(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035787
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】二次熱交換器、その製造方法および給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20220225BHJP
F24H 8/00 20220101ALI20220225BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24H8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140341
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】栗田 哲也
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034BA23
3L034BA26
3L036AA04
3L036AA13
3L036AA42
3L036AA46
3L036AC06
3L036AC12
3L036AC28
3L036AE34
(57)【要約】
【課題】給水の熱交換効率を高めるとともに二次熱交換器のコンパクト化を実現する。
【解決手段】燃焼排気(EG)の上流側で熱交換する一次熱交換器(6)とともに設置されて前記一次熱交換器より下流側で熱交換する二次熱交換器(8)であって、前記燃焼排気の熱を給水(W)に熱交換する給水熱交換部(給水二次熱交換部24)と、前記燃焼排気の熱を前記給水以外の循環水に熱交換する循環水熱交換部(熱媒二次熱交換部26)とを備え、前記給水熱交換部の一部(給水用ヘッダー部の凸部78-1、給水用熱交換管58-1、58-2、58-3、58-4)が前記循環水熱交換部側に張り出し、前記循環水熱交換部の一部(熱媒用ヘッダー部の凸部80-1、熱媒用熱交換管60-1)が前記給水熱交換部側に張り出している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排気を上流側で熱交換する一次熱交換器とともに設置されて前記一次熱交換器より下流側で熱交換する二次熱交換器であって、
前記燃焼排気の熱を給水に熱交換する給水熱交換部と、
前記燃焼排気の熱を前記給水以外の循環水に熱交換する循環水熱交換部と、
を備え、前記給水熱交換部の一部が前記循環水熱交換部側に張り出し、前記循環水熱交換部の一部が前記給水熱交換部側に張り出していることを特徴とする二次熱交換器。
【請求項2】
前記一次熱交換器を通過した前記燃焼排気を排気流入口から流入させて排気部から排出させる排気筐体部と、
前記排気筐体部を通過する前記燃焼排気の熱を給水に熱交換する給水ヘッダー部および給水熱交換管と、
前記排気筐体部を通過する前記燃焼排気の熱を前記循環水に熱交換する循環水ヘッダー部および循環水熱交換管と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の二次熱交換器。
【請求項3】
少なくとも前記給水ヘッダー部の一部が前記循環水ヘッダー部側に張り出し、または少なくとも前記循環水ヘッダー部の一部が前記給水ヘッダー部側に張り出していることを特徴とする請求項2に記載の二次熱交換器。
【請求項4】
少なくとも前記給水熱交換管の一部が前記循環水熱交換管側に張り出し、または少なくとも前記循環水熱交換管の一部が前記給水熱交換管側に張り出していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の二次熱交換器。
【請求項5】
前記給水ヘッダー部に凸部と凹部を備えるとともに、前記循環水ヘッダー部に凸部と凹部を備え、前記給水ヘッダー部の前記凸部を前記循環水ヘッダー部の前記凹部に組み合わせ、前記循環水ヘッダー部の前記凸部を前記給水ヘッダー部の前記凹部に組み合わせたことを特徴とする請求項2ないし請求項4の何れかの請求項に記載の二次熱交換器。
【請求項6】
前記給水は前記給水熱交換部で熱交換後、前記一次熱交換器に流すことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の二次熱交換器。
【請求項7】
前記給水熱交換部は、前記燃焼排気の下流側に設置された熱交換管の設置密度を上流側の熱交換管より高く設定したことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の二次熱交換器。
【請求項8】
ヘッダー基体に給水熱交換管および循環水熱交換管を接続する工程と、
前記給水熱交換管側の前記ヘッダー基体を覆い、前記給水熱交換管に給水を循環させる給水ヘッダー部を形成する工程と、
前記循環水熱交換管側の前記ヘッダー基体を覆い、前記循環水熱交換管に循環水を循環させる循環水ヘッダー部を形成する工程と、
筐体部に前記給水ヘッダー部および前記循環水ヘッダー部を含む二次熱交換ユニットを取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする二次熱交換器の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載された二次熱交換器を備え、バーナーで発生した燃焼排気を熱媒または給湯水の何れか一方または双方に熱交換し、給湯することを特徴とする給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次熱交換器を通過させた燃焼排気と給水または熱媒などの熱交換に用いられる熱交換技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナー燃焼で発生した燃焼排気の熱を給水、熱媒または浴槽水に熱交換する熱交換器には、一次熱交換器による熱交換(一次熱交換)の後、下流側の燃焼排気の熱を回収するため、二次熱交換器を備えるものが普及している。このような二次熱交換を併用する熱交換器では熱交換の高効率化が図られる。
【0003】
斯かる二次熱交換器について、排気の流れで給湯回路の受熱管の上流側に暖房回路など、他系統の循環回路の受熱管全体を配置した構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給湯器は通年使用される熱源であるが、夏場の高温期と冬場の低温期では稼働条件が異なる。高温期では暖房のための熱媒の二次熱交換は通常、不要になるのに対し、暖房二次熱交換器の受熱管の全体が給水二次熱交換器の受熱管の上流側に配置されている場合、給水用二次熱交換器の熱交換を妨げ、熱交換効率を低下させるなどの不都合がある。
【0006】
発明者は、比較的高温の熱媒を循環させる循環回路の熱交換管が給水二次熱交換器の上流側に設置されていても、熱交換管やヘッダーの配置や形態によっては熱交換効率を高めることができるなどの知見を得た。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題および上記知見に基づき、給水の熱交換効率を高めるとともに二次熱交換器のコンパクト化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の二次熱交換器の一側面によれば、燃焼排気を上流側で熱交換する一次熱交換器とともに設置されて前記一次熱交換器より下流側で熱交換する二次熱交換器であって、前記燃焼排気の熱を給水に熱交換する給水熱交換部と、前記燃焼排気の熱を前記給水以外の循環水に熱交換する循環水熱交換部とを備え、前記給水熱交換部の一部が前記循環水熱交換部側に張り出し、前記循環水熱交換部の一部が前記給水熱交換部側に張り出している。
この二次熱交換器において、前記一次熱交換器を通過した前記燃焼排気を排気流入口から流入させて排気部から排出させる排気筐体部と、前記排気筐体部を通過する前記燃焼排気の熱を給水に熱交換する給水ヘッダー部および給水熱交換管と、前記排気筐体部を通過する前記燃焼排気の熱を前記循環水に熱交換する循環水ヘッダー部および循環水熱交換管とを備えてよい。
【0009】
この二次熱交換器において、少なくとも前記給水ヘッダー部の一部が前記循環水ヘッダー部側に張り出し、または少なくとも前記循環水ヘッダー部の一部が前記給水ヘッダー部側に張り出してよい。
この二次熱交換器において、少なくとも前記給水熱交換管の一部が前記循環水熱交換管側に張り出し、または少なくとも前記循環水熱交換管の一部が前記給水熱交換管側に張り出してよい。
この二次熱交換器において、前記給水ヘッダー部に凸部と凹部を備えるとともに、前記循環水ヘッダー部に凸部と凹部を備え、前記給水ヘッダー部の前記凸部を前記循環水ヘッダー部の前記凹部に組み合わせ、前記循環水ヘッダー部の前記凸部を前記給水ヘッダー部の前記凹部に組み合わせてよい。
この二次熱交換器において、前記給水は前記給水熱交換部で熱交換後、前記一次熱交換器に流してよい。
この二次熱交換器において、前記給水熱交換部は、前記燃焼排気の下流側に設置された熱交換管の設置密度を上流側の熱交換管より高く設定してよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の二次熱交換器の製造方法の一側面によれば、ヘッダー基体に給水熱交換管および循環水熱交換管を接続する工程と、前記給水熱交換管側の前記ヘッダー基体を覆い、前記給水熱交換管に給水を循環させる給水ヘッダー部を形成する工程と、前記循環水熱交換管側の前記ヘッダー基体を覆い、前記循環水熱交換管に循環水を循環させる循環水ヘッダー部を形成する工程と、筐体部に前記給水ヘッダー部および前記循環水ヘッダー部を含む二次熱交換ユニットを取り付ける工程とを含む。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の給湯器の一側面によれば、前記二次熱交換器を備え、バーナーで発生した燃焼排気を熱媒または給湯水の何れか一方または双方に熱交換し、給湯する給湯器である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二次熱交換器によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 燃焼排気の上流側に配置された循環水熱交換部側に給水熱交換部の一部を張り出させているので、給水の熱交換効率を高めることができる。
(2) 循環水熱交換部が使用されない時期や期間においても、熱交換効率を高めることができる。
(3) 給水熱交換部の一部が循環水熱交換部側に配置され、循環水熱交換部の一部が給水熱交換部側に配置されたことにより、両者が噛み合わせられて二次熱交換器のコンパクト化を図ることができる。
【0013】
本発明の二次熱交換器の製造方法によれば、二次熱交換器の堅牢化を図ることができるとともに、二次熱交換器のコンパクト化や製造コストの低減を図ることができる。
【0014】
本発明の給湯器によれば、二次熱交換器による熱交換効率が高められるとともに、給湯器のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施の形態に係る熱交換器を示す図である。
【
図3】二次熱交換ユニットを分解して示す分解斜視図である。
【
図5】ヘッダーの給水用ヘッダー室、熱媒用ヘッダー室と給水用熱交換管、熱媒用熱交換管の配置関係を示す図である。
【
図6】給水用ヘッダー部および熱媒用ヘッダー部の配置および組み合わせを示す図である。
【
図7】燃焼排気と給水または熱媒の熱交換を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態に係る二次熱交換器の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第3の実施の形態に係る給湯器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る熱交換器2を示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる内容に限定されない。
この熱交換器2はたとえば、一缶三水用熱交換器である。一缶三水用熱交換器は単一のバーナーを熱源として給水加熱、熱媒加熱、浴槽水加熱(追い焚き)など、単一の熱源で複数の熱交換を実現する熱交換器である。
この熱交換器2は燃焼室4、一次熱交換器6および二次熱交換器8を備える。
燃焼室4はバーナー10を備え、ガス燃焼によって燃焼排気EGを発生する。この燃焼排気EGは給気に従って燃焼室4から一次熱交換器6を通過し二次熱交換器筐体部12の排気流入口14に入り、排気流路板16で導かれて二次熱交換器筐体部12を通過して排気部18に流れる。二次熱交換器筐体部12は、燃焼排気EGを通過させる筐体部の一例である。
【0017】
一次熱交換器6はたとえば、熱媒一次熱交換器20、追焚熱交換器22を備える。熱媒一次熱交換器20は燃焼排気EGの熱を熱媒MWに熱交換し、熱媒MWを加熱する。追焚熱交換器22は、燃焼排気EGの熱を浴槽水BWに熱交換し、浴槽水BWを加熱する浴槽水熱交換器である。
二次熱交換器8は二次熱交換器筐体部12および二次熱交換ユニット23を備える。二次熱交換ユニット23たとえば、給水二次熱交換部24、熱媒二次熱交換部26を備える。給水二次熱交換部24は本開示の給水二次熱交換部の一例であり、また、熱媒二次熱交換部26は本開示の給水以外の循環水が流れる循環水二次熱交換部の一例である。
給水二次熱交換部24は、たとえば、熱媒一次熱交換器20から流れてきた熱媒MWを用いて給水加熱する給湯熱交換器84(
図9)に先行して給水Wを流し、この給水Wに下流側の燃焼排気EGの熱を熱交換することにより、給水Wを先行加熱する。つまり、下流側の燃焼排気EGの熱は熱媒一次熱交換器20側より低く、燃焼排気EGの主として潜熱が加熱前の給水Wに熱交換される。
【0018】
熱媒二次熱交換部26はたとえば、暖房回路を循環する暖房水などの熱媒MWを流し、この熱媒MWに燃焼排気EGの熱を熱交換し、熱媒MWを加熱する。
そして、二次熱交換器8を通過した燃焼排気EGは排気部18から外気に放出される。また、熱交換で生じたドレンDは、二次熱交換器筐体部12に設定された勾配によって収水部28に導かれ、排水口30より排出される。
【0019】
<二次熱交換ユニット23>
図2は、二次熱交換ユニット23を示している。この二次熱交換ユニット23は、ヘッダー32と、複数の熱交換管34とを備える。
ヘッダー32は、単一のヘッダー基体36を備え、このヘッダー基体36に給水用ヘッダー部38と熱媒用ヘッダー部40を備える。
【0020】
、
給水用ヘッダー部38は入側ポート42と出側ポート44を備え、入側ポート42は連結フランジ46を備え、出側ポート44は連結フランジ48を備える。連結フランジ46には給水回路側の管路が連結され、連結フランジ48にはたとえば、給湯熱交換器84(
図9)への管路が接続される。
熱媒用ヘッダー部40は同様に、入側ポート50と出側ポート52を備え、入側ポート50は連結フランジ54を備え、出側ポート52は連結フランジ56を備える。連結フランジ54には暖房回路の管路が連結され、連結フランジ56には熱媒一次熱交換器20への管路が接続される(
図1、
図9)。
【0021】
熱交換管34は給水用熱交換管58および熱媒用熱交換管60を含んでいる。給水用熱交換管58および熱媒用熱交換管60はたとえば、U字形のパイプで形成されている。給水用熱交換管58は給水用ヘッダー部38側に連通され、熱媒用熱交換管60は熱媒用ヘッダー部40に連通されている。
【0022】
<二次熱交換ユニット23の構成部材>
図3は、二次熱交換ユニット23を分解して示している。
図3において、
図2と同一部分には同一符号を付し、その説明を割愛する。
二次熱交換ユニット23は、熱交換管34、ヘッダー基体36、給水用ヘッダー部38、熱媒用ヘッダー部40および連結フランジ46、48、54、56で構成される。
給水用ヘッダー部38は給水用ヘッダーカバー70を備える。この給水用ヘッダーカバー70は、周縁に立壁72とともに区画壁62-1、62-2を備え、ヘッダー基体36に取り付けられて給水用ヘッダー室64-1、64-2、64-3(
図4)を形成する。
熱媒用ヘッダー部40は熱媒用ヘッダーカバー74を備える。この熱媒用ヘッダーカバー74は、周縁に立壁76とともに区画壁66を備え、ヘッダー基体36に取り付けられて熱媒用ヘッダー室68-1、68-2(
図4)を形成する。
【0023】
<ヘッダー32>
図4は、ヘッダー32側から見た二次熱交換ユニット23を示している。ヘッダー32は既述したように、給水用ヘッダー部38と熱媒用ヘッダー部40を備える。給水用ヘッダー部38は、給水用熱交換管58に給水Wを循環させる循環路であるとともに、給水用熱交換管58と同様の受熱管路を構成する。同様に、熱媒用ヘッダー部40は、熱媒用熱交換管60に熱媒MWを循環させる循環路であるとともに、熱媒用熱交換管60と同様の受熱管路を構成する。
【0024】
そして、給水用ヘッダー部38には入側ポート42から導入した給水Wを各給水用熱交換管58に分配して通流するための区画壁62-1、62-2が設置されている。つまり、給水用ヘッダー部38は、区画壁62-1、62-2を以て三室の給水用ヘッダー室64-1、64-2、64-3に区画されている。
熱媒用ヘッダー部40には入側ポート50から導入した熱媒MWを各熱媒用熱交換管60に分配して通流するための区画壁66が設置されている。つまり、熱媒用ヘッダー部40は区画壁66を以て二室の熱媒用ヘッダー室68-1、68-2に区画されている。
図5は、ヘッダー32の給水用ヘッダー室64-1、64-2、64-3、熱媒用ヘッダー室68-1、68-2と給水用熱交換管58、58-1、58-2、58-3、58-4、熱媒用熱交換管60、60-1の配置関係を示している。
【0025】
<給水用ヘッダー部38および熱媒用ヘッダー部40の配置および組合せ>
図6は、ヘッダー32を示している。
図6において、
図3と同一部分に同一符号を付してある。
給水用ヘッダー部38の給水用ヘッダーカバー70には熱媒用ヘッダー部40の熱媒用ヘッダーカバー74との対向側に凹部78-1と凸部78-2を備える。これに対向し、熱媒用ヘッダー部40の熱媒用ヘッダーカバー74には凸部80-1と凹部80-2を備える。
給水用ヘッダーカバー70の凹部78-1には熱媒用ヘッダーカバー74の凸部80-1、熱媒用ヘッダーカバー74の凹部80-2には給水用ヘッダーカバー70の凸部78-2が組み合わされてヘッダー基体36に固定されている。
ヘッダー基体36の給水用ヘッダーカバー70の凸部78-2で覆われる範囲には、給水用熱交換管58-1、58-2、58-3、58-4が取り付けられている。
ヘッダー基体36の熱媒用ヘッダーカバー74の凸部80-1で覆われる範囲には、熱媒用熱交換管60-1が取り付けられている。
【0026】
そして、給水用熱交換管58はたとえば、燃焼排気EGと交差方向に上流側をたとえば、4本配置とするのに対し、下流側をたとえば、5本配置し、下流側の配管密度を高く設定している。
また、熱媒用熱交換管60を同様にたとえば、燃焼排気EGと交差方向に上流側をたとえば、4本配置とするのに対し、下流側をたとえば、5本配置し、下流側の配管密度を高く設定している。
【0027】
<燃焼排気EGの流れ、給水用ヘッダー部38および熱媒用ヘッダー部40の循環>
図7は、燃焼排気EGの流れ、給水用ヘッダー部38の給水Wの流れ、熱媒用ヘッダー部40の熱媒MWの流れを示している。
給水Wは入側ポート42からヘッダー32の給水用ヘッダー室64-1に入り、給水用熱交換管58を循環して給水用ヘッダー室64-2に戻り、この給水用ヘッダー室64-2から別の給水用熱交換管58を循環し、給水用ヘッダー室64-3の出側ポート44から流出する。給水Wは給水用ヘッダー室64-1、64-2、64-3および給水用熱交換管58で燃焼排気EGの熱を受けて加熱され、温水化された給水fWに変換される。
つまり、入側ポート42から入った給水Wは給水用ヘッダー部38および給水用熱交換管58で燃焼排気EGの熱を受けて加熱されて出側ポート44からたとえば、給湯熱交換器84(
図9)に流れる。
【0028】
熱媒MWは入側ポート50からヘッダー32の熱媒用ヘッダー室68-1に入り、熱媒用熱交換管60を循環して熱媒用ヘッダー室68-2に戻り、この熱媒用ヘッダー室68-2の出側ポート52から流出する。熱媒MWは熱媒用ヘッダー室68-1、68-2および熱媒用熱交換管60で燃焼排気EGの熱を受けて加熱される。つまり、入側ポート50から入った熱媒MWは熱媒用ヘッダー部40および熱媒用熱交換管60で燃焼排気EGの熱を受けて加熱されて出側ポート52から燃焼排気EGの上流側に配置された熱媒一次熱交換器20(
図1、
図9)に流れる。
【0029】
<第1の実施の形態の効果>
この第1の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 燃焼排気の上流側に配置された熱媒二次熱交換部26側に給水二次熱交換部24の一部を張り出させているので、給水の熱交換効率を高めることができる。
(2) 給水二次熱交換部24の一部が熱媒二次熱交換部26側に配置され、熱媒二次熱交換部26の一部が給水二次熱交換部24側に配置されたことにより、両者が噛み合う形で組み合わされているので、二次熱交換ユニット23のコンパクト化を図ることができるとともに、堅牢化を図ることができる。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
図8は、第2の実施の形態に係る二次熱交換器8の製造工程を示している。
この製造工程は、本開示の二次熱交換器の製造方法の一例であり、二次熱交換器8の製造に限定されない。
この製造工程には、熱交換管34、ヘッダー基体36、給水用ヘッダーカバー70、熱媒用ヘッダーカバー74の形成(S101)、ヘッダー基体36に熱交換管34の接続(S102)、二次熱交換ユニット23の組立て(S103)、二次熱交換器筐体部12に二次熱交換ユニット23の取付け(S104)などが含まれる。
【0031】
熱交換管34、ヘッダー基体36、給水用ヘッダーカバー70、熱媒用ヘッダーカバー74の形成(S101): 二次熱交換ユニット23の構成部材である熱交換管34、ヘッダー基体36、給水用ヘッダーカバー70、熱媒用ヘッダーカバー74を個別に形成する。
ヘッダー基体36に熱交換管34の接続(S102): ヘッダー基体36に熱交換管34を接続して一体化し、熱交換管34の配置によってヘッダー基体36に給水用熱交換管58、熱媒用熱交換管60を形成する。
【0032】
二次熱交換ユニット23の組立て(S103): ヘッダー基体36に給水用ヘッダーカバー70および熱媒用ヘッダーカバー74を固定することにより、二次熱交換ユニット23を組み立てる。そして、入側ポート42には連結フランジ46、出側ポート44には連結フランジ48、入側ポート50には連結フランジ54、出側ポート52には連結フランジ56を接続する。
二次熱交換器筐体部12に二次熱交換ユニット23の取付け(S104): たとえば二次熱交換器筐体部12に二次熱交換ユニット23を取り付ければ、二次熱交換器8を形成できる。
【0033】
<第2の実施の形態の効果>
この第2の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 二次熱交換ユニット23の堅牢化、ひいては二次熱交換器8の堅牢化を図ることができるとともに、二次熱交換ユニット23のコンパクト化を図ることができる。
(2) ひとつのヘッダー基体36に給水用ヘッダー部38および熱媒用ヘッダー部40を設置して給水Wおよび熱媒MWの熱交換が可能なヘッダー32を構成するので、部品点数の削減とともに製造コストの低減を図ることができる。
【0034】
〔第3の実施の形態〕
図9は、第3の実施の形態に係る給湯器82を示している。この給湯器82において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
この給湯器82は、給水W、熱媒MW、浴槽水BWを加熱するため、既述の熱交換器2とともに給湯熱交換器84を備えている。
熱交換器2は一次熱交換器6および二次熱交換器8を備え、一次熱交換器6は熱媒一次熱交換器20および追焚熱交換器22を備えている。二次熱交換器8は、給水二次熱交換部24および熱媒二次熱交換部26を備えている。
【0035】
燃料ガスGはガス管86からバルブユニット88を介してバーナー10に供給されて燃焼し、燃焼排気EGを生じる。燃焼室4には給気ファン90の回転により燃焼のための給気が行われる。
熱媒タンク92に溜められた熱媒MWは熱媒ポンプ94の駆動により、熱媒回路96から熱媒二次熱交換部26に流れて下流側の燃焼排気EGとの熱交換後、熱媒一次熱交換器20に流れて上流側の燃焼排気EGと熱交換される。この熱媒MWは熱媒回路96を通して、給湯時、給湯熱交換器84に循環し、暖房時、床暖房ユニット98やコンベクタ100に循環する。
【0036】
給湯時、給水Wは給水管102を通して給水二次熱交換部24に流れ、下流側の燃焼排気EGとの熱交換が行われる。この燃焼排気EGで先行加熱された給水fWは給湯熱交換器84に流れ、熱媒MWとの熱交換後、給水混合部104で給水Wとの混合により、所定の給湯温度に調整されて給湯管106から温水HWとして出湯させる。
浴槽108に溜められた浴槽水BWは、追焚ポンプ110の駆動により追焚回路112から追焚熱交換器22に流れて上流側の燃焼排気EGとの熱交換後、浴槽108に戻される。
【0037】
<第3の実施の形態の効果>
この第3の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 燃焼排気EGの下流側で熱媒MWを二次熱交換によって先行加熱し、この加熱後の熱媒MWを一次熱交換により高温化できるので、燃焼排気EGの熱を効率よく熱媒MWに熱交換でき、熱媒MWの熱交換効率を高めることができる。
(2)燃焼排気EGの下流側で燃焼排気EGの主として潜熱を給水Wに熱交換できるとともに、この先行加熱後の給水fWと熱媒MWの熱とを給湯熱交換器84で熱交換し、給水fWを熱媒MWで加熱することができ、給水Wの熱交換効率を高めることができる。
【0038】
〔他の実施の形態〕
(1) 第3の実施の形態は、給湯熱交換器84を備えて熱媒MWの熱を給水fWに熱交換しているが、熱交換器2にある熱媒一次熱交換器20で給湯加熱を行ってもよい。
(2) 第3の実施の形態は追焚熱交換器22で浴槽水BWを加熱しているが、給水Wの熱交換に利用してもよい。
(3) 給水以外の循環水として熱媒MWを例示しているが、熱媒MW以外の循環水加熱に利用してもよい。
(4) 給水用ヘッダー部38の入側ポート42、出側ポート44について、第1の実施の形態では燃焼排気EGの上流側に入側ポート42、下流側に出側ポート44を配置しているが、入側ポート42を出側ポート、出側ポート44を入側ポートに用いて給水Wを流してもよい。
【0039】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、燃焼排気を上流側で熱交換する一次熱交換器とともに設置されて前記一次熱交換器より下流側で熱交換する二次熱交換器において、給水の熱交換効率を高めるとともに二次熱交換器のコンパクト化を実現でき、利便性の高い熱交換器を実現することができる。
【符号の説明】
【0041】
2 熱交換器
4 燃焼室
6 一次熱交換器
8 二次熱交換器
10 バーナー
12 二次熱交換器筐体部
14 排気流入口
16 排気流路板
18 排気部
20 熱媒一次熱交換器
22 追焚熱交換器
23 二次熱交換ユニット
24 給水二次熱交換部
26 熱媒二次熱交換部
28 収水部
30 排水口
32 ヘッダー
34 熱交換管
36 ヘッダー基体
38 給水用ヘッダー部
40 熱媒用ヘッダー部
42 入側ポート
44 出側ポート
46 連結フランジ
48 連結フランジ
50 入側ポート
52 出側ポート
54 連結フランジ
56 連結フランジ
58、58-1、58-2、58-3、58-4 給水用熱交換管
60、60-1 熱媒用熱交換管
62-1、62-2 区画壁
64-1、64-2、64-3 給水用ヘッダー室
66 区画壁
68-1、68-2 熱媒用ヘッダー室
70 給水用ヘッダーカバー
72、76 立壁
74 熱媒用ヘッダーカバー
78-1 凹部
78-2 凸部
80-1 凸部
80-2 凹部
82 給湯器
84 給湯熱交換器
86 ガス管
88 バルブユニット
90 給気ファン
92 熱媒タンク
94 熱媒ポンプ
96 熱媒回路
98 床暖房ユニット
100 コンベクタ
102 給水管
104 給水混合部
106 給湯管
108 浴槽
110 追焚ポンプ
112 追焚回路