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▶ 黒田 高弘の特許一覧

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  • 特開-レール受台 図1
  • 特開-レール受台 図2
  • 特開-レール受台 図3
  • 特開-レール受台 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035459
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】レール受台
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/40 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
E01B29/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139798
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】520319026
【氏名又は名称】黒田 高弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】黒田 高弘
(72)【発明者】
【氏名】大内 順司
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】木製の枕木が構成材に使用されることなく、運搬や保管も容易に行うことができるレール受台を提供する。
【解決手段】道床の表面に配置される矩形頂板2と、前記矩形頂板2の両長辺から前記矩形頂板に対し傾斜して相互に離れる方向に延伸する一対の脚板3で構成される。そして、前記矩形頂板2の表面に前記矩形頂板の長手方向に延伸する棒材4が固定され、前記矩形頂板2の裏面に前記裏面に対し起立するアンカー板5の複数が間隔を空けて固定され、前記矩形頂板2と前記脚板3の連結部に平行する前記脚板3の縁辺に、複数の矩形の切り欠き6が間隔を空けて設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道床の表面に配置される矩形頂板と、
前記矩形頂板の両長辺から前記矩形頂板に対し傾斜して相互に離れる方向に延伸する一対の脚板で構成され、
前記矩形頂板に複数の貫通孔が設けられ、
前記矩形頂板の表面に前記矩形頂板の長手方向に延伸する棒材が固定され、
前記矩形頂板の裏面に前記裏面に対し起立するアンカー板の複数が間隔を空けて固定され、
前記矩形頂板と前記脚板の連結部に平行する前記脚板の縁辺に矩形の切り欠きの複数が間隔を空けて設けられていることを特徴とするレール受台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路のレール交換作業において、旧・新レールを仮置きするためのレール受台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車の走行により摩耗し、或いは、経年劣化により損傷や腐食等が生じた線路のレールを交換する作業においては、交換用に準備された新しいレール(新レール)と、撤去した古いレール(旧レール)を仮置きするためのレール受台が、軌道に沿って設置される。
【0003】
そして、レール受台の構成材として、古くなった木製の枕木が転用されているが、木製の枕木は、その設置において、道床のバラストへの埋設作業に時間を要する等の問題があった。そこで、木製の枕木を構成材に使用しないレール受台が提案されている。
【0004】
例えば、特開2015-203285公報には、杭を通す貫通孔が設けられ道床のバラストの上に配置される上壁と、上壁から下方に延びる折り返し壁を有する土台を構成材に有するレール受台が提案されている。このレール受台によれば、土台をバラストに埋めることなく杭で固定することによりバラストへの埋設作業を不要とし、設置に要する時間の短縮が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-203285公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記レール受台も含め、木製の枕木を構成材として使用しない従来のレール受台は、載置されるレールの気温変化による伸縮に追随するために、レールの載置面にローラが配置されたものとなっている。そのため、簡素な直方体形の木製の枕木と比較した場合、積載容量が大きくなり、運搬効率に劣っていた。また、不使用時の保管においては、ローラが動く状態を維持しなければならなかった。
【0007】
そこで、本発明は、木製の枕木が構成材に使用されることなく、運搬や保管も容易に行うことができるレール受台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるレール受台は、道床の表面に配置される矩形頂板と、前記矩形頂板の両長辺から前記矩形頂板に対し傾斜して相互に離れる方向に延伸する一対の脚板で構成される。そして、前記矩形頂板の表面に前記矩形頂板の長手方向に延伸する棒材が固定され、前記矩形頂板の裏面に前記裏面に対し起立するアンカー板の複数が間隔を空けて固定され、前記矩形頂板と前記脚板の連結部に平行する前記脚板の縁辺に矩形の切り欠きの複数が間隔を空けて設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るレール受台は、矩形頂板と脚板の連結部に平行する脚板の縁辺を下にして、道床の設置場所に載置する。そして、振動を与えることにより、一対の脚板がバラストに埋没した状態とする。更に、矩形頂板に設けられた貫通孔に固定用の杭を打ち込み、道床に固定設置された状態で使用する。
【0010】
固定設置された状態において、レールは棒材に載置されるため、レールとの接触面積が小さくなり、レールの気温変化による伸縮に追随することが可能となる。更に、固定用の杭に加え、アンカー板の複数、及び、矩形頂板と脚板の連結部に平行する脚板の縁辺に設けられた矩形の切り欠きの複数が、バラストと係合し、レールの伸縮やレールを移動させる際に生じる負荷への耐力を備えたものとなる。
【0011】
しかも、矩形頂板と、矩形頂板の両長辺から矩形頂板に対し傾斜して相互に離れる方向に延伸する一対の脚板で構成され、矩形頂板の表面には矩形頂板の長手方向に延伸する棒材が固定されるのみであるため、複数を積み重ねた場合の容量が小さくなる。従って、簡素な直方体形の木製の枕木との比較においても積載容量が小さくなり、運搬効率に優れたものとなる。また、動く部分が存在しないため、保管も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るレール受台の実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示す実施形態の正面図である。
図3】レール受台の固定に用いる杭の正面図である。
図4】本発明に係るレール受台の他の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~3を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
このレール受台1は、道床におけるレール横の空間に、レールに沿って間隔を空けて複数設置固定して使用するものであり、道床の表面に配置される矩形頂板2と、矩形頂板2の両長辺から矩形頂板2に対し傾斜して相互に離れる方向に延伸する一対の脚板3で構成されている。
【0014】
この実施形態において、脚板3は矩形頂板2に対し566%(約80度)の勾配をなすものとされているが、傾斜角度に制限はなく、材質や設置状況等を考慮して適宜決めることができる。
【0015】
また、この実施形態では、一枚の鋼板を折り曲げることにより、矩形頂板2と脚板3を一体に形成しているが、その製造法に制限はなく、製造条件等に適する公知の手法で製造すればよい。例えば、矩形頂板2を成す鋼板に脚板3を成す鋼板を溶接により接合してもよい。
【0016】
更に、矩形頂板2及び脚板3の素材に制限はないが、レール交換作業では火花が生じることがあるため、延焼防止の観点から、不燃性であることが必要である。
【0017】
矩形頂板2は、長辺寸法Lが600mm、短辺寸法Sが150mmとされ、表面(レール受台1が設置固定された状態において上側に配置される面)には、矩形頂板2の長手方向に延伸する棒材4が、短辺中央に固定されている。この実施形態では、鋼棒を必要な長さに切断して形成され、矩形頂板2に対し溶接により固定されている。なお、棒材4については、その素材や、矩形頂板2に固定する手法に制限はなく、設置状況や製造条件等を考慮し、適した素材や固定手法を選択すればよい。ただし、載置されるレールの伸縮や移動の際に受ける力により損傷しないものとする必要がある。
【0018】
矩形頂板2には、また、固定用の杭を通すための貫通孔7の複数が設けられている。この実施形態の貫通孔は、直径が20mmとされ、長手方向の一方の縁辺から20mmの位置と400mmの位置に、そして、他方の縁辺からも20mmの位置と400mmの位置に、計4個が設けられている。なお、これら4個の貫通孔7は、矩形頂板2の棒材4で区切られた各側に2個ずつ、短辺方向の中央から25mmの位置に設けられている。貫通孔7の個数や設置位置に制限はなく、設置や使用の状況に適したものとすればよい。
【0019】
貫通孔7の直径は、固定用に使用する杭に応じて決めればよい。なお、この実施形態では、図3に示すように、長さ方向の所定位置に平座金8が固定された、直径18mmの杭9の使用が想定されている。
【0020】
矩形頂板2の裏面(レール受台1が設置固定された状態において下側に配置される面)には、その裏面に対し起立するアンカー板5の複数が間隔を空けて固定されている。この実施形態では、矩形頂板2及び脚板3と同じ素材の鋼板を、矩形頂板2及び脚板3で囲まれた空間に適合する形状に加工して形成され、矩形頂板2及び脚板3に対し溶接により固定されている。なお、アンカー板5の素材や、矩形頂板2及び脚板3に対する固定状態に制限はなく、設置状況や製造条件等を考慮し、適した素材や固定手法を選択すればよい。ただし、外力が作用したレール受台1の移動を抑制するための、バラストとの係合状態を維持できるものとする必要がある。
【0021】
この実施形態のアンカー板5は、矩形頂板2に対し起立する幅が15mmと、脚板3に対し起立する幅が20mmとなる形状とされている。矩形頂板2及び脚板3に対し起立する幅の寸法に制限はないが、これらの寸法を大きくすると、バラストとの係合力が増す一方で埋設する際の抵抗力も増すことになるため、設置や使用の状況を考慮して決めることが好ましい。
【0022】
また、この実施形態では、アンカー板5の3枚が矩形頂板2の長手方向に260mmの間隔(矩形頂板2の長手方向の両縁辺からの間隔は40mm)で配置されている。アンカー板5を配置する数に制限はないが、これらの数を大きくすると、バラストとの係合力が増す一方で埋設する際の抵抗力も増すことになる。矩形頂板2及び脚板3に対し起立する幅の寸法と同様に、設置や使用の状況を考慮して決めることが好ましい。
【0023】
脚板3は、レール受台1の高さ寸法Hが150mmとなる脚長(約152mm)とされ、矩形頂板2と脚板3の連結部に平行する縁辺には、矩形の切り欠き6の複数が間隔を空けて設けられている。この実施形態の切り欠き6は、一辺長さが60mmの正方形とされ、長手方向に100mmの間隔(長手方向における両縁辺からの間隔は110mm)で3か所に設けられている。切り欠き6の形状や数に制限はないが、形状寸法を大きくし、或いは数を大きくすると、バラストとの係合力が増し、埋設する際の抵抗力が低減される一方で、脚板3の強度が低下することになる。従って、設置や使用の状況を考慮して決めることが好ましい。
【0024】
このレール受台1の設置固定に際しては、まず、脚板3の切り欠き6が設けられた縁辺(矩形頂板2と脚板3の連結部に平行する縁辺)を下にして道床に載置する。次に、コンパクターで振動を与え、脚板3がバラストに埋没した状態とする。そして、矩形頂板2に設けられた貫通孔7に固定用の杭9を打ち込み、設置固定された状態とする。
【0025】
このレール受台1のレール載置面は、3本のレールを載置できるものとなっている。そのため、新レール2本を載置した状態で、取り外した旧レールを載置することができ、レール交換作業の更なる効率向上が期待できる。一方、道床におけるレール横に十分な空間が無い場合は、レール載置面の長さ寸法(矩形頂板2の長辺寸法)を小さくしてもよい。図4に、レール載置面の長さ寸法を変えた実施形態を示す。なお、図4において、図1~3に示す実施形態と実質的に同じ部位には同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0026】
図4に示すレール受台10は、矩形頂板2の長辺寸法Lが400mmとされ、2本のレールを載置できるものとなっている。このレール受台10は、レールの両脇に設置固定し、レール毎に、交換用の新レールと取り外した旧レールを載置するために使用する。
【符号の説明】
【0027】
1、10 レール受台
2 矩形頂板
3 脚板
4 棒材
5 アンカー板
6 切り欠き
7 貫通孔
8 座金
9 杭
図1
図2
図3
図4