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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035759
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/36 20060101AFI20220225BHJP
   B41J 35/16 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
B41J17/36 Z
B41J35/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140294
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠井 遼太郎
【テーマコード(参考)】
2C068
【Fターム(参考)】
2C068AA02
2C068AA08
2C068AA15
2C068KK12
2C068KK17
2C068KK18
2C068KK24
2C068NN11
2C068NN18
(57)【要約】
【課題】 本発明は、ユーザの手を煩わせることなくインクリボンの装着状態を正常化することができる記録装置を提供する。
【解決手段】 制御部4000は、インクリボン位置センサ121の検出結果に基づいてインクリボン130が誤装着状態であると判断した場合、駆動モータMR1,MR2によりインクリボン130を供給軸102側に巻き取る方向に供給軸102及び巻取軸101を回転させ、インクリボン位置センサ121の検出結果に基づいて巻取軸101側のインクリボン130が所定の位置であると判断した場合、駆動モータMR1,MR2によってインクリボン130を巻取軸101側に送り出す方向に回転方向を切り替えることで、インクリボン130の誤装着の自動解除制御を行うことを特徴とする。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未使用状態のインクリボンが取り付けられた供給軸を回転駆動させる第1の駆動手段と、
前記供給軸から供給された前記インクリボンを巻き取る巻取軸を回転駆動させる第2の駆動手段と、
前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段を制御する制御手段と、
前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段によって前記インクリボンを送り出し、複数色が面順次に配列された前記インクリボンの特定色を検出することで前記インクリボンの未使用部分の先端位置を検出する第1の検出手段と、
前記供給軸と前記巻取軸との間の前記インクリボンの面の所定位置からの距離を検出する第2の検出手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記第2の検出手段の検出結果に基づいて前記インクリボンが誤装着状態であると判断した場合、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段により前記インクリボンを前記供給軸側に巻き取る方向に前記供給軸及び前記巻取軸を回転させ、
前記第2の検出手段の検出結果に基づいて前記巻取軸側の前記インクリボンが所定の位置であると判断した場合、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段によって前記インクリボンを前記巻取軸側に送り出す方向に回転方向を切り替えることで、前記インクリボンの誤装着の自動解除制御を行うことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記インクリボンは、先頭部に配置された特定色のリボンパネルと次の特定色のリボンパネルとの間に複数色のカラーパネルが面順次に配列された構成であり、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段によって前記インクリボンの送り出しを行うことで前記特定色のリボンパネルと前記カラーパネルとが面順次に送り出され、前記第1の検出手段によって前記特定色を検出することで前記インクリボンの未使用部分の頭出しを行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第2の検出手段は、光学式のセンサであり、
前記制御手段は、前記第2の検出手段により検出した前記インクリボンの面との間の距離に応じて前記インクリボンの位置検出を行うことで、前記インクリボンの装着状態を判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の検出手段により検出した検出結果に基づいて前記インクリボンが正しい装着状態であると判断したならば、前記第1の検出手段により前記インクリボンの未使用部分の先端位置の検出を行い、前記インクリボンの頭出し制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンを用いて記録媒体に画像を記録する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンを用いて記録媒体に画像を記録する記録装置において、初期動作としてインクリボンを供給軸から巻取軸へと所定量送り出し、インクリボンの頭出しを行うことが行われている。特許文献1において、インクリボンが所定の位置に正しくセットされていない場合、インクリボンの送りエラーが発生し、ユーザにインクリボンを正しくセットするよう促すことが一般であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-9437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、セットされたインクリボンの状態を判定してエラーとして報知しエラーの解除はユーザが行わなければならなかった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、ユーザの手を煩わせることなくインクリボンの装着状態を正常化することができる記録装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係る記録装置の代表的な構成は、未使用状態のインクリボンが取り付けられた供給軸を回転駆動させる第1の駆動手段と、前記供給軸から供給された前記インクリボンを巻き取る巻取軸を回転駆動させる第2の駆動手段と、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段を制御する制御手段と、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段によって前記インクリボンを送り出し、複数色が面順次に配列された前記インクリボンの特定色を検出することで前記インクリボンの未使用部分の先端位置を検出する第1の検出手段と、前記供給軸と前記巻取軸との間の前記インクリボンの面の所定位置からの距離を検出する第2の検出手段と、を有し、前記制御手段は、前記第2の検出手段の検出結果に基づいて前記インクリボンが誤装着状態であると判断した場合、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段により前記インクリボンを前記供給軸側に巻き取る方向に前記供給軸及び前記巻取軸を回転させ、前記第2の検出手段の検出結果に基づいて前記巻取軸側の前記インクリボンが所定の位置であると判断した場合、前記第1の駆動手段及び前記第2の駆動手段によって前記インクリボンを前記巻取軸側に送り出す方向に回転方向を切り替えることで、前記インクリボンの誤装着の自動解除制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの手を煩わせることなくインクリボンの装着状態を正常化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】記録装置の構成を示す断面図である。
図2】記録装置の操作部の構成を示す図である。
図3】記録装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図4】(a),(b)は、インクリボンの初期動作を説明する図である。
図5】(a)は、誤装着されたインクリボンの側面図である。(b)は、誤装着されたインクリボンの上側から見た斜視図である。(c)は、誤装着されたインクリボンのカードリッジを示す断面図である。
図6】(a)は、正しく装着されたインクリボンの構成を示す側面図である。(b)は、正しく装着されたインクリボンの構成を上側から見た斜視図である。(c)は、正しく装着されたインクリボンのカードリッジの構成を示す断面図である。
図7】(a)は、比較例のインクリボンの搬送部の構成を示す断面図である。(b)は、本実施形態のインクリボンの搬送部の構成を示す断面図である。
図8】(a),(b)は、比較例のインクリボンの誤装着時の初期動作を説明する図である。
図9】比較例のインクリボンの誤装着時の初期動作を説明する図である。
図10】(a),(b)は、本実施形態のインクリボンの誤装着時の初期動作を説明する図である。
図11】(a),(b)は、本実施形態のインクリボンの誤装着時の初期動作を説明する図である。
図12】本実施形態のインクリボンの誤装着時の初期動作を説明する図である。
図13】(a)は、インクリボンの位置検知を説明する図である。(b)は、インクリボンの位置に応じて制御される巻取軸と供給軸の回転方向を示す図である。
図14】インクリボンの初期動作の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図により本発明に係る記録装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0010】
<記録装置>
図1図2及び図3を用いて記録装置100の構成について説明する。図1は、記録装置100の構成を示す断面図である。図2は、記録装置100の操作部1000の構成を示す図である。図3は、記録装置100の制御部4000の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示す記録装置100は、熱転写により記録媒体としてのプラスチックカード3の表面上に顔写真や文字情報等の画像を記録するとともに、そのプラスチックカード3に磁気的ないし電気的な情報記録を行う。
【0012】
図1に示す記録装置100は、記録前の記録媒体としてのプラスチックカード3を収容する媒体収容部600と、プラスチックカード3を反転させる媒体反転部700とを有する。更に、記録装置100は、プラスチックカード3に情報記録を行う情報記録部6と、媒体反転部700により反転されたプラスチックカード3を搬送する媒体搬送部800とを有する。更に、記録装置100は、プラスチックカード3に画像を記録する画像記録部200と、記録後のプラスチックカード3を収容する媒体収容部900とを有して構成されている。
【0013】
<記録前媒体収容部>
媒体収容部600は、記録媒体としての複数枚のプラスチックカード3を立位姿勢で整列して収容しており、その先端には分離開口7が設けられている。媒体収容部600に収容されたプラスチックカード3は、付勢機構8によりピックアップローラ21に向かって付勢されている。ピックアップローラ21が図1の反時計回り方向に回転することにより最前列のプラスチックカード3から繰り出し、分離開口7から1枚ずつ分離されて媒体反転部700に向けて供給される。
【0014】
<媒体反転部>
分離開口7から供給されたプラスチックカード3は、搬入ローラ22により挟持されて媒体反転部700に送られる。媒体反転部700は、図示しないハウジングに回転可能に軸受け支持された回転フレーム71と、回転フレーム71に支持された2つのローラ対23,24とを有して構成される。ローラ対23,24は、回転フレーム71の回転中心71aを挟んで互いに対向する位置に配置され、回転フレーム71に回転可能に支持されている。
【0015】
<情報記録部>
情報記録部6は、プラスチックカード3に磁気的な情報記録を行う磁気記録部42と、プラスチックカード3に電気的な情報記録を行う非接触式IC記録部43と、接触式IC記録部41とを有して構成されている。磁気記録部42と、非接触式IC記録部43と、接触式IC記録部41とは、媒体反転部700の外周に配置されている。プラスチックカード3の導入路は、回転フレーム71の回転中心71aを中心とした回転フレーム71の径方向にそれぞれ配置されている。
【0016】
媒体反転部700が回転してローラ対23,24の何れかが搬入ローラ22に対向する位置に到達したとき、媒体反転部700の回転が停止する。そして、搬入ローラ22により媒体反転部700に送られたプラスチックカード3をローラ対23,24により挟持して支持する。その後、回転フレーム71の回転に伴ってローラ対23,24により挟持されたプラスチックカード3が磁気記録部42と、非接触式IC記録部43と、接触式IC記録部41の何れかに向けて搬送可能な位置まで移動する。ローラ対23,24は、磁気記録部42と、非接触式IC記録部43と、接触式IC記録部41の何れかに向けてプラスチックカード3を搬入する。
【0017】
ローラ対23,24により磁気記録部42と、非接触式IC記録部43と、接触式IC記録部41の何れかに搬入されたプラスチックカード3には、磁気的若しくは電気的にデータが書き込まれる。データが書き込まれたプラスチックカード3は、ローラ対23,24により媒体反転部700内に戻される。その後、媒体反転部700が回転してローラ対23,24の何れかが媒体搬送部800に設けられた搬送ローラ25に対向する位置に到達する。
【0018】
このとき、媒体反転部700の回転が停止し、プラスチックカード3は、ローラ対23,24により搬送ローラ25に受け渡される。媒体反転部700から二次転写部500に向けてプラスチックカード3を移送する媒体搬送部800には、プラスチックカード3を搬送する搬送ローラ25,27が配置されている。
【0019】
<画像記録部>
媒体搬送部800の下部には、画像記録部200が設けられている。画像記録部200には、インクリボン130を収容するインクリボンカセット300と、転写フィルム1を収容する転写フィルムカセット400と、画像情報に応じて発熱するサーマルヘッド105と、ヒートローラ110等が設けられている。
【0020】
一次転写部2において、プラテンローラ107とサーマルヘッド105との間に転写フィルム1とインクリボン130とが圧接され、サーマルヘッド105によりインクリボン130から転写フィルム1に画像情報に応じたインク画像が転写される。その後、インクリボン130は、剥離用部材108により転写フィルム1から剥離され、搬送ローラ109とピンチローラ5a,5bとにより二次転写部500に搬送される。
【0021】
一方、プラスチックカード3は、媒体反転部700のローラ対23,24から媒体搬送部800に設けられた搬送ローラ25に受け渡される。その後、プラスチックカード3は、搬送ローラ27により搬送されてプラテンローラ28とヒートローラ110とにより構成される二次転写部500に到達する。
【0022】
二次転写部500において、プラテンローラ28とヒートローラ110との間に転写フィルム1とプラスチックカード3とが圧接されて転写フィルム1のインク画像がプラスチックカード3に転写される。このように、二次転写部500において、画像記録部200によりプラスチックカード3の表裏面に顔写真、文字データ等の画像を記録する。
【0023】
ここで、プラスチックカード3の表裏面を反転させる場合には、媒体反転部700が回転してローラ対23,24の何れかが搬送ローラ25に対向する位置に到達したとき、プラテンローラ28と搬送ローラ27と搬送ローラ25とを逆回転させる。そして、片面に画像が記録されたプラスチックカード3をローラ対23,24により媒体反転部700内に戻した後、媒体反転部700を反周回転させる。
【0024】
これによりプラスチックカード3の表裏面が反転する。そして、ローラ対23,24によりプラスチックカード3を搬送ローラ25に受け渡して表裏面が反転したプラスチックカード3を搬送ローラ27により二次転写部500に搬送する。そして、二次転写部500において、画像記録部200によりプラスチックカード3の他方の面に顔写真、文字データ等の画像を記録することができる。
【0025】
搬送ローラ29と搬送ローラ30との間には、デカール機構13が設けられている。デカール機構13は、搬送ローラ29と搬送ローラ30とにより挟持して保持された状態のプラスチックカード3の搬送方向中央部を押圧することによりヒートローラ110による熱転写によりプラスチックカード3に生じたカールを矯正する。デカール機構13は、カム10の回転により図1の上下方向に移動可能に構成されている。
【0026】
<記録後媒体収容部>
媒体収容部900は、画像記録部200から送られたプラスチックカード3を収容スタッカ60上に収容するように構成されている。収容スタッカ60は、昇降機構61により図1の上下方向に移動可能に構成されている。
【0027】
<操作部>
図2に示すように、記録装置100は、パーソナルコンピュータ等からなる操作部1000からの操作入力及び画像情報の転送を受け付ける。符号2000は、操作部1000に接続されたモニタである。符号3000は、操作部1000に接続されたマウスやキーボード等の入力装置である。
【0028】
図1に示すインクリボン130は、インクリボンカセット300の内部に収容され、転写フィルム1は、転写フィルムカセット400の内部に収容される。一次転写部2は、サーマルヘッド105とプラテンローラ107とにより構成される。図3に示す制御手段としての制御部4000は、サーマルヘッド105の加熱制御を行い、インクリボン130から転写フィルム1へ操作部1000から受けた画像情報の記録が行われる。制御部4000は、駆動モータMR1,MR2をそれぞれ制御する。
【0029】
二次転写部500における二次転写は、制御部4000により加熱制御されたヒートローラ110をプラスチックカード3に押し付けることで、転写フィルム1上の画像情報がプラスチックカード3の表面に転写される。
【0030】
インクリボンカセット300の内部に収容されるインクリボン130は、巻取軸101と供給軸102にセットされる。駆動部としての駆動モータMR1,MR2の回転によりそれぞれ巻取軸101及び供給軸102の駆動を行う。駆動モータMR1は、未使用状態のインクリボン130が取り付けられた供給軸102を回転駆動させる駆動手段として構成される。また、駆動モータMR2は、供給軸102から供給されたインクリボン130を巻き取る巻取軸101を回転駆動させる駆動手段として構成される。
【0031】
転写フィルムカセット400の内部に収容される転写フィルム1は、供給軸103と巻取軸104にセットされる。駆動部としての駆動モータMR3,MR4の回転によりそれぞれ供給軸103及び巻取軸104の駆動を行う。
【0032】
インクリボン130は、巻取軸101と供給軸102の2軸に巻回されており、巻取軸101には使用済みのインクリボン130が巻回されている。供給軸102には、未使用のインクリボン130が巻回されている。
【0033】
一次転写部2における一次転写時には、供給軸102に巻回された未使用のインクリボン130を、駆動モータMR1,MR2の回転駆動によりサーマルヘッド105側へ送り出し、一次転写位置に移動させる。サーマルヘッド105により転写フィルム1への画像情報の記録が終了したインクリボン130は、駆動モータMR1,MR2の回転駆動により巻取軸101に巻き付けられる。
【0034】
尚、符号106は、冷却ファンである。符号108は、剥離用部材であり、転写フィルム1からインクリボン130を剥離する。符号109は、転写フィルム1を搬送する搬送ローラである。搬送ローラ109の周面には、ピンチローラ5a,5bが圧接されている。転写フィルム1は、搬送ローラ109とピンチローラ5a,5bとにより挟持されて精度良く搬送される。供給軸103と巻取軸104は、転写フィルム1が弛まないように適度な張力を与える。
【0035】
図4(a),(b)は、インクリボン130の初期動作を説明する図である。一次転写部2における一次転写前の初期動作として、インクリボン130の頭出しが行われる。駆動モータMR1,MR2の回転駆動によりインクリボン130をサーマルヘッド105側へ送り出す。そして、供給軸102側に設けられている検出手段としてのインクリボン頭出しセンサ120によってインクリボン130の頭出しマーク130aを検知する。これによりインクリボン130の頭出し位置の検知を行う。これにより制御部4000は、インクリボン130が正常に送られていることを確認する。
【0036】
駆動モータMR1,MR2により供給軸103と巻取軸104をそれぞれ回転駆動してインクリボン130を送り出す。そして、図4(b)に示すように、インクリボン頭出しセンサ120は、複数色のカラーパネル130c,130dが面順次に配列されたインクリボン130の特定色としての頭出しマーク130aを検出する。これによりインクリボン130の未使用部分の先端位置を検出する。
【0037】
図4(b)に示すように、インクリボン130は、先頭部に配置された特定色のリボンパネルとしての頭出しマーク130aを有する。更に、次の特定色のリボンパネルとしての図4(b)には図示されていない頭出しマーク130aを有する。両者の頭出しマーク130aの間に複数色のカラーパネル130c,130dが面順次に配列されている。
【0038】
そして、制御部4000は、駆動モータMR1,MR2によってインクリボン130の送り出しを行う。これにより特定色のリボンパネルとしての頭出しマーク130aと、カラーパネル130c,130dとが面順次に送り出される。そして、インクリボン頭出しセンサ120によって特定色としての頭出しマーク130aを検出することでインクリボン130の未使用部分の頭出しを行う。
【0039】
図5(a)は、誤装着されたインクリボン130の側面図である。図5(b)は、誤装着されたインクリボン130の上側から見た斜視図である。図5(c)は、誤装着されたインクリボン130のカードリッジを示す断面図である。図6(a)は、正しく装着されたインクリボン130の構成を示す側面図である。図6(b)は、正しく装着されたインクリボン130の構成を上側から見た斜視図である。図6(c)は、正しく装着されたインクリボン130のカードリッジの構成を示す断面図である。
【0040】
インクリボン130を巻き取る回転方向、または巻き戻す回転方向は、駆動モータMR1,MR2の回転駆動制御で決定されている。そのため巻取軸101及び供給軸102へのインクリボン130の巻き付け方には正しい巻き付け方がある。図5(a)乃至(c)は、巻取軸101に対してインクリボン130が誤装着された状態を示し、図6(a)乃至(c)は、巻取軸101に対してインクリボン130が正しく装着された状態を示している。
【0041】
例えば、インクリボン130のパッケージからの初期開封時では、全てのインクリボン130が供給軸102に巻き付けられている。一方、巻取軸101側には、インクリボン130の端部が取り付けられる接点部が露出している。このような場合、ユーザは、図5(a)乃至(c)に示すように、巻取軸101に対してインクリボン130を誤った方向に巻き付ける可能性がある。
【0042】
図7(a)は、比較例のインクリボン130の搬送部の構成を示す断面図である。図7(b)は、本実施形態のインクリボン130の搬送部の構成を示す断面図である。図7(a)に示す比較例では、供給軸102側にのみインクリボン頭出しセンサ120が設けられた一例である。一方、図7(b)に示す本実施形態では、供給軸102側に設けられたインクリボン頭出しセンサ120に加えて、巻取軸101側にも検出手段としてのインクリボン位置センサ121が設けられている。
【0043】
インクリボン位置センサ121は、光学式のセンサである。インクリボン位置センサ121は、供給軸102と巻取軸101との間のインクリボン130の面130bの所定位置からの距離を検出する。具体的には、インクリボン位置センサ121の内部に設けられた図示しない受光素子とインクリボン130の面130bとの間の距離を検出する。制御部4000は、インクリボン位置センサ121により検出したインクリボン130の面130bとの間の距離に応じてインクリボン130の面130bの位置検出を行うことで、インクリボン130の装着状態を判定する。
【0044】
初期動作では、インクリボン130を供給軸102側から巻取軸101側へ搬送し、インクリボン頭出しセンサ120によりインクリボン130に設けられた頭出しマーク130aの位置を検出することでインクリボン130の頭出しを行う。
【0045】
図7(a)に示す比較例では、図5(a)乃至(c)に示すように、巻取軸101に対してインクリボン130の誤装着が行われた場合、誤装着の状態を検出する手段をもたない。このため初期動作時においてインクリボン130を供給軸102から巻取軸101の方向へ搬送しようとするとき、供給軸102は図5(a)の矢印B方向に回転し、巻取軸101は図5(a)の矢印C方向に回転している。
【0046】
このためインクリボン130が供給軸102と巻取軸101との間で弛みが発生してインクリボン130が供給軸102から巻取軸101の方向へ搬送されない。このためインクリボン頭出しセンサ120によってインクリボン130の頭出しマーク130aの位置を検出することができず、頭出しエラーが発生してしまう。
【0047】
図8(a),(b)及び図9は、図7(a)に示す比較例の構成において、図5(a)乃至(c)に示すように、巻取軸101に対してインクリボン130の誤装着が行われた場合の初期動作を説明する図である。図10(a),(b)、図11(a),(b)及び図12は、図7(b)に示す本実施形態の構成において、図5(a)乃至(c)に示すように、巻取軸101に対してインクリボン130の誤装着が行われた場合の初期動作を説明する図である。
【0048】
図8(a),(b)及び図9は、図7(a)に示す比較例の構成において、図5(a)乃至(c)に示すように、巻取軸101に対してインクリボン130の誤装着が行われた場合の初期動作にてエラーが発生する様子を示す。
【0049】
通常の初期動作において、図4(a),(b)に示すように、インクリボン130の頭出しを行う場合、巻取軸101は、インクリボン130を巻き取る方向である図4(a)の矢印C方向に順回転する。また、供給軸102は、インクリボン130をサーマルヘッド105側に送り出す方向である図4(a)の矢印B方向に順回転する。
【0050】
このとき、図5(a)乃至(c)に示すように、巻取軸101に対してインクリボン130が誤装着されている場合を想定する。このとき、図8(a),(b)に示すように、巻取軸101に巻かれているインクリボン130と、供給軸102に巻き付けられているインクリボン130が、どちらもサーマルヘッド105側に送り出されてしまう。
【0051】
この場合、図8(b)に示すように、巻取軸101と供給軸102との間でインクリボン130に撓みが発生してインクリボン130の送り出しが空転する。これによりインクリボン頭出しセンサ120によりインクリボン130に設けられた頭出しマーク130aの検知を行うことができない。
【0052】
そのため図7(a)に示す比較例の構成では、初期動作を完了することができず、制御部4000は、通知部4によりエラーメッセージを通知する。これによりインクリボン130を正しく装着するようにユーザに促す。そして、ユーザは、図6(a)乃至(c)及び図9に示すように、巻取軸101に対してインクリボン130を正しく装着する。
【0053】
図10(a),(b)、図11(a),(b)及び図12は、図7(b)に示す本実施形態の構成において、図5(a)乃至(c)に示すように、巻取軸101に対してインクリボン130の誤装着が行われた場合の初期動作の様子を示す。
【0054】
図10(a)に示すように、初期動作開始前にインクリボン位置センサ121によってインクリボン130の面130bの位置検出を行う。制御部4000は、インクリボン位置センサ121の検知結果に基づいて巻取軸101側のインクリボン130が適正な箇所に位置しているか否かを判断している。そして、制御部4000は、インクリボン位置センサ121によるインクリボン130の面130bの位置検出結果に基づいて巻取軸101に対してインクリボン130が正しく装着されているか否かを判断する。
【0055】
図13(a)は、インクリボン位置センサ121によるインクリボン130の面130bの位置検知を説明する図である。図13(b)は、インクリボン130の面130bの位置に応じて制御される巻取軸101と供給軸102の回転方向を示す図である。
【0056】
図13(a)に示すように、巻取軸101と供給軸102との間のインクリボン130が巻取軸101に対して接点部101aで接している場合がある。その場合は、制御部4000は、インクリボン位置センサ121の検知結果によりインクリボン130が適正位置に位置していないと判断する。そして、制御部4000は、供給軸102の回転方向を図13(a)の矢印A方向で示す逆方向に駆動する制御を行う。
【0057】
巻取軸101と供給軸102との間のインクリボン130が巻取軸101に対して接点部101b乃至101dで接している場合がある。その場合は、制御部4000は、インクリボン位置センサ121の検知結果によりインクリボン130が適正位置に位置していると判断する。そして、制御部4000は、供給軸102の回転方向を図13(a)の矢印B方向で示す順方向に駆動する制御を行う。
【0058】
図13(a)に示すように、巻取軸101に巻き付けられているインクリボン130の接点部101a乃至101dの位置に応じて巻取軸101と供給軸102との間に掛けられているインクリボン130の面130bの位置も変化する。
【0059】
図13(a)に示すように、インクリボン位置センサ121の内部に設けられる図示しない発光部と受光部は、巻取軸101と供給軸102との間に掛けられているインクリボン130の面130bに向けて配置されている。インクリボン位置センサ121は、例えば、レーザ光を用いた測距センサによりインクリボン位置センサ121からインクリボン130の面130bまでの距離を検出しても良い。
【0060】
測距センサ内部の発光部から照射されたレーザ光がインクリボン130の面130bに反射して測距センサ内部の受光部で受光される。その反射されたレーザ光を評価・演算し、距離に換算して出力する。測距センサ内部の発光部から照射されたレーザ光がインクリボン130の面130bに反射し受光されるまでの時間を計測し、演算処理によりインクリボン位置センサ121からインクリボン130の面130bまでの距離に換算する。また、インクリボン位置センサ121は、例えば、拡散反射型センサにより信号光を照射し、インクリボン130に反射した拡散光を検出してインクリボン位置センサ121からインクリボン130の面130bまでの距離を検出しても良い。
【0061】
図10(a)に示すように、制御部4000は、インクリボン位置センサ121によりインクリボン130の面130bの位置検出を行う。そして、インクリボン130の面130bの位置が適正位置でないと判断した場合は、制御部4000は、駆動モータMR2を駆動制御して、図10(b)に示すように、供給軸102を矢印A方向で示す逆方向に回転する。更に、制御部4000は、駆動モータMR1を駆動制御して巻取軸101を矢印C方向で示す順方向に回転する。これにより巻取軸101に巻き付けられているインクリボン130を供給軸102側に逆搬送する。
【0062】
供給軸102を矢印A方向で示す逆方向に回転し、巻取軸101を矢印C方向で示す順方向に回転することで、巻取軸101に巻かれたインクリボン130を供給軸102側に送り続ける。すると、巻取軸101に巻き付けられているインクリボン130の接点部が図13(a)の接点部101aから接点部101dに向かう方向に移動していく。制御部4000は、インクリボン位置センサ121によりインクリボン130の面130bの位置が接点部101aから接点部101bの位置に変化したことを検知する。このとき、制御部4000は、駆動モータMR2を駆動制御して、図11(b)に示すように、供給軸102の回転方向を矢印B方向で示す順方向の回転に切り替える。
【0063】
インクリボン位置センサ121によって検出されたインクリボン130の面130bの位置が図13(a)に示す接点部101b乃至101dの位置である場合には、供給軸102と巻取軸101をそれぞれ矢印B,C方向で示す順方向に回転する。これによりインクリボン130の装着は、図6(a)乃至(c)に示す正しい装着状態となる。
【0064】
制御部4000は、インクリボン頭出しセンサ120によってインクリボン130に設けられた頭出しマーク130aを検出してインクリボン130の頭出しを行い、インクリボン130が正常に装着されたことを確認する。これにより図5(a)乃至(c)及び図10(a),(b)に示すように誤装着状態であったインクリボン130を、図6(a)乃至(c)及び図12に示すような適正な状態にすることができる。
【0065】
図14はインクリボン130の初期動作の制御を説明するフローチャートである。図14のステップS1において、制御部4000は、インクリボン130の頭出し動作を行う前に、事前にインクリボン位置センサ121によってインクリボン130の面130bの位置を検出する。これにより制御部4000は、インクリボン130の面130bの位置の修正が必要か否かを判断する。即ち、制御部4000は、供給軸102に対してインクリボン130が正しく装着されているか否かを判断する制御を行う。
【0066】
図3に示すように、制御部4000は、インクリボン頭出しセンサ120とインクリボン位置センサ121からの情報を基に駆動モータMR1,MR2を駆動制御してインクリボン130の巻取軸101と供給軸102の回転駆動を制御する。
【0067】
ステップS1において、制御部4000は、インクリボン130の面130bの位置の修正が必要であると判断した場合には、ステップS2に進み、図10(b)に示すように、インクリボン130の逆搬送を開始する。このとき、制御部4000は、駆動モータMR1を駆動して巻取軸101を矢印C方向で示す順方向に回転し、駆動モータMR2を駆動して供給軸102を矢印A方向で示す逆方向に回転する。
【0068】
即ち、制御部4000は、図13(a)に示すインクリボン位置センサ121の検出結果に基づいてインクリボン130が誤装着状態であると判断する。その場合、制御部4000は、駆動モータMR1,MR2によりインクリボン130を供給軸102側(供給軸側)に巻き取る方向に巻取軸101と供給軸102を回転させる。
【0069】
次に、ステップS3において、制御部4000は、インクリボン130の面130bの位置が変動したか否かを判断する。このとき、制御部4000は、インクリボン位置センサ121により検知したインクリボン130の面130bの位置の検知結果によりインクリボン130の面130bの位置が変動したか否かを判断する。
【0070】
ステップS3において、インクリボン130の面130bの位置が変動した場合には、ステップS4に進んで、図11(b)に示すように、制御部4000は、駆動モータMR2を駆動して供給軸102を矢印B方向で示す順方向に回転する。即ち、供給軸102の回転方向を変更する。ステップS3において、インクリボン130の面130bの位置が未だ変動していない場合は、ステップS2に戻る。
【0071】
次に、ステップS5において、制御部4000は、インクリボン130の順搬送を開始する。即ち、制御部4000は、図11(b)に示すように、駆動モータMR1を駆動して巻取軸101を矢印C方向で示す順方向に回転し、駆動モータMR2を駆動して供給軸102を矢印B方向で示す順方向に回転する。
【0072】
即ち、制御部4000は、図13(a)に示すインクリボン位置センサ121の検出結果に基づいて巻取軸101側(巻取軸側)のインクリボン130の面130bが所定の位置であると判断する。その場合、制御部4000は、駆動モータMR1,MR2によってインクリボン130を巻取軸101側に送り出す方向に回転方向を切り替える。このように、制御部4000は、ステップS1乃至S5の制御を実行することによりインクリボン130の誤装着の自動解除制御を行うことができる。
【0073】
次に、ステップS6において、制御部4000は、インクリボン頭出しセンサ120によりインクリボン130に設けられた頭出しマーク130aを検出したか否かを判断する。インクリボン頭出しセンサ120によりインクリボン130に設けられた頭出しマーク130aを検出した場合には、処理を終了する。インクリボン頭出しセンサ120によりインクリボン130に設けられた頭出しマーク130aを検出しない場合には、ステップS7に進み、制御部4000は、通知部4によりエラーメッセージを通知する。ここで、通知部4は、操作パネルの表示部等により構成される。
【0074】
ステップS1において、制御部4000は、インクリボン130の面130bの位置の修正が必要でないと判断した場合は、ステップS8に進んで、インクリボン130の順方向の搬送を開始する。このとき、制御部4000は、駆動モータMR1を駆動して巻取軸101を矢印C方向で示す順方向に回転し、駆動モータMR2を駆動して供給軸102を矢印B方向で示す順方向に回転する。その後、ステップS6に進む。
【0075】
即ち、制御部4000は、ステップS1,S3において、インクリボン位置センサ121により検出した検出結果に基づいてインクリボン130が正しい装着状態であると判断する。その場合、ステップS6において、制御部4000は、インクリボン頭出しセンサ120によりインクリボン130の未使用部分の先端位置の検出を行い、インクリボン130の頭出し制御を行う。
【0076】
図7(a)に示す比較例では、インクリボン130を誤装着した場合、誤装着の状態を検出して自動解除する手段がないためエラー表示を行い、ユーザにインクリボン130を正しく装着するように促す必要があった。本実施形態では、インクリボン130を誤装着した場合にインクリボン130の面130bの位置を判定することで誤装着の状態を検出し、ユーザの手を煩わせることなくインクリボン130の誤装着状態を自動解除して正常化することができる。これによりインクリボン130の装着性の利便性向上を図ることができる。
【0077】
インクリボン130の誤装着状態は、セットされたインクリボン130の面130bの位置判定を行うことによって判断できる。そのためインクリボン位置センサ121によりインクリボン位置センサ121が設けられた所定の位置からインクリボン130の面130bまでの距離を測る。そして、制御部4000は、インクリボン位置センサ121により検出したインクリボン130の面130bの位置情報からインクリボン130を巻き取る巻取軸101に対してインクリボン130が正しく装着されているか否かを判断する。そして、供給軸102の回転制御によってインクリボン130の誤装着状態の自動解除を行うことができる。
【符号の説明】
【0078】
MR1…駆動モータ(第1の駆動手段)
MR2…駆動モータ(第2の駆動手段)
101…巻取軸
102…供給軸
121…インクリボン位置センサ(第2の検出手段)
130…インクリボン
4000…制御部(制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14