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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035786
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】羽根開閉装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20220225BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220225BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220225BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220225BHJP
   G03B 9/36 20210101ALN20220225BHJP
【FI】
G03B11/04 B
G03B17/02
G02B7/02 E
H04N5/225 100
H04N5/225 700
G03B9/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140339
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】潮 亮佐
(72)【発明者】
【氏名】今井 謙三
(72)【発明者】
【氏名】澤登 孝司
(72)【発明者】
【氏名】渡部 伸昭
【テーマコード(参考)】
2H044
2H081
2H083
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AE10
2H081AA27
2H081BB26
2H081BB27
2H081CC21
2H081CC34
2H081CC35
2H081CC36
2H083CC01
2H083CC05
2H083CC07
2H083CC23
2H100AA61
2H100CC07
5C122EA54
5C122FB09
5C122GE05
(57)【要約】
【課題】限られたスペースに組み込むことができる薄型の羽根開閉装置を提供する。
【解決手段】羽根開閉装置1は、レンズユニット3が設けられたモジュール基板2に配置されるベース部材10と、ベース部材10に対してモジュール基板2とは反対側に配置される仕切板30と、仕切板30に対してベース部材10とは反対側に配置されるカバー板40とを備える。仕切板30及びカバー板40には、レンズユニット3の光軸P上にそれぞれ開口31,41が形成される。羽根開閉装置1は、カバー板40と仕切板30との間に形成される羽根室の内部でX方向に移動可能な羽根部材50と、開口31,41を塞ぐ閉位置と開口31,41を開放する開位置との間で羽根部材50を移動させるアクチュエータ20と、Z方向に延びる端子板28とを備える。端子板28は、アクチュエータ20と電気的に接続され、モジュール基板2側の端部にモジュール基板2の接点2Aと電気的に接続するための接続部29を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットが設けられたモジュール基板に実装可能な羽根開閉装置であって、
モジュール基板上に配置されるベース部材と、
前記ベース部材の少なくとも一部を覆うカバー板であって、前記レンズユニットの前記光軸上に開口が形成されたカバー板と、
前記カバー板と前記ベース部材との間に形成される羽根室の内部で前記光軸に垂直な開閉方向に移動可能な羽根部材と、
前記開口を塞ぐ閉位置と前記開口を開放する開位置との間で前記羽根部材を移動させるアクチュエータと、
前記光軸と平行に延びる端子板であって、前記アクチュエータと電気的に接続される端子板と
を備え、
前記端子板は、前記モジュール基板側の端部に前記モジュール基板の接点と電気的に接続するための接続部を有する、
羽根開閉装置。
【請求項2】
前記ベース部材は、
前記レンズユニットを収容する収容空間が形成された本体部と、
前記開閉方向において前記本体部と接続された終端部と
を有し、
前記光軸方向と前記開閉方向の双方に垂直な幅方向において、前記終端部の幅は、前記本体部の幅よりも所定の逃げ幅だけ小さくなって、前記開閉方向において前記本体部に隣接する逃げ空間が形成され、
前記端子板は、前記逃げ空間に配置される、
請求項1に記載の羽根開閉装置。
【請求項3】
前記所定の逃げ幅は、前記本体部の幅の半分以下である、請求項2に記載の羽根開閉装置。
【請求項4】
前記レンズユニットが設けられる前記モジュール基板の面と同一の面に実装される、請求項1から3のいずれか一項に記載の羽根開閉装置。
【請求項5】
前記モジュール基板と、
前記モジュール基板に実装された前記レンズユニットと、
請求項1から4のいずれか一項に記載の羽根開閉装置と
を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根開閉装置及び電子機器に係り、特に羽根部材により開口を開閉可能な羽根開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやスマートスピーカ、ドローンをはじめとして様々な電子機器にカメラが組み込まれている。このようなカメラにおいては、レンズ開口が常に開放されているものが多く、常に撮影可能な状態であるものが多い。このような場合に、悪意を持った第三者によりカメラが操作されると、カメラによってユーザの意図しない画像や映像が取得され、これが犯罪に用いられてしまうおそれがある。
【0003】
特に、最近では、カメラを内蔵した電子機器がインターネットなどのネットワークに接続されることが多くなっているが、ネットワークに接続された電子機器は、悪意のあるプログラムによってユーザの知らない間に遠隔操作される可能性がある。電子機器が遠隔操作されると、ユーザの知らない間に撮影が行われ、カメラにより画像や映像が取得されて外部に送信されるおそれがある。このように、ユーザのプライバシー保護の観点からも、ユーザが意図していないときにカメラによる撮影を遮断できるような機構が要望されている。
【0004】
このようなカメラによる撮影を遮断する機構として、従来からカメラにおいて用いられているシャッタ機構(例えば、特許文献1参照)のようにレンズと被写体の間で羽根を開閉させる機構が考えられるが、電子機器の小型化が進むにつれて、カメラモジュールを組み込むことができるスペースも小さくなってきており、従来のシャッタ機構ではこのような限られたスペースに組み込むことが難しい。特に、近年の電子機器においては、カメラモジュールのレンズの光軸方向の高さを小さくする、すなわち薄型化することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-288327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、限られたスペースに組み込むことができる薄型の羽根開閉装置及びかかる羽根開閉装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、限られたスペースに組み込むことができる薄型の羽根開閉装置が提供される。この羽根開閉装置は、レンズユニットが設けられたモジュール基板に実装することができる。上記羽根開閉装置は、上記モジュール基板上に配置されるベース部材と、上記ベース部材の少なくとも一部を覆うカバー板とを備える。上記カバー板には、上記レンズユニットの光軸上に開口が形成される。上記羽根開閉装置は、上記カバー板と上記ベース部材との間に形成される羽根室の内部で上記光軸に垂直な開閉方向に移動可能な羽根部材と、上記開口を塞ぐ閉位置と上記開口を開放する開位置との間で上記羽根部材を移動させるアクチュエータと、上記光軸と平行に延びる端子板とを備える。上記端子板は、上記アクチュエータと電気的に接続される。上記端子板は、上記モジュール基板側の端部に上記モジュール基板の接点と電気的に接続するための接続部を有する。
【0008】
また、本発明の第2の態様によれば、上記モジュール基板と、上記モジュール基板に実装された上記レンズユニットと、上述した羽根開閉装置とを備える電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態における羽根開閉装置をモジュール基板及びレンズユニットとともに示す斜視図である。
図2図2は、図1の羽根開閉装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1の羽根開閉装置の模式的縦断面図である。
図4図4は、図1の羽根開閉装置の模式的正面図である。
図5図5は、図1の羽根開閉装置の模式的平面図である。
図6A図6Aは、図2に示すアクチュエータの動作の一例を模式的に示す平面図である。
図6B図6Bは、図2に示すアクチュエータの動作の一例を模式的に示す平面図である。
図7A図7Aは、図6Aに示すアクチュエータによって移動された羽根部材の位置を模式的に示す平面図である。
図7B図7Bは、図6Bに示すアクチュエータによって移動された羽根部材の位置を模式的に示す平面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態における電子機器としてのノートパソコンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る羽根開閉装置の実施形態について図1から図8を参照して詳細に説明する。図1から図8において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図8においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態における羽根開閉装置1を示す斜視図、図2は分解斜視図、図3は模式的縦断面図、図4は模式的正面図、図5は模式的平面図である。図1から図5に示すように、本実施形態における羽根開閉装置1は、例えば電子機器に組み込まれたカメラモジュールに実装されるものであり、具体的には、レンズユニット3が設けられたモジュール基板2に実装されるものである。なお、図3においては、理解を容易にするために、一部の部材の図示を簡略化又は省略するとともに、一部の部材の寸法を誇張して図示している。本実施形態では、便宜的に、図1における+Z方向を「上」又は「上方」といい、-Z方向を「下」又は「下方」ということとする。
【0012】
図1から図5に示すように、羽根開閉装置1は、モジュール基板2に取り付けられるベース部材10と、ベース部材10上に設置されるアクチュエータ20と、ベース部材10に対してモジュール基板2とは反対側に配置される仕切板30と、ベース部材10の上部を覆うカバー板40と、カバー板40と仕切板30との間に配置される羽根部材50と、アクチュエータ20と羽根部材50との間に配置される仕切板32とを備えている。羽根開閉装置1は、レンズユニット3が設けられたモジュール基板2の面と同一の面に実装されている。
【0013】
図2及び図3に示すように、ベース部材10には、略直方体状の収容空間Sが形成されており、この収容空間Sの内部には、モジュール基板2に実装されたレンズユニット3が収容されている。より具体的には、ベース部材10は、レンズユニット3の周囲を取り囲む周囲壁13A,13B,13C,13Dを有しており、これらの周囲壁13A,13B,13C,13Dと、仕切板30と、モジュール基板2とによってレンズユニット3を収容する収容空間Sが画定されている。上述した仕切板30は、周囲壁13A,13B,13C,13Dの上面13Eに配置されている。
【0014】
仕切板30及びカバー板40には、このレンズユニット3の光軸P上にそれぞれ開口31,41が形成されている。なお、本実施形態では、開口31が形成された仕切板30とは別に仕切板32が設けられているが、開口31が形成された仕切板30と仕切板32とを1枚の仕切板により構成してもよい。また、他の実施形態では、仕切板30及び/又は仕切板32は省略されてもよい。仕切板30が省略された場合、後述する口径はカバー板40の開口41によって決められる。
【0015】
カバー板40は、ピン42,43によって仕切板30,32などとともにベース部材10に固定されている。このカバー板40の固定手段はピンに限られるものではなく、例えばネジなどを用いてカバー板40をベース部材10に固定してもよい。
【0016】
アクチュエータ20は、磁性体からなるヨーク21と、コイルベース22と、ヨーク21及びコイルベース22の周囲に巻回されたコイル23と、ベース部材10から+Z方向に延びる軸11に回転可能に取り付けられるロータマグネット24と、ロータマグネットに連結されたレバー部材25とを含んでいる。本実施形態におけるヨーク21は、Z方向に薄い扁平状であり、2つのアーム部21A,21Bを含むU字形状を有している。コイル23は一方のアーム部21Aの周囲に巻回される。ロータマグネット24は、ヨーク21のアーム部21A,21Bの間に配置されており、軸11周りに異なる磁極を有する磁石から構成されている。レバー部材25は、ロータマグネット24の半径方向外側で+Z方向に延びる円筒状の係合部26を有している。
【0017】
コイルベース22は、-Y方向に突出する端子27を有しており、この端子27はコイル23の端部が巻き付けられている。端子27には、例えば図1に示すように半田60によって金属板からなる端子板28とともにコイル23の端部が固定される。この端子板28は、XZ平面に平行に延びており、モジュール基板2側(-Z方向側)の端部に接続部29を有している。この接続部29は、例えば図1及び図4に示すように半田61によってモジュール基板2の接点2Aと電気的に接続されている。このように、アクチュエータ20のコイル23は、端子板28を介してモジュール基板2内の配線(図示せず)に電気的に接続されている。
【0018】
羽根部材50は、カム溝51が形成されたベース52と、ベース52に固定された羽根53とを含んでいる。カム溝51は、-Y方向に向かって次第に+X方向に変化するように延びている。カム溝51のX方向の幅はアクチュエータ20のレバー部材25の係合部26の外径よりもわずかに大きい程度である。本実施形態においては、ベース52と羽根53とが別体として形成されているが、ベース52と羽根53とを一体化して羽根部材50を構成してもよい。なお、他の実施形態では、カム溝51を用いずに、羽根部材50を移動できるようにしてもよい。
【0019】
羽根部材50は、ベース部材10のY方向の縁部から+Z方向に延びるガイド部12(図2参照)の間に配置されており、ベース部材10のガイド部12にガイドされつつ、X方向に移動できるように構成されている。すなわち、羽根部材50は、カバー板40と仕切板30及び仕切板32との間に形成される羽根室の内部でX方向(開閉方向)に移動できるように構成されている。
【0020】
仕切板30には、レンズユニット3に入射する光の量を決める開口31(口径)が形成されている。そのため、仕切板30は口径板と言われることもある。なお、仕切板30が省略された場合は、カバー板40の開口41が上記の口径として機能する。
【0021】
仕切板32には、ベース部材10の軸11を中心とする円弧に沿った円弧溝33が形成されている。この円弧溝33の半径方向に沿った幅はアクチュエータ20のレバー部材25の係合部26の外径よりもわずかに大きい程度である。レバー部材25の係合部26は、この仕切板32の円弧溝33を通って羽根部材50のカム溝51の内部に挿通されている。これにより、レバー部材25の係合部26は、ベース部材10の軸11を中心とする円に沿って仕切板32の円弧溝33の内部を移動するとともに、羽根部材50のカム溝51に係合しつつカム溝51の内部を移動できるように構成されている。このアクチュエータ20のレバー部材25の係合部26と羽根部材50のカム溝51との係合により、アクチュエータ20のレバー部材25の係合部26の移動に伴って、羽根部材50がX方向に移動するようになっている。
【0022】
図6A及び図6Bは、アクチュエータ20の動作の一例を模式的に示す平面図である。本実施形態におけるアクチュエータ20では、モジュール基板2の配線を通してアクチュエータ20のコイル23に電流を通電すると、ヨーク21のアーム部21A,21Bが互いに反対の磁極に着磁(磁化)し、アーム部21A,21Bの磁力による吸引によってロータマグネット24が回転するようになっている。
【0023】
例えば、アクチュエータ20のコイル23に電流を一方向に通電して、図6Aに示すようにヨーク21のアーム部21A,21Bが着磁して磁性を帯びると、ロータマグネット24の磁極がそれぞれヨーク21のアーム部21A,21Bの反対の磁極に吸引され、ロータマグネット24が軸11を中心として時計回りに回転する。このとき、レバー部材25の係合部26が羽根部材50のカム溝51に係合して、羽根部材50が-X方向に移動し、図7Aに示す位置となる。この位置では、羽根部材50は、仕切板32の開口31とカバー板40の開口41を塞いでおらず、開口31,41が開放されている。すなわち、外部からの光は仕切板32の開口31とカバー板40の開口41を通って直接レンズユニット3のレンズに入射するため、レンズユニット3による撮影が可能である。以下、図6Aに示すロータマグネット24の位置及び図7Aに示す羽根部材50の位置をそれぞれ「開位置」ということとする。
【0024】
また、図6Aのときとは逆の方向に電流をアクチュエータ20のコイル23に通電した場合には、ヨーク21のアーム部21A,21Bは図6Bに示すように着磁し、ロータマグネット24の磁極がそれぞれヨーク21のアーム部21A,21Bの反対の磁極に吸引され、ロータマグネット24が軸11を中心として反時計回りに回転する。このとき、レバー部材25の係合部26が羽根部材50のカム溝51に係合して、羽根部材50が+X方向に移動し、図7Bに示す位置となる。この位置では、羽根部材50(羽根53)が、仕切板32の開口31とカバー板40の開口41とを塞いでいる。すなわち、羽根部材50がレンズユニット3の光軸P上に位置しており、カバー板40の開口41を通った光は羽根部材50に遮られる。以下、図6Bに示すロータマグネット24の位置及び図7Bに示す羽根部材50の位置をそれぞれ「閉位置」ということとする。
【0025】
このように、アクチュエータ20は、モジュール基板2からの電力の供給によって、ロータマグネット24を閉位置と開位置との間で回転させ、レバー部材25の係合部26を介して羽根部材50を閉位置と開位置との間で移動できるようになっている。
【0026】
例えば、レンズユニット3が撮影する光(可視光や赤外光など)を透過しない材料で羽根53を構成することとすれば、羽根部材50が閉位置にあるときには、カバー板40の開口41を通った光は、羽根53に遮られてレンズユニット3には届かない。したがって、このときにレンズユニット3が動作しても、画像や映像を取得することができないため、ユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止することができる。
【0027】
また、羽根部材50の羽根53は、開口41,31を通ってレンズユニット3に入射する光のすべてを遮る必要はなく、レンズユニット3に入射する光の一部を遮るように羽根53を構成してもよい。例えば、レンズユニット3が撮影する光(可視光や赤外光など)に対する透過率の低い材料で羽根53を構成したり、羽根53に着色や凹凸、穿孔により模様(網目状や格子状の模様、同心円の模様など)を施したりすることにより、レンズユニット3に入射する光の一部を遮るようにしてもよい。この場合には、レンズユニット3により取得される画像や映像の一部が不鮮明又は不可視になるため、ユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止することができる。
【0028】
さらに、開口41,31を通ってレンズユニット3に入射する光に対して所定の光学効果(モザイクフィルタ、散乱、乱反射など)を加えるように羽根53を構成してもよい。この場合においても、レンズユニット3により取得される画像や映像の一部が不鮮明又は不可視になるため、ユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止することができる。
【0029】
本実施形態では、アクチュエータ20のコイル23に電流が供給されていない状態でロータマグネット24の磁力によりロータマグネット24がヨーク21に吸引されるようヨーク21の形状を調整している。具体的には、図6Aに示す状態で、アクチュエータ20のコイル23への電流の供給を停止しても、ロータマグネット24がヨーク21に与える磁力によってロータマグネット24が開位置を保持できるようになっている。同様に、図6Bに示す状態で、アクチュエータ20のコイル23への電流の供給を停止しても、ロータマグネット24がヨーク21に与える磁力によって、ロータマグネット24が閉位置を保持できるようになっている。
【0030】
このようにヨーク21の形状を調整することで、アクチュエータ20のコイル23に電流を供給していない状態で、羽根部材50が開位置又は閉位置から意図せず移動してしまったり、開位置と閉位置との間で止まってしまったりすることを防止することができる。なお、ロータマグネット24を開位置及び閉位置の一方のみで保持するようにヨーク21の形状を調整してもよい。特に、ロータマグネット24が閉位置を保持できるようにすれば、アクチュエータ20のコイル23に電流が供給されていなくても、開口41,31が羽根部材50の羽根53により塞がれた状態となるため、ユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止することができる点で好ましい。
【0031】
ここで、図4に示すように、端子板28は、Z軸に平行に延びる平板状の金属板であり、モジュール基板2側に形成された接続部29でモジュール基板2の接点2Aと接続されている。このような構成により、羽根開閉装置1のZ方向の高さH(図3参照)を最小限に抑えつつ、端子板28によってアクチュエータ20をモジュール基板2の配線に電気的に接続することができる。また、このような構成とすれば、羽根開閉装置1内において端子板28の接続部29が相対的に-Z方向側、羽根部材50が相対的に+Z方向側に配置されることになる。このため、接続部29をモジュール基板2の接点2Aに半田61で接続する際に生じる熱が羽根部材50に伝わりにくく、また半田61に使用されるフラックスが羽根部材50に流れ込みにくくなる。したがって、羽根部材50が半田61による熱で変形することで開閉できなくなったり、フラックスが付着することで開閉できなくなったりするなどの故障を抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態におけるベース部材10は、レンズユニット3を収容する収容空間Sが形成された本体部14と、X方向において本体部14と接続された終端部15とを含んでいる。図5に示すように、ベース部材10の終端部15のY方向(幅方向)の幅は、本体部14の幅W1よりも逃げ幅W2だけ小さくなっている。これによって、本体部14の-X方向側には逃げ空間Rが形成される。上述した端子板28はこの逃げ空間Rに配置される。このような構成により、羽根開閉装置1のY方向の幅W1を最小限に抑えつつ、端子板28によってアクチュエータ20をモジュール基板2の配線に電気的に接続することができる。また、このような構成とすれば、羽根開閉装置1内において端子板28の接続部29が相対的に-X方向側、羽根部材50が相対的に+X方向側に配置されることになる。このため、接続部29をモジュール基板2の接点2Aに半田61で接続する際に生じる熱が羽根部材50に伝わりにくく、また半田61に使用されるフラックスが羽根部材50に流れ込みにくくなる。したがって、羽根部材50が半田61による熱で変形することで開閉できなくなったり、フラックスが付着することで開閉できなくなったりするなどの故障をより一層抑制することができる。
【0033】
この場合において、逃げ幅W2を不必要に大きくすると、ベース部材10の内部にアクチュエータ20を収容することが難しくなるので、逃げ幅W2はベース部材10の本体部14の幅W1の半分以下であることが好ましい。
【0034】
ところで、羽根部材50が閉位置にあるときには、羽根部材50の羽根53の外表面がカバー板40の開口41から外部に露出することとなるため、羽根53の外表面を視認性の高い色(例えば赤色)で着色したり、あるいは、視認性の高い幾何学形状(星形、四角形、多角形など)やロゴマーク、イラストなどの意匠が施したりすることが好ましい。このように羽根53の外表面に視認性の高い着色や意匠を施すことにより、羽根53が閉位置にあることの確認が容易になり、意図しない画像や映像の取得からユーザが保護されていることを容易に認識することができる。
【0035】
また、図示した実施形態では、カバー板40の開口41及び仕切板30の開口31の形状が円形であるが、これらの開口41,31の形状は円形に限られるものではなく、矩形状、楕円状など任意の形状を選択することができる。
【0036】
また、上述した実施形態では、扁平U字状のヨーク21とロータマグネット24とを組み合わせたアクチュエータ20を用いた例を説明したが、使用するアクチュエータ20はこれに限られるものではなく、羽根部材50を閉位置と開位置との間で移動できるものであれば、どのような構造のものであってもよい。
【0037】
図8は、上述した羽根開閉装置1を組み込んだ電子機器の一例としてのノートパソコン100を示す図である。このノートパソコン100の蓋部110にはカメラ用の窓120が設けられており、この窓120に対応する位置にレンズユニット3が位置するようにノートパソコン100内に羽根開閉装置1が組み込まれている。これにより、カメラ機能を有するノートパソコン100が実現される。
【0038】
上述した例では、羽根開閉装置1を組み込んだ電子機器としてノートパソコン100を挙げたが、本発明に係る羽根開閉装置は、ノートパソコンだけではなく、スマートスピーカやホームセキュリティカメラなどカメラ機能を備えた電子機器全般に適用できるものである。
【0039】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0040】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、限られたスペースに組み込むことができる薄型の羽根開閉装置が提供される。この羽根開閉装置は、レンズユニットが設けられたモジュール基板に実装することができる。上記羽根開閉装置は、上記モジュール基板上に配置されるベース部材と、上記ベース部材の少なくとも一部を覆うカバー板とを備える。上記カバー板には、上記レンズユニットの光軸上に開口が形成される。上記羽根開閉装置は、上記カバー板と上記ベース部材との間に形成される羽根室の内部で上記光軸に垂直な開閉方向に移動可能な羽根部材と、上記開口を塞ぐ閉位置と上記開口を開放する開位置との間で上記羽根部材を移動させるアクチュエータと、上記光軸と平行に延びる端子板とを備える。上記端子板は、上記アクチュエータと電気的に接続される。上記端子板は、上記モジュール基板側の端部に上記モジュール基板の接点と電気的に接続するための接続部を有する。
【0041】
このように羽根開閉装置を構成することで、羽根開閉装置の光軸方向に沿った高さを最小限に抑えつつ、端子板によってアクチュエータをモジュール基板の配線に電気的に接続することができる。また、このような構成とすれば、羽根開閉装置内において端子板の接続部と羽根部材とが光軸方向において互いに逆側に配置されるので、接続部をモジュール基板の接点に例えば半田で接続する際に生じる熱が羽根部材に伝わりにくく、また半田に使用されるフラックスが羽根部材に流れ込みにくくなる。したがって、羽根部材が半田による熱で変形することで開閉できなくなったり、フラックスが付着することで開閉できなくなったりするなどの故障を抑制することができる。
【0042】
上記ベース部材は、上記レンズユニットを収容する収容空間が形成された本体部と、上記開閉方向において上記本体部と接続された終端部とを有していてもよい。上記光軸方向と上記開閉方向の双方に垂直な幅方向において、上記終端部の幅は、上記本体部の幅よりも所定の逃げ幅だけ小さくなって、上記開閉方向において上記本体部に隣接する逃げ空間が形成されていてもよい。この場合において、上記端子板が、上記逃げ空間に配置されることが好ましい。このように羽根開閉装置を構成することで、羽根開閉装置の幅を最小限に抑えつつ、端子板によってアクチュエータをモジュール基板の配線に電気的に接続することができる。また、このような構成とすれば、羽根開閉装置内において端子板の接続部と羽根部材とが開閉方向において互いに逆側に配置されるので、接続部をモジュール基板の接点に例えば半田で接続する際に生じる熱が羽根部材に伝わりにくく、また半田に使用されるフラックスが羽根部材に流れ込みにくくなる。したがって、羽根部材が半田による熱で変形することで開閉できなくなったり、フラックスが付着することで開閉できなくなったりするなどの故障をより一層抑制することができる。
【0043】
上記アクチュエータは、2つのアーム部を有する扁平U字状のヨークと、上記ヨークの上記2つのアーム部の一方の周囲に巻回されるコイルと、上記ヨークの上記2つのアーム部の間に回転可能に配置されるロータマグネットと、上記ロータマグネットに連結されるレバー部材とを有していてもよい。このレバー部材は、上記羽根部材に形成されたカム溝に係合する係合部を有する。
【0044】
上記羽根開閉装置は、上記レンズユニットが設けられる上記モジュール基板の面と同一の面に実装されることが好ましい。また、上記ベース部材は、上記レンズユニットの周囲を取り囲む周囲壁を有することが好ましい。
【0045】
上記アクチュエータは、該アクチュエータに電流が供給されていない状態で上記羽根部材を上記開位置及び上記閉位置のうち少なくとも一方に保持するように構成されていることが好ましい。
【0046】
上記羽根部材は、上記開口を通って上記レンズユニットに入射する光の少なくとも一部を遮って上記レンズユニットによる撮影を阻害するように構成されていてもよく、あるいは、上記開口を通って上記レンズユニットに入射する光に対して所定の光学効果を加えて上記レンズユニットによる撮影を阻害するように構成されていてもよい。また、上記羽根部材は、外表面に視認性を有する着色又は意匠が施されていてもよい。
【0047】
本発明の第2の態様によれば、上記モジュール基板と、上記モジュール基板に実装された上記レンズユニットと、上述した羽根開閉装置とを備える電子機器が提供される。
【符号の説明】
【0048】
1 羽根開閉装置
2 モジュール基板
3 レンズユニット
10 ベース部材
11 軸
12 ガイド部
13A,13B,13C,13D 周囲壁
20 アクチュエータ
21 ヨーク
21A,21B アーム部
22 コイルベース
23 コイル
24 ロータマグネット
25 レバー部材
26 係合部
27 端子
28 端子板
30 仕切板
31 開口
32 仕切板
33 円弧溝
40 カバー板
41 開口
50 羽根部材
51 カム溝
100 ノートパソコン
120 窓
P 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8