(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035384
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】シャツ折り畳み形状維持具
(51)【国際特許分類】
B65D 85/18 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
B65D85/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139663
(22)【出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】594164690
【氏名又は名称】アーキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠治
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA15
3E068AB03
3E068AC07
3E068BB01
3E068CC20
3E068CD01
3E068CE02
3E068DD20
3E068EE02
3E068EE11
(57)【要約】
【課題】
打ち抜き時における台紙の無駄を省くとともに、台紙本体と襟整形台紙が連結されてシャツ本体および襟部のいずれも美麗に折り畳むことができるシャツ折り畳み形状維持具を提供する。
【解決手段】
台紙本体2の上端縁の中央部に平面が両側に突片29a,29aを連設した形状の突出部29が首部30を介して突出されている連結部22が形成されているとともに、襟整形台紙3の上端縁32から所定の距離だけ内方にむけて一対の切り込み溝33,33が所定間隔で形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面が略矩形状でシャツの折り畳み型となる紙製の台紙本体と、前記台紙本体に折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟を整形するシャツの襟の内部に重合する幅と長さを有する帯状で紙製の襟整形台紙とからなり、
前記台紙本体の上端縁の中央部に平面視において両側に突片を連設した突出部が首部を介して突出されている連結部が形成されているとともに、前記襟整形台紙の上端縁から所定の距離だけ内方にむけて一対の切り込み溝が所定間隔で形成されており、前記連結部の両側に形成された各突出部の突片を前記一対の切り込み溝にその開口縁からそれぞれ差し込み、係止して前記台紙本体の連結部を前記襟整形台紙に脱離可能に連結させることを特徴とするシャツの折り畳み形状維持具。
【請求項2】
前記襟整形台紙に形成された一対の切り込み溝の深さが前記台紙本体における連結部の突片の縦幅と略同等であるとともに前記一対の切り込み溝の間隔が前記連結部の首の幅と略同等であることを特徴とする請求項1記載のシャツの折り畳み形状維持具。
【請求項3】
前記台紙本体が、シャツの後身頃の上部に当てられる上下に長手の略長方形状の背当て部と、前記背当て部の上端に首部を介して連設されるとともに前記首部を基点として前記台紙の背面側に折り返される裾固定部を形成した保持板部を有するとともに前記背当て部の上部に切込みを入れることによって形成されて前記保持板部の折返し部に沿って上端を基点として折り曲げることによって背当て部から前記連結部が突出、形成されることを特徴とする請求項1または2記載のシャツ折り畳み形状維持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャツを折り畳んだ状態で販売する際に、シャツの折り畳み形状を維持するために使用されるシャツ折り畳み形状維持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワイシャツなどのような美麗な形態を特徴とするシャツは、装着した場合を想像できるような状態に折り畳んで透明の包装袋などに収容した状態で販売されており、このような販売形態によると、シャツが皺にならず且つシャツの襟や袖の形態、更には生地や模様なども包装したままで確認でき、商品価値が高まるだけでなく運搬、保管、展示などにも適しているという多くの利点を有している。
【0003】
ところで、前記のように、折り畳んだ状態でシャツの形状を維持するために各種の形状の台紙や、襟整形部材などのシャツ折り畳み形状維持具が用いられており、殊に、近頃、廃棄物の分別収集や環境汚染の問題から、合成樹脂材や金属製のピンやクリップに換えて、適宜の厚紙台紙を用いたシャツ折り畳み形状維持具が使用されるようになってきた。
【0004】
そして、厚紙台紙を用いたシャツ折り畳み形状維持具として、平面が略矩形状でシャツの折り畳み型となる台紙本体と、前記台紙本体に折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟を整形する紙製のシャツの襟の内部に重合する幅と長さを有する帯状の襟整形台紙とからなるシャツ折り畳み形状維持具が知られており、前記台紙本体の上部に帯状の襟整形台紙を一体に打ち抜き、形成して襟部の形状も美麗に収納可能としたシャツ折り畳み形状維持具が例えば、特開2005-126129号公報などに提示されている。
【0005】
しかしながら、前記公報に提示されているシャツ折り畳み形状維持具は、
図5に示すように、平面が略矩形状でシャツの折り畳み型となる台紙本体2の横幅に比べてシャツの襟を整形する紙製のシャツの襟の内部に重合する帯状の襟整形台紙3の横幅が長く形成されることから、厚紙を型抜きして製造する際に、襟整形台紙3の横幅を基長にして台紙を切り出すことになり、どうしても無駄が出てしまうことになり、経済的に不利であるばかりか襟整形台紙3が台紙本体2と一体であることから、帯状の襟整形台紙3を折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟の内部に重合させるのが手間であり、更に、シャツの使用時に襟整形台紙3を取り外し難いという問題がある。
【0006】
そこで、例えば実用新案登録第3073008号公報、特開2006-306466号公報などに、面が略矩形状でシャツの折り畳み型となる紙製の台紙本体と、前記台紙本体に折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟を整形する紙製のシャツの襟の内部に重合する幅と長さを有する帯状の襟整形台紙とを別体として形成し、前記台紙本体の連結部を前記襟整形台紙に脱離可能に連結することで、内抜き時における台紙の無駄を省くとともに、折り畳み時に、前記襟整形台紙を前記台紙本体に着脱可能に連結したシャツの折り畳み形状維持具が提示されている。
【0007】
しかしながら、前記実用新案登録第3073008号公報に提示されているシャツの折り畳み形状維持具は、
図6に示すように、台紙本体2における上端縁21の中央部に突出されている平面がT形の連結部22を、前記襟整形台紙3の所定位置に形成した横長の係合孔31に差し込むものであり、また、特開2006-306466号公報に提示されているシャツの折り畳み形状維持具は、
図7に示すように、台紙本体2における上端縁21の中央部に突出されている平面がT形の連結部22を、前記襟整形台紙3の所定位置に所定間隔で形成した縦長の係合孔31,31に差し込むものであって、何れも連結部22を撓ませた状態で係合孔31に差し込むものであり、連結は確実であるが、反面、連結操作並びに取り外し時にも面倒である、という問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-126129号公報
【特許文献2】実用新案登録第3073008号公報
【特許文献3】特開2006-306466号公報
【特許文献4】特開2008-222264号公報
【特許文献5】特開2007-276857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は平面が略矩形状でシャツの折り畳み型となる紙製の台紙本体と、前記台紙本体に折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟を整形するシャツの襟の内部に重合する幅と長さを有する帯状で紙製の襟整形台紙とからシャツの折り畳み形状維持具を用いて材質の異なる部品を用いている従来品の製造ならびに廃棄の不便さを解消するとともに、特に、台紙本体に前記襟整形台紙を脱離可能に連結することにより襟部についても美麗としたシャツの折り畳み形状維持具の改良に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明は、平面が略矩形状でシャツの折り畳み型となる紙製の台紙本体と、前記台紙本体に折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟を整形するシャツの襟の内部に重合する幅と長さを有する帯状で紙製の襟整形台紙とからなり、前記台紙本体の上端縁の中央部に平面視において両側に突片を連設した突出部が首部を介して突出されている連結部が形成されているとともに、前記襟整形台紙の上端縁から所定の距離だけ内方にむけて一対の切り込み溝が所定間隔で形成されており、前記連結部の両側に形成された各突出部の突片を前記一対の切り込み溝にその開口縁からそれぞれ差し込み、係止して前記台紙本体の連結部を前記襟整形台紙に脱離可能に連結させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、前記襟整形台紙に形成された一対の切り込み溝の深さが前記台紙本体における連結部の突片の縦幅と略同等であるとともに前記一対の切り込み溝の間隔が前記連結部の首の幅と略同等であることを特徴とすることにより、前記連結部の両側に形成された各突出部の突片を前記一対の切り込み溝にそれぞれ差し込み、係止して前記台紙本体の連結部を前記襟整形台紙に連結させた際に、前記台紙本体における連結部が傾動することなく前記襟整形台紙に沿って互いに重なって配置されるので連結が確実で襟整形台紙が挿入されるシャツの襟部がきわめて美麗に保持される。
【0012】
更に、本発明において、前記台紙本体が、シャツの後身頃の上部に当てられる上下に長手の略長方形状の背当て部と、前記背当て部の上端に首部を介して連設されるとともに前記首部を基点として前記台紙の背面側に折り返される裾固定部を形成した保持板部を有するとともに前記背当て部の上部に切込みを入れることによって形成されて前記保持板部の折返し部に沿って上端を基点として折り曲げることによって背当て部から前記連結部が突出、形成されることを特徴とする場合には、台紙本体を更に少ない台紙で形成することができ、経済的である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、打ち抜き時における台紙の無駄を省くとともに、台紙本体と襟整形台紙が連結されているのでシャツ本体および襟部のいずれも美麗に折り畳むことができるのは言うまでもなく、連結機構も簡単な構成で製造が容易であるばかりか連結も差し込むだけでよく脱着もきわめて簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明であるシャツの折り畳み形状維持具を示す正面図。
【
図2】
図1に示した実施の形態の要部を示す平面部分図。
【
図3】
図1に示した実施の形態を用いてシャツを折り畳む際の一工程を示す説明図。
【
図4】
図1に示した実施の形態について、使用時において台紙本体と襟整形台紙を連結する際の手順を示す説明図であり、(a)は連結前の状謡を示し、(b)は台紙本体の連結部を襟整形台紙の内側に沿わせて連結した状態を示し、(c)は、台紙本体の連結部を襟整形台紙の外側に沿わせて連結した状態を示す。尚、(d)は、前記(c)の連結構造を連結部が異なる実施の形態について示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
図1は本発明であるシャツ折り畳み形状維持具1の好ましい実施の形態を示すものであり、シャツ折り畳み形状維持具1は、平面視において略矩形状でシャツの折り畳み型と固定を行う台紙本体2と、前記台紙本体2折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟を整形するシャツの襟の内部に重合する幅と長さを有する帯状の襟整形台紙3から形成される。
【0017】
そして、台紙本体2は例えばいわゆるボール紙もしくは類似した厚紙(必要であれば裏面または表面を含めて表面加工してもよい)で形成されて、打ち抜き状態を示す(a)に示すように、シャツの後身頃の上部に当てられる上下に長手の長方形状の背当て部24と、この背当て部23の上端部に首部24を介して連設された保持板部25とを備え、背当て部23は、幅がシャツの幅の約2分の1、長さがシャツの丈の約2分の1の寸法の略長方形の形状を有し、左右上辺はシャツの左右上辺に沿った傾斜を有している。
【0018】
また、背当て部23に保持板部25を連設する首部22には、水平方向に延びる折り返し部26が形成されているとともに前記背当て部23における保持板部25の下方には折り畳んだシャツの袖を係止するための押さえ片27が形成されている。
【0019】
更に、台紙2の保持板部25には、掛止窓からなる裾固定部28が形成されているとともに前記折り返し部26を挟んだ前記保持板部25に対向する位置(図示下方)に前記折り返し部26に沿って上端を基点として上方へ向けて折り曲げる可能に襟への平面視において両側に突片29a,29aを連設した形状の突起部29が首30を介して突出されている略T形の連結部22が切込により形成されている。
【0020】
以上の構成を有する台紙本体2は、
図1(b)に示したように、使用時には、折り返し部26において首部24を基点として保持板部25を背面側に折り返すとともに、前記折り返し部26を挟んだ前記保持板部25に対向する位置(図示下方)に形成されている襟への連結部22を前記折り返し部26に沿って上端を基点として上方へ向けて折り曲げることによって背当て部23の上端縁21の中央部から突出された状態にする。
【0021】
一方、前記台紙本体に折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟を整形する襟整形台紙3は、基本的に従来のものと同様に、前記台紙本体2を形成するのと同様な台紙によりシャツ襟の内部に重合する幅と長さを有する帯状に打ち抜き形成され、上端縁32から所定の距離だけ内方に向けて一対の切り込み溝33,33が所定間隔で形成されている。
【0022】
特に、本実施の形態では、
図2に示すように、前記襟整形台紙3に形成された一対の切り込み溝33,33の深さH1が前記台紙本体2における連結部22における突起部29の両突片29a,29aの縦幅H2と略同等であるとともに前記一対の切り込み溝33,33の間隔L1が前記連結部22の首30の幅L2と略同等に形成されている。
【0023】
尚、本発明における台紙本体2はここに示した実施の形態に限るものでなく、従来周知のものを含めて折り畳んだシャツを固定できるものであれば他の構造のものでもよく、少なくとも、背当て部23の上端縁21の中央部から平面がT形の連結部22が突出されていればよい。
【0024】
以上の構成を有する本発明であるシャツ折り畳み形状維持具1を用いてシャツを折り畳んで、折り畳み形状を維持させるには、例えば、先ず、襟整形成台紙3をシャツの襟内側に通し第1ボタンを閉じる。
【0025】
次に、
図3に示すように、台紙本体2の背当て部23をシャツ4の後身頃41の上部に中心位置を合わせて当てるとともに、シャツ4の左右の一方の側、例えば左側を背当て部23の左の辺部に沿って幅方向に背当て部23の背面側に折り返し、背当て部23の背面側に位置した左の袖42を背当て部23で折り畳み、シャツ4の他方の側の右側を背当て部23の右の辺部に沿って幅方向に背当て部23の背面側に折り返し、背当て部23の背面側に位置した右の袖42を背当て部23上で折り畳む。このとき、袖42が動かないように背当て部23に切込みを入れることによって形成された上端を起点として開く押さえ片27で押さえる。
【0026】
そして、前記連結部22を残したまま、保持板部25を折り返し部26において下方に折り曲げ反転させてシャツ4の背面側に位置させ、逆に、連結部22を上方へ立設させる。
【0027】
その後、折り畳まれたシャツ4の裾部43をシャツ4の丈が背当て部23の丈方向の下部にあたる折り畳み位置44で裾部43を丈方向に二つに折り返し、シャツ4の折り返し上端を背当て部23の上端に位置している掛止窓である裾固定部28に差し込み固定する従来周知の手段により固定する。
【0028】
殊に、本実施の形態では、前記シャツ4の襟の後部分において台紙本体2の上端縁21の中央位置に突出させた連結部22を
図4(a)に示すように、両側の突片29a,29aを予めシャツの襟の内部に重合させて挿入させた襟整形成台紙3の上端縁32側から切込み溝33,33に差し込んで
図4(b)に示したように連結させる。
【0029】
このように本実施の形態では、帯状の襟整形台紙3と台紙本体2が別体であり、しかも連結操作も従来のように連結部22を撓ませ或いは係止孔に差し込むことなく連結部22を上方からそのまま差し込むだけで折り畳んだ状態で固定されたシャツの襟の内部に重合させた襟整形台紙3に連結できて連結作業がきわめて簡単であり、更に、本実施の形態では、襟整形台紙3に形成された一対の切り込み溝33,33の深さH1が前記台紙本体2における連結部22の両突片29a,29aの縦幅H2と略同等であるとともに前記一対の切り込み溝33,33の間隔L1が前記連結部22の首30の幅L2と略同等に形成されているので、連結部22を襟整形台紙3に連結したときに両者が確実に且つ幅広の面積を有して重着されるので襟整形台紙3と台紙本体2とが陳列時や運搬時などに外れたりズレたりすることなく、折り畳んだシャツを美麗に維持することができる。
【0030】
一方、本実施の形態は、襟整形台紙3を下方に引き抜くか、或いは台紙本体2を上方に引き抜くだけで襟整形台紙3と台紙本体2との連結を解除できるのでシャツを使用する際に台紙本体2および襟整形台紙3を取り出すのもきわめて容易である。
【0031】
尚、本実施の形態では、
図4(b)に示したように、連結部22を襟整形台紙3の内側に配置した場合を示したが、
図4(c)に示したように連結部22を襟整形台紙3の外側に配置してもよく、この場合には、更に、
図4(d)に示すように、前記連結部22には裏面に例えばサイズ(S,M,L)、(首回り)、(裄丈)(素材)などの情報を表示した表示片34が切込みを入れることによって下端を起点として開くように形成することができる。
【0032】
尚、表示に関しては直接印刷することも可能であるが、例えばシールなどを用いることにより汎用性が確保でき、無駄もなくすことができる。
【0033】
また、本実施の形態では、台紙本体2を用いる前に予め襟整形台紙3をシャツの襟の内部に重合させた場合を示したが、襟整形台紙3を台紙本体2に連結させてから襟の内部に重合させてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 シャツ折り畳み形状維持具、2 台紙本体、3 襟整形台紙、4 シャツ、21 上端縁、22 連結部、23 背当て部、24 首部、25 保持板部、26 折り返し部、27 押さえ片、28 裾固定部、29 突出部、29a,29a 突片、30 首、31 係合孔、32 上端縁、33 切り込み溝、34 表示片、41 後身頃、42 袖、43 裾部、44 折り畳み位置