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特開2022-35215アクチュエータおよびこれを備える開閉装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035215
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】アクチュエータおよびこれを備える開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/614 20150101AFI20220225BHJP
   F16H 3/54 20060101ALI20220225BHJP
   F16H 3/56 20060101ALI20220225BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20220225BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
E05F15/614
F16H3/54
F16H3/56
H02K7/116
B60J5/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139368
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 達也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 将哉
【テーマコード(参考)】
2E052
3J528
5H607
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA08
2E052DB08
2E052EA01
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
3J528EA09
3J528EB63
3J528FB12
3J528FC13
3J528FC23
3J528FC62
3J528GA02
3J528JA01
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD10
5H607EE33
5H607KK02
(57)【要約】
【課題】歯車減速機構を通じてモータに給電可能としつつ給電経路を短くする。
【解決手段】第1モータ110と、歯車減速機構とを備える。第1モータ110は、第1出力軸110aを有する。歯車減速機構は、第1出力軸110aを中心に第1出力軸110aとともに回転する第1歯車150、第1歯車150と係合する第2歯車151、および、第2歯車151の回転軸152a,152bを含む。第1モータ110は、回転軸152bの内部に設けられた給電経路を通じて給電される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出力軸を有する第1モータと、
前記第1出力軸を中心に前記第1出力軸とともに回転する第1歯車、前記第1歯車と係合する第2歯車、および、該第2歯車の回転軸を含む、歯車減速機構とを備え、
前記第1モータは、前記回転軸の内部に設けられた給電経路を通じて給電される、アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1モータを収容し、前記第1モータを外側から囲む筒体をさらに備え、
前記歯車減速機構は、遊星歯車減速機構であり、
前記第1歯車は、太陽歯車であり、
前記第2歯車は、遊星歯車であり、前記筒体の内側で前記第1歯車と係合し、
前記筒体の内周に、前記遊星歯車減速機構の一部である、前記遊星歯車と係合する内歯車が形成されており、
前記内歯車は、前記第1出力軸の周方向に回転し、
前記第1出力軸の周方向における前記回転軸の位置が固定されている、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1モータの前記第1出力軸と同軸上に位置する第2出力軸を有する第2モータをさらに備え、
前記歯車減速機構は、前記第2出力軸を中心に前記第2出力軸とともに回転する第3歯車をさらに含み、
前記第3歯車は、前記筒体の内側で前記第2歯車と係合している、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアクチュエータと、
前記アクチュエータによって開閉駆動される開閉体とを備える、開閉装置。
【請求項5】
前記開閉体は、車両用ドアであり、
前記車両用ドアを車両本体に対して開閉可能に接続し、回動軸を有するヒンジをさらに備え、
前記回動軸は、前記アクチュエータの駆動力によって回動する、請求項4に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータおよびこれを備える開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータの構成を開示した先行文献として、特開2019-52652号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたアクチュエータは、2つのモータと、1対の入力歯車と、出力歯車とを備える。複数のモータの動力を伝える1対の入力歯車の間には、出力歯車が配設されている。2つのモータの各々の出力軸は、出力歯車の軸線の延びる方向に沿って延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-52652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたアクチュエータにおいては、2つのモータの間に歯車減速機構が配置されており、2つのモータが並ぶ方向の一方側から設けられた給電経路を2つのモータの各々に接続するために、歯車減速機構を迂回するように給電経路を設けた場合、給電経路が冗長になる。一方、2つのモータが並ぶ方向の一方側および他方側の両方から給電経路を設けた場合も、給電経路が冗長になる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、歯車減速機構を通じてモータに給電可能としつつ給電経路を短くすることができる、アクチュエータおよびこれを備える開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づくアクチュエータは、第1モータと、歯車減速機構とを備える。第1モータは、第1出力軸を有する。歯車減速機構は、第1出力軸を中心に第1出力軸とともに回転する第1歯車、第1歯車と係合する第2歯車、および、第2歯車の回転軸を含む。第1モータは、上記回転軸の内部に設けられた給電経路を通じて給電されている。
【0007】
本発明の一形態においては、アクチュエータは、第1モータを収容し、第1モータを外側から囲む筒体をさらに備える。歯車減速機構は、遊星歯車減速機構である。第1歯車は、太陽歯車である。第2歯車は、遊星歯車であり、筒体の内側で第1歯車と係合する。筒体の内周に、遊星歯車減速機構の一部である、遊星歯車と係合する内歯車が形成されている。内歯車は、第1出力軸の周方向に回転する。第1出力軸の周方向における上記回転軸の位置が固定されている。
【0008】
本発明の一形態においては、アクチュエータは、第2モータをさらに備える。第2モータは、第1モータの第1出力軸と同軸上に位置する第2出力軸を有する。歯車減速機構は、第2出力軸を中心に第2出力軸とともに回転する第3歯車をさらに含む。第3歯車は、筒体の内側で第2歯車と係合している。
【0009】
本発明の一形態においては、開閉装置は、上記のいずれかのアクチュエータと、開閉体とを備える。開閉体は、アクチュエータによって開閉駆動される。
【0010】
本発明の一形態においては、開閉体は、車両用ドアである。開閉装置は、ヒンジをさらに備える。ヒンジは、車両用ドアを車両本体に対して開閉可能に接続し、回動軸を有する。回動軸は、アクチュエータの駆動力によって回動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、歯車減速機構を通じてモータに給電可能としつつ給電経路を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る開閉装置を備える車両の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る開閉装置が備えるアクチュエータおよびヒンジの外観を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る開閉装置においてアクチュエータのカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態に係るアクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
図5】本発明の一実施の形態に係るアクチュエータが備える第1モータおよび歯車減速機構の構成を示す分解斜視図である。
図6】本発明の一実施の形態に係るアクチュエータが備える第2モータの外観を示す斜視図である。
図7図2の開閉装置をVII-VII線矢印方向から見た断面図である。
図8図7のアクチュエータをVIII-VIII線矢印方向から見た断面図である。
図9図2の開閉装置をIX-IX線矢印方向から見た断面図である。
図10】本発明の一実施の形態に係るアクチュエータが備える第1モータへの給電経路の構成を示す断面図である。
図11】本発明の一実施の形態の変形例に係るアクチュエータが備える第1モータへの給電経路の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る開閉装置および開閉装置が備えるアクチュエータについて図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。図中において、2つの電子制御部(ECU:Electronic Control Unit)が並ぶ方向をX軸方向、モータの回転軸方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向の各々と直交する方向をZ軸方向とする。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る開閉装置を備える車両の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施の形態に係る開閉装置が備えるアクチュエータおよびヒンジの外観を示す斜視図である。図1に示すように、車両1は、車両本体2と、開閉装置3とを備える。
【0015】
開閉装置3は、アクチュエータ10と開閉体とヒンジ30とを備える。本実施の形態における開閉体は、車両用ドア20である。車両用ドア20は、たとえば、バックドアである。開閉体としての車両用ドア20は、図1に示す矢印方向にアクチュエータ10によって開閉駆動される。
【0016】
図1および図2に示すように、ヒンジ30は、車両用ドア20を車両本体2に対して開閉可能に接続している。具体的には、ヒンジ30は、回動軸31と、ドア側連結部32と車両本体側連結部33とを有している。回動軸31は、アクチュエータ10の駆動力によって回動する。回動軸31は、ドア側連結部32と固定されており、車両本体側連結部33に対して回動可能に接続されている。
【0017】
ドア側連結部32は、車両用ドア20に接続される。ドア側連結部32は、車両用ドア20に対して図示しない締結部材により固定される。車両本体側連結部33は、車両本体2に接続される。車両本体側連結部33は、車両本体2に対して締結用ボルト34によって締結されている。アクチュエータ10の駆動力によって回動軸31が回動することによって、車両本体2に対して車両用ドア20が開閉する。
【0018】
図3は、本発明の一実施の形態に係る開閉装置においてアクチュエータのカバーを取り外した状態を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施の形態に係るアクチュエータの構成を示す分解斜視図である。図5は、本発明の一実施の形態に係るアクチュエータが備える第1モータおよび歯車減速機構の構成を示す分解斜視図である。図6は、本発明の一実施の形態に係るアクチュエータが備える第2モータの外観を示す斜視図である。なお、理解を容易にするため、図3においては歯車構造を図示していない。
【0019】
図2図6に示すように、本発明の一実施の形態に係るアクチュエータ10は、第1モータ110と、歯車減速機構とを備える。本発明の一実施の形態においては、アクチュエータ10は、カバー100と、筒体160と、第2モータ120とをさらに備える。
【0020】
図3および図5に示すように、第1モータ110は、第1出力軸110aと、第1軸支部111とを有している。第1出力軸110aは、第1モータ110のY軸方向の一方側の先端に配置されている。第1軸支部111は、第1モータ110のY軸方向の一方側に位置し、第1軸支部111のY軸方向の一方側の端面から第1出力軸110aの一部が突出している。
【0021】
図4および図6に示すように、第2モータ120は、第2出力軸120aと、第2軸支部121とを有している。第2出力軸120aは、第2モータ120のY軸方向の他方側の先端に配置されている。第2出力軸120aは、第1モータ110の第1出力軸110aと同軸上に位置している。
【0022】
第2軸支部121は、第2モータ120のY軸方向の他方側に位置し、第2軸支部121のY軸方向の他方側の端面から第2出力軸120aの一部が突出している。第2軸支部121のY軸方向の他方側の端面には、複数の嵌合部122が設けられている。本実施の形態においては、嵌合部122は、4つ設けられている。嵌合部122は、第2軸支部121のY軸方向の他方側の端面からY軸方向の一方側に向かって凹んでいる。
【0023】
第2軸支部121の周面には、2つの孔部123が設けられている。具体的には、孔部123は、第2軸支部121のX軸方向の一方側および他方側の各々に1つずつ設けられている。2つの孔部123の各々は、第2軸支部121の外表面から内表面まで貫通している。
【0024】
図7は、図2の開閉装置をVII-VII線矢印方向から見た断面図である。図4および図7に示すように、本実施の形態における歯車減速機構は、第1遊星歯車減速機構140である。第1遊星歯車減速機構140は、第1歯車と、第2歯車と、第2歯車の回転軸と、第3歯車とを含んでいる。
【0025】
本実施の形態においては、第1歯車は、第1太陽歯車150である。第1太陽歯車150は、第1出力軸110aのY軸方向の一方側に接続されて、第1出力軸110aを中心に第1出力軸110aとともに回転する。
【0026】
第2歯車は、第1遊星歯車151である。本実施の形態においては、4つの第1遊星歯車151が設けられている。なお、本実施の形態に係るアクチュエータ10が備える第1遊星歯車減速機構140における第1遊星歯車151の数量は4つであるが、第1遊星歯車151の数量は4つに限定されない。第1遊星歯車151は、筒体160の内側で第1太陽歯車150と係合している。第2歯車の回転軸は、第1遊星歯車151の軸部152である。第1遊星歯車151は、軸部152を中心にして回転する。
【0027】
図4図6に示すように、第1遊星歯車151の軸部152のY軸方向の一方側の先端は、嵌合部122内に挿入される。図5に示すように、第1遊星歯車151の軸部152は、第1軸支部111のY軸方向の一方側の端面から突出している。第1遊星歯車151の軸部152は、第1出力軸110aの周方向の位置が固定されている。すなわち、第1遊星歯車151は、第1太陽歯車150の周りを公転しない。なお、本実施の形態においては、4つの軸部152は、後述する接続端子と接続されていない2つの軸部152aと、接続端子と接続されている2つの軸部152bとから構成されている。本実施の形態においては、4つの軸部152の各々は、金属で構成されている。
【0028】
第3歯車は、図6に示す第2太陽歯車154である。第2太陽歯車154は、第2出力軸120aのY軸方向の他方側に接続されて、第2出力軸120aを中心に第2出力軸120aとともに回転する。図4に示すように、第2太陽歯車154は、筒体160の内側で第1遊星歯車151と係合する。
【0029】
上記の太陽歯車および遊星歯車の各々の材質は、たとえば、ポリアミドまたはポリアセタールなどの熱可塑性樹脂である。なお、太陽歯車および遊星歯車の各々の材質は、熱可塑性樹脂に限られず、熱硬化性樹脂または金属であってもよい。また、第1軸支部111および第2軸支部121の各々の材質は、ポリアミドまたはポリアセタールなどの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または金属である。遊星歯車が金属で構成されている場合は、後述する電流経路となる軸部152bと当該遊星歯車との間に、電気絶縁性を有する絶縁膜が形成されている。第1軸支部111および第2軸支部121の少なくとも一方が金属で構成されている場合は、後述する接続端子153および軸部152bの各々と当該軸支部との間に、電気絶縁性を有する絶縁膜が形成されている。
【0030】
図8は、図7のアクチュエータをVIII-VIII線矢印方向から見た断面図である。図9は、図2の開閉装置をIX-IX線矢印方向から見た断面図である。図8および図9においては、理解を容易にするために、アクチュエータの一部の構成を図示していない。
【0031】
図8および図9に示すように、筒体160は、第1モータ110を収容し、第1モータ110を外側から囲んでいる。具体的には、図3図5図8および図9に示すように、筒体160は、有底筒状の形状を有している。筒体160のY軸方向の一方側に位置する開口から第1モータ110が挿入される。
【0032】
筒体160の内周に、第1遊星歯車減速機構140の一部である、第1遊星歯車151と係合する第1内歯車161が形成されている。第1内歯車161は、第1出力軸110aの周方向に回転可能である。
【0033】
筒体160は、Y軸方向の他方側の端部に、第3太陽歯車164を有している。第3太陽歯車164は、第1内歯車161とともに筒体160が回転することによって、回転する。筒体160は、カバー100および第1モータ110の各々に回動可能に接続されている。
【0034】
具体的には、図5および図8に示すように、第1モータ110の外周面に、環状のスペーサ166が装着されている。スペーサ166の外周面と筒体160の内周面162との間に、第1ベアリング165が圧入されている。これにより、第1モータ110の周りを筒体160が回転可能となる。
【0035】
筒体160の外周面163とカバー100の内周面101との間に、第2ベアリング167が圧入されている。これにより、カバー100の内周に沿って筒体160が回転可能となる。筒体160は、たとえば、鉄またはアルミニウムなどの金属により構成されている。
【0036】
図9に示すように、本発明の一実施の形態に係る開閉装置は、アクチュエータ10とヒンジ30とを互いに接続する第2遊星歯車減速機構180をさらに備える。なお、第2遊星歯車減速機構180は、必ずしも設けられていなくてもよく、アクチュエータ10とヒンジ30とが互いに直接接続されていてもよい。
【0037】
第2遊星歯車減速機構180は、蓋体170と、第2遊星歯車171と、第2内歯車172と、第2遊星歯車171の軸部173と、第4太陽歯車174と、第3遊星歯車175、第3遊星歯車175の軸部176と、第3ベアリング177とを含んでいる。
【0038】
蓋体170は、略円筒状の外形を有し、図示しない接続部によってカバー100に対して固定されている。蓋体170のY軸方向の一方側の内周に、第2内歯車172が形成されている。蓋体170のY軸方向の他方側の端部に、第3ベアリング177を介してヒンジ30の回動軸31が回動可能に取り付けられている。
【0039】
第2遊星歯車171は、蓋体170の内側で第3太陽歯車164および第2内歯車172の各々と係合している。本実施の形態においては、第2遊星歯車171の数量は4つであるが、第2遊星歯車171の数量は4つに限定されない。第2遊星歯車171は、軸部173を中心にして回転する。4つの軸部173と第4太陽歯車174とは、一体に構成されている。第4太陽歯車174は、第3太陽歯車164と同軸上に配置されている。これにより、第3太陽歯車164が回転すると、第2遊星歯車171が第3太陽歯車164の周りを自転しつつ公転するとともに、第4太陽歯車174が回転する。
【0040】
第3遊星歯車175は、蓋体170の内側で第4太陽歯車174および第2内歯車172の各々と係合している。本実施の形態においては、第3遊星歯車175の数量は4つであるが、第3遊星歯車175の数量は4つに限定されない。第3遊星歯車175は、軸部176を中心にして回転する。4つの軸部176は、一体に構成されており、回動軸31と接続されている。第3遊星歯車175の軸部176と回動軸31とは、たとえば、圧入により接続されている。回動軸31は、第4太陽歯車174と同軸上に配置されている。これにより、第4太陽歯車174が回転すると、第3遊星歯車175が第4太陽歯車174の周りを自転しつつ公転するとともに、回動軸31が回動する。
【0041】
以下、本発明の一実施の形態に係るアクチュエータ10における電気的な接続について説明する。
【0042】
図2図4および図8に示すように、アクチュエータ10は、第1ECU130および第2ECU131を備える。第1ECU130および第2ECU131は、互いの間に第2モータ120を挟んで対向している。第1ECU130と第2ECU131とは、図示しない配線によって互いに電気的に接続されている。
【0043】
図4に示すように、第1ECU130および第2ECU131の各々は、円弧状の第1端子132およびピン状の第2端子133を有している。第1ECU130の第2端子133は、2つの孔部123のうちの一方の孔部123に挿入され、第1ECU130と第2モータ120とを電気的に接続している。第2ECU131の第2端子133は、2つの孔部123のうちの他方の孔部123に挿入され、第2ECU131と第2モータ120とを電気的に接続している。
【0044】
第1ECU130の第1端子132は、2つの軸部152bのうちの一方の軸部152bの周面に接する。第2ECU131の第1端子132は、2つの軸部152bのうちの他方の軸部152bの周面に接する。
【0045】
図10は、本発明の一実施の形態に係るアクチュエータが備える第1モータへの給電経路の構成を示す断面図である。図10に示すように、第1遊星歯車151の軸部152bは、接続端子153と接続されている。接続端子153は、第1軸支部111を貫通して第1モータ110と電気的に接続されている。
【0046】
第1ECU130と第1モータ110とは、第1ECU130の第1端子132と、一方の軸部152bと、一方の軸部152bに接続されている接続端子153とを通じて、互いに電気的に接続されている。第2ECU131と第1モータ110とは、第2ECU131の第1端子132と、他方の軸部152bと、他方の軸部152bに接続されている接続端子153とを通じて、互いに電気的に接続されている。
【0047】
第1ECU130には、車両1のバッテリからワイヤハーネスなどを通じて給電される。第1ECU130から、第1ECU130の第2端子133を通じて、第2モータ120に給電可能である。第1ECU130から、第1ECU130の第1端子132、一方の軸部152b、および、一方の軸部152bに接続されている接続端子153を通じて、第1モータ110に給電可能である。
【0048】
第2ECU131には、第1ECU130から配線を通じて給電される。第2ECU131から、第2ECU131の第2端子133を通じて、第2モータ120に給電可能である。第2ECU131から、第2ECU131の第1端子132、他方の軸部152b、および、他方の軸部152bに接続されている接続端子153を通じて、第1モータ110に給電可能である。
【0049】
上記のように、第1モータ110は、第1遊星歯車151の軸部152bの内部に設けられた給電経路を通じて給電される。本実施の形態においては、軸部152b全体が給電経路となるが、軸部152bの内部に給電経路が設けられていればよい。
【0050】
図11は、本発明の一実施の形態の変形例に係るアクチュエータが備える第1モータへの給電経路の構成を示す断面図である。図11に示すように、本発明の一実施の形態の変形例においては、第1遊星歯車151の軸部152bは、略円筒状の形状を有している。接続端子153は、軸部152bの内部に挿入され、第1端子132と電気的に接続される。この場合、第1端子132は、接続端子153と接続可能な形状を有している。
【0051】
以下、本発明の一実施の形態に係るアクチュエータ10の動作について説明する。
第1モータ110および第2モータ120の各々が駆動すると、図8に示す、第1出力軸110aに接続されている第1太陽歯車150、および、第2出力軸120aに接続されている第2太陽歯車154の各々が、同一方向に回転する。
【0052】
第1太陽歯車150および第2太陽歯車154の各々と係合している第1遊星歯車151は、第1太陽歯車150および第2太陽歯車154の回転によって、位置が固定されている軸部152を中心に回転する。
【0053】
筒体160の第1内歯車161が第1遊星歯車151と係合していることにより、筒体160の第3太陽歯車164が、第1出力軸110aおよび第2出力軸120aの回転方向とは逆方向に回転する。
【0054】
図9に示すように、第3太陽歯車164と係合している第2遊星歯車171が、第3太陽歯車164の回転によって、第3太陽歯車164の周囲を自転しつつ公転するとともに、第4太陽歯車174が回転する。
【0055】
第4太陽歯車174と係合している第3遊星歯車175が、第4太陽歯車174の回転によって、第4太陽歯車174の周囲を自転しつつ公転するとともに、回動軸31が回動する。
【0056】
回動軸31に固定されているドア側連結部32が回動軸31とともに回動することにより、車両用ドア20が車両本体2に対して開閉される。
【0057】
本発明の一実施の形態に係るアクチュエータ10においては、歯車減速機構の第2歯車の回転軸の内部に設けられた給電経路を通じて第1モータ110に給電することにより、歯車減速機構を通じて第1モータ110に給電可能としつつ給電経路を短くすることができる。
【0058】
本発明の一実施の形態に係るアクチュエータ10においては、第2歯車としての第1遊星歯車151の回転軸である第1遊星歯車151の軸部152を第1モータ110の給電経路として第1モータ110に給電することにより、第1遊星歯車減速機構140を通じて第1モータ110に給電可能としつつ給電経路を短くすることができる。
【0059】
本発明の一実施の形態に係るアクチュエータ10においては、歯車減速機構が遊星歯車減速機構であることにより、入力歯車に対して出力歯車を同軸上に配置することができるため、歯車減速機構が直交軸の歯車減速機構である場合に比較して、アクチュエータ10を小型化することができる。
【0060】
本発明の一実施の形態に係るアクチュエータ10においては、第1モータ110および第2モータ120の各々の出力軸を同軸上に配置することにより、アクチュエータ10の出力を大きくしつつアクチュエータ10を狭い隙間に配置することが可能となる。
【0061】
本発明の一実施の形態に係る開閉装置3においては、歯車減速機構を通じて第1モータ110に給電されたアクチュエータ10によって、開閉体を開閉駆動させることができる。
【0062】
本発明の一実施の形態に係る開閉装置3においては、ヒンジ30の回動軸31をアクチュエータ10の駆動力によって回動させることにより、車両用ドア20を車両本体2に対して開閉することができる。これにより、開閉装置3が車両用ドア20と車両本体2との間で障害となることを抑制できる。
【0063】
上記の実施の形態の説明においては、車両に備えられた開閉装置について説明したが、開閉装置は車両に備えられるものに限られず、また、アクチュエータは、開閉装置に備えられるものに限られない。さらに、歯車減速機構は、遊星歯車減速機構に限られない。
【0064】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 車両、2 車両本体、3 開閉装置、10 アクチュエータ、20 車両用ドア、30 ヒンジ、31 回動軸、32 ドア側連結部、33 車両本体側連結部、34 締結用ボルト、100 カバー、101,162 内周面、110 第1モータ、110a 第1出力軸、111 第1軸支部、120 第2モータ、120a 第2出力軸、121 第2軸支部、122 合部、123 孔部、132 第1端子、133 第2端子、140 第1遊星歯車減速機構、150 第1太陽歯車、151 第1遊星歯車、152,152a,152b,173,176 軸部、153 接続端子、154 第2太陽歯車、160 筒体、161 第1内歯車、163 外周面、164 第3太陽歯車、165 第1ベアリング、166 スペーサ、167 第2ベアリング、170 蓋体、171 第2遊星歯車、172 第2内歯車、174 第4太陽歯車、175 第3遊星歯車、177 第3ベアリング、180 第2遊星歯車減速機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11