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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035407
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
B65D41/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139709
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 達大
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
(72)【発明者】
【氏名】秀島 智
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB01
3E084DB09
3E084DC03
3E084EA01
3E084EB01
3E084EB02
3E084EB04
3E084EC03
3E084FA02
3E084FC04
3E084GA06
3E084GB06
3E084GB12
3E084GB17
3E084GB26
3E084HA03
3E084HB01
3E084HC03
3E084HD04
3E084KA15
3E084KB01
3E084LA03
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】不正開封の有無を容易且つ正確に判別することが可能なキャップを提供する。
【解決手段】キャップ本体5にヒンジ6を介して蓋7が設けられ、蓋7に、不正開封の有無を判別するための封止体27が設けられ、封止体27は、一対の縦バンド28,29と、閉栓状態における両縦バンド28,29の下部間に設けられた横バンド30とを有し、両縦バンド28,29の上部はそれぞれ、破断可能な弱化部32,33を介して、蓋7の下部に繋がっており、横バンド30に第1係合部が形成され、キャップ本体5は、閉栓時に封止体27が挿入される挿入部38と、蓋7から切り離された封止体27を保持する保持部39と、第2係合部と、窓部41とを有し、封止体27が挿入部38に挿入された状態で、第1係合部が開栓方向において第2係合部に係合可能であり、両弱化部32,33が破断して封止体27が下降すると、横バンド30が窓部41に露出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋とを有するキャップであって、
蓋に、不正開封の有無を判別するための封止体が設けられ、
封止体は、蓋の周方向において所定間隔をあけて設けられた一対の縦バンドと、閉栓状態における両縦バンドの下部間に設けられた横バンドとを有し、
両縦バンドの上部はそれぞれ、破断可能な弱化部を介して、蓋の下部に繋がっており、
横バンドに第1係合部が形成され、
キャップ本体は、閉栓時に封止体が挿入される挿入部と、蓋から切り離された封止体を保持する保持部と、第2係合部と、外部から視認可能な窓部とを有し、
挿入部は保持部に設けられ、
封止体が挿入部に挿入された状態で、第1係合部が開栓方向において第2係合部に係合可能であり、
両弱化部が破断して封止体が下降すると、横バンドが挿入部内から窓部に露出することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
第1係合部が開栓方向において第2係合部に係合した際、第1係合部が第2係合部に対してキャップ本体の径方向外側へ逃げるのを規制するための規制手段が第1係合部および第2係合部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
蓋に、開栓操作時に指を掛けるための鍔部が設けられ、
鍔部は閉栓時において封止体の両縦バンド間の上方に位置し、
キャップ本体はその外周面から径方向内側へ窪んだ外周凹部を有し、
封止体は外周凹部内に収められていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋とを有するキャップであって、
蓋に、不正開封の有無を判別するための封止体が設けられ、
封止体は、蓋の周方向において所定間隔をあけて設けられた一対の縦バンドと、閉栓状態における両縦バンドの下部間に設けられた横バンドとを有し、
両縦バンドの上部はそれぞれ、破断可能な弱化部を介して、蓋の下部に繋がっており、
横バンドに第1係合部が形成され、
キャップ本体は、閉栓時に封止体が挿入される挿入部と、蓋から切り離された封止体を保護する保護部と、第2係合部と、両縦バンドが露出する1つの露出部とを有し、
挿入部は保護部に設けられ、
封止体が挿入部に挿入された状態で、第1係合部が開栓方向において第2係合部に係合可能であり、
封止体が挿入部に挿入され且つ両弱化部が破断していない場合、両縦バンドが露出部から外部へ露出し、
両弱化部が破断して封止体が挿入部内を下降すると、両縦バンドが露出部から下方へ退避し、封止体が保護部の径方向における内側に隠れることを特徴とするキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正開封の有無を判別する機能を有するキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば図19図21に示すように、容器101の口部に装着されるキャップ本体103と、キャップ本体103に被冠される蓋104とを有するものがある。蓋104は、その胴部105の下面に接続される切断容易な弱化部106,107と、弱化部106,107に接続される確認突起109,110とを備えている。
【0003】
確認突起109,110と弱化部106,107とはそれぞれ、蓋104の周方向Aにおいて所定間隔をあけて一対ずつ設けられている。尚、確認突起109,110はそれぞれ係止段部112と傾斜面113とを有している。
【0004】
キャップ本体103は、確認突起109,110が挿入される凹状の挿入部115,116と、挿入部115,116内の確認突起109,110を係止する係止部118,119と、挿入部115,116内を視認可能な窓部121,122とを備えている。これら挿入部115,116と係止部118,119と窓部121,122とはそれぞれ、キャップ本体103の周方向Bにおいて所定間隔をあけて一対ずつ設けられている。
【0005】
これによると、図19図21に示すように、蓋104が閉栓されて未開封の状態では、確認突起109,110が挿入部115,116に挿入されている。この際、窓部121,122全体に確認突起109,110の傾斜面113が露出し、窓部121,122を通して確認突起109,110の傾斜面113を視認することにより、未開封状態が保たれていることを判別することができる。
【0006】
未開封状態のキャップ100を開封する場合、蓋104を開栓方向Oへ回動させることにより、確認突起109,110の係止段部112が開栓方向Oにおいてキャップ本体103の係止部118,119に係止され、弱化部106,107が切断される。これにより、図22図23に示すように、確認突起109,110が挿入部115,116内を所定距離だけ落下し、その分、確認突起109,110の係止段部112の位置が下方に移動するため、窓部121,122を通して確認突起109,110の係止段部112の位置を視認することにより、キャップ100が開封されたことを判別することができる。これにより、未開封状態のキャップ100を不正に開封した場合、不正開封されたことを把握することができる。
【0007】
尚、上記のようなキャップは例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5847649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の従来形式では、キャップ100が未開封状態に保たれているのか或いは不正に開封されているのかを判別するためには、先ず、いずれか一方の窓部121を通して一方の確認突起109を視認し、次に、他方の窓部122を通して他方の確認突起110を視認する必要があり、判別するのに手間を要するといった問題がある。また、一方の窓部121を通して一方の確認突起109を視認した後、他方の窓部122を通して他方の確認突起110を視認するのを失念する虞があり、このような場合、不正開封の有無を正確に判別することが困難になる虞がある。
【0010】
本発明は、不正開封の有無を容易且つ正確に判別することが可能なキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋とを有するキャップであって、
蓋に、不正開封の有無を判別するための封止体が設けられ、
封止体は、蓋の周方向において所定間隔をあけて設けられた一対の縦バンドと、閉栓状態における両縦バンドの下部間に設けられた横バンドとを有し、
両縦バンドの上部はそれぞれ、破断可能な弱化部を介して、蓋の下部に繋がっており、
横バンドに第1係合部が形成され、
キャップ本体は、閉栓時に封止体が挿入される挿入部と、蓋から切り離された封止体を保持する保持部と、第2係合部と、外部から視認可能な窓部とを有し、
挿入部は保持部に設けられ、
封止体が挿入部に挿入された状態で、第1係合部が開栓方向において第2係合部に係合可能であり、
両弱化部が破断して封止体が下降すると、横バンドが挿入部内から窓部に露出するものである。
【0012】
これによると、キャップが未開封の場合、封止体は一対の弱化部を介して蓋に繋がっており、横バンドは窓部に露出していない。
【0013】
蓋を開栓方向へ回動させて、キャップを未開封の状態から開栓すると、第1係合部が第2係合部に係合し、両弱化部が破断し、封止体が蓋から分離されて挿入部内を下降し、横バンドが挿入部内から窓部に露出し、窓部を通して横バンドを視認することによって、キャップが開封されたことを判別することができる。
【0014】
この際、窓部はキャップ本体の一箇所に形成されているため、一つの窓部を目視するだけで、両弱化部が破断して封止体が下降したか否かを即座に把握することができる。これにより、不正開封の有無を容易且つ正確に判別することができる。
【0015】
また、両弱化部が破断して蓋から切り離された封止体は保持部で保持されるため、封止体がキャップから脱落してゴミになることはない。
【0016】
本第2発明におけるキャップは、第1係合部が開栓方向において第2係合部に係合した際、第1係合部が第2係合部に対してキャップ本体の径方向外側へ逃げるのを規制するための規制手段が第1係合部および第2係合部に設けられているものである。
【0017】
これによると、キャップを未開封の状態から開栓する際、第1係合部が第2係合部に係合し、両弱化部が破断する。この時、規制手段によって、第1係合部は、第2係合部からキャップ本体の径方向外側へ逃げるのを規制されるため、第2係合部から外れることなく、第2係合部に確実に係合する。これにより、両弱化部が確実に破断し、不正開封の有無を正確に判別することができる。
【0018】
本第3発明におけるキャップは、蓋に、開栓操作時に指を掛けるための鍔部が設けられ、
鍔部は閉栓時において封止体の両縦バンド間の上方に位置し、
キャップ本体はその外周面から径方向内側へ窪んだ外周凹部を有し、
封止体は外周凹部内に収められているものである。
【0019】
これによると、キャップを開封する際、指を両縦バンド間から外周凹部に挿入して下方から鍔部に掛け、指で鍔部を押し上げることにより、蓋が持ち上げられて開栓方向へ回動する。このように指を外周凹部に挿入することで、指を容易且つ確実に鍔部に掛けることができる。
【0020】
また、封止体は、外周凹部内に収められているため、キャップ本体の外周面から径方向外側へはみ出さない。このため、封止体がキャップの周囲にある障害物等に接触する可能性が低下し、封止体が損傷する可能性を低減することができる。
【0021】
本第4発明は、容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋とを有するキャップであって、
蓋に、不正開封の有無を判別するための封止体が設けられ、
封止体は、蓋の周方向において所定間隔をあけて設けられた一対の縦バンドと、閉栓状態における両縦バンドの下部間に設けられた横バンドとを有し、
両縦バンドの上部はそれぞれ、破断可能な弱化部を介して、蓋の下部に繋がっており、
横バンドに第1係合部が形成され、
キャップ本体は、閉栓時に封止体が挿入される挿入部と、蓋から切り離された封止体を保護する保護部と、第2係合部と、両縦バンドが露出する1つの露出部とを有し、
挿入部は保護部に設けられ、
封止体が挿入部に挿入された状態で、第1係合部が開栓方向において第2係合部に係合可能であり、
封止体が挿入部に挿入され且つ両弱化部が破断していない場合、両縦バンドが露出部から外部へ露出し、
両弱化部が破断して封止体が挿入部内を下降すると、両縦バンドが露出部から下方へ退避し、封止体が保護部の径方向における内側に隠れるものである。
【0022】
これによると、キャップが未開封の場合、封止体は一対の弱化部を介して蓋に繋がっており、両縦バンドが露出部から外部へ露出している。
【0023】
蓋を開栓方向へ回動させて、キャップを未開封の状態から開栓すると、第1係合部が第2係合部に係合し、両弱化部が破断し、封止体が蓋から分離されて挿入部内を下降し、両縦バンドが露出部から下方へ退避して、封止体が保護部の径方向における内側に隠れる。
【0024】
これにより、封止体が露出部から見えなくなり、外部から封止体を目視で確認することができなくなるため、キャップが開封されたことを判別することができる。
【0025】
この際、露出部はキャップ本体の一箇所に形成されているため、一つの露出部を目視するだけで、両弱化部が破断して封止体が下降したか否かを即座に把握することができる。これにより、不正開封の有無を容易且つ正確に判別することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によると、窓部はキャップ本体の一箇所に形成されているため、1つの窓部を目視するだけで、両弱化部が破断して封止体が下降したか否かを即座に把握することができる。これにより、不正開封の有無を容易且つ正確に判別することができる。
【0027】
また、露出部はキャップ本体の一箇所に形成されているため、一つの露出部を目視するだけで、両弱化部が破断して封止体が下降したか否かを即座に把握することができる。これにより、不正開封の有無を容易且つ正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるキャップの断面図であり、未開封時の形態を示す。
図2】同、キャップの上方からの斜視図であり、製造後、閉栓する前の開いた形態を示す。
図3図2におけるX-X矢視図である。
図4】同、キャップの正面図であり、未開封時の形態を示す。
図5図4におけるX-X矢視図である。
図6】同、キャップの下方からの斜視図であり、製造後、閉栓する前の開いた形態を示す。
図7図1における一部拡大断面図である。
図8図5における一部拡大断面図である。
図9】同、キャップの正面図であり、開封時の形態を示す。
図10】同、キャップの一部拡大断面図であり、開封時に封止体が下降して受止片に受け止められた形態を示す。
図11】同、キャップの一部拡大断面図であり、開封時に封止体が下降して横バンドが窓部に露出した形態を示す。
図12】本発明の第2の実施の形態におけるキャップの斜視図であり、未開封時の形態を示す。
図13】同、キャップの上方からの斜視図であり、製造後、閉栓する前の開いた形態を示す。
図14図13におけるX-X矢視図である。
図15】同、キャップの一部拡大断面図であり、未開封のキャップを容器に取り付けた形態を示す。
図16】同、キャップの斜視図であり、開封時の形態を示す。
図17】同、キャップの一部拡大断面図であり、開封時に封止体が下降してフランジに受け止められた形態を示す。
図18】同、キャップの一部拡大断面図であり、未開封のキャップを容器に取り付ける前の形態を示す。
図19】従来のキャップの側面図であり、未開封時の形態を示す。
図20】同、キャップの平面図であり、製造後、閉栓する前の開いた形態を示す。
図21】同、キャップの一部拡大断面図であり、未開封時の形態を示す。
図22】同、キャップの側面図であり、開封後、閉栓した時の形態を示す。
図23】同、キャップの一部拡大断面図であり、開封後、閉栓した時の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1に示すように、1はペットボトル等の容器2の口部3に取り付けられる合成樹脂製のキャップである。キャップ1は、キャップ本体5と、キャップ本体5にヒンジ6を介して開閉自在に設けられた蓋7とを有している。尚、閉栓したときのキャップ1の中心を通る軸心8の方向を上下方向として、以下にキャップ1の構成を説明する。
【0031】
キャップ本体5は、円形状の内筒部10と、円形状の外筒部11と、内筒部10と外筒部11との間に形成された円環状の取付用溝12と、外筒部11の上部から内筒部10の上部を経て内筒部10の内側に形成された頂壁部13と、頂壁部13に設けられた円形の注出筒14と、周囲が破断可能な脆弱部15で囲まれた離脱部材16とを有している。
【0032】
取付用溝12は下部が開放されており、容器2の口部3が取付用溝12に嵌め込まれている。また、離脱部材16は、プルリング17を有しており、脆弱部15を介して頂壁部13の内周に繋がっている。
【0033】
蓋7は、円形の天板部21と、天板部21の外周縁から垂下された円筒状のスカート部22と、円筒状のシール部材23とを有している。スカート部22の下部には、開栓操作時に指を掛けるための鍔部25が設けられている。尚、鍔部25は、蓋7の中心に対し、ヒンジ6とは180°反対側に位置している。
【0034】
図2図5に示すように、蓋7には、不正開封の有無を判別するための封止体27が設けられている。封止体27は、蓋7の周方向Aにおいて所定間隔をあけて設けられた一対の縦バンド28,29と、閉栓状態における両縦バンド28,29の下部間に設けられた横バンド30とを有している。両縦バンド28,29の上部はそれぞれ、破断可能な弱化部32,33を介して、スカート部22の下部に繋がっている。尚、両弱化部32,33の肉厚は破断し易いように周囲の部材の肉厚よりも薄く形成されている。
【0035】
横バンド30には、両縦バンド28,29よりも蓋7の径方向内側に突出した第1係合部35が形成されている。
【0036】
図2図6に示すように、キャップ本体5は、閉栓時に封止体27の下部が挿入される挿入部38と、蓋7から切り離された封止体27を保持する保持部39と、第2係合部40と、外部から視認可能な窓部41と、外筒部11の外周面から径方向内側へ窪んだ外周凹部42とを有している。
【0037】
保持部39は、外筒部11の外周に設けられた円弧状の本体部43と、本体部43の両端下部に形成された一対の受止片44とを有している。挿入部38は保持部39に形成された上下に開口する孔である。受止片44は保持部39の本体部43の下部から挿入部38内に突出している。
【0038】
図5図7に示すように、第2係合部40は、外筒部11の下部に形成され、外筒部11の外周面よりも径方向内側に入り込んで、挿入部38に臨んでいる。封止体27の下部が挿入部38に挿入された状態で、第1係合部35が開栓方向Oにおいて第2係合部40に係合可能である。図4図6図7に示すように、窓部41は、保持部39の下部に形成されており、挿入部38の下部に連通している。
【0039】
図8に示すように、第1および第2係合部35,40には規制手段46が設けられている。規制手段46は、第1係合部35が開栓方向Oにおいて第2係合部40に係合した際、第1係合部35が第2係合部40に対してキャップ本体5の径方向外側Cへ逃げるのを規制するためのものであり、第1係合部35の上面に形成された第1突起部47と、第2係合部40の下面に形成された第2凹部48とを有している。
【0040】
図8の仮想線で示すように、第1係合部35が開栓方向Oにおいて第2係合部40に係合した際、第1突起部47が下方から第2凹部48に嵌まり込む。
【0041】
図4に示すように、鍔部25は閉栓時において封止体27の両縦バンド28,29間の上方に位置している。図4図5に示すように、封止体27は外周凹部42内に収められている。また、保持部39は外周凹部42内から外筒部11の外周面よりも径方向外側Cへ突出している。
【0042】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0043】
キャップ1が閉栓されて未開封の場合、図4図5図7に示すように、封止体27は両弱化部32,33を介して蓋7に繋がっており、横バンド30は、挿入部38内に挿入されており、窓部41に露出していない。
【0044】
図9に示すように、蓋7を開栓方向Oへ回動して、キャップ1を未開封の状態から開栓すると、図8の仮想線で示すように、第1係合部35が下方から第2係合部40に係合して、両弱化部32,33が破断し、図9図11に示すように、封止体27が蓋7から分離されて挿入部38内を下降し、封止体27の下端部が受止片44に下方から受け止められて、横バンド30が挿入部38内から窓部41に露出する。窓部41を通して横バンド30を視認することによって、キャップ1が開封されたことを判別することができる。
【0045】
この際、窓部41はキャップ本体5の一箇所のみに形成されているため、一つの窓部41を目視するだけで、両弱化部32,33が破断して封止体27が下降したか否かを即座に把握することができる。これにより、不正開封の有無を容易且つ正確に判別することができる。
【0046】
また、両弱化部32,33が破断して蓋7から切り離された封止体27は保持部39で保持されるため、封止体27がキャップ1から脱落してゴミになることはない。
【0047】
また、上記のように第1係合部35が下方から第2係合部40に係合して(図8の仮想線参照)、両弱化部32,33が破断する際、第1突起部47が下方から第2凹部48に嵌まり込むため、第1係合部35は、第2係合部40から径方向外側Cへ逃げるのを規制され、第2係合部40から外れることなく、第2係合部40に確実に係合する。これにより、両弱化部32,33が確実に破断し、不正開封の有無を正確に判別することができる。
【0048】
また、キャップ1を開封する際、例えば親指を両縦バンド28,29間から外周凹部42に挿入して下方から鍔部25に掛け、親指で鍔部25を押し上げることにより、蓋7が持ち上げられて開栓方向Oへ回動する。このように親指を外周凹部42に挿入することで、親指を容易且つ確実に鍔部25に掛けることができる。
【0049】
また、封止体27は、外周凹部42内に収められているため、外筒部11の外周面から径方向外側Cへはみ出さない。このため、封止体27がキャップ1の周囲にある障害物等に接触する可能性が低下し、封止体27が損傷する可能性を低減することができる。
【0050】
蓋7を開栓方向Oへ回動してキャップ1を開封した後、プルリング17を引っ張ることにより、脆弱部15が破断して離脱部材16が注出筒14の内側から離脱し、注出筒14が開通する。これにより、容器2の内容物を注出筒14から注ぎ出すことができる。
【0051】
また、キャップ1を製造した際、図2に示すように、両縦バンド28,29がそれぞれ弱化部32,33を介して蓋7に繋がっているとともに、横バンド30を介して両縦バンド28,29同士が繋がっているため、封止体27は蓋7の周方向Aへ傾き難い。
【0052】
このため、キャップ1の製造後、図2図3に示した形態のキャップ1の蓋7を最初に閉じる際、封止体27が蓋7の周方向Aへ傾いた状態で挿入部38に挿入されるのを防止することができる。これにより、初期開封時に両弱化部32,33が破断した際、封止体27は、傾いた状態で挿入部38内に引っ掛かることなく、図9図11に示すように、挿入部38内を正常に下降して、横バンド30が窓部41に露出する。これにより、未開封状態のキャップ1を不正に開封した場合、不正開封されたことを正確に把握することができる。
【0053】
上記第1の実施の形態では、図8に示すように、規制手段46は、第1突起部47と第2凹部48とを有しているが、第1突起部47の代わりに、第1係合部35の上面に第1凹部を形成し、第2凹部48の代わりに、第2係合部40の下面に第2突部を形成してもよい。
(第2の実施の形態)
以下に、第2の実施の形態を説明する。尚、先述した第1の実施の形態におけるキャップ1と同じ構成部材については、同一の符号を付記して、詳細な説明を省略する。
【0054】
第2の実施の形態では、図12に示すように、第1の実施の形態における保持部39の代わりに保護部61が設けられ、窓部41の代わりに露出部62が形成されている。
【0055】
図12図15に示すように、キャップ本体5は、閉栓時に封止体27が挿入される挿入部38と、蓋7から切り離された封止体27を保護する保護部61と、両縦バンド28,29が露出する1つの露出部62と、第2係合部63とを有している。
【0056】
保護部61は、外筒部11の外周に、円弧状に設けられている。挿入部38は、保護部61の径方向における内側に形成された上下に開口する孔であり、外筒部11と保護部61との間に位置している。露出部62は保護部61の上方に形成されている。
【0057】
図15に示すように、第2係合部63は、外筒部11に形成され、外筒部11の外周面よりも径方向外側に張り出して、挿入部38に臨んでいる。封止体27が挿入部38に挿入された状態で、第1係合部35が開栓方向Oにおいて第2係合部63に係合可能である。
【0058】
図12に示すように、封止体27が挿入部38に挿入され且つ両弱化部32,33が破断していない場合、両縦バンド28,29の上部が露出部62から外部へ露出する。また、図16図17に示すように、両弱化部32,33が破断して封止体27が挿入部38内を下降すると、両縦バンド28,29が露出部62から下方へ退避し、封止体27が保護部61の径方向における内側に隠れる。
【0059】
また、図15図17に示すように、容器2の口部3の根元には、径方向外側に張り出したフランジ4が形成されている。キャップ1を容器2に打栓して口部3に取り付けた際、フランジ4は挿入部38の下方に位置する。
【0060】
図18に示すように、キャップ1を容器2に打栓して口部3に取り付ける前に、蓋7を閉じた状態では、キャップ1の軸心8から第2係合部63の径方向外端までの第2距離R2は、軸心8から第1係合部35の径方向内端までの第1距離R1よりも僅かに短い。
【0061】
その後、図15に示すように、キャップ1を容器2に打栓して口部3に取り付けた際、容器2の口部3がキャップ本体5の取付用溝12に嵌め込まれることにより、外筒部11が僅かに径方向外側へ膨らみ、これに伴って、第2係合部63の位置が径方向外側へずれて、上記第2距離R2が上記第1距離R1よりも僅かに長くなる。
【0062】
これにより、蓋7を開けた際、第1係合部35が開栓方向Oにおいて第2係合部63に係合する。
【0063】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0064】
図12図15に示すように、容器2に取り付けられたキャップ1が未開封の場合、封止体27は一対の弱化部32,33を介して蓋7に繋がっており、両縦バンド28,29の上部が露出部62から外部へ露出している。
【0065】
蓋7を開栓方向Oへ回動させて、キャップ1を未開封の状態から開栓すると、第1係合部35が下方から第2係合部63に係合して、両弱化部32,33が破断し、図16図17に示すように、封止体27が蓋7から分離されて挿入部38内を下降し、両縦バンド28,29が露出部62から下方へ退避して、封止体27が保護部61の径方向における内側に隠れる。
【0066】
これにより、封止体27が露出部62から見えなくなり、外部から封止体27を目視で確認することができなくなるため、キャップ1が開封されたことを判別することができる。
【0067】
この際、露出部62はキャップ本体5の一箇所に形成されているため、一つの露出部62を目視するだけで、両弱化部32,33が破断して封止体27が下降したか否かを即座に把握することができる。これにより、不正開封の有無を容易且つ正確に判別することができる。
【0068】
尚、上記のように両弱化部32,33が破断して、封止体27が保護部61の内側に隠れている際、封止体27は挿入部38内において下方から容器2のフランジ4に受け止められているため、封止体27が挿入部38内から下方へ脱落することはない。
【0069】
また、キャップ1を容器2に打栓して口部3に取り付ける前に、蓋7を閉じる際、図18に示すように、上記第2距離R2は上記第1距離R1よりも僅かに短いため、第1係合部35が第2係合部63に引っ掛かることなく、スムーズに蓋7を閉じることができる。
【0070】
その後、図15に示すように、キャップ1を容器2に打栓して口部3に取り付けた際、外筒部11が僅かに径方向外側へ膨らんで、上記第2距離R2が上記第1距離R1よりも僅かに長くなるため、キャップ1を容器2に取り付けた後に、蓋7を開ける際、第1係合部35が開栓方向Oにおいて第2係合部63に係合する。
【符号の説明】
【0071】
1 キャップ
2 容器
5 キャップ本体
6 ヒンジ
7 蓋
25 鍔部
27 封止体
28,29 縦バンド
30 横バンド
32,33 弱化部
35 第1係合部
38 挿入部
39 保持部
40,63 第2係合部
41 窓部
42 外周凹部
46 規制手段
61 保護部
62 露出部
A 蓋の周方向
C 径方向外側
O 開栓方向
図1
図2
図3
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図5
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