順次出力する。なお、タッチコントローラTCによるタッチ検出については後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0047】
ここで、図7のタイミングチャートを参照して、タッチコントローラTCおよびマイコンMCUの状態遷移について詳しく説明する。図7は、表示部DAがタッチされたことを検出電極Rx1~Rx8を用いて検出する動作の一例であって、主に、タッチコントローラTCおよびマイコンMCUの状態遷移を説明するためのタイミングチャートである。
【0048】
図7に示すように、タッチコントローラTCは、表示部DAのオン/オフに関係なく、スリープ状態とアクティブ状態とを交互に繰り返すように状態遷移する。タッチコントローラTCは、アクティブ状態の時に、検出電極Rx1~Rx8に対して駆動信号を供給し、当該駆動信号に応じた波形の検出信号RxAFE1~RxAFE8を検出電極Rx1~Rx8より取得する。タッチコントローラTCは、取得した検出信号RxAFE1~RxAFE8の波形に所定の変化が見られた場合に、タッチを検出する。より詳しくは、表示部DAがオフの場合に検出信号RxAFE1~RxAFE8の波形に所定の変化が見られた場合、タッチコントローラTCは、表示部DAがタッチされたことを検出する。なお、タッチコントローラTCは、表示部DAがオフの場合に取得される検出信号RxAFE1~RxAFE8のうち、所定数以上(例えば3つ以上)の検出信号RxAFEの波形に所定の変化が見られた場合に、表示部DAがタッチされたことを検出してもよい。
【0049】
一方で、表示部DAがオンの場合に検出信号RxAFE1~RxAFE8の波形に所定の変化が見られた場合、タッチコントローラTCは、波形に所定の変化が見られた検出信号RxAFEに対応する検出電極Rxがタッチされたことを検出する。
【0050】
図7に示すように、マイコンMCUは、表示部DAがオフの時はスリープ状態であり、タッチコントローラTCにより表示部DAへのタッチが検出された場合にアクティブ状態に遷移する。より詳しくは、図7に示すように、表示部DAがオフの時に、タッチコントローラTCにより表示部DAへのタッチが検出され、タッチコントローラTCから割り込み信号Intが供給されると、マイコンMCUはスリープ状態からアクティブ状態に遷移する。
【0051】
マイコンMCUがスリープ状態からアクティブ状態に遷移すると、以降は、図6に示したタイミングチャートの場合と同様に動作する。具体的には、マイコンMCUは、第3電力管理回路PMIC3に含まれるスイッチPMIC3bへの制御信号P_CTRLをLowからHighに遷移させ、スイッチPMIC3bをオンする。これによれば、図7に示すように、第3電力管理回路PMIC3はオフからオンに遷移する。第3電力管理回路PMIC3がオンされると、表示部DAはオフからオンに遷移する。第3電力管理回路PMIC3がオンされると、表示パネルPNLに配置された各種回路に電源電圧が供給されるため、表示部DAに画像を表示するための表示制御(Normal Operation)が開始される。
【0052】
なお、図6および図7では、表示部DAがオンされると、表示部DAに画像を表示するための表示制御が開始され、共通電極COMには液晶層LCを駆動するための所定の電圧が常に印加される場合を想定している。このため、共通電極COMをハイインピーダンス状態、フローティング状態または50kΩ以上でバイアスされた状態にする回路構成として、図4または図5に示した回路構成が適用された場合、表示部DAがオンされると、スイッチCOMSWへの制御信号COMFLは常にHighを示し、スイッチCOMSWは常にオンされる。しかしながら、図8のタイミングチャートに示すように、表示部DAがオンの時であっても、マイコンMCUがアクティブ状態の時にスイッチCOMSWへの制御信号COMFLはHighからLowに遷移し、スイッチCOMSWが一時的にオフされるとしてもよい。これによれば、表示部DAがオンの時であっても、共通電極COMを一時的にハイインピーダンス状態、フローティング状態または50kΩ以上でバイアスされた状態にすることができる。つまり、表示部DAがオンの時であっても表示部DAに対するタッチを検出することが可能になる。なお、図8のタイミングチャートにおいて点線で示されるように、表示部DAがオンの時、スイッチCOMSWへの制御信号COMFLは常にHighを示すとしてもよい。
【0053】
次に、図9のフローチャートを参照して、本実施形態に係る表示装置DSPの動作、つまり、表示部DAがオフの時に表示部DAに対するタッチを検出して、表示部DAをオフからオンに遷移させる機能を有した表示装置DSPの動作の一例について説明する。
【0054】
まず、表示装置DSP(のタッチコントローラTC)により所定期間、タッチが検出されないと、または、表示装置DSPをスリープ状態に遷移させるための物理ボタン(図示せず)が押下されると(ステップS1)、表示装置DSP(のマイコンMCU)は、表示部DAをオンからオフに遷移させる(ステップS2)。表示部DAがオフされると、表示装置DSPは、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する(ステップS3)。表示装置DSPがアクティブ状態からスリープ状態に遷移すると、表示部DAに配置された共通電極COMはハイインピーダンス状態またはフローティング状態となる。なお、スリープ状態は低消費電力モードと称される場合もある。
【0055】
表示装置DSP(のタッチコントローラTC)は、スリープ状態時であっても、検出電極Rx1~Rx8に対して駆動信号を周期的に供給し、表示部DAに対するタッチの有無を検出する(ステップS4)。
【0056】
ステップS4の処理の結果、表示部DAに対するタッチが検出された場合(ステップS4のYes)、表示装置DSPは、表示部DAをオフからオンに遷移させると共に、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する(ステップS5)。しかる後、表示装置DSPは、表示部DAに画像を表示するための表示制御(Normal Operation)を開始し(ステップS6)、ここでの一連の動作を終了させる。
【0057】
以上説明した本実施形態では、図2に示したように、検出電極Rxは透明基板20の主面20A側に配置されている(換言すると、共通電極COMと同層に配置されている)としたが、図10に示すように、検出電極Rxは透明基板20の主面20B側に配置されていても構わない(換言すると、共通電極COMとは異なる層に配置されていても構わない)。また、本実施形態では、図2に示したように、検出電極Rxは第2基板SUB2側に配置されているとしたが、図11に示すように、検出電極Rxは第1基板SUB1側に配置されていても構わない。図10および図11に示した構成は、検出電極Rxの配置が異なること以外は、既に説明した構成と同様であるため、表示部DAがオフの時に、共通電極COMをハイインピーダンス状態、フローティング状態または50kΩ以上でバイアスされた状態にすることができ、表示部DAに対するタッチを、非表示部NDAに配置された検出電極Rxを用いて検出することが可能である。
【0058】
以上説明した第1実施形態によれば、表示装置DSPは、表示部DAがオフの時に、共通電極COMをハイインピーダンス状態、フローティング状態または50kΩ以上でバイアスされた状態にすることが可能な構成(例えば図3図5に示す回路構成)を備えている。これによれば、表示部DAがオフの時に、表示部DAがタッチされたことを、非表示部NDAに配置された検出電極Rx1~Rx8を用いて検出することが可能となる。このため、表示部DAがオフの時に、表示部DAがタッチされた場合に、表示部DAをオフからオンに遷移させる機能など、を実装することが可能である。つまり、表示部DAがオフの時の表示部DAに対するタッチに応じた機能を実装することが可能である。
【0059】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態に係る表示装置DSPは、タッチコントローラTCにおいてタッチを検出するのではなく、マイコンMCUにおいてタッチを検出する点で、上記した第1実施形態と相違している。以下では、上記した第1実施形態と共通する部分の説明は省略し、上記した第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0060】
図12は、第2実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。図12に示すように、回路基板PCBには、マイコンMCUと、バッテリBTと、第2電力管理回路PMIC2と、第3電力管理回路PMIC3と、等が配置されている。つまり、本実施形態に係る表示装置DSPにおいては、上記した第1実施形態における、タッチコントローラTC、および、タッチコントローラTCに電源電圧を供給する第1電力管理回路PMIC1に相当する構成が省略されている。
【0061】
マイコンMCUは、CPU2および汎用入出力ピンGPIOの他に、アナログフロントエンド回路AFEを備えている。CPU2は、アナログフロントエンド回路AFEを介して入力される検出信号に基づき、タッチ検出を行う。
【0062】
ここで、図13のタイミングチャートを参照して、マイコンMCUの状態遷移について説明する。図13は、表示部DAがタッチされたことを検出電極Rx1~Rx8を用いて検出する動作の一例であって、マイコンMCUの状態遷移を説明するためのタイミングチャートである。なお、表示部DAがオフの時に、共通電極COMがハイインピーダンス状態、フローティング状態または50kΩ以上でバイアスされた状態になっている点は、上記した第1実施形態と同様である。
【0063】
図13に示すように、マイコンMCUは、表示部DAがオフの時は、スリープ状態とアクティブ状態とを交互に繰り返すように状態遷移する。一方で、マイコンMCUは、表示部DAがオンの時は、アクティブ状態を維持する。
【0064】
マイコンMCUは、アクティブ状態の時に、検出電極Rx1~Rx8に対して駆動信号を供給し、当該駆動信号に応じた波形の検出信号RxAFE1~RxAFE8を検出電極Rx1~Rx8より取得する。マイコンMCUは、取得した検出信号RxAFE1~RxAFE8の波形に所定の変化が見られた場合に、タッチを検出する。より詳しくは、表示部DAがオフの場合に検出信号RxAFE1~RxAFE8の波形に所定の変化が見られた場合、マイコンMCUは、表示部DAがタッチされたことを検出する。なお、マイコンMCUは、表示部DAがオフの場合に取得される検出信号RxAFE1~RxAFE8のうち、所定数以上(例えば3つ以上)の検出信号RxAFEの波形に所定の変化が見られた場合に、表示部DAがタッチされたことを検出してもよい。
【0065】
一方で、表示部DAがオンの場合に検出信号RxAFE1~RxAFE8の波形に所定の変化が見られた場合、マイコンMCUは、波形に所定の変化が見られた検出信号RxAFEに対応する検出電極Rxがタッチされたことを検出する。
【0066】
図13に示すように、マイコンMCUは、表示部DAがオフの時に表示部DAへのタッチを検出すると、第3電力管理回路PMIC3に含まれるスイッチPMIC3bに対する制御信号P_CTRLをLowからHighに遷移させ、スイッチPMIC3bをオンする。これによれば、図13に示すように、第3電力管理回路PMIC3はオフからオンに遷移する。第3電力管理回路PMIC3がオンされると、表示部DAはオフからオンに遷移する。第3電力管理回路PMIC3がオンされると、表示パネルPNLに配置された各種回路に電源電圧が供給されるため、表示部DAに画像を表示するための表示制御(Normal Operation)が開始される。
【0067】
なお、本実施形態においても、図14のタイミングチャートに示すように、表示部DAがオンの時であっても、スイッチCOMSWへの制御信号COMFLは周期的にHighからLowに遷移し、スイッチCOMSWが一時的にオフされるとしてもよい。これによれば、表示部DAがオンの時であっても、共通電極COMを一時的にハイインピーダンス状態、フローティング状態または50kΩ以上でバイアスされた状態にすることができ、表示部DAがオンの時であっても表示部DAに対するタッチを検出することが可能になる。なお、図14のタイミングチャートにおいて点線で示されるように、表示部DAがオンの時、スイッチCOMSWへの制御信号COMFLは常にHighを示すとしてもよい。
【0068】
以上説明した第2実施形態によれば、表示装置DSPは、表示部DAがオフの時であっても、スリープ状態とアクティブ状態とを交互に繰り返すように状態遷移するマイコンMCUを備えている。これによれば、上記した第1実施形態に示すタッチコントローラTCの機能をマイコンMCUに実装することが可能であり、タッチコントローラTCを省略した構成を実現することが可能である。なお、マイコンMCUがタッチコントローラTCとして機能すること以外は上記した第1実施形態と同様であるため、本実施形態に係る表示装置DSPは、上記した第1実施形態と同様な効果を達成することが可能である。
【0069】
図15は、各実施形態に係る表示装置DSPの適用例を示している。図15に示すように、表示装置DSPは、例えば腕時計100に適用される。この場合、表示装置DSPの表示部DAには、時刻等が表示され、表示装置DSPは、非表示部NDAに配置された検出電極がタッチされることにより所定のジェスチャを検出し(例えば時計の外周部を時計回りに1回転するように触れるジェスチャ、時計の外周部を反時計回りに1回転するように触れるジェスチャ、タップするジェスチャ等)、検出した所定のジェスチャに応じた動作を実現することが可能である。また、上記したように、表示部DAがオフの時には、表示部DAに対するタッチを検出電極を用いて検出し、表示部DAに対するタッチに応じた動作を実現することが可能である。
【0070】
図16は、各実施形態に係る表示装置DSPの別の適用例を示している。図16に示すように、表示装置DSPは、例えば車載バックミラー200に適用される。この場合、表示装置DSPの表示部DAには、車両に設置されたカメラにより撮影された車両後方の映像等が表示され、表示装置DSPは、非表示部NDAに配置された検出電極がタッチされることにより所定のジェスチャを検出し、検出した所定のジェスチャに応じた動作を実現することが可能である。
【0071】
図17は、自己容量方式によるタッチ検出の原理の一例を説明するための図である。電源Vddの電圧を抵抗分割にて分圧した電圧をバイアス電圧として検出電極Rxに供給している。駆動回路300bからは容量結合等により所定の波形の駆動信号が検出電極Rxに供給され、検出電極Rxから所定の波形の検出信号が読み出される。このとき、指等による容量が検出電極Rxに負荷されると検出電極の振幅が変化する。図17においては検出電極Rxの振幅が低下する。従って、図17に例示する等価回路において、検出回路400bにて検出電極Rxの振幅を検出することで指等の外部近接物体の接触または近接の有無を検出する。尚、セルフ検出回路は、図17に例示する回路に限定されるものではなく、検出電極のみで指等の外部近接物体の有無を検出可能であればどのような回路方式を採用してもよい。
【0072】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、非表示部NDAに配置された検出電極Rx1~Rx8を用いて、検出電極Rx1~Rx8に対するタッチだけでなく、表示部DAに対するタッチも検出することが可能となり、画像を表示する際の表示品位とタッチによる優れた操作性を両立させた表示装置、検出装置および時計を提供することが可能である。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
DSP…表示装置、PNL…表示パネル、DA…表示部、NDA…非表示部、Rx1~Rx8…検出電極、RL1~RL8…Rx配線層、T…端子部、HD…水平ドライバ、VD…垂直ドライバ、RGBIF…画素信号供給回路、COMD…共通電極駆動回路、FPC1…フレキシブル配線基板、PCB…回路基板、CN…接続部、TC…タッチコントローラ、1…CPU、AFE…アナログフロントエンド回路、MCU…マイコン、2…CPU、GPIO…汎用入出力ピン、PMIC1~PMIC3…第1~第3電力管理回路、BT…バッテリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17