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  • 特開-乳酸菌及び納豆菌を含む組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035360
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】乳酸菌及び納豆菌を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20220225BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20220225BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20220225BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220225BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220225BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20220225BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20220225BHJP
【FI】
A23L33/135
A61K35/747
A61K35/742
A61P43/00 107
A61P43/00 111
A61P37/04
A23L2/00 F
A23L2/38 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139609
(22)【出願日】2020-08-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】501337683
【氏名又は名称】株式会社美山
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 涼
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正宏
(72)【発明者】
【氏名】後藤 義幸
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD86
4B018MD88
4B018ME14
4B117LC04
4B117LK21
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC64
4C087BC65
4C087MA02
4C087MA52
4C087NA05
4C087ZB09
4C087ZB22
4C087ZC41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】IL-12の産生を促進する作用を有し、かつ日常的に摂取可能な飲食品等に簡便に利用できるIL-12産生促進用組成物の提供。
【解決手段】ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)及び納豆菌(Bacillus subtilisvar. natto)を含む、組成物。ラクトバチルス・ブレビスと、納豆菌との含有比率が菌体数比(ラクトバチルス・ブレビス:納豆菌)で1:10~10:1である、該組成物。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を含む、組成物。
【請求項2】
前記ラクトバチルス・ブレビスがラクトバチルス・ブレビス ミヤビスLB27株である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ラクトバチルス・ブレビスと、前記納豆菌との含有比率が菌体数比(ラクトバチルス・ブレビス:納豆菌)で1:10~10:1である、請求項1~2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物がインターロイキン12産生促進用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物がナチュラルキラー細胞増殖促進用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物がT細胞増殖促進用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が飲食品用である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌及び納豆菌を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌、ウイルス等の微生物の感染、腫瘍、細胞傷害等に対して生体は免疫反応によって対応するが、その免疫反応は、免疫担当細胞間の直接的又は間接的な相互作用により調節されている。そして、免疫応答の調節にはリンパ球、マクロファージ等が産生するインターロイキン、腫瘍壊死因子α等のサイトカインが重要な役割を果たしている。
【0003】
インターロイキンに属するサイトカインのひとつであるインターロイキン12(以下、「IL-12」ともいう。)は、T細胞やナチュラルキラー細胞に対して細胞増殖の促進、細胞傷害活性誘導、IFN-γ産生誘導、LAK細胞誘導の作用を有することが確認されている。また、IL-12は、ナイーブヘルパーT細胞(Th0細胞)を、Th1細胞に分化させTh1/Th2バランスを細胞性免疫のTh1側にシフトさせる免疫調節機能を有することが確認されている。
上記の作用・機能を有することにより、IL-12は感染症、腫瘍、アレルギー等、多くの疾患の治療に利用可能になるものと期待されている。
【0004】
プロバイオティクスによりIL-12の産生を誘導する方法としては、ラクトバチルス・アシドフィルス等の乳酸菌の菌体を用いることが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
ここで、乳酸菌は、生理活性を有する機能性成分として注目されている。乳酸菌が有する生理活性としては、整腸作用、抗アレルギー作用、免疫賦活作用、コレステロール低減作用、脂質改善作用、糖代謝改善作用、血圧降下作用、美肌作用、安眠作用等が報告されている。このような生理活性を期待して、乳酸菌を簡便に日常的に摂取するために、乳酸菌を含有する様々な食品が市販されている。乳酸菌を含有する食品の代表例としては、例えばキムチやヨーグルト等の発酵食品が挙げられる。
【0006】
また、大豆を納豆菌で発酵させた納豆は、日本古来の発酵食品であり、大豆タンパク質を豊富に含み栄養価が高い。また、栄養価に加えて、プロバイオティクス作用、抗菌作用、機能性成分等による各種健康増進効果があることが報告されており、益々需要が期待されている食品である。
【0007】
特許文献2には、納豆とそれに添付されるタレにエンテロコッカス・フェカリス(乳酸菌)が含有された納豆製品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-139674号公報
【特許文献2】特開2004-236599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の方法によっては、IL-12の産生を促進する作用が十分とはいえない。また、特許文献2に記載の納豆製品では、エンテロコッカス・フェカリスと納豆菌とを混合して培養することにより、IL-12誘導能が失活するため、流通、販売、飲食等の場面で制限がある。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、IL-12の産生を促進する作用を有し、かつ日常的に摂取可能な飲食品等に簡便に利用できるIL-12産生促進用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、驚くべきことに、様々な菌の組み合わせの中から、特に、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)と、納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)との組み合わせは、乳酸菌単体及び納豆菌単体よりもIL-12の産生を促進することができることを見出した。本発明はこれらの知見及び成功例に基づいて完成するに至った発明である。
【0012】
したがって、本発明は以下に関する。
[1]ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を含む、組成物。
[2] 前記ラクトバチルス・ブレビスがラクトバチルス・ブレビス ミヤビスLB27株である[1]に記載の組成物。
[3] 前記ラクトバチルス・ブレビスと、納豆菌との含有比率が菌体数比(ラクトバチルス・ブレビス:納豆菌)で1:10~10:1である、[1]~[2]のいずれか1項に記載の組成物。
[4]前記組成物がインターロイキン12産生促進用である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[5]前記組成物がナチュラルキラー細胞増殖促進用である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[6]前記組成物がT細胞増殖促進用である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[7]前記組成物が飲食品用である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組成物は、IL-12の産生を促進する作用を有し、かつ日常的に摂取可能な飲食品等に簡便に利用できる。また、IL-12の産生を促進する作用に基づき、ナチュラルキラー細胞増殖促進作用又はT細胞増殖促進作用を有する。
【0014】
そして、上記作用に関連して、抗ウイルス効果、抗アレルギー効果、抗感染症効果、抗腫瘍効果及び抗癌効果などを奏することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、菌体の顕微鏡観察画像を示す図である。
図2図2は、IL-12の産生促進試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一態様である組成物の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
【0017】
〔組成物〕
本発明の一態様の組成物は、ラクトバチルス・ブレビス及び納豆菌を含む。
【0018】
本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、当業者により通常用いられている意味で使用され、不当に限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない。
例えば、「組成物」は、通常用いられている意味のものとして特に限定されないが、例えば、2種以上の物質が組み合わさってなるものであり、具体的には、有効成分と別の物質とが組み合わさってなるもの、有効成分の2種以上が組み合わさってなるもの等が挙げられ、より具体的には、有効成分の1種以上と固形担体又は溶媒の1種以上とが組み合わさってなる固形組成物及び液性組成物等が挙げられる。
【0019】
本明細書における「IL-12産生促進作用」とは、例えば、IL-12遺伝子の発現量を促進すること及びIL-12タンパク質の翻訳量を増大することのうち少なくともいずれか1つの作用をいう。
「IL-12産生促進作用」の評価方法は、特に限定されないが、例えば、後述する実施例に記載したように、腸管上皮細胞にラクトバチルス・ブレビス及び納豆菌を添加して24時間共培養し、次いで培養後のmRNAの発現量を定量PCRで測定すること等により評価することができる。
「IL-12産生促進作用」の程度は、特に限定されないが、例えば、後述する実施例に記載したように、菌単体を含む組成物よりも多くなる程度等が挙げられる。
【0020】
本発明におけるラクトバシルス・ブレビスと、納豆菌との組み合わせが、IL-12の産生を促進する理由については定かではないが、後述する実施例に記載があるとおり、ラクトバチルス・ブレビス及び納豆菌の組み合わせの組成物を添加して細胞を培養した場合は、それぞれの菌単体のみを添加した場合よりも、インターロイキン12の産生が促進する結果が得られたことから、本発明のラクトバチルス・ブレビスと納豆菌との組み合わせは、互いのIL-12の産生作用を阻害・抑制することがない組み合わせであり、IL-12の産生を惹起する作用機序が異なるものであると推測される。
【0021】
〔ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)〕
ラクトバチルス・ブレビスを入手する方法としては、特に限定されないが、例えば、市販や寄託されている乳酸菌(例えば、ラクトバチルス・ブレビス ミヤビスLB27株)を利用する方法、キムチ等の漬物、乳酸菌飲料等の乳酸菌含有物から単離株として分離して利用する方法等が挙げられる。
【0022】
ラクトバチルス・ブレビスを分離する方法は、特に限定されないが、例えば、常法に従って、乳酸菌含有物の抽出液を適宜希釈して、MRS培地やM17培地等の公知の乳酸菌培養用培地を用いて、15℃~40℃程度で培養することを含む方法等が挙げられる。
【0023】
ラクトバチルス・ブレビスの形態は、特に限定されないが、生菌体又は加熱菌体(死菌体)のいずれでもよく、又凍結乾燥したものであってもよく、或いはこれらを含む培養物として利用することもできる。保存性の観点から加熱菌体(死菌体)であることが好ましい。
【0024】
ラクトバチルス・ブレビスの菌体は、例えば、ラクトバチルス・ブレビスの培養物を遠心分離等の通常知られている固液分離手段を用いて培地を除去することにより得られる菌体等が挙げられる。
【0025】
ラクトバチルス・ブレビスの培養物は、例えば、ラクトバチルス・ブレビスを培養して得た培養液そのものが挙げられる。
【0026】
ラクトバチルス・ブレビスの培養物又は菌体を得る具体例としては、ラクトバチルス・ブレビスをMRS培地に植菌し、15℃~40℃ の範囲にて8~72時間培養することによりラクトバチルス・ブレビスの培養物を得ることができる。培養は振盪培養、撹拌培養又は静置培養で行うことができる。次いで得られた培養物から遠心濃縮機によって培地を除去して菌体を回収し、得られた菌体をPBS(リン酸緩衝生理食塩水:Phosphate buffered saline)といった緩衝液などで洗浄することにより、ラクトバチルス・ブレビスの菌体を得ることが挙げられる。
【0027】
ラクトバチルス・ブレビスは、1種単独で含有されていてもよいし、2種以上組み合わせて含有されていてもよい。
【0028】
〔納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)〕
納豆菌を入手する方法としては、特に限定されないが、例えば、市販や寄託されている納豆菌(例えば、納豆菌 宮城野株、納豆菌 成瀬株、納豆菌 高橋株等)を利用する方法、納豆等の納豆菌含有物から単離株として分離して利用する方法等が挙げられる。
【0029】
納豆菌を分離する方法は、特に限定されないが、例えば、常法に従って、納豆菌含有物の抽出液を適宜希釈して、トリプトソーヤブイヨン(日水製薬株式会社)やLB培地等の公知の納豆菌培養用培地を用いて、30℃~50℃程度で培養することを含む方法等が挙げられる。
【0030】
納豆菌の形態は、特に限定されないが、生菌体又は加熱菌体(死菌体)のいずれでもよく、又凍結乾燥したものであってもよく、或いはこれらを含む培養物として利用することもできる。
【0031】
納豆菌の菌体は、例えば、納豆菌の培養物を遠心分離等の通常知られている固液分離手段を用いて培地を除去することにより得られる菌体等が挙げられる。
【0032】
納豆菌の培養物は、例えば、納豆菌を培養して得た培養液そのものが挙げられる。
【0033】
納豆菌の培養物又は菌体を得る具体例としては、納豆菌をトリプトソーヤブイヨン培地に植菌し、30℃~50℃ の範囲にて12~72時間培養することにより培養物を得ることができる。培養は振盪培養、撹拌培養又は静置培養で行うことができる。次いで得られた培養物から遠心濃縮機によって培地を除去して菌体を回収し、得られた菌体をPBSといった緩衝液などで洗浄することにより、納豆菌の菌体を得ることが挙げられる。
【0034】
納豆菌は、1種単独で含有されていてもよいし、2種以上組み合わせて含有されていてもよい。
【0035】
本発明の一態様の組成物において、ラクトバチルス・ブレビスと、納豆菌との含有比率は、期待する嗜好性や機能性が認められる程度の量であれば特に限定されないが、例えば、各菌の菌体数比(ラクトバチルス・ブレビス:納豆菌)で、1:10~10:1が好ましい。
【0036】
また、本発明の一態様の組成物は、インターロイキン12の産生促進作用を有することからインターロイキン12産生促進用組成物である。また、T細胞及びナチュラルキラー細胞は、インターロイキン12によって細胞増殖が促進する。したがって、本発明の組成物は、インターロイキン12の産生促進作用に基づきT細胞増殖促進作用及びナチュラルキラー細胞増殖促進作用を有することから、本発明の一態様の組成物は、T細胞増殖促進作用組成物及びナチュラルキラー細胞増殖促進作用組成物である。
【0037】
本発明の一態様の組成物は、その摂取方法については特に限定されないが、例えば、経口的又は非経口的に適用される。
非経口的な適用としては、皮内、皮下、静脈内、筋肉内投与等による注射及び注入;経皮;鼻、咽頭等の粘膜からの吸入等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の一態様の組成物の摂取個体は、特に限定されないが、例えば、動物、中でも哺乳類が挙げられ、哺乳類としてはヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等が挙げられ、鳥類ではニワトリ、インコ等があげられ、これらの中でもヒトであることが好ましい。
【0039】
本発明の一態様の組成物は、ラクトバチルス・ブレビス及び納豆菌に追加して、本発明の目的を達成し得る限り、その他の成分を含有することができる。その他の成分の含有量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されず、適宜設定される。
【0040】
他の成分としては、例えば、糖質甘味料、安定化剤、乳化剤、澱粉、澱粉加工物、澱粉分解物、食塩、着香料、着色料、酸味料、風味原料、栄養素、果汁、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、香油、保存剤、緩衝剤等の通常の食品加工や医薬品加工に使用される添加物、動植物性食材、加工食品等を挙げることができる。他の成分の使用量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されず、適宜設定される。
【0041】
本発明の一態様の組成物は、通常用いられる形態であれば特に限定されないが、例えば、固形状、液状、ゲル状、懸濁液状、クリーム状、シート状、スティック状、粉状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、ペースト状、カプセル状、カプレット状等の各形態が採用される。
【0042】
本発明の一態様の組成物が飲食品用組成物である場合は、あらゆる飲食品の形態をとり得るが、例えば、ヨーグルトやチーズ等の乳製品、キムチ等の漬物、納豆等の大豆製品、飲料、調味料等が挙げられる。
【0043】
本発明の一態様の組成物が飲食品用組成物である場合の具体的な形態としては、例えば、ラクトバチルス・ブレビスを含むキムチと、納豆菌を含む納豆とを混合した形態、納豆菌を含む納豆と、当該納豆に添付されるタレにラクトバチルス・ブレビスが含有されたものとからなる形態等が挙げられる。このように、本発明の一態様の組成物は、キムチや納豆に各菌を含有させることで、IL-12産生促進作用を確保しながら、嗜好性を阻害することなく日常的に摂取している飲食品に簡便に適用することができる。
【0044】
本発明の組成物の摂取量は特に限定されず、摂取者の体格や組成物の形態に合わせて適宜設定することができ、例えば、菌体数で1食分あたり100億個以上、好ましくは250億個以上となるように摂取することができる。
【0045】
飲食品用組成物の具体的な一態様は、例えば、生体に対して一定の機能性を有する飲食品である機能性飲食品である。機能性飲食品は、例えば、特定保健用飲食品、機能性表示飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容飲食品等のいわゆる健康飲食品に加えて、乳児用飲食品、妊産婦用飲食品、高齢者用飲食品等の特定者用飲食品を包含する。さらに機能性飲食品は、コーデックス(FAO/WHO合同食品規格委員会)の食品規格に基づく健康強調表示(Health claim)が適用される健康飲食品を包含する。
【0046】
〔製造方法〕
本発明の別の一態様は、本発明の一態様の組成物の製造方法である。本発明の一態様の製造方法は、ラクトバチルス・ブレビスと、納豆菌とを混合することにより、IL-12産生促進用組成物を得る工程を含む。IL-12産生促進用組成物の原料としては、上記した本発明の一態様のIL-12産生促進用組成物の具体例や成分を特に限定せずに挙げることができる。
【0047】
本発明の一態様の製造方法では、本発明の目的を達成し得る限り、上記した工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。
【0048】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例0049】
[例1.乳酸菌と納豆菌との組み合わせによるインターロイキン12の産生促進試験]
乳酸菌としてラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・プランタラム、リューコノストック・シトレウムと納豆菌とを使用し、インターロイキン12産生促進試験を実施した。
【0050】
(1)菌体及び細胞
乳酸菌としてラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis) ミヤビスLB27株、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)及びリューコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)を使用した。本出願人は、該乳酸菌株を下記の条件で寄託した。
【0051】
〔ラクトバチルス・ブレビス〕
(i) 寄託機関名: 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センター
(ii) 連絡先: 住所 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8
電話番号 0438-20-5580
(iii) 受託番号:NITE P-03237
(iv) 識別の表示:LB
(v) 通知年月日:2020年7月15日
(vi) 通知番号:2020-0218

〔ラクトバチルス・プランタラム〕
(i) 寄託機関名: 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センター
(ii) 連絡先: 住所 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8
電話番号 0438-20-5580
(iii) 受託番号:NITE P-03238
(iv) 識別の表示:LP
(v) 通知年月日:2020年7月15日
(vi) 通知番号:2020-0219

〔リューコノストック・シトレウム〕
(i) 寄託機関名: 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センター
(ii) 連絡先: 住所 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8
電話番号 0438-20-5580
(iii) 受託番号:NITE P-03239
(iv) 識別の表示:LC
(v) 受領日:2020年7月15日
(vi) 通知番号:2020-0220
【0052】
納豆菌としては、有限会社宮城野納豆製造所より入手した納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)宮城野株を使用した。
細胞は、ヒト大腸癌細胞COLO-320(理化学研究所 バイオリソース研究センターより入手)を使用した。
【0053】
(2)菌液の調製
乳酸菌については、各乳酸菌をMRS培地(日本ベクトン・ディッキンソン社製)を用いて、30℃で24時間静置培養した。培養した菌液全量を3000rpmで5分間遠心し、上清を除去して、集菌した。次いで、PBSに懸濁して7500rpmで5分間遠心後、上清を除去する洗浄操作を2回繰り返し、最後にPBSに懸濁して、121℃で20分間のオートクレーブ処理をした後、各乳酸菌の菌液を得た。
納豆菌については、トリプトソーヤブイヨン(日水製薬株式会社)を用いて、37℃で48時間振盪培養した。その後の操作は、乳酸菌と同様の操作を行い、納豆菌の菌液を得た。
【0054】
(3)細胞培養
インターロイキン12産生促進試験は、COLO-320細胞におけるインターロイキン12mRNAの発現量を指標として評価した。COLO-320細胞を、24ウェルプレートにRPMI(ロズウェルパーク記念研究所:Roswell Park Memorial Institute)培地(ナカライテスク株式会社製:10%NCS,1%アンピシリン・ストレプトマイシン添加)中1.0×10cells/mlの濃度となるように播種し、37℃、5%CO下で24時間培養して定着させ、さらに新鮮なRPMI培地に交換後、37℃、5%CO下で24時間前培養した。次いで、表1に記載の菌体濃度(菌体数10個/mL)に従って菌液を添加して調製した各RPMI培地 1mLに交換して、37℃、5%CO下で24時間前培養した。
【0055】
【表1】
【0056】
(4)顕微鏡観察
各菌液の菌体及び菌液を混合した混合液の菌体に対してグラム染色を行い、位相差顕微鏡を用いて菌体の形態を確認した。
【0057】
(5)遺伝子発現解析
培養した細胞からTRIzol Reagent試薬(Thermo Fisher Scientific社)を用いて、試薬の製造会社の推奨の操作方法に従ってtotalRNAを回収し、totalRNA 2μgをSuperScript VILO MasterMix(Thermo Fisher Scientific社)を用いて、試薬の製造会社の推奨の操作方法に従ってcDNAを合成し、得られたcDNAを鋳型として、インターロイキン12遺伝子に対するプライマー(北海道システム・サイエンス株式会社)及びKAPA SYBR FAST qPCR Master Mix (2X) Kit(カパ・バイオシステムズ社)を用いて定量リアルタイムPCRを行い、インターロイキン12のmRNA発現量を測定した。内在性コントロールとして、GAPDHプライマー(北海道システム・サイエンス株式会社)を用いて、GAPDHのmRNA発現量を測定した。インターロイキン12のmRNAの発現量は、内在性コントロールのGAPDHのmRNAの発現量に対する相対発現量とし、さらに菌体を含まない培地で培養した細胞(対照)のインターロイキン12のmRNAの発現量を1.0として示した。
【0058】
(6)結果
(i)菌体の顕微鏡画像
各菌液及び混合液の菌体についての菌体の形態の画像を図1に示す。図1に示すとおり、ラクトバチルス・ブレビス(LB)、リューコノストック・シトレウム(LC)、ラクトバチルス・プランタラム(LP)及び納豆菌(BS)は菌体の形態が保持されていることが示された。
【0059】
(ii)遺伝子発現解析の結果
遺伝子発現解析の結果を図2に示す。図2に示すとおり、納豆菌とラクトバチルス・ブレビスとを組み合わせた実施例1~4は、納豆菌単体である比較例1及び2並びにラクトバチルス・ブレビス単体である比較例3及び4と比較して、インターロイキン12の相対発現量が多かった。すなわち、納豆菌とラクトバチルス・ブレビスとを組み合わせは菌単体よりインターロイキン12のmRNAの発現量を促進した。
【0060】
一方、ラクトバチルス・プランタラム又はリューコノストック・シトレウムと納豆菌とを組み合わせた比較例5及び6は、インターロイキン12の相対発現量が納豆菌単独の場合と同等かそれ以下であった。
【0061】
以上の結果から、納豆菌とラクトバチルス・ブレビスとを組み合わせは、インターロイキン12のmRNAの発現量を相乗的に促進する作用を有することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の一態様の組成物は、IL-12産生促進作用を通じて、ナチュラルキラー細胞賦活効果、細胞性免疫賦活効果、免疫賦活効果、抗ウイルス効果、抗アレルギー効果、抗感染症効果、抗腫瘍効果、抗癌効果等が期待され、経口的又は非経口的に摂取可能であり、飲食品をはじめ、医薬品、医薬部外品、化粧品、サプリメント等に有用である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2020-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevisミヤビスLB27株及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を含む、インターロイキン12産生促進用組成物。
【請求項2】
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)ミヤビスLB27株及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を含む、ナチュラルキラー細胞増殖促進用組成物。
【請求項3】
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)ミヤビスLB27株及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を含む、T細胞増殖促進用組成物。
【請求項4】
前記ラクトバチルス・ブレビス ミヤビスLB27株と、前記納豆菌との含有比率が菌体数比(ラクトバチルス・ブレビス ミヤビスLB27株:納豆菌)で1:10~10:1である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が飲食品用である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【手続補正書】
【提出日】2020-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)ミヤビスLB27株(受託番号:NITE P-03237)及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を含む、インターロイキン12産生促進用組成物。
【請求項2】
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)ミヤビスLB27株(受託番号:NITE P-03237)及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を含む、ナチュラルキラー細胞増殖促進用組成物。
【請求項3】
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)ミヤビスLB27株(受託番号:NITE P-03237)及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を含む、T細胞増殖促進用組成物。
【請求項4】
前記ラクトバチルス・ブレビス ミヤビスLB27株と、前記納豆菌との含有比率が菌体数比(ラクトバチルス・ブレビス ミヤビスLB27株:納豆菌)で1:10~10:1である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が飲食品用である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。