(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035557
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】農作業用イス
(51)【国際特許分類】
A01B 75/00 20060101AFI20220225BHJP
A47C 9/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A01B75/00
A47C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020139973
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】392013497
【氏名又は名称】ハラックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】篠原 実
【テーマコード(参考)】
2B041
3B095
【Fターム(参考)】
2B041AA11
2B041AA15
2B041AB01
2B041BA10
2B041BB02
2B041BB06
2B041BB08
2B041BB20
3B095AB10
3B095AC02
3B095CA01
(57)【要約】
【課題】作業者の体重移動に応じて容易に傾く事が可能な農作業用イスを提供する。
【解決手段】この農作業用イス80は、車輪30が略長楕円体形状を呈しているため、中央部分が確実に接地して円滑に回転する。これにより、農作業用イス80は作業者とともにスムーズに移動することができる。また、作業者が遠方に手を伸ばすなどすると、その方向に容易に傾く。これにより、作業者の手の届く範囲が伸びて農作業用イス80に座りながら行える作業範囲が拡がり、作業者の負担をさらに軽減することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後2つの車輪と、
前記車輪を軸支するフレームと、
前記フレームの上方に設置された座部と、を有する農作業用イスにおいて、
前記車輪は長軸を回転軸とした略長楕円体形状を呈することを特徴とした農作業用イス。
【請求項2】
車輪の扁平率が0.35~0.40であることを特徴とする請求項1記載の農作業用イス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業等で使用する農作業用イスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
畑等で農作業を行う際に使用する低背の農作業用イスが商品化されている。このような農作業用イスとしては、下記[特許文献1]に記載されているように前後2つの幅広の円柱状の車輪を有するものや、4輪のものがある。そして、作業者はこの農作業用イスに座ったまま畝溝等に沿って移動し農作業を行うことで、中腰やしゃがんでの作業負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、作業者が遠方に手を伸ばすなどの行為をすると体重移動が生じる。しかしながら、[特許文献1]に記載の発明や従来の4輪の農作業用イスは容易には傾かないため、作業者はその都度、腰を浮かすなどして作業する必要がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、作業者の体重移動に応じて容易に傾く事が可能な農作業用イスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)前後2つの車輪30と、前記車輪30を軸支するフレームと、前記フレームの上方に設置された座部32と、を有する農作業用イスにおいて、
前記車輪30は長軸を回転軸とした略長楕円体形状を呈することを特徴とした農作業用イス80を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)車輪30の扁平率が0.35~0.40であることを特徴とする上記(1)記載の農作業用イス80を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る農作業用イスは、車輪が略長楕円体形状を呈しているため、作業者が遠方に手を伸ばすなどすると、その方向に容易に傾く。これにより、作業者の手の届く範囲が伸びて農作業用イスに座りながら行える作業範囲が拡がり、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本発明に係る農作業用イスの使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る農作業用イスの実施の形態を図面に基づいて説明する。ここで、
図1は本発明に係る農作業用イス80の上面図、側面図、底面図、正面図であり、
図2は本発明に係る農作業用イス80の斜視図である。
図1、
図2に示す本発明に係る農作業用イス80は、前後2つの車輪30と、この車輪30を軸支するフレームと、このフレームの上方に設置された座部32と、を有している。そして、本発明に係る農作業用イス80の車輪30は、長軸を回転軸34とした略長楕円体形状を呈することを大きな特徴を有する。尚、車輪30は
図1、
図2に示すように両端部分(長軸の両極部分)を平面で構成し、回転軸34による軸支を容易とすることが好ましい。また、車輪30の扁平率は小さすぎると安定性が悪く、大きすぎると体重移動時に傾きにくくなるため、0.2~0.5程度が好ましく、0.35~0.40が特に好ましい。
【0010】
また、本発明に係る農作業用イス80のフレームは、座部32を固定する座面フレーム42と、座面フレーム42の左右に位置して前後の車輪30の回転軸34を軸支するサイドフレーム40と、この左右のサイドフレーム40の間に架け渡され座部32の前後に設けられた持ち手フレーム44とで構成することが好ましい。尚、サイドフレーム40は、コの字状、T字状、H字状、U字状、Y字状等、前後の車輪30の回転軸34を軸支可能であれば如何なる形状でも良いが、
図1、
図2に示すように、頂点が円弧状の逆V字形状のものを用いることが好ましい。そして、サイドフレーム40を頂点が円弧状の逆V字形状のものとした場合、持ち手フレーム44は左右のサイドフレーム40の両端部分から斜め上方向に架設することが好ましい。
【0011】
次に、本発明に係る農作業用イス80の使用方法を説明する。先ず、本発明に係る農作業用イス80を農地の畝溝や作業場所等に置く。そして、
図3(a)に示すように、作業者が座部32に腰かけて作業を行う。これにより、座りながら農作業を行うことができ作業者の負担を軽減することができる。また、本発明に係る農作業用イス80の車輪30は幅広であるため安定性があり、作業者は意識的にバランスをとる必要はなく作業に集中することができる。
【0012】
また、作業者が農作業用イス80に座ったまま畝溝に沿って移動すると、車輪30が回転して農作業用イス80も畝溝に沿って移動する。これにより、作業者は農作業用イス80に座ったまま畝溝を移動して農作業を連続的に行うことができる。尚、例えば[特許文献1]に記載のように車輪が円柱型の場合、畝溝の傾斜等によっては車輪の両サイドの部分のみが接地して中央部分が浮く状態となる。このような接地状態では車輪の両サイド部分に荷重が集中して畝溝を削るなどして車輪が円滑に回転せず、作業者が移動にストレスを感じる場合がある。この点、本発明に係る農作業用イス80は車輪30が略長楕円体形状を呈しているため、車輪30の中央部分は畝溝に確実に接地して円滑に回転する。これにより、農作業用イス80は作業者とともにスムーズに移動し、作業者がストレスを感じることもない。
【0013】
また、農作業用イス80の車輪30は前述のように略長楕円体形状を呈し、両サイド側が緩やかに湾曲しているから、作業者が遠方に手を伸ばすなどの体重移動を行うと、
図3(b)に示すように、その方向に容易に傾く。これにより、作業者の手の届く範囲が従来の農作業用イスと比較して飛躍的に向上する。これにより、作業者は農作業用イス80に座りながら行える作業範囲が拡がり、作業者の負担を軽減することができる。
【0014】
以上のように、本発明に係る農作業用イス80は、車輪30が略長楕円体形状を呈しているため、中央部分が確実に接地して円滑に回転する。これにより、農作業用イス80は作業者とともにスムーズに移動することができる。また、作業者が遠方に手を伸ばすなどすると、その方向に容易に傾く。これにより、作業者の手の届く範囲が伸びて農作業用イス80に座りながら行える作業範囲が拡がり、作業者の負担をさらに軽減することができる。
【0015】
尚、上記に示した農作業用イス80やフレームの各部の構成、寸法、デザイン等は一例であるから、上記の例に限定されるわけでは無く、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0016】
30 車輪
32 座部
80 農作業用イス