(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035672
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】温水供給装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/10 20220101AFI20220225BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20220225BHJP
F23N 5/00 20060101ALN20220225BHJP
【FI】
F24H1/10 303Z
F23N5/24 107Z
F23N5/24 113Z
F23N5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140163
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼石 智也
【テーマコード(参考)】
3K003
3L034
【Fターム(参考)】
3K003EA02
3K003FA05
3K003FB10
3K003FC04
3K003GA03
3K003TB07
3K003TC01
3K003TC08
3K003XA07
3K003XB01
3K003XB06
3K003XC03
3L034EA07
(57)【要約】
【課題】COセンサとマイクロコンピュータとの間に介在するインタフェース回路に故障が生じた場合も、一酸化炭素の濃度上昇を適正に抑制することが可能な温水供給装置を提供する。
【解決手段】温水供給装置は、燃焼器と、一酸化炭素を検出するためのCOセンサS8と、温水供給動作を制御するための回路が実装された制御基板30と、を備える。制御基板30は、温水供給動作を制御するマイクロコンピュータ301と、COセンサS8から出力される信号を処理してマイクロコンピュータ301に入力するインタフェース回路305と、インタフェース回路305の故障を検出する故障検出回路310と、を備え、故障の検出に基づいて、温水供給動作のうち、少なくとも燃焼器の燃焼動作を停止させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器と、
一酸化炭素を検出するためのCOセンサと、
温水供給動作を制御するための回路が実装された制御基板と、を備え、
前記制御基板は、
前記温水供給動作を制御するマイクロコンピュータと、
前記COセンサから出力される検出信号を処理して前記マイクロコンピュータに入力するインタフェース回路と、
前記インタフェース回路の故障を検出する故障検出回路と、を備え、
前記故障の検出に基づいて、前記温水供給動作のうち、少なくとも前記燃焼器の燃焼動作を停止させる、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水供給装置において、
前記故障検出回路は、前記インタフェース回路に入力される前記検出信号と、故障検出のための参照信号とを大小比較する比較回路を備える、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温水供給装置において、
前記制御基板は、前記燃焼器に燃料を供給する燃料供給弁を閉止させることにより、前記燃焼器の燃焼動作を停止させる、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の温水供給装置において、
前記燃料供給弁を駆動する供給弁駆動回路を備え、
前記故障検出回路は、前記故障の検出に応じて、前記供給弁駆動回路を、前記燃料供給弁が閉止するように動作させる、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の温水供給装置において、
前記供給弁駆動回路は、前記マイクロコンピュータからの制御信号に応じて動作し、
前記故障検出回路は、前記故障の検出に応じて、前記燃料供給弁を閉止させるための前記制御信号を前記供給弁駆動回路に入力させるスイッチング回路を含む、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項6】
請求項3に記載の温水供給装置において、
前記故障検出回路は、前記故障の検出結果を前記マイクロコンピュータに出力し、
前記マイクロコンピュータは、前記故障の検出結果の入力に応じて、前記燃料供給弁を閉止させる、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の温水供給装置において、
温水暖房機能の実行時に暖房端末との間で温水を循環させるポンプをさらに備え、
前記制御基板は、前記故障の検出により、前記暖房用のポンプを停止させる、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の温水供給装置において、
追い焚き機能の実行時に浴槽との間で温水を循環させるポンプをさらに備え、
前記制御基板は、前記故障の検出により、前記第追い焚き用のポンプを停止させる、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の温水供給装置において、
前記ポンプを駆動するポンプ駆動回路を備え、
前記故障検出回路は、前記故障の検出に応じて、前記ポンプ駆動回路の動作を停止させる、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項10】
請求項9に記載の温水供給装置において、
前記ポンプ駆動回路は、前記マイクロコンピュータからの制御信号に応じて動作し、
前記故障検出回路は、前記故障の検出に応じて、前記ポンプ駆動回路を非動作状態に設定する前記制御信号を前記ポンプ駆動回路に入力させるスイッチング回路を含む、
ことを特徴とする温水供給装置。
【請求項11】
請求項7または8に記載の温水供給装置において、
前記故障検出回路は、前記故障の検出結果を前記マイクロコンピュータに出力し、
前記マイクロコンピュータは、前記故障の検出結果の入力に応じて、前記ポンプを停止させる、
ことを特徴とする温水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器により温水を生成して供給する温水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼器により生成された温水を、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給する温水供給装置が知られている。この他、床暖房パネルやパネルヒータ、浴室に設置された温水ミスト発生装置に、温水を供給する温水供給装置も知られている。これらの温水供給装置では、燃焼器を収容した筐体が室内に設置される場合がある。この場合、不完全燃焼による一酸化炭素の発生に応じて燃焼器の燃焼動作を停止させ得るように、COセンサが温水供給装置に設置される。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1に記載の燃焼機器では、COセンサの出力が所定の基準レベル以上となったときに、燃焼部の運転を停止させる制御が行われる。さらに、この特許文献1には、COセンサに劣化が進行した場合に、所定の異常処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、COセンサからの出力は、コネクタおよびインタフェース回路を介して、制御用のマイクロコンピュータに入力される。このため、COセンサの動作は正常であっても、COセンサとマイクロコンピュータとの間に介在するインタフェース回路に故障が生じると、COセンサの出力がマイクロコンピュータに対して適正に入力されなくなる。この場合、一酸化炭素の濃度上昇を抑制する制御を適正に行うことができなくなってしまう。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、COセンサとマイクロコンピュータとの間に介在するインタフェース回路に故障が生じた場合も、一酸化炭素の濃度上昇を適正に抑制することが可能な温水供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係る温水供給装置は、燃焼器と、一酸化炭素を検出するためのCOセンサと、温水供給動作を制御するための回路が実装された制御基板と、を備える。ここで、前記制御基板は、前記温水供給動作を制御するマイクロコンピュータと、前記COセンサから出力される信号を処理して前記マイクロコンピュータに入力するインタフェース回路と、前記インタフェース回路の故障を検出する故障検出回路と、を備え、前記故障の検出に基づいて、前記温水供給動作のうち、少なくとも前記燃焼器の燃焼動作を停止させる。
【0008】
本態様に係る温水供給装置によれば、インタフェース回路に故障が生じた場合に、少なくとも、燃焼器の燃焼動作が停止される。よって、インタフェース回路に故障が生じた場合も、一酸化炭素の濃度上昇を適正に抑制することができる。
【0009】
なお、本態様において、「故障」とは、インタフェース回路からマイクロコンピュータに、COセンサからの検出信号に基づく信号が出力されない状態の他、インタフェース回路からマイクロコンピュータに出力される信号が、インタフェース回路に入力される検出信号に応じた正規の信号から低下した状態も含むものである。
【0010】
本態様に係る温水供給装置において、前記故障検出回路は、前記インタフェース回路に入力される前記検出信号と、故障検出のための参照信号とを大小比較する比較回路を備えた構成とされ得る。
【0011】
この構成によれば、検出信号が参照信号より大きくなった場合に、インタフェース回路の故障が検出される。このため、一酸化炭素の濃度が参照信号に応じた濃度よりも高くなった場合に、燃焼器の燃焼動作が停止され、一酸化炭素の濃度が参照信号に応じた濃度以下である場合は、燃焼器の燃焼動作は停止されない。よって、温水供給装置の動作をなるべく維持しつつ、一酸化炭素の濃度上昇時に確実に、燃焼器の燃焼動作を停止させることができる。
【0012】
本態様に係る温水供給装置において、前記制御基板は、前記燃焼器に燃料を供給する燃料供給弁を閉止させることにより、前記燃焼器の燃焼動作を停止させるよう構成され得る。
【0013】
この構成によれば、インタフェース回路の故障時に、燃料供給弁を閉止させることによって燃焼器の燃焼動作が停止されるため、燃焼器の燃焼動作を確実に停止させることができる。
【0014】
この場合、温水供給装置は、前記燃料供給弁を駆動する供給弁駆動回路を備え、前記故障検出回路は、前記故障の検出に応じて、前記燃料供給弁を駆動する供給弁駆動回路を、前記燃料供給弁が閉止するように動作させるよう構成され得る。
【0015】
この構成によれば、インタフェース回路の故障が検出された際に、故障検出回路が直接、燃料供給弁を閉止させるため、燃焼器の燃焼動作を確実に閉止させることができる。
【0016】
また、この構成において、前記供給弁駆動回路は、前記マイクロコンピュータからの制御信号に応じて動作し、前記故障検出回路は、前記故障の検出に応じて、前記燃料供給弁を閉止させるための前記制御信号を前記供給弁駆動回路に入力させるスイッチング回路を含むよう構成され得る。
【0017】
この構成によれば、故障検出回路にスイッチング回路を含めるといった簡素な構成により、インタフェース回路の故障時に、燃料供給弁を閉止させることができる。
【0018】
あるいは、前記故障検出回路は、前記故障の検出結果を前記マイクロコンピュータに出力し、前記マイクロコンピュータは、前記故障の検出結果の入力に応じて、前記燃料供給弁を閉止させるよう構成され得る。
【0019】
この構成によれば、インタフェース回路の故障時に、マイクロコンピュータによる制御により、燃料供給弁を閉止させることができる。
【0020】
本態様に係る温水供給装置は、温水暖房機能の実行時に暖房端末との間で温水を循環させるポンプをさらに備え得る。この場合、前記制御基板は、前記故障の検出により、前記暖房用のポンプを停止させるよう構成され得る。
【0021】
この構成によれば、インタフェース回路の故障に応じて、燃焼器の燃焼動作が停止された後に、暖房用のポンプが動作し続けて、加熱されない低温の温水が暖房端末に循環されることを抑制できる。これにより、暖房端末の使用者に顕著な違和感を生じさせることを回避できる。また、燃焼器の燃焼動作が停止された後に、暖房用のポンプが動作し続けて、無駄に電力が消費されることを防ぐことができる。
【0022】
また、本態様に係る温水供給装置は、追い焚き機能の実行時に浴槽との間で温水を循環させるポンプをさらに備え得る。この場合、前記制御基板は、前記故障の検出により、前記追い焚き用のポンプを停止させるよう構成され得る。
【0023】
この構成によれば、インタフェース回路の故障に応じて、燃焼器の燃焼動作が停止された後に、追い焚き用のポンプが動作し続けて、加熱されない低温の温水が浴槽に循環されることを抑制できる。これにより、浴槽の入浴者に顕著な違和感を生じさせることを回避できる。また、燃焼器の燃焼動作が停止された後に、追い焚き用のポンプが動作し続けて、無駄に電力が消費されることを防ぐことができる。
【0024】
これらの構成において、温水供給装置は、前記ポンプを駆動するポンプ駆動回路を備え、前記故障検出回路は、前記故障の検出に応じて、前記ポンプ駆動回路の動作を停止させるよう構成され得る。
【0025】
この構成によれば、インタフェース回路の故障が検出された際に、故障検出回路が直接、ポンプ駆動回路の動作を停止させるため、ポンプの動作を確実に停止させることができる。
【0026】
この場合、前記ポンプ駆動回路は、前記マイクロコンピュータからの制御信号に応じて動作し、前記故障検出回路は、前記故障の検出に応じて、前記ポンプ駆動回路を非動作状態に設定する前記制御信号を前記ポンプ駆動回路に入力させるスイッチング回路を含む構成とされ得る。
【0027】
この構成によれば、故障検出回路にスイッチング回路を含めるといった簡素な構成により、インタフェース回路の故障時に、上記ポンプを停止させることができる。
【0028】
あるいは、前記故障検出回路は、前記故障の検出結果を前記マイクロコンピュータに出力し、前記マイクロコンピュータは、前記故障の検出結果の入力に応じて、前記ポンプを停止させるよう構成され得る。
【0029】
この構成によれば、インタフェース回路の故障時に、マイクロコンピュータによる制御により、上記ポンプを停止させることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のとおり、本発明によれば、COセンサとマイクロコンピュータとの間に介在するインタフェース回路に故障が生じた場合も、一酸化炭素の濃度上昇を適正に抑制することが可能な温水供給装置を提供することができる。
【0031】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る、温水供給装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例に係る、制御基板上の回路の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る、制御基板上の回路の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態2に係る、制御基板上の回路の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態3に係る、制御基板上の回路の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態3に係る、故障検出回路からの信号に基づき実行されるマイクロコンピュータの制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、温水供給装置1が室内に設置される。
【0034】
なお、本実施形態では、元ガス電磁弁112が、特許請求の範囲に記載の「燃料供給弁」に対応し、元ガス電磁弁駆動回路302が、特許請求の範囲に記載の「供給弁駆動回路」に対応する。
【0035】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0036】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る、温水供給装置1の構成を示す図である。
【0037】
温水供給装置1は、第1温水供給部10と第2温水供給部20とを備える。第1温水供給部10は、給湯用の温水を生成して給湯端末に供給し、第2温水供給部20は、暖房およびふろ追い焚き用の温水を生成して暖房端末および浴槽にそれぞれ供給する。第1温水供給部10および第2温水供給部20は、温水供給装置1の外郭を形成する筐体2に収容されている。
【0038】
さらに、筐体2には、温水供給動作を制御するための回路が実装された制御基板30と、燃焼室を構成する缶体40とが収容されている。また、缶体40の内部に燃焼用の空気を供給するためのファン50が、筐体2に収容されている。缶体40の排気口41は、筐体2の上面から外部に導かれている。
【0039】
第1温水供給部10は、1次熱交換器101と、2次熱交換器102と、燃焼器103とを備える。燃焼器103は、燃料ガスを燃焼させるガスバーナである。1次熱交換器101および2次熱交換器102は、燃焼器103で生じた燃焼ガスから熱を回収して、入水管104を流れる水を加熱昇温させる。入水管104には、水源からの水が供給される。1次熱交換器101および2次熱交換器102における熱交換により生成された温水が、出湯管105から出湯される。出湯された温水は、台所および浴室のカランや、浴槽に供給される。すなわち、出湯管105および出湯管105とカラン等の給湯端末とを接続する配管によって、暖房端末との間の循環経路が構成される。
【0040】
入水管104と出湯管105の間には、バイパス流路106が設けられている。このバイパス流路106に、制御基板30によって制御される流量調節弁107が設置されている。流量調節弁107が開放されると、バイパス流路106を介して、入水管104から出湯管105に水が流入する。こうして、出湯管105を流れる温水に水が混ざることで、温水の温度が調整される。
【0041】
燃焼器103には、ガス管111を介して、燃料ガスが供給される。ガス管111には、燃料ガスの供給および遮断を切り替えるための元ガス電磁弁112が設置されている。元ガス電磁弁112は、制御基板30によって制御される。ガス管111は、元ガス電磁弁112の下流側において2つの流路111a、111bに分岐している。流路111a、111bには、それぞれ、燃料ガスの流通量を制御するための比例弁113、114が設置されている。比例弁113、114は、制御基板30によって制御される。
【0042】
流路111a、111bは、それぞれ、燃焼器103、203に接続されている。元ガス電磁弁112が開放されると、比例弁113、114により規定される流通量の燃料ガスが、燃焼器103、203に供給される。これにより、所定の燃焼量で燃焼器103、203が燃焼を行う。さらに、比例弁113、114の下流に、燃焼器103、203における燃焼領域を切り替えるための調整弁が設けられてもよい。
【0043】
第2温水供給部20は、1次熱交換器201と、2次熱交換器202と、燃焼器203とを備える。燃焼器203は、燃料ガスを燃焼させるガスバーナである。1次熱交換器201および2次熱交換器202は、それぞれ、燃焼器203で生じた燃焼ガスから熱を回収して、流通管213、214を流れる水を加熱昇温させる。流通管211~215により暖房用の流路が構成され、流通管221~223によりふろ追い焚き用の流路が構成される。
【0044】
まず、温水暖房機能について、流通管211から出湯された温水は、パネルヒータや温水ミスト発生装置等の比較的高温(たとえば、80℃程度)の温水を必要とする暖房端末に供給される。流通管212から出湯された温水は、床暖房パネル等の比較的低温(たとえば、60℃程度)の温水を必要とする暖房端末に供給される。これらの暖房端末を循環した温水は、流通管213に戻される。すなわち、流通管211、212、213と、これらの流通管と暖房端末とを接続する配管、および、流通管214、215とによって、暖房端末との間の循環経路が構成される。
【0045】
暖房用の流路と暖房端末との間で温水を循環させるために、膨張タンク216とポンプ217が設置されている。制御基板30によりポンプ217が駆動されると、膨張タンク216内の温水が、流通管211、212を通って各暖房端末に導入され、さらに、各暖房端末を通った温水が、流通管213に戻される。流通管213に戻された温水は、2次熱交換器202で加熱昇温され、膨張タンク216に貯留される。
【0046】
膨張タンク216に貯留された低温の温水は、流通管212を通って、低温の暖房端末に供給される。また、膨張タンク216に貯留された低温の温水は、流通管214を通って1次熱交換器201に流通され、高温の温水に加熱昇温される。その後、高温の温水は、流通管211を通って、高温の暖房端末に供給される。このとき、適宜、流通管215に設置された流量調節弁218が制御基板30により開かれる。これにより、膨張タンク216内の低温の温水が、流通管211を流れる高温の温水に混ぜられて、流通管211から出湯される温水の温度が調整される。こうして、各暖房端末と、1次熱交換器201および2次熱交換器202との間で、低温または高温の温水が循環される。
【0047】
次に、ふろ追い焚き機能について、流通管221から出湯された温水は、浴槽に供給された後、浴槽から流通管222に戻される。すなわち、流通管221、222と、これらの流通管と浴槽とを接続する配管とによって、浴槽との間の循環経路が構成される。流通管222には、浴槽との間で温水を循環させるためのポンプ224が設置されている。さらに、流通管222には、流通管223を流れる温水との間で熱交換を行うための液液熱交換器225が設置されている。
【0048】
ふろ追い焚き時には、制御基板30によりポンプ217が駆動された状態で、制御基板30により開閉弁226が開放される。これにより、1次熱交換器201で加熱昇温された温水が流通管223を流れ、液液熱交換器225により、流通管222を流れる温水が加熱昇温される。加熱昇温された温水は、ポンプ224の駆動により、浴槽に供給される。こうして、浴槽と流通管221、222との間で循環する温水が液液熱交換器225で加熱昇温されることにより、浴槽内の温水に対する追い焚きが行われる。
【0049】
また、筐体2内には、温水供給動作を実行するための各種センサが設置されている。すなわち、7つのサーミスタS1~S7とCOセンサS8が、筐体2内に設置されている。
【0050】
サーミスタS1は、出湯管105から出湯される直前の温水の温度を検知し、サーミスタS2は、缶体40の出口付近において出湯管105を流れる温水の温度を検知する。サーミスタS3、S4は、それぞれ、流通管211、212から各暖房端末に出湯される直前の温水の温度を検知し、サーミスタS5は、各暖房端末から流通管213に戻された温水の温度を検知する。サーミスタS6は、流通管221から浴槽に出湯される直前の温水の温度を検知し、サーミスタS7は、浴槽から流通管222に戻された温水の温度を検知する。
【0051】
COセンサS8は、一酸化炭素を検知する。COセンサS8は、一酸化炭素の濃度が高くなるほど大きくなる信号(電圧)を出力する。たとえば、COセンサS8は、一酸化炭素の濃度に応じて0~5ボルトの電圧を出力する。
【0052】
なお、
図1の構成では、COセンサS8が筐体2の内部に設置されたが、COセンサS8が、筐体2の外部に設置され、温水供給装置1の設置位置付近の一酸化炭素を検知するように構成されてもよい。
【0053】
この他、出湯管105を流れる温水の流量を検知するための流量センサ(図示せず)や、燃焼器103、203の燃焼を検出するための燃焼センサ等の他のセンサが筐体2内に設置される。制御基板30は、流量センサにより所定量以上の流量が検知されると、第1温水供給部10を動作させる。この他、燃焼器103、203を点火するためのイグナイタが設置される。
【0054】
また、浴室や台所等にリモートコントローラが設置される。リモートコントローラは通信線を介して制御基板30に接続される。制御基板30は、これらのリモートコントローラを介して、暖房端末を動作させる入力や、ふろ追い焚き機能を動作させる入力がなされることに応じて、第2温水供給部20を動作させる。このとき、制御基板30は、サーミスタS1~S7の検出結果を参照し、出湯管105および流通管211、212、221から供給される温水の温度が、リモートコントローラを介して設定された温度となるように、第1温水供給部10および第2温水供給部20における動作を制御する。こうして、温水供給装置1における温水供給動作が実行される。
【0055】
ところで、制御基板30は、COセンサS8により検知される一酸化炭素濃度が所定の閾値を超えた場合に、燃焼器103、203を含む動作部の動作を停止させる制御を行う。これにより、一酸化濃度の上昇が抑制され、使用者の安全性が確保される。
【0056】
図2は、比較例に係る、COセンサS8の検知結果に基づいて燃焼器103、203を含む動作部の動作を停止させるための回路構成を示す図である。
【0057】
図2に示すように、制御基板30には、マイクロコンピュータ301(以下、「マイコン301」という)と、元ガス電磁弁駆動回路302と、元ガス電磁弁監視回路303と、ポンプ駆動回路304と、インタフェース回路305と、が実装されている。元ガス電磁弁112は、コネクタ307を介して、直流電源Vcと、元ガス電磁弁駆動回路302および元ガス電磁弁監視回路303に接続されている。ポンプ217は、コネクタ308を介して、ポンプ駆動回路304と、交流電源60に接続されている。COセンサS8は、コネクタ306を介して、インタフェース回路305に接続されている。
【0058】
マイコン301は、予め実装されたプログラムに従って各部を制御する。元ガス電磁弁駆動回路302は、マイコン301からの制御信号に従って、元ガス電磁弁112を開閉する。具体的には、元ガス電磁弁駆動回路302は、マイコン301からハイレベルの制御信号が入力されると、元ガス電磁弁112を開放し、マイコン301からローレベル(グランドレベル)の制御信号が入力されると、元ガス電磁弁112を閉止する。元ガス電磁弁監視回路303は、元ガス電磁弁112の動作状態を示す電圧に基づいて、元ガス電磁弁112の開閉を監視する。
【0059】
ポンプ駆動回路304は、マイコン301からの制御信号に応じて、ポンプ217に交流電源60の電力を供給する。ここでは、ポンプ駆動回路304が、リレースイッチにより構成されている。ポンプ駆動回路304は、マイコン301からハイレベルの制御信号が入力されると、リレースイッチを閉じてポンプ217を動作させ、マイコン301からローレベル(グランドレベル)の制御信号が入力されると、リレースイッチを開放して、ポンプ217を停止させる。
【0060】
なお、ここでは、制御対象が、暖房用のポンプ217とされたが、制御対象が、ふろ追い焚き用のポンプ224であってもよい。また、暖房用のポンプ217とともに
ふろ追い焚き用のポンプ224が制御対象とされてもよい。この場合、
図2に示すポンプ駆動回路304と同様の回路系が、ふろ追い焚き用のポンプ224に対し追加される。
【0061】
インタフェース回路305は、COセンサS8から入力される電圧(検出信号)を抵抗で分圧し、分圧した電圧をマイコン301に入力する。上記のように、COセンサS8は、一酸化炭素の濃度に応じて0~5ボルトの電圧を出力する。インタフェース回路305は、この電圧を分圧してマイコン301に入力する。なお、インタフェース回路305は、さらに、マイコン301に適する信号を生成するための他の信号処理(たとえば、ノイズ除去等)を行ってもよい。
【0062】
図2の構成において、マイコン301は、温水供給動作の実行中に、インタフェース回路305から入力される電圧が所定の閾値を超えたか否かを監視する。ここで、閾値は、一酸化炭素濃度が異常であると規定される電圧範囲(インタフェース回路305から出力される電圧の範囲)の下限値に設定される。そして、マイコン301は、インタフェース回路305から入力される電圧の値が、上記閾値を超えたことに応じて、元ガス電磁弁駆動回路302およびポンプ駆動回路304に入力する制御信号を、ハイレベルからローレベル(グランドレベル)に切り替える。これにより、元ガス電磁弁112が閉止されて、燃焼器103、203の燃焼が停止される。また、これと並行して、ポンプ217が停止され、暖房端末に対する温水の循環が停止される。
【0063】
このように、
図2の構成では、一酸化炭素の濃度が異常となった場合に、燃焼器103、203の燃焼が停止されるため、さらなる一酸化炭素濃度の上昇が抑制される。これにより、使用者の安全性を確保できる。
【0064】
しかし、
図2の構成では、たとえば、外来ノイズ等によって、インタフェース回路305に故障が発生した場合、COセンサS8からの信号(電圧)が適正にマイコン301に入力されなくなる。この場合、COセンサS8によって検知された一酸化炭素濃度の検知結果が異常であっても、マイコン301は、そのことを検知できず、燃焼器103、203の動作を停止させる制御を行うことができない。
【0065】
このような問題を解消するため、本実施形態では、インタフェース回路305に故障が発生した場合においても、一酸化炭素濃度が異常となったことに応じて、燃焼器103、203の動作を停止させるための回路が、制御基板30に配置される。
【0066】
図3は、実施形態1に係る、COセンサS8の検知結果に基づいて燃焼器103、203の動作を停止させるための回路構成を示す図である。
【0067】
図3に示すように、実施形態1では、インタフェース回路305の故障を検出するための故障検出回路310が、制御基板30に実装されている。故障検出回路310以外の構成は、
図2に示した比較例の構成と同様である。
【0068】
故障検出回路310は、比較回路311と、スイッチング回路312と、参照信号設定回路313とを備える。比較回路311は、COセンサS8から入力される検出信号(電圧)と、参照信号設定回路313によって設定される参照信号(電圧)とを大小比較し、検出信号が参照信号より大きい場合に、ハイレベルの信号を出力する。スイッチング回路312は、トランジスタと2つの抵抗から構成される。スイッチング回路312は、比較回路311からハイレベルの信号が入力されることにより導通状態となり、信号線L2をグランドに接続する。信号線L2は、マイコン301と元ガス電磁弁駆動回路302とを接続する信号線L1に接続されている。
【0069】
参照信号設定回路313は、図示しない定電圧回路により定電圧化された直流電源Vcからの電圧を分圧して、参照信号(電圧値)を設定する。参照信号の値は、一酸化炭素濃度が異常であると規定される電圧範囲(COセンサS8から出力される電圧の範囲)の下限値より僅かに高い電圧値に設定される。すなわち、マイコン301が一酸化炭素濃度の異常を検出するための上記閾値に対応するCOセンサS8の出力電圧より僅かに高い電圧が、参照信号設定回路313の参照信号(電圧値)に設定される。
【0070】
このような構成の故障検出回路310を実装することにより、インタフェース回路305に故障が生じたために、マイコン301が一酸化炭素濃度の異常に応じた制御を適正に行えない場合であっても、略同様の一酸化炭素の濃度異常に応じて、燃焼器103、203の燃焼動作を停止させることができる。
【0071】
すなわち、COセンサS8からの検出信号(電圧)が、参照信号設定回路313で設定された参照信号(電圧)を超えると、比較回路311の出力がハイレベルに立ち上がり、インタフェース回路305の故障が検出される。これに応じて、スイッチング回路312のトランジスタがオンとなり、スイッチング回路312が導通する。これにより、信号線L2がグランドに接続され、マイコン301から元ガス電磁弁駆動回路302に入力される制御信号がローレベルに立ち下がる。このローレベルの信号は、元ガス電磁弁112を閉止するための制御信号に対応する。
【0072】
したがって、元ガス電磁弁駆動回路302は、このように制御信号がローレベルに立ち下がったことに応じて、元ガス電磁弁112を閉止させる。これにより、燃焼器103、203に対する燃料ガスの供給が遮断され、燃焼器103、203の燃焼が停止する。
【0073】
<実施形態1の効果>
上記のように、インタフェース回路305に故障が生じた場合に、少なくとも、燃焼器103、203の燃焼動作が停止される。よって、インタフェース回路305に故障が生じた場合も、一酸化炭素の濃度上昇を適正に抑制することができる。
【0074】
また、COセンサS8からの検出信号(電圧)が参照信号(電圧)より大きくなった場合に、インタフェース回路305の故障が検出されて、比較回路311からハイレベルの信号が出力される。このため、一酸化炭素の濃度が参照信号に応じた濃度よりも高くなった場合に、燃焼器103、203の燃焼動作が停止され、一酸化炭素の濃度が参照信号に応じた濃度以下である場合は、燃焼器103、203の燃焼動作は停止されない。これにより、温水供給装置1の動作をなるべく維持しつつ、一酸化炭素の濃度上昇時に確実に、燃焼器103、203の燃焼動作を停止させることができる。
【0075】
また、インタフェース回路305の故障時に、元ガス電磁弁112(燃料供給弁)を閉止させることによって燃焼器103、203の燃焼動作が停止される。これにより、燃焼器103、203の燃焼動作を確実に停止させることができる。
【0076】
また、インタフェース回路305の故障が検出された際に、故障検出回路310が直接、元ガス電磁弁112(燃料供給弁)を閉止させる。これにより、燃焼器103、203の燃焼動作を確実に閉止させることができる。
【0077】
具体的には、故障検出回路310は、故障の検出に応じて、元ガス電磁弁112(燃料供給弁)を閉止させるためのローレベル(グランドレベル)の制御信号を元ガス電磁弁駆動回路302(供給弁駆動回路)に入力させるスイッチング回路312を含んでいる。このように、故障検出回路310にスイッチング回路312を含めるといった簡素な構成により、インタフェース回路305の故障時に、元ガス電磁弁112(燃料供給弁)を閉止させることができる。
【0078】
<実施形態2>
上記実施形態1では、インタフェース回路305の故障検出時に、燃焼器103、203の燃焼動作が停止されたが、本実施形態2では、インタフェース回路305の故障検出時に、さらに、暖房用のポンプ217が停止される。
【0079】
図4は、実施形態2に係る、COセンサS8の検知結果に基づいてポンプ217の動作を停止させるための回路構成を示す図である。便宜上、
図4では、
図3に示した故障検出回路310に関する構成の図示が省略されている。
【0080】
故障検出回路320の構成は、
図3に示した故障検出回路310の構成と同様である。故障検出回路320は、比較回路321と、スイッチング回路322と、参照信号設定回路323とを備える。比較回路321と、スイッチング回路322と、参照信号設定回路323の構成および機能は、
図3に示した比較回路311と、スイッチング回路312と、参照信号設定回路313の構成および機能と同様である。信号線L4の一端は、マイコン301とポンプ駆動回路304とを接続する信号線L3に接続され、信号線L4の他端はスイッチング回路322に接続されている。
【0081】
図4の構成において、COセンサS8からの検出信号(電圧)が、参照信号設定回路323で設定された参照信号(電圧)を超えると、比較回路321の出力がハイレベルに立ち上がり、スイッチング回路322が導通する。これにより、信号線L4がグランドに接続され、マイコン301からポンプ駆動回路304に入力される制御信号がローレベルに立ち下がる。この制御信号は、ポンプ駆動回路304のリレーを開放させる制御信号である。したがって、制御信号がローレベルに立ち下がったことに応じて、ポンプ217が停止する。
【0082】
なお、ここでは、制御対象が、暖房用のポンプ217とされたが、制御対象が、ふろ追い焚き用のポンプ224である場合は、
図4に括弧書きで示すように、ポンプ217がポンプ224に置き換えられる。また、暖房用のポンプ217とともにふろ追い焚き用のポンプ224が制御対象とされる場合は、
図4に示すポンプ駆動回路304と故障検出回路320とを含む回路系と同様の回路系が、ふろ追い焚き用のポンプ224に対して追加される。
【0083】
<実施形態2の効果>
実施形態2の構成によれば、インタフェース回路305の故障に応じて、燃焼器103、203の燃焼動作とともに、ポンプ217(ポンプ224)の動作が停止される。このため、燃焼器103、203の燃焼動作が停止された後に、暖房用のポンプ217(ふろ追い焚き用のポンプ224)が動作し続けて、加熱されない低温の温水が暖房端末(浴槽)に循環されることを抑制できる。これにより、暖房端末の使用者(浴槽の入浴者)に顕著な違和感を生じさせることを回避できる。また、燃焼器103、203の燃焼動作が停止された後に、暖房用のポンプ217(ふろ追い焚き用のポンプ224)が動作し続けて、無駄に電力が消費されることを防ぐことができる。
【0084】
また、インタフェース回路305の故障が検出された際に、故障検出回路320が直接、ポンプ駆動回路304の動作を停止させるため、ポンプ217(ポンプ224)の動作を確実に停止させることができる。
【0085】
具体的には、故障検出回路320は、故障の検出に応じて、ポンプ駆動回路304を非動作状態に設定するローレベル(グランドレベル)の制御信号をポンプ駆動回路304に入力させるスイッチング回路322を含んでいる。このように、故障検出回路320にスイッチング回路322を含めるといった簡素な構成により、インタフェース回路305の故障時に、ポンプ217(ポンプ224)の動作を停止させることができる。
【0086】
<実施形態3>
上記実施形態1、2では、故障検出回路310、320が、それぞれ、直接的に、燃焼器103、203およびポンプ217(ポンプ224)の動作を停止させたが、本実施形態3では、これらの制御がマイコン301により行われる。
【0087】
図5は、実施形態3に係る、COセンサS8の検知結果に基づいて燃焼器103、203を含む動作部の動作を停止させるための回路構成を示す図である。
【0088】
故障検出回路330の構成は、抵抗334が含まれていることを除いて、
図3に示した故障検出回路310の構成と同様である。ただし、実施形態3では、抵抗334とスイッチング回路332との間の電圧値が、信号線L5を介してマイコン301に入力される。
【0089】
故障検出回路330は、比較回路331と、スイッチング回路332と、参照信号設定回路333と、抵抗334とを備える。比較回路331と、スイッチング回路332と、参照信号設定回路333の構成および機能は、
図3に示した比較回路311と、スイッチング回路312と、参照信号設定回路313の構成および機能と同様である。
【0090】
図5の構成において、スイッチング回路332が導通状態にない場合、直流電源Vcから供給される定電圧化された電圧がマイコン301に入力される。他方、COセンサS8からの検出信号(電圧)が、参照信号設定回路333で設定された参照信号(電圧)を超えると、比較回路331の出力がハイレベルに立ち上がり、スイッチング回路332が導通する。これにより、信号線L5がグランドに接続され、信号線L5を介してマイコン301に入力される信号がローレベル(グランドレベル)に立ち下がる。
【0091】
マイコン301は、信号線L5を介して入力される電圧の状態(ハイレベル/ローレベル)により、COセンサS8の検出結果が、一酸化炭素濃度の異常を示すものであるか否かを判別できる。これにより、マイコン301は、インタフェース回路305に故障が生じた場合も、信号線L5を介して故障検出回路320から入力される信号(電圧)により、燃焼器103、203の動作を停止させる制御を行うことができる。
【0092】
図6は、故障検出回路320から入力される信号(電圧)に基づいてマイコン301により行われる制御を示すフローチャートである。
【0093】
マイコン301は、信号線L5を介して入力される参照電圧がローレベルであるか否かを判定する(S101)。上記のように、故障検出回路330によってインタフェース回路305の故障が検出されていない場合、参照電圧はハイレベルであり、故障検出回路330によってインタフェース回路305の故障が検出されると、参照電圧はハイレベルからローレベルへと立ち下がる。マイコン301は、参照電圧がローレベルに立ち下がると(S101:YES)、既に、インタフェース回路305からの信号によって、燃焼器103、203の動作を停止させたか否かを判定する(S102)。
【0094】
既に、燃焼器103、203の動作を停止させている場合(S102:YES)、マイコン301は、
図6の処理を終了する。他方、未だ、燃焼器103、203の動作を停止させていない場合(S102:NO)、マイコン301は、異常停止処理を実行して(S103)、処理を終了する。
【0095】
異常停止処理は、少なくとも、燃焼器103、203の動作を停止させる処理を含む。たとえば、マイコン301は、
図5の元ガス電磁弁駆動回路302に対し、元ガス電磁弁112を閉止させる制御信号(ローレベル)を入力させる。
【0096】
この他、異常停止処理は、温水暖房用のポンプ217および/若しくはふろ追い焚き用のポンプ224の動作を停止させる処理を含んでもよい。この場合、マイコン301は、
図5のポンプ駆動回路304に対し、ポンプ217(ポンプ224)を停止させる制御信号(ローレベル)を入力させる。さらに、異常停止処理は、温水供給動作の際に行われる他の動作部の動作を停止させる処理を含んでもよい。たとえば、マイコン301は、異常停止処理として、ファン50の動作を停止させてもよい。
【0097】
また、異常停止処理は、一酸化炭素の濃度が異常であることを、上述のリモートコントローラ等を介して、音声または表示等により報知する処理を含んでいてもよい。このとき、同時に、インタフェース回路305に故障が生じたことがさらに報知されてもよい。これにより、使用者は、適切な対応をとることができる。
【0098】
<実施形態3の効果>
COセンサS8からの検出信号が一酸化炭素濃度の異常を示す場合に、インタフェース回路305が故障していても、マイコン301の制御により、燃焼器103、203の動作を停止させることができ、さらに、温水暖房用のポンプ217およびふろ追い焚き用のポンプ224の動作を停止させることができる。よって、上記実施形態1、2と同様、温水供給装置1の安全性を高く維持することができる。
【0099】
<変更例>
上記実施形態1~3では、元ガス電磁弁112が閉止されることにより、燃焼器103、203の動作が停止されたが、燃焼器103、203の動作を停止させる方法はこれに限られるものではない。たとえば、元ガス電磁弁112以外の燃料供給弁である比例弁113、114を閉止させてもよく、その他の燃料供給弁を閉止させてもよい。あるいは、元ガス電磁弁112と比例弁113、114の両方を閉止させて、燃焼器103、203の動作を停止させてもよい。
【0100】
また、上記実施形態2では、スイッチング回路322を導通させることによって、信号線L3をグランドに接続し、これにより、ポンプ駆動回路304を非動作状態に設定したが、ポンプ217(ポンプ224)の動作を停止させる方法は、これに限られるものではない。たとえば、信号線L3を開閉するためのスイッチを設け、比較回路321の出力がハイレベルに立ち上がることに応じて、このスイッチを開放させて、マイコン301からポンプ駆動回路304に対する制御信号の入力を遮断する構成であってもよい。
【0101】
また、上記実施形態2では、COセンサS8からの検出信号が一酸化炭素濃度の異常を示す場合に、故障検出回路320がポンプ217(ポンプ224)の動作を停止させたが、さらに他の動作部の動作を停止させるための故障検出回路が制御基板30に実装されてもよい。たとえば、
図1に示したファン50の動作を停止させるための故障検出回路が、さらに、制御基板30に実装されてもよい。
【0102】
また、上記実施形態1、2においても、インタフェース回路305の故障が、リモートコントローラ等を介して報知されてもよい。この場合、たとえば、マイコン301が、比較回路311、321の出力信号を監視し、通信線を介して、リモートコントローラにインタフェース回路の異常を示す信号を送信してもよい。
【0103】
また、温水供給装置1の構成は、
図1に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、温水供給装置1から、ふろ追い焚き機能が省略されてもよく、あるいは、給湯機能が省略されてもよい。また、温水供給装置1から高温暖房機能および低温暖房機能の何れか一方が省略されてもよい。また、オイルを燃焼とする温水供給装置に本発明が適用されてもよい。
【0104】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 温水供給装置
30 制御基板
103、203 燃焼器
112 元ガス電磁弁(燃料供給弁)
217、224 ポンプ
301 マイクロコンピュータ
302 元ガス電磁弁駆動回路(供給弁駆動回路)
304 ポンプ駆動回路
305 インタフェース回路
310、320、330 故障検出回路
311、321、331 比較回路
312、322、332 スイッチング回路
313、323、333 参照信号設定回路
S8 COセンサ