(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035323
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】作業用ヘルメット用シールド
(51)【国際特許分類】
A42B 3/20 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
A42B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139556
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】504290778
【氏名又は名称】株式会社プロドーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100098109
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】松本 直幸
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107CA02
3B107CA03
3B107DA07
(57)【要約】
【課題】 一般的に市販されている作業用ヘルメットに着脱可能に取り付けることができるシールドを提供することを目的とする。
【解決手段】 合成樹脂の可撓性を有する板材で形成され、両端部にそれぞれ2つの通孔12,13が上下に設けられ、ヘルメット1に装着の際、耳紐3を先に上側の通孔12に挿入させ、それから下側の通孔13に挿入させるものであり、上側の通孔12は細長に形成され、且つ上側の通孔12は、顎紐4の折り返しによる二重部分6がその通孔12を通過するときに、二重部分6の中から外に延びた耳紐3の前記二重部分6に近接する部分14がその通孔12に引き込まれ得る余地のある長さ、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に口元を覆うために作業用ヘルメットに使用される着脱可能なシールドであって、帽体と、該帽体の両側から帽体の下方に延出させた一対の耳紐と、左側耳紐に接続する左側顎紐と、右側耳紐に接続する右側顎紐とを有し、両顎紐を繋ぐ手段が備えられ、左右両顎紐のそれぞれ一方の端部は、顎紐の折り返しによる二重部分に形成され、その二重部分の中に耳紐が挿通されることにより顎紐が耳紐に接続されている作業用ヘルメットに使用されるシールドであり、
合成樹脂の可撓性を有する板材で形成され、両端部にそれぞれ2つの通孔が上下に設けられ、ヘルメットに装着の際、耳紐を先に上側の通孔に挿入させ、それから下側の通孔に挿入させるものであり、
上側の通孔は細長に形成され、且つ上側の通孔は、顎紐の前記二重部分がその通孔を通過するときに、二重部分の中から外に延びた耳紐の前記二重部分に近接する部分がその通孔に引き込まれ得る余地のある長さ、を有していることを特徴とする作業用ヘルメット用シールド。
【請求項2】
上側の通孔は、下側の通孔の長さよりも長い請求項1記載のシールド。
【請求項3】
シールドは、前記板材により平面状に形成され、装着時に湾曲状に曲げられる請求項1又は請求項2記載のシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に口を覆うために作業用ヘルメットに使用される着脱可能なシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
作業用ヘルメットに着脱可能に取り付けることができるシールドは、特許文献1にすでに開示されている。ここで開示されているシールドは、そのシールドを取り付けるための構造を有しているヘルメットに取り付け可能であって、一般的に市販されている作業用ヘルメットに取り付けることはできない。したがって、そのシールドを使用する場合には、そのシールド用のヘルメットを新たに購入しなければならないのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一般的に市販されている作業用ヘルメットに着脱可能に取り付けることができるシールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、帽体と、その帽体の両側から帽体の下方に延出させた一対の耳紐と、左側耳紐に接続する左側顎紐と、右側耳紐に接続する右側顎紐とを有し、両顎紐を繋ぐ手段が備えられ、左右両顎紐のそれぞれ一方の端部は、顎紐の折り返しによる二重部分に形成され、その二重部分の中に耳紐が挿通されることにより顎紐が耳紐に接続されている作業用ヘルメットに使用されるシールドであり、合成樹脂の可撓性を有する板材で形成され、両端部にそれぞれ2つの通孔が上下に設けられ、ヘルメットに装着の際、耳紐を先に上側の通孔に挿入させ、それから下側の通孔に挿入させるものであり、上側の通孔は細長に形成され、且つ上側の通孔は、顎紐の前記二重部分がその通孔を通過するときに、二重部分の中から外に延びた耳紐の前記二重部分に近接する部分がその通孔に引き込まれ得る余地のある長さ、を有している構成である。
【0006】
請求項2記載の発明は、上側の通孔が、下側の通孔の長さよりも長い構成である。
【0007】
請求項3記載の発明は、シールドが、板材により平面状に形成され、装着時に湾曲状に曲げられる構成である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明は、前述したような作業用ヘルメットに使用するシールドであり、このような作業用ヘルメットは一般的に市販されているものである。したがって、シールドを購入することにより、手元にある作業用ヘルメットに取り付けてシールドを使用することができるので、新たなヘルメットを購入する必要がなく、シールドを安価で手軽に使用することができる。また、取付け手段として、シールドの両端部にそれぞれ2つの通孔を設けただけであって、その通孔に顎紐を通すだけの作業で取付けが完了するので、簡単に取り付けることができる。
【0009】
さらに、シールドの上側の通孔は細長く形成され、シールドの取り付け時に、二重部分の中に耳紐が挿通された顎紐が上側の通孔に挿通される。耳紐が挿通された二重部分はその中を通る耳紐の厚みや変形により膨らんでいるので、取り付けられたシールドの上側の通孔の上側の長辺に、膨らんだ二重部分の端縁が係止して、作業中にシールドが下がることを防止できる。
【0010】
また、上側の通孔は、顎紐の前記二重部分がその通孔を通過するときに、二重部分の中から外に延びた耳紐の前記二重部分に近接する部分がその通孔に引き込まれ得る余地のある長さ、を有している。これにより、シールドの取り付け時に、顎紐の二重部分がその端縁まで上側の通孔を通過させることができるので、前述したように、シールドの上側の通孔の上側の長辺に、膨らんだ二重部分の端縁が係止して、シールドが下がることを防止できるのである。
【0011】
また、逆にシールドが上昇しようとしても、顎紐の二重部分の中から外に延びる耳紐は外側に広がっているので、その広がりが上側の通孔の両端に当たって、それ以上シールドが上昇することを規制することができる。このことは、上側の通孔が細長に形成されていることも要因の一つである。すなわち、上側の通孔が縦方向に長い場合には、通孔の両端に当たっている耳紐が、その当たったままの状態で通孔内を下方に平行移動するので、ヘルメットに対してシールドは上昇することになるのである。耳紐の下方への平行移動を規制するものは、下側の通孔の下辺であるから、耳紐がその下辺に当たるまで平行移動することになる。
【0012】
請求項2記載の発明は、上側の通孔が、下側の通孔の長さよりも長い。すなわち、下側の通孔の長さは上側の通孔の長さよりも短い。したがって、シールドが前後方向に移動するときに、シールドの下側の通孔の側辺が、その通孔に挿通されている顎紐にすぐに当たって移動が規制されるので、シールドの前後方向の移動範囲をわずかなものにして、作業中にシールドが前後にぶれることを防止することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、シールドが、板材により平面状に形成され、装着時に湾曲状に曲げられる。したがって、例えば10枚単位でシールドを販売するとき等に、商品が嵩張ることがなく、より多くの商品を売り場に展示することができる。また、購入者にとっても作業現場への持ち運び等に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明が使用されるヘルメットの側面図である。
【
図4】シールドをヘルメットに取り付けた取付け部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。本発明が使用されるヘルメット1は、帽体2と、その帽体2の両側部の内側から帽体2の下方に延出させた一対の耳紐3(右側耳紐は図示せず。)と、左側耳紐3に接続する左側顎紐4と、右側耳紐に接続する右側顎紐5とを有している。左右両側の顎紐4,5のそれぞれ一方の端部は、顎紐の折り返しによる二重部分6(右側顎紐5の二重部分は図示せず。)に形成され、その二重部分6の中に耳紐3が挿通されることにより顎紐4,5が耳紐3に接続されている。したがって、左側顎紐4は左側耳紐3に対して摺動でき、右側顎紐5も右側耳紐に対して摺動できる。また、二重部分6にはその二重構造を維持するための留め具7が取り付けられている。左右両側の顎紐4,5のそれぞれ他方の端部には、両顎紐4,5を繋ぐ雌バックル8と雄バックル9が取り付けられている。一般的に市販されている作業用ヘルメットの耳紐3と顎紐4,5は、多くの場合、所定幅を有する帯状の紐であるが、そのようなヘルメット以外のものでも使用することができる。
【0016】
図3に示すように、シールド10は、合成樹脂の可撓性を有する平面状の板材で横長に左右対称に形成され、中央部分は口を覆うために上下方向が幅広に形成されている。材料の合成樹脂は、例えばペットボトルの材料であるポリエチレンテレフタラートが使用されるが、これに限定されるものではない。装着前のシールド10は平面状であるが、あらかじめ湾曲状に曲げ形成されていてもよい。シールド10の双方の端部11,11にはそれぞれ2つの通孔12,13が上下に設けられている。上側の通孔12は細長く形成され、その長さは下側の通孔13よりも長い。下側の通孔13はほぼ正方形であるがこの形に限定されるものではない。例えば、細長でもよい。
【0017】
なお、シールド10のヘルメット1への取付け構造はヘルメット1の左右でほぼ同じであるから、これ以降、ヘルメット1の左側のみの取付けについて説明する。前述したように、下側の通孔13は顎紐4を挿通させることができるのであるから、下側の通孔13よりも長さの長い上側の通孔12は、顎紐4を挿通させたときに、下側の通孔13に比べて長さが余ることになる。したがって、
図4に示すように、顎紐4の二重部分6が通孔12を通過するときに、顎紐4の二重部分6の中から外に延びた耳紐3の前記二重部分6に近接する部分14,14が、通孔12に引き込まれる。そして、その引き込まれる際に、耳紐3が上側の通孔12の両端15、15に当たって、それ以上の引き込みが規制される。また、下側の通孔13の長さは、上側の通孔12の長さよりも短いので、下側の通孔13に挿通された顎紐4はその通孔13の側辺20,20に接近している。これにより、シールド10が前後方向に移動しようとしても、側縁20,20がすぐに顎紐4に当たるので、移動がすぐに規制され、作業中にシールド10が前後にぶれることを効果的に防止できる。
【0018】
サイズについて説明すると、シールド10の長手方向の長さは約285mmであり、その幅広の中央部分の幅は約110mmである。通孔12の長さは約40mmであり、幅は約6mmである。通孔13は縦横共に約22mmである。本発明がこれらの数値に限定されないことは勿論である。
【0019】
次に、本発明の使用法について説明する。シールド10をヘルメット1に取り付けるには、まず、顎紐4の端部に取り付けられている雌バックル8を上側の通孔12に、シールド10の内側から挿入する。その際、上側の通孔12の長辺16,17間の幅よりも雌バックル8の厚みの方が大きくても、シールド10の上側の通孔12の一対の長辺16,17に沿う面を、シールド10の厚み方向の互いに異なる方向に撓ませることにより、通孔12が厚み方向に拡開して挿入させることができる。次に、雌バックル8を下側の通孔13に、シールド10の外側から内側に抜けるように挿入する。次いで、シールド10をしっかり手に持って雌バックル8を引っ張ると、
図4に示すように、顎紐4の二重部分6が上側の通孔12を通過して、その二重部分の6の端縁18が、上側の長辺16に係止する。これにより、上側の通孔12を通過した二重部分6が逆戻りすることを規制することができる。そして、同時に、二重部分6に近接する耳紐3の部分14,14が通孔12に引き込まれる。
図4は、耳紐3が上側の通孔12の両端15,15のU字状の最も深い底19、19にはまだ届いていない状態であり、ここからシールド10が上昇すると、耳紐3が最も深い底19,19に当たって、それ以上の上昇が規制される。さらに、シールド10は、
図4の状態では、下側の通孔13を中心に揺動する可能性があるが、揺動を始めてもすぐに前記U字状の最も深い底19,19の一方が耳紐3に当たるので、すぐに揺動が規制されるのである。ヘルメット1の右側でも同様の手順によりシールド10をヘルメット1に取り付ける。そして、両バックル8,9を連結することにより、ヘルメット1を作業者の頭に装着することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 ヘルメット、 2 帽体、 3 耳紐、 4 顎紐、 5 顎紐、 6 二重部分、 7 留め具、 8 雌バックル、 9 雄バックル、 10 シールド、 11 端部、 12 上側の通孔、 13 下側の通孔、 14 近接する部分、 15 通孔の両端、 16 通孔の長辺、 17 通孔の長辺、 18 端縁、 19 最も深い底、 20 側辺