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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035638
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/111 20060101AFI20220225BHJP
   A01B 61/02 20060101ALI20220225BHJP
   A01B 33/10 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A01B63/111
A01B61/02
A01B33/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140104
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】稲本 雅之
【テーマコード(参考)】
2B033
2B041
2B304
【Fターム(参考)】
2B033AA04
2B033ED14
2B033ED15
2B033ED16
2B041AA06
2B041AB05
2B041AC01
2B041HA11
2B041HA23
2B041HA24
2B304KA12
2B304LA02
2B304LA04
2B304LB05
2B304MA18
2B304MA20
2B304PB06
2B304QA12
2B304QA15
2B304QB30
2B304QC07
2B304QC18
2B304QC20
2B304RB01
2B304RB02
2B304RB10
(57)【要約】
【課題】作業機を交換した際、ユーザが作業機の種類を入力しなくても、適切なメンテナンス情報が得られる作業車両を提供する。
【解決手段】各種の作業機7を選択的に装着可能な走行機体1と、作業機7の牽引荷重を検出するドラフトセンサ17と、作業機7に応じた制御を行う制御部30と、を備えるトラクタTであって、制御部30は、ドラフトセンサ17を用いて、現在装着されている作業機7の重量を計測する重量計測手段と、重量計測手段が計測した作業機重量に基づいて、現在装着されている作業機7の種類を判定する作業機判定手段と、作業機判定手段が判定した作業機7に関するメンテナンス情報を報知するメンテナンス報知手段と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の作業機を選択的に装着可能な走行機体と、
前記作業機の牽引荷重を検出する荷重センサと、
前記作業機に応じた制御を行う制御部と、を備える作業車両であって、
前記制御部は、
前記荷重センサを用いて、現在装着されている前記作業機の重量を計測する重量計測手段と、
前記重量計測手段が計測した作業機重量に基づいて、現在装着されている前記作業機の種類を判定する作業機判定手段と、
前記作業機判定手段が判定した前記作業機に関するメンテナンス情報を報知するメンテナンス報知手段と、を備えることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記作業機に作業動力を伝達するPTO軸と、
前記PTO軸の回転数を検出するPTO回転センサと、をさらに備え、
各種の前記作業機には、耕耘深さを検出する耕耘深さセンサを備えたロータリ耕耘作業機は含まれ、
前記メンテナンス報知手段は、前記作業機判定手段が判定した前記作業機がロータリ耕耘作業機である場合、前記PTO回転センサ及び前記耕耘深さセンサのセンサ値に基づいて耕耘爪の摩耗度判定を行い、その判定結果を報知することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記制御部は、
前記重量計測手段による前記作業機の重量計測中であることを報知する重量計測報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタなどの作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタなどの作業車両のなかには、装着された作業機に関するメンテナンス情報を検出したり報知したりする機能を備えるものがある。例えば、特許文献1には、ロータリ耕耘作業機に設けられる耕耘爪の摩耗具合を検出可能な作業車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-106968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各種の作業機を選択的に装着可能な作業車両では、作業機毎にメンテナンス情報が相違するので、仮に各種の作業機のメンテナンス情報を報知する機能を備えていたとしても、作業機を交換した際、少なくともユーザが作業機の種類を入力する必要があり、ユーザ負担が増大するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、各種の作業機を選択的に装着可能な走行機体と、前記作業機の牽引荷重を検出する荷重センサと、前記作業機に応じた制御を行う制御部と、を備える作業車両であって、前記制御部は、前記荷重センサを用いて、現在装着されている前記作業機の重量を計測する重量計測手段と、前記重量計測手段が計測した作業機重量に基づいて、現在装着されている前記作業機の種類を判定する作業機判定手段と、前記作業機判定手段が判定した前記作業機に関するメンテナンス情報を報知するメンテナンス報知手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の作業車両であって、前記作業機に作業動力を伝達するPTO軸と、前記PTO軸の回転数を検出するPTO回転センサと、をさらに備え、各種の前記作業機には、耕耘深さを検出する耕耘深さセンサを備えたロータリ耕耘作業機は含まれ、前記メンテナンス報知手段は、前記作業機判定手段が判定した前記作業機がロータリ耕耘作業機である場合、前記PTO回転センサ及び前記耕耘深さセンサのセンサ値に基づいて耕耘爪の摩耗度判定を行い、その判定結果を報知することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の作業車両であって、前記制御部は、前記重量計測手段による前記作業機の重量計測中であることを報知する重量計測報知手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、作業機重量に基づいて現在装着されている作業機の種類を判定し、判定した作業機に関するメンテナンス情報を報知するので、作業機を交換した際、ユーザが作業機の種類を入力しなくても、適切なメンテナンス情報が得られる。また、作業機の重量は、作業機の牽引荷重を検出する荷重センサを利用して計測するので、専用の重量計測センサを設ける場合に比べてコストを低減できる。
請求項2の発明によれば、メンテナンス報知手段は、作業機判定手段が判定した作業機がロータリ耕耘作業機である場合、PTO回転センサ及び耕耘深さセンサのセンサ値に基づいて耕耘爪の摩耗度判定を行い、その判定結果を報知するので、専用の摩耗度検出装置を設けなくても、耕耘爪の摩耗度をユーザに報知できる。
請求項3の発明によれば、重量計測手段による作業機の重量計測中であることを報知する重量計測報知手段を備えるので、ユーザは、作業機の動作が重量計測によるものであることを認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るトラクタの側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るトラクタの作業機連結部を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るトラクタの操縦部を示す図であり、(a)はメータパネルの正面図であり、(b)はサイド操作パネルの平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るトラクタの制御構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係るトラクタが用いる耕耘爪摩耗度判定手法を示す説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係るトラクタの重量測定制御の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はトラクタT(作業車両)の走行機体であって、該走行機体1は、エンジンが搭載されるエンジン搭載部2と、エンジン動力を変速するミッションケース3と、ミッションケース3から出力される走行動力で回転駆動する前輪4及び後輪5と、オペレータが乗車する操縦部6と、各種の作業機7を装着可能な作業機連結部8と、を備える。
【0009】
図1及び図2に示すように、作業機連結部8は、機体後部に設けられるトップリンクブラケット9及び左右一対のロワリンクブラケット10と、機体後部に設けられ、リフトアームシリンダ(図示せず)の油圧伸縮動作に応じて上下回動する左右一対のリフトアーム11と、ミッションケース3が変速した作業動力を作業機7に出力するPTO軸12と、トップリンクブラケット9に作業機7を連結するトップリンク13と、左右一対のロワリンクブラケット10に作業機7を連結する左右一対のロワリンク14と、左右一対のロワリンク14を左右一対のリフトアーム11に連結する左右一対のリフトロッド15と、左右いずれかのリフトロッド16に介設されるリフトロッドシリンダ16と、を備える。
【0010】
このような作業機連結部8によれば、リフトアームシリンダを油圧伸縮動作させると、左右一対のリフトアーム11が上下方向に回動するのに応じて、左右一対のリフトロッド15及びロワリンク14が上下動することで、作業機7が昇降される。また、リフトロッドシリンダ16を油圧伸縮動作させると、左右いずれかのロワリンク14が上下動することで、作業機7が左右に傾斜される。
【0011】
トップリンクブラケット9は、走行機体1の後部に固定される固定ブラケット9aと、固定ブラケット9aに支軸9bを介して前後回動可能に支持される可動ブラケット9cと、可動ブラケット9cを所定方向に付勢する付勢部材(図示せず)と、可動ブラケット9cの変位を検出するドラフトセンサ17(荷重センサ:例えば、ポテンショメータ)と、を備える。
【0012】
例えば、作業機連結部8にプラウなどの耕起用作業機を装着した作業では、作業機連結部8に大きな牽引荷重が作用する。この牽引荷重は、トップリンク13を介してトップリンクブラケット9に入力され、牽引荷重の変化に応じた可動ブラケット9の変位としてドラフトセンサ17に検出される。ドラフトセンサ17の検出値は、主に、耕起用作業機の牽引荷重が限界値を超えないように、耕起用作業機を自動的に昇降制御するドラフト自動制御で利用されるが、作業機7の重量計測にも利用できる。例えば、作業機7を所定の高さで停止させた状態では、作業機7の重量に応じた荷重がトップリンク13を介してトップリンクブラケット9に入力されるので、作業機7の重量を可動ブラケット9の変位としてドラフトセンサ17で検出することができる。
【0013】
本実施形態の走行機体1に装着された作業機7は、PTO軸12から供給される動力で複数の耕耘爪7aを回転させ、回転する複数の耕耘爪7aによって土壌を耕耘するロータリ耕耘作業機であり、リヤカバー7bの角度検出に基づいて耕耘深さを検出する耕耘深さセンサ18(図4参照)を備える。
【0014】
図1及び図3に示すように、操縦部6には、運転席19の他に、メータパネル20やサイド操作パネル21が設けられている。図3の(a)に示すように、メータパネル20には、エンジン回転数を表示するタコメータ22、各種の状態表示を行う複数のランプ23、液晶パネルで構成される表示装置24などが組み込まれている。
【0015】
また、図3の(b)に示すように、サイド操作パネル21には、主に作業機7を操作するための操作具が配置されており、具体的は、作業機7の昇降位置を設定するポジションコントロールレバー25、後述する深さ自動制御をON/OFFする深さ自動スイッチ26、深さ自動制御の目標深さを設定する深さ設定ボリューム27、後述する傾き自動制御をON/OFFする傾き自動スイッチと傾き自動制御の目標傾斜を設定する傾き設定ボリュームを兼ねる傾き自動操作具28、作業の種類を設定する作業切替スイッチ29などが配置されている。
【0016】
作業切替スイッチ29により選択可能な作業項目には、「ドラフト」、「ロータリ」、「ハロー」、「重量測定」などが含まれる。「ドラフト」は、ドラフト自動制御を実行する耕起用作業機を装着した場合に選択され、「ロータリ」は、深さ自動制御や傾き自動制御する実行するロータリ耕耘作業機を装着した場合に選択され、「ハロー」は、深さ自動制御や傾き自動制御する実行する代掻き作業機を装着した場合に選択される。また、「重量測定」は、作業機連結部8に装着された作業機の重量を計測し、計測した重量に基づいて作業機の種類を自動的に判定する重量測定制御を実行する場合に選択される。なお、「重量測定」は、作業切替スイッチ29の複数の押し操作で選択するようにしてもよいし、作業切替スイッチ29の長押し操作で選択するようにしてもよい。
【0017】
図4に示すように、トラクタTには、各種の制御を実行する制御部30が設けられている。制御部30の入力側には、前述した作業切替スイッチ29などの操作具類や、ドラフトセンサ17、耕耘深さセンサ18などのセンサ類が接続されている。例えば、制御部30に接続されるセンサ類には、走行機体1の傾斜を検出する傾斜センサ31、作業機7の高さを検出する作業機高さセンサ32、PTO軸12の回転を検出するPTO回転センサ33などが含まれる。
【0018】
また、制御部30の出力側には、前述したランプ23、表示装置24に加え、リフトアームシリンダを油圧伸縮動作させるリフトアームバルブ34や、報知音を出力するホーン35が接続されている。
【0019】
制御部30は、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現する機能構成として、深さ自動制御を実行する深さ自動制御手段と、傾き自動制御を実行する傾き自動制御手段と、ドラフト自動制御を実行するドラフト自動制御手段と、重量測定制御を実行する重量測定制御手段と、を備える。
【0020】
深さ自動制御は、深さ設定ボリューム27の設定深さと耕耘深さセンサ18の検出深さが一致するように作業機7を自動的に昇降制御する自動制御機能である。また、傾き自動制御は、傾き自動操作具28の設定傾斜と傾斜センサ31の検出傾斜が一致するように作業機7を自動的に傾斜制御する自動制御機能である。また、ドラフト自動制御は、ドラフトセンサ17の検出値が所定の設定値を超えないように、耕起用作業機を自動的に昇降制御する自動制御機能である。また、重量測定制御は、作業機連結部8に連結された作業機7を判定して適合するメンテナンス情報を報知する制御機能である。
【0021】
重量測定制御手段には、重量計測手段、重量計測報知手段、作業機判定手段及びメンテナンス報知手段が含まれる。
【0022】
重量計測手段は、ドラフトセンサ17を用いて、現在装着されている作業機7の重量を計測する。例えば、作業機7を所定の計測高さまで昇降させた後、昇降停止状態でドラフトセンサ17の検出値を入力し、該入力した検出値に基づいて作業機7の重量を計測する。
【0023】
重量計測報知手段は、所定の報知手段(ランプ23、表示装置24、ホーン35など)を用いて、重量計測手段による作業機7の重量計測中であることを報知する。これによりユーザは、作業機7の動作が重量計測によるものであることを認識できる。
【0024】
作業機判定手段は、重量計測手段が計測した作業機重量に基づいて、現在装着されている作業機7の種類を判定する。例えば、重量計測手段が計測した作業機重量と、事前に登録された作業機情報(少なくとも作業機の種別情報と重量情報が含まれる)に基づいて、現在装着されている作業機7の種類を判定する。
【0025】
メンテナンス報知手段は、作業機判定手段が判定した作業機7に関するメンテナンス情報を報知する。このようなトラクタTによれば、作業機重量に基づいて現在装着されている作業機7の種類を判定し、判定した作業機7に関するメンテナンス情報を報知するので、作業機7を交換した際、ユーザが作業機7の種類を入力しなくても、適切なメンテナンス情報が得られる。
【0026】
メンテナンス情報は、作業機7の種類毎に設定される。例えば、作業機7がロータリ耕耘作業の場合は、耕耘爪7aの摩耗度情報などが含まれ、肥料散布機や薬剤散布機の場合は、肥料や薬剤の消費量情報などが含まれる。
【0027】
作業機7がロータリ耕耘作業機である場合を具体的に説明すると、メンテナンス報知手段は、図5に示すように、PTO回転センサ33及び耕耘深さセンサ18のセンサ値などの各種パラメータ値に基づいて耕耘爪7aの摩耗度判定を行い、その判定結果を表示装置24などで報知する。つまり、耕耘爪7aの摩耗は、耕耘深さが浅いときよりも深いときの方が早く、PTO回転数が低いときよりも高いときの方が早く、車速が遅いときよりも早いときの方が早い。また、作業機モードが代掻きのときよりも耕耘のときの方が耕耘爪7aの摩耗が早い。メンテナンス報知手段は、作業機毎の稼働時間を記憶し、作業機7がロータリ耕耘作業機である場合は、ロータリ耕耘作業機の稼働時間に上記のパラメータを掛け合わせることで、耕耘爪7aの摩耗度を判定し、判定した摩耗度をユーザに報知する。
【0028】
つぎに、上記のような機能構成を実現する制御部30の具体的な制御手順について、図6を参照して説明する。
【0029】
図6に示すように、制御部30は、重量測定制御がONであるか否かを判断し(S1)、この判断結果がNOの場合は、上位ルーチンに復帰する一方、判断結果がYESの場合は、傾斜センサ31の検出値に基づいて、走行機体1が傾斜しているか否かを判断する(S2)。制御部30は、走行機体1が傾斜していると判断した場合、所定の報知手段(ランプ23、表示装置24、ホーン35など)を用いて、走行機体1が傾斜していることを報知し(S3)、上位ルーチンに復帰する。つまり、走行機体1が傾斜している状態では、正確な作業機重量を計測できないため、機体傾斜を報知して重量測定制御を中断又は中止する。
【0030】
制御部30は、ステップS2の判断結果がYESの場合、リフトアーム11が昇降動作中(リフト位置移動中)か否かと、重量計測中であるか否かを判断し(S4、S5)、ここで、いずれの判断結果もNOの場合は、所定の計測位置に向けたリフトアーム11の移動を開始するとともに(S6、S7)、リフトアーム11の位置変更を所定の報知手段を用いて報知する(S8)。制御部30は、所定の計測位置に向けたリフトアーム11の移動を開始した後、リフトアーム11が計測位置に移動したか否かを判断し(S9)、この判断結果がNOの場合は、上位ルーチンに復帰するとともに、ステップS4の判断(YES)に基づいてステップS5~S8をスキップしつつ、ステップS9の判断を繰り返す。
【0031】
制御部30は、リフトアーム11が計測位置に移動したと判断したら(S9=YES)、リフトアーム11を停止させて(S10)、リフトアーム11の位置計測を終了するとともに(S11)、作業機7の重量計測を開始し(S12)、作業機重量計測状態であることを所定の報知手段を用いて報知する(S13)。制御部30は、作業機7の重量計測を開始した後、重量計測に必要な所定時間が経過したか否かを判断し(S14)、この判断結果がNOの場合は、上位ルーチンに復帰するとともに、ステップS5の判断(YES)に基づいてステップS6~S13をスキップしつつ、ステップS14の判断を繰り返す。
【0032】
制御部30は、所定時間が経過したと判断したら(S14=YES)、重量計測を終了するとともに(S15)、計測した重量に基づいて作業機7の種類を判定し(S16)、作業機毎の稼働時間を取得する(S17)。続いて、制御部30は、PTO回転数情報、作業機高さ情報及び耕耘深さ情報を取得した後(S18~S20)、部品交換時間を算出する(S21)。部品交換時間は、作業機7の消耗部品が交換時期となるまでの予測時間(予測耐久時間)であり、例えば、ロータリ耕耘作業機の場合、PTO回転数情報、作業機高さ情報及び耕耘深さ情報に基づいて耕耘爪7aの摩耗度を判定し、該摩耗度に基づいて耕耘爪7aの部品交換時間を算出する。その後、制御部30は、稼働時間と部品交換時間を比較し(S22)、稼働時間が部品交換時間を超えたと判断した場合は、交換すべき部品を表示装置24で報知する(S23)。
【0033】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、各種の作業機7を選択的に装着可能な走行機体1と、作業機7の牽引荷重を検出するドラフトセンサ17と、作業機7に応じた制御を行う制御部30と、を備えるトラクタTであって、制御部30は、ドラフトセンサ17を用いて、現在装着されている作業機7の重量を計測する重量計測手段と、重量計測手段が計測した作業機重量に基づいて、現在装着されている作業機7の種類を判定する作業機判定手段と、作業機判定手段が判定した作業機7に関するメンテナンス情報を報知するメンテナンス報知手段と、を備えるので、作業機7を交換した際、ユーザが作業機7の種類を入力しなくても、適切なメンテナンス情報が得られる。また、作業機7の重量は、作業機7の牽引荷重を検出するドラフトセンサ17を利用して計測するので、専用の重量計測センサを設ける場合に比べてコストを低減できる。
【0034】
また、トラクタTは、作業機7に作業動力を伝達するPTO軸12と、PTO軸12の回転数を検出するPTO回転センサ33と、をさらに備え、各種の作業機7には、耕耘深さを検出する耕耘深さセンサ18を備えたロータリ耕耘作業機は含まれ、メンテナンス報知手段は、作業機判定手段が判定した作業機7がロータリ耕耘作業機である場合、PTO回転センサ33及び耕耘深さセンサ18のセンサ値に基づいて耕耘爪7aの摩耗度判定を行い、その判定結果を報知するので、専用の摩耗度検出装置を設けなくても、耕耘爪7aの摩耗度をユーザに報知できる。
【0035】
また、制御部30は、重量計測手段による作業機7の重量計測中であることを報知する重量計測報知手段をさらに備えるので、ユーザは、作業機7の動作が重量計測によるものであることを認識できる。
【符号の説明】
【0036】
T トラクタ
1 走行機体
7 作業機
7a 耕耘爪
8 作業機連結部
17 ドラフトセンサ
18 耕耘深さセンサ
29 作業切替スイッチ
30 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6