(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035701
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】電動車
(51)【国際特許分類】
B62K 15/00 20060101AFI20220225BHJP
B62K 5/05 20130101ALI20220225BHJP
B62K 5/08 20060101ALI20220225BHJP
B62K 5/10 20130101ALI20220225BHJP
B62J 43/28 20200101ALI20220225BHJP
B62J 1/08 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
B62K15/00
B62K5/05
B62K5/08
B62K5/10
B62J43/28
B62J1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140201
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】520416071
【氏名又は名称】Future株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】井原 慶子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 充
【テーマコード(参考)】
3D011
3D212
【Fターム(参考)】
3D011AA02
3D011AD01
3D011AD03
3D212BA02
(57)【要約】
【課題】 搭乗者が容易に乗車することができ、座席に座った姿勢で運転することが可能な電動車を提供する。
【解決手段】 電動車1は、運転者から見た方向を基準として、メインフレーム21及びメインフレーム21の後方から上方に延びる左右のシートフレーム22を有するフレーム2aと、メインフレーム21の前方側上方に取り付けられる平板状のボード31と、2つの前輪41及び少なくとも1つの後輪42を有する車輪4と、フレーム2aに車輪4を連結する懸架部2bと、後輪42を駆動する動力部5と、メインフレーム21の前方から上方に延びるハンドルポスト61と、ハンドルポスト61の上端から左右に延びるハンドルバー62と、シートフレーム22の上端に取り付けられる座部9と、ハンドルポスト61に設置される状態変更部7と、を備え、左右のシートフレーム22の間には前後方向に開口を有する空間が形成され、シートフレーム22の上端に取り付けられ、前記空間の上方を覆う座部をさらに備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者から見た方向を基準として、
メインフレーム及び前記メインフレームの後方から上方に延びる左右のシートフレームを有するフレームと、
前記メインフレームの前方側上方に取り付けられる平板状のボードと、
2つの前輪及び少なくとも1つの後輪を有する車輪と、
前記フレームに前記車輪を連結する懸架部と、
前記後輪を駆動する動力部と、
前記メインフレームの前方から上方に延びるハンドルポストと、
前記ハンドルポストの上端から左右に延びるハンドルバーと、
前記ハンドルポストに設置される状態変更部と、
を備え、
前記左右のシートフレームの間には前後方向に開口を有する空間が形成され、
前記シートフレームの上端に取り付けられ、前記空間の上方を覆う座部をさらに備える
ことを特徴とする電動車。
【請求項2】
前記状態変更部は、
前記ハンドルポストを後方に折り畳む折り畳み機構
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車。
【請求項3】
前記状態変更部は、前記ハンドルポストの長さを調節する長さ調節機構を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の電動車。
【請求項4】
前記座部は、前記シートフレームに対して移動可能であって、
前記座部が前記シートフレームに対して移動した後、前記ハンドルポストは、前記折り畳み機構に折り畳まれると、少なくとも一部が前記左右のシートフレームの間の空間に収納される
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電動車。
【請求項5】
前記シートフレームは、折り畳まれた前記ハンドルバー又は前記ハンドルポストをロックする折り畳みハンドルロック機構を有する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つに記載の電動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池から電力を得てモーターを駆動し、車輪を回転させることで走行する電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二つの前輪と一つの後輪を有し、床板の前端中央に上方に延びる折り畳み可能なハンドルポストを設け、床板の後端中央から上方に延びる折り畳み可能な運転者支持バーを設け、立ち姿勢の運転者が運転者支持バーの上端に設けられたバックレストにサポートされた状態で運転する揺動三輪車両が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、電動式でありながら、立ち姿勢で運転するので、停止時や旋回時に姿勢が崩れてしまうおそれがあった。また、立ち姿勢で運転するので、お年寄り等には長い時間の運転が困難であった。
【0005】
本発明は、搭乗者が容易に乗車することができ、座席に座った姿勢で運転することが可能な電動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる電動車は、
運転者から見た方向を基準として、
メインフレーム及びメインフレームの後方から上方に延びる左右のシートフレームを有するフレームと、
前記メインフレームの前方側上方に取り付けられる平板状のボードと、
2つの前輪及び少なくとも1つの後輪を有する車輪と、
前記フレームに前記車輪を連結する懸架部と、
前記後輪を駆動する動力部と、
前記メインフレームの前方から上方に延びるハンドルポストと、
前記ハンドルポストの上端から左右に延びるハンドルバーと、
前記シートフレームの上端に取り付けられる座部と、
前記ハンドルポストに設置される状態変更部と、
を備え、
前記左右のシートフレームの間には前後方向に開口を有する空間が形成され、
前記シートフレームの上端に取り付けられ、前記空間の上方を覆う座部をさらに備える
ことを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる電動車は、
前記状態変更部は、
前記ハンドルポストを後方に折り畳む折り畳み機構
を有する
ことを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる電動車は、
前記状態変更部は、前記ハンドルポストの長さを調節する長さ調節機構を有する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる電動車は、
前記座部は、前記シートフレームに対して移動可能であって、
前記座部が前記シートフレームに対して移動した後、前記ハンドルポストは、前記折り畳み機構に折り畳まれると、少なくとも一部が前記左右のシートフレームの間の空間に収納される
ことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる電動車は、
前記シートフレームは、折り畳まれた前記ハンドルバー又は前記ハンドルポストをロックする折り畳みハンドルロック機構を有する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる電動車によれば、搭乗者が容易に乗車することができ、座席に座った姿勢で運転することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】本実施形態の電動車のバッテリー脱着状態を示す。
【
図5】本実施形態の電動車のハンドルポストを折り畳んだ状態の第1例を示す。
【
図6】本実施形態の電動車のハンドルポストを折り畳んだ状態の第2例を示す。
【
図7】本実施形態の電動車のハンドルポストを折り畳んだ状態の第3例において、座部を取りはずした状態を示す。
【
図8】本実施形態の電動車のハンドルポストを折り畳んだ状態の第3例において、座部を取り付けた状態を示す。
【
図9】本実施形態の電動車のハンドルポストを折り畳んだ状態の第4例を示す。
【
図10】本実施形態の電動車の座部を開放する他の例を示す。
【
図11】他の実施形態の左方から見た電動車を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明にかかる一実施形態の電動車を説明する。本実施形態の図面では、運転者から見た方向を基準とし、前方をF、後方をB、上方をU、下方をD、左方をL、右方をRとする。なお、
図3乃至9、11は、ハーネス類等を省略している。
【0014】
図1は、本実施形態の前方Fから見た電動車1を示す。
図2は、本実施形態の後方Bから見た電動車1を示す。
図3は、本実施形態の左方Lから見た電動車1を示す。
【0015】
本実施形態の電動車1は、運転者を支持するシャシー2と、シャシー2に取り付けられる車体3と、シャシー2の前後に配置される車輪4と、車輪4を駆動する動力部5と、車輪4及び動力部5を操作する操作部6と、照明部8と、シャシー2に設置される座部9と、を備える。
【0016】
シャシー2は、フレーム2aと、懸架部2bと、を含む。フレーム2aは、前後に延びるメインフレーム21と、メインフレーム21の後方側から上方Uへ延びるシートフレーム22と、を有する。
【0017】
本実施形態のメインフレーム21は、平行に並んだ前後方向に延びる2本のカーボンまたはアルミ等でよい。また、メインフレーム21は、前方F側を前後方向に延びる1本とし、途中で枝分かれさせて、後方B側を前後方向に延びる2本としてもよい。
【0018】
シートフレーム22は、メインフレーム21の後端から上方Uに延びる後方シートフレーム22aと、後方シートフレーム22aより前方のメインフレーム21から上方Uに延びる前方シートフレーム22bと、後方シートフレーム22aと前方シートフレーム22bを連結する連結シートフレーム22cと、を有する。
【0019】
シートフレーム22の上方には、座部9が設置される。例えば、少なくとも一方のシートカウル33の上方及び連結シートフレーム22cにシートロック部22dが取り付けられる。シートロック部22dは、シリンダー錠等であって、通常、フック等によってシートベース91をロックしておく。図示しないキーをシリンダー錠に差し込み、回転させると、シートロック部22dは、ロックがはずれる。したがって、座部9は、シートフレーム22に対して、開放可能になる。なお、シートロック部22dは、設置しなくてもよく、この場合、座部9はシートフレーム22に固着してもよい。
【0020】
図2に示すように、座部9の下方で、左右のシートフレーム22の間には、前後に開口された空間が形成される。したがって、使用者は、この空間を利用して長尺物を収納することができる。なお、フレーム2aは、メインフレーム21とシートフレーム22を一体に形成したモノコック構造としてもよい。
【0021】
懸架部2bは、メインフレーム21の前端に取り付けられ、操作部6を支持する操作部支持部材23と、操作部支持部材23と左右の前輪41をそれぞれ連結する車輪支持部材24と、前輪41を回転自在に取り付ける左右それぞれのナックル25と、操作部支持部材23の前方と左右のナックル25をそれぞれ連結する2本の第1アーム26と、操作部支持部材23の後方と左右のナックル25をそれぞれ連結する2本の第2アーム27と、を有する。
【0022】
操作部支持部材23は、メインフレーム21の前端に取り付けられ、操作部6のハンドルポスト61を支持する。操作部支持部材23は、メインフレーム21に対して、前後方向の軸を中心に回動可能に取り付けられる。したがって、ハンドルポスト61を左右方向に傾斜させると、操作部支持部材23は前後方向の軸を中心に回動する。
【0023】
車輪支持部材24は、操作部支持部材23の前方Fに一体に取り付けられる。したがって、ハンドルポスト61を左右方向L-Rに傾斜させると、車輪支持部材24は操作部支持部材23と共に前後方向F-Bの軸を中心に回動する。
【0024】
ナックル25は、車輪支持部材24の左右端にそれぞれ1つずつ取り付けられる。左右のナックル25は、車輪支持部材24とは反対側に前輪41をそれぞれ回転自在に取り付ける。
【0025】
第1アーム26は、操作部支持部材23の前方と左右のナックル25をそれぞれ連結する。第2アーム27は、操作部支持部材23の後方と左右のナックル25をそれぞれ連結する。第1アーム26及び第2アーム27は、操作部支持部材23及びナックル25に対して、前後方向F-Bの軸を中心に回動する。
【0026】
ナックル25には、前輪ブレーキシステム28が取り付けられる。前輪ブレーキシステム28は、前輪41と共に回転するディスク又はドラム等にブレーキシューを押し付けて制動力を得るものでよい。また、後輪には、同様の後輪ブレーキシステム29が取り付けられる。
【0027】
なお、シャシー2の構造は、本実施形態に限らず、他の構造でもよい。例えば、第1アーム26及び第2アーム27を上下方向U-Dに並べてハンドルポスト61を左右方向L-Rに傾斜させることで前輪41を傾斜させて曲がる構造としてもよい。また、ハンドルバー62を、ハンドルポスト61の軸を中心に回転させることで曲がる構造としてもよい。
【0028】
車体3は、メインフレーム21の前方F側の上部に取り付けられるボード31と、シートフレーム22の左右外側に取り付けられるシートカウル33と、シートカウル33の後方B側の下方Dに設置されるリアケース34と、を有する。
【0029】
ボード31は、メインフレーム21の前方上部を覆う。ボード31は、平面状の板で形成され、運転者が足や荷物を載せることができる。ボード31の下方のフレーム21には、バッテリーを収納するバッテリーケース32が支持される。
【0030】
シートカウル33は、シートフレーム22の左右外側に取り付けられる。左右のシートカウル33の間には、前後に開口した空間が形成される。なお、シートカウル33は、取り付けなくともよい。シートカウル33とシートフレーム22をモノコック構造等で一体に見た目良く形成してもよい。
【0031】
リアケース34は、シートカウル33の下方から後方に向けて形成される。リアケース34は、箱状に形成される。リアケース34の後方側の下方には、ナンバープレート取付部35を設けるとよい。なお、リアケース34は設置しなくてもよい。
【0032】
車輪4は、左右の前輪41と、一つの後輪42と、を有する。左右の前輪41は、ナックル25に回転可能に支持される。後輪42は、動力部5の動力ユニット52を介してメインフレーム21の後方に設置される。三輪車両とすることで、軽量化と安定性を両立させることができる。なお、後輪42を左右に1輪ずつ設置し、全体で四輪としてもよい。車輪4の後方B側の上方Uには、泥除け4aを設置すると好ましい。
【0033】
図4は、本実施形態の電動車のバッテリー脱着状態を示す。
【0034】
動力部5は、充電可能なバッテリー51と、メインフレーム21の後方Bに設置される動力ユニット52と、を有する。バッテリー51は、ボード31の下方Dに着脱可能に収納される。なお、バッテリー51は、リアケース34や座部9の下方Dに設置してもよい。動力ユニット52は、バッテリー51から電力を供給されて後輪42を駆動する図示しないモーター、駆動力伝達部材、回路基板及びハーネス等を含む。
【0035】
バッテリー51は、バッテリーケース32に装着すると、動力ユニット52に通電可能となり、バッテリーケース32から取り外すと、動力ユニット52との通電が解除される。バッテリー51と動力ユニット52は、ハーネス53等でつながれている。
【0036】
操作部6は、操作部支持部材23に支持されるハンドルポスト61と、ハンドルポスト61に支持されるハンドルバー62と、ハンドルバー62に取り付けられるグリップ63と、ハンドルバー62に取り付けられるブレーキレバー64と、ハンドルバー62の少なくとも右方に設置される反射鏡65と、速度等の走行状態及びバッテリー充電状態等を表示する速度計66と、スイッチ67と、を有する。
【0037】
ハンドルポスト61は、操作部支持部材23から上方Uに延びる。ハンドルポスト61は、操作部支持部材23に支持される下端部61aと、下端部61aに対して折り畳み可能な中間部61bと、中間部61bよりも小径で一部が中間部61bの内部に収納される上端部61cと、を有する。
【0038】
ハンドルポスト61は、状態変更部7を有する。状態変更部7は、通常状態と折り畳み状態とでハンドルポスト61の状態を変更する折り畳み機構71と、ハンドルポスト61を伸縮させる長さ調節機構72と、を有する。
【0039】
ハンドルポスト61の中間部61bは、下端部61aに対して、折り畳み機構71によって折り畳み可能である。折り畳み機構71は、左右方向L-Rに回転軸71aを有し、中間部61bが下端部61aに対して後方Bに折り畳まれる構造である。通常、中間部61bは、下端部61aに対して通常ハンドルロック部71bにより直線状にロックされ、通常ハンドルロック部71bのロックをはずすと中間部61bが下端部61aに対して後方Bに折り畳み可能となる。
【0040】
ハンドルポスト61の上端部61cは、中間部61bに対して、長さ調節機構72によって収納可能である。長さ調節機構72は、中間部61bの上端に取り付けられ、レバー72aを開くことで上端部61cを中間部61bに対して移動可能とし、レバー72aを閉じることで、上端部61cを中間部61bに対してロックする。
【0041】
ハンドルバー62は、ハンドルポスト61の上端で左右方向L-Rに延びるように支持される。ハンドルバー62には、運転者が運転時に握る左右のグリップ63が取り付けられる。グリップ63の少なくとも1つは、アクセルグリップ63aであって、ハンドルバー62の軸を中心に回転させることで、動力ユニット52を作動させる。
【0042】
ハンドルバー62には、運転者がブレーキをかける時に握るブレーキレバー64が取り付けられる。ブレーキレバー64は、左右のグリップ63の前方Fで略左右方向L-Rに延びるように取り付けられる。
【0043】
なお、本実施形態の電動車1では、アクセルグリップ63aを用いたが、アクセルペダル又はアクセルボタン等を用いてもよい。また、本実施形態の電動車1では、ブレーキレバー64を用いたが、ブレーキペダル又はブレーキボタン等を用いてもよい。
【0044】
ハンドルバー62の少なくとも右方Rには、反射鏡65が設置される。運転者は、反射鏡65によって、後方を確認することができる。反射鏡65は、左右両方に取り付けてもよい。
【0045】
ハンドルバー62の中央付近には、速度等の走行状態及びバッテリー充電状態等を表示する速度計66が設置される。運転者は、速度計によって、電動車の状態を確認することができる。ハンドルバー62の左右どちらかのグリップ63の近傍には、動力のON/OFF、クラクションを鳴らすホーン、照明等のスイッチ67が設置される。
【0046】
照明部8は、ハンドルポスト61の前方Fに設置される前照灯81と、ハンドルバー62の両端に設置される前方方向指示灯82と、リアケース34の後端に設置される制動灯83、尾灯84及び後方方向指示灯85と、を有する。
【0047】
前照灯81は、運転者がスイッチ67を操作することで、点灯又は消灯する。なお、前照灯81は、周囲が明暗に応じて自動的に点灯又は消灯するようにしてもよい。前方方向指示灯82及び後方方向指示灯85は、運転者がスイッチ67を操作することで、点滅又は消灯する。なお、前方方向指示灯82及び後方方向指示灯85は、ハンドルバー62の動きに応じて点滅又は消灯するようにしてもよい。
【0048】
制動灯83は、ブレーキレバー64に連動して点灯または消灯する。制動灯83は、ブレーキレバー64を握ることで点灯し、離すことで消灯すればよい。尾灯84は、前照灯81に連動して点灯するとよい。
【0049】
座部9は、シートフレーム22に着脱可能に取り付けるシートベース91と、運転者が座るシート92と、を有する。シートベース91は、金属又は樹脂製の芯材である。シート92は、シートベース91に取り付けた発泡ウレタン等のクッション材をビニールレザー等の表皮で覆う構造でよい。
【0050】
座部9は、シートフレーム22に着脱可能に取り付ければよい。例えば、少なくとも一方のシートカウル33の上方及び連結シートフレーム22cにシートロック部22dが取り付けられる。シートロック部22dは、シリンダー錠等であって、通常、フック等によってシートベース91をロックしておく。図示しないキーをシリンダー錠に差し込み、回転させると、シートロック部22dは、ロックがはずれる。したがって、座部9はシートフレーム22から取りはずし、移動させることが可能となる。なお、シートロック部22dは、設置しなくてもよく、この場合、座部9はシートフレーム22に固着してもよい。
【0051】
次に、本実施形態の電動車1の折り畳み方法について説明する。
【0052】
図5は、本実施形態の電動車1のハンドルポスト61を折り畳んだ状態の第1例を示す。
【0053】
第1例の電動車1は、ハンドルポスト61を折り畳むことができる。
図5に示すように、使用者は、折り畳み機構71の通常ハンドルロック部71bのロックをはずす。次に、使用者は、ハンドルポスト61の上端部61cと中間部61bを、回転軸71aを中心として後方Bに向かって回転させる。
【0054】
このように、本実施形態の電動車1は、使用者がハンドルポスト61を折り畳むことによって、全体をコンパクトにすることができる。
【0055】
図6は、本実施形態の電動車1のハンドルポスト61を折り畳んだ状態の第2例を示す。
【0056】
第2例の電動車1は、ハンドルポスト61を折り畳むことができる。
図6に示すように、使用者は、折り畳み機構71の通常ハンドルロック部71bのロックをはずす。次に、使用者は、長さ調節機構72でハンドルポスト61の長さを短くする。なお、ハンドルポスト61は、直線状であることが好ましい。
【0057】
使用者は、ハンドルポスト61の長さを、ハンドルバー62が左右のシートカウル33及び前方シートフレーム22bの前方Fに位置するように調節する。例えば、ハンドルバー62の高さが連結フレーム22cよりも下方Dに位置するような長さが好ましい。
【0058】
次に、使用者は、ハンドルポスト61の上端部61cと中間部61bを、回転軸71aを中心として後方Bに向かって回転させる。次に、使用者は、ハンドルポスト61又はハンドルバー62を、折り畳みハンドルロック機構22eでロックしてもよい。
【0059】
このように、本実施形態の電動車1は、使用者がハンドルポスト61をシートフレーム22の前方Fへ折り畳むことによって、全体を第1例よりコンパクトにすることができる。
【0060】
図7は、本実施形態の電動車1のハンドルポスト61を折り畳んだ状態の第3例において、座部を取りはずした状態を示す。
【0061】
第3例の電動車1は、座部9を取りはずし、且つ、ハンドルポスト61を折り畳むことができる。
図7に示すように、使用者は、まず座部9を取りはずす。続いて、使用者は、折り畳み機構71の通常ハンドルロック部71bのロックをはずす。次に、使用者は、ハンドルポスト61の上端部61cと中間部61bを、回転軸71aを中心として後方Bに向かって回転させる。
【0062】
使用者は、ハンドルポスト61を回転させる前又は後に、長さ調節機構72でハンドルポスト61の長さを調節するとよい。ハンドルポスト61の長さは、ハンドルバー62が左右のシートカウル33及び後方シートフレーム22aの後方Bに到達し、ハンドルバー62の高さが連結フレーム22cよりも下方Dに位置するような長さが好ましい。
【0063】
このようにハンドルポスト61を長さ調節することで、使用者がハンドルポスト61を後方Bに回転させると、ハンドルポスト61の上端部61cの一部が左右のシートカウル33及びシートフレーム22の間に収納される。また、ハンドルバー62は、左右のシートカウル33及び後方シートフレーム22aの後方Bに位置する。さらに、ハンドルバー62は、連結フレーム22cよりも下方Dに位置する。
【0064】
使用者は、ハンドルポスト61又はハンドルバー62を、折り畳みハンドルロック機構22eでロックする。したがって、折り畳まれたハンドルポスト61又はハンドルバー62は、シートフレーム22に対してロックすることが好ましい。
【0065】
図8は、本実施形態の電動車1のハンドルポスト61を折り畳んだ状態の第3例において、座部9を取り付けた状態を示す。
【0066】
第3例の電動車1のハンドルバー62は、
図7に示した状態で、連結フレーム22cよりも下方Dに位置する。したがって、第3例の電動車1は、ハンドルポスト61を折り畳んだ状態で、
図8に示したように座部9を取り付けることができる。座部9は、シートロック部22dによってロックされる。第3例の電動車1では、ハンドルポスト61を折り畳んだ状態において、前照灯81は、左右のシートカウル33及びシートフレーム22の間に収納されると好ましい。
【0067】
第3例の電動車1のハンドルポスト61を通常の位置に戻す際、使用者は、まずシートロック部22dのロックをはずし、座部9を取りはずす。続いて、使用者は、折り畳みハンドルロック機構22eを操作し、ハンドルポスト61又はハンドルバー62のロックをはずす。次に、使用者は、ハンドルポスト61の中間部61b、上端部61cを折り畳み機構71の回転軸71aを中心に前方Fに回転させて、通常ハンドルロック部71bでロックする。最後に、使用者は、座部9を通常の位置に戻し、シートロック部22dをロックする。
【0068】
このように、第3例の電動車1は、使用者がハンドルポスト61を折り畳んだ際、ハンドルポスト61の上端部61cの一部を左右のシートカウル33及びシートフレーム22の間に収納することができる。したがって、第3例の電動車1は、ハンドルポスト61をコンパクトに収納することができる。
【0069】
また、第3例の電動車1は、使用者がハンドルポスト61を折り畳んだ際、ハンドルバー62を左右のシートカウル33及び後方シートフレーム22aの後方Bに位置させ、ハンドルバー62を連結フレーム22cよりも下方Dに位置させることができる。そして、使用者は、ハンドルポスト61を折り畳んだ状態で、座部9を取り付け、ロックすることができる。したがって、第3例の電動車1は、的確に盗難を防止することができる。
【0070】
また、第3例の電動車1は、使用者がハンドルポスト61を折り畳んだ際、使用者は、折り畳まれたハンドルポスト61又はハンドルバー62を、折り畳みハンドルロック機構22eでシートフレーム22に対してロックすることができる。したがって、第3例の電動車1は、さらに盗難を防止することができる。
【0071】
図9は、本実施形態の電動車のハンドルポストを折り畳んだ状態の第4例を示す。
【0072】
第4例の電動車1は、座部9を取りはずし、且つ、ハンドルポスト61及びハンドルバー62を折り畳むことができる。使用者は、まず座部9を取りはずす。続いて、使用者は、折り畳み機構71の通常ハンドルロック部71bのロックをはずす。次に、使用者は、図示しないハンドルバーロック部のロックをはずし、ハンドルバー62の左右側を前方Fへ折り畳む。その後、使用者は、ハンドルポスト61の上端部61cと中間部61bを、回転軸71aを中心として後方Bに向かって回転させる。
【0073】
なお、使用者は、ハンドルポスト61を回転させる前又は後に、長さ調節機構72でハンドルポスト61の長さを調節してもよい。ハンドルポスト61の長さは、折り畳まれたハンドルバー62が左右のシートカウル33内に位置する長さが好ましい。使用者がハンドルポスト61の長さを調節しなくても、折り畳まれたハンドルバー62が左右のシートカウル33内に位置する場合には、無理にハンドルポスト61の長さを調節する必要は無い。
【0074】
使用者は、ハンドルポスト61又はハンドルバー62を、折り畳みハンドルロック機構22eでロックすると好ましい。したがって、折り畳まれたハンドルポスト61又はハンドルバー62は、シートフレーム22に対してロックされることとなる。
【0075】
第4例の電動車1のハンドルポスト61を通常の位置に戻す際、使用者は、まずシートロック部22dのロックをはずし、座部9を取りはずす。続いて、使用者は、折り畳みハンドルロック機構22eを操作し、ハンドルポスト61又はハンドルバー62のロックをはずす。
【0076】
次に、使用者は、ハンドルポスト61の中間部61b、上端部61cを折り畳み機構71の回転軸71aを中心に前方Fに回転させて、通常ハンドルロック部71bでロックする。加えて、ハンドルバー62を通常状態に戻し、図示しないハンドルバーロック部でロックする。最後に、使用者は、座部9を通常の位置に戻し、シートロック部22dをロックする。
【0077】
このように、第4例の電動車1は、使用者がハンドルポスト61を折り畳んだ際、ハンドルバー62を左右のシートカウル33及びシートフレーム22の間に収納することができる。したがって、第4例の電動車1は、ハンドルバー62をコンパクトに収納することができる。
【0078】
また、第4例の電動車1は、ハンドルバー62を折り畳んだ状態で、座部9を取り付け、ロックすることができる。したがって、第4例の電動車1は、的確に盗難を防止することができる。
【0079】
また、第4例の電動車1は、使用者がハンドルポスト61及びハンドルバー62を折り畳んだ際、使用者は、折り畳まれたハンドルポスト61又はハンドルバー62を、折り畳みハンドルロック機構22eでシートフレーム22に対してロックすることができる。したがって、第4例の電動車1は、さらに盗難を防止することができる。
【0080】
図10は、本実施形態の電動車1の座部9を開放する他の例を示す。
【0081】
他の例の電動車1の座部9は、連結シートフレーム22cにヒンジ22fを介して取り付けられる。したがって、他の例の電動車1において、使用者は、シートロック部22dのロックをはずした後、ヒンジ22fを中心に座部9を回転させることで、座部9を取りはずすことなく、左右のシートカウル33及びシートフレーム22の間を開放する。そして、使用者は、ハンドルポスト61を折り畳んだ後、ヒンジ22fを中心に座部9を回転させ、シートロック部22dによってロックする。
【0082】
このように、他の例の電動車1は、使用者がハンドルポスト61を折り畳んだ際、座部9を取りはずす必要がない。したがって、使用者は、座部9を紛失することなくハンドルポスト61を折り畳むことができる。
【0083】
なお、
図10に示した他の例では、座部9はヒンジ22fを中心に回転移動させたが、座部9のシートベース91にレール等を取り付け、シートフレーム22にスライダー等を取り付け、シートフレーム22に対して座部9が左右いずれかの方向にスライドして移動する構造としてもよい。また、ヒンジ22fを連結フレーム22cの後方Bに取り付け、ヒンジ22fを中心に座部9を後方Bに回転させてもよい。ヒンジ22fを後方取り付けた例においてハンドルポスト61を折り畳む場合には、、第1例、第2例、及び、第4例の方法で対応すればよい。
【0084】
図11は、他の実施形態の側面から見た電動車を示す。
【0085】
図11に示す実施形態の電動車1は、座部9の後方にブラケット35を介して荷台36が取り付けられる。ブラケット35は、シートフレーム22に取り付けられると強固に固定され、好ましい。荷台36は、単なる台でもよく、中央を囲むように四方に壁面を取り付けてもよい。また、図示しない蓋を上方Uに開閉自在に取り付けてもよい。
【0086】
このように、荷台を設けることによって、電動車1は、物品の配達等に利用できる。なお、
図11に示す実施形態において、ハンドルポスト61を折り畳む場合には、第1例、第2例、及び、第4例の方法で対応すればよい。
【0087】
以上、本実施形態の電動車1は、運転者から見た方向を基準として、メインフレーム21及びメインフレーム21の後方から上方に延びる左右のシートフレーム22を有するフレーム2aと、メインフレーム21の前方側上方に取り付けられる平板状のボード31と、2つの前輪41及び少なくとも1つの後輪42を有する車輪4と、フレーム2aに車輪4を連結する懸架部2bと、後輪42を駆動する動力部5と、メインフレーム21の前方から上方に延びるハンドルポスト61と、ハンドルポスト61の上端から左右に延びるハンドルバー62と、シートフレーム22の上端に取り付けられる座部9と、ハンドルポスト61に設置される状態変更部7と、を備え、左右のシートフレーム22の間には前後方向に開口を有する空間が形成され、シートフレーム22の上端に取り付けられ、前記空間の上方を覆う座部9をさらに備える。
【0088】
したがって、本実施形態の電動車1は、搭乗者が容易に乗車することができ、座部9に座った姿勢で運転することが可能となる。すなわち、運転者は、平板状のボード31に足を乗せることができ、容易に乗車することができる。また、立ち姿勢での運転が困難な運転者であっても、座部9に座って長時間安定して運転することができる。
【0089】
本実施形態の電動車1では、状態変更部7は、ハンドルポスト61を後方Bに折り畳む折り畳み機構71を有する。
【0090】
したがって、使用者は、電動車1をコンパクトに折り畳むことができ、通常の形状よりも保管や運搬等の際に周囲との干渉を少なくすることができる。
【0091】
本実施形態の電動車1では、状態変更部7は、ハンドルポスト61の長さを調節する長さ調節機構72を有する。
【0092】
したがって、本実施形態の電動車1は、ハンドルバー62を下方に位置させることができ、さらにコンパクトに折り畳み可能となる。
【0093】
本実施形態の電動車1では、座部9は、シートフレーム22に対して移動可能であって、座部9がシートフレーム22に対して移動した後、ハンドルポスト61は、折り畳み機構71に折り畳まれると、少なくとも一部が左右のシートフレーム22の間の空間に収納される。
【0094】
したがって、使用者は、電動車1をコンパクトに折り畳むことができ、且つ、盗難を防止することができる。
【0095】
本実施形態の電動車1は、シートフレーム22は、折り畳まれたハンドルバー62又はハンドルポスト61をロックする折り畳みハンドルロック機構22eを有する。
【0096】
したがって、本実施形態の電動車1は、折り畳まれたハンドルバー62又はハンドルポスト61をシートフレーム22にロックさせることができ、さらに盗難を防止することができる。
【0097】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…電動車
2…シャシー
2a…フレーム
21…メインフレーム
22…シートフレーム
22e…折り畳みハンドルロック機構
2b…懸架部
3…車体
31…ボード
32…バッテリーケース
33…シートカウル
34…リアケース
4…車輪
41…前輪
42…後輪
5…動力部
6…操作部
61…ハンドルポスト
62…ハンドルバー
7…状態変更部
71…折り畳み機構
72…長さ調節機構
8…照明部
9…座部