(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035350
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】アタッチメント、トルク管理装置及びトルク管理方法
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20220225BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20220225BHJP
B25B 23/14 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
B25B21/00 H
F16B2/12 B
B25B21/00 N
B25B23/14 640R
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139597
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000107044
【氏名又は名称】ショーボンド建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】398075781
【氏名又は名称】ジロー株式會社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 常幸
(72)【発明者】
【氏名】阪本 幸広
【テーマコード(参考)】
3C038
3J022
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BC02
3C038BC07
3C038CB06
3C038CC04
3J022EA41
3J022EB03
3J022FB12
3J022GA06
3J022GA13
3J022GB32
(57)【要約】
【課題】クランプにおける締結用ボルトの締め付けトルクを容易に管理することが可能となるアタッチメントを提供する。
【解決手段】本発明に係るアタッチメント1は、コの字形状のクランプ本体部110の受け部111と、クランプ本体部110に螺合貫通される締結用ボルト120とによりH形鋼91のフランジ部92を挟んで固定するクランプ100における締結用ボルト120のトルクを管理するトルク管理装置7に取り付けられるアタッチメント1であって、トルク管理装置7における、締結用ボルト120を締結するための締結部71に取り付けるための本体部2と、本体部2を挟んで両側に互いに離間して配置され、クランプ本体部110を挟むための一対の挟持部31、32と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コの字形状のクランプ本体部の受け部と、前記クランプ本体部に螺合貫通される締結用ボルトとにより対象物を挟んで固定するクランプにおける前記締結用ボルトのトルクを管理するトルク管理装置に取り付けられるアタッチメントであって、
前記トルク管理装置における、前記締結用ボルトを締結するための締結部に取り付けるための本体部と、
前記本体部に設けられる、前記クランプ本体部を挟むための一対の挟持部と、を備えること
を特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
一対の前記挟持部の距離を保持するための保持機構、を更に備えること
を特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記保持機構は、一対の前記挟持部に対して相対移動可能な保持部材と、前記保持部材と一対の前記挟持部との相対移動を固定する接合部材とを有すること
を特徴とする請求項2記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記本体部は、前記締結用ボルトを嵌合するための嵌合部と、前記嵌合部の外側に配置されるとともに一対の前記挟持部が設けられる外装部と、を備え、
前記外装部は、前記嵌合部に摺動可能に取り付けられること
を特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項5】
コの字形状のクランプ本体部の受け部と、前記クランプ本体部に螺合貫通される締結用ボルトとにより対象物を挟んで固定するクランプにおける前記締結用ボルトのトルクを管理するトルク管理装置であって、
前記締結用ボルトを締結するための締結部と、前記締結部に取り付けられるアタッチメントと、を備え、
前記アタッチメントは、
前記締結部に取り付けるための本体部と、
前記本体部に設けられる、前記クランプ本体部を挟むための一対の挟持部と、を有すること
を特徴とするトルク管理装置。
【請求項6】
前記トルク管理装置は、出力するトルクを示す目盛りを有し、
前記目盛りの最低値は、前記締結用ボルトの設定トルクであること
を特徴とする請求項5記載のトルク管理装置。
【請求項7】
コの字形状のクランプ本体部の受け部と、前記クランプ本体部に螺合貫通される締結用ボルトとにより対象物を挟んで固定するクランプにおける前記締結用ボルトのトルクを管理するトルク管理方法であって、
前記締結用ボルトを締結するための締結部に取り付けるための本体部と、
前記本体部に設けられる、前記クランプ本体部を挟むための一対の挟持部と、を有するアタッチメントが、前記締結部に取り付けられたトルク管理装置を用いて、
前記クランプ本体部を一対の前記挟持部により挟む挟み工程と、
前記締結部を回転させて前記締結用ボルトを締結する締結工程と、備えること
を特徴とするトルク管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメント、トルク管理装置及びトルク管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルト等の所定の部材を締結する際に、その締め付けトルクを容易に管理する必要がある。トルク管理をする際には、電動式トルクレンチが用いられ、例えば、特許文献1の開示技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、先端側に被締結部材に仮設したストッパに係合する支杆を形成したソケット状の反力受を装着するようにした自動締付工具の反力受装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば橋梁下に補修作業用の吊り足場を仮設する場合、橋梁の桁に所定の間隔を空けてコ型クランプを配置し、各々のコ型クランプを螺合貫通する締結用ボルトを締結することによりコ型クランプを桁に取りつけ、各々のコ型クランプに吊り下げたチェーンにより足場板を支持する方法が採られる。このように、橋梁の桁等で用いられるクランプは所定の間隔を空けて配置されることから、クランプの締結用ボルトのトルクを管理する場合には、反力受けとなる部材がこの締結用ボルトの近傍に存在しない。したがって、クランプの締結用ボルトの締め付けトルクを容易に管理することができる技術が切望されている。
【0006】
部材同士を接合する高力ボルトの場合、通常近接して複数の高力ボルトが配置されることから、トルクを管理すべき高力ボルトに近接する他の高力ボルトを反力受けとすることにより、高力ボルトのトルクを管理することができる。そして、特許文献1の開示技術は、被締結部材に仮設したストッパに係合する支杆を形成したソケット状の反力受を装着するものである。このように、トルクを管理すべきボルトの近傍に反力受となる部材を仮設して、トルクを管理すべきボルトの反力を取ることができる。しかしながら、特許文献1の開示技術では、反力受けとなる部材を被締結部材に仮設した場合には、最終的にこの仮設した部材を撤去する必要がある。このため、トルクの管理を容易に行うことができないという問題点があった。
【0007】
例えば、締め付けトルクが重要なものに、吊り足場用の吊りチェーンクランプがある。吊り足場とは通常橋梁にぶら下がる形で設置される足場であり、橋梁の桁の下フランジに設置される吊りチェーンクランプを吊り元として、チェーンにより設置される。その吊り元であるクランプは、クランプ自体やその足場自体の落下の影響が、足場内外の安全に強くかかわることから、緊固に下フランジに設置される必要があるため、建設現場の仮設構造物についての指導を行っている仮設工業会では、取り付け部の押しボルト(以下「締結用ボルト」という)の締め付けトルク値は3.4以上4.4kN・cm以下と規定されている(仮設機材認定基準とその解説:厚生労働省が定める規格と認定基準 第14章 吊りチェーンクランプにおける、吊りチェーンクランプ用クランプの使用基準 2.取り付け方法等(2)(一般社団法人仮設工業会編集・発行)参照)。しかし現在、クランプの締め付けには、通常、手動締付器具もしくは、充電式電動インパクトレンチが用いられているものの、双方ともに締付トルクを管理することはできず、器具の性能や操作者の勘・経験に頼った締め付けが行われていることが現状である。そこで、締め付トルクが、簡便に所定値で管理できる締付装置が必要不可欠となり、またそのような器具があれば、長期に設置している吊り足場に用いられているクランプの締付トルクの点検にも活用することができるため、開発を行うこととした。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、クランプにおける締結用ボルトの締め付けトルクを容易に管理することが可能となるアタッチメント、トルク管理装置及びトルク管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るアタッチメントは、コの字形状のクランプ本体部の受け部と、前記クランプ本体部に螺合貫通される締結用ボルトとにより対象物を挟んで固定するクランプにおける前記締結用ボルトのトルクを管理するトルク管理装置に取り付けられるアタッチメントであって、前記トルク管理装置における、前記締結用ボルトを締結するための締結部に取り付けるための本体部と、前記本体部に設けられる、前記クランプ本体部を挟むための一対の挟持部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るトルク管理装置は、コの字形状のクランプ本体部の受け部と、前記クランプ本体部に螺合貫通される締結用ボルトとにより対象物を挟んで固定するクランプにおける前記締結用ボルトのトルクを管理するトルク管理装置であって、前記締結用ボルトを締結するための締結部と、前記締結部に取り付けられるアタッチメントと、を備え、前記アタッチメントは、前記締結部に取り付けるための本体部と、前記本体部に設けられる、前記クランプ本体部を挟むための一対の挟持部と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るトルク管理方法は、コの字形状のクランプ本体部の受け部と、前記クランプ本体部に螺合貫通される締結用ボルトとにより対象物を挟んで固定するクランプにおける前記締結用ボルトのトルクを管理するトルク管理方法であって、前記締結用ボルトを締結するための締結部に取り付けるための本体部と、前記本体部に設けられる、前記クランプ本体部を挟むための一対の挟持部と、を有するアタッチメントが、前記締結部に取り付けられたトルク管理装置を用いて、前記クランプ本体部を一対の前記挟持部により挟む挟み工程と、前記締結部を回転させて前記締結用ボルトを締結する締結工程と、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クランプにおける締結用ボルトの締め付けトルクを容易に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態に係るトルク管理装置により締結するクランプの一例を示す側面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の正面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るトルク管理装置の一例を示す側面図である。
【
図3】
図3(a)は、第1実施形態に係るトルク管理装置に用いられるアタッチメントの一例を示す断面図であり、
図3(b)は、
図3(a)の3A-3A断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るトルク管理装置に用いられるアタッチメントの一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、第1実施形態に係るトルク管理装置により締結するクランプの一例を示す側面断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)の正面断面図である。
【
図6】
図6(a)は、第2実施形態に係るトルク管理装置7に用いられるアタッチメント1の一例を示す断面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の6A-6A断面図である。
【
図7】
図7(a)は、第2実施形態に係るトルク管理装置により締結するクランプ100の一例を示す側面断面図であり、
図7(b)は、
図7(a)の正面断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係るトルク管理装置の一例を分解して示す側面図である。
【
図9】
図9(a)は、第3実施形態に係るトルク管理装置に用いられるアタッチメントの一例を示す断面図であり、
図9(b)は、
図9(a)の9A-9A断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係るトルク管理装置の一例における制御部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用したアタッチメント、トルク管理装置及びトルク管理方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るトルク管理装置7について説明する。
図1(a)は、第1実施形態に係るトルク管理装置7により締結するクランプ100の一例を示す側面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の正面図である。
図2は、第1実施形態に係るトルク管理装置7の一例を示す側面図である。
図3(a)は、第1実施形態に係るトルク管理装置7に用いられるアタッチメント1の一例を示す断面図であり、
図3(b)は、
図3(a)の3A-3A断面図である。
図4は、第1実施形態に係るトルク管理装置7に用いられるアタッチメント1の一例を示す斜視図である。
図5(a)は、第1実施形態に係るトルク管理装置7により締結するクランプ100の一例を示す側面断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)の正面断面図である。
【0016】
クランプ100は、対象物を挟んで固定するものである。クランプ100は、例えば橋梁の補修工事等に用いられ、H形鋼等の橋桁を挟んで固定するものである。クランプ100は、吊り下げ装置98が設けられ、吊り下げ装置98を介して足場板99を支持するものとなる。
【0017】
クランプ100は、クランプ本体部110と、締結用ボルト120と、を備える。クランプ本体部110は、コの字形状に形成され、受け部111と、受け部111に対向して配置される対向部112と、受け部111と対向部112とを繋ぐ繋ぎ部113と、を有する。
【0018】
クランプ100は、クランプ本体部110の受け部111と、クランプ本体部110の受け部111の対向部112を貫通螺合する締結用ボルト120とにより、橋桁としてのH形鋼91におけるフランジ部92を挟んで固定する。締結用ボルト120の先端側には、締結用ボルト120よりも径大な押圧部121が設けられる。
【0019】
トルク管理装置7は、クランプ100における締結用ボルト120のトルクを管理するものである。トルク管理装置7は、締結用ボルト120を締結するための締結部71と、トルク管理装置7の締結部71に取り付けられるアタッチメント1と、締結部71が設けられるとともに作業者が把持する装置本体部79と、を備える。トルク管理装置7は、電動式トルクレンチが用いられ、装置本体部79に格納されたモータにより締結部71を回転させることにより、締結用ボルト120を締結することができる。
【0020】
アタッチメント1は、本体部2と、一対の挟持部31、32と、保持機構4と、を有する。
【0021】
本体部2は、トルク管理装置7における締結部71に取り付けるためのものである。本体部2は、金属製等の板材が用いられ、略中央に開口部21が形成される。開口部21には、トルク管理装置7の締結部71が嵌め込まれて取り付けられる。
【0022】
一対の挟持部31、32は、クランプ本体部110の対向部112を挟むためのものであって、本体部2の両側に設けられる。挟持部31、32は、それぞれ金属製等の板材が用いられる。本体部2と一対の挟持部31、32とは、一体化されており、外形がコの字形状に形成される。一対の挟持部31、32は、本体部2を挟んで両側に互いに離間して配置され、締結部71の外側に配置されることとなる。
【0023】
挟持部31は、その基端部が本体部2に設けられ、先端部に向けて延びて形成される。挟持部31は、基端部から先端部に向けて延びる長孔33が形成される。
【0024】
挟持部32は、その基端部が本体部2に設けられ、先端部に向けて延びて形成される。挟持部32は、基端部から先端部に向けて延びる長孔34が形成される。
【0025】
保持機構4は、一対の挟持部31、32の距離を保持するためのものである。保持機構4は、一対の挟持部31、32に当接される保持部材41と、保持部材41と一対の挟持部31、32とを着脱自在に接合する接合部材47、48とを有する。
【0026】
保持部材41は、断面ロの字状に形成され、挟持部31の外側に当接される第1当接板部42と、挟持部32の外側に当接される第2当接板部43と、第1当接板部42の一端部と第2当接板部43の一端部とを繋ぐ第1繋ぎ板部44と、第1当接板部42の他端部と第2当接板部43の他端部とを繋ぐ第2繋ぎ板部45と、を有する。
【0027】
接合部材47は、例えば、ボルトナットが用いられ、長孔33に貫通されて、第1当接板部42と一方の挟持部31とを接合するものである。接合部材48は、例えば、ボルトナットが用いられ、長孔34に貫通されて、第2当接板部43と他方の挟持部32とを接合するものである。これにより、保持機構4は、一対の挟持部31、32の距離を保持することができる。
【0028】
また、接合部材47、48を緩めた状態において接合部材47、48を長孔33、34の延伸方向に沿って移動させることで、保持部材41は、一対の挟持部31、32に対して、挟持部31、32に対して相対移動可能に、一対の挟持部31、32に接合されるものとなる。
【0029】
本実施形態によれば、コの字形状のクランプ本体部110の受け部111と、クランプ本体部110に螺合貫通される締結用ボルト120とによりH形鋼91のフランジ部92を挟んで固定するクランプ100における締結用ボルト120のトルクを管理するトルク管理装置7に取り付けられるアタッチメント1であって、トルク管理装置7における、締結用ボルト120を締結するための締結部71に取り付けるための本体部2と、本体部2を挟んで両側に互いに離間して配置され、クランプ本体部110を挟むための一対の挟持部31、32と、を備える。
【0030】
これにより、締結部71を回転させて締結用ボルト120を締結したとき、一対の挟持部31、32がクランプ100を挟んだ状態に維持でき、トルク管理装置7は一対の挟持部31、32から反力を得ることができる。このため、クランプ100の締結用ボルト120のトルクを容易に管理することができる。
【0031】
本実施形態によれば、一対の挟持部31、32の距離を保持するための保持機構4を更に備える。これにより、締結部71を回転させて締結用ボルト120を締結したとき、一対の挟持部31、32が拡開するのを抑制することができ、一対の挟持部31、32がクランプ100を挟んだ状態を安定して維持できる。このため、クランプ100の締結用ボルト120のトルクを一層容易に管理することができる。
【0032】
本実施形態によれば、保持機構4は、一対の挟持部31、32に当接される保持部材41と、保持部材41と一対の挟持部31、32とを接合する接合部材47、48とを有し、保持部材41は、一対の挟持部31、32に対して相対移動可能に接合される。これにより、締結用ボルト120の長さや、クランプ本体部110の対向部112の高さに応じて、保持部材41の位置を合わせた上で一対の挟持部31、32の距離を保持することができる。このため、クランプ100の締結用ボルト120のトルクを一層容易に管理することができる。
【0033】
本実施形態によれば、コの字形状のクランプ本体部110の受け部111と、クランプ本体部110に螺合貫通される締結用ボルト120とによりH形鋼91のフランジ部92を挟んで固定するクランプ100における締結用ボルト120のトルクを管理するトルク管理装置7であって、締結用ボルト120を締結するための締結部71と、締結部71に取り付けられるアタッチメント1と、を備え、アタッチメント1は、締結部71に取り付けるための本体部2と、本体部2を挟んで両側に互いに離間して配置され、前記クランプ本体部110を挟むための一対の挟持部31、32と、を有する。
【0034】
これにより、締結部71を回転させて締結用ボルト120を締結したとき、一対の挟持部31、32がクランプ100を挟んだ状態に維持でき、一対の挟持部31、32からトルク管理装置7は反力を得ることができる。このため、クランプ100の締結用ボルト120のトルクを容易に管理することができる。
【0035】
次に、本実施形態に係るトルク管理装置7を用いたトルク管理方法について、説明する。
【0036】
トルク管理方法は、挟み工程と、挟み工程の後に行われる締結工程とを備える。トルク管理方法では、トルク管理装置7における、締結用ボルト120を締結するための締結部71に取り付けるための本体部2と、本体部2を挟んで両側に互いに離間して配置され、前記クランプ本体部110を挟むための一対の挟持部31、32と、を有するアタッチメント1が、締結用ボルト120を締結するための締結部71に取り付けられたトルク管理装置7を用いる。
【0037】
挟み工程では、H形鋼91のフランジ部92の両側に、クランプ100の受け部111と、締結用ボルト120の押圧部121とを配置した状態から開始する。
【0038】
挟み工程では、先ず、クランプ本体部110の対向部112の両側に一対の挟持部31、32を配置する。そして、挟み工程では、接合部材47、48を緩めた状態において接合部材47、48を長孔33、34の延伸方向に沿って移動させることで、保持部材41を一対の挟持部31、32に対して挟持部31、32に対して相対移動させ、保持部材41を所定の位置に配置する。
【0039】
そして、挟み工程では、接合部材47、48により保持部材41を一対の挟持部31、32に対して接合する。これにより、一対の挟持部31、32がクランプ本体部110の対向部112を強固に挟むことができる。
【0040】
次に、締結工程では、トルク管理装置7の締結部71を回転させて締結用ボルト120の押圧部121をフランジ部92に噛み込ませる。これにより、クランプ100が下フランジ92に対して固定される。クランプ100は、一対の挟持部31、32で挟まれることにより、トルク管理装置7の反力となり、締結部71にトルクが発生する。締結部71に発生したトルクは締結用ボルト120に伝達され、締結用ボルト120の押圧部120による下フランジ92への噛み込みが増加する。そして、さらに強いトルクが締結部71に発生し、所定のトルク(例えば、40N・m)に到達したとき、トルク管理装置7の締結部71の回転が停止され、トルク管理方法が完了する。
【0041】
本実施形態によれば、クランプ本体部110を一対の挟持部31、32により挟む挟み工程と、締結部71を回転させて締結用ボルト120を締結する締結工程と、備える。
【0042】
これにより、締結工程において締結部71を回転させて締結用ボルト120を締結したとき、一対の挟持部31、32がクランプ本体部110の対向部112を挟んだ状態に維持でき、トルク管理装置7は一対の挟持部31、32から反力を得ることができる。このため、クランプ100の締結用ボルト120のトルクを容易に管理することができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るトルク管理装置7について説明する。
図6(a)は、第2実施形態に係るトルク管理装置7に用いられるアタッチメント1の一例を示す断面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の6A-6A断面図である。
図7(a)は、第2実施形態に係るトルク管理装置7により締結するクランプ100の一例を示す側面断面図であり、
図7(b)は、
図7(a)の正面断面図である。
【0044】
第2実施形態に係るトルク管理装置7に用いられるアタッチメント1は、本体部2と、一対の挟持部31、32と嵌合と、を有する。
【0045】
本体部2は、締結用ボルト120を嵌合するための嵌合部5と、嵌合部5の外側に配置されるとともに一対の挟持部31、32が設けられる外装部20と、を有する。本体部2は、嵌合部5を介して外装部20がトルク管理装置7の締結部71に取り付けられる。外装部20は、基端側に開口部21が形成される。外装部20は、先端側に向かうにつれて締結部71の周囲を囲うように拡径された拡径部22が形成される。拡径部22は、外形が円錐台形状に形成され、3つの開口部23が形成される。外装部20は、先端部に互いに離間して配置される一対の挟持部31、32が設けられる。
【0046】
挟持部31、32は、外装部20の拡径部22の先端部から延びて形成され、
図6(b)に示すように、断面扇形状に形成される。
【0047】
嵌合部5は、トルク管理装置7の締結部71に取り付けられ、締結用ボルト120を嵌合するためのものである。嵌合部5は、先端に締結用ボルト120が嵌合される六角形状の嵌合孔51が形成される。嵌合部5は、外装部20に図示しないビス等により固定される。嵌合部5は、締結部71を回転させたとき、締結部71とともに回転するものである。
【0048】
嵌合部5は、例えば、筒状の部材が用いられ、締結用ボルト120を嵌合する嵌合孔51が締結用ボルト120の延伸方向に沿って延びて形成される。
【0049】
トルク管理方法は、挟み工程と、挟み工程の後に行われる締結工程とを備える。
【0050】
挟み工程では、H形鋼91のフランジ部92の両側に、クランプ100の受け部111と、締結用ボルト120の押圧部121とを配置した状態から開始する。
【0051】
挟み工程では、先ず、クランプ本体部110の対向部112の両側に一対の挟持部31、32を配置し、一対の挟持部31、32によりクランプ本体部110の対向部112を挟む。また、嵌合部5に締結用ボルト120を嵌合させる。
【0052】
次に、締結工程では、嵌合部5に取り付けられたトルク管理装置7の締結部71を回転させて締結用ボルト120の押圧部121をフランジ部92に噛み込ませる。これにより、クランプ100が下フランジ92に対して固定される。クランプ100は、一対の挟持部31、32で挟まれることにより、トルク管理装置7の反力となり、嵌合部5が取り付けられた締結部71にトルクが発生する。締結部71に発生したトルクは締結用ボルト120に伝達され、締結用ボルト120の押圧部120による下フランジ92への噛み込みが増加する。そして、さらに強いトルクが締結部71に発生し、所定のトルク(例えば、40N・m)に到達したとき、トルク管理装置7の締結部71の回転が停止され、トルク管理方法が完了する。
【0053】
本実施形態によれば、本体部2は、基端部がトルク管理装置7の締結部71に取り付けられ、先端側に向かうにつれて締結部71を囲うように拡径された拡径部22が形成され、一対の挟持部31、32が拡径部22の先端部から延びて形成される。これにより、締結部71を回転させて締結用ボルト120を締結したとき、一対の挟持部31、32がクランプ100を挟んだ状態を安定して維持できる。このため、クランプ100の締結用ボルト120のトルクを一層容易に管理することができる。
【0054】
更に、本実施形態によれば、拡径部22は、開口部23が形成される。これにより、アタッチメント1の軽量化を図ることができる。また、締結部71を回転させて締結用ボルト120を締結したとき、作業者は、開口部23から締結用ボルト120等の締結部分を目視することができる。このため、安全に締結用ボルト120を締結することができる。
【0055】
本実施形態によれば、トルク管理装置7の締結部71に取り付けられる嵌合部5を有し、嵌合部5は、締結用ボルト120を嵌合する嵌合孔51が締結用ボルト120の延伸方向に沿って延びて形成される。これにより、締結用ボルト120が嵌合孔51に嵌合され、締結部71とともに嵌合部5を回転させて締結用ボルト120を締結したとき、締結用ボルト120の延伸方向に延びる嵌合孔51に締結用ボルト120がガイドされることとなる。このため、締め付け作業中におけるトルク管理装置7の位置の微調整が不要となるため、熟練度に関わらず、一対の挟持部31、32がクランプ100を挟んだ状態を安定して維持できる。その結果、クランプ100の締結用ボルト120のトルクを一層容易に管理することができる。
【0056】
本実施形態によれば、一対の挟持部31、32を厚口にすることで、耐久性を向上させることができる。本実施形態によれば、本体部2に、先端側に向かうにつれて締結部71の周囲を囲うように拡径された拡径部22が形成される。このため、本体部2自体の耐力を向上させることができ、耐久性を向上させることができる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るトルク管理装置7について説明する。
図8は、第3実施形態に係るトルク管理装置7の一例を分解して示す側面図である。
図9(a)は、第3実施形態に係るトルク管理装置7に用いられるアタッチメント1の一例を示す断面図であり、
図9(b)は、
図9(a)の9A-9A断面図である。
図10は、第3実施形態に係るトルク管理装置の一例における制御部74を示す図である。
【0058】
第3実施形態に係るトルク管理装置7に用いられるアタッチメント1は、本体部2と、一対の挟持部31、32と、を有する。
【0059】
本体部2は、締結用ボルト120を嵌合するための嵌合部5と、嵌合部5の外側に配置されるとともに一対の挟持部31、32が設けられる外装部20と、を有する。本体部2は、嵌合部5を介して外装部20がトルク管理装置7の締結部71に取り付けられる。外装部20は、基端側に開口部21が形成される。外装部20は、先端側に向かうにつれて締結部71の周囲を囲うように拡径された拡径部22が形成される。拡径部22は、外形が円錐台形状に形成され、3つの開口部23が形成される。外装部20は、先端部に互いに離間して配置される一対の挟持部31、32が設けられる。
【0060】
本体部2は、周方向に沿って延びる長孔25が形成される。
【0061】
挟持部31、32は、拡径部22の先端部から延びて形成され、
図9(b)に示すように、外面が円弧状に湾曲されて形成され、内面が平坦状に形成される。一対の挟持部31、32の肉厚t2は、本体部2の先端部の肉厚t1よりも薄い。
【0062】
嵌合部5は、トルク管理装置7の締結部71に取り付けられ、締結用ボルト120を嵌合するためのものである。嵌合部5は、締結部71を回転させたとき、締結部71とともに回転するものである。嵌合部5は、例えば、筒状の部材が用いられ、締結用ボルト120を嵌合する嵌合孔51が締結用ボルト120の延伸方向に沿って延びて形成される。
【0063】
嵌合部5は、基端側に締結部71が差し込まれ、M字状の針金部材やピン等の固定部材59により、締結部71に固定される。嵌合部5は、貫通孔54が形成される筒状のスリーブ53を有する。スリーブ53は、嵌合部5の基端側が挿通される。スリーブ53は、ホロセット等の固定部材55により締結部71に固定される。嵌合部5は、貫通孔54にボルト等の突起部52が螺合される。突起部52は、本体部2の長孔25の内側に配置される。本体部2は、嵌合部5に対して嵌合部5の回転方向に摺動可能であり、長孔25の内側に配置された突起部52によりその摺動が制御される。
【0064】
嵌合部5は、先端側に嵌合孔51が形成される。嵌合孔51は、締結用ボルト120の頭部の外形より一回り大きい2つの正六角形を30度でずらして重ねた得られる輪郭の内形、すなわち12頂点の星形の内形である。嵌合孔51の内形は、多角形の回転対称形状である。
【0065】
嵌合部5の嵌合孔51が12頂点の星形の内形とされており、締結用ボルト120の頭部が六角形状となっているため、頭部に対して30度ずつずらして嵌合部5を嵌合させることができる。これにより、締結用ボルト120の頭部に嵌合部5を嵌合しやすくできる。嵌合部5の嵌合孔51の頂点の数は、それに遊嵌される締結用ボルト120の頭部の頂点の数の整数倍であればよい。なお、嵌合孔51の頂点の数を増やすと、遊嵌される締結用ボルト120の頭部との接触面が減り、締結作業性が低下するおそれがあるため、嵌合孔51の頂点の数は、締結用ボルト120の頭部の頂点の数の2倍から3倍とするとよい。
【0066】
本実施形態によれば、一対の挟持部31、32は、内面が平坦状に形成される。これにより、一対の挟持部31、32によりクランプ本体部110を挟んだ際に安定させることができる。このため、締結用ボルト120の締結作業をより容易に行うことが可能となる。
【0067】
本実施形態によれば、一対の挟持部31、32の肉厚t2は、本体部2の先端部の肉厚t1よりも薄い。これにより、クランプ本体部110から一対の挟持部31、32を外しやすくすることができる。このため、締結用ボルト120の締結作業やその解除作業をより容易に行うことが可能となる。
【0068】
本実施形態によれば、嵌合部5は、外装部20に対して摺動可能である。これにより、嵌合部5により締結用ボルト120に嵌合する際や取り外す際に、微調整を行うことができる。このため、締結用ボルト120の締結作業やその解除作業をより容易に行うことが可能となる。
【0069】
本実施形態によれば、嵌合孔51は、締結用ボルト120の角形状の頭部の頂点数よりも多く、締結用ボルト120の頭部の角形状の回転対称形状に形成される。これにより、締結用ボルト120の頭部に嵌合孔51を嵌合させやすくできる。このため、締結用ボルト120の締結作業をより容易に行うことが可能となる。
【0070】
また、トルク管理装置7は、締結部71を制御する制御部74を備える。制御部74は、トルクを示す目盛り75と、目盛り75に応じたトルクを制御するつまみ76と、を有する。つまみ76を回転させることで、トルクを制御することができる。
図10の例では、目盛り75には、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」が付してある(単位は10N・m)。例えば、仕様書等において締結用ボルト120の設定トルクが40N・mの場合には、目盛り75の最低値は、「4」に設定されている。このように、目盛り75は、締結用ボルト120の設定トルクを示す値が最低値に設定されている。制御部74は、締結用ボルト120が設定トルクに到達したとき、締結部71の回転を自動的に停止するように制御する。
【0071】
従来のトルク管理装置では、出力するトルクを示す目盛りを有していたものの、この目盛りは、締結用ボルトの設定トルクが最低値に設定されていないため、作業者が設定トルクを誤ってしまい、締結用ボルトのトルクが設定トルクの許容値から外れてしまうおそれがあった。その結果、締結用ボルトを再締結する作業が生じていた。しかしながら、本実施形態によれば、出力するトルクを示す目盛り75を有し、目盛り75は、締結用ボルトの設定トルクが最低値に設定される。これにより、作業者が締結用ボルト120を締結する際に、つまみ76を最低値に合わせることで、締結用ボルト120の設定トルクの間違えを抑制することができる。このため、締結用ボルトのトルクが設定トルクの許容値から外れるのを抑制することが可能となる。その結果、締結用ボルトの再締結作業を削減することが可能となる。
【0072】
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。さらに、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 :アタッチメント
2 :本体部
20 :外装部
21 :開口部
22 :拡径部
22 :開口部
25 :長孔
31 :挟持部
33 :長孔
32 :挟持部
34 :長孔
4 :保持機構
41 :保持部材
42 :第1当接板部
43 :第2当接板部
44 :第1繋ぎ板部
45 :第2繋ぎ板部
47 :接合部材
48 :接合部材
5 :嵌合部
51 :嵌合孔
52 :突起部
53 :スリーブ
54 :貫通孔
55 :固定部材
59 :固定部材
7 :トルク管理装置
71 :締結部
74 :制御部
75 :目盛り
79 :装置本体部
91 :H形鋼
92 :フランジ部
98 :吊り下げ装置
99 :足場板
100 :クランプ
110 :クランプ本体部
111 :受け部
112 :対向部
113 :繋ぎ部
120 :締結用ボルト
121 :押圧部