(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035321
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】回転体のアンバランス算出方法及び算出装置
(51)【国際特許分類】
G01M 1/16 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
G01M1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139550
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】玉腰 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 拓
【テーマコード(参考)】
2G021
【Fターム(参考)】
2G021AB10
2G021AC03
2G021AJ20
2G021AK10
(57)【要約】
【課題】加減速中の回転体において、アンバランスを精度よく算出可能とする。
【解決手段】S1で、回転体の角度と回転体の振動とを同時に測定してS2で記録する。S3で、測定した振動を周波数分析し、S4で、選択した回転数を用いて代表となる回転周波数の割合を振動の周波数分析と同一の周波数ごとに算出し、S5で、代表となる回転周波数の割合と代表となる回転周波数に対応する振動の大きさとの比を、一定回転数換算振動振幅として算出する。S6で、一定回転数換算振動振幅を、代表となる回転周波数の2乗で除算し、さらに代表となる回転周波数における回転体のアンバランスによる加振力から回転体の振動への伝達関数で除算して、得られた値に基づいてアンバランス評価指標を算出する。S7で、アンバランス評価指標を閾値と比較し、閾値を超えていればアンバランス対応動作を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転数が変化しているときに前記回転体のアンバランスを算出する方法であって、
前記回転体の角度または角周波数または回転数のいずれか一つと、前記回転体の振動と、を同時に測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定したデータの任意の区間を選択して前記振動を周波数分析し、選択した区間内の代表となる回転周波数で前記回転体が一定回転している場合の前記代表となる回転周波数に対応するアンバランス振動振幅を、一定回転数換算振動振幅として算出する一定回転数換算振動振幅算出ステップと、
前記一定回転数換算振動振幅を、前記代表となる回転周波数の2乗で除算し、さらに前記代表となる回転周波数における前記回転体のアンバランスによる加振力から前記回転体の振動への伝達関数で除算して、得られた値に基づいてアンバランス評価指標を算出する、アンバランス評価指標算出ステップと、
を実行することを特徴とする回転体のアンバランス算出方法。
【請求項2】
前記一定回転数換算振動振幅算出ステップは、選択した区間の角度または角周波数または回転数のいずれか一つを用いて代表となる回転周波数の割合を振動の周波数分析と同一の周波数ごとに算出し、前記代表となる回転周波数の割合と前記代表となる回転周波数に対応する振動の大きさとの比を、一定回転数換算振動振幅として算出することを特徴とする請求項1に記載の回転体のアンバランス算出方法。
【請求項3】
前記一定回転数換算振動振幅算出ステップは、代表となる回転周波数の割合を算出する際に、角度の振幅が1の正弦関数の値を算出し、前記正弦関数の値を周波数分析して前記代表となる回転周波数の割合を算出することを特徴とする請求項2に記載の回転体のアンバランス算出方法。
【請求項4】
前記一定回転数換算振動振幅算出ステップは、選択した区間の回転周波数にまたがる振動振幅から計算されるアンバランス振動の物理量の合計が、代表となる回転周波数で一定回転している場合の前記代表となる回転周波数に対応するアンバランス振動の物理量と等価であると近似して、一定回転数換算振動振幅を算出することを特徴とする請求項1に記載の回転体のアンバランス算出方法。
【請求項5】
前記アンバランス振動の物理量は、回転体半径方向の振動エネルギーと運動エネルギーとの合計、もしくは前記回転体半径方向の運動量、もしくは前記回転体半径方向の振動振幅、のいずれか、もしくは組み合わせであることを特徴とする請求項4に記載の回転体のアンバランス算出方法。
【請求項6】
回転体の回転数が変化しているときに前記回転体のアンバランスを算出する装置であって、
前記回転体の角度または角周波数または回転数のいずれか一つと、前記回転体の振動と、を同時に測定する測定部と、
前記測定部で測定したデータの任意の区間を選択して前記振動を周波数分析し、選択した区間内の代表となる回転周波数で前記回転体が一定回転している場合の前記代表となる回転周波数に対応するアンバランス振動振幅を、一定回転数換算振動振幅として算出する一定回転数換算振動振幅算出部と、
前記一定回転数換算振動振幅を、前記代表となる回転周波数の2乗で除算し、さらに前記代表となる回転周波数における前記回転体のアンバランスによる加振力から前記回転体の振動への伝達関数で除算して、得られた値に基づいてアンバランス評価指標を算出する、アンバランス評価指標算出部と、
を備えることを特徴とする回転体のアンバランス算出装置。
【請求項7】
前記一定回転数換算振動振幅算出部は、選択した区間の角度または角周波数または回転数のいずれか一つを用いて代表となる回転周波数の割合を振動の周波数分析と同一の周波数ごとに算出し、前記代表となる回転周波数の割合と前記代表となる回転周波数に対応する振動の大きさとの比を、一定回転数換算振動振幅として算出することを特徴とする請求項6に記載の回転体のアンバランス算出装置。
【請求項8】
前記一定回転数換算振動振幅算出部は、代表となる回転周波数の割合を算出する際に、角度の振幅が1の正弦関数の値を算出し、前記正弦関数の値を周波数分析して前記代表となる回転周波数の割合を算出することを特徴とする請求項7に記載の回転体のアンバランス算出装置。
【請求項9】
前記一定回転数換算振動振幅算出部は、選択した区間の回転周波数にまたがる振動振幅から計算されるアンバランス振動の物理量の合計が、代表となる回転周波数で一定回転している場合の前記代表となる回転周波数に対応するアンバランス振動の物理量と等価であると近似して、一定回転数換算振動振幅を算出することを特徴とする請求項6に記載の回転体のアンバランス算出装置。
【請求項10】
前記アンバランス振動の物理量は、回転体半径方向の振動エネルギーと運動エネルギーとの合計、もしくは前記回転体半径方向の運動量、もしくは前記回転体半径方向の振動振幅、のいずれか、もしくは組み合わせであることを特徴とする請求項9に記載の回転体のアンバランス算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械等に用いられる主軸や工具等の回転体のアンバランス状態を把握するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンバランスの大きな回転体を回転させると、アンバランスに起因する加振力によって、アンバランス振動が生じる。工作機械の主軸や主軸に取り付けられた工具のアンバランスに起因する加振力によりアンバランス振動が生じると、加工面性状が劣化するとともに工具寿命が低下する。また、アンバランスの程度が大きい状態で運転を続ければ、工作機械を構成する部品を取り付けるためのねじが緩み、設計通りの機能を果たせなくなるおそれがある。また、加工を開始する前段階においても、主軸に取り付けられた工具が脱落するといった事故が起こるおそれがある。これらのトラブルを回避するために、回転体に存在するアンバランスを検出する技術が考えられてきた。
例えば特許文献1では、工作機械の主軸に装着された工具を所定の回転数で回転させた際の振動振幅を測定し、そのピーク値の振動の平均値が、基準工具を装着した場合のピーク値の平均値より大きい場合、工具にアンバランスがあると判断する技術が示されている。
しかしながら、回転体を所定の回転数で回転させた状態で振動振幅を測定する技術では、所定の回転数に到達するまでアンバランス状態であるか否かの判断が行えないため、所定の回転数に到達する前に工具が脱落する事故が発生したり、所定の回転数に到達し加工開始できる状態であるにもかかわらずアンバランス状態であるかの判断を待機するため加工開始が遅延したりするおそれがある。
【0003】
これに対して、所定の回転数に到達する前の、回転体の回転数が変化している際にアンバランス状態であるか否かを判断する技術が考えられてきた。
特許文献2では、振動センサの信号を時間空間ではなく、回転角度空間の信号としてサンプリングして取り扱うことで、回転数が変化することでアンバランスによる加振力の周波数が変化してアンバランス振動の周波数が分散しても一括して扱うことができ、信号処理を簡単に行うことができる技術が示されている。
特許文献3では、工作機械の主軸の回転開始から定速状態に至るまでの振動信号を処理して算出した振動データを閾値と比較して、アンバランス状態であることを判別して主軸の回転を停止する技術が示されている。特に、振動信号に対して、広い周波数範囲の情報を集約するような働きをする実効値を算出する手法を示しており、回転数が変化することでアンバランスによる加振力の周波数が変化してアンバランス振動の周波数が分散していても一括して扱うことができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平8-32392号公報
【特許文献2】特開平7-311082号公報
【特許文献3】特許第3200416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回転数が変化する場合には、(1)アンバランスによる加振力の周波数が変化しアンバランス振動の周波数が分散してしまう(ある周波数に着目した場合、一定回転数の場合よりも振動振幅が小さくなってしまう)こと、(2)アンバランスによる加振力は回転数の2乗に比例すること、(3)アンバランスによる加振力からアンバランス振動の振動振幅への伝達関数の大きさは周波数によって異なること、といった技術的課題がある。
これらを全て同時に解決しなければ、所定の回転数に到達した際のアンバランスの程度(例えば、指令回転数における振動変位の大きさ)または回転数に依存しないアンバランスの程度(質量と長さの積の次元を持つ、アンバランス量)を精度良く予測し、算出することができないため、危険な大きさの振動が生じる回転数に到達するまでアンバランス状態であることを検出することができない。この場合、危険な状態であることの警告や安全な状態に遷移させるための制御を実行できるタイミングが遅くなってしまい、重大な事故が生じる前に回転体を停止するといったような対応を完了することができなくなるおそれがある。
【0006】
特許文献2では、(1)の課題は解消されているが、(2)と(3)との課題を認識しておらず、異なるタイミングでアンバランスを判定する場合にアンバランス振動の大きさが変化するため、適切な閾値を設定することができない。
特許文献3では、実効値を算出する際に異なる複数の周波数の情報が混ざってしまうが、実効値を算出する前に振動波形にバンドパスフィルタ等を用いることで(1)の課題に対する一定の効果はある。しかし、特許文献2と同様に(2)と(3)との課題を認識していないため、適切な閾値を設定することができない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、加減速中の回転体がある回転数に到達する以前に、回転体が当該回転数に到達したときのアンバランスの程度を推定する、または、回転数に依存しないアンバランスの程度を推定する、回転体のアンバランス算出方法及び算出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のうち、第1の発明は、回転体の回転数が変化しているときに前記回転体のアンバランスを算出する方法であって、
前記回転体の角度または角周波数または回転数のいずれか一つと、前記回転体の振動と、を同時に測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定したデータの任意の区間を選択して前記振動を周波数分析し、選択した区間内の代表となる回転周波数で前記回転体が一定回転している場合の前記代表となる回転周波数に対応するアンバランス振動振幅を、一定回転数換算振動振幅として算出する一定回転数換算振動振幅算出ステップと、
前記一定回転数換算振動振幅を、前記代表となる回転周波数の2乗で除算し、さらに前記代表となる回転周波数における前記回転体のアンバランスによる加振力から前記回転体の振動への伝達関数で除算して、得られた値に基づいてアンバランス評価指標を算出する、アンバランス評価指標算出ステップと、を実行することを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記一定回転数換算振動振幅算出ステップは、選択した区間の角度または角周波数または回転数のいずれか一つを用いて代表となる回転周波数の割合を振動の周波数分析と同一の周波数ごとに算出し、前記代表となる回転周波数の割合と前記代表となる回転周波数に対応する振動の大きさとの比を、一定回転数換算振動振幅として算出することを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記一定回転数換算振動振幅算出ステップは、代表となる回転周波数の割合を算出する際に、角度の振幅が1の正弦関数の値を算出し、前記正弦関数の値を周波数分析して前記代表となる回転周波数の割合を算出することを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記一定回転数換算振動振幅算出ステップは、選択した区間の回転周波数にまたがる振動振幅から計算されるアンバランス振動の物理量の合計が、代表となる回転周波数で一定回転している場合の前記代表となる回転周波数に対応するアンバランス振動の物理量と等価であると近似して、一定回転数換算振動振幅を算出することを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記アンバランス振動の物理量は、回転体半径方向の振動エネルギーと運動エネルギーとの合計、もしくは前記回転体半径方向の運動量、もしくは前記回転体半径方向の振動振幅、のいずれか、もしくは組み合わせであることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第2の発明は、回転体の回転数が変化しているときに前記回転体のアンバランスを算出する装置であって、
前記回転体の角度または角周波数または回転数のいずれか一つと、前記回転体の振動と、を同時に測定する測定部と、
前記測定部で測定したデータの任意の区間を選択して前記振動を周波数分析し、選択した区間内の代表となる回転周波数で前記回転体が一定回転している場合の前記代表となる回転周波数に対応するアンバランス振動振幅を、一定回転数換算振動振幅として算出する一定回転数換算振動振幅算出部と、
前記一定回転数換算振動振幅を、前記代表となる回転周波数の2乗で除算し、さらに前記代表となる回転周波数における前記回転体のアンバランスによる加振力から前記回転体の振動への伝達関数で除算して、得られた値に基づいてアンバランス評価指標を算出する、アンバランス評価指標算出部と、を備えることを特徴とする。
第2の発明の別の態様は、上記構成において、前記一定回転数換算振動振幅算出部は、選択した区間の角度または角周波数または回転数のいずれか一つを用いて代表となる回転周波数の割合を振動の周波数分析と同一の周波数ごとに算出し、前記代表となる回転周波数の割合と前記代表となる回転周波数に対応する振動の大きさとの比を、一定回転数換算振動振幅として算出することを特徴とする。
第2の発明の別の態様は、上記構成において、前記一定回転数換算振動振幅算出部は、代表となる回転周波数の割合を算出する際に、角度の振幅が1の正弦関数の値を算出し、前記正弦関数の値を周波数分析して前記代表となる回転周波数の割合を算出することを特徴とする。
第2の発明の別の態様は、上記構成において、前記一定回転数換算振動振幅算出部は、選択した区間の回転周波数にまたがる振動振幅から計算されるアンバランス振動の物理量の合計が、代表となる回転周波数で一定回転している場合の前記代表となる回転周波数に対応するアンバランス振動の物理量と等価であると近似して、一定回転数換算振動振幅を算出することを特徴とする。
第2の発明の別の態様は、上記構成において、前記アンバランス振動の物理量は、回転体半径方向の振動エネルギーと運動エネルギーとの合計、もしくは前記回転体半径方向の運動量、もしくは前記回転体半径方向の振動振幅、のいずれか、もしくは組み合わせであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、(1)アンバランスによる加振力の周波数が変化しアンバランス振動の周波数が分散してしまうこと、(2)アンバランスによる加振力は回転数の2乗に比例すること、(3)アンバランスによる加振力からアンバランス振動の振動振幅への伝達関数の大きさは周波数によって異なること、という、回転体の回転数が変化しているときに所定の回転数に到達した際のアンバランスの程度または回転数に依存しないアンバランスの程度を算出する際の3つの課題を解消できる。よって、重大な事故の発生前にアンバランスを精度良く算出することが可能となる。
本発明の別の態様によれば、上記効果に加えて、代表となる回転周波数の割合を振動の周波数分析と同一の周波数ごとに算出し、当該割合と代表となる回転周波数に対応する振動の大きさとの比を、一定回転数換算振動振幅として算出するので、算出精度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】主軸のアンバランス算出装置を実現したシステムのブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に関わる主軸のアンバランス算出方法のフローチャートである。
【
図3】第2の実施形態に関わる主軸のアンバランス算出方法のフローチャートである。
【
図4】主軸停止状態から回転指令したときの回転数変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、工具が取り付けられた工作機械の主軸を回転体の一例として、工作機械と一体となった回転体のアンバランス算出装置の構成を示したブロック図で、この図に基づいて具体的に説明する。
主軸1には、加工を行うための工具2が回転可能な状態で固定されている。モータ3は、主軸1を駆動する。モータ3には回転検出器4が設けられて、測定されたモータ3の回転数が制御装置5に入力されるようになっている。制御装置5は、予めNCプログラムに記述された回転数変更指令に従って、回転検出器4で測定されたモータ3の回転数を指令回転数に変更および維持するようにモータ3へ供給する電流の制御を行っている。表示部6には、回転検出器4で測定されたモータ3の現在の回転数や制御装置5が発する警告が表示される。
【0012】
振動センサ7は、回転体(主軸1及び工具2)のアンバランスによって生じる振動を測定可能な位置に取り付けられている。
振動センサ7で測定される振動加速度は、A/D変換部8でデジタル値に変換される。
記録部9は、振動測定時の主軸1の角度と振動加速度とを記録する。また、記録部9は、あらかじめ測定された回転体のアンバランスによる加振力から回転体の振動への伝達関数と回転体の質量とを記憶している。記録部9に、制御装置5で実行される主軸回転指令や回転数変更指令を記録し、アンバランスを算出するタイミングを決定してもよい。
回転検出器4、振動センサ7、A/D変換部8、記録部9が本発明の測定部として機能する。
演算部10は、測定した振動データを周波数分析し、代表となる回転周波数の振動振幅を抽出して、当該回転周波数の割合や物理量の比較により、当該回転周波数で一定回転した場合のアンバランス振動振幅を算出する。また、演算部10は、回転体のアンバランスによる加振力から回転体の振動への伝達関数を用いて、アンバランス評価指標を算出する。演算部10は、本発明の一定回転数換算振動振幅算出部及びアンバランス評価指標算出部として機能する。
判定部11は、演算部10で算出されたアンバランス評価指標を、予め設定された閾値と比較し、比較結果を制御装置5へ出力する。
【0013】
図2は、回転体のアンバランス算出を行う方法のフローチャートを示したものであり、このフローチャートに基づいて具体的に説明する。
主軸1の回転数を指令回転数f
ORDに変更する指令が制御装置5に出され、回転数がf
ORDに近づくように変化している状態を想定する。
まず、回転検出器4で主軸1の角度を、振動センサ7で振動加速度を測定する(S1)。測定値がアナログ信号出力されるのであれば、A/D変換部8を介してデジタル信号として時刻tの主軸1の角度θ(t)と、振動センサ7の振動加速度a(t)とを時系列データとして記録部9に記録する(S2(S1~S2:測定ステップ))。
【0014】
次に、振動加速度a(t)に対して周波数分析を行い、代表となる周波数fに対応する振動振幅の大きさA(f)を算出する(S3)。周波数分析の方法としては、フーリエ変換などを用いればよい。
次に、数1のように、主軸1の角度θ(t)を振幅が1の正弦関数に代入し時系列の正弦関数値SW(t)を算出する。なお、本技術において信号を周波数分析する際には、信号の位相情報に着目しないことから、主軸1の角度θ(t)の原点の取り方は任意であり、正弦関数の位相θ0は任意の値を採用して差し支えない。このため、主軸1の角度θ(t)ではなく、主軸1の回転数fROT(t)を測定、記録した場合には、主軸1の回転数fROT(t)を積分した値を主軸1の角度θ(t)として用いることが可能である。また、正弦関数と呼称しているが、位相θ0が任意のため、実質的に余弦関数となる場合なども包含する。
【0015】
【0016】
さらに、正弦関数値SW(t)に対して周波数分析を行って周波数fの成分の大きさを代表となる回転数fの割合R(f)として算出する(S4)。
なお、特に回転体が単位時間に回転する回数(回転周波数)を表現する場合に回転数と表現しているが、回転数と周波数とは同一の物理量であり、回転数fに関連する情報は周波数分析した際の周波数fの成分に現れる。また、周波数分析の方法としては、S3と同一の方法を使うことが望ましい。例えば、S3において振動加速度a(t)に対して窓関数としてハン窓を乗算したのちフーリエ変換したのであれば、同様に正弦関数値SW(t)に対してハン窓を乗算したのちフーリエ変換するとよい。窓関数により振動振幅の大きさA(f)が変化する倍率と窓関数により回転数の割合R(f)が変化する倍率とが同等となるため、後述するS5において両者の比として一定回転数換算振動振幅A*(f)を算出することで相殺されて誤差が最小となるためである。なお、窓関数以外に計算処理等の影響を受ける場合であっても分子分母で相殺できることは明らかである。
【0017】
次に、周波数fに対応する振動振幅の大きさA(f)の回転数fの割合R(f)に対する比を一定回転数換算振動振幅(アンバランス振動振幅)A*(f)として数2のように算出する(S5(S3~S5:一定回転数換算振動振幅算出ステップ))。
【0018】
【0019】
ここで、回転数がΔf×(N-1.5)からΔf×(N+1.5)に増加する場合であって、回転数がΔf×(N-1.5)からΔf×(N-0.5)である割合が0.2、回転数がΔf×(N-0.5)からΔf×(N+0.5)である割合が0.3、回転数がΔf×(N+0.5)からΔf×(N+1.5)である割合が0.5の場合を例に挙げて、数2の意味するところの概略を説明する。ただし、S3とS4における周波数分析の際の周波数分解能Δfと、2以上の整数Nを用いて表現する。
周波数fで一定回転時に得られる振動加速度のうち周波数fにおける理想的な成分をAconst(f)、窓関数等により周波数(回転数)fの成分の大きさが変化する比率をα(f)とおくと、数3から数8の関係が成り立っている。なお、数3から数8の左辺の値は、S1からS4のステップにおいて取得可能な値である。
【0020】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【0021】
数3と数6、数4と数7、数5と数8でそれぞれ辺々割り算を行って整理すると、Aconst(f)は数9から数11のように求めることができることがわかる。
【0022】
【0023】
数9から数11の右辺の値は、S1からS4のステップにおいて取得可能な値であるため、一定回転数で測定しなくともAconst(f)が推定可能であることがわかる。数9から数11を一般的に表現したものが数2であり、回転数の割合R(f)がゼロでない周波数fのA(f)とR(f)とを用いることで、その周波数fの一定回転数換算振動振幅A*(f)が算出可能である。
R(f)の値が大きいほうがノイズなどの影響を受けにくいため、そのような回転数fにおいて一定回転数換算振動振幅A*(f)を算出するのが望ましい。
【0024】
次に、アンバランス評価指標Zを算出する(S6:アンバランス評価指標算出ステップ)。
アンバランス評価指標Zとしては、指定回転数fPICにおける振動変位振幅XPRE(fPIC)、振動速度振幅VPRE(fPIC)、振動加速度振幅APRE(fPIC)、アンバランス量U、釣り合い良さWPRE(fPIC)などが考えられる。周波数fにおける回転体のアンバランスによる加振力から回転体の振動への伝達関数をG(f)、回転体の質量をMROTとすると、それぞれ数12から数16のように算出できる。また、数12から数16は、異なる複数の回転数fにおいて算出した複数の一定回転数換算振動振幅A*(f)より算出しても理想的には同一の値となるため、その平均値をアンバランス評価指標Zとして採用してもよい。指定回転数fPICとして、最終的に到達する回転数における状態を評価するために指令回転数fORDを採用してもよいし、回転数の変化過程での状態を評価するために指令回転数と現在の回転数の中間の複数の回転数を採用してもよいし、最もアンバランスによる加振力が大きくなる条件で評価するために主軸1の最高回転数fMAXを採用してもよい。
【0025】
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
【0026】
なお、いずれのアンバランス評価指標Zにおいても、一定回転数換算振動振幅A*(f)を、一定回転数換算振動振幅を算出した周波数fの2乗で除算し、さらに一定回転数換算振動振幅を算出した周波数における回転体のアンバランスによる加振力から回転体の振動への伝達関数G(f)で除算して算出される値に比例している。これにより、(1)アンバランスによる加振力の周波数が変化しアンバランス振動の周波数が分散してしまうこと、(2)アンバランスによる加振力は回転数の2乗に比例すること、(3)アンバランスによる加振力からアンバランス振動の振動振幅への伝達関数の大きさは周波数によって異なること、といった技術的課題を解消できていることがわかる。
なお、数15で算出されるアンバランス量Uは、回転数fに依存しない値であり、他のアンバランス評価指標Zは、回転数fに依存しない値がアンバランス量Uに乗算されているだけである。
【0027】
次に、アンバランス評価指標Zをあらかじめ設定した閾値と比較して、閾値を逸脱していた場合にはS8に移行する。閾値を超過していない場合にはS1に移行する(S7)。
閾値を逸脱していた場合、S8で、アンバランス対応動作がなされる。具体的には、判定部11より制御装置5へモータ3の停止指令信号が出力され、制御装置5は、主軸1の停止動作制御と表示部6への警告(例えば、「警告:アンバランスが大きいため主軸を停止しました」)の表示とを行う。
【0028】
上記第1の実施形態の回転体のアンバランス算出方法及び装置によれば、回転体の回転数が変化しているときに所定の回転数に到達した際のアンバランスの程度または回転数に依存しないアンバランスの程度を算出する際の上記(1)~(3)の課題を解消できる。よって、重大な事故の発生前にアンバランスを精度良く算出することが可能となる。
【0029】
なお、上記形態では、正弦関数値SW(t)に対して周波数分析を行って周波数fの成分の大きさを回転数fの割合R(f)として算出する例を示したが、時系列の主軸の回転数fROT(t)において、振動加速度を周波数分析した際の周波数分解能を考慮した各周波数範囲の回転数の時間比率を回転数の割合R(f)として採用することも可能である。ただし、窓関数により振動振幅の大きさA(f)が変化する倍率と窓関数により回転数の割合R(f)が変化する倍率とが同等となる信号処理を採用することが理想的である。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を
図3のフローチャートと共に具体的に説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態と同じ装置構成(
図1)である。但し、アンバランス算出方法が異なり、また同じ記号を用いた変数であっても意味合いが少し異なるため、別の変数であるものとする。
記録部9は、制御装置5で実行される指令を監視し、工具交換直後に主軸回転指令が実行されたかどうかを判断する(S11)。工具交換直後にアンバランスを算出するのは、工具2がアンバランス状態で主軸1から離脱して飛散する危険性があるためである。
主軸回転指令があった場合、モータ3に付属する回転検出器4から回転数信号を受け取り、それと同時に主軸1に取り付けた振動センサ7からA/D変換部8を経由して振動波形を受け取り、それぞれの記録を開始する(S12)。
続けて記録部9は、制御装置5で実行される指令を監視し、主軸回転指令が終了したかどうかを判断する(S13)。主軸回転指令が終了した場合、回転数信号と振動波形の受け取りと記録を終了する(S18)。
【0031】
一方、主軸回転指令が終了していない場合は、周波数分析に必要な情報が得られたかどうか判断する(S14)。ここで、必要な情報が得られたかどうかの判断は、分析したい回転数区間の振動波形が得られたかどうか、周波数分析に必要なデータ長が含まれているかどうかなど、判断基準を予め定めておく。ここではS11~S14までが測定ステップとなる。
必要な情報が得られた場合、演算部10が記録部9から回転数信号と振動波形とを受け取り、一定速でのアンバランス振動加速度を推定し(S15:一定回転数換算振動振幅算出ステップ)、指令回転数でのアンバランス振動加速度を算出する(S16:アンバランス評価指標算出ステップ)。
【0032】
S15の内容を以下に詳細に記載する。主軸1や工具2などを含めた回転系全体を1自由度無減衰系とみなすと、運動方程式を数17で表すことができる。ただし、回転系の半径方向の変位をx、質量をm、弾性係数をkとする。
【0033】
【0034】
数17の解は数18で表される。ただし、Xは振動変位振幅、θは位相、ωnは固有振動数である。
【0035】
【0036】
このときのアンバランス振動のエネルギーEは主軸1の半径方向の弾性エネルギーと速度エネルギーの和として、数19で表される。
【0037】
【0038】
一般的に角周波数ωにおける振動変位振幅Xと振動加速度振幅Aとの関係は数20で表されるため、数19は数21に書き換えられる。
【0039】
【0040】
ここで、回転指令開始から終了まで、
図4のように回転数が増加したとする。この場合、回転指令を行った時刻から現在時刻t
2までの速度情報と加速度波形とが記録部9から得られ、その中から時刻t
1から時刻t
2までの速度情報と加速度波形とを切り取って使うこととする。
アンバランス振動は振動波形を周波数分析したときに、主軸1の回転周波数における振動振幅として現れるため、一定回転数で主軸1が回転しているときはその回転周波数1点における振動振幅を抽出することでアンバランス振動を捉えることができる。一方、回転数が変化している場合は変化した回転周波数の範囲にまたがった振動振幅を考慮する必要がある。この振動振幅を集約するために、時刻t
1から時刻t
2まで主軸回転数がS(t
1)からS(t
2)まで変化するときのアンバランス振動のエネルギーの合計と、同じ時間間隔だけ主軸1が時刻t
1から時刻t
2までの回転数の平均値S
aveで一定回転するときのアンバランス振動のエネルギーが等価であると近似して、一定回転時のアンバランス振動を推定する。
回転数の平均値S
aveで主軸1を一定回転させたときの角周波数をω
ave、角周波数ω
aveにおける振動加速度振幅をA
aveとおく。一方、時刻t
1から時刻t
2まで角周波数がω
1からω
2に変化するときに得られる振動加速度波形を周波数分析したときの、角周波数ωに対する振動加速度振幅をA(ω)とすると、数21を用いて数22が得られる。数21は固有振動数ω
nでアンバランス振動のエネルギーの合計が表されているが、ここでは一般の角周波数ωに置き換えて適用した。
【0041】
【0042】
数22を変形すると数23となり、回転数Save(角周波数ωave)で主軸1を一定回転させたときのアンバランス振動による加速度振幅Aaveが推定できる。この加速度振幅Aaveが本発明における一定回転数換算振動振幅(アンバランス振動振幅)に該当する。
【0043】
【0044】
通常、回転数の変化に従って回転周波数における振動特性が変化するため、数23で振動特性による補正を行っていない分推定した加速度振幅Aaveに誤差が生じるが、この手法では切り取る時間間隔を短くすることで振動特性を一定とみなし、推定誤差を小さくすることができる。また、ここでは時刻t1から時刻t2までの回転数の平均値Saveで一定回転している時の加速度振幅Aaveを推定するようにしたが、時刻t1から時刻t2までの回転数の範囲内であれば任意の回転数で一定回転している時の加速度振幅を推定してもよい。
【0045】
また、S16の内容を以下に詳細に記載する。任意の回転数(角周波数ωC1)で主軸1が一定回転しているときの、角周波数ωC1における加速度振幅をAC1とし、別の回転数(角周波数ωC2)で主軸1が一定回転しているときの、角周波数ωC2における加速度振幅をAC2とする。また、主軸1と工具2とを含む回転体のアンバランス量をU、アンバランスによる遠心力から振動センサ7で計測される加速度への伝達関数をG(ω)とする。
アンバランスによる遠心力は加速度振幅と伝達関数から逆算できるので、数24、数25が成り立つ。数24、数25からアンバランス量の変数を消去すると、数26が得られる。
【0046】
【0047】
数23と現在時刻t2までの情報を用いて、回転数Saveで一定回転させたときのアンバランス振動加速度を推定し、数26から指令回転数Sordで一定回転させた場合のアンバランス振動加速度に変換する。変換したアンバランス振動加速度が、指令回転数Sordに到達し、加工を始める前に危険かどうか判断するためのアンバランス評価指標となる。
【0048】
最後に判定部11で、演算部10で計算されたアンバランス振動加速度を別途定めた閾値と比較し(S17)、閾値を超えていた場合は回転数信号と振動波形の受け取りと記録を終了し(S18)、表示部6にアンバランスの旨を表示して、制御装置5を通して主軸1の回転を停止させる。アンバランス振動加速度が閾値以下の場合はS13に戻る。
【0049】
上記第2の実施形態の回転体のアンバランス算出方法及び装置においても、回転体の回転数が変化しているときに所定の回転数に到達した際のアンバランスの程度または回転数に依存しないアンバランスの程度を算出する際の上記(1)~(3)の課題を解消できる。よって、重大な事故の発生前にアンバランスを精度良く算出することが可能となる。
【0050】
上記形態では、S15において、「時刻t1から時刻t2まで主軸回転数がS(t1)からS(t2)まで変化するときのアンバランス振動のエネルギーの合計と、同じ時間間隔だけ主軸1が時刻t1から時刻t2までの回転数の平均値Saveで一定回転するときのアンバランス振動のエネルギーが等価であると近似して、一定回転時のアンバランス振動を推定する」方法を採用したが、等価とする物理量はアンバランス振動のエネルギーではなく、主軸半径方向の運動量、もしくは主軸半径方向の振動振幅そのものとしてもよい。もしくは複数の物理量の等価条件でアンバランス振動を複数推定してもよい。
等価とする物理量を主軸半径方向の運動量とした場合、数19ではなく運動量の最大値Pmaxを表す数27を用いる。
【0051】
【0052】
数20を用いると数27は数28に書き換えられる。
【0053】
【0054】
すると、数22と同様に数28を用いて数29が得られる。
【0055】
【0056】
数29を変形すると数30となり、回転数Save(角周波数ωave)で主軸1を一定回転させたときのアンバランス振動による加速度振幅Aaveが推定できる。
【0057】
【0058】
等価とする物理量を主軸半径方向の振動振幅そのものとした場合、数31から加速度振幅Aaveが推定できる。
【0059】
【0060】
切り取る時刻t1から時刻t2までの間が非常に短い場合は、Aave=A(ω1)=A(ω2)としてもよい。
【0061】
以下、第1、第2の実施形態に共通する変更例を説明する。
産業機械の主軸に対して適用する方法は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、機械全体の構成はもちろん、アンバランス振動検出に関わる制御等の構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
第1、第2の実施形態では工具を回転させて切削を行う工作機械(フライス盤、マシニングセンタ)を例として挙げたが、被削材を回転させて切削を行う工作機械(旋盤、研削盤)の主軸または被削材のアンバランス算出にも適用可能である。また、工作機械に限らず、回転体の角度または回転体の回転数のいずれか一方と振動とを同時に計測可能な回転体であれば、本発明は適用可能である。
また、主軸に取り付ける振動センサとしては、加速度センサである必要はなく、変位センサや速度センサ等、主軸の振動測定が可能なセンサであれば何を用いてアンバランスを推定してもよい。
また、主軸停止状態からの加速時ではなく主軸速度を細かく指令して順次上げる場合や主軸速度を下げる場合など、ある速度から別の速度に変更する際にアンバランス振動を推定してもよい。
また、回転体の回転数が変化していない状態において本発明を実行した場合でも、一定回転数に換算した振動振幅が、実測される振動振幅に一致するように算出されるだけであり、機能上の差支えがない。
また、回転体の角度の微分に適切な比例係数をかけることで回転体の回転数や角周波数が得られるし、回転体の回転数や角周波数の積分に適切な比例係数をかけることで回転体の角度が得られる。このため、回転数、角周波数、角度のいずれを測定しても同じ計算が可能なことは明らかである。第1の実施形態では回転数を基準にアンバランスの式展開を行っており、第2の実施形態では角周波数を基準にアンバランスの式展開を行っているが、どちらを基準に考えてもよい。
また、閾値の決定は従来からの知見をもとに決定するなど、どのような方法をとってもよい。当然、アンバランス評価指標と閾値との双方に同一の値を乗算してもよい。
また、アンバランス対応動作として、回転体の停止とアンバランスが大きい旨とを表示する例を示したが、回転数に依存するアンバランス評価指標を採用している場合であれば、閾値を逸脱しない回転数を算出して、その回転数へ変更する制御を行ったり、当該回転数への変更を促す表示を行ったりすることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1・・主軸、2・・工具、3・・モータ、4・・回転検出器、5・・制御装置、6・・表示部、7・・振動センサ、8・・A/D変換部、9・・記録部、10・・演算部、11・・判定部。