(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035358
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】フォトマスクの製造方法及び回路パターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/60 20120101AFI20220225BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220225BHJP
G03F 1/92 20120101ALI20220225BHJP
G03F 7/24 20060101ALI20220225BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G03F1/60
G03F7/20 501
G03F1/92
G03F7/24
B29C51/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139607
(22)【出願日】2020-08-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】505246848
【氏名又は名称】株式会社豊光社
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】麓 政俊
(72)【発明者】
【氏名】中島 秀之
(72)【発明者】
【氏名】平田 ゆかり
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
4F208
【Fターム(参考)】
2H195BA12
2H195BB05
2H195BB27
2H195BC28
2H197BA11
2H197HA10
4F208AC03
4F208MA01
4F208MB01
4F208MC01
4F208MC02
(57)【要約】
【課題】非平面に精度の高い回路パターンを形成できるフォトマスク、フォトマスクの製造方法及び回路パターンの形成方法を提供する。
【解決手段】フォトマスク20の製造方法は、回路パターンが形成される非平面にフォトリソグラフィにより該回路パターンを形成するためのフォトマスク20の製造方法であって、露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂202を非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、露光用の光を透過する透過特性を有するフィルム204に、回路パターンを描く描画工程と、描画工程にて描画されたフィルム204を成形工程にて成形された樹脂202に貼付する貼付工程と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平面にフォトリソグラフィにより回路パターンを形成するためのフォトマスクであって、
露光用の光を透過する透過特性を有し、前記非平面に対応する面が形成された形成部と、
前記面に設けられ、前記透過特性を有する材料に回路を形成するためのパターンが描かれた回路パターン被描画部と、を備えたフォトマスク。
【請求項2】
請求項1記載のフォトマスクにおいて、
前記回路パターン被描画部が、前記形成部に貼付されているフォトマスク。
【請求項3】
非平面にフォトリソグラフィにより回路パターンを形成するためのフォトマスクの製造方法であって、
露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂を前記非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、
前記透過特性を有するフィルムに、前記回路パターンを描く描画工程と、
前記描画工程にて描画された前記フィルムを前記成形工程にて成形された前記樹脂に貼付する貼付工程と、を含むフォトマスクの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のフォトマスクの製造方法において、
前記描画工程にて、前記回路パターンが、前記非平面を展開して平面に伸ばした形状の範囲内に描かれるフォトマスクの製造方法。
【請求項5】
非平面が形成された金属製の基体に、界面分子結合のための前処理を施す工程と、
前記前処理が施された前記基体の非平面の上に、前記界面分子結合により導体を結合する工程と、
露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂を前記非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、
前記透過特性を有するフィルムに、前記回路パターンを描く描画工程と、
前記描画工程にて描画された前記フィルムを前記成形工程にて成形された前記樹脂に貼付し、フォトマスクを製造する製造工程と、
前記フォトマスクを用い、フォトリソグラフィにより前記非平面の上に回路パターンを形成する工程と、を含む回路パターンの形成方法。
【請求項6】
請求項5記載のフォトマスクの製造方法において、
前記描画工程にて、前記回路パターンが、前記非平面を展開して平面に伸ばした形状の範囲内に描かれるフォトマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク、フォトマスクの製造方法及び回路パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトマスクの製造方法が記載されている。このフォトマスクの製造方法は、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、又はプレス成型により、フォトリソグラフィに使用される露光用光源からの照射光を透過する材料を、非平面に対応する形状の成型部品に成型する工程と、タンポ印刷により、成型部品に回路パターンを形成するための遮光部を印刷する工程と、を含む
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非平面に精度の高い回路パターンを形成できるフォトマスク、フォトマスクの製造方法及び回路パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、非平面にフォトリソグラフィにより回路パターンを形成するためのフォトマスクであって、露光用の光を透過する透過特性を有し、前記非平面に対応する面が形成された形成部と、前記面に設けられ、前記透過特性を有する材料に回路を形成するためのパターンが描かれた回路パターン被描画部と、を備えたフォトマスクである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のフォトマスクにおいて、前記回路パターン被描画部が、前記形成部に貼付されている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、非平面にフォトリソグラフィにより回路パターンを形成するためのフォトマスクの製造方法であって、露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂を前記非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、前記透過特性を有するフィルムに、前記回路パターンを描く描画工程と、前記描画工程にて描画された前記フィルムを前記成形工程にて成形された前記樹脂に貼付する貼付工程と、を含むフォトマスクの製造方法である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載のフォトマスクの製造方法において、前記描画工程にて、前記回路パターンが、前記非平面を展開して平面に伸ばした形状の範囲内に描かれる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、非平面が形成された金属製の基体に、界面分子結合のための前処理を施す工程と、前記前処理が施された前記基体の非平面の上に、前記界面分子結合により導体を結合する工程と、露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂を前記非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、前記透過特性を有するフィルムに、前記回路パターンを描く描画工程と、前記描画工程にて描画された前記フィルムを前記成形工程にて成形された前記樹脂に貼付し、フォトマスクを製造する製造工程と、前記フォトマスクを用い、フォトリソグラフィにより前記非平面の上に回路パターンを形成する工程と、を含む回路パターンの形成方法である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の回路パターンの形成方法において、前記描画工程にて、前記回路パターンが、前記非平面を展開して平面に伸ばした形状の範囲内に描かれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非平面に精度の高い回路パターンを形成できるフォトマスク、フォトマスクの製造方法及び回路パターンの形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るフォトマスクを用いて回路パターンが形成された基体を有する照明装置の外観を示す説明図である。
【
図2】
図1に対応する照明装置の切断面を模式的に示す説明図である。
【
図4】同フォトマスクの製造工程を示すフロー図である。
【
図5】同フォトマスクの製造工程Pa2にて回路パターンが描かれたシートの一部を示す説明図である。
【
図6A】同フォトマスクを用いて回路パターンを形成する工程Pb1における基体の外観図である。
【
図6B】同フォトマスクを用いて回路パターンを形成する工程Pb5における基体の切断面を模式的に示す説明図である。
【
図6C】同フォトマスクを用いて回路パターンを形成する工程Pb7における基体の切断面を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
本発明の一実施の形態に係るフォトマスクは、フォトフォトリソグラフィにより、非平面上に回路パターンを形成できる。
【0014】
形成された回路パターンには、電子部品が実装され、例えば
図1に示すような照明装置10が構成される。この照明装置10は、画像検査装置に設けられたカメラの照明として使用される。
照明装置10は、
図1及び
図2に示すように、基体12、回路パターンを形成する銅箔(導体の一例)14、及び複数のLED16を備えている。
基体12は、放熱性に優れる金属製であり、その形状はリング状である。基体12の一方の側の面(
図1において上側の面)は、LED16等の電子部品の実装面となっており、回路パターンが形成される。この実装面の表面形状は、円錐台の外周面に倣う曲面(非平面形状の一例)となっており、
図1において、外周側から内周側に向かって高さ位置が低くなるように傾斜している。付言すると、この表面形状により、照明装置としての配光特性が設定される。
なお、基体12の材質は、必ずしも金属に限定されるものではない。また、基体12の形状も限定されるものではなく任意でよい。
【0015】
銅箔14は、LED16を駆動するための回路パターンを形成している。銅箔14は、界面分子結合(IMB)により、基体12の実装面の表面に結合されている。
ここで、界面分子結合(IMB)とは、基材同士を界面結合を介して化学反応により化学結合することをいう。
【0016】
複数のLED16は、それぞれ、表面実装部品であり、回路パターンを構成するパッドにはんだ付けされる。各LED16は、直列に接続され、電流が流れることにより発光する。
【0017】
次に、基体12の実装面に回路パターンを形成するためのフォトマスク20について説明する。
フォトマスク20は、
図3に示すように、樹脂202及びフィルム204を備えている。
樹脂(形成部の一例)202は、UVを透過する透過特性を有し、基体12の実装面に対応する曲面が形成されている。
なお、樹脂202は、露光用の光を透過する透過特性を有する材料であれば任意でよい。また、樹脂202は、熱可塑性を有し、真空成形により基体12の実装面に対応する曲面が形成されることが好ましい。
樹脂202の具体例として、PVC(塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)及びPET(ポリエチレンテレフタレート)が挙げられる。
【0018】
フィルム(回路パターン被描画部の一例)204は、UVを透過する透過特性を有し、一方の側の面に、回路を形成するための回路パターン(
図3に薄墨にて示した部分参照)が描かれ、他方の側の面が樹脂202の曲面に貼付されている。
フィルム204に描かれる回路パターンは、ネガ型に対応した回路パターンであっても良いし、ポジ型に対応した回路パターンであってもよい。ただし、回路パターンは、露光用の光を透過しない透過特性を有するインクにより描かれている。
なお、フィルム204も樹脂202と同様に、露光用の光を透過する透過特性を有する材料であれば任意でよい。
フィルム204の具体例として、PVC(塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)及びPET(ポリエチレンテレフタレート)が挙げられる。
【0019】
次に、フォトマスク20の製造方法について説明する。フォトマスク20は、
図4に
示すように、工程Pa1~Pa4に従って製造される。ただし、可能な場合には、下記工程Pa1~Pa4は、順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよい。
【0020】
(成形工程Pa1)
本成形工程は、樹脂202を実装面に対応する曲面形状に成形する工程である。
基体12の実装面に対応する木型を製作し、この木型を用いて真空成形により樹脂202を成形することができる。
ただし、樹脂202の成形方法は、真空成形に限定されるものではない。
【0021】
(描画工程Pa2)
本描画工程は、
図5に示すフィルム204に回路パターンを描く工程である。
ここで、樹脂202に貼付されるフィルム204は、次工程にてシート206を切断することによって形成される。このシート206は、例えば矩形状であり、描画面と反対の側が、粘着剤が塗布された貼付面となっている。なお、粘着剤も露光用の光を透過する透過特性を有している。
回路パターンは、実装面に対応する曲面を展開して平面に伸ばした展開形状の範囲内に描かれる。
従って、
図5に示すように、フィルム204が形成されるシート206には、円錐台の外周面を展開して平面に伸ばした形状、すなわち円環の一部分を切り取ったような展開形状の範囲内に回路パターンが描かれる。
具体的には、プリンタを用いて回路パターンを印刷することで、フィルム204に回路パターンを描くことができる。
【0022】
(切断工程Pa3)
本切断工程は、シート206を切断する工程である。
シート206を回路パターンが描かれた部分を含む展開形状に切断することによって、フィルム204が形成される。
【0023】
(貼付工程Pa4)
本貼付工程は、展開形状に切断されたフィルム204を樹脂202の実装面に対応する曲面形状に貼付する工程である。
前切断工程にて切断されたフィルム204は、実装面に対応する曲面を展開して伸ばした展開形状となっているので、曲面形状に合うように貼付される。
【0024】
このように、回路パターンが描かれた展開形状のフィルム204を貼付するため、例えばタンポ印刷により曲面を有する透明な樹脂に回路パターンを直接印刷する場合と比較して、精度の高いフォトマスク20が製造される。
【0025】
次に、このフォトマスク20を用いた回路パターンの形成方法について説明する。
図1に示した照明装置10のように、放熱性の高い金属製の基体12に回路パターンを形成するためには、界面分子結合による結合技術を適用することが好適である。
回路パターンは、以下に示す工程Sb1~Sb8に従って形成される。
【0026】
(工程Pb1)
図6Aに示す基体12の表面を洗浄する。
(工程Pb2)
基体12の回路パターンが形成される回路パターン形成面(曲面)に、界面分子結合のための前処理を施す。
(工程Pb3)
次工程にて無電解銅めっきを施す面(回路パターン形成面)以外の部分を、テープ等の保護材(めっきマスク)で覆う。
【0027】
(工程Pb4)
無電解銅めっきを施す。保護材で覆われていない回路パターン形成面及び保護材の表面が銅めっきされる。銅めっきの厚みは、例えば、0.1~0.2μmである。
(工程Pb5)
保護材を取り除くと、
図6Bに示すように、回路パターン形成面のみに銅皮膜14aが形成される。この銅皮膜14aと基体12とは、界面分子結合により結合されている。
(工程Pb6)
次工程にて電解銅めっきを施す面(銅皮膜14aの表面)以外の部分を図示しないテープ等の保護材(めっきマスク)で覆い、マスキングする。
【0028】
(工程Pb7)
例えばセミアディティブ法により回路パターンを形成する。具体的には、以下のように回路パターンを形成する。
回路パターン形成面(銅皮膜14aの表面)の上に、液状レジストを塗布する。液状レジストは、任意の方法で塗布される。例えば、ハケ、スキージ、又はスプレーを用いて塗布されてもよいし、インクジェット方式により、塗布(印刷)されてもよい。
なお、液状レジストに代えて、ドライフィルムレジストを用いてもよい。
【0029】
液状レジストを塗布した後、硬化したレジストの上に、前述の製造方法(工程Pa1~Pa4)に従って製造されたフォトマスク20(
図3参照)を載せる。
【0030】
次に、フォトマスク20が載った基体12に対して露光用光源(紫外線源)から紫外線を照射して露光する。
【0031】
次に、現像処理を行うと、レジストの露光された部分が除去される。換言すると、回路パターン以外の部分にレジストが残る。
【0032】
次に、電解銅めっきを施して、銅皮膜14aの上に回路パターンを形成する。電解銅めっきにより形成される銅層の厚みは、例えば35μmである。ただし、銅層を、35μm以上の厚みとなるように形成し、より大きい電流を流すことも可能である。
【0033】
最後に、銅皮膜14aの回路配線として不要な部分を除去する。その結果、銅皮膜14aと銅層14bとから構成された銅箔14によって、基体12の上に回路パターンが形成される(
図6C参照)。
回路パターンを形成した後、保護材を取り除く。
【0034】
(工程Pb8)
工程S7にて形成された回路パターンのパッドに、LED16や抵抗(不図示)をはんだ付けする。その後、LED16が表面実装された基体12を、図示しない筐体に収めることによって、照明装置10が製造される。
【0035】
このように、回路パターンの形成方法は、基体12の曲面に対応した形状のフォトマスク20(
図3参照)を使用し、フォトリソグラフィにより精度の高い回路パターンを形成できる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
基体12は、携帯電話機やスマートフォンの筐体であってもよい。
【0037】
基体12に形成された非平面は、曲面に限定されず、面と面が交わる角部であってもよい。
【0038】
前述の実施の形態において、導体は、銅箔に限定されず、任意の金属箔であってもよい。
【0039】
基体12に回路パターンを形成する方法は、セミアディティブ法に代えて、フルアディティブ法その他のアディティブ法であってもよい。更に、サブトラクティブ法により回路パターンが形成されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 照明装置
12 基体
14 銅箔
14a 銅皮膜
14b 銅層
16 LED
20 フォトマスク
202 樹脂
204 フィルム
206 シート
【手続補正書】
【提出日】2021-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平面にフォトリソグラフィにより回路パターンを形成するためのフォトマスクの製造方法であって、
露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂を前記非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、
前記透過特性を有するフィルムに、前記回路パターンを描く描画工程と、
前記描画工程にて描画された前記フィルムを前記成形工程にて成形された前記樹脂に貼付する貼付工程と、を含むフォトマスクの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のフォトマスクの製造方法において、
前記描画工程にて、前記回路パターンが、前記非平面を展開して平面に伸ばした形状の範囲内に描かれるフォトマスクの製造方法。
【請求項3】
非平面が形成された金属製の基体に、界面分子結合のための前処理を施す工程と、
前記前処理が施された前記基体の非平面の上に、前記界面分子結合により導体を結合する工程と、
露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂を前記非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、
前記透過特性を有するフィルムに、回路パターンを描く描画工程と、
前記描画工程にて描画された前記フィルムを前記成形工程にて成形された前記樹脂に貼付し、フォトマスクを製造する製造工程と、
前記フォトマスクを用い、フォトリソグラフィにより前記非平面の上に回路パターンを形成する工程と、を含む回路パターンの形成方法。
【請求項4】
請求項3記載の回路パターンの形成方法において、
前記描画工程にて、前記回路パターンが、前記非平面を展開して平面に伸ばした形状の範囲内に描かれる回路パターンの形成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスクの製造方法及び回路パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトマスクの製造方法が記載されている。このフォトマスクの製造方法は、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、又はプレス成型により、フォトリソグラフィに使用される露光用光源からの照射光を透過する材料を、非平面に対応する形状の成型部品に成型する工程と、タンポ印刷により、成型部品に回路パターンを形成するための遮光部を印刷する工程と、を含む
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非平面に精度の高い回路パターンを形成できるフォトマスクの製造方法及び回路パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
【0006】
【0007】
請求項1に記載の発明は、非平面にフォトリソグラフィにより回路パターンを形成するためのフォトマスクの製造方法であって、露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂を前記非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、前記透過特性を有するフィルムに、前記回路パターンを描く描画工程と、前記描画工程にて描画された前記フィルムを前記成形工程にて成形された前記樹脂に貼付する貼付工程と、を含むフォトマスクの製造方法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のフォトマスクの製造方法において、前記描画工程にて、前記回路パターンが、前記非平面を展開して平面に伸ばした形状の範囲内に描かれる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、非平面が形成された金属製の基体に、界面分子結合のための前処理を施す工程と、前記前処理が施された前記基体の非平面の上に、前記界面分子結合により導体を結合する工程と、露光用の光を透過する透過特性を有する樹脂を前記非平面に対応する形状となるように成形する成形工程と、前記透過特性を有するフィルムに、回路パターンを描く描画工程と、前記描画工程にて描画された前記フィルムを前記成形工程にて成形された前記樹脂に貼付し、フォトマスクを製造する製造工程と、前記フォトマスクを用い、フォトリソグラフィにより前記非平面の上に回路パターンを形成する工程と、を含む回路パターンの形成方法である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の回路パターンの形成方法において、前記描画工程にて、前記回路パターンが、前記非平面を展開して平面に伸ばした形状の範囲内に描かれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非平面に精度の高い回路パターンを形成できるフォトマスクの製造方法及び回路パターンの形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るフォトマスクを用いて回路パターンが形成された基体を有する照明装置の外観を示す説明図である。
【
図2】
図1に対応する照明装置の切断面を模式的に示す説明図である。
【
図4】同フォトマスクの製造工程を示すフロー図である。
【
図5】同フォトマスクの製造工程Pa2にて回路パターンが描かれたシートの一部を示す説明図である。
【
図6A】同フォトマスクを用いて回路パターンを形成する工程Pb1における基体の外観図である。
【
図6B】同フォトマスクを用いて回路パターンを形成する工程Pb5における基体の切断面を模式的に示す説明図である。
【
図6C】同フォトマスクを用いて回路パターンを形成する工程Pb7における基体の切断面を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
本発明の一実施の形態に係るフォトマスクは、フォトフォトリソグラフィにより、非平面上に回路パターンを形成できる。
【0014】
形成された回路パターンには、電子部品が実装され、例えば
図1に示すような照明装置10が構成される。この照明装置10は、画像検査装置に設けられたカメラの照明として使用される。
照明装置10は、
図1及び
図2に示すように、基体12、回路パターンを形成する銅箔(導体の一例)14、及び複数のLED16を備えている。
基体12は、放熱性に優れる金属製であり、その形状はリング状である。基体12の一方の側の面(
図1において上側の面)は、LED16等の電子部品の実装面となっており、回路パターンが形成される。この実装面の表面形状は、円錐台の外周面に倣う曲面(非平面形状の一例)となっており、
図1において、外周側から内周側に向かって高さ位置が低くなるように傾斜している。付言すると、この表面形状により、照明装置としての配光特性が設定される。
なお、基体12の材質は、必ずしも金属に限定されるものではない。また、基体12の形状も限定されるものではなく任意でよい。
【0015】
銅箔14は、LED16を駆動するための回路パターンを形成している。銅箔14は、界面分子結合(IMB)により、基体12の実装面の表面に結合されている。
ここで、界面分子結合(IMB)とは、基材同士を界面結合を介して化学反応により化学結合することをいう。
【0016】
複数のLED16は、それぞれ、表面実装部品であり、回路パターンを構成するパッドにはんだ付けされる。各LED16は、直列に接続され、電流が流れることにより発光する。
【0017】
次に、基体12の実装面に回路パターンを形成するためのフォトマスク20について説明する。
フォトマスク20は、
図3に示すように、樹脂202及びフィルム204を備えている。
樹脂(形成部の一例)202は、UVを透過する透過特性を有し、基体12の実装面に対応する曲面が形成されている。
なお、樹脂202は、露光用の光を透過する透過特性を有する材料であれば任意でよい。また、樹脂202は、熱可塑性を有し、真空成形により基体12の実装面に対応する曲面が形成されることが好ましい。
樹脂202の具体例として、PVC(塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)及びPET(ポリエチレンテレフタレート)が挙げられる。
【0018】
フィルム(回路パターン被描画部の一例)204は、UVを透過する透過特性を有し、一方の側の面に、回路を形成するための回路パターン(
図3に薄墨にて示した部分参照)が描かれ、他方の側の面が樹脂202の曲面に貼付されている。
フィルム204に描かれる回路パターンは、ネガ型に対応した回路パターンであっても良いし、ポジ型に対応した回路パターンであってもよい。ただし、回路パターンは、露光用の光を透過しない透過特性を有するインクにより描かれている。
なお、フィルム204も樹脂202と同様に、露光用の光を透過する透過特性を有する材料であれば任意でよい。
フィルム204の具体例として、PVC(塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)及びPET(ポリエチレンテレフタレート)が挙げられる。
【0019】
次に、フォトマスク20の製造方法について説明する。フォトマスク20は、
図4に示すように、工程Pa1~Pa4に従って製造される。ただし、可能な場合には、下記工程Pa1~Pa4は、順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよい。
【0020】
(成形工程Pa1)
本成形工程は、樹脂202を実装面に対応する曲面形状に成形する工程である。
基体12の実装面に対応する木型を製作し、この木型を用いて真空成形により樹脂202を成形することができる。
ただし、樹脂202の成形方法は、真空成形に限定されるものではない。
【0021】
(描画工程Pa2)
本描画工程は、
図5に示すフィルム204に回路パターンを描く工程である。
ここで、樹脂202に貼付されるフィルム204は、次工程にてシート206を切断することによって形成される。このシート206は、例えば矩形状であり、描画面と反対の側が、粘着剤が塗布された貼付面となっている。なお、粘着剤も露光用の光を透過する透過特性を有している。
回路パターンは、実装面に対応する曲面を展開して平面に伸ばした展開形状の範囲内に描かれる。
従って、
図5に示すように、フィルム204が形成されるシート206には、円錐台の外周面を展開して平面に伸ばした形状、すなわち円環の一部分を切り取ったような展開形状の範囲内に回路パターンが描かれる。
具体的には、プリンタを用いて回路パターンを印刷することで、フィルム204に回路パターンを描くことができる。
【0022】
(切断工程Pa3)
本切断工程は、シート206を切断する工程である。
シート206を回路パターンが描かれた部分を含む展開形状に切断することによって、フィルム204が形成される。
【0023】
(貼付工程Pa4)
本貼付工程は、展開形状に切断されたフィルム204を樹脂202の実装面に対応する曲面形状に貼付する工程である。
前切断工程にて切断されたフィルム204は、実装面に対応する曲面を展開して伸ばした展開形状となっているので、曲面形状に合うように貼付される。
【0024】
このように、回路パターンが描かれた展開形状のフィルム204を貼付するため、例えばタンポ印刷により曲面を有する透明な樹脂に回路パターンを直接印刷する場合と比較して、精度の高いフォトマスク20が製造される。
【0025】
次に、このフォトマスク20を用いた回路パターンの形成方法について説明する。
図1に示した照明装置10のように、放熱性の高い金属製の基体12に回路パターンを形成するためには、界面分子結合による結合技術を適用することが好適である。
回路パターンは、以下に示す工程Sb1~Sb8に従って形成される。
【0026】
(工程Pb1)
図6Aに示す基体12の表面を洗浄する。
(工程Pb2)
基体12の回路パターンが形成される回路パターン形成面(曲面)に、界面分子結合のための前処理を施す。
(工程Pb3)
次工程にて無電解銅めっきを施す面(回路パターン形成面)以外の部分を、テープ等の保護材(めっきマスク)で覆う。
【0027】
(工程Pb4)
無電解銅めっきを施す。保護材で覆われていない回路パターン形成面及び保護材の表面が銅めっきされる。銅めっきの厚みは、例えば、0.1~0.2μmである。
(工程Pb5)
保護材を取り除くと、
図6Bに示すように、回路パターン形成面のみに銅皮膜14aが形成される。この銅皮膜14aと基体12とは、界面分子結合により結合されている。
(工程Pb6)
次工程にて電解銅めっきを施す面(銅皮膜14aの表面)以外の部分を図示しないテープ等の保護材(めっきマスク)で覆い、マスキングする。
【0028】
(工程Pb7)
例えばセミアディティブ法により回路パターンを形成する。具体的には、以下のように回路パターンを形成する。
回路パターン形成面(銅皮膜14aの表面)の上に、液状レジストを塗布する。液状レジストは、任意の方法で塗布される。例えば、ハケ、スキージ、又はスプレーを用いて塗布されてもよいし、インクジェット方式により、塗布(印刷)されてもよい。
なお、液状レジストに代えて、ドライフィルムレジストを用いてもよい。
【0029】
液状レジストを塗布した後、硬化したレジストの上に、前述の製造方法(工程Pa1~Pa4)に従って製造されたフォトマスク20(
図3参照)を載せる。
【0030】
次に、フォトマスク20が載った基体12に対して露光用光源(紫外線源)から紫外線を照射して露光する。
【0031】
次に、現像処理を行うと、レジストの露光された部分が除去される。換言すると、回路パターン以外の部分にレジストが残る。
【0032】
次に、電解銅めっきを施して、銅皮膜14aの上に回路パターンを形成する。電解銅めっきにより形成される銅層の厚みは、例えば35μmである。ただし、銅層を、35μm以上の厚みとなるように形成し、より大きい電流を流すことも可能である。
【0033】
最後に、銅皮膜14aの回路配線として不要な部分を除去する。その結果、銅皮膜14aと銅層14bとから構成された銅箔14によって、基体12の上に回路パターンが形成される(
図6C参照)。
回路パターンを形成した後、保護材を取り除く。
【0034】
(工程Pb8)
工程S7にて形成された回路パターンのパッドに、LED16や抵抗(不図示)をはんだ付けする。その後、LED16が表面実装された基体12を、図示しない筐体に収めることによって、照明装置10が製造される。
【0035】
このように、回路パターンの形成方法は、基体12の曲面に対応した形状のフォトマスク20(
図3参照)を使用し、フォトリソグラフィにより精度の高い回路パターンを形成できる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
基体12は、携帯電話機やスマートフォンの筐体であってもよい。
【0037】
基体12に形成された非平面は、曲面に限定されず、面と面が交わる角部であってもよい。
【0038】
前述の実施の形態において、導体は、銅箔に限定されず、任意の金属箔であってもよい。
【0039】
基体12に回路パターンを形成する方法は、セミアディティブ法に代えて、フルアディティブ法その他のアディティブ法であってもよい。更に、サブトラクティブ法により回路パターンが形成されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 照明装置
12 基体
14 銅箔
14a 銅皮膜
14b 銅層
16 LED
20 フォトマスク
202 樹脂
204 フィルム
206 シート